後期高齢者医療保険料の新年度改定保険料を引き上げないよう国、都へ求める陳情に、賛成する討論

討論日:2023年12月14日

 ただいまより、日本共産党板橋区議団を代表し、陳情第40号「後期高齢者医療保険料に関する陳情」に賛成する立場で討論を行います。

 本陳情は、後期高齢者医療保険料の新年度改定保険料を引き上げないよう国、都へ支援策実施を求めること、東京都後期高齢者医療広域連合へ区議会から意見をあげることを求めています。

 後期高齢者医療保険制度は、2008年4月から始まり、15年が経過しました。2年ごとに保険料の見直しが行われ、2024年度は改定の時期です。先月の広域連合議会で示された2024年・2025年の保険料算定案は、一人あたりの平均保険料額が、年間11万3,774円で、8,932円の負担増です。

 陳情に賛成する第一の理由は、すでに過重な保険料をさらに引き上げることは、高齢者の命を脅かしかねないからです。

 岸田政権は、「全世代型社会保障」だとして、後期高齢者の保険料の伸び率を現役世代と同じにするとして負担増を進めています。しかし、区内の加入者約73,000人のうち、65%が年金収入211万円以下で、余裕など欠片もなく、保険料値上げは大きな打撃です。すでに、保険料を払うことができない高齢者は、昨年度で1,300人を超えています。日本高齢期運動連絡会の調査では、住居や介護の費用がかさみ10万円の赤字となっていることが明らかになっており、医療・介護にかかる費用が家計を圧迫しています。保険料は上がり続け、窓口負担も1割から2割に引き上げられ、医療の抑制につながってきます。

 そもそも、75歳以上は、他の年齢より病気を抱えることが多くなり、その年齢で強制的に切り分けた後期高齢者医療制度は、医療費が増え続けることが前提の医療制度となり、その構造も問題です。年金で暮らす高齢者に、さらなる追い打ちをかける保険料引き上げは行うべきではありません。

 また、現在、都広域連合における財政安定化基金は212億円です。2013年度まで、保険料抑制のために活用されてきた経緯もあります。例外規定だといいますが、コロナと物価高で厳しい中、財政安定化基金の活用や国・都の財政措置で、負担軽減こそ必要です。

 第二の理由は、必要な社会保障は、自己負担の増額ではなく国の財源で賄うべきだからです。

 国は、「少子化対策の財源確保」「現役世代の負担軽減」などと言い、健保や国保に加入する人の出産育児一時金の増額分を、後期高齢者医療保険からも拠出するとして、今回の保険料算定には一人当たり年間640円が含まれています。

 政府が75歳以上の医療費負担を現役世代より軽くし、現役世代に財政支援してもらうなどと言って始めたのが後期高齢者医療制度です。出生数の減少、少子化の進行によって、現役世代の負担が重くなったので、今度は、後期高齢者が現役世代に財政支援するというのでは、75歳で医療制度を切り分けた意味もなく、本末転倒です。そもそも、国の社会保障抑制方針によって、現役世代も年金世代も、苦しめられ続けてきました。少子化対策も、医療費への対策も、国の財源で賄うべきです。

 第三の理由は、住民を代表する区議会として、保険料を引き上げないための意見を上げるべきだからです。

 本陳情に反対した委員は、11月24日の東京都広域連合議会において、本陳情と同様の陳情が、反対多数で「不採択」となった結果を「尊重」し、意見を上げる必要はないとしています。

 しかし、広域連合議会は、誰がどういう態度を取ったのかは公開されず、審議内容が把握できる  11月の議事録公開は年明けです。その状況で、「なぜ尊重する」などと言えるのでしょうか。陳情に反対する理由にはなりません。

 「広域連合」という仕組み上、区として、直接保険料への支援策を行えず、国や都、広域連合に対して、支援策を求めるのは当然です。区議会として、さらなる高齢者への負担増に対し、意見書を提出するなど、できるかぎりの努力を行うべきです。改めて本陳情への賛同を呼びかけて、私の討論を終わります。

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