2023年第2回定例会 小柳しげる区議 一般質問

質問日:2023年6月8日

ただいまより、日本共産党板橋区議会議員団の一般質問を行います。
初めに、若者への支援について質問します。

  1. 若者への支援について

 給付型奨学金の創設について


 まず、給付型奨学金について伺います。

 学生の3人に1人が平均300万円の奨学金を背負い、3割の人が低収入による延滞を経験していると言われています。「子どもを産むという発想がなくなりました」という、400万円の奨学金を40歳を過ぎても返済しなければならない20代の女性の言葉は、家庭を持つことを諦めなければならない多くの若者の現状を浮き彫りにしています。

 区はホームページで、日本学生支援機構などの奨学金を紹介していますが、どれも返済しなければならないものです。病気や失業などで返済が滞ったとしても、昔サラ金、今奨学金と言われるほどの厳しい取立てがあり、本人が亡くなっても親族などの保証人に厳しい取立てが及びます。教育を受けるということが、若者の人生にとってこれだけ大きな壁になり、人生を諦めることに直結する現状をこのままにはできません。区は、こういった奨学金が返済できない状況に陥っている人がいることをどう考えますか。奨学金が返済できず、困窮する若者のために何らかの支援を区が行うことが必要だと考えますが、見解を伺います。

 ヨーロッパでは、教育を受けることは人間の権利とされ、その機会を均等にするためには、学費はできるだけ無償にすべきという考え方が社会に根づいています。また、教育によって利益を得るのは社会全体なのだから、学費を社会が負担することが当然のこととされています。

 しかし、日本では学費は本人あるいは保護者が負担するのが当然となっています。しかも、この40年近く学費は上昇し続けています。1975年に3万6,000円だった国立大学の授業料は、2005年以降は53万5,800円と15倍以上にもなっています。私立大学の場合、1975年に平均で18万2,677円だったものが2021年には93万943円と、およそ5倍になっています。

 保護者の給与も上がらず、学生がバイトで得られる収入も低い状況で払いきれるものでしょうか。学費を値下げして無償に進むことは世界水準の教育政策であるにもかかわらず、日本では学費の値上げが繰り返され、政治はこれを放置してきました。憲法には、「その能力に応じてひとしく教育を受ける権利を有する」とあります。未来を担う能力を持った若者が経済的に行き詰まることなく、ひとしく教育を受けることができるように、高すぎる学費の問題を解決しなければなりません。区として、学費の引下げを国に求めるべきと考えますが、いかがでしょうか。

 区は、無利子で奨学金と入学準備金を貸し付けていますが、いずれは返済しなければなりません。区長は、未来を担う人づくりを区長選挙の公約として掲げ、5月25日の臨時会の冒頭で、「『東京で一番住みたくなるまち』を実現するために、新たなステージへ全力で取り組む決意」と述べられました。それならば、区として、お金の心配をしないで進学したい若者が進学できるような環境を整えるべきです。未来を担う若者が安心して学べる環境を整えるために、区独自の給付型奨学金の創設が必要だと思いますが、見解を求めます。

⑵ 家賃助成について
 次に、家賃助成について伺います。住まいは人権であり、健康で文化的な生活の基盤の1つです。板橋区住まいの未来ビジョン2025には、若者居住応援制度として新たな生活を始める若者や学生、新社会人などの住まいの支援に取り組み、未来を切り開く若者を応援するため、区内不動産業者と連携して安価な賃貸住宅を若者向けに情報提供、また、区内の大学入学説明会時にパンフレット等で区内の安価な賃貸住宅の情報提供を行うとしています。

 しかし、情報提供は住宅確保要配慮者に対して区内不動産団体を紹介するもので、若者への居住応援とは言えません。しかも、計画されていた区内の大学入学説明会でのパンフレット配布は行われたこともありません。区が案内している居住支援協議会が情報提供で成約したのは、2022年度で新規は4件となっています。その中で一番安い物件は、35.61平米、2Kで6万2,000円ということです。住宅確保要配慮者の低所得者は月額15万8,000円の収入と言われる下で、とても安価な住宅の提供とは言えません。

 そこで区長に伺います。若い人が住める安価な賃貸住宅は区内に何軒あるのですか、お示しください。区が住宅マスタープランをつくるために行ったアンケートで、20代から家賃助成を求める回答が多くありました。若い世代に対して家賃助成を行うべきと考えますが、見解を伺います。

2、気候危機対策について


 次に、気候危機対策について伺います。
 温室効果ガスの排出を減少させるためには、省エネ化、再エネの推進が急務です。このまま温室効果ガスの排出を今までのペースで進めていけば、平均気温の上昇はもちろん、海面の上昇、食糧危機、激甚災害などが懸念され、全世界で削減に向けて取り組まなければならない深刻な問題です。

 2050年ゼロカーボンという目標を掲げる区としても、真剣に取り組む必要があります。とりわけ家庭部門の温室効果ガスの削減は急務であり、太陽光パネルの設置、高性能のゼロエミッション住宅の新築などの取組が行われていますが、家庭部門で効果を上げるためには、既存住宅への断熱化は大きな効果があるとされています。壁、窓などに大規模な工事をしなくても断熱化はできます。温室効果ガスだけでなく、冷暖房にかかる費用を削減することができます。生活に困窮している方が、冷暖房費を減らすためにエアコンやストーブを我慢することが少なくなります。熱中症などの健康被害も避けることができます。生活に困窮している方の支援のためにも、既存住宅の断熱化は必要です。経済的な基盤を考慮することなく、誰でもできる気候危機対策の実践です。経済的に余裕がある方ならば太陽光パネルの設置などができますが、余裕がない方でも気候危機対策の主体として行動することができなければ、実効的な気候危機対策はあり得ません。自分の持家ならば、壁や窓、ドアなどに工事をすることもできますが、賃貸住宅でも断熱カーテンの購入など行える対策はあります。賃貸住宅も含めた既存住宅の断熱化の補助を区として進めるべきと考えますが、いかがですか、見解を伺います。

 気候危機対策を本当に実効的なものとするためには、より多くの方が主体として実践していけることが必要です。住民の声を反映させた、住民が主人公、住民参加の気候危機対策を行うために、イギリスやフランスでは気候市民会議が設置されました。フランスでは、市民が策定した149の政策の提言が行われましたが、マクロン大統領はそのうち146の提言を検討することを約束しました。日本では、札幌市、川崎市、都内でも杉並区、武蔵野市などが既に気候市民会議を設置しています。無作為抽出の区民から選出した参加者が闊達に気候危機対策について議論をし、提言としてまとめ、国や自治体の政策として反映させるのが気候市民会議です。気候危機対策は広範な区民参加で進めるべきです。誰もが気候危機対策の当事者であるという自覚を持ってもらうことが必要です。広く区民の参加を募り、議論を行い、区の施策に反映させる気候市民会議を板橋区でも実施すべきと考えますが、いかがですか。

 気候危機対策では、どの取組がどれだけの温室効果ガスの排出を削減できるかと明らかにすることが重要です。区が行う省エネ、再エネの取組で、それぞれの取組ごとにどれくらいの量の温室効果ガスの排出を削減できるか明確に示すべきですが、いかがですか。

3、駅のバリアフリー化について

 ⑴ 東武東上線ホームドア設置と中板橋駅エレベーター設置について


 次は、駅のバリアフリー化について伺います。
 初めに、東武東上線のホームドア設置と中板橋駅北口のエレベーター設置についてです。私の地元、東武東上線中板橋駅をはじめ、区内の東上線各駅で痛ましい人身事故が頻発しています。このような事故を防ぐためにも、ホームドアの設置は有効です。東武鉄道は2025年までに、東武練馬、下赤塚、成増の各駅へのホームドアの設置を発表しましたが、中板橋やときわ台などその他の区内の各駅は2035年までに整備ということになっており、12年も先の計画です。東武鉄道に対して、中板橋やときわ台などの区内全駅へのホームドアの設置を急ぐように要請すべきと考えますが、見解を伺います。

 中板橋駅を利用する視覚障がいを持った方にお話を伺いました。中板橋駅北口の階段は非常に急で、手すりにつかまりながらでないと怖くて上り下りができない、逆の方向から高齢者が同じ手すりにつかまって近づいてきても、怖くて手すりから離れて道を譲ることができなかったということです。南口にはエレベーターがありますが、南口から北口に回るためには踏切を渡らなければなりません。視覚に障がいのある方にとっては、4本のレールにはまらないように踏切を渡ることが、どれだけ危険を伴うことでしょうか。ひっきりなしに電車が通る踏切です。焦って渡って溝にはまれば、とんでもない事故になりかねません。また、ベビーカー、車椅子を利用する方にとっても、中板橋駅北口の急な階段は上り下りの困難を伴います。北口にもエレベーターの設置が必要です。中板橋駅北口のエレベーターの設置を東武鉄道と改めて協議を進めるべきと考えますが、いかがですか。

 ⑵ 板橋本町駅のエレベーター設置について

 板橋本町駅エレベーター設置について伺います。地域から、都営三田線、板橋本町駅のA2・A4出口にもエレベーター設置を求める声があります。A2出口のそばに大和病院があり、また、A4出口から西に向かうと都営住宅があります。病院を利用する、あるいは都営住宅に住む高齢の方にとっては、国道17号線や環状7号線の長い横断歩道を渡るのは大きな負担です。地下埋設物を避けての工事、あるいは交通量の多い道路での工事は困難が伴うと思いますが、板橋本町駅A2・A4出口へのエレベーター設置を国、都と協議を進めていただきたいと考えますが、見解を伺います。

4、都営三田線への女性専用車両導入について


 引き続き、都営三田線に関して、女性専用車両導入についての質問です。
 都交通局が警察に通報した三田線での痴漢の件数は、2020年に6件、2021年に7件、2022年には9月末までだけで5件となっています。被害に遭っていながら通報できなかった被害者の存在も想定でき、実際の被害件数はこれを上回ると考えられます。コロナで減少した地下鉄の乗客が再び増加することに伴い、痴漢被害の報告も増加しています。日本共産党都議団が2021年に行ったアンケートでは、痴漢の被害後、うつやPTSD、不眠や自傷行為、過食、嘔吐など深刻な後遺症に苦しむ声が多く寄せられました。電車に乗ること自体に強い恐怖を覚え、会社に行けなくなった方や仕事を辞めた方がいます。男性への嫌悪、不信感を答える方も多く、人間関係にも大きな影響を及ぼしています。痴漢被害は人生をゆがめてしまうものです。痴漢被害を減らすためには、混雑の緩和と女性専用車両の導入が重要です。

 日本共産党都議団は交通局に、都営地下鉄全路線、全編成への女性専用車両導入を求め続け、この1月には新宿線に続き、大江戸線にも導入されました。複数の路線と相互乗り入れを行い、また、1編成当たりの車両の数が異なる編成が混在しているなど、三田線と条件が似通った東京メトロ副都心線でも女性専用車両は導入されています。三田線にも女性専用車両の導入と混雑時の8両編成の数を増やすように都に求めるべきですが、いかがですか。

5、栄町の地域住民の活動拠点を


 栄町の地域住民の活動拠点を求めて質問します。
 栄町では、山中児童遊園内集会所が廃止されたのに続き、入居する民間の建物の売却に伴い、栄町集会所も今年3月に休止となりました。栄町集会所から500メートル圏内には、仲宿地域センター、グリーンホールがありますが、地域の集会所をという要望が上がっています。

 栄町19番地の都有地について、区が広場用地と集会所建設用地として購入したいという意向を示し、東京都からの返事待ちになっていると聞いています。地元、栄町自治会、老人クラブ、地域住民からは、集会所だけでなく、石神井川沿いの詰所も移転先として、また、広場を防災広場にできないか、そして、花壇などの設置とその管理を老人クラブが行いたいなど、地域の活動拠点としての活用を望まれています。

 そこで区長に伺います。栄町19番地の都有地の活用について、地元町会や地域住民、老人クラブの意向を反映させた活用ができるよう、協議の上、計画を立てていただきたいのですが、いかがですか。

6、インボイス制度の中止を求めて


 次に、今年10月に予定されているインボイス制度の導入について伺います。
 年収1,000万円以下の事業者は課税業者になることを迫られ、免税業者でいることを選択すれば、取引先から取引を停止されるおそれがあります。どちらの選択をしても、事業者にとってはとんでもない痛手です。

 中板橋でお店を経営しているある方のお話を伺いましたが、現状でも年収1,000万円に満たず、「導入されたら借金をしなければ消費税を払いきれない」と涙ながらに語っておられました。これでは営業は続けられません。

 インボイス導入により、納税するための事務処理が膨大になり、経理の担当者がやらなければならない業務が増大し、これも経営を大きく圧迫します。力関係で弱い立場の事業者が負担をさらに強いられることが懸念されています。

 4月に公表された2023年度版中小企業白書・小規模企業白書は、新型コロナ・物価高騰で、中小・小規模業者が引き続き厳しい状況であるという認識を示しました。この状況からさらに苦しい状況に巻き込まれると業者の多くが危惧しているのが、新たな増税であるインボイス制度の導入です。国税庁などの設置する相談窓口やホームページでは、事業者の不安を解消できません。仕入れ税額控除の激変緩和措置は、6年間で終了します。インボイス制度の導入は、区内の中小業者、個人事業主に大きな打撃となることは明らかです。苦境に追い込まれている事業者を廃業に追い込むことになるのではないでしょうか。区長の見解を伺います。

 俳優、アニメーター、声優を対象としたアンケートでは、インボイス制度が導入されたら廃業を検討すると2割の方が答えたという結果が出ています。個人で文化芸術関連の仕事に就く方や一人親方、職人さんなど、たとえささやかであっても、自分の生業に誇りを持って働く人を廃業に追い込むのがインボイス制度です。こういった立場の弱い事業者を苦しめる、弱い者いじめ以外の何物でもありません。それだけではありません。インボイス制度の導入により、事業者によっては課税分を価格に上乗せせざるを得なくなります。ただでさえ、物価の高騰が続いています。さらなる高騰をもたらし、区民を苦しめる危険があります。区民生活を守るため、区内の中小業者を守るため、インボイス制度の中止を国に求めるべきと考えますが、いかがですか。

7、マイナ保険証の運用中止を求めて


 マイナ保険証の運用の中止を求めて質問します。
 マイナンバーカードは、住民票が誤って交付されるといった個人情報が流出する事故や公金受取口座でのひもづけで誤って登録してしまうという事故が頻発しています。これは単なる人為的ミスにとどまらず、マイナンバーカード自体による欠陥と言わざるを得ません。また、制度への不信からマイナンバーカードを返還する人も増えています。これだけ問題が山積みのマイナンバーカードを区として推進することを続けるんですか、見解を伺います。

 選挙期間中に何人もの方から、マイナンバーカードと保険証の一体化はやめさせてほしいという声を頂きました。申請や更新の手続ができるかどうか不安で、今までの保険証をそのまま続けてほしいというものです。マイナ保険証では、全く別人の保険証が登録されるという事故が起こりました。他人の保険証で医療行為、投薬が行われたら生死に関わることになりかねません。修学旅行や部活の遠征では、今までは保険証のコピーを持参すればいいことになっていました。しかし、保険証が廃止された以後はどうなるのでしょうか。政府は検討中と言っていますが、その都度、資格確認証の発行が必要ならば保護者も大変で、また、確認証を発行する部署の業務も増えます。保険証の廃止ありきで、こういったことは検討中、見切り発車もいいところです。区民生活は混乱に陥ることは必然です。

 全国保険医団体連合会が行ったアンケートでは、入居者の健康保険証を預かって管理しているという特養・老健施設のうち、暗証番号も含めてマイナンバーカードの管理ができているかと聞いたところ、「管理できない」という回答が94%ありました。これで入所者が医療を受けられるのでしょうか。マイナ保険証のオンライン資格確認でトラブルがあった医療機関では、持ち合わせた健康保険証で資格確認をしています。また、今までは月1回保険証を提示すれば医療を受けることができました。しかし、来年秋以降は必ず毎回、マイナ保険証を持参する必要があります。健康保険証を廃止すれば、このような対応ができなくなり、10割負担を強いられ、負担が重く、医療が受けられず、手遅れになりかねません。高齢者や障がい者にとって、マイナンバーカードは申請自体も更新も難しく、更新時期に申告を忘れ、無保険扱いになる方が大量に出る危険があります。マイナンバーカードと保険証を一体化することは、国民皆保険制度を覆し、医療が本当に必要な人が医療を受けられなくなることになりかねないと思いませんか、区長の見解を求めます。

 区民が適切な医療を受けることができる環境を損なわないよう、健康保険証を廃止して、マイナンバーカードと一体化することを撤回するよう国に求めるべきですが、いかがですか。

8、平和について


 最後に、平和についての質問をします。
 昨年末、岸田自公政権は、敵基地攻撃能力の保有を記した安保三文書を閣議決定しました。岸田政権はこれを反撃能力として、「我が国が攻撃されたときに反撃する問題だから、安全保障上、そして憲法に照らしても問題ない」と言っていますが、どうでしょうか。2015年に強行採決された安保法制は、集団的自衛権の行使を可能にしました。日本が攻撃されていなくても、日本と密接な関係にある他国が何らかの攻撃を受けたとき、日本がその国のために武力攻撃を行うことや後方支援を行うことが既に可能となっています。密接な関係にある他国の軍隊や軍事基地が敵対する別の他国から攻撃を受けたならば、日本は敵対する他国領土内の基地を攻撃することを強いられるのです。これを行うことは、日本と敵対する他国との間では、国際法で違反とされている先制攻撃となります。つまり、政府が言う「我が国が攻撃されたときに反撃する」のではなく、日本が攻撃されていなくても、他国の軍隊とともに先制攻撃をする能力を持ったということです。これは大問題です。安保法制の下で敵基地攻撃能力の保有は先制攻撃を可能にし、報復を受けるという重大な事態をもたらすものと考えますが、区長の見解を求めます。

 報復攻撃に備えて、政府は自衛隊基地の強靱化に着手しました。基地司令部の地下化や壁の強化などを行うものです。板橋区に隣接して、北区には陸上自衛隊十条駐屯地、練馬区には同じく練馬駐屯地が存在します。いずれも強靱化を行う予定のリストに入っています。報復のミサイルがこれらの基地をそれて、区内を直撃することもあり得ます。強靱化した基地は被害を避けることができるでしょうが、近隣の住民の命と暮らしはどうなるのでしょうか。国民保護法で都道府県知事は、当該施設の管理者の同意を得て住民を避難させ、または避難住民の救援を行うため、あらかじめ政令で定める基準を満たす施設を避難施設として指定しなければならないとしています。これを受け、都は区内の小中学校、地域センターなどの99の区有施設、11のその他の施設、7つの地下鉄の駅を緊急一時避難施設として指定しました。しかし、地下鉄の駅では住民を収容するためには狭過ぎます。また、ミサイルの直撃を受けた場合、地下化された自衛隊基地は被害を避けることはできますが、例えばこの区役所の庁舎はどうでしょうか。一般の国民は指定されている施設に避難したとしても、被害は避けられません。この緊急一時避難施設で区民の命を守ることができるとお考えですか、見解を伺います。

 敵基地攻撃能力を保有し、軍拡競争を進めたとしても、待っているのはどこにも勝者が存在しない悲しい結末しかあり得ません。本当に国民の命と暮らしを守るならば、軍事力によるのではなく、対話による外交と文化的・経済的交流を進めることが必要です。まずは、軍拡の道を断たなければなりません。区民の命と暮らしを守る責任のある区長として区民を守るために、平和への道を模索し続けることが必要です。そのためにまず、敵基地攻撃能力保有の撤回を国に求めるべきです。区長自らのお言葉でお答えください。
 以上をもちまして私の一般質問を終わります。ご清聴ありがとうございます。

【区長】

 それでは、小柳しげる議員の一般質問にお答えいたします。
 最初は、奨学金返済による困窮者の認識についてのご質問であります。奨学金を受け、大学を卒業した後、奨学金の返済が困難となっている方がいることは承知をしております。就職活動が思うようにできず、奨学金を借りた当初の計画どおり返済ができない状態があるものと考えています。
 次は、奨学金返済による困窮者への支援についてのご質問であります。区で貸し付けた修学資金の返済につきましては、就労を要件とした免除制度がありまして、また、収入状況に応じた返済の猶予や分割返済等の相談にも応じているところでございます。国や東京都の奨学金返済により生活が困窮している方につきましては、福祉事務所等への相談を通じまして、支援をしていきたいと考えています。


 続いて、国への大学授業料の引下げ要望についてのご質問であります。大学授業料は国が所管しておりまして、その在り方につきましては国において検討されていると考えています。したがいまして、区としましては、現時点で大学授業料の引下げを国に求める考えはないところであります。


 続いて、給付型奨学金制度の創設についてのご質問であります。国及び東京都では、若者の学ぶ機会を保障するため、高等学校等の授業料免除や給付型奨学金制度を実施しておりまして、家計負担の軽減を図っているところであります。また、国は令和2年度に高等教育の修学支援制度の見直しをし、大学授業料の免除や給付型奨学金制度を実施しているところでございます。したがいまして、区独自の給付型奨学金制度を創設する考えはないところであります。


 次は、低廉な住宅の件数についてのご質問であります。住宅・土地統計調査に基づく統計上の賃貸住宅の戸数及び家賃の価格帯は把握しているところでありますが、市場流通されている民間賃貸住宅の場所や家賃等の実態については把握をしていないところであります。区は、板橋区居住支援協議会で住まいの相談窓口を設置しておりまして、賃貸住宅などに関連した情報提供を行っているところであります。


 続いて、若者への家賃助成についてのご質問であります。家賃助成につきましては、行財政改革の公共性の観点から、原則として現金給付は行わないとする考え方を維持してきたところでございます。区としましては、家賃助成の実施は考えていないところであります。


 次は、気候危機対策に関連いたしまして、既存住宅断熱化の上乗せ補助についてのご質問であります。住宅の断熱化に対する補助につきましては、国や東京都の補助制度が補助率・補助上限額ともに充実していることから、区として上乗せして補助する予定はないところであります。区はホームページ等を通じまして、国や東京都の補助制度の周知を行っておりまして、今後も連携・協力をして、適切な役割分担の下に、脱炭素社会の実現に向けた取組を進めていきたいと考えています。


 次は、気候市民会議の実施についてのご質問であります。地球温暖化をテーマに、無作為抽出されました市民が参加して議論する気候市民会議が行われている自治体があることは承知をしております。区民の意識や行動を脱炭素にシフトするための方策は様々にあると思いますが、現在、区では環境アクションポイント事業に注力をしておりまして、今年度は予算を大幅に増やして実施する予定であります。区民の意識改革・行動変容を促し、誰もが参加できる事業等につきましては、ご提案のあった会議も含めて、他自治体の取組状況や成果について、引き続き注視していきたいと考えています。


 続いて、温室効果ガス排出削減量の明示についてのご質問であります。区の環境アクションポイント事業に参加した区民・事業者の取組で、令和3年度は109トン、令和4年度は132トンの二酸化炭素の排出を削減できました。また、区施設への再生可能エネルギー100%電力の導入によりまして、令和4年度は3施設において339トンの削減効果が加わり、令和5年度は16施設において2,660トンの削減効果の追加を見込んでいるものであります。ご提案いただきましたとおり、今後、区民・事業者や区役所が取り組むことによりまして削減できた二酸化炭素の排出量について、ホームページ等を活用して明示できるように工夫をしていきたいと考えています。


 次は、東武東上線ホームドア設置についてのご質問であります。東武鉄道は昨年10月、バリアフリー設備の整備計画としまして、2035年度までに区内東上線全駅のホームドア整備を実施すると公表いたしました。区としましては、2025年度に完成予定の3駅の設置の進捗に注視しつつ、そのほかの駅につきましても早期整備実現を目指して、協議を進めていきたいと考えています。


 次は、中板橋駅エレベーター設置についてのご質問であります。東武鉄道に確認したところ、中板橋駅の北口は必要な用地が確保できずに、現時点ではエレベーターの設置が困難であるとのことであります。区としましては、引き続き東武鉄道と情報交換を行い、状況を踏まえた設置の要望を検討していきたいと考えています。


 次は、板橋本町駅のエレベーター設置についてのご質問であります。東京都によりますと、エレベーター設置は周辺環境の影響による技術的な課題と施工に伴う交通規制の影響が大きいために困難であるとのことでありました。今後、技術革新などによりましてエレベーターの設置が可能となった場合には、東京都に対し、設置を要望していきたいと考えています。


 次は、都営三田線への女性専用車両導入についてのご質問であります。都営三田線の輸送量の増強として、昨年5月から8両編成の導入が開始されました。この導入効果を注視しながら、女性専用車両の導入と全列車の8両編成化について、機会を捉えて東京都交通局へ要望があることを伝えたいと思います。


 次は、栄町の地域住民の活動拠点をとのご質問であります。栄町都有地は、令和5年3月26日をもって休止となりました栄町集会所の代替施設を開設すべく、集会所及び広場の用地として取得手続を進めております。栄町都有地に開設する新たな集会所につきましては、地域住民の相互交流及び自主的な活動の場となるように検討を進めていくとともに、地域に対し丁寧な説明をしてまいりたいと考えています。


 次は、インボイス制度導入における区内中小企業、個人事業主に対する影響についてのご質問であります。インボイス制度が導入されることによりまして、売上先によって免税事業者がインボイス発行事業者になりますが、免除事業者のままでいるかの選択が必要となると。失礼しました。インボイス制度が導入されることによりまして、売上先によって免税事業者がインボイス発行事業者になるか、免税事業者のままでいるかの選択が必要となります。制度開始後6年間の経過措置とともに、インボイス発行事業者になった場合には、納税額が売上税額の2割に軽減される負担軽減措置や補助増減額が50万円加算されるなどの支援措置が設けられております。制度を導入することによりまして、中小企業や個人事業主の廃業に直ちにつながるものではないと考えています。


 次は、インボイス制度の中止についてのご質問であります。インボイス制度は、複数の税率下で適正な課税を確保するためには必要な制度であると認識しています。免税事業者などの経営に一定の影響が出ることになりますが、様々な負担軽減措置も取られていることから、国へ中止を求めることは考えていないところであります。なお、引き続き、国の動向を注視するとともに、国税庁などと連携をして、事業者への周知に努めていきたいと考えています。


 次は、マイナンバーカードの推進についてのご質問であります。マイナンバーカードは、オンライン上で安全かつ確実に本人であることを証明できるデジタル社会に必要なツールとして、多方面で利用シーンが拡大されております。各種行政手続やコンビニでの証明書発行に加えまして、令和3年10月からは保険証利用がスタートしておりまして、一人ひとりの利便性の向上が進められていると認識しています。他自治体における誤交付、間違った交付等の問題を踏まえて、引き続き必要な対策を講じるとともに、区民が安心して手続ができるように、安全性を丁寧に説明しながら、交付を推進していきたいと考えています。


 次は、手続困難者への対応についてのご質問です。国は令和6年秋以降、既存の保険証の発行を取りやめ、マイナンバーカードと一体化することといたしました。マイナンバーカードを持たない方などは、健康保険の加入情報が記載されました資格確認書を提示することによりまして保険診療が受けられるとしております。一体化に際しまして、手続が困難な方を医療から遠ざけることがないように、適切に制度を運用していきたいと考えています。


 次は、保険証との一体化中止についてのご質問であります。保険証とマイナンバーカードの一体化は、服薬や健診の情報を医師と共有でき、最適な医療を受けられるなど、多くのメリットがございます。一方で課題も指摘されていることから、一体化を進めるに当たりまして、引き続き国に対し、安心して医療を受けられる環境が損なわれることがないように対応を求めていきたいと考えています。


 次は、敵基地攻撃能力の保有による、報復についてのご質問であります。我が国は、憲法が掲げる恒久平和主義と国際協調主義に基づきまして、平和に向けた最大限の外交努力を行うことは重要なことでありますが、戦後最も厳しく複雑な安全保障環境であると言われていることも理解ができるところであります。また、政府の安全保障政策に関しましては、様々な議論があることも承知をしております。こうした我が国を取り巻く情報の変化を踏まえて、望ましい安全保障環境の創出に向けて、今後も国家の安全保障に関する動向を注視していきたいと考えています。


 次は、緊急一時避難施設についてのご質問です。国民保護法に基づき、武力攻撃災害への対処等の措置として、地下施設8か所を含む合計118か所を緊急一時避難施設として指定されております。ミサイル攻撃等の際には、国が作成している弾道ミサイル落下時の行動の国民向けのチラシに基づきまして、ミサイル落下時の行動を各自が行うことができるように周知をしているところであります。


 次は、適基地攻撃能力の保有の撤回についてのご質問です。敵基地攻撃能力の保有に関しまして、様々な意見があることは承知をしておりますが、その保有の撤回を国に求める考えはないところであります。今後も国家の安全保障に関する動向を注視しつつ、平和都市宣言を行った自治体の長として、世界平和の実現と安心・安全な区民の暮らしの保障を強く希求していきたいと考えています。
 答弁は以上でございます。

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