ただいまより、日本共産党板橋区議会議員団を代表し、請願第2号 志村小学校と志村第四中学校との施設一体型小中一貫校計画に関する請願に賛成し、委員会決定不採択に反対の立場から討論を行います。
本請願は、志村小と志四中の施設一体型小中一貫校化計画と志村四中校地での校舎設計案を凍結し、計画の見直しを求めるものです。
本請願に賛成する第一の理由は、計画そのものに無理があるからです。
現在の志四中の校庭面積は7419平米ですが、区教育委員会は一貫校にした場合に4~5000平米となると答えています。区教育委員会はこれに志村小跡地の一部を第二グラウンドとして整備し3000平米を加えるので問題ないとしていますが、質疑の中で現在の志四中は180mトラックなのに計画は150mトラックとなることがわかり、運動会時の応援席のスペース確保は「なるべく配慮」としか説明していません。トラックは小さくなり、応援スペースすらないグラウンドになります。小学校と中学校が一緒に活動する校庭が今よりも狭くなること自体が、計画に無理があることを証明するものです。第二グラウンドを整備して面積を確保するといいますが、体育や部活動等のために別の場所に移動しなければならず、あいキッズも含め活動に制限がかかることになります。敷地内もしくは隣接敷地での確保ができないための苦肉の策でしかありません。
反対する委員から「7階建てで提案されたものが住民の強い抗議で5階になった、5階になったらなったで校庭の面積が狭くなった、自己矛盾だ」との意見がありました。そもそもの志村小学校をけして広くはない志四中の校地に統合する計画自体に無理があり、志村小、志四中をそれぞれの場所で建て替えればなんの問題もありません。自己矛盾のジレンマに陥っているのは区教育委員会の側です。
第二の理由は、施設一体型ありきの計画だからです。
区教育委員会は志村小の建て替え協議の際、現地で建て替える場合には崖擁壁の改修が必要であるために工事期間が6年かかること、工事車両の動線が児童の通学路と重複するために危険があること等として、現地での建て替えを選択肢から外し、志四中との一貫校しか解決方法がないとしています。特に志四中にとって、志四中だけを建て替える案との比較検討がされていないのは問題です。他の選択肢を早々に候補から外し、特定の方法しか解決方法がないと決めつけたことは、施設一体型ありきと言わざるを得ません。
しかも、建物などのハード面についての議論が先行していますが、施設一体型小中一貫校でどのような教育が行われるかは検討中だとして、内容は明らかにされていません。施設一体型とは言え、小学校中学校はそれぞれの教育課程に則って運営されます。小中で教員間の連携や交流が行いやすいと言いますが、その事をもって施設一体型でなければならない理由にはなりません。
第三の理由は、インクルーシブ教育と逆行し、学校の大規模化を進めるからです。
インクルーシブ教育は、障害のあるなしにかかわらず、共に学ぶことができるよう配慮することが重要とされています。しかし今の計画の配置では、特別支援学級は通常級と隔離され一か所にまとめられており、日常的に交流すること自体出来なくなっています。共に学ぶことを保障する姿勢が欠けていると言わざるを得ません。
また、特別支援学級の数を学校の適正規模の対象としていないことも問題です。近年、特別支援学級の児童・生徒数は急激に増え続けています。志村小と志四中が統合した場合多くの特別支援学級が必要となり、その学級数を確保することで学校が大規模にならざるを得ません。大規模校の問題点が指摘されているときに、区がわざわざ大規模校を整備するべきではありません。
第四の理由は、地域住民の声が計画に反映されていないからです。
区教育委員会は昨年6月に6回もの基本計画・基本構想の説明会を行い、地域住民の声を聞いたとしていますが、「計画にご理解いただくよう説明」した内容であり、説明会やパブリックコメントで寄せられた不安の声に応えようとしていません。
また、区教育委員会は、令和元年11月から令和2年11月まで8回開催された、志村小・志四中 魅力ある学校づくり協議会での議論をもって地域住民の声が反映されたとしていますが、協議会は一部の住民しか参加しておらず、協議会そのものが、多くの住民がその開催を知らない状態で進められており、協議会の結論だけを持って地域住民の声だとすることは、区が負うべき責任を協議会に押し付けるものです。さらに、区教育委員会は令和2年10月に行った未就学児と児童の保護者アンケートで肯定的な意見が多かったと言いますが、その後の説明会では当該の保護者の方々から、内容が知らされないまま行われたアンケートの結果を理由に保護者が賛成しているように言う区に対して、抗議の声が上がっています。
反対する委員から、「計画は天地がひっくり返らない限りひっくり返らない。最大会派がのらないのに願意は達成しない」など、区がやると決めた計画に区民が陳情・請願を出すこと自体を否定するような意見が出されました。陳情・請願は計画に疑問があるから出されるのであって、区の計画に疑問を挟むこと自体を問題視する発言は、区民の請願権を軽視していると言わざるを得ません。また、区の姿勢を容認し、妥協案・次善の策を求めるのが議会の立場だとする意見は、到底認められません。区民の声をしっかり区政に届けることが議会の役割と考えます。
最後に、委員会質疑の中で請願者に直接趣旨説明を求める提案がされたことに対し「不同意」とした委員は、「請願議員の所属会派が本委員会に出席している」ことを理由としましたが、請願議員ではなく紹介議員の誤りであること、紹介議員は請願者の請願権を保障する役割を果たしているのであり、請願趣旨の説明を請願者に求めることは審議を正確なものにしていくために重要であったことを指摘しておきます。
以上の理由から、請願第2号 志村小学校と志村第四中学校との施設一体型小中一貫校計画に関する請願に改めて賛成し、討論といたします。