質問日:2023年6月8日
引き続き、日本共産党板橋区議会議員団の一般質問を行います。
1、区長の政治姿勢を問う
⑴ 核兵器廃絶のために
初めに、区長の政治姿勢についてです。
まず、核兵器廃絶を求めて質問いたします。5月19日から21日に開かれたG7広島サミットは、史上初めて被爆地で開催され、核廃絶に向けた具体的な協議に期待が寄せられました。しかし、サミット閉幕を受けて、被爆者や核廃絶を求める団体などから失望の声が上がりました。サミットでまとめられた声明は、核兵器の廃絶を究極の目標などと先送りし、「核兵器は防衛目的のために役割を果たす」と核抑止力論を公然と宣言しています。中国やロシア、北朝鮮への批判の一方で、G7の核保有にも核兵器禁止条約にも全く触れていません。
被爆者の一人で、核廃絶を訴えてきたサーロー節子さんは「死者に対する大きな罪だ」と述べ、「サミットは失敗だった」と痛烈に批判しています。被爆地で核兵器を正当化する姿勢は断じて許せません。
板橋区は核廃絶を目指し、世界に発信していく立場を平和都市宣言で明確に示しています。区長はこれまで、平和都市宣言の立場で取り組むことを表明してきました。今回のG7の核兵器に対する見解や声明に対する厳しい批判の声を区長はどのように受け止めたのでしょうか。併せて、核兵器廃絶に向けて、今後具体的に何を行っていくのか、お答えください。
⑵ 人権を守り、ジェンダー平等の区政に
続けて、人権を守り、ジェンダー平等の区政を求め質問します。日本はG7の中で唯一同性婚が認められず、性的少数者の差別を明記した法律もありません。国民世論の広がりを受け、2021年には、超党派議連によって、当事者の声も踏まえたLGBT理解増進法案が取りまとめられ、国会での審議に期待が寄せられました。ところが、この法案に自民党内から「LGBTは道徳的に許されない」などの異論が出され、「差別は許されない」との文言を「不当な差別はあってはならない」などと表現を後退させる修正をし、自民党と公明党で合意した新たな法案が提出されました。また、国民民主党と日本維新の会も自公案と同様に、性自認という文言を使わない法案を提出しています。こうした動きに対し、当事者からは行政や自治体の場から性自認という言葉が消えるのではないかとの不安と懸念の声が上がっています。
日本共産党は、立憲民主党、社民党と共に、議連での議論をほごにすることは許されないとし、元の法案を提出しています。性的少数者の権利と尊厳を守る法整備が急がれている中で、差別を容認しかねない議論そのものに問題があります。区長には、あらゆる差別は許されないという強い姿勢を示していただきたい。見解を伺います。
併せて、この間取り上げてきた生理用品を個室トイレに配置することについて伺います。今年度、教育委員会では、各学校で個室トイレに女性用生理用品が配置できるよう、令達予算の増額を行ったとしていますが、個室トイレに配置されていないとの声が寄せられています。教育委員会として、個室トイレに配置する意義を改めて周知していただきたい。また、増額された予算は対象人数掛ける15円で、全区立小中学校合わせて100万円程度しかありません。現場の状況を聞き、予算の増額含め、適切な改善が図られるよう求めます。
併せて、区施設においても、男性用パッドを含め、生理用品を個室トイレに配置するよう求めます。見解を伺います。
2、区民の暮らしと福祉の向上を第一に
次に、区民の暮らしと福祉の向上を第一の区政にすることを求め質問します。
⑴ 基金ためこみ、大規模開発優先から転換を
まず、基金ため込み、大規模開発優先の区政からの転換についてです。財政運営方針に関わって質問します。1つは、現金給付事業に対する考え方についてです。区は、2003年に策定した経営刷新計画において、一律現金給付事業は廃止という方針を定めて以降、この20年間継承し続けてきました。一方で、実際には現金給付事業は行われており、コロナ禍でも支援の在り方として、1つの有効な手段であると認めています。しかしながら、この間の質問でも、今後も方針は継続すると答えています。そこで伺います。現金給付事業を行わないことを原則としている理由と、財政含め区の状況や社会情勢が大きく変わっている中においても、20年前の方針に固執する意図をお答えください。併せて、一律現金給付事業は廃止との方針は撤回するよう求めます。見解を伺います。
私たちは1,144億円にまで膨らんだ基金について、ため込みであると指摘してきました。区は、「やるべきことをやった結果、積み上がったもの」と繰り返し発言してきましたが、実態はどうでしょうか。2019年度末時点と2022年度末見込額を比較すると、義務教育施設整備基金は184億3千万円の増額です。一方で、学校施設の維持補修費は、当初予算ベースで2019年度が3億7,238万円、2023年度が3億3,775万円です。また、公共施設等整備基金も同じく121億2,300万円の増額の一方で、区民施設は統廃合され縮小、公園・公衆トイレの洋式化やユニバーサルデザイン化は計画化さえされておらず、何十年もかかる見通しです。やるべきことが後回しにされていたり置き去りにされている現状からは、基金積立てが優先されていると言わざるを得ません。いつまでに何をどうするのかという計画が具体化されていない事業も含め、やるべきことを明らかにし、必要な財源に充てるべきです。見解を伺います。
現在、区内4か所で同時に大規模な開発事業がまちづくりの名で進められています。一方で、区民施設は削減・縮小し続け、住まいに困窮している人は増加しています。自治体がまちづくりを担う意義は、デベロッパーやゼネコンをもうけさせるためではなく、良質で低廉な住宅の提供やその地域で誰もが住み続けられる環境整備ではないでしょうか。また、にぎわいの創出と言いますが、その経済効果さえも試算されておりません。結果的に、従来の住民を追い出しタワーマンションを建設するという、まち壊しのまちづくりのやり方を根本から改めるべきです。見解を伺います。
⑵ 物価高から区民の命と暮らしを守る対策を
次に、物価高騰から区民の命と暮らしを守る対策についてです。物価高騰に歯止めがかからず、家計は悲鳴を上げています。4月の消費者物価指数は前年同月比で3.4%上昇し、20か月連続で増加し続けています。日用品にいたっては12.2%もの上昇で、区民生活に深刻な影響を及ぼしています。第2号補正予算では、低所得世帯への給付金支給が盛り込まれました。第3号補正予算では、いたばしPayやプレミアム商品券の発行が盛り込まれています。しかし、給付を受けられる世帯も、事業を利用できる人も、区民の一部にとどまっています。物価高で影響を受ける世帯は、もっと幅広く、経済的支援の範囲を拡大すべきです。区として、給付金の支給対象のさらなる拡大を求めます。見解を伺います。
政府は、電力大手7事業者による6月分からの電気代値上げの要請を容認しました。エアコンの使用など、電力の需要が増加する夏に向けて、電気代の値上げはまさに命に関わる大問題です。これまでも電気代を節約するためエアコンの使用を控えたり、そもそも買換えや購入費用がなく、使用できない人が熱中症で命を落とす状況が起きています。区として、エアコン購入助成の拡充や電気代への助成を生活保護世帯含め実施するよう求めます。見解を伺います。
⑶ 官製ワーキングプアの是正と職員体制の充実を
次に、官製ワーキングプアの是正と職員体制の充実についてです。区は公務労働のアウトソーシングにより職員定数の削減を進め、窓口委託も拡大してきました。必要な部署には人員を増やしてきたと言いますが、現場は慢性的な人手不足やサービス残業、超過勤務などの過重負担が横行しています。業務を細分化し、委託化を進めることで、本来公務として一貫した管理・監督が必要なことが見逃されたり、結果的に区民サービスに影響を及ぼすことにもつながりかねません。また、公共サービスを担う労働者が官製ワーキングプアと言われる状況に陥ることを是正することもなく、委託化を進めるべきではありません。改めて民間開放方針を見直し、深刻な長時間労働やサービス残業の是正、男性職員の育児休暇取得など、特定事業主行動計画の達成を軸にした人員体制が図れるよう、定数の在り方を正すことを求めます。お答えください。
非正規公務員の拡大により、官製ワーキングプアの拡大が問題視されてきました。処遇改善を目指すとして導入された会計年度任用職員制度も均等待遇とは程遠い状況です。また、例えば、スクールソーシャルワーカーなど、他部署との連携が不可欠で、補助的業務にとどまらない職でも任用されており、根本的な見直しが必要です。会計年度任用職員について、職の任用を精査し、常用の職については正規化を図ること。また、雇用形態による格差を是正するためには均等待遇を目指すべきであり、会計年度任用職員全体の賃金を抜本的に引き上げること、併せて、一時金については2024年度から勤勉手当を創設し是正するとの方向性が示されていますが、今年度の対応は特別区で判断できると考えます。一時金の引上げを行うべきです。お答えください。
3、ひとりひとりの成長と発達を保障できる保育へ
⑴ 要支援児の保育について
次に、ひとりひとりの成長と発達を保障できる保育についてです。
保育現場をめぐり、不適切保育と言われる事件や重大事故が相次いで発覚し、大きな社会問題となっています。子どもに対する暴力や虐待、ハラスメント行為は到底許されないものであり、子どもの人権や人格を尊重する保育が前提であることは言うまでもありません。国は、改善を指示する通知の中で、保育者の時間的・精神的余裕や、職場で認識や気づきを共有できるような勤務環境の重要性を指摘しています。しかし、保育職員の配置人数やクラス規模、業務過重などを改善するための対策は全く示されていません。保育の質を確保するための条件整備こそ進めるべきです。
そこでまず、要支援児の保育について伺います。保育所での障がい児の受入れは年々増加し、区立園でも医療的ケア児の受入れが始まりました。一方で、障がい児保育の体制については国としての配置基準がなく、公定価格での加算とされており、自治体や事業者の判断に委ねられています。板橋区においては、区立園では児童2人に対し、正規職員1名の配置に加え、3名の場合には1名の職員を加配しています。しかし、私立園については、児童1人当たり18万円の補助金が加算されるのみで、配置基準は適用されません。事業者の判断で加配してもしなくても、正規でも非正規でも、資格があってもなくてもよいというものです。区は、民間保育施設における要支援児の保育体制について、全ての子どもの成長や発達を保障できる環境と考えているでしょうか。見解を伺います。
今の区の基準でも十分とは言えませんが、配置基準のない民間保育施設について、少なくとも現在の区の職員配置基準を準用すべきと考えます。併せて加算額の引上げを求めます。見解を伺います。
⑵ 保育職員の処遇改善と配置基準見直しを
次に、保育職員の処遇改善と配置基準の見直しについてです。国の保育士配置基準は一部改善されているものの、1・2歳児は56年間変わらず6対1、4・5歳児に至っては30対1のまま75年間も据え置かれています。また、保育士資格を保有しながら保育職に就かない人も多く、保育の担い手が不足していることも問題となっています。命を預かる職として、責任の重さと見合わず、志があっても働き続けられない実態もあります。国は処遇改善として、賃金の3%を補助するとしましたが、その額は平均で月額僅か9千円にとどまっており、処遇改善などとは言えません。子どもの命と安全を守り、一人ひとりの成長と発達を保障するためには、抜本的な処遇改善と配置基準の見直しが必要と考えます。見解を伺います。
4、教育の充実を求めて
次に、教育の充実を求めて質問します。
⑴ 学校給食費の完全無償化と質の向上を
学校給食費の完全無償化と質の向上についてです。私たちはこの間、学校給食費の無償化を求め続けてきました。それは、憲法に義務教育は無償とすると定められているからです。また、2008年に改正された学校給食法は、2005年に制定された食育基本法を基に、学校給食の目的として、学校給食の普及・充実にとどまらず、食育の推進が位置づけられており、学校給食は教育の一環であることは明らかです。このことからも、本来、国の制度として学校給食費を無償にすべきであり、直ちに実施するよう求めるものです。
国の制度として実施されていない中で、板橋区は第3号補正予算において、区立小中学校の学校給食費を無償にする予算を盛り込みました。これまで無償化を求め続けてきた区民の皆さんの声が届いたことは大変うれしく思います。しかしながら、今回の提案はあくまでも物価高騰対策とした今年度2学期、3学期限りのものです。今年度分として1学期分も遡及すること、新年度以降も恒久制度として継続すること、また、対象を教職員や特別支援学校に通う児童・生徒にも拡大することを求めます。見解を伺います。
学校給食費無償化により、給食の質が下がることはあってはなりません。むしろ区としての予算を増やし、有機食材の使用など質の向上を図ること、また、区としての水準を示すためにも、民間委託を拡大せず、現状の直営校を維持するよう求めます。見解を伺います。
⑵ 特別支援教育について
次に、特別支援教育についてです。まず、区立天津わかしお学校についてです。区立天津わかしお学校は、ぜんそくや虚弱などの児童の転地療養を目的に設置された特別支援学校です。在籍児童は親元から離れ、併設されている寄宿舎で寝起きをし、現在32名の児童が在籍しています。一方、施設の老朽化が進み、改築等の対応が必要となっています。
区は学校の必要性を認めつつ、施設更新時期に学校の在り方を再検討するとしています。学校に通った児童や保護者からは、「子どもの自立や成長が促され、親元を離れることへの不安も払拭された」、「自分で健康管理ができるようになって自信が持てた」などの声が寄せられています。天津わかしお学校での教育活動は、区内の学校でも生かせる取組であり、教職員の育成という意味でも大変重要な役割を果たしていると考えます。区立天津わかしお学校について、現地での建て替えを行い、存続するよう求めます。
次に、障がいのあるお子さんについて、特別支援学校への就学後も継続的な支援を行うことについてです。ある区内の特別支援学校に通うお子さんの保護者の方から、学校との関わりやお子さんが登校拒否をしていること、放課後等デイサービスの利用などについて相談がありました。お話を伺う中で、学校、東京都教育委員会、放デイ事業者、医療機関など、様々な機関に同じ話を何度も繰り返ししなくてはならない状況が分かりました。また、学校での状況については、都教委として全く把握していないこと、放課後等デイサービスについても区の窓口がなく、事業者とやり取りしなくてはならないため、心が折れそうになると言われていました。障がいのあるお子さんを抱えながら、様々な機関に出かけたり相談したりすること自体がとても大変で、何でも保護者が動かないとどこにも連携されないことに、とても疲弊しています。区内では、都立と大学附属の特別支援学校がありますが、そこに通っているお子さんも、区立学校に通う児童と同じ区民に違いありません。学校や放デイとの連携、また、都教委との調整など、区が窓口となり、コーディネートすることが必要と考えます。障がいのあるお子さんや保護者が安心して板橋で生活できるよう、特別支援学校への就学後も継続的な支援を行うことができるよう、まずは区として相談窓口を設置していただきたい。見解を伺います。
5、第9期介護保険事業計画について
次に、第9期介護保険事業計画についてです。
介護保険制度は開始から23年目となりましたが、保険あって介護なしの実態を広げています。
コロナ禍も介護現場に大きな影響を与え、介護事業所や施設でのクラスターの発生、適切な医療につながらず、亡くなる事態も広げました。デイサービスなどの利用減少により、事業所の閉鎖やヘルパーなど介護従事者の成り手不足などにより、必要な介護が受けられない状況も起きています。また、3年ごとの見直しで保険料が上がり続け、当初の2.4倍も負担が増えています。介護サービスを受ける以前の問題として、保険料の負担によって家計が圧迫される仕組み自体が、社会保障の在り方として間違っています。持続可能な制度にするためには、事業を保険料で賄うという今の仕組みそのものを見直し、公的負担を抜本的に引き上げることが必要です。
まず、保険料についてです。第8期事業計画の試算では、第9期の標準保険料額の見込みは7,300円となっています。現状が6,040円ですから、1,260円もの値上げです。一方、準備基金は35億円の見込みとしています。区のニーズ調査では、「年金が減り生活が苦しい。保険料の負担が重い。引き下げてほしい」との声が示されています。第9期の保険料算定に当たっては、準備基金の活用に加え、不足分は公費を投入してでも保険料を引き下げるべきです。見解を求めます。
また、核家族化や単身世帯の増加などにより、特別養護老人ホームの需要が増しています。計画では、今年度1か所の新設で90名の定員増が図られる予定ですが、特養ホームの待機者は1,000名を超えており、需要と供給が全くかみ合っていません。特別養護老人ホームの整備について、待機者ゼロを目指す計画を立て、整備を進めるよう求めます。見解を伺います。
6、アスベスト対策について
次に、アスベスト対策についてです。
上板橋駅南口再開発事業に関わり、隣接する種地のアパート解体工事が5月に行われた際、近隣住民の方から、粉じんがひどく、建物を覆うシートが低いこと、道路上にガラスの破片やビスが散乱しているなどの相談が寄せられ、東京土建一般労働組合及び板橋区による現地調査に区議団も同行しました。再開発地区内を回ると、石綿事前調査結果の報告として、解体作業に関するお知らせの掲示があり、石綿含有ありと記載されている箇所が少なく、含有なしと記載されている建物が多くあることを確認しました。事前調査結果報告書の開示を求めると、再開発組合事務所では閲覧できず、解体工事事務所のパソコンの画面上で閲覧することができました。その中で、分析調査以外の建材について、含有なしとした根拠が示されていませんでした。法令では、分析調査をしていない場合、含有ありとしてみなすことは可能であるが、含有なしとみなすことはできません。大山再開発での解体工事では、この点が指摘され、是正されています。また、事前調査結果報告書については、解体工事現場に常に備えておき、作業員が閲覧できるようにすることが法令で義務づけられていますが、備え付けがなく、この点でも是正指導が行われました。
区が関わる大規模再開発事業の下で同じようなことが繰り返されていることは問題です。環境省では、石綿飛散防止対策に係るリスクコミュニケーションガイドラインを示しており、石綿が飛散しないようにすることと同時に、情報公開を徹底し、安心・安全な工事であることを明確にすることが求められています。区として、改めてアスベスト対策を徹底するよう求めます。見解を伺います。
区は、石綿飛散の予防対策として、区職員による解体工事現場パトロールを行っています。その際、現場を回る職員は、吹付けでなければ、防じんマスクすら持参していない実態があります。また、防護服は用意もされていないと聞いています。他自治体では、アスベストのチェックをしている職員が中皮腫になり亡くなるケースも起きています。職員の命と健康を守るためにも、防じんマスク及び防護服の適切な着用を徹底すべきです。見解を伺います。
7、高島平まちづくりについて
次に、高島平まちづくりについてです。
高島平地域まちづくりは、高島平二丁目のUR賃貸住宅である団地の一部建て替えと区有地である旧高七小跡地活用を一体で進め、併せて駅周辺エリアの再整備を行う計画です。今年度は、交流核エリアのプランを策定し、都市計画決定まで予定されています。地域では、まちも住民も分断されると反対意見が根強く残っており、特に団地建て替えや公共施設整備について、計画の見直しを求める声が届き続けています。地域住民の参画を基本としたまちづくりへの転換を求め、以下、質問いたします。本事業に当たり、区とURは、2022年3月に都市再生の協働に関する基本合意を締結しました。基本合意書では協働する内容についても規定されており、まさに区とURが一体となって事業を推進していくことがうかがえます。
そこでまず、URとの人事交流についてお伺いします。現在、UR職員が区へ、区職員がURへ相互派遣されています。UR職員は高島平まちづくり事業に従事し、区職員はURが進める都市開発事業に従事していると伺っています。この相互派遣について、基本合意書には明確な記載がありませんが、どのような目的で行われ、どのような成果を期待しているのでしょうか。お答えください。
区とURで共同開催しているまちづくり連絡会に参加している方から、自分の意見が反映されていないとの不満の声が上がっています。また、高島平二丁目団地の建て替えが大きく影響するにもかかわらず、個別案件として議題にもなっていません。一丁目から九丁目までの参加者に漠然とした未来像を議論させていますが、計画の中心が高島平駅周辺のため、生活圏でない方からは、「意見の言いようがない」との声も聞いています。まちづくり連絡会で地域の声は聞いたとして、お墨つきを与えるものになるのではないかという不安も寄せられています。改めて、まちづくり連絡会の目的と役割についてお答えください。また、具体的な課題や心配事に応えずに計画を進める姿勢を改め、住み続けたいという居住者の願いを前提とした計画への転換を求めます。併せて見解を伺います。
8、東武練馬駅東口へのエレベーター設置について
最後に、東武練馬駅東口へのエレベーター設置についてです。
当該改札口は、平成22年10月に始発から終電まで乗降時に利用できる常設の改札口となりました。それまでは朝の1時間しか開かず、かつ乗車時のみの利用だったため、常時開設に多くの喜びの声が寄せられています。一方で、まだ利用できていない方々が残されています。東口の利用には、タウンブリッジの通路から改札口に行くにも、不動通りから向かうにも、合わせて60段ほどの階段があります。そのため、車椅子やベビーカーなど階段を上ることができない方は東口を利用できません。
第1回定例区議会には、地域の方から、エレベーターの設置を求める陳情が提出され、全会一致で採択となりました。エレベーター設置のため、東武鉄道に働きかけを行うよう求める陳情が採択された後、区として東武鉄道に対し、どのような取組を行ったのでしょうか。また、今後どのように取り組んでいくのか、区長の見解を伺います。
以上で、日本共産党の一般質問を終わります。
【区長】 それでは、竹内 愛議員の一般質問にお答えいたします。
最初は、核兵器廃絶のためにとのご質問であります。被爆地広島で開催されましたG7広島サミットは、主要先進7か国の首脳に加え、ウクライナのゼレンスキー大統領も参加する中、初めて核軍縮に焦点を当てて、核の脅威や悲惨さを肌で感じた上で、核軍縮に関するビジョンをまとめ、発信しておりまして、重要な一歩であると評価をしております。一方、板橋区平和都市宣言では、非核3原則を堅持し、核兵器の廃絶を全世界に訴えることを宣言しておりまして、区は日本非核宣言自治体協議会にも加盟をしております。なお、核兵器禁止条約の批准などの外交政策につきましては政府が判断すべき事項でありまして、区はその動向を見守るべきと考えておりますが、平和都市を宣言する自治体の長として、核兵器の廃絶をはじめ、世界平和の実現に向けて積極的な取組と情報発信を展開していきたいと考えています。
次は、差別に対する見解についてのご質問であります。区では、SDGsの考えに基づき、いたばしアクティブプランの基本理念に、人権の尊重と誰もが性別による差別的な取扱いを受けない社会の実現を掲げております。LGBT理解増進法案をめぐる議論は承知をしておりますが、例えば、オールジェンダートイレをめぐるプライバシーの侵害や犯罪リスクから女性や子どもの安全を守るため的確に対応するなど、そうした取組の積み重ねが差別意識を氷解し、社会全体における理解増進へとつながっていくものと考えています。
次は、生理用品の区施設への配置についてのご質問であります。生理用品につきましては、本庁舎、福祉事務所、健康福祉センター、いたばし生活仕事サポートセンターなどで配布をしておりまして、個室トイレへの配置は本庁舎で行っております。本庁舎以外の個室トイレへの配置につきましては、在庫の随時補充等、管理上の課題がありまして、配置用品拡大も含めて、引き続き研究していきたいと考えています。
次は、経営刷新計画についてのご質問であります。区では、必要とされるサービスの精査、最適な供給体制の追求を通じまして、行政経営における生産性向上と質の高いサービスを提供するため、原則、現金給付を行わない方針としております。この20年間においては、世界同時不況や東日本大震災、コロナ禍の影響など、社会経済状況の急激な変化にも本方針に基づく考え方の着実な推進により対応してまいりました。財政環境の変動等におきまして、区民サービスの安定的な提供など、持続可能な区政経営を推進するための考え方であり、今後ともこの方針を踏襲していきたいと考えています。
次は、基金についてのご質問であります。今年度、№1プラン2025の改訂を予定しておりまして、基本的な考え方には、先送りしていた公共施設の計画的な改築・長寿命化改修の再開が含まれております。その中で具体的な計画を示すとともに、財源となる基金の活用方針も改訂する予定であります。
次は、区が行うまちづくりについてのご質問であります。市街地再開発事業は、従前の権利者の生活再建を図りながら、関係管理者の合意の下に、区や事業者などと協議を進めて行われる民間事業であります。また、細分化されました土地が集約され、耐火建築物への建て替えによりまして防災性が向上し、道路や公園、広場等が整備される公共性も高い事業であります。引き続き、公民が連携をしながら、地域力の強化を図り、安心・安全で災害に強く、快適で魅力あるまちづくりを進めていきたいと考えています。
次は、給付金の支給対象の拡大についてのご質問であります。今回のいたばし生活支援臨時給付金は、区独自で住民税均等割課税世帯及び家計急変世帯まで対象を拡大をしておりまして、さらなる対象の拡大は考えていないところであります。今後の支援の在り方につきましては、社会情勢や国、東京都の動向を踏まえて検討していきたいと考えています。
続いて、冷房機器購入及び電気代の助成についてのご質問であります。冷房機器の設置費につきましては、生活保護開始時に、未設置かつ熱中症予防が特に必要な世帯に6万2,000円を限度として支給をしております。電気代や物価高騰に対する生活支援につきましては、国が一義的に行うものでありまして、区としましては国や東京都の動向を注視したいと考えています。
次は、特定事業主行動計画の達成に向けた職員定数についてのご質問であります。業務委託は、専門的スキルの導入や職員の負担軽減など、高度化する行政課題に対応するための有効な手段の1つであると認識しています。一方、特定事業主行動計画は、単に職員の増員のみで達成できるものではなく、業務改善に取り組む意識や姿勢、職場全体の環境づくりが必要であります。事務のDX化や働き方改革を含め、業務の不断の見直しを行いまして、外部委託の利点も生かした的確な定数管理によりまして、特定事業主行動計画の目標達成を目指していきたいと思います。
次は、会計年度任用職員の正規化と処遇改善についてのご質問であります。会計年度任用職員の職を設定する際には、その業務の性質を踏まえて、任期の定めのない常勤職員が担うべきか常に精査を行った上で適切に対応しております。また、昨年の給与改定における会計年度任用職員の一時金につきましては、区として引上げの可能性を模索しましたが、特別区人事委員会の意見が付され、引上げに至らなかった点は課題が残ったものと認識しています。今年度につきましては、人事委員会の勧告に基づく給料表の引上げに加えて、区独自でさらなる大幅な賃金引上げを行っておりまして、国や東京都、特別区人事委員会の動向を注視しながら、今後も必要な処遇改善に努めていきたいと考えています。
次は、私立保育園についてのご質問であります。私立保育園では、各園の保育理念を踏まえて、一人ひとりの発達や特性に応じて創意工夫を図るなど、全ての児童が健やかに成長できる保育環境を整えていると考えております。
次は、区配置基準の準用と加算額の引上げについてのご質問であります。民間保育施設における要支援児保育については、各園の運営方針や受入れ状況に応じた職員配置を尊重するため、区立保育園の職員配置基準を準用する予定はないところであります。また、要支援児の受入れに対する区独自の加算額につきましては、社会経済情勢を踏まえて検討してまいりたいと考えています。
次は、保育職員の処遇改善と配置基準の見直しについてのご質問であります。令和4年2月に創設されました処遇改善臨時特例事業が国の定める公定価格に反映されたことによりまして、処遇改善の効果は継続されているものと考えています。また、令和5年3月に国が策定しましたこども・子育て政策の強化についての試案では、保育士等に対するさらなる処遇改善と配置基準の見直しを検討することとしております。区としましては国基準を上回る配置基準を定めておりまして、現在のところ見直しを考えていないところではありますが、引き続き国の動向を注視したいと思います。
次は、第9期介護保険事業計画に関連いたしまして、介護保険料についてのご質問であります。介護保険サービスの給付費は、制度発足時の約97億円から約20年を経た今日、約436億円を超え、およそ4.5倍となっております。次期保育料額の算定に当たりましては、区独自の公費投入は考えていないところではありますが、介護保険制度の中において、第8期に倣い、保険料の急激な上昇を抑えられるように、基金を活用していきたいと考えています。
次は、特別養護老人ホームの待機者解消についてのご質問であります。特別養護老人ホームをはじめとする介護施設サービスの供給量につきましては、需給状況を分析し、必要量の整備を図ることとしております。特別養護老人ホームにつきましても、現在策定中の第9期介護保険事業計画において、その必要量を見極め、計画的な整備を図っていきたいと考えています。
次は、上板橋南口再開発事業のアスベスト対策についてのご質問であります。上板橋駅南口駅前東地区の再開発事業は、令和5年5月より解体工事に着手したところであります。解体工事におけるアスベスト等の飛散防止につきましては、大気汚染防止法などの法令に基づきまして適正に対策を行うことが重要と考えます。区としましては、解体工事の施工者である組合が、法令に基づきましてアスベスト等の飛散防止対策を適正に実施するように、引き続き組合を指導していきたいと考えています。
次は、区職員の防護服着用の義務化についてのご質問であります。区は、解体工事現場への立入検査に当たり、定期的に労働基準監督署と合同パトロールを行っておりまして、この際に、監督署から区職員の装備品について点検・指導を受けております。この指導の下に、区はアスベスト用防じんマスクやヘルメット等を常備しておりまして、解体工事現場の状況に応じて着用しておりますが、防護服の着用指導は受けていないところであります。飛散性の高いアスベスト除去工事に係る作業前の養生検査においては、区職員に対して防じんマスクの着用を徹底しておりますが、飛散性の低い工事現場を含む全ての立入検査において、区職員に防護服を着用させる考えはないところであります。
次は、URとの人事交流についてのご質問であります。区は、令和3年度から研修を目的として、UR都市機構と相互に職員1名を派遣しています。URからの派遣職員は、高島平まちづくり推進課において、行政指導や契約関係等を除く業務に従事し、主にソフト面からまちづくりの内容の充実に貢献していただいております。また、区からの派遣職員は、都内で都市再生事業に関する業務に従事をしておりまして、他の職員への経験の共有を通じまして、人材育成や組織的な知見の蓄積といった成果を得ているところでございます。
続いて、まちづくり連絡会と計画の見直しについてのご質問であります。高島平まちづくり連絡会は、目指す将来像の実現に向けまして、区及びURがまちづくりの在り方や具体化方策について、地域住民と情報共有や意見交換することを目的に設置をいたしました。UR賃貸団地の建て替えについて、区が直接的に関与できるものではありませんが、地域住民の居住の安定に配慮した検討や丁寧な説明を行うよう、URに対して引き続き求めてまいりたいと思います。高島平駅前の交流核形成に向けましては、今後もURとの適切な役割分担により、丁寧な説明や意見把握に努めながら、地域住民の願いに応えるものとなるように検討していきたいと考えています。
最後のご質問であります。東武練馬駅東口へのエレベーター設置についてのご質問であります。令和5年第1回定例会において、東武練馬駅東口へのエレベーター設置に関する陳情が採択されたことを受けまして、令和5年3月に東武鉄道に対し要望書を提出いたしました。設置に当たりましては、技術的及び経費的な課題があると考えますが、駅エレベーターの設置促進に向け、引き続き東武鉄道に対しまして、働きかけをしてまいりたいと考えています。
残りました教育委員会に関する答弁は、教育長から行います。
【教育長】 それでは、竹内 愛議員の教育委員会に関する一般質問にお答えします。
初めに、生理用品の個室トイレへの配置に関しまして、学校の個室トイレに配置する意義の周知についてのご質問ですが、学校トイレへの生理用品の配置につきましては、昨年度のモデル実施における利用状況などの検証結果を踏まえ、今年度より予算化し、本格的に実施しているところです。現在、各学校に対し配置状況の調査を行っており、これに併せて、学校トイレに生理用品を配置する目的などについては改めて周知したところであります。この取組を通じて、児童・生徒の心身の健康維持や安心して学校生活を送ることができる一層の環境整備を図っていきたいと思います。
次に、生理用品に係る予算の増額についてのご質問ですが、学校トイレに配置する生理用品に係る経費につきましては、昨年度のモデル実施などの検証結果を踏まえ予算化しております。今後も各学校での取組状況を確認しながら、適切な予算額となるよう検討していきたいと思います。
次に、教職員を含めた学校給食費の無償化についてのご質問ですが、学校給食費の無償化につきましては、このたびの補正予算案が承認された後、今年度の2学期から実施する予定であり、区立学校に在籍する全ての児童・生徒を対象とし、教職員を含めることは考えておりません。来年度以降につきましては、政府の少子化対策の提言の内容を注視しつつ、国に対する財源措置を求めながら適切な対応を考えてまいります。
次に、都立特別支援学校の学校給食費の無償化についてのご質問ですが、他区において既に都立特別支援学校に在籍する区民を対象とした補助事業を実施している事例があることは把握しております。都立特別支援学校での給食費の無償化は、東京都が広域的に検討する課題であると考えており、現在対象の拡大は考えていないところです。今後東京都の動向を注視し、様々な機会を捉えて東京都への働きかけを行っていきたいと思います。
次に、給食の質の向上に関しまして、有機食材の使用等についてのご質問ですが、食材費高騰の中におきましても、飲用牛乳購入の一部公費負担分を給食費に上乗せして運営しており、学校給食摂取基準に準じた栄養素を充足するよう努めているところです。今後も子どもたちの健康や安心・安全で安定的な給食提供を考え、食材費高騰の状況を勘案しながら給食費の適正化に取り組み、給食の質の向上を図ってまいります。
次に、学校給食の直営校の維持についてのご質問ですが、学校の調理業務は、民間の専門的なノウハウを生かせる業務であると考えており、経費の適正化及び効率的な運営を図る観点から、委託化の方針をとっているところです。事業者の選定に当たりましては、価格だけでなく、企業の技術力や事業実績、地域貢献度等の要素を合わせた総合評価方式としており、給食の質は担保できているものと認識しているところです。
次に、天津わかしお学校の存続についてのご質問ですが、天津わかしお学校につきましては、子どもたちの心身に関わる健康問題の多様化や施設の老朽化などの課題があります。今後これらの諸課題の整理と子どもたちを取り巻く環境変化に伴う新たな役割、他自治体との連携の推進の視点などを踏まえ、施設の在り方を検討してまいります。
最後に、相談窓口の設置についてのご質問ですが、教育委員会では、学校に関する相談全般を受け付ける学校相談窓口を教育支援センター内に設置しております。経験豊富な元学校管理職が相談アドバイザーとして相談者の悩みに寄り添って話を伺い、ケースに応じて関係部署や関係機関と連携しながら対応しているところです。今後も学校相談窓口につきまして、広報やウェブページを活用して広く周知するとともに、学校生活等に関して悩みを抱える方々に適切に相談支援が行えるよう努めてまいります。
頂きました教育に関するご質問の答弁は以上でございます。