2024年度最終補正予算に反対する討論

 ただいまから日本共産党板橋区議会議員団を代表して、議案第7号「2024年度東京都板橋区一般会計補正予算(第7号)」、議案第8号「同国民健康保険事業特別会計補正予算(第1号)」、議案第9号「同介護保険事業特別会計補正予算(第2号)」、議案第10号「同後期高齢者医療事業特別会計補正予算(第1号)」、及び議案第11号「同東武東上線連続立体化事業特別会計補正予算(第1号)」に反対する立場から討論を行います。

 

 第7号補正予算に反対する、第一の理由は、基金積立を優先しているからです。

 財政調整基金が83億円、義務教育施設整備基金が50億円、公共施設等整備基金が44億円など、あわせて177億円を積み立て、基金総額は1431億8700万円、過去最高額を更新しました。地方自治体の財政は、年度内で予算を使い切る、単年度会計が原則です。しかし、これだけの基金を積み上げることは原則から大きく外れていると言わざるを得ません。

 今年度、交付金が50億円ふえ、扶助費等の減額が90億円、契約差金としては28億円などの余剰金が発生しました。契約差金、事業見直しなどで発生した余剰金は原則として他の事業に転用せず、最終補正で基金として積み立てるという方針のもと、余剰金の多くが基金として積み立てられました。

 「基金及び起債の活用方針」では、義務教育施設整備基金、公共施設等整備基金を積み立てる目安は、年間それぞれ25億円、22億円となっていますが、最終補正で二倍の金額が積み立てられました。また、「活用方針」における財政調整基金残高の目安は、標準財政規模の20%~30%としており、今年度末の残高見込みの367億円は、既に標準財政規模の25%に達しています。これ以上の積み立ては必要ありません。

 「基金及び起債の活用方針」の目安額を引き上げることを求める意見がありますが飛んでもありません。むしろ、柔軟で積極的な活用方針に改めるべきです。物価高騰のいまこそ、緊急を要し必要やむを得ない財政需要の財源として、基金を活用すべきです。

 第二の理由は、物価高騰に苦しむ区民、中小零細業者への支援策が行われていないからです。食品、光熱費をはじめ、物価の高騰は留まることを知りません。

 この間の最終補正の「基本的な考え方」として、コロナや物価高騰を理由とした「緊急かつ必要性の高い施策に要する経費」が示されてきました。しかし、今回の補正予算にその考え方はありません。物価高騰はむしろ深刻になっているいま、「緊急対策」を必要と考えなかった姿勢は問題です。

 国の交付金を原資として、低所得者などへの給付は行われましたが、物価高騰に苦しむ区民全体を対象にした物価高騰対策の支援は、今年度を通じ新たに講じられることはありませんでした。

 直前の6号補正で、区は「物価高騰対策を行った」といっていますが、福祉施設への支援に留まっています。区民生活やほかの中小零細業者への支援ではありません。福祉施設への支援といっても、給付対象から訪問介護事業所は対象外としています。全国でも閉鎖が相次ぎ、区内でも存続が困難な事業所が増えている中、必要な支援が行われていないことは重大です。国の交付金では推奨事業メニューとしているにもかかわらず、区の支援対象から外していること自体が問題です。しかも、区は、国が「できるだけ今年度中」と言っていることを理由にしていますが、国の地方公共団体職員向けQ&Aでは、事業が今年度中に終了しない場合繰り越すことを可能としており、そもそも区が必要と判断すれば、実施できないものではありません。この推奨事業メニューには、物価高騰対策として、子ども食堂への支援やヤングケアラーへの配食など区としてできる支援策につながるメニューも上がっていましたが、区はこういった支援は行いませんでした。

 「経営安定化特別融資2024」のための信用保証料補助が、1億5百万円の減額となりました。この事業は新型コロナウイルス感染症又は原油価格や物価高騰を背景に、区内中小企業者対象に行うものです。1千万円を上限とした融資を対象に、信用保証料の全額補助を行うなどのものですが、コロナが鎮静化したことを理由として予定通り、昨年12月末に終了しました。コロナは鎮静化しましたが、融資の返済など、コロナ禍の後遺症が現れるのはこれからです。また原油価格、物価高騰は鎮静化していません。執行残あるのですから、事業を延長すべきでした。

 余剰金で、区民や区内中小業者に対する支援ができるはずです。今年度大幅な値上げが行われた国民健康保険料の引き下げ、介護の利用料軽減、学用品の無償化など区民のくらしへの支援を行わない姿勢は問題です。区民、区内中小零細業者に寄り添った財政支出を行うべきです。

 第三の理由は、必要な施設をつくるための区の手立てが不十分だったからです。去年に続き、今年も必要な介護施設が整備されないままとされました。

 物価高騰により、建築資材も高騰しています。また、人手不足は人件費の高騰につながります。入札不調は、板橋区のみならず、全国で起こっていることです。しかし、区の対応は適切だったでしょうか。

 認知症グループホームは2施設、地域密着型サービスは3施設、都市型軽費老人ホームは1施設が今年度、整備が行われませんでした。区は理由について、1.5倍から2倍もの建設費の高騰が見られ、事業者の手があがらず、整備が予定通りにおこなわれなかったとしています。民間の施設ではありますが、いずれも必要な施設であり、拡充が望まれているものです。区の補助をさらに上乗せするなど、区自身が整備のため努力を尽くすことが必要でした。

 必要な施設は区として推し進めることを求めます。

 

 第四の理由は、区民の合意が得られないまま再開発事業が行われているからです。

 板橋駅西口、大山町ピッコロ・スクエア周辺地区で、再開発事業経費が合わせて6億7千万円の減額になっています。いずれの地域でも、再開発に伴う用地の取得が進んでいません。土地の取得が進まないということは、住民の合意が得られていない結果です。

 それは、上板橋、高島平で区が進めている再開発も同様です。住民合意が得られないまま、まちづくりの名のもとに、まちこわしを進める姿勢を改めるべきです。区民の暮らしのために税金を振り当てることと、区政運営に住民参画を貫くことを求め、討論を終わります。

 

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