2024年第1回定例会 竹内愛区議 代表質問

 

質問日:2024月3月5日

1. 区長の政治姿勢を問う
(1)裏金及び統一協会問題について

 ただいまより、日本共産党板橋区議会議員団の代表質問を行います。


 初めに、区長の政治姿勢についてです。
 まず、政治を揺るがす自民党の裏金と統一教会問題についてです。政治資金パーティーの収入をめぐる裏金づくりは、政治資金規正法違反であり、犯罪にほかなりません。また、脱税も疑われており、徹底解明が求められています。自民党の調査によると、パーティ券収入のキックバックなどの裏金づくりは長期にわたり派閥内で組織的に行われていた実態が示されています。しかしながら、誰がいつ何の目的でこのシステムを編み出し、何に使われたのかは究明されていません。キックバックについても派閥の事務局から指示があったとしていますが、誰が指示したのか明らかにしていません。選挙時に改選議員の裏金額が増えており、選挙買収に使われたのではないかとの疑念も残ったままです。国会では政治倫理審査会が開かれましたが、知らぬ存ぜぬが繰り返され、解明には程遠い状況となっています。多くの国民が納得できないと怒りの声を上げています。このまま幕引きを図ることは許されません。区長は、パーティ券収入のキックバックなどの裏金づくりは犯罪行為と認識しているでしょうか。政治家の1人としてお答えいただきたい。

 裏金づくりを行ってきた現職国会議員の中に、11区選出の下村博文氏も含まれています。下村氏は統一教会との関わりも指摘されてきました。2016年には、協会の機関誌である世界日報社から6万円の献金があったことが判明しています。下村博文氏に対し、説明責任が問われていることは言うまでもありません。同時に、私たち政治家一人ひとりにも問題への姿勢が問われます。下村氏の公式サイトによると、さきの区長・区議会議員選挙の約1か月前に、区立文化会館4階大会議室と思われる会場において、自民党板橋総支部支部大会兼統一地方選挙決起大会と銘打った会合が開かれ、坂本健区長の5期目の挑戦、17名の区議候補全員の当選に向けて総支部挙げて戦ってまいります。ご支援よろしくお願い申し上げますと記されています。併せて、区長と下村氏が交わしたと思われる文書を手にした写真と、たすきをかけた区議予定候補、下村博文氏、自民党都議などともに区長が拳を上げ決起している写真が掲載されています。その様子からは、さきの選挙において自民党と下村博文氏が一体となって選挙を戦ったことがうかがえます。区長は関わりの深い政党、政治家が裏金をつくり、統一教会と関わってきたことについてどう考えているのでしょうか。政治家としての認識を伺います。

(2)ジェンダー平等・女性差別撤廃に向けて、賃金格差の是正を


 次にジェンダー平等・女性差別撤廃に向けて、男女賃金格差の是正を求めて質問します。今年は国連で女性差別撤廃条約が採択されてから45年目を迎えます。日本のジェンダーギャップ指数は146か国中116位と極めて低く、主要7か国中断トツの最下位です。世界の流れから大きく立ち後れてはいますが、国民世論と運動に押され、前進していることも確かです。昨年から男女 の賃金差異の公表が始まりました。公表した企業は1万3000社を超え、公表義務がある常用労働者301人以上の事業所のうち8割が公表に踏み出し、国や地方自治体でも公表されています。公表した企業全体で見ると、規模に関わらず女性の賃金は正規・非正規いずれも男性の75%にとどまっています。一方で、大企業ほど格差が大きく、管理職や上位階層に占める女性の比率が低いことや総合職と一般職などのコース別人事の影響も浮き彫りになっています。公務分野でも非正規職員の割合が高いところで特に格差が広がっています。区が公表した資料では、任期の定めのない正規職員で88.9%、その他の職員では68.1%もの格差が明らかになっています。区職員においても賃金格差が生じている原因についての認識及びより深い分析ができるよう、公表項目の細分化と賃金格差の是正策を求めます。区長の認識を伺います。

(3)戦争準備はやめよの声を板橋から


 次に、国が進める戦争準備に歯止めをかける姿勢を求めて伺います。国の20241年度当初予算案における軍事費は、米軍再編関係経費などを含め、過去最大の7兆9496億円に上り、今年度当初予算比で1兆1277億円もの増額です。自衛隊を米軍指揮下に組み込み、日米の軍事融合が一層進められるものです。その一方で、社会保障や子育て支援を名目に国民に負担を押しつけることは許せません。区長は、板橋区平和都市宣言の立場で行動することを繰り返し宣言しています。一方で、その理念を踏みにじる国に対し、物を言わない姿勢を取り続けています。軍事費の増額や米軍と一体となった軍事戦略は、戦争しない・武器を持たないことを掲げた日本国憲法に背くものであり、板橋区平和都市宣言にも反すると考えます。日本国憲法を遵守し、平和都市宣言の立場に立つというならば、国が過ちを繰り返さないために戦争のための準備をやめ、対話による平和外交への転換をと声を上げるべきではないでしょうか。区長の認識を伺います。

(4)区民参加・区民参画について


 この項の最後に、区長の区民参加・区民参画に対する認識について伺います。区長は初当選した1期3年目の2009年7月に自治基本条例等検討会を設置し、参加と協働のまちづくりをさらに進めていくための条例等の必要性と方向性についてを諮問し、検討会では計6回の審議が行われましたが、条例は制定されませんでした。当時の諮問書には、2005年10月に議決された基本構想を実現するため、区民参画の機会の拡充、開かれた区政の推進、協働によるまちづくりの推進と協働の仕組みづくりが求められていると記されています。この考えは生かされているでしょうか。この間、区の事業や施策についての検討過程で区民参加として行われているのは、基本的にはパブリックコメントや説明会の開催が中心です。説明会では区の考えを説明されるだけで、意見が反映されていると感じないとの声が渦巻いています。パブリックコメントは、ほとんど区の考えを回答されることが多く、検討過程に参画できたという実感はありません。また、2年に一度実施されている区民意識意向調査では、平成21年、23年には区政への参画や声の反映についての設問があったものの、その後の調査には設問さえありません。住民自治に対する考えや区民参画への姿勢が後退しているのではありませんか。区が区民参加の根拠としている区民参加推進規程は自治基本条例の検討前から設置されていたもので、区民との協働を目的としていますが、参画に関する規定はありません。区民参画を重視するならば区民参加推進規程を見直し、区民参画を区政の運営の柱に位置づけるよう求めます。区長の認識を伺います。

2.貧困・格差の是正を
(1)区民生活への支援を


 次に、貧困と格差の是正を求めて質問します。
 初めに、区民生活への支援についてです。厚生労働省が昨年7月に公表した日本における最新の相対的貧困率は15.4%で、先進国では最下位です。特にひとり親世帯の貧困率は44.5%と突出して高く、深刻な状況が続いています。株価がバブル期の最高値を超えても実体経済には反映されず、GDPも世界第2位から4位へと転落しました。株主への配当が増える一方で、雇用の非正規化などにより賃金が抑えられてきたことが要因と指摘されています。こうした状況を踏まえた対策が急務です。区長は施政方針説明でも区民生活について、物価高騰などの影響を受け依然として厳しい状況が続くと述べました。区民生活が厳しいと考える具体的な指標をお示しください。また、区民生活への支援についてスピード感を持って対応するとも述べています。しかしながら、当初予算には給付金支給など区民に直接届く新たな経済的支援は盛り込まれていません。今も区民生活は厳しい状況が続いているとしながら、なぜ新年度予算にそのための支援を盛り込まなかったのでしょうか。国の様子を伺うのではなく、区としてスピード感を持って対応すべきです。住民税均等割のみ世帯を含む給付金は、今年度受給された方も含め、継続して支給すべきです。併せて、給付金の対象を本人非課税の方などへも拡大するよう求めます。見解を伺います。

(2)賃上げと公契約条例の制定を


 次に、賃上げと公契約条例の制定を求めて伺います。厚生労働省が2月6日に発表した毎月勤労統計調査によると、2023年の実質賃金は前年比2.5%の減となり、2年連続で減少しています。また、総務省の家計調査でも月額消費支出が2.6%減少しており、賃金の伸びを物価高騰が上回り、家計の節約が強まったことが表れています。経済の底上げのためには、個人消費の回復が欠かせず、物価上昇を上回る大幅な賃上げが必要です。区長は、賃上げの必要性についてどう認識していますか。見解を伺います。私たちは、これまで繰り返し公契約条例の制定を求めてきました。それは、公共事業における人件費の適正化は発注者にも責任があるからです。区は基本的には労使間交渉によるものとしていますが、昨年度から契約金額3000万円を超える工事について契約時に労働環境チェックリストを配付し、提出を求める取組を始めました。重要な前進ですが、一方で調査の内容は最低賃金を超えているか、時間外を支払っているか、適正な金額かというもので法令に従う内容にとどまっています。賃上げについて、区として責任を果たすためにはさらなる改善が必要です。賃上げについて、区ができることをお示しください。併せて改めて公契約条例の制定を求めます。見解を伺います。

(3)必要なケアが受けられる制度へ


 次に、必要なケアが受けられる制度を求めて伺います。介護人材の不足が深刻化しています。厚生労働省は人材確保を目指し、処遇改善として月額9000円の賃上げを行ってきました。2024年の改定でも介護報酬を1.59%引き上げ、賃金は月額6000円の増となるとしています。しかし、上げ幅が小さすぎること、訪問介護の基本報酬がマイナス改定になっていることに批判が寄せられています。訪問介護の基本報酬引下げは事業所の倒産や閉鎖を引き起こし、介護人材の確保も困難で大問題です。国に対し、撤回するよう求めます。見解を伺います。職員の処遇改善、物価高騰対策、感染症対策を含む介護サービスの向上のためには10%以上の大幅改定の実施が必要です。それも併せて求めていくよう要望するものです。大人に代わり、家族の世話や介護を担うヤングケアラーへの支援も急務です。2022年4月に厚生労働省が行った初の全国調査では、約15人に1人の子どもがケアを行っていることが分かりました。ケアを始めた年齢は10歳から12歳が40%と最も多いものの、6歳以前からという子どもも17.3%に上り、ケアに当てる時間が長いほど学校生活に支障が出ていることも浮き彫りになっています。一方で、特にきつさを感じていないという答えが半数に上るなど、家族へのケアが常態化し、大変さを自覚できていない可能性が指摘されています。子どもの状況を的確につかみ、寄り添う支援が求められています。板橋区はヤングケアラーへの支援体制の強化を図るため、新たにヤングケアラー専門のアドバイザーを設置し、関係機関のサポートや関係機関同士のスムーズな連携体制づくりを進めるとしています。問題は支援の具体化です。子どもが子どもとして過ごすことができること、そして子ども自身のケアも求められています。例えばひとり親家庭への家事援護者派遣事業の拡充など、現行制度では埋まらないはざまを補う事業を実施すべきです。見解を伺います。

3.行財政運営について
(1)アウトソーシングと人材確保・育成について


 次に、行財政運営について伺います。
 まず、アウトソーシングと人材確保・育成についてです。公務労働のアウトソーシングによって、公務員に保障されている雇用の継続・安定、生活の安定的保障、労働条件は適用されません。委託や指定管理者制度の場合、区との契約による収入から収益を上げる必要があり、コスト削減の矛先は委託先の労働者に向けられます。また、民営化による影響も同様です。№1実現プランの改訂では、新たに区立保育園と福祉園の民営化を進めることが示されています。現状でも民間事業者が運営する施設があることを民営化の根拠としていますが、保育園でも福祉園でも区立としての加算がなければその労働条件は維持できません。アウトソーシングの拡大により、公務労働を担う労働者の雇用や労働環境が低下することについて、区はどのように認識し、また区としてどう責任を果たすのか見解を伺います。

 今後人材確保が困難になると言いながら、職員削減を進めることは問題です。児童館のあり方検討では、一部施設で指定管理者制度を導入することを示唆しています。また、区立保育園は今後9園を民営化する方針です。区は児童福祉に関わる職場を手放して、児童相談所を含む子ども家庭総合支援センターの人材をどのように確保し、育成するのでしょうか。また、区が適正とする職員定数・職員配置の下で特定事業主行動計画で掲げた自らの目標の多くが達成できていません。人材育成活用方針では人材育成計画を策定し、推進するとしていますが、その内容は公表もされておらず、計画と言えるのか疑問です。いつまでに、どのように人材育成や確保を図るのか、具体的な計画の策定と公表を求めます。

(2)財政運営について


 次に、財政運営についてです。新年度予算案における予算規模は、一般会計で今年度比6.6%増の2530億円となっています。歳出が157億5000万円の増となり、財政調整基金から25億2300万円繰り入れるものの、特別区民税や特別区交付金の増による堅調な歳入環境が見込まれるとしています。区の財政運営指針では、全般的な考え方として最初に収支均衡を基本とする財政運営を掲げ、当初予算において財政調整基金からの繰入れを行う際には緊急財政対策を講じ、一律シーリングなどの歳出削減が行われてきました。しかし、昨年示された新年度の予算編成方針で緊急財政対策は解除され、区長の施政方針でも区財政の厳しさは強調されていません。財政状況が好転していることを示すものです。こうした中、区は№1実現プラン2025の改訂に合わせて新たに基金及び起債の活用方針を定めました。今後の実施計画で必要になるであろう経費を試算し、義務教育施設整備基金は令和4年度末残高の約387億円から令和17年には約69億円に、公共施設整備基金は令和4年度末残高の約237億円から令和16年度にはマイナスに転じ、約36億円の不足が生じると予測しています。これらを踏まえ、義務教基金は年間25億円、公共施設整備基金は年間22億円を積立額の目安とし、財政調整基金は標準財政規模のおおむね20%から30%にするとしています。令和4年度決算で見ると、財調基金は277億円から417億円の幅となり、積立ての上限が現在の残高より100億円ほど引き上がることになります。区はこれまで示してきた平成29年、令和2年度に示された基金・起債活用方針についてどう総括したのでしょうか。また、新たな方針に照らせば、今後さらに基金を積み上げていくということになるのではありませんか。見解を伺います。

(3)福祉事務所の統合と障害者支援について


 次に、福祉事務所の統合と障がい者支援についてです。さきの本会議において、現在3か所ある福祉事務所を1所に統合する議案が賛成多数で可決しました。今後は板橋区福祉事務所となり、板橋・赤塚・志村の事務所は福祉課として引き続き地域担当業務を担います。また、障がい者支援についても組織の再編が行われます。区が検討してきた包括的支援体制構築に向けた福祉事務所の今後の展開について(最終報告)では、障がい者支援について障がいの種別などにより相談や支援窓口が分散していることを課題に挙げ、区民の利便性向上に向けた一貫した支援体制の構築実現に向けた検討が必要としてきました。しかし、この間の議会質疑で明らかになったのは、障がい者の相談窓口や支援はワンストップにはならないということです。今回、福祉事務所の障がい者支援係を健康福祉センターに移しますが、係が設置されるのは板橋・志村・赤塚のみで、上板橋・高島平の健康福祉センターには設置されません。そのため、両地域の精神障がいの方々は別のセンターに行くことになります。知的や身体障がいの方も児童と成人によって手続場所が変わること、これまで赤塚で全て済んでいた方も本庁舎に行かなければならないことなど利便性が向上するとも言えません。そもそも、福祉事務所の統合と障がい者支援の一本化の議論のスタートは、現場の過重負担の軽減にあったのではないでしょうか。区が実施した職員アンケートでも、とにかく人が足りていないとの回答が多数を占めています。今回の統合・再編では人員体制の強化も図られず、利用者にとっても複雑かつ不便になるもので問題の解決になっていません。区の最終報告では障がい者への一貫した支援を実現するとし、ワンストップ化を図るとしています。一方で、議会でもワンストップにはならないと述べており、整合性がありません。区が言う一貫した支援とはどういうことなのでしょうか。また、職員の体制が強化されていない理由についても併せてお答えください。

(4)児童館あり方検討とあいキッズについて


 次に、児童館のあり方検討とあいキッズについてです。区は2022年6月に公布された改正児童福祉法に基づき現在の児童館のあり方を見直すとし、包括的支援体制構築に向けた子育て応援児童館CAP’Sの今後の展開についての最終報告を取りまとめました。この中で今後の児童館について、乳幼児親子を主たる対象とした児童館という特色の維持は前提としつつ、地域子育て相談機関への拡充、夜間の中高生や若者の居場所としての活用、小学生を含む乳幼児以外の利用を想定して土日・祝日の開館などを検討するとし、一部の児童館では指定管理制度を導入するとしています。区立児童館は児童福祉法に基づく児童厚生施設として位置づけられ、ゼロ歳から18歳の子どもの利用を前提とした施設です。区は2016年度から新たな児童館として現行の乳幼児親子を主たる対象とした児童館に改め、それまで多くの利用があった小学生の利用を大幅に制限し、学童期の子どもの居場所はあいキッズであるとしてきました。またその際、38館あった児童館を原則18地区に1館の配置とし、12館を廃止しました。児童館を居場所としていた多くの小学生が行き場をなくし、身近にあった児童館がなくなることにたくさんの反対の声がありました。そうした声を区は受け止めてきたでしょうか。今回の検討に当たり小学生の大幅な利用制限、そして12館を廃館したことについて、どう総括したのかお答えください。あいキッズについても見直しが必要です。さきも述べたとおり、前回の児童館の再編に当たり、区は小学生の放課後の居場所はあいキッズとし、その利用を促進してきました。あいキッズは、就労家庭の児童を対象したいわゆる学童保育と全児童を対象とした事業を一体で運営しています。家庭環境によらず全ての子どもが一緒に過ごせること、学童保育としての待機児を生まないことなどを利点としています。一方で、利用の多くが就労家庭の子どもであり、5時までの時間帯でも学童機能の強化が求められています。あいキッズについて、放課後から5時までの時間帯についても子どもに寄り添った対応ができるよう人員体制の強化を図り、学童機能の充実を求めます。見解を伺います。

4.区有地活用のあり方について
(1)まちづくりと区有地活用について


 次に、区有地活用のあり方について伺います。
 まず、まちづくりと区有地活用についてです。区は現在、駅周辺の整備と一体での再開発を前提とした大規模なまちづくり事業を区内4か所同時並行で進めています。いずれもにぎわいをテーマに掲げ、超高層住宅の建設や商業施設の併設、広場や道路の整備を進めるものです。全国各地で同様の整備が進められ、同じような街並みになってしまうのではという声は少なくありません。その地域の人々の暮らしを壊さず、板橋のよさを生かしたまちづくりに転換すべきです。特に問題なのは、こうした事業の種地として区有地が活用されていることです。板橋駅西口周辺地区のまちづくりでは、区が1992年に国際交流を目的として取得したB用地と隣接するJR東日本用地を一体的に活用し、計画を進めています。再開発事業で整備される建物は、地上34階建てで6階から最上階までを住宅施設、5階に子育て支援施設階に区が整備する公益エリア、地下1階から地階までを商業施設という施設構成が示されています。区は公益エリアの賃料は地代収入の範囲内となるよう、JR東日本と覚書を交わしています。この公益エリアはインターフォーラム構想の下、区民プラザと交流ラウンジの設置が計画されていますが、もともとのB用地の面積からほぼ半減です。B用地を単独で活用すればより多くの床面積を確保することが可能であり、有効に活用できたのではないでしょうか。結果として、民間事業者に区有地を差し出すことになっています。区民の財産である区有地は、行政目的にこそ活用すべきです。見解を伺います。

 大規模な開発事業により、周辺の地代や賃料が上がることも懸念されます。また、こうした開発が呼び水となって新たな開発が狙われ、住民追い出しにつながりかねません。賃貸で借りている人や小規模地権者など、弱い立場の方にしわ寄せが行くのではないでしょうか。周辺地域の方々への影響と併せ、区有地を提供しているという区の責任についての認識を伺います。

(2)旧高七小跡地活用と高島平地域まちづくり


 次に、旧高七小跡地活用と高島平地域まちづくりについてです。高島平地域のまちづくりは高島平二丁目と三丁目を重点地区とし、その中で高島平駅とUR賃貸二丁目団地33街区の駅周辺エリア、旧高七小跡地を含む2ヘクタールの公共用地を再整備地区、その一帯を交流核エリアと位置づけ、現在交流核プランの検討が進められています。1月27日、29日には交流核形成まちづくりプランの説明会も開かれました。参加者からは早く進めてほしいと肯定的な意見がある一方で、どこに何ができるのか分かりにくい、イメージが共有できないといった意見も出されました。プランには、具体的に駅と団地のある周辺をつなぐペデストリアンデッキの整備と、旧高七小跡地に110メートル程度の超高層建物を設置すると記載されています。このことをどれだけの方が認識しているでしょうか。また、認識している方からは、なぜ30階建て以上もの超高層建物を建てなければならないのか、どこが高島平らしさなのかといった多くの疑問の声が上がっています。これまでの説明で、区とURの考えを地域住民が共有できた、理解し納得したと思わないでいただきたい。旧高七小跡地は地域にとってかけがえのない空間です。なぜ建物の上限を110メートルに引き上げ、超高層建物を建設しなければならないのでしょうか。その理由をお答えください。
 高島平二丁目33街区の住民は、建て替えのため転居を余儀なくされることに大変不安を感じています。これまでの説明会でも、個別の案件のため答えられないなどと言われ、転居がいつになるのか、費用はどうなるのか、疑問に答えてもらえません。そもそも団地建て替えの種地として、旧高七小跡地を活用すると説明されてきましたが、プランでは団地再生を含む連鎖的都市再生に活用するとなっており、団地建て替えの種地との文言がありません。33街区にある約2000戸に代わる住戸は用意されるのでしょうか。また、どのように解体や転居が進められるのか、団地建て替えの影響を受ける居住者にまず説明すべきではありませんか。お答えください。
 

 

5.スフィア基準に沿った災害対策へ

 次に、スフィア基準に沿った災害対策を求めて伺います。
 能登半島地震の発生から2か月以上が経過しました。これまでに亡くなった人は、災害関連死が疑われる方も含め240名以上に上っています。被害に遭われた方々に心からお見舞いとご冥福を申し上げます。阪神・淡路大震災から29年、東日本大震災から13年目となりますが、教訓は生かされているでしょうか。今回の地震では住宅の被害も大きく、1万人以上の方々が避難し、いまだに断水が続く地域もあるなど、厳しい避難生活が続いています。トイレの不足、1か月たっても温かく栄養ある食事が行き届いていない、学校体育館での雑魚寝状態、車中泊や農業用ハウスなどに避難している方がいるなど、災害関連死のおそれや体調不良を引き起こす環境と指摘されています。緊急事態だから仕方がないとは言えません。日本と同じ地震大国と言われるイタリアでは、2009年に発生した中部ラクイラ地震で約6万3000人が家を失いましたが、48時間以内に6人用テントが3000張、設置されています。テントは10畳ほどあり、エアコンもついています。温かい食事の提供や衛生的なトイレやシャワーも用意されています。また、そもそも体育館に雑魚寝という状況はありません。緊急時であっても人としての尊厳を守ることが当たり前に行われているからです。国際赤十字が示すスフィア基準は、人道憲章と人道対応に関する最低基準であり、災害や紛争の被災者には尊厳ある生活を営む権利があり、援助を受ける権利があるとしています。また、避難者への支援は、第一に国家に役割と責任があると示されています。内閣府の避難所運営ガイドラインではスフィア基準を紹介しているものの、避難所の質の向上に対する国の責任や役割については触れておらず、自治体任せ、さらには被災者の自己責任との姿勢が表れています。国に対し、命と尊厳を守ることを求めると同時に、区の姿勢も問われます。板橋区は現在、防災計画の改定を進めていますが、防災計画において、緊急時でも命と人権を守ることについてどのように位置づけているでしょうか。答弁を求めます。

 昨年8月、板橋区は全国で初となる、被災者を相互に受け入れる自治体間連携の協定を締結しました。災害関連死をゼロにすることを目指すとしていますが、この姿勢は発災直後から貫かれるべきです。被災者への対応についてスフィア基準を適用した場合の必要量を明らかにし、それを前提とした計画に改めるよう求めます。見解を伺います。

6.子どもの権利を貫く教育を
(1)施設一体型小中一貫校の整備について


 次に、子どもの権利を貫く教育を求めて質問します。
 まず、施設一体型小中一貫校の整備についてです。区は現在、いたばし魅力ある学校づくりプランに基づき、志村小と志村四中を区内初の施設一体型小中一貫校として整備するとし、新年度予算案では整備計画が計上されています。区は、地域における協議会などで検討を重ね、施設一体型で整備するとの方向に至ったとしています。しかし、区議会には繰り返し計画の見直しを求める陳情が出され、区の説明に納得いかないとの意見が上がり続けています。計画策定に至る経緯やその検討過程、また区の姿勢に対する信頼が大きく崩れています。また、そもそも子どもたちの教育環境が改善するとは言えないことも問題です。学校施設には小中学校それぞれに校庭の敷地面積等の基準が設けられていますが、小中一貫校には適用されません。そのために、今回のように1校分の敷地に2校分の校舎を建てることが可能になります。共有スペースを削減できると言われますが、そのこと自体が教育環境の後退であり、コスト削減ありきと言わざるを得ません。実際、放課後の利用や運動会などに支障が出ることが判明しており、教育環境の悪化は明らかです。課題を解消できない施設一体型小中一貫校の整備はやめるべきです。見解を伺います。

(2)教員不足の解消に向けて


 次に、教員不足の解消に向けてです。文部科学省が全国の都道府県と政令指定都市の教育委員会に行った調査によると、2023年度開始時点における教員不足の状況は、1年前より悪化したと回答した件数が43%に上り、依然として厳しい状況にあることが分かりました。文科省は、教員免許を持ちながら教職に就いていない人向けの研修を推奨するなど、自治体に対し人材確保策の実施を促しています。しかし、教員の成り手が不足している要因は明確で、仕事が大変だからです。幾ら仕事をしても残業代も支払われず、子どもたちがいる間は休憩もままならず、次から次へと授業をこなさなくてはならないという状況にこそ問題があるのです。こうした働き方を抜本的に改善せず、教員不足が解消できるはずがありません。にもかかわらず、文部科学省は教員免許を持たない人の活用をさらに拡大することを検討しています。教員不足を補うために、教員資格のない人が教員として授業を行うことは、教職のあり方を根底から覆すものであり、教員資格の形骸化につながるものです。教員の専門性に対する認識と併せて区の見解を伺います。教員不足は子どもたちの教育を受ける権利を奪うことにもなり得る重大な問題です。教員を増やすためにも少人数学級の拡大を図るべきです。見解を求めます。
 

(3)包括的性教育の推進を

 最後に、包括的性教育について伺います。2023年6月に発表された、内閣府の子ども・若者性被害調査によると、16歳から24歳の4人に1人以上が何らかの性暴力被害を受けており、性交を伴う被害に遭った人のうち、最初の被害年齢は中学生以下が24%と深刻な状況が浮き彫りになりました。実態を踏まえ、刑法の改正が行われましたが、それだけでは解決できません。専門家からは、包括的性教育が最重要課題との意見が出されています。包括的性教育とは、性は人権との立場でお互いの性を尊重する人間関係を築くことを目指すものです。具体的には、2018年に改訂された国際セクシュアリティ教育ガイダンスに示されています。人間関係、価値観・人権・文化・セクシュアリティ、ジェンダーの理解、暴力と安全確保、健康と幸福のためのスキル、人間の体と発達、セクシュアリティと性的行動、性と生殖に関する健康などの8つの柱を年齢層に区分して学習することが掲げられています。自らの人権と健康を守る上で、体と性を学ぶ教育の推進は人権課題であり、子どもの権利を保障する重要な取組です。教育長は、包括的性教育が最重要課題だとする専門家の意見についてどのように認識しているでしょうか。お答えください。
 

 以上をもちまして、日本共産党の代表質問を終わります。

◎区長(坂本健) 

 それでは、竹内 愛議員の代表質問にお答えいたします。
 

 最初は、収入の未申告に対する認識についてのご質問であります。政治資金規正法違反の疑いで起訴された事案については、報道により承知はしておりますが、有罪と確定していない個別の件に関しまして、認識を述べる立場はないと考えております。

 続いて、区長選への支援についてのご質問であります。昨年4月の区長選挙においては、立候補に際して掲げました私の政策に賛同していただく方々に応援を頂いたものと認識しております。区民の皆さんの信託に応え、東京で一番住みたくなるまちを実現することが私の使命でありまして、あたたかい人づくりを信条に、新たな時代を切り開き、将来に夢と希望が持てる持続可能な区政運営を目指し、全力で邁進してまいります。

 次は、ジェンダー平等・女性差別撤廃に向けて、賃金格差の是正をとのご質問であります。区職員における男女の給与の差異は、給与設定が高い係長職以上の管理監督職の男性職員比率が高いことが主な要因であると考えています。管理監督職の女性職員比率を向上するために、昇任制度の全体像の周知やロールモデルなどとなる女性職員の配置、継続的な受験勧奨など、昇任意欲の醸成を図っていきたいと考えます。職員給与の男女差異の情報公開につきましては、法令に基づくものでありまして、他自治体の公表内容等を参考としながら、より分かりやすい表現方法を探求していきたいと考えています。

 次は、戦争準備やめよの声を板橋からとのご質問であります。現在、日本を取り巻く安全保障環境については、厳しく複雑な状況とも言われておりまして、国は、憲法が掲げる恒久平和主義と国際協調主義に基づきまして、国際平和に向け積極的な外交に努めるとともに、様々な取組を進めていると認識をしております。したがいまして、国の方針は、世界の恒久平和を宣言する板橋区平和都市宣言と軌を一にすると考えております。今後も、平和都市宣言を掲げる自治体の長として、安全保障に関する動向に注視していくところでありますが、現時点においては、具体的な何らかの行動を起こす考えはないところであります。

 次は、区民参加・区民参画についてのご質問です。区民参加推進規程においては、参画という文言は用いてはおりませんが、計画の立案・実施・評価などの各段階において、様々な方法による参加と協働を推進する責務を定めております。また、板橋区基本計画2025においても、計画を推進する区政経営の基本方針において、区民参画の機会の拡充を図っていくとしております。区民参加推進規定を見直すまでもなく、それぞれの計画や事業に適した区民参画の機会の充実を図りながら、施策の展開、次期基本計画の策定に取り組んでいきたいと考えます。

 次は、生活が厳しいと判断する指標についてのご質問であります。施政方針においては、日々、区民の方々と接する機会や寄せられる声などから受けております実感を述べたものでありまして、特定の指標を根拠として判断をしているものではないところであります。区民の生命と財産を守ることを第一に、生活実態について物価指数などの数値を把握するほか、区民の声に耳を傾けながら、引き続きスピード感を持って対応していきたいと考えています。
 

 次は、生活支援臨時給付金に関連いたしまして、来年度の継続支給についてのご質問であります。国は、令和6年度に新たに住民税非課税及び住民税均等割のみ課税となった世帯を対象に、給付金を支給する制度を示しております。令和6年度のいたばし生活支援臨時給付金については、国が示した制度で実施することとしておりまして、夏頃の支給に向けて準備を進めているところでございます。
 

 続いて、給付対象の拡大についてのご質問であります。来年度、国は給付金対象外の世帯について、原則、合計所得金額が1805万円以下の納税義務者に定額減税を実施し、可処分所得を増やす考えであります。また、定額減税額を控除しきれない方については、新たに調整給付を実施していく考えであります。今回、国は幅広い世帯を対象として事業を実施するため、区独自の給付対象拡大については、これらの動向に注視しながら状況に応じて検討していきたいと考えています。

 次は、賃上げにつなげる区の対応についてのご質問です。区は、板橋区が発注する契約に係る労働環境の確認に関する要綱の制定や最低制限価格の引上げなど、賃金をはじめ労働環境の向上につながる新たな取組を実施しております。また、業務請負契約につきましては、人件費を含め、最新の各種指標、事業者の見積りなどに基づきまして、適切な予定価格が設定できるように努めているところでございます。

 次は、公契約条例の制定についてのご質問です。区は、公契約に係る労働環境向上への取組を具体化した労働環境の確認に関する要綱を制定して、令和5年度契約から労働環境チェックシートを運用しています。今後は、チェックシートの分析と活用を進めるほかに、業界団体や働き手の方々の現場の声を伺いながら、効果的な制度のあり方について検討を進めていきたいと考えています。

 次は、介護報酬の引下げについてのご質問であります。今回の改定では、訪問介護の基本報酬など一部が引き下げられるものの、介護職員に対する処遇改善の加算が大きく引き上げられるなど、介護報酬全体ではプラス改定となるところであります。このことから、他の介護サービスよりも利益率や人件費率が高い訪問介護事業においては、事業所全体で見た利益を改定前同様に確保できるとする国の考え方があったものと考えて捉えております。これらにつきましては、課題であった介護職員の確保・定着に向けた取組であることから、区としては国に対して、訪問介護の基本報酬の引下げ撤回を求める考えはないところであります。

 次は、ヤングケアラーに代わって家族のケアができる事業の実施についてのご質問であります。今年度、区が実施しましたヤングケアラーの実態調査のアンケートにおいては、お世話を代わりにしてくれる人が欲しいという切実な子どもの声もございまして、その対応は喫緊の課題であると認識をしております。まずは令和6年度からヤングケアラー・アドバイザーを配置し、関係機関の連携体制の強化や、子どもたちのヤングケアラーに対する認識を高める事業を実施したいと考えます。日常的にケアを担い、厳しい状況に置かれた子どもとその家族の双方に対しまして、必要な支援が行き渡るように、区において組織横断的な対応を行っていきたいと考えています。

 次は、アウトソーシングによる労働環境の低下についてのご質問であります。業務委託や指定管理者制度を導入することが、直ちにそこで働く労働者の雇用や労働環境の低下につながるという考えはないところであります。区は、適切な人件費の算定を行うほかに、労働環境チェックシートなどによって、受託事業者に対して労働関係法令の遵守を求めているところでございます。また、指定管理者制度においては、社会保険労務士による点検を実施し、従業員が安定的・継続的に従事できる環境が保たれる手だてを講じているところでございます。

 次は、人材育成や確保の計画策定・公表についてのご質問であります。№1プラン2025(人材育成・活用計画)に基づく実施計画として、板橋区職員レベルアッププランを毎年度策定しております。プランは、当該年度の研修予定やスキルアップに対する支援制度など、職員向けに人材育成の施策や方向性を共有する内容としておりますが、令和6年度からは公表していきたいと考えています。一方、喫緊の課題である人材確保に向けましては、新たに着手している人材確保事業の効果検証等を行いながら、次期、人材育成・活用計画の策定につなげてまいりたいと思います。

 次は、財政運営についてのご質問です。新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けたところでありましたが、それまでは基金及び起債活用方針によりまして、計画事業を着実に推進してまいりました。今回は№1プラン2025の改訂に伴いまして、公共施設等マスタープランの中長期的な改築・長寿命化改修等に必要となる経費の試算を受けて、これに基づいた新たな方針として定めたものであります。景気後退期においても着実に計画事業を進め、安定的な財政運営を行うための方針であり、基金への積み増しを目的とするものではないと考えています。

 次は、福祉事務所の統合と障がい者支援に関連いたしまして、一貫した支援についてのご質問です。今回の組織改正によりまして、障害者手帳の申請業務を新設する障がい相談係に集約をし、手帳交付までの期間短縮など、区民サービスの向上を図ってまいりたいと考えます。同様に新設する障がい児支援係においては、障がい児の支援機能を本庁舎に集約をし、通園相談や就学相談など、子どもの成長過程に合わせた一貫した支援を行いたいと考えます。障がい者へのサービス提供については、相談窓口を健康福祉センターにすることによって、障がいの種類にかかわらず、福祉と保健の両部門が連携して支援する体制を整備したいと考えています。

 次は、福祉事務所の体制強化についてのご質問です。今般、条例を改正し、福祉事務所の所管区域を1つにすることによって、これまで3つの事務所で重複していた経理や調査等の業務を集約し、効率化を図ったところであります。これによって生じました資源をケースワーク業務に充てることによって、職員の負担軽減を図るとともに、区民へのより丁寧な支援を行う体制へと強化をするものと考えています。

 次は、前回の児童館あり方検討の総括についてのご質問です。区では、小学生の居場所としてあいキッズを整備し、児童館は乳幼児親子に重点化したCAP’Sへと変革することによって、各施設のメインターゲットを明確化し、事業の質と訴求力を高めることができたと認識をしています。一方、見直しから8年が経過し、こども家庭庁の設置や児童福祉法の改正、子ども家庭総合支援センターの開設など、子育て支援策を取り巻く環境は大きく変化をしております。現状にとどまることなく、求められる子育て支援策の変化を的確に捉えて、乳幼児親子や子どもたちに寄り添う施設としてさらなるバージョンアップを図っていきたいと考えています。

 次は板橋駅前用地の活用についてのご質問です。これまで区有地が持つポテンシャルを最大限に生かし、区政の伸張発展につながる魅力発信や交流・定住人口の増加に資する活用の視点において議論を重ねてまいりました。駅前にふさわしい、にぎわい・交流の拠点として、多くの区民の皆さんが誇りに感じられるような場所となるように、公益エリア整備計画の検討を進めていきたいと考えます。

 続いて、大規模開発による周辺住民への影響についてのご質問です。現在、区が進めております再開発事業等については、建物の共同化による防災性の向上や、道路、公園、広場等の整備、さらに駅前拠点の形成など公共性の高い事業であります。事業を進めるには、区が都市経営・地域経営の視点において主導的役割を果たして、区有地を地域の実情に応じて有効活用して、最大限の効果を生み出すことが重要なものと認識をしております。区としましては、まちづくり事業の目的や区有地の活用において得られる効果などについて、引き続き区民に丁寧に説明をしていくことによって、責任を果たしてまいりたいと考えています。

 次は、旧高七小跡地の地区計画についてのご質問です。高島平においては、地域の特徴である緑豊かな空間を生かし、駅周辺にふさわしい機能の集積や住環境の保全、魅力的な空間の形成を誘導するため、地区計画を検討しております。旧高七小を含む再整備地区においては、都市再生の起点として限られた区有地を有効に活用し、土地の合理的かつ健全な高度利用により、住宅や商業機能を配置する方針であります。周囲の住環境に配慮しながら、敷地内に広場を確保した上で、豊かな暮らしを支える機能を適切に誘導するために、建物の高さの上限を110メートル程度とするものであります。

 次は、UR団地の建て替えについてのご質問です。区が策定中の交流核形成まちづくりプランにおいては、再整備地区の区有地の一部をURの団地再生に活用し、居住の安定に資する住宅等を配置する方針を示しております。現在は、まちづくりプランの今月末の策定に向けて検討を進めている段階でありまして、再整備地区における建物の整備については、住宅の戸数を含めて具体的な計画はないところであります。区は、UR団地の建て替えに対しまして、直接的に関与するものではありませんが、居住の安定に配慮した検討や居住者への丁寧な説明を行うように、URに対しては引き続き求めてまいりたいと思います。

 次は、スフィア基準に沿った災害対策に関連いたしまして、地域防災計画での位置づけについてのご質問であります。地域防災計画においては、冒頭の第1部総則における第1章、地域防災計画の概要の中で、命を守ることと人権を保障することについて記載をしております。命を守ることにつきましては、計画の目的として、区民の生命、身体及び財産を災害から保護することを目的とすると全体の最初の項で明記をしております。また、人権を保障するという内容は、計画の前提として、人権や配慮すべき多様な視点に立った防災計画を推進していくと明記をしております。

 次は、スフィア基準を適用した地域防災計画についてのご質問であります。スフィア基準はスフィアハンドブックにまとめられました、被災者に支援活動を行う際の国際基準であると認識をしております。災害時には特に命を守る4分野としましては、給水・衛生、食料、避難所、保健医療でありますが、第一歩として避難所について取り組みたいと考えます。避難所について、発災後の1週間程度までは1人当たりの面積を1.75平米とし、それ以降の期間については、スフィア基準である3.5平米とすることについて検討していきたいと考えています。
 

 残りました教育委員会に関する答弁は教育長から行います。

◎教育長(中川修一) 

 それでは、竹内 愛議員の教育委員会に関する代表質問にお答えします。


 初めに、あいキッズにおける学童機能の充実についてのご質問ですが、学童保育の待機児童が社会的な課題となる中で、板橋区のあいキッズは保護者の就労などの状況によらず、希望する全ての児童の受入れを実現し、学童機能も果たしてまいりました。人員体制につきましては、有資格者などの人材の確保に課題はあるものの、国の補助制度などの活用による、さらなる体制の強化に向けた研究を行っているところです。今後も、DXの推進による新たなシステムの導入や学校の改築改修に伴う環境整備などにより、学童機能のみならず、あいキッズの様々な機能における質の向上を図ってまいりたいと思います。


 次に、施設一体型小中一貫校の整備に関しまして、小学校・中学校の設置基準についてのご質問ですが、平成19年の文部科学省令では、校舎や校庭面積等の基準が示されていますが、地域の実態等により特別の事情があり、教育上支障がない場合はこの限りでないとされています。板橋区の学校は、都市部の実態として基準どおりの校庭面積の確保が難しいという特別の事情がある一方で、校舎面積や設備については、基準を上回る環境を整備してまいりました。設置基準は必要であると考えますが、屋外で基準に満たない部分は、屋内の面積拡充や機能を向上させるなど、限られた状況の中でも教育環境を最大限充実させてまいります。

 次に、施設一体型小中一貫校の整備中止についてのご質問ですが、現在進めている小中一貫型学校計画では、既存校舎の合計延床面積を大きく超える広さを確保し、屋内運動場の拡充や武道場の新設など教育環境が悪化するとは考えておりません。当計画につきましては、地域や学校、保護者と共に時間をかけ検討し、教育委員会や区議会へ報告し、決定してきた経緯があり、しっかりと整備を進めてまいります。小中一貫型学校について、小中一貫教育に関する検討会検討報告書では、改築時の時期を捉えて整備を検討していくとしており、今後、魅力ある学校づくりプラン後期計画において整備の方向性を示してまいりたいと思います。

 次に、教員資格がない人の授業実施についてのご質問ですが、教員の専門性とは、教職に必要な資質や能力を基盤とした学習指導、生徒指導、特別な配慮や支援を必要とする子どもへの対応等に関するものであると認識しております。一方、文部科学省が示す、優れた知識や経験を有する社会人等に特別免許状等を授与する制度は、学校教育の多様化への対応と活性化のための取組と捉えています。

 次に、少人数学級の拡大についてのご質問ですが、少人数学級は授業や生活指導の面で、きめ細かく児童・生徒を見ることができるため、現在、算数・数学や英語の授業等で取り入れられています。加えて、授業を受け持つ教員の業務の軽減が見込まれる一方で、少人数学級を実現するには、さらなる教員の増員が必要なことから、教員不足の解消に向けては課題が残ると考えます。今後、社会全体での教員不足の課題解消のため、国や東京都の動向を注視しながら、教育委員会として、教職の魅力の向上や発信に努めてまいりたいと思います。

 最後に、包括的性教育の推進をというご質問ですが、性教育は、児童・生徒の人格の完成を目指す人間教育の一環であり、豊かな人間形成を目的に、生命の尊重、人権の尊重など、人間尊重の精神の根底を貫くものであると考えます。包括的性教育は、人権教育を基盤に、性教育だけにとどまらず、人間関係を含む幅広い内容を取り扱う教育であると理解しており、今までの性教育の理念と重なるものでもあります。板橋区では、性暴力を生まない、生命の安全教育を推進しており、今後も全教育活動を通じ、より一層、人間尊重の精神を徹底してまいります。

 頂きました教育に関するご質問の答弁は以上でございます。

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