討論日:2023年6月23日
ただいまより、日本共産党板橋区議会議員団を代表して、陳情第3号「小中学校の給食費の無償化と教員の給食費を必要経費として計上することを求める陳情」について、委員会決定不採択に反対して討論を行います。
本陳情は、区立小中学校の給食費を無償にすること、また国や関係機関に学校給食費を無償化するよう働きかける事及び、教員の給食費を教育活動の必要経費として計上することを求めるものです。
コロナ禍で広がった生活困難にさらに追い打ちをかけるように物価高騰が続く中、子育て世帯への生活支援策として、小中学校の学校給食費を無償にする自治体が全国に広がっています。
板橋区においても、第3号補正予算に、「学校給食費無償化経費」として9億400万円が計上され、本年度の2学期、3学期の保護者負担が全額公費で補填されることになり、大きな喜びが広がっています。23区では、6月8日時点で、板橋区のように年度途中から始める区を含めて16区となりました。
日本共産党板橋区議団は、この間一貫して学校給食費の無償化を求め続けてきました。それは「義務教育は無償」と定めた憲法第26条を実現させるためであり、教育は個人や家庭の責任ではなく、社会全体で責任を果たしていくべきものだと考えるからです。2010年に板橋区議会で学校給食費の助成条例を提案しました。それは2005年に食育基本法が制定され、これを受けて、2008年には学校給食法に、「食育の推進」を明記する改正が行われたことが大きな背景でした。また、長時間労働、サービス残業、過労死などを生む働き方が社会問題化し、子どもたちは塾通い、習い事で多忙になる、貧困格差が広がるなど、子どもたちの食生活が大きく変容し、学校給食が唯一みんなで食べる大事な食事体験の場になるというような社会的背景もありました。私たちは学校給食費の全額助成について条例提案を含め繰り返し要望してきましたが、区は、文科省は「食材料費は保護者負担」としている、「低所得者への対策はできている」などとして、実現してきませんでした。
しかし、「保護者負担」としている「食材料費」は、すでに1954年(昭和29年)の事務次官通知で「学校法人その他のものが、児童の給食費の一部を補助するような場合を禁止する意図はない」とされており、さらに、この「一部補助」が「全額補助」することを否定するものではないという文部科学大臣の答弁が、2018年12月の参議院文部科学委員会において、日本共産党の吉良よし子参議院議員の質問に対して、行われています。
保護者から大歓迎されている学校給食費の無償化を、板橋区として実施することは法的にもなんら問題がないものであり、恒久的な制度として実施されるべきです。来年度国の臨時交付金の予算化がされていないことをもって、負担軽減や無償化をとりやめる動きがあるとも聞いていますが、板橋区において同じようなことになってはなりません。板橋区として、国に財源確保を求めつつも、独自に恒久的な制度にしていくことが必要です。
格差と貧困が広がる中、また子育ての社会化が叫ばれる中、今こそ学校給食の無償化は早急に実現されるべきものと考えます。
本陳情の第1項は、「区立小中学校の給食費を無償にしてください」というもので、第2項は「国や関係各機関へ学校給食費を無償化するよう働きかけをしてください」というものです。
今回板橋区が打ち出した2学期、3学期の給食費の無償化は、「食材料費は保護者負担」を前提として、国の「地方創生臨時交付金」を一部財源として、保護者負担分を保護者に補助するというもので、来年度以降の実施の見通しは示されていません。
委員会審議において、不採択を表明した委員は、学校給食の無償化を歓迎しつつ、「安心のシステム」や「永続的な形」の実現を求め、さらに「国に財源措置を求めていくべき」と述べています。学校給食の無償化と、国などへの働きかけを求める区民の陳情を不採択にして、どうして、「安心のシステム」や「永続的な形」の実現ができるでしょうか。明確な理由ものべずに不採択とする態度は、切実な区民の願いをないがしろにするものです。
陳情の第3項は、「教員の給食費を教育活動の必要経費として計上すること」を求めるものです。
小中学校の給食指導は、学習指導要領や指導の手引きなどによって、教育活動として行われています。指導内容は、給食の準備、会食、片付けなどの一連の活動を通して、みんなで楽しく食事をするための環境づくりや、食育指導、事故防止、安全管理、個別的な指導など多岐にわたっています。子どもたちとの給食の時間は、教員の労働時間です。教員が昼食を自由にとる選択肢はありません。「学校教育の一環」として行われている学校給食に係る経費は、子どもだけでなく、教員もともに、教育に必要な教材費として、公費で負担すべきものと考えます。不採択とする委員からは「教員の働き方全体を見直す」中で検討すべきなどの意見が出されましたが、働き方改革で見直されるべきは、教員の長時間労働であり、休憩時間とされている15時45分から16時半までの45分間さえも、打ち合わせ、準備等々で、休憩が取れていないという実態を改善することではないでしょうか。学校生活における給食の時間は教育活動の時間であることに間違いはなく、ここに係る経費は教育に係る経費として公費で負担されるべきだと考えます。
最後に、この第3項について、委員会では、最初の態度表明で、継続審査を主張する委員と表決を求める委員が同数となりました。しかし、委員長採決で継続審査が否決となりました。継続審査を求める委員が半数いる場合は、委員長は継続審査とし、審議時間を十分にとる委員会運営が行われるべきだということを強く求めておきます。
以上をもちまして、陳情第3号「小中学校の給食費の無償化と教員の給食費を必要経費として計上することを求める陳情」に賛意を表し、学校給食費を無償とする制度の恒久化を強く求めて私の討論を終わります。