2023年第3回定例会 荒川なお区議 一般質問

質問日:2023年9月21日

1、 アスベスト対策について

 

 ただいまより、日本共産党板橋区議会議員団の一般質問を行います。はじめに、アスベスト対策について質問します。
 安価で加工しやすく燃えにくいアスベストは、高度経済成長期などに大量に使用されてきました。吸い込むと肺がんや石綿肺、中皮腫を発症する危険が問題になっており、建設現場の作業に従事していた人の被害が急増し、現在も解決されていない問題が多く残されています。厚生労働省は、アスベストの製造及び使用等が全面的に禁止された2006年9月以降に着工したものを除き、全ての建築物にアスベストが使用されている可能性が高いと、これまでの各種調査の結果から警鐘を鳴らしています。しかし、現在行われている上板橋駅南口再開発地区内の解体予定の建物には、アスベストについて含有なしとして掲示されている建物が多くありました。築20年以上の建物が多く存在するエリアとしては考えにくい状況です。再開発地区内には商店街もあり、買物客や住民に加え、周辺には保育園も多く、解体工事現場を貫く道路は高校や小学校の通学路に利用されています。しかし、再開発組合が事前調査結果を公表していないために、アスベスト対策の安全性を確認できないまま工事が進められ、不安の声が上がっています。アスベストは、工事現場で働く人だけでなく、周辺住民にも健康被害を長期にわたり広げる可能性があります。板橋区は、大気汚染防止法の改正を機に、板橋区における建築物等の解体等工事に伴うアスベスト等飛散防止対策とその周知に係る指針を廃止し、板橋区建築物の解体工事等に係る生活環境保全指導要綱が設置されました。その際、指針で示されていた住民説明会等の実施を義務づけた項や説明範囲外の住民等から求められたときは誠実に応じるとした項がなくなり、周知等とされ、住民などへの説明に対する責務が曖昧になっています。要綱にも、指針と同じように説明会の実施などを明記することを求めます。

 上板橋駅南口再開発組合は、アスベストの事前調査結果を公表しないために、地域住民などがアスベスト対策の安全性を確認できないまま工事が進められています。多額の税金が投入されていながら不安を広げる事態を改めるべきであり、公表するように指導していただきたい。少なくとも、アスベストの事前調査結果の公表を義務づけるべきです。区の考えを伺います。
 

 現在、大気汚染防止法が改正されたことにより、アスベストが含有されている箇所の解体工事は、切断・破砕はせずにそのまま取り外すことが原則となっています。上板橋駅南口再開発地域では、現地調査の結果、アスベストが含有されている場所の工事の日でも、バール等で除去とアスベスト飛散を防げない工法が工事計画書等で掲示されていました。現地を視察した専門家などの指摘後に表示が変更されたものの、実際の工法が守られているかは確認できていません。板橋区は昨年度、届出があった解体工事だけでも約3300件です。現在行っている抜き打ち調査などの見回りは、過員1人を含めても13人であり、ほかの業務を掛け持ちしながら行っております。調査件数は約3300件のうち520件にとどまっています。今後も解体工事件数は増える見込みであり、抜本的に調査人員の体制強化を図るべきです。見解を伺います。

 大気汚染防止法改正に伴い、10月1日以降に着工される建築物の解体・改修工事から、アスベストの有無の調査を有資格者が行うことが義務づけられます。当然、抜き打ち調査を行う区職員にも、建築物石綿含有建材調査の資格が求められます。資格取得に対する東京都の補助も今年度で終了すると聞いています。板橋区の調査人員を強化できるよう、東京都として資格取得の支援継続を求め、区としても資格保有者を増やしてください。

2、 教育について
(1)志村小学校と志村第四中学校の小中一貫校計画について


 次に、教育について質問します。

 初めに、志村小学校と志村第四中学校の小中一貫校について質問します。さきの文教児童委員会では、いたばし魅力ある学校づくりプランの中で、向原小学校・上板橋第二小学校は児童が増加する傾向にあり、35人学級の条件整備のため、それぞれの学校で整備計画を進めることが報告されました。一方で、志村小学校と志村第四中学校は、2つの学校を合わせて900人以上の規模となる見込みです。板橋区全体で見ても、子どもの人口が増える傾向にあり、さらに生徒・児童数が増えることも考えられます。志村小学校と志村第四中学校の卒業生からは、現在の志村第四中学校の場所に大規模な校舎を建てること自体に無理がある。3学年だけでも人数が多いと感じていたのに、何を考えて小中一貫校がよいとなったのか疑問。住民説明会などでも、これだけ反対の声が上がっていることの意味を板橋区は理解していない。よりよい学校づくりを一からやり直してほしいという声が寄せられています。また、志村小学校・志村第四中学校の周辺の学校規模には小さな規模の学校はなく、その中には大規模な学校もあります。志村地域では今後、工場跡地にマンションが建設されることも予想されます。志村小学校と志村第四中学校の小中一貫校計画は、立ち止まって再検討すべきです。教育委員会の見解を求めます。

 また、学校図書館の設置については、新校舎には小中学生がともに利用できるスペースが設置される予定です。教育委員会は、スペースの中に静かに勉強できるスペースを設けていきたいという考えを示していますが、スペースには仕切りがなく、自由に行き来することも可能な環境となっています。公益社団法人日本図書館協会学校図書館部会からは、近年、廊下と地続きの空間を図書館スペースに充てることが多くなっていることについて、蔵書管理が行き届かず、不明図書が生じること、また、冷暖房設備機能が困難であること、砂ぼこりや害虫などの侵入など快適性の面からも問題が指摘されています。さらに学校図書館担当者の意見は、学校図書の使い勝手の活用度合いを大きく左右するため、計画に当たっては設計者、施行者だけでなく、担当者が同席の上で、入念な打合せを行うことが必要であるとも指摘されています。教育委員会は、詳細については、この後の実施設計等を進めていく中で、併せて先生たちとも協議をして調整することが必要になってくると答弁をしています。協議の場をどのように設けるのか、先生たちの意見をどのように生かしていくのか、教育委員会の考えをお示しください。 

 志村小学校と志村第四中学校の小中一貫校計画に、教科センター方式が盛り込まれています。令和元年度の検証報告書でも、各時間生徒が全員移動するため生徒の所在がつかみにくく、教職員は、担任であるなしにかかわらず、全生徒の動向に配慮する必要があり、従来の方式と比べて負担が大きいことが明らかになっています。このような課題について、どのように解決を図っていくのか。教育委員会の考えをお聞きします。

 教育委員会は、運動場についての設置基準を満たしていないことについて、小学校・中学校の設置基準第8条にある、「ただし、地域の実態その他により特別の事情があり、かつ、教育上支障がない場合はこの限りではない」という条文を根拠に、小中一貫校には設置基準はないとしています。小中一貫校づくりは、特別の事情なのでしょうか。このただし書を小中一貫校に設置基準はないとする根拠にはならないと考えます。小学校・中学校ともに運動場の設置基準を確保することを求めます。
 

 

(2)学校給食費の無償化について

 次に、学校給食費の無償化について質問します。板橋区ではこれまで、平成25年に物価高騰を理由に、そして、平成26年には消費税増税を理由に、学校給食費の値上げが行われています。その後も、令和2年度に再び値上げの検討がされましたが、コロナの影響で見送られました。昨年度は、物価高騰の影響で値上げが検討されましたが、牛乳代3か月分の補助で対応し、今年度は昨年度までの対応を継続しつつ、2学期と3学期に学校給食費無償化が実施されることになりました。しかし、今再び、来年度に向けて物価上昇分を盛り込んだ値上げが検討されています。学校給食は大事な教育の一環です。様々な社会情勢の変化に左右されず、給食の質を確保していくことが必要です。物価の高騰などの中で給食の質を確保し、保護者の教育負担を軽減していくためには、公費負担による給食費無償化を制度化するしかありません。教育委員会の見解を求めます。併せて、都立特別支援学校に通う児童・生徒への学校給食費の無償化を行うとともに、長期の不登校の子どもの昼食代を含めて、無償にすることを求めます。
 

3、 平和について
(1)自衛官募集事務に係る募集対象者情報について

 

 次に、平和についてです。


 初めに、自衛官募集事務に係る募集対象者情報について質問します。防衛省によると、少子化などを背景に自衛官の応募者数は年々減少し、2021年度までの10年間におよそ3万人、率にして26%少なくなっているとのことです。2015年の安保関連法の成立以後、任務の危険度が格段に高まったことも影響し、とりわけ現場の中核となる階級下位の自衛官の養成候補生は、2009年度から2022年度までに4割強の減少とのことです。こうしたことを背景に、国による自治体に対する自衛官募集事務の働きかけが強まっています。2022年度からは、それまで閲覧の許可であったものが、紙ベースでの名簿提供に変えられ、区が本人に個人情報提供の許可を得ないまま、自衛隊に名簿を提供するということが行われました。区は国からの通知を受けて、紙ベースで情報提供ができるようになったと言いますが、通知は自衛隊法施行令第120条の「防衛大臣が市区町村長に資料の提出を求めることができる」とする規定にのっとったものでしかありません。また、2021年の防衛・総務両省による通知は、地方自治法第247条第3項に「助言等に従わなかったことを理由として不利益な取扱いをしてはならない」と規定されています。自治体が独自の判断で決めることができるものです。軍事優先へと国が傾いていく中で、こうした適齢者名簿の情報提供が強められていることは、大いに警戒する必要があります。板橋区が自衛隊の隊員募集のために区民の個人情報を本人が知らないうちに提供することは、法的根拠が薄く、人権侵害であり、やめるべきです。区の見解を伺います。

 昨年度行った紙ベースでの情報提供では、板橋区は個人情報の自己決定権として、本人や保護者が除外申請書を提出すれば、対象者情報を削除できる除外申請を取り入れました。しかし、その周知や申請方法などは大変不十分なものでした。周知は広報いたばしのみで、申請は本人や保護者などが区役所に来て申し出なければならず、申出ができる指定期間も約2か月間という短いものでした。結果として昨年度、申請除外の申出件数は22件にとどまりました。広報いたばしを見ていない人も多く、自分が対象者になっているかさえ分からないのでは、自己決定権など全く守られていないことになります。自衛隊員募集名簿提供について、除外規定があることを十分に周知するために、期間を十分にすること、SNSなどを活用して周知を図ること、電子申請ができるようにすることを求めます。また、対象者に対し、自衛隊への情報提供を許可するかどうか一人ひとりに意思を確認し、少なくとも情報提供を認めた人だけを対象とする同意申請にすることを強く求めます。見解を伺います。
 

 (2)平和教育について

 次に、平和教育について質問します。平和事業が今直面している問題は、戦争を体験した世代が少なくなり、戦争体験者や戦争の悲惨さについて知る機会が減っていることです。板橋区では、平和祈念マップの作成や板橋空襲の映像や証言のビデオをDVD、インターネット動画として普及する事業を行っていますが、さらに広げていくことが必要です。戦争の悲惨さを語り継ぐ事業について、新たな課題が出てきていると考えます。区はどのように戦争の悲惨さを語り継いでいくのか、考えを伺います。

 中学生の代表を毎年、原爆の日に行われる広島・長崎の平和式典に派遣する平和の旅の実施も、次世代に戦争や核兵器の恐ろしさと平和の尊さを語り継ぐための優れた事業であり、今後の一層の充実が求められます。しかし、今年は台風の影響で、長崎で開催予定だった平和の旅が中止になっています。代替事業が行われたと聞いていますが、どのように開催されたのか。併せて、今後今回同様に中止になったときは、代替事業を行うことを求めます。区の考えを伺います。
 

 

4、 障害者スポーツについて

 次に、障がい者スポーツについて質問します。
 障がい者のスポーツ環境は問題が山積しています。1年に1度もスポーツをしない障がい者は、約4割にも及びます。障がいのある児童・生徒の体育参加率も低く、参加できなかったのは小学生で約45%、中学生で40%に上っています。障がい者のスポーツ参加を妨げている背景には、特別な研修を受けた指導者が少なく、障がい者がスポーツできる施設が少ないことなど環境の未整備があります。また、パラ競技選手の環境も課題が多くなっており、日本パラリンピアンズ協会の調査では、選手の5人に1人が、障がいを理由にスポーツ施設の利用を断られたことがあると答えています。区として、障がいを持つ子どもたちがスポーツができる環境整備をつくることを求めます。

 区長は、障がい者スポーツの環境整備について、今後も施設整備を行う際には、積極的にユニバーサルデザインを取り入れていくと答弁しています。しかし、施設整備を行う際に改善を図るのでは遅すぎます。現在の区の体育施設は、障がい者の要求に応える環境とは言えません。板橋区のユニバーサルデザイン計画や板橋区障がい者計画2023には、障がい者スポーツの今後の具体的な計画は示されていません。ユニバーサルデザイン計画などに区の体育施設の整備計画をつくり、早急に進めることを求めます。

 次に、加賀庭球場について質問します。板橋区は、車椅子テニスの利用を視野に入れ、加賀庭球場のバリアフリー化のための設計と工事を今年度と来年度の2か年で行うことが分かりました。加賀庭球場の入り口にスロープを設置する場合には、利用者用の駐輪場スペースが確実に狭くなります。また、現在の入り口そのものが狭いために、そのスペースだけでバリアフリー化を行うことは困難です。誰もが利用しやすい環境をつくるためにも、入り口左部分にある都有地を確保して、その場から上部に上がるエレベーターを設置することを求めます。併せて、加賀庭球場の老朽化した更衣室や談話室、階段の設備改修を早急に行うことを求めます。区の考えをお聞きします。
 

5、 子どもの遊び場について

 次に、子どもの遊び場について質問します。
 今年の夏は、例年と比較しても猛暑日が長く続き、熱中症などの危険を避けるために外遊びの選択肢がほとんどなく、行き場が限られてしまいました。その結果、特に土日祝日の児童館はとても混雑してしまい、子どもたちが自由に遊べる場とは言えない状態になっていました。水遊びを楽しむことができるこどもの池も、今年は6日間しか開催されていません。小学校でも夏のプールの実施があまりできなかったと聞いています。今年の夏、子どもの遊び場が限られたことについて、板橋区の見解をお聞きします。子どもの夏の遊び場が限定された一方で、2016年度に廃止された児童館の跡地は未利用のままです。子育て中の区民の方からは、混雑を避けるために区外の民間施設まで足を運んだりしたが、考えることは皆同じでどこも混雑していた。夏の子どもの遊び場が保障されていないことを実感したと話します。区内にある未利用の公共施設などを子どもの遊び場として、夏の一時的な期間に限定してでも開放することを求めます。
 

 次に、こどもの池について質問します。こどもの池は夏の一定の期間、気軽に水の中に入って遊ぶことができる場所として、子どもたちにとっても家庭にとっても、我がまちの魅力の1つとして役割を果たしてきました。そして今年度、15か所でこどもの池が開設されました。しかし、こどもの池には日差しを遮る場所はありません。幾つかの場所では日除けスペースを確保していましたが、十分なスペースは確保できていません。猛暑対策は今年だけの問題ではなく、夏の遊び場については来年度以降も対策が必要です。こどもの池など水遊びができる施設には、区として日除け用テントを設置するなど、安心して子どもたちが水遊びできる環境づくりを求めます。

 2014年に区が行ったこどもの池に関するアンケート調査では、タウンモニターとeモニターで37の廃止に関する住民説明会では、区として子どもたちのアンケート調査も行っていません。説明会の中で参加者からの求めにより、区から子どもたちへのアンケート調査を検討するとの回答がありました。子どもたちを対象にしてきたこどもの池の活用について、地域の子どもたちやその家庭へ意見を聴取することを必ず位置づけるようにルール化するべきです。区の見解を求めます。
 

 

6、 5類移行後のコロナ対策につい て

 最後に、5類移行後のコロナ対策について質問します。
 5月に5類に移行して感染者が増え続け、9月3日からの1週間で全国の感染者数は10万人を超え、5類移行後、最多を記録しました。東京都医師会の尾崎治夫会長も都内の1日当たりの新規感染者について、2万人を超えた第8波のピークに迫る勢いの1万5000人規模と想定されると述べ、5類だからもう考えなくてよいのではなく、予防も含めて改めてコロナにどう向き合うか考えていただきたいと感染予防の取組を呼びかけました。今年4月までは、感染者の家族など濃厚接触者は無症状でもPCR検査を受けることができました。しかし、5類移行後は濃厚接触者という定義がなくなり、家庭内など身近なところでコロナ陽性者が出てもPCR検査を受けることができません。そのために、自らがコロナ陽性の可能性がありながら、職場や学校に行かざるを得ない状況が広がっています。本来は自治体が無症状の人たちに対してPCR検査を実施するべきです。現在でも、高熱のために外出できず、自宅で検査できる仕組みも必要です。しかし、市販の抗原検査キットの価格が高いために購入することを諦める人もいます。これ以上感染者を広げないためにも、区として抗原検査キットの配付のための助成と併せて、無料のPCR検査の復活を求めます。

 先日、障がいを持つ娘さんと暮らしている区民の方からお話を伺いました。家族のケアを一手に引き受けている母親自身がコロナ陽性となり、40度の発熱、障がいを持つ家族のケアができない状態となりました。既に5類に移行しているために、家族全員が一時的に過ごせる場もケアが必要な家族だけを預ける場所もなかったとのことでした。5類移行後も区として感染を広げないために、保育や医療・介護を受けることのできる施設や場所を確保するべきであると考えます。区の見解を求めます。
 

 以上で、私の一般質問を終わります。ありがとうございました。

◎区長(坂本健) 

 それでは、荒川なお議員の一般質問にお答えいたします。
 最初は、アスベスト対策に関連いたしまして、事業者による近隣住民への説明についてのご質問であります。新たに定めた要綱では、解体等の工事の元請業者などは、工事に伴い騒音や振動などが及ぶと判断される近隣住民に、書面の交付等により周知するものと定めております。区としましては、事業者が要綱に基づき、近隣住民への説明を行うように、適宜、指導を行っていく考えであります。
 

 次は、上板橋駅南口再開発のアスベスト対策についてのご質問であります。上板橋駅南口駅前東地区の再開発事業については、本年5月から建物の除却工事に着手したところであります。解体工事におけるアスベスト等の飛散防止につきましては、大気汚染防止法などの法令に基づき、対策を行うことが重要であると認識しております。区としましては、解体工事の施行者である再開発組合が法令に基づき、アスベスト等の飛散防止対策を適正に実施するよう、引き続き組合を指導していきたいと考えています。
 

 次は、調査人員の体制強化についてのご質問であります。区では、解体等工事などにおけるアスベストの事前調査報告があった場合にはその内容を確認して、報告内容に応じ、立入検査を行っております。立入検査に当たる職員は、他の業務における申請の受理や現地調査など、全体の優先度などを考慮し、業務に当たっておるところであります。今後も業務量の推移を注視し、必要な人員体制の確保を図りながら、アスベスト関連の業務に取り組んでいく考えであります。
 

 次は、調査人員の資格取得についてのご質問であります。区ではこれまで、アスベストに関する指導のスキルを高めるため、毎年度、東京都の補助を受けて、一般建築物石綿含有建材調査者講習に職員を受講させてまいりました。組織全体でアスベストに関する指導のスキルを高めていくためには、多くの職員が講習を受講することが必要であると考えます。そのため、今後も都に対しましては、支援の継続を要望していきたいと考えています。
 

 次は、自衛官募集対象者情報の提供についてのご質問であります。これまで、防衛省自衛隊東京地方協力本部は、区の住民基本台帳を閲覧、書き写すことで情報を収集し、募集説明会などの案内の送付を行ってまいりました。令和3年の防衛省及び総務省からの通知により、住民基本台帳の一部の写しを提供できることが明確化されたため、板橋区個人情報保護審議会の答申も踏まえて、自衛隊法令に基づく求めに応じて、紙媒体で適切に情報を提供することとしております。なお、情報提供を望まない方の意向を尊重し、除外を申し出る仕組みを設けて、個人情報の厳重管理に関する覚書を締結した上で実施をしており、提供は継続をしていきたいと考えています。
 

 次は、除外規定の周知についてのご質問であります。除外申出制度につきましては、広報いたばし、区ホームページ、SNSによる情報発信や、区内高等学校、専修学校等への通知など、様々な方法で着実に実施をしておりまして、申出期間については2か月程度としております。また、令和6年1月からの提供分から郵送による除外申請を開始する予定でありまして、電子申請についても導入の検討を進めております。なお、募集対象者の情報提供は、自衛隊法令に基づく適法な依頼であり、除外申出制度を設けているため、個々の同意を確認する必要はないものと考えています。
 

 次は、戦争体験を語り継ぐ事業についてのご質問であります。区では、中学生広島・長崎平和の旅の参加生徒が語り部から被爆体験談を現地で聞く機会を設けるなど、様々な平和事業の実施を通じまして、次世代へ戦争体験の伝承を図ってまいりました。区内の戦時中の生活や空襲などの状況につきましては、区民の体験談を収録した映像を区ホームページや平和事業等で配信、上映をしております。戦後78年となり、戦争体験者の高齢化や減少が著しい中において、戦争の悲惨さや平和の尊さを後世に伝えていくことは、平和宣言都市板橋区の責務でありまして、今後も若い世代にも伝わる取組を工夫をしながら展開してまいりたいと考えています。
 

 次は、長崎平和の旅についてのご質問です。今年の中学生長崎平和の旅は、台風6号の接近に伴いまして、長崎平和祈念式典が参列者を限定する室内開催となりまして、生徒の安全を第一に、派遣を中止したところでございました。その代替として、平和祈念式典の生中継を区立中学校で視聴したほか、都内の平和関連2施設の見学と、語り部お話し会を実施するバスツアーを行いまして、平和学習に取り組んだところでございます。今後も平和の尊さを学び、伝えていく意義の高い事業であることから、中止の場合には代替事業を用意したいと考えています。
 

 次は、障がいを持つ子どもたちに向けた環境整備についてのご質問であります。障がいを持つ子どもたちがスポーツに触れる機会として、区では今年度、障がいを持つ小学生も参加可能なインクルーシブスポーツ体験会を実施する予定であります。また、指導者の育成に関しましても、東京都などと連携をし、パラスポーツ指導員育成講座などの講習会の周知を行っているところでございます。今後も体育施設の改修の際には、障がいを持つ方の利用を念頭に置くとともに、障がいを持つ子どもたちがスポーツに触れる機会の提供を進めていきたいと考えています。
 

 続いて、区の体育施設の整備計画についてのご質問です。障がいのある方を含めて、多様な人がスポーツを楽しめる環境を整備することは重要であると考えます。板橋区障がい者計画2023では、誰もが参加できるスポーツ環境づくりの推進を掲げ、体育施設の改修等に併せまして、バリアフリー化を進めるとしております。今後もユニバーサルデザインの考え方を積極的に取り入れながら、誰もが気軽に参加できるスポーツ環境づくりを推進してまいりたいと考えています。
 

 次は、加賀庭球場の施設改修についてのご質問であります。加賀庭球場は、入口からコートまでのアプローチが階段のみとなることから、車椅子での利用ができない状態であり、改善すべく設計作業を現在行っているところでございます。入口にスロープを設置することは、駐輪場がかなり狭くなるため、考えていないところでありますけれども、よりよい整備に向けて検討をしているところでございます。ご指摘の都有地には構造物があり、計画予定地の外にあるために活用することは考えておりませんが、エレベーターの設置も含めて、誰もが利用しやすい施設になるように整備をしていきたいと考えています。
 

 続いて、更衣室や談話室の整備についてのご質問です。加賀庭球場の管理棟は、建物が上段と下段に分かれておりまして、下段部分に更衣室、階段を上った上段部分に談話室がそれぞれ設置されております。現在、改修に向けて設計作業に入っておりますが、更衣室、談話室のほか、階段部分も含めて改修する方向で計画を進めております。
 

 次は、子どもの遊び場に関連いたしまして、屋内の居場所についてのご質問であります。この夏は暑さ指数が危険を示す日も多く、気象庁が統計開始以来、最も暑い夏であったことを公表するなど、子どもたちの外遊びが難しい状況にあったと思います。子どもが屋内で過ごせる施設として、児童館のみならず、図書館やエコポリスセンターなど様々な選択肢があることについて、引き続き周知・啓発を行っていきたいと考えます。子どもの多様な居場所が区内各所に存在することが非常に重要であり、子ども自身の声にも傾聴しながら、過ごしやすい環境の整備に努めてまいりたいと思います。
 

 次は、未利用施設の開放についてのご質問であります。廃止された児童館に未活用の施設はなく、現在、保育園または生涯学習センターの一部として機能しているところでございます。そのほか、閉鎖管理している廃止施設は、老朽化による安全面や設備、維持管理上の課題があり、子どもの遊び場として開放することには適していないところでございます。一方で、夏季における子どもの遊び場を確保することは必要であり、多様な居場所、過ごしやすい環境づくりに努めていきたいと考えます。
 

 続いて、水遊び施設の日除け対策についてのご質問です。水遊び施設において、真夏の強い日差しを遮るための日除け対策は必要と考えます。簡易式のテントやパラソルなどは日陰を増やす効果が期待できるために、増設を進めていく考えであります。また、改修予定の施設については、屋根つきのベンチを十分に配置するなどの日除け対策を行っていきたいと考えています。
 

 次は、こどもの池の活用に関する意見聴取についてのご質問であります。こどもの池の跡地活用に限らず、公園利用者の意見を確認することは、より満足度の高い空間を提供する上で、大切で有効な手段であると認識しています。一方、年齢や志向によって意見や要望は異なるものでありまして、意見募集の対象やそれらの集約の方法は、公園の性質や周辺環境などに合わせて、個別具体に決定せざるを得ないと考えています。こどもの池の跡地についても、子どもと家族への意見聴取を一律にルール化することは難しいところでありますが、的確に利用者の意見が反映できるように、最善の方法の選択に注力をしていきたいと考えています。
 

 次は、コロナの検査についてのご質問です。これまでのコロナの検査は、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律に基づく行動制限を求める根拠として使われてまいりました。しかし、5類の移行によりまして、コロナは広く一般の医療機関で対応する疾患となり、検査は必要な方に実施がされております。そのため、区として抗原検査キットを購入するための助成やPCR無料化事業を実施する予定はないところであります。なお、ウイルス自体は存在をすることから、引き続き、状況に応じた感染防止対策を区民、または事業者にお願いをしたいと考えています。
 

 最後になります。ケアを要する方の受入先についてのご質問であります。コロナが感染症法上、2類相当に位置づけられていたことによりまして、ケアが必要な方が既存のサービスを利用できない状況が生じ、医療機関で受け入れる体制を整備してまいりました。5類移行後は、コロナを特別に扱う必要がないため、家族が感染症に罹患した際には、高齢者は介護保険サービスを、障がいの方は緊急保護事業を利用いただくことができます。また、養護者が不在となる児童については子ども家庭総合支援センターへ相談するなど、お困りのときについてはそれぞれの関係所管にご相談いただきたいと考えています。
 

残りました教育委員会に関する答弁は、教育長から行います。


    

◎教育長(中川修一) 

 それでは、荒川なお議員の教育委員会に関する一般質問にお答えします。
 初めに、小中一貫校計画の再検討についてのご質問ですが、小中一貫型学校の学校規模は、ピークとなる令和14年度において、志村小学校が18学級、志村第四中学校が14学級であり、適正規模となる見込みであります。新校舎は小学校・中学校の教育活動に必要な諸室や空間を十分に整備しつつ、多用途に使える教室を数多く設け、将来の環境変化に柔軟に対応できるよう設計が進んでおります。計画の再検討は行いませんが、児童・生徒数の推移を注視しながら、教育環境の充実を目指し、整備を進めてまいります。
 

 次に、新校舎の運用協議についてのご質問ですが、志村小学校と志村第四中学校の小中一貫型学校につきましてはこれまでも学校へのヒアリングや教員とのワークショップを行い、基本設計に向けての意見を聴取しているところです。今後も、実施設計や什器選定時に学校へのヒアリングやワークショップを実施し、円滑な学校運営が図れるよう現場の声を反映させてまいりたいと思います。
 

 次に、教科センター方式の課題についてのご質問ですが、検証報告書は令和元年度時点における教科センター方式導入校の生徒・教職員へのアンケート等をまとめたものであります。生徒が移動することに伴う諸課題につきましては、教員と生徒同士の声かけや各教員が無線を携帯すること等による対策を行っております。現在、教科センター方式が導入され数年が経過し、学校運営の経験を積むことで、様々な課題が解消されてきていると思われます。今後も課題改善を継続しつつ、教科センター方式のメリットを生かせるよう努めてまいります。
 

 次に、運動場の設置基準の確保についてのご質問ですが、運動場の面積基準を示した文部科学省令では、「地域の実態その他により特別の事情があり、かつ、教育上支障がない場合は、この限りではない」と明記されています。板橋区の学校は、都市部の実態として基準どおりの校庭面積の確保が難しいという特別の事情があります。小中一貫型学校の北側に整備する校庭につきましては、中学校の面積基準に満たないものの、南側の広場や第2グラウンドの整備、屋内運動場の拡充により、教育環境を向上してまいります。
 

 次に、学校給食費無償化の制度化についてのご質問ですが、学校給食費の無償化につきましては、本来は国が自治体間格差を生じることがないよう検討すべきであると考えております。恒久的な財源確保は検討課題であり、引き続き国に対し財源措置を求めつつ、国の動向も注視しながら、来年度以降については適切に対応してまいりたいと思います。
 

 最後に、都立特別支援学校に通う場合や長期不登校への対応についてのご質問ですが、都立特別支援学校での給食費の無償化につきましては、本来は東京都が広域的に検討すべき課題であると考えております。今後、様々な機会を捉え、東京都への働きかけを行っていく考えでありますが、都立特別支援学校に在籍する児童・生徒の給食費に対する支援についても検討してまいります。また、長期不登校の児童・生徒などに対する昼食代につきましては、現状把握と課題の整理に努めていきたいと思います。
 

 頂きました教育に関するご質問の答弁は以上でございます。

一覧へ

検索