2021年第4回定例会一般質問 小林おとみ区議

引き続き、日本共産党板橋区議会議員団の一般質問を行います。

  • 財政運営について


 まず初めに、財政運営についてです。
 板橋区においては、2020年度決算を終え、2021年度は第6号までの補正が行われました。昨年度も今年度に入っても、事業の中止や縮小、契約差金の発生などによって多くの不用額が発生していることが明らかになりました。9月の第4号補正では、区の施設改修の前倒し実施や中小企業の事業継続の支援など、地域経済の区独自策が盛り込まれましたが、今年度の最終補正を前に、年度内にできること、特に区民生活の支援策について、緊急にできることについて財政出動するべきと考えます。
 そこで区長に伺います。年度末までに実施の見通しがない事業や契約差金の残額などは、今現在どれぐらい見通されているのかお示しください。コロナ禍で痛んだ区民生活を守るために、補正予算を組んで生活支援の緊急対策を行うべきです。見解を伺います。
 ふるさと納税や地方税の偏在是正が、区財政に大きな影響を与えていることが監査報告で指摘されています。それは、監査委員の立場から区の財政をゆがめている要因についての指摘です。ふるさと納税や税の偏在是正は、もともとアベノミクスが地方経済を成長させることができず、東京圏を中心にした成長戦略をとり続けていることに起因しているものです。東京都も23区も、これを不合理な税制改正として、「地方自治の原点に立ち返った議論を」という立場を表明していますが、解決の見通しはまったく見えていません。地方税を法改正で国税にしてしまうなど、憲法に基づく法制度を逸脱するような国の責任放棄を認めてはなりません。東京都も23区も地方分権改革を進めるという立場に立つのであれば、国地方係争処理委員会に持ち込む等、地方自治体としてやるべきことを最大限に活用して、国に対して不合理な税制はやめるよう求めるべきではないでしょうか。見解を伺います。また、これを理由に区民サービスを低下させるようなことはあってはならないと考えます。見解を伺います。

  • 安心して子育てできる保育水準の確保を


 次に、安心して子育てできる保育水準の確保を求めて質問します。
 働く女性の中で、自殺者が急増というニュースに衝撃が走りました。厚生労働省は、「非正規雇用などの労働環境の変化が関連した可能性がある」としています。2020年4月から11か月間で自ら離職した人のうち、子育て世代の女性では、「保育園・学校の休園(校)や時間短縮」が離職の理由となったものが14.5%に上っています。コロナ禍以前から、子どもが病気のときの休暇、休校等に対応する制度が貧弱で、母親の自己責任にされ、仕事を失い、所得を失い、雇用保障が十分に及ばない層が膨大に存在していることが浮かび上がった結果です。コロナ禍の下で女性の雇用状況が悪化していると考えますが、区長の認識をお示しください。
 女性が出産し、子育てしながら安心して働き続けられるようにすることは、社会全体が一人ひとりの命や生き方を大事にして、人間らしく生きる権利、基本的人権が保障された社会をつくるために、最も重要な政治の課題なのではないでしょうか。平成30年11月に発表された内閣府の調査では、第1子出産を機に離職する女性の割合は46.9%に上っています。日本の女性労働力のM字カーブは解消されていません。子育てと仕事の両立は、依然として女性の生き方の問題とされています。板橋区においてはどうでしょうか。保育園の実質待機児数は、4月当初36名が10月1日時点では34名となっていますが、希望する保育園に入れていない人は、4月、602名が10月は735名となっています。保活は、引き続き子育て世代の重い負担になっています。一方で、3、4、5歳児では定員に空きが出たり、小規模園が廃園に追い込まれたりしています。いずれも、規制緩和と当面の対症療法的な保育所づくり、そして、女性の雇用状況の悪化が要因となっているものです。子どもがいつ生まれても、両親がいつ仕事に復帰しても安心して保育園に入れるように、引き続き保育園の整備が求められていると考えます。区長の見解を伺います。
 これからの保育所づくりは、保育を必要とする子どもを預かる施設の待機児対策としてではなく、生まれてから学校に入るまでの乳幼児期を一貫して、継続した育ちを保障する場として整備する方向に転換する必要があります。そのためにも、全ての保育園の安定的運営が図られなければなりません。私立保育園で未充足が生まれ、経営に大きな影響が出ています。ある私立保育園は、設置基準は113名定員ですが、この間、保育定員の弾力化で定員を120名に引き上げて運営してきました。しかし、現在入園している園児は105名です。せめて設置基準の定員分の運営費が確保できれば、保育士の給料やボーナスに影響が出ないようにできるとの話です。子どもの数が園の設置基準を下回り、経営に影響が出ている園に対しての未充足対策として、せめて設置基準の定員分までの運営費を補填していただきたいが、いかがでしょうか。
 2000年に営利企業などにも認可保育園の設置が認められていく中で、保育園を運営する委託費の弾力的運用が行われるようになりました。政府は委託費の8割は人件費としていますが、2017年度の東京都の調査によれば、社会福祉法人の人件費は7割、株式会社では5割を切る状況です。弾力的運用は、年間収入の4分の1が運用できることになっていて、同一法人が運営する介護施設にも流用可能などとなっています。この仕組みによって、保育士の実際の賃金は国の想定より100万円も少なくなるからくりになっています。まるでバケツの底が抜けたような状態になっているのです。そこで区長に伺います。委託費の弾力的運用をやめ、人件費8割が確保されるように国に意見を上げると同時に、区として人件費を8割とする基準を設けることを求めます。見解を伺います。
 私立保育園の保育士の公定価格に、人事院勧告の引下げの影響が出ることが心配されています。今年の勧告は、月例給は据え置かれたものの、賞与については0.15月減となりました。昨年度も賞与0.05月減で、結果として、公定価格上見込まれる私立保育園の保育士の本俸の基準が、年間1万円程度減るという影響が出ました。今年は単純計算で、昨年の3倍の減少になります。また政府は、来年2月から保育士の公定価格を月額9,000円程度引き上げる方針を示していますが、保育士の賃金は、月収で他の職種の平均賃金より10万円低いと言われている状況から見れば、政府の引上げの方針は低過ぎます。しかも、委託費の弾力的運用の仕組みが変わらなければ、本当に保育士の賃金引上げにつながるかどうかの保証がありません。国に対して、人事院勧告の賞与の引下げが、私立の保育士の賃金に影響が出ないようにすること、また保育士の公定価格の大幅な改善を行うよう、区として求めていただきたいが、いかがでしょうか。

3、高齢者のくらしに安心を


 次に、高齢者のくらしの安心について質問します。
 介護保険事業計画の進捗状況についてお聞きします。退院直後や認知症の症状が出始めた方など、体調や状態が不安定な高齢者が在宅で生活できるようにするために、通い、訪問、泊まりが柔軟に利用できる仕組みとして、小規模多機能型居宅介護事業が計画されています。現在、区内11か所・280名分が整備されていますが、地域別に見ると、板橋地域はゼロか所、常盤台地域3か所、志村地域2か所、高島平地域3か所、赤塚地域3か所となっており、板橋地域が最も遅れています。24時間対応型もこの地域の整備が遅れています。板橋地域での小規模多機能型及び24時間対応型の介護事業の整備を進めることを求めます。また、板橋地域内では仲宿の区営住宅建設計画が進められていますが、こうした公共施設の整備計画に小規模多機能型や24時間対応型の介護施設の計画を盛り込んでいただきたいが、いかがでしょうか。
 今年8月、介護労働安定センターが発表した介護労働実態調査によると、介護職に占める65歳以上の割合は12.3%。職種別ではホームヘルパーが最も高く、およそ4人に1人が65歳以上となっています。ヘルパーの有効求人倍率は、2019年度の時点で15.03倍、訪問介護の人手不足は既にかなり深刻な状況です。実際に板橋区内でも、利用者からヘルパーが予定した日に入れないと言われたという声や事業所からは若い人が入ってこない、70代が中心などの声が聞こえてきます。板橋区では、ヘルパーの平均年齢は何歳ですか。また、ヘルパーが予定した日に入れないという事態がどれぐらい生まれているかお示しください。ヘルパー不足を解消するためには、ヘルパーの給与保障が必要です。区としての独自の上乗せ、手当の創設などを求めますが、見解を伺います。
 次に、いこいの家廃止後の後利用計画についてです。区は、13か所のいこいの家を2022年3月末日をもって全て廃止し、3施設は売却等で資産活用、5施設を新たに介護予防事業を優先する施設に、4施設を集会所へ転換するなどとする後利用計画を進めています。辛うじて残されたフリースペースも、小さな絵本館として活用などとなっています。これから高齢者は、何かの事業に参加するか、あるいは団体を形成することを通してしか公的な居場所はなくなってしまうことになります。区は、多目的室は利用者の減少や特定化という課題があったとしていますが、そもそもそうした状態にしていったのは、区のいこいの家の廃止の方針によるものです。高齢者が自由に出入りでき、なじみの友達とお茶を飲んだりおしゃべりをしたりする場所を公的に提供することは、高齢者の孤立化を防ぎ、介護予防のためにも大事なことではないでしょうか。そこで区長にお聞きします。今後、介護予防優先施設や集会所になる施設に一般利用の枠を設定して、予約なしでも自由に利用できる時間帯をつくっていただきたいが、いかがでしょうか。
 高齢者の項の最後に医療の問題です。来年4月は、後期高齢者医療保険料の改定時期を迎えます。国民健康保険の被扶養者だった人たちへの軽減措置もなくなりました。政府は、来年後半には窓口負担を2倍に引き上げるとしており、保険料も上がり、窓口負担も上がるなど、たまったものではありません。来年改定の後期高齢者医療保険料及び国民健康保険料が引き上がらないようにしていただきたい。また、収入のない子どもにまで保険料を課している国民健康保険において、国は来年度から、未就学児の均等割保険料を5割公費で負担することを決めました。区として、対象年齢の引上げ、公費負担を拡大することを求めます。見解を伺います。

4、すべての人の投票権を保障するために


 次に、全ての人に投票権を保障することについて質問します。
 10月31日、総選挙の投開票が行われました。投票率は54.97%で、前回2017年の52.66%を上回ったものの、50%台前半という結果に終わりました。投票率が引き上がらないことについては様々な原因がありますが、投票したくてもできない人が生まれないようにする対策は最低限必要なことだと考えます。そこで、以下の点について検討を求めます。足腰が弱くなった高齢者から、投票所への送迎ができないかとの要望があります。せめて期日前投票の送迎について検討していただけないでしょうか。
 投票所では、投票用紙に文字を書くことが困難な人のために、職員による代理投票が行われています。しかし、そのことを知らない多くの人が投票を諦めています。認知症や知的障がい者、字が書けないなど投票行為に困難を抱えている人たちの投票権を保障するために、投票所で職員による代理投票ができることを分かりやすく周知していただきたい。また、文字が書きにくい障がい者や高齢者が投票しやすいよう、丸印をつける記号式について、地方選挙では、1962年と70年の公職選挙法の改正により、自治体が条例化すれば可能になっています。全国では現在、228団体で記号式が採用されています。板橋区においても、丸つけ方式、記号式の採用について検討してはいかがでしょうか、見解を伺います。

5、すべての子どもたちに学びの保障を

 (1)1人一台タブレットについて
 次に、全ての子どもたちの学びを保障することについて質問します。
 まず初めに、一人一台タブレットについてです。昨年度、自殺した児童や生徒は全国で初めて400人を超え、小中学生の不登校は19万人以上と、いずれも過去最多となったと文部科学省が発表しました。昨年3月の一斉休校後、長期休校で生活リズムが壊れて適応障がいを起こしている子や学校生活に疲れる子、息苦しさを感じる子、ついていけない子が増えています。そうした中で、今年4月から一人一台タブレットが配付されました。一人一台タブレットは2020年2月、当時の安倍首相による全国一斉休校と休校期間の延長の中で、学びを止めないの号令の下、5か年で整備する計画を2020年度中に前倒しでの整備となったものです。板橋区においては、2020年度約10億円、2021年度約17億円が投じられ、今後も毎年約14億円を投じ続ける事業です。国と自治体によって、それだけの巨額な税金を一気に投じる目的は、学びを止めないためではなく経済成長を止めないためであることは誰の目にも明らかです。
 萩生田元文部科学大臣は、「新たな教育の技術革新は、多様な子どもたちを誰一人取り残すことのない公正に個別最適化された学びや創造性を育む学びに寄与するものであり、特別な支援が必要な子どもたちの可能性を大きく広げるもの」とのメッセージを発信しています。しかし、経済界が目指す個別最適化とは、AIドリルなどによって一人一台端末で、一人ひとりがそれぞれ画面に合わせて自分で学習を進める形に教育を変えていこうというもので、学校の形を変え、公教育を市場化する狙いを持ったものです。配られたタブレットを、本当に一人ひとりの子どもの成長・発達に役立てるというなら、教育の画一化やスタンダード化に活用するのでは意味がないと考えます。
 まず、特別支援教育の場で、一人ひとりの発達に寄与する活用をどうするのか、不登校の子どもたちの学びを保障するためにどう活用するのか、学校教育のための方針と計画を具体化し、検証すべきだと考えますが、見解を伺います。
 今、現場はどうなっているでしょうか。どういうパソコンやどういうソフトを導入するのかさえも現場の先生方と事前に検討することもなく、トップダウンで導入された一人一台タブレットは、現場に様々な戸惑いや困難を広げています。問題が解けるか解けないかよりも、うまく使えるか使えないかで差が出てくる、教師自身の得意不得意に左右されるなど、問題は山積みです。現場が混乱しないよう、また、教職員の長時間労働に拍車がかからないよう、そして、子どもたちの教育格差につながらないようにするために、板橋区と教育委員会の最大の努力が求められています。そこで、教育長に質問します。一人一台タブレットを学校現場で教育的に活用できるようにするために、学校内に、いつでも相談ができ、支援してもらえる人材が必要です。教育的な専門性を持った支援員を1校に最低1人、区として配置すること、また、国や東京都に対して予算措置を求めていただきたいが、いかがでしょうか。

(2)すべての子どもたちに高校入試の機会を均等に
 次に、全ての子どもたちに高校入試の機会を平等に保障することについて質問します。2021年度の都立高校の入試倍率は1.35倍でした。一方、全日制171校のうち47校が定員割れをしており、過去最多とのことです。高校進学は、入学競争倍率の高さを競う時代ではなくなっています。入試の不安や受験勉強の負担なく高校に進学することは、中学生の願いではないでしょうか。そもそも日本国憲法は、その制定過程で18歳までの普通教育が目指され、志望者全員入学が理想とされていました。その後、経済成長と国際競争力強化のための人材づくりに教育が傾いていく中で、国連の子どもの権利委員会から「教育制度の過度に競争的な性格が、子どもに否定的な影響を及ぼしている」と勧告される事態を生んでしまっているのです。全ての子どもたちの教育の機会を実現するために、日本国憲法の精神に立った教育改革、入試制度改革が求められています。
 そこで教育長に伺います。小中学校においては特別支援教育の整備が進められていますが、障がいがあっても、同じ年齢の子が同じ学校で学ぶことが当たり前になってきている中で、高校進学となると選択肢が狭められていることは大いに疑問です。入試制度が、特別な支援が必要な子どもたちのために配慮されたものになっていないからです。東京都に対して、発達障がいなど特別な支援が必要な子どもたちが希望する高校の受験の機会を得られるように入試制度を改善するよう意見を上げていただきたいが、いかがでしょうか。また、不登校だった子どもたちにとって、高校進学は大きな転機です。中学校での活動記録がないことを理由に、受験に必要な内申書を作ってもらえず、受験ができなかったというケースが生まれています。受験さえもさせないなど、受験の機会を奪うことは許されません。不登校であっても、子どもの成長、発達や学力の状況をつかむことは学校の責任ではありませんか。不登校だった子どもたちが、進路指導で進路を狭められてしまうのは問題です。本人の意思を尊重して、希望する高校を受験することができるように、受験の機会を閉ざすことのないようにしていただきたいが、いかがでしょうか。
 次に、日本語を母語としない子どもたちにとって、高校進学は大きな壁になっています。都立高校では、入試問題の漢字にルビを振ったり、時間延長をしたり、面接、作文で受験できる枠が設定されている学校は8校とのことです。日本語指導が必要な児童・生徒は、この10年間で1.5倍に増えています。日本語を母語としない子どもたちのための特別な措置の枠をさらに拡大するよう東京都に要請していただきたいが、いかがでしょうか。
 高校入試の項の最後に、都立高校入試への英語のスピーキングテストの導入について質問します。文部科学省は7月30日、2025年以降の大学入学共通テストでの英語民間試験と記述式問題の導入を断念することを正式発表しました。地域格差や経済格差が生じるという指摘が相次ぐ中、高校生や学校現場から強い批判の声が上がる中で、見送り、断念に追い込まれたものです。しかし、東京都においては、高校入試へのスピーキングテストの民間試験の導入の方針は変わっていません。新型コロナによる休校の影響で1年延期されたものの、現在の中学2年生が2022年11月に行うテストから入試の点数に加えるとして準備が進められています。今年9月から11月にかけて、公立中学3年生約8万人がプレテストを実施中です。問題の一つは、そもそも話す力は点数にして評価できるのかという点です。中学校の先生は、ALTと2人で評価しても、判定はそれぞれで違う。8万人を公平に採点などできないと言います。しかも、プレテストの採点はフィリピンで行われると都教育委員会が議会で答弁しており、評価の公平性を保てるのか大いに疑問です。公平性が保てない採点によって、1点、2点の差で子どもの進路が決まってしまう、高校入試に導入することはふさわしくないと考えます。
 もう一つの問題は、試験を民間に委ねるという点です。東京都におけるスピーキングテストの導入は、大学入試で問題になったベネッセの関連会社、学力評価研究機構が行うことになっています。受験生全員の顔写真と名前などがベネッセに登録され、個人情報の漏えいなどの問題が指摘されています。また、ベネッセが通信教材を有料オプションとして販売しており、保護者からは、一企業をもうけさせるテストを入試に使うのは不公平ですとの声が上がっています。都立高校入試における英語のスピーキングテスト導入は、大学入試が断念した数々の問題が解決されたものにはなっていないと考えますが、教育長の見解をお聞きします。また、公平性が保てない試験を都立高校入試に導入すべきではないと考えますが、見解をお聞きします。

(3)教育相談の体制強化を
 最後に、教育支援センターの相談体制の強化について質問します。コロナ禍による様々な環境の変化が、子どもたちの成長、発達に影を落としています。教育支援センターの相談体制が強化されなければならないと考えます。教育支援センターの言語専門相談の新規受付が、今年の3月8日から中止になっています。言葉の遅れや吃音、コミュニケーションが取りにくいなどの子どものための相談体制を早急に確立していただきたい。なぜ再開できないのか、教育支援員の報酬などの処遇改善が必要ではないのか、見解をお聞きします。
 以上をもちまして、私の一般質問を終わります。ご清聴大変ありがとうございました。(拍手する人あり)

◎区長 それでは、小林おとみ議員の一般質問にお答えいたします。
 最初は、今年度の不用額についてのご質問であります。令和4年度予算編成に際しまして、緊急財政対策の一環として、令和3年度予算の8月末日までの執行状況の調査を実施したところでございます。調査結果としましては、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う事業の中止、縮小、契約差金などを含めて26億円余の財源を確保したところであります。9月以降の不用額につきましては、3月補正予算編成におきまして整理を行っていきたいと考えています。
 次は、生活支援の緊急対策についてのご質問であります。令和3年度におきましても、国の生活困窮者自立支援金などに加えまして、地域経済活性化・生活応援事業などの区独自の生活支援を実施してまいりました。現在、国の新たな経済対策の一環として、子育て世帯、生活困窮世帯などへの生活支援策が示されておりまして、今後、区におきまして予算化の対応が必要であると考えています。今後とも、感染症拡大に伴う区民生活の実態や国の生活支援策の実施状況などを見極めながら、生活支援としての必要な事業を検討していきたいと考えています。
 次は、不合理な税制改正についてのご質問であります。法人住民税の一部国税化等の不合理な税制改正につきましては、区財政に多大な影響を及ぼしておりまして、特別区長会と歩調を合わせて、今後とも国に対して是正を強く求めていく考えであります。なお、ご提案の国地方係争処理委員会は、国の関与による処分行為の不服申立てなどに対する審査機関でありまして、不合理な税制改正については対象外となります。また、国の不合理な税制改正による影響がありましても、常に事業の必要性を見極めながら、真に必要な区民サービスは継続をしていく方針であります。
 次は、コロナ禍での女性の雇用状況の悪化についてのご質問であります。新型コロナウイルス感染症の拡大は雇用状況の悪化を招き、令和2年3月に2.2%ありました全国の女性の完全失業率は、令和2年8月には2.9%までに上昇しております。一方、令和3年9月における女性の完全失業率につきましては、2.6%に回復しているものの、雇用環境は依然として厳しい状況にあるものと認識しています。
 次は、引き続き保育園の整備を行うことについてのご質問であります。区ではこれまで、待機児童が多く発生している地域を中心に、民間事業者を誘致して保育所を整備しておりまして、令和4年4月には3施設で217人の定員を確保する予定であります。一方におきまして、乳幼児人口の減少等により保育園の欠員は年々増加をしておりまして、新規整備による定員の確保だけではなく、様々な手法を検討する必要があると考えます。今後は、新規開設園の必要性、施設の配置、定員の在り方等を再検討し、保育需要と供給のバランスをとりながら、地域の実情に合った定員確保を行っていきたいと考えています。
 続いて、運営費補填についてのご質問であります。認可保育所の運営費は、実際の入所児童数に基づきまして算定をした額を支給することになっております。したがいまして、区としましては、要望のような補填を行う考えは持っていないところであります。
 続いて、委託費の弾力的運用についてのご質問であります。支弁する運営費のうち委託費の弾力的運用は、適切な保育が実施されていることを前提としまして、保育所等の運営法人の経営の安定化を図る観点から、国が認めている制度であると認識をしております。したがいまして、国に対して意見を上げることや区として人件費の基準を設けることは考えていないところであります。
 続いて、保育士賃金の改善についてのご質問であります。政府が、介護職や保育士の賃金の引上げについて、11月19日に公表した経済対策に盛り込み、本年度補正予算で対応する旨の閣議決定をしたことは承知をしております。現在のところ、国や東京都からは情報が寄せられていないため、区としましては、今後の通知等を待って適切に対応していきたいと考えています。
 次は、介護保険事業計画の進捗についてのご質問であります。区としましても、小規模多機能型居宅介護サービスをはじめとする地域密着型介護サービスの整備につきましては、地域間のバランスを考慮し、推進すべきものと認識をしております。第8期介護保険事業計画期間中にありましては、旧板橋キャンパス用地に小規模多機能型居宅介護サービスの整備が決定をしておりまして、令和5年4月開設が予定されております。この計画に基づきまして、今後も区営住宅等の区有施設に限らず、地域間のバランスを考慮した最適な施設の整備を推進していきたいと考えています。
 続いて、訪問介護での人手不足についてのご質問であります。令和2年の社会保障審議会資料によりますと、訪問介護に従事するホームヘルパーの全国平均年齢は約49歳でありまして、施設介護職員の約43歳と比べますと、高齢化が進んでいる状態にあります。区は、若年層における介護人材確保も考慮した取組の1つとしまして、昨年度から介護職員初任者研修の受講料助成を行っております。ヘルパーの給与保障等につきましては、実態に即した評価やキャリア形成に応じた報酬の担保など、人材確保のための継続的な施策の実施を国や東京都へ要望していく考えであります。
 次は、自由に利用できる場所についてのご質問であります。区民集会所は、地域住民の交流や自主的活動の場を提供するため設置をしているものでありまして、利用には事前予約が必要であり、職員の常駐もなく、安全管理上の観点からも、不特定多数の方の自由な利用は想定をしていないところでございます。介護予防優先施設につきましては、来年度から開始する介護予防団体支援事業におきまして、区事業や団体利用などの予約後に空きがあった場合には、個人利用の時間を設けることも可能であると考えております。しかし、不特定多数の方が自由に出入りする場合、管理体制などの課題もあるため、事業開始後の施設の利用状況等も踏まえて検討していきたいと考えています。
 次は、後期高齢者医療保険料についてのご質問であります。令和4年度は保険料の改定年度に当たっておりまして、現在、東京都後期高齢者医療広域連合におきまして保険料の算定作業を進めております。来年度から団塊の世代の方が後期高齢者となり、被保険者が増加することなどから、保険料の引上げが見込まれているところでございます。
 続いて、国民健康保険料についてのご質問です。令和4年度の国民健康保険料につきましては、11月1日に厚生労働省から示された仮係数を基に、東京都との協議に着手した段階にございますので、現時点での見通しは不明であるというふうに感じています。一方、未就学児の保険料の均等割額の軽減につきましては、法に基づいて実施をされるもののため、区として独自に対象者を拡大する考えは持っていないところでございます。
 残りました教育委員会に関する答弁は教育長から、選挙管理委員会に関する答弁は選挙管理委員会事務局長の方から行います。

◎教育長 それでは、小林おとみ議員の教育委員会に関する一般質問にお答えします。
 初めに、一人一台タブレットの活用についてのご質問ですが、本区ではこれまでに整備した電子黒板等のICT機器を一人一台端末と連携し、さらなる活用につなげるべく、板橋区立学校ICT推進指針を策定し、取組を進めているところであります。指針では、特別な支援が必要な子どもや不登校の子どもたちを含め、全ての児童・生徒に個別最適化された学びが実現できるよう、活用の方法等も明記しております。今後、学校やGIGAスマートスクール推進委員会の意見等も踏まえ、タブレットがより効果的に活用されるよう、随時指針を更新してまいりたいと思います。
 次に、学校ICT化を支援する人材についてのご質問ですが、GIGAスクール構想の推進に当たりまして、従前は1校当たり月2日相当であったICT支援員の派遣回数を月4日、大規模校は月8日に増加させ、学校への支援を充実させているところです。学校がICT機器を十分に活用するために、現在の支援を一定期間継続し、活用の好事例を学校全体へ展開するなどし、教員が自らの力で活用できるよう、スキルの向上を図ることが重要であると考えております。また、経費面につきましては、支援人材以外にも、学校ICT環境の運用や更新には多額の経費を要することから、国や東京都がその財源を負担するよう継続的に要望してまいるつもりです。
 次に、全ての子どもたちに高校入試の機会を平等にに関しまして、入試制度の改善についてのご質問ですが、東京都教育委員会によりますと、令和3年度からどの都立高校に進学しても、発達障がい等のある生徒が指導を受けられる環境を整備していくとされております。教育委員会としましては、東京都に入試改善に対する意見を上げる予定はございませんが、今後も東京都の取組を注視しながら、全ての子どもたちが希望する高校にチャレンジできるよう各学校に指導してまいります。
 次に、不登校生徒の受験機会についてのご質問ですが、教育委員会では、不登校の生徒でも、学習状況の把握や課題に対する評価等を通して、一人ひとりの生徒の自己実現が図れる進路指導を徹底しているところです。また、把握した学習状況から評価等を行い、本人の意思や保護者の意向を尊重しながら、受験の機会を閉ざさないようにしております。都立高校には様々なタイプの学校があり、各高校の特色を全ての生徒に伝えていく必要についても、中学校校長会や進路指導担当者の連絡会などを通して周知しておるところでございます。
 次に、日本語を母語としない子どもたちの特別措置についてのご質問ですが、日本語指導を必要とする生徒は、学力検査が必要な都立高校を受験する際、検査問題へのルビ振り、辞書の持込み、検査時間の延長などの措置申請ができることになっております。また、日本語を母語としない子どもの募集をしている都立高校は、令和3年現在8校あり、平成27年以前と比べ5校増加しております。教育委員会としましては、特別な措置の枠を拡大する要請は予定しておりませんが、東京都が作成した日本語を母語としない生徒のための多言語高校進学ガイダンスなどを各学校に周知徹底してまいりたいと思います。
 次に、都立高校入試におけるスピーキングテストの導入についてのご質問ですが、中学校の学習指導要領外国語編では、聞くこと、読むこと、話すこと、書くことの4技能をバランスよく育成することが求められております。スピーキングテストにつきましては、学習指導要領に基づき、東京都が出題内容及び評価基準を定めているため、入試に際しての課題に対応しながら、公平性の担保も図っていくものと認識しているところです。
 次に、スピーキングテストの公平性についてのご質問ですが、スピーキングテストにつきましては、東京都教育委員会が公募・選定した民間の試験実施団体との協定に基づき実施するため、実施主体は東京都であります。東京都は、今年度実施のプレテストに基づき、様々な視点から内容、方法等を検証し、令和4年度の確実かつ円滑な実施につなげるとしているため、今後も動向を注視してまいりたいと思います。
 最後に、教育相談の体制強化についてのご質問ですが、教育支援センターには、未就学児の言語発達に関する相談や機能訓練を担当する教育相談員を2名配置できる体制ですが、相談員に欠員が出ており、公募しても応募がない状況が続いているのが現状です。現在、1名の相談員により継続の相談や訓練の対応を行っているところですが、ご指摘のとおり、本年3月以降は新規の相談受付を停止している状態であります。相談員の処遇改善を継続的に検討していくとともに、相談員の資格要件の見直しや活用できる人材情報の把握など、様々な工夫により人材の確保に努めてまいりたいと思います。
 いただきました教育に関する質問の答弁は以上でございます。

◎選挙管理委員会事務局長 それでは、小林おとみ議員の選挙管理委員会に関する一般質問にお答えいたします。
 初めに、投票所への送迎に関するご質問でございます。期日前投票所や当日投票所への移動支援の方法として、巡回バスや送迎バスの運行、無料タクシー券の発行などが考えられます。地方では、これらの支援を実施している自治体があると承知しておりますが、有権者の多い都市部の自治体では多額の財政負担が必要であり、実施していないのが現状でございます。選挙管理委員会といたしましては、本人だけでは移動が困難な方につきましては、介護保険制度や障がい福祉の移動支援事業を丁寧に周知することで投票機会の確保を図ってまいります。
 次に、投票所での職員による代筆に関する質問でございます。公職選挙法では、認知症や心身の障がいなどの理由によりまして、投票用紙にご自分で記載することができない場合に、投票所の係員が代筆する代理投票制度がございます。代理投票の制度に関しましては、各投票所でのご案内や区ホームページに掲載するなど周知を図っておりますが、次回の選挙に向けて、他自治体の周知方法などを参考にし、より分かりやすい周知方法を検討いたします。
 最後に、記号式投票の実施に関するご質問でございます。記号式投票は、通常の記名式投票と比較しまして、丸印で投票するため、有権者の利便性が向上し、また、無効投票が減少するなどの効果があるものと考えております。しかしながら、制度上、期日前投票及び不在者投票につきましては記名式投票となるため、1つの選挙において2種類の投票方法があるなど、有権者が混乱する恐れがあります。また、開票作業も複雑になるため、記号式投票の効果につきましては認識しておりますが、現時点では導入していないところでございます。
 いただきました選挙管理委員会へのご質問に対する答弁は以上でございます。

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