中小業者への支援を求める陳情に、賛成する討論

討論日:2023年10月6日

 ただいまより、日本共産党板橋区議会議員団を代表し、陳情第19号「長期化する物価高騰の打撃から経営難に直面する中小業者への支援を求める陳情」に対する員会決定不採択に反対し、陳情に賛成する立場から討論をおこないます。
 本陳情は、物価高騰対策やフリーランスの「事業継続への支援制度」、「原材料や燃料及び水道光熱費、固定費補助などへの」直接支援制度を創設すること、区内事業者の実態調査及び結果の公表をおこなうこと、板橋区議会として国に物価高騰対策支援制度の拡充を求めるものです。

 陳情に賛成する第一の理由は、中小企業の経営は厳しさが増し、緊急の直接的支援が必要だからです。
 消費税10%増税直後のコロナ、物価高と中小業者に大きな打撃が続いてきました。陳情に反対した委員から「板橋区の景況には、『業況が大幅に改善する』と明確に述べられている」という意見がありました。しかし、それは、最も下がったところから改善するというものです。「板橋区の景況」では、業種別の来期の収益に対する見通しは、製造業と建設業で「減少幅が縮小する」、小売業は「今期を維持」、サービス業は「増加幅が縮小」という状況です。区内企業の休廃業解散件数は、今年1月から3月よりも4月から6月は11件増えています。委員会質疑でも、今年4月から8月までの倒産件数は18件にのぼり、昨年度を上回る状況です。とても、区内の中小業者の経営状態が「改善する」などと言える状況ではありません。中小業者の倒産を防ぐ緊急的な直接支援が必要です。

 賛成する第二の理由は、融資では持ちこたえられず、返還のいらない支援が必要だからです。
区は、昨年度、事業継続と区内消費の回復を目的にエネルギー価格高騰対策設備更新助成を実施し、法人で上限50万円、個人事業で上限20万円を助成しました。2700件の利用があり、区が想定した利用件数を超えましたが、その支援は、すでに今年2月で終了しています。
 一方、融資などの相談は、約4千件寄せられたものの実際の「経営安定化融資」の利用は1914件と相談の約半数です。すでにゼロゼロ融資の返済で、倒産が発生する事態で、価格転嫁が難しい中小業者は、返済できない融資には、到底手が出ません。しかも、この融資制度さえも、延長されたとはいえ、12月までです。


 不採択を主張した委員は、直接支援について「税の配分が公平でない」と言いますが、それは、すでに区が実施したエネルギー価格高騰対策設備更新助成をも否定するものです。新宿区は「販路拡大のための出展費用や設備等の購入助成」を開始しています。
 板橋区でも、中小企業者や、フリーランスなどへ、融資制度だけではなく、影響の多い原材料や燃料、水光熱費などへの助成や、家賃や駐車場・リース代などの固定費などへの支援に踏み出すべきです。

 賛成する第三の理由は、中小業者支援強化を区議会として国に求める必要があるからです。
岸田首相は、物価高に対応する新たな経済対策を10月中に策定するとしています。陳情に反対する委員からは、そのことを受けて「意見をあげる必要はない」「願意はかなっている」などと言っています。しかし、国の対策の内容は、ほとんど示されていません。むしろ政府が検討するからこそボトムアップの声をあげるべきです。

 最後に、区内事業者の実態調査及び結果の公表についてです。
区は、昨年度に続き来年度も実態調査をおこなうとしています。しかし、その中でも、コロナや物価高騰に「必要な支援策」を問う設問の選択肢から、現金給付などの直接的な支援策をわざわざ外しています。そのことについて、区は、「聞くまでもなく要望があることを認識しているので設問に入れなかった」と答弁しています。それは、最も求められているのが「直接的支援」であることを分かっていながら、それを見えないように誘導するもので、区が支援を行わない理由を作ったものに他なりません。調査結果も公表しているとは言え、区のホームページの掲載は、「主要産業現況調査」と検索しなければでてこず、なかなかたどり着けません。公表のあり方についても改善が必要です。

 以上で私の討論を終わります。

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