質問日:2024月2月14日
ただいまから、日本共産党板橋区議会議員団の一般質問を行います。冒頭、能登半島地震で亡くなられた皆様に心からの哀悼の意を表し、被災された方々に心からお見舞いを申し上げます。自らも被災しながら懸命の救援活動を行っている地元自治体をはじめ、関係者の方々に心からの敬意と感謝を申し上げます。1か月半が経過しましたが、今なお厳しい避難生活を余儀なくされています。避難生活への支援と併せて、生活再建に向けた支援強化のため、私たちも引き続き取り組んでまいります。
1. 区民の命を守る災害対策を求めて
(1)地震・火災から命を守る施策を
それでは、区民の命を守る災害対策を求めて質問します。
どんな災害が起きても、区民の命と財産を守るために板橋区は最善を尽くすことが求められます。現在板橋区は、地域防災計画の改定を進めていますが、より一層実効性があり、住民の命と暮らしが守られる計画とする必要があります。まず、地震・火災から命を守る施策についてです。地震により犠牲になる直接的要因は、建物の倒壊や家具等の転倒による圧死や火災、津波による溺死が多くを占めています。この要因を取り除き、対策することが多くの命を守ることにつながります。有効な手だてとして、家具転倒防止器具や感震ブレーカーを設置することが推奨されています。家具転倒防止器具の設置については、区でも助成事業が実施されていますが、対象は65歳以上の高齢者のみ世帯、もしくはその世帯の同居者が18歳未満であること、また、障がい者のみ世帯と非常に狭くなっています。その他の世帯に対しては、ホームページ等で家具の固定の仕方を紹介しているだけです。これでは区民への対策にならず、啓発としても不十分です。専門家による調査や設置を促し、より安全性を高めるためにも、家具転倒防止器具の設置助成事業の対象世帯の拡大を求めますが、いかがでしょうか。
東京都は、木造住宅密集地域の木造住宅を対象に感震ブレーカーの配布事業を行っています。区は、2023年第4回定例会での山内えり区議の一般質問に対し、感震ブレーカーの有効性を認めた上で、都の配布事業の効果などを検証し、普及啓発、設置支援について研究・検討をしていくと答弁しています。都事業の効果検証の予定をお示しください。また、改めて区独自の対象拡大を求めます。見解をお答えください。
(2)避難生活への支援について
次に、避難生活への支援について伺います。災害で命が助かったにもかかわらず、その後の避難生活において命を落とすケースも少なくありません。いわゆる災害関連死を防ぎ、避難生活を少しでも安心できる環境にすることが求められます。様々な事情で避難所へ行くことができない方も含め、必要な全ての人に避難物資が供給できるよう対策を求め質問します。現行の避難所運営マニュアルでは、自主避難所や在宅避難している住民にも物資を届けることになっています。しかし、避難所の運営体制に任せるやり方では課題が残ります。外国ルーツの方、住民票を移していない若い方、移せない事情がある方など、区内には様々な背景の方がおり、ひとしく被災します。支援が必要な人が誰なのか、災害時にどのようにするのでしょうか。また、そのために何をしなければならないと考えているのでしょうか。区の現在の認識をお答えください。
区は現在、備蓄物資の最適化を名目に、区民には備蓄の必要性についての意識啓発を行いつつ、区としての備蓄は減らしていく、最低3日は各自の備蓄で何とかしてください、行政は4日目から物資の支援をしていきますという方向性です。さらに、昨年の第2回定例会災害対策調査特別委員会では、区としての備蓄総量を減らしていくと答弁しています。東京都防災ハンドブックなどには、最低3日分の食料備蓄、水は1人1日3リットルが必要とされています。4人家族なら12リットルの水に加え、保存食・コンロ等の機器・おむつや生理用品などの衛生用品まで準備するとなると、場所も費用もかかりますが、備蓄のための支援はありません。区民の備蓄が保障されない下で区としての備蓄の総量を減らすのは、公的責任の後退にほかなりません。例えば、低所得・高齢者・子育て世帯等に対しては、確実に備蓄できるよう経済的支援をすべきです。見解を求めます。
次に、福祉避難所について伺います。福祉避難所は、平常時は入所・通所施設として運営している施設で、災害時にはケアが必要な障がい児・者や高齢者の二次避難所として役割を果たします。区は、現在60か所程度の福祉施設と協定を締結しています。能登半島地震では、石川県内の7市町で福祉避難所の開設は想定の2割にとどまりました。2016年の熊本地震の際にも熊本市において福祉避難所の開設は半数程度であり、福祉避難所の開設の難しさが改めて浮き彫りとなりました。開設できない要因は、福祉施設の損壊や断水、施設の職員も被災・避難して人手不足になるためです。これは区内でも起こり得ることです。区が協定を締結している福祉避難所のうち、災害ごとにどの程度開設できるのか検証すべきです。人手不足を補う方策を併せた検討を求めます。
さらに、区として福祉避難所の協定を結んでいる事業者、実際に利用が想定される当事者の方々と福祉避難所の開設訓練を実施することを求めます。開設訓練を通して個々の課題解決に取り組むべきと考えますが、見解を伺います。国は、2021年5月に福祉避難所の確保・運営ガイドラインの改定を行い、協定福祉避難所だけではなく、指定福祉避難所を促進する考えを示しています。指定福祉避難所は、協定と違い二次避難所ではないため、対象者が直接その避難所に行くことができます。しかし、板橋区をはじめ多くの自治体では協定福祉避難所しかなく、対象の方でもまずは地域の避難所に行かなくてはなりません。一般の避難所に行かずとも、どの福祉避難所に行ったらいいか分かるように、マッチングができるような仕組みを構築すべきです。また、必ず開設できる、必ず避難できる福祉避難所とするために、指定福祉避難所を設けるべきです。そのために必要な準備を進めることも併せて求めます。見解をお示しください。
(3)災害時でもこどもの権利保障を
次に、災害時でも子どもの権利保障を求めて伺います。災害が起きたとき、その直後は毎日を生きることで大人も精いっぱい、少し時間が経過しても、自宅の再建や就業の再開準備と、やるべきことや判断すべきことが次から次へとやってくる中で、子どもの変化に気づき、ケアすることは難しい状況です。東日本大震災で被災した子どもたちは、周囲の大人に遠慮をしたり、小さい子どもに気を遣って自分が遊ぶのを我慢したり、いらいらして怒りっぽくなるケースや、朝起きたときに腹痛や頭痛、吐き気などを訴えるケースも多かったということです。災害時の子どものメンタルヘルスに詳しく、東日本大震災でも支援活動に当たった臨床心理士の方は、子どもたちは体力がある分、ストレスを自覚しにくいところがある。ストレスを解消するには、子どもたちがいつもどおり遊べる時間と場所を確保することが一番有効だと指摘しています。区の防災計画にこの視点が十分に盛り込まれているとは言えません。板橋区の避難所マニュアルに、子どものケアの視点で居場所の確保、専門家の派遣を明記すべきです。また、区の災害対策に子どものケアの視点を持つべきです。いかがでしょうか。
こども家庭庁は、被災時の柔軟な教育・保育の提供について特別な配慮をするよう通知をしました。災害時に、例えば保護者がけがを負ったり死亡するなどし、子の養育状況が変わった場合の対応が必要です。保育所、児童養護施設、区立幼稚園では、今まで当該施設を利用していなかった子どもも緊急的な場合には受入れ可能にすべきです。早急な対応を求めますが、見解を伺います。
2.区立天津わかしお学校の存続と拡充を求めて
次に、区立天津わかしお学校の存続と拡充を求めて質問します。区立天津わかしお学校は、ぜんそくや虚弱などの児童の転地療養を目的に設置された区が運営する特別支援学校です。在籍児童は親元から離れ、併設されている寄宿舎で寝起きをします。いたばし№1実現プランでは、区立天津わかしお学校のあり方検討の最終報告をする年度となっています。平成28年1月のあり方検討最終報告の運営基準では、著しく児童数が減少し、回復の見込みがない場合には閉校を検討するとありますが、現在の天津わかしお学校はこの運営基準に該当しますか。見解をお示しください。
天津わかしお学校では、児童数が増える傾向にあり、閉校の条件には当てはまりません。2023年4月からは特別支援教育の教員配置基準も引上げとなりました。今でも教室をカーテンで仕切っている状況がある上、児童数増加が続けば、さらに教室数不足が見込まれます。わかしおで頑張ろうという一大決心をした子どもたちに、適切な教育環境を整備すべきです。教室数を増やすことはもちろん、老朽化している校舎、かつ児童の寄宿舎及び職員寮を含めた改築計画をつくることを求めます。
3.よりよい保育を求めて
(1)保育士の年齢別配置基準の引き上げを
次に、よりよい保育を求めて伺います。
まず、保育士の年齢別配置基準の引上げについてです。保育士や保護者らでつくるよりよい保育を!実行委員会が行ったアンケート調査では、今の基準では、災害時に子どもの命を守れないと答えた保育者が8割を超えました。せめてもう1人保育士がいれば、子どもがより安全に人権が守られる環境になるという声が現場の実感です。子どもと向き合う時間を増やすためには、どの歳児でも配置基準を引き上げることが欠かせません。ところが区は、公立園の民営化や独自の加算を引き下げ、正規保育士を削減してきました。保育の質の向上と言いながら、その質を保障する人員を削減してきた区の責任は重大です。保育現場や保護者の声に押され、国も保育士の年齢別配置基準を76年ぶりに見直す方向性を示しました。まだまだ保育の質向上の一歩ではありますが、現場で働く皆さんの声、そして何より子どもの成長発達のために重要な一歩です。国の基準見直しにより、区立・私立の認可保育園で保育士は何名増えるのでしょうか。
併せて、区立園については4月から正規職員で対応することを求めます。
また、国はさらなる配置基準の見直しを検討していますが、国の検討を待つのではなく、区として独自加配を行い、配置基準を引き上げるべきです。併せて私立保育所に対しては、区として助成額を増やすことを求めます。
(2)病児病後児保育の拡充を
次に、病児・病後児保育の拡充について伺います。保護者の就労継続のためには、病児・病後児保育は欠かせません。現在4か所で運営されていますが、感染症流行時にはすぐいっぱいになり、利用できない状況です。区の計画では5か所となっていますが、いつ5か所目はできるのでしょうか。また、空白になっている赤塚地域に区が関与できる病児・病後児保育室をつくるべきと考えますが、いかがでしょうか。
一方で、昨年12月から都のベビーシッター利用支援事業が始まっており、病児保育の対応が可能なベビーシッターもいます。区も病児・病後児対応が可能と案内していますが、病児・病後児保育としてどの程度の利用があるのか、区が把握できる仕組みはありません。そもそもベビーシッター利用は、病児・病後児保育室の代替としては想定されておらず、医師による診察も必要のないものです。また、保護者が在宅勤務の場合は、実際に就労を保障するものにはなりません。さらに助成対象は未就学児のみで、兄弟でシッターを利用した場合、学齢期のお子さんは助成対象外となります。区は、病児・病後児保育としてのベビーシッター助成制度の有用性をどのように考えていますか。併せて補助対象年齢の引上げを求めます。
4.社会保障の充実を
(1)医療と介護の区民負担軽減を
次に、社会保障の充実を求めて伺います。
まず、医療と介護の区民負担軽減についてです。厚生労働省が、来年度の介護報酬改定で訪問介護の基本報酬を大幅に引き下げることが分かりました。これに対し、関連団体は抗議と撤回を求める緊急声明を発表しました。声明では、介護・福祉人材難はこれまでになく深刻で、もはや危険水域に達しているとしており、基本報酬を大幅に引き上げることこそ求められています。区長は、この引下げが区民の介護利用にどう影響すると考えるのか、お示しください。
医療・介護の負担増に歯止めがかかりません。2022年10月には、75歳以上の医療費窓口負担は2割となりました。介護でも利用料2割負担の対象拡大が検討され、介護老人保健施設などの多床室の有料化も来年予定されています。さらに、後期高齢医療保険料も介護保険料も改定のたびに引上げです。また、国民健康保険料も負担が増え続けています。特別区長会は、昨年11月16日に厚生労働大臣宛てに国民健康保険制度の見直しに関する提言を行い、国民健康保険財政基盤の強化や低所得者層への負担軽減等を求めました。併せて、2024年度国民健康保険料について、被保険者の負担抑制のための特別な対応を実施するよう求めています。一方で区長は、制度維持のためには必要と引上げを提案し続けています。区民負担が増えることの区長の認識をお示しください。改めて、国民健康保険料、介護保険料、後期高齢者医療保険料の引下げを求めます。
(2)福祉事務所等のあり方は再検討を
次に、福祉事務所等のあり方の再検討を求めて伺います。1月閉会中健康福祉委員会で、区は福祉事務所並びに健康福祉センターの今後の展開について最終報告を行いました。区は、障がいの種別にかかわらず、複合的な課題を持つ方に一貫した支援体制を構築するため、相談窓口の再編と関係部署の連携強化を行うとし、4月より現在の赤塚福祉事務所内にある障がい者支援係を赤塚健康福祉センターへ、志村福祉事務所内にある障がい者支援係は志村健康福祉センターへ移設するとしています。なお、上板橋及び高島平健康福祉センターには、障がい支援部門は設置されないということです。障がいサービス課長から、さきの健康福祉委員会では、5か所ある健康福祉センターに障がい支援部門を置き、一体的な対応が可能になるめどは立っていないと答弁があり、さらに続けて福祉部長から、福祉事務所を4か所に増やすのか、健康福祉センターとの整合をしていくのかというのは、もう大分前から話が出ているが、具体的な結論には至っていないと答弁がありました。職員の増員を行わず、新たな課題に対応し、ワンストップの相談窓口や連携体制の強化を行うことは、当然工夫だけでは間に合わず、現在の利用者に負担を強いることになります。例えば、赤塚福祉事務所で生活保護の受給を受け、福祉事務所内で障がいサービスの相談等を受けている場合では、これまでは赤塚福祉事務所だけで済んでいた相談が、4月以降は赤塚健康福祉センターにも行かなくてはなりません。なぜ5つの健康福祉センター全てに障がい支援係を置かないのでしょうか。福祉サービスを受ける全ての区民にとってサービス向上となる検討を行ったのでしょうか。福祉事務所の再編を検討する際に、なぜ5か所に増やすことを検討の俎上に上げなかったのか、お答えください。
はっきり申し上げて、職員の増員と専門性の向上を最初にすべきでした。老朽化が著しく進み、執務スペースすら十分に取れない上板橋健康福祉センターは、改修の予定もありません。高島平健康福祉センターは臨時の建物のままです。区が現在行おうとしている再編は、区民の声を聞かず、割り振られた予算と人員で何とか今後の福祉課題に間に合わせようとするものでしかありません。付け焼き刃的な対応では、全ての区民の福祉サービス向上ができるはずもありません。古く手狭な施設を改善し、職員を増員して、丁寧に当事者の声を聞きながらあり方の再検討をすることを求めます。見解を伺います。
5.物価高騰から区民生活を守るために
次に、物価高騰から区民生活を守るために伺います。
区民生活は厳しい状況が続いています。物価高の影響が重くのしかかり、もうこれ以上食費は削れない、暖房を節約しているといった命にも関わる切実な声が寄せられています。区は第5号補正の中で、独自で均等割のみ世帯に対し給付金の支給を行いました。この間、補正を組んで給付金事業を行い、その都度対象を検討していると答弁してきましたが、なぜ住民税均等割のみ課税世帯にとどめたのでしょうか。また、対象拡大についてどのような検討を行ったのでしょうか。お答えください。
区内経済はどうでしょうか。物価高騰や人手不足の影響により、事業者にとって厳しい状況が続いています。加えて、インボイス制度により新たな負担が増大しています。2021年の東京商工リサーチの調査によれば、経営する企業が破産した場合、経営者の68.2%が個人破産を申請しています。申請タイミングは会社の倒産と同時が90.9%で、企業と経営者の命運は一体と言えます。区内産業の要となる中小企業が倒産することなく事業継続できる支援が求められています。区内中小企業に対し、リース代・家賃・光熱費・運転資金といった直接支援を行うことを求めます。
6.地域の声を活かした板橋交通公園の整備を求めて
次に、地域の声を生かした板橋交通公園の整備を求めて伺います。
板橋交通公園は、楽しく交通ルールを学ぶことを目的に1968年に開園しました。自転車やゴーカートが無料で用意され、敷地内の指定された区域で自由に遊ぶことができます。遊具エリアもあり、乗り物以外も楽しい公園です。比較的面積も広く、樹木やベンチも多いため、地域住民にとって大切な憩いの場所でもあります。交通公園は再整備の計画の最中で、区は今年4月には公園再整備事業者の公募を行う予定としており、開園は2026年度としています。区も地域からは、夜間の騒音、子どもの遊び場の確保、町会・自治会等の活動場所の確保、防災機能の拡張といった課題が挙げられていると報告しているとおり、交通公園が今以上に地域住民にとって大切な場となるためには、これらの課題を克服することが重要です。プレーパークのような子どもの遊び場、特にボール遊びが使用可能なスペースはできるのでしょうか。また、公園内集会所は再整備後も残るのかどうか、お示しください。
区は、現状の交通公園の機能を残しつつも、多様な可能性のある公園を民間事業者と共に造っていく方針です。民間事業者が運営するとなった際には、当然利益が出る仕組みが必要となります。現在、交通公園の様々な乗り物は子どもたちが無料で使うことができますが、再整備後も無料で利用できることを求めます。見解を伺います。
7.こどもを殺すな!ガザの即時停戦の声を
最後に、ガザの即時停戦の声を上げることを求めて質問します。
世界各地で子どもを殺すなと、イスラエルのパレスチナに対する大量虐殺への抗議が広がっています。病院や学校が攻撃され、本当にたくさんの子どもが犠牲になっています。ユニセフの報告によると、ガザ地区では僅か46日間に5300人以上のパレスチナの子どもが死亡し、ガザでの死者の40%を子どもが占めており、子どもにとって世界で最も危険な場所となっています。国連人権理事会の専門家は、ガザ地区への攻撃を民族浄化を正当化していると強く警告し、各国に対し、即時停戦に向けた努力が必要だと呼びかけています。ガザ地区南部で活動していた国際NGO国境なき医師団日本の会長は、足を切断しないと感染症で死んでしまうおそれがある子どもの手術の同意を取ろうとしたら、家族は全員死んでいて同意を取れる人がいなかったこと、それでも命が危ないので手術をするしかないとなったけれど、順番を待っている間にその子は亡くなったこと。こうした子どもたちが1歳にもならない赤ちゃんまでたくさんいること。けがをしたのに誰も家族が生き残っていないという子どもたちも大勢いること。ガザの人たちから、日本に帰ったらぜひ日本の人たちに今の私たちの状況を伝えてほしい、忘れないでほしいと言われたことを話してくれました。広島原爆の約2倍の火薬が使用されたという地獄絵図が広がっています。とにかく直ちに戦闘行為をやめ、犠牲になる子どもたちを少しでも減らしたい。区長、そのためにできることは何でも検討すべきではないでしょうか。板橋区としても、日本政府がガザの即時停戦の声を上げるよう求めるべきです。見解をお示しください。
以上で私の一般質問を終わります。
◎区長(坂本健)
皆様、おはようございます。早速、石川すみえ議員の一般質問にお答えいたします。初めに、元日に発生いたしました能登半島地震によりお亡くなりになられた方々に深く哀悼の意を表するとともに、いまだ避難されている方々を含め、被災されました全ての皆様方に心からお見舞いを申し上げます。区として一日も早い復旧・復興のために継続的な支援を行ってまいります。
最初の質問でございます。家具転倒防止器具取付費用助成についてのご質問であります。家具転倒防止器具取付費用助成につきましては、高齢者や障がい者のみの世帯など、器具の取付けが困難な居住者の生命・身体を地震災害から守るための事業であります。家具転倒防止等の地震への備えは、各家庭の自助による災害対策を基本とすべきであり、対象者の範囲は現状で妥当であると考えています。今回の地震を契機に、高齢者・障がい者世帯への助成事業のさらなる周知に加えまして、広く区民に向けた家具転倒防止等の普及啓発を推進していきたいと考えています。
次は、感震ブレーカーについてのご質問であります。東京都の感震ブレーカー配布事業が終了し、東京都から板橋区での配布実績などの資料提供を受けまして、今回の事業の効果などを検証する予定であります。また、区では、感震ブレーカーの設置を希望する方に対しましてあっせんを行っておりますが、感震ブレーカーの設置支援について、他自治体での事例も研究をしながら検討を行っているところであります。
続いて、支援必要者の確認についてのご質問であります。区では、避難行動要支援者名簿制度によりまして、安否確認や避難行動のサポートを行うこととしております。また、災害時の救助に関しましては、住民基本台帳を基としました安否不明者の公表に向けて、改定中の地域防災計画に位置づけをしていく考えであります。一方におきまして、住民登録のない方など様々な背景を抱える方の把握につきましては、全国共通の課題であると認識しております。
続いて、備蓄物資についてのご質問であります。区では、アレルギー対応の食品や粉ミルクも含め、想定避難者数の3日分の食料をはじめ様々な品目と十分な水を各避難所に備蓄し、給水体制も整えているところであります。避難者として避難所に来た場合、誰に対しても拒むことなく食料品や日用品、医薬品などを供給するため、平常時の個々への備蓄支援の必要性は高くないものと考えています。
次は、福祉避難所の開設についてのご質問であります。現時点におきましては、福祉避難所の耐震化等の実施状況を把握していないために、把握方法について検討していきたいと考えています。また、人員不足を補う方策につきましては、災害の程度や発生時間などによりまして状況が大きく変わるために、区で一定の仕組みを構築することは難しいところではありますが、今後研究していきたいと考えています。
続いて、開設訓練についてのご質問であります。福祉避難所の事業者や利用者及び区が連携をした避難所開設訓練をコロナ禍前に実施をし、発災直後の基本行動や要配慮者の受入れなど、各種課題の抽出を行ってまいりました。訓練が再開できるようになったことを踏まえまして、今後は、訓練内容を福祉避難所連絡会などで関係事業者と共有をしながら、事業者主体の訓練を推進していきたいと考えています。
続いて、誰でも避難できる避難所についてのご質問です。区では、多様なニーズを把握した近隣の指定避難所への避難を想定しておりますが、そこでの生活が困難な場合に、要配慮者の特性に応じて福祉避難所へのマッチングを行う予定であります。福祉避難所への直接避難、特に要配慮者がふだん通所している施設へ直接避難することにつきましては、福祉避難所連絡会などで意見交換を行いまして、研究をしていきたいと考えています。
次は、避難所マニュアルへの明記についてのご質問であります。避難所運営マニュアルには、子育て家庭のニーズの把握について記載しておりまして、各避難所において一定の対応を想定しております。また、避難所生活が長期化する場合においては、生活復興マニュアルに基づきまして、子どものケアの視点での居場所の確保や専門家の派遣を行う予定であります。
続いて、災害時における子どもの受入れについてのご質問であります。国は、令和6年能登半島地震において、各自治体に対しまして、被災した児童の受入れについて、児童養護施設、保育園、幼稚園に限らず関係機関が連携体制を構築するように通知を出しております。一方、区内での発災時には、施設の安全性の速やかな確認、職員の確保、受入れ児童数などについて課題があると認識しています。緊急時における教育や保育の提供につきましては、柔軟な対応が必要になる場合も想定されるために、児童の心身の健全な発達にも配慮した受入れのあり方について検討していきたいと考えています。
次は、配置基準の変更による保育士の増についてのご質問であります。保育士の配置基準見直しの影響について、私立保育園は、各園の児童数やクラスの実情に応じまして柔軟に職員の配置を行っているために、増加人数を把握することは困難であると考えます。一方において、区立保育園では4つの保育園で4名の保育士が必要になると考えられます。配置される職員の雇用形態については、本年4月の配置基準変更に向けまして、現在も調整を行っているところでございます。
次は、区独自の配置基準についてのご質問であります。令和5年12月に閣議決定されましたこども未来戦略におきましては、1歳児の配置基準の変更は、令和7年度以降とすることが明記されております。区では、既に国を上回る配置基準に基づきまして、職員の加配や私立認可保育園に対する運営費の加算を行っておりまして、さらなる引上げにつきましては、国の動向を注視して決定をしたいと考えています。
次は、病児・病後児保育室の赤塚地域への設置についてのご質問であります。赤塚地区への設置につきましては、板橋区医師会に実施可能な医療機関の紹介を継続して依頼しているところでございます。現時点におきましては、難しいとの回答を頂いておりますが、引き続き働きかけを行っていきたいと考えています。
次は、ベビーシッターの有用性についてのご質問であります。ベビーシッターにつきましては、24時間、地域にかかわらず利用でき、送迎の必要もないために、病気の子どもを移動させなくてよいなどのメリットがございます。今後、病児・病後児保育の選択肢の1つとしてPRを行ってまいりますので、状況に応じて施設型と併せてご利用いただきたいと考えています。
続いて、補助対象年齢の引上げについてのご質問であります。ベビーシッター利用支援事業につきましては、東京都の補助事業を活用しておりまして、補助対象となる子どもの年齢は、東京都の補助要綱に基づきまして未就学児としております。区は、産前からの切れ目のない子育て支援体制の強化の一環としまして、この事業を令和5年12月から導入をしておりまして、対象年齢の引上げにつきましては、東京都の動向を注視しながら検討していきたいと考えています。
次は、介護保険報酬引下げの影響についてのご質問であります。今回の訪問介護の基本報酬の改定につきましては、職員に対する処遇改善加算の改定と一体的に行われ、課題とされる賃金アップに向けまして、処遇改善加算率が大幅に引き上げられるところであります。一方、訪問介護の利益率が介護保険の全サービス平均を上回ったという厚生労働省の調査結果を受けまして、事業所の光熱水費や事務費等に充当可能な基本報酬が引き下げられるものであります。区としては、介護・医療に関わる会議等の機会を捉えて、介護事業者や有識者などからの話を伺い、事業所運営や介護サービスを受ける区民への影響について把握したいと考えています。
続いて、負担増への認識と保険料引下げについてのご質問であります。団塊の世代が後期高齢者へ移行することによりまして、保険給付が増加し続ける中、制度の持続的な運営のため、被保険者、保険者共に負担の増加は避けられない状況であることを、区民、とりわけ被保険者の皆様にはご理解いただきたいと考えています。この状況を受けまして、区は国や東京都に対しまして、持続可能な社会保障制度への見直しを要望しているほかに、保険料の上げ幅を抑えるため、現状ででき得る財政措置を行う考えであります。具体的には、後期高齢者医療においては、一般財源を投入し、保険料負担軽減の特別対策を実施するほかに、介護保険では、基金を適切に活用しながら保険料の急激な上昇を抑制したいと考えています。
次は、福祉事務所の拡充についてのご質問であります。新たな施設の整備は、相当な期間と経費を要するために、今回の検討におきましては、迅速に現状の行政課題を解決すべく、既存資源を有効活用することといたしました。区内全域を所管する1つの福祉事務所に転換することによりまして、速やかかつ包括的な支援体制を構築していく考えであります。福祉に係る相談窓口の拡充につきましては、今回の転換による効果を図りつつ、今後の生活保護受給者数の推移などを踏まえて、引き続き検討を行っていきたいと考えています。
続いて、福祉避難所のあり方の再検討についてのご質問です。区は、地方自治法第2条において、事務処理に当たり、最少の経費で最大の効果を上げることが義務づけられておりまして、この観点に基づきまして、福祉事務所のあり方を検討してまいりました。今般の最終報告に基づき、1つの福祉事務所に転換し、さらなる福祉サービスの向上を図るため、組織改正等を進めていきたいと考えています。併せて、当事者や関係者への丁寧な周知を行うとともに、施設整備や職員体制など、職場の環境改善にも努めていきたいと考えています。
次は、生活支援給付金の対象拡大についてのご質問であります。給付世帯の対象拡大につきましては、低所得者への支援給付という事業の趣旨及び前回までの給付対象との整合性等を踏まえて検討してまいりました。検討の結果、前回給付との継続性と対象範囲の分かりやすさなどを考えて、住民税均等割のみ課税世帯まで拡大することといたしました。さらに、前年所得により課税世帯であったが、倒産等で現年所得が急減した世帯も対象とすることによって、直近の所得状況にも対応した対象の拡大を図ったところでございます。
次は、区内中小企業への直接支援についてのご質問であります。物価高や円安に対する経済対策は、広範囲な権限を持つ国や東京都が責任を持って行うべきだと考えておりまして、現段階におきまして、区で直接補助を実施する予定はないところであります。区では、中小企業の事業継続や雇用の維持・安定のため、他の融資からの借換えも可能な経営安定化特別融資を令和6年度も継続して実施する予定であります。なお、企業活性化センターでは、経営課題や資金繰りなど総合的な支援に対応するため、経営改善チームを設置しておりまして、必要な場合はぜひご相談いただきたいと考えています。
次は、子どもの遊び場や集会所についてのご質問であります。板橋公園の再整備に当たりましては、ワークショップやヒアリングなどを通しまして、子どもの遊び場、ボール遊び広場、集会施設など、様々な要望や意見が寄せられております。要望の施設を全て設置することは難しいところではありますが、その機能や魅力をできる限り大きく展開できるように、民間事業者の知見やノウハウも参考にしながら検討を重ねているところでございます。現在、サウンディング調査の成果も踏まえて、再整備後の板橋公園の基本的な姿をまとめておりまして、令和6年度当初には、基本計画として議会に報告をしたいと考えております。
次は、施設の利用料についてのご質問であります。板橋公園で無料貸出しを行っている自転車やゴーカートは、不特定多数の子どもたちが広く日常的な利用に供する施設であるために、現在は全額を公費負担によって賄っております。こうした施設は、基本的に再整備後も無料提供を継続するが、高額の設備投資を伴うものや燃料を必要とするものなど、受益者負担を求める必要がある施設については有料になると考えます。施設内容については、公募による整備・運営事業者の選定を経て、協議・調整の中において決定をすることとしておりまして、区は区立公園の意義や役割を失しないようにその職責を全うしていきたいと考えています。
最後のご質問となります。子どもを殺すな、ガザの即時停戦の声をとのご質問であります。イスラエルとイスラム組織ハマスの軍事衝突の長期化によりまして、パレスチナ自治区ガザにおきまして人道危機が深刻化し、市街地に甚大な被害がもたらされております。子どもを含む多くの民間人が犠牲となっている事態は痛恨の極みでありまして、断じて容認できることではありません。平和への希求の念を一層強くしているところでございます。政府は、国際社会と連携をして事態の鎮静化、人道危機の改善に向けて積極的な外交を続けておりまして、区としましては、情勢の変化を注視し、何らかの具体的な働きかけを行う考えはないところであります。
残りました教育委員会に関する答弁は、教育長から行います。
◎教育長(中川修一)
皆様、おはようございます。それでは、石川すみえ議員の教育委員会に関する一般質問にお答えします。
初めに、天津わかしお学校の運営基準についてのご質問ですが、天津わかしお学校の在籍児童数につきましては、平成15年度以降30人程度で推移しており、令和6年2月1日現在は36人であります。新型コロナウイルス感染症拡大の影響により一時的に児童数は減少しましたが、令和4年度以降は増加に転じており、令和6年度は令和5年度を上回る児童数を見込んでいるところです。児童数の推移からしますと、著しく減少している状況ではなく、児童数も増加傾向であることから、現時点では閉校を検討する基準には該当していないと判断しているところです。
次に、天津わかしお学校の改築計画についてのご質問ですが、特別支援学校の学級編制基準は、令和5年4月から小学部では1学級6人以下となり、パソコン室を普通教室に転用するなど、必要な教室数を確保しております。一方、児童の寄宿舎と一体化した学校施設は築50年以上、職員宿舎も40年以上が経過し、施設の老朽化が進んでおります。平成27年度の調査・診断に基づきますと、学校施設に関しましては残り20年程度使用可能であり、職員宿舎を含め、今後の使用期間に応じた最適な改修方法を検討してまいりたいと思います。
頂きました教育に関するご質問の答弁は以上でございます。