「消費税『インボイス制度』について、導入延期を求める国への意見書提出、導入に伴う板橋区としての経営支援策および板橋区発注工事単価見直しを求める陳情 第1項意見書提出の件、第2項区発注工事単価見直しの件」に賛成する討論

 ただいまから、日本共産党板橋区議会議員団を代表して、陳情第247号 消費税『インボイス制度』について、導入延期を求める国への意見書提出、導入に伴う板橋区としての経営支援策および板橋区発注工事単価見直しを求める陳情 第1項意見書提出の件、第2項区発注工事単価見直しの件について、賛成の立場から討論を行います。

 陳情に賛成する第1の理由は、インボイス制度は実施すべきでないと考えるからです。

 そもそも消費税は預かり金ではなく、対価の一部に過ぎません。これは1990年に東京地裁が下した判断です。従って益税など発生する余地はありません。消費税は消費税法に従い計算され、事業者の経営が黒字であろうと赤字であろうと納税義務が発生する過酷な税制です。それ故、消費税は税金の中で最も滞納の多い税金であり、国税庁発表の令和3年度租税滞納状況によれば、消費税の新規滞納額は3,997億円に達しています。そうであるからこそ、消費税法には中小零細事業者に対して負担軽減策として免税点制度と簡易課税制度が定められています。10月に実施予定のインボイスは、負担軽減策である免税点制度を無視して、免税事業者に課税事業者になることを強いるものです。インボイスとは、税率を変えずに税収を増やす消費税増税策そのものです。

 ではインボイスの登録をしなければいいかというとそうではありません。インボイスに登録しなければ取引先が仕入税額控除できず消費税額が多くなるため、免税事業者は取引から排除されることになります。登録してもしなくても、インボイスが実施されれば、少なくない免税事業者が廃業に追い込まれることになります。インボイス実施の影響は中小企業だけにとどまりません。フリーランスも対象です。だからこそ中小企業の団体だけでなく、俳優・声優やライターなどのフリーランスの団体がインボイスの実施中止を求めて声をあげ続けています。

 また、区は陳情の説明で、インボイスがなければ、適正な仕入れ税額の計算は困難と説明しましたが大きな間違いです。現行の消費税は複数税率ですが、インボイス方式ではなく、帳簿保存方式を採用しています。事業者は8%と10%の伝票を適正に仕分けし正確な税額を計算しています。現行でも十分適正に機能しています。インボイスを実施しなければならない理由はどこにもありません。インボイスは実施すべきではありません。

 陳情に賛成する第2の理由は、インボイスの登録が進んでおらず、10月実施が強行されれば大きな混乱が生じるからです。政府はインボイスの登録期限を今年3月末と定めていましたが、登録が進まず期限を9月末まで延長しました。区はインボイスの登録について、法人では75%、個人事業主では34%で登録が順調に進んでいるかのような説明しています。しかし法人の多くがもともと課税事業者であるにもかかわらず四分の一の法人が登録していないことこそ指摘すべきです。さらに個人事業主の34%が登録したと言う説明は明白な誤りです。インボイス登録を迫られているのは中小事業者に止まりません。雑誌のライター、俳優・声優などのフリーランス、シルバー人材センターに登録している高齢者や食品宅配業者など多くの個人事業主が含まれます。その数は1,000万人をくだらないとされています。実際の個人事業主の登録率は区が説明する34%よりはるかに少ないものです。このような状況でインボイスを実施すれば大混乱が生じることは明らかです。陳情が求めているとおり、実施を延期すべきです。

 陳情に賛成する第3の理由は、インボイスが仮に実施された場合、新たな税負担を軽減し経営を継続するためには支援策が必要になるからです。インボイスに登録し、課税事業者になった建設事業者にとっては、区の公共工事を受注した場合、新たな税負担が生じることになります。区の発注については単価を引き上げるなど、新たな消費税負担を軽減する支援策が必要です。実際、区はシルバー人材センターの新たな税負担を軽減するための支援を行う予定です。シルバー人材センターではできて公共工事ではできないというのでは、整合性が図られません。

 よって、陳情第247号は1項目2項目とも採択すべきであると考えます。以上で討論を終わります。

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