陳情第113号「高島平二・三丁目周辺地区 地区計画の対話型合同説明会を求める陳情」に賛成する討論

討論日:2025年10月14日本会議 いわい桐子区議会議員

 ただいまから、日本共産党板橋区議団を代表し、陳情第113号 高島平二・三丁目周辺地区 地区計画の対話型合同説明会を求める陳情の委員会決定「不採択」に反対し、陳情に賛成する立場で討論を行います。

 本陳情は、「高島平二・三丁目周辺地区 地区計画」に対し、板橋区とUR同席での対話型合同説明会の開催を求めています。

 「高島平二・三丁目周辺地区 地区計画」は、昨年の6月と9月に住民を対象に説明会が行われましたが、その後は、オープンハウスや現地窓口相談会などの個別の説明のみです。9月の説明会後も、旧高七小跡地の再整備地区の高さ制限を、なぜ110mも引き上げる必要があるのか、高島通りへの区道の延伸は信号もなく、通行する住民にとっては危険だとして、多くの住民から不安の声が寄せられ続けています。しかし、地区計画決定後に示すと言ってきた「安全対策」は、いつ示されるのかも未だに分かりません。

 区は、「住民の希望する回答はできない」として、説明会実施を否定してきましたが、それこそが、区の住民合意をつくる意思がないことを現しています。都市計画法は、計画を決定、変更する際に「住民の意見を反映すること」を求めています。区が発表した計画案に「反対」や「疑問」の意見が出てきた時こそ、住民と正面から向き合うべきだったのではないでしょうか。

 今年4月の都市計画審議会における地区計画決定直前には、約3,500筆もの「計画見直し」を求める署名が区に対して提出されました。にもかかわらず、区は、住民と向き合うことも、話し合うこともなく、6月に地区計画決定を発表しました。どれほど、住民が区に対してガッカリしたことでしょう。

 今年8月にはURが、高島平2丁目団地建て替え対象エリアの33街区の住民を対象に建て替え事業の概要を説明しました。その中で、新築住宅への申し込み希望者が戸数を上回った場合は「戻り入居もできる」ことを明らかにしました。これは、連鎖的都市再生だから、旧高七小跡地への新築住宅建設は「2度引越しの負担をさせないため」と言ってきた区の説明とは異なり、旧高七小跡地を活用しない手法で建て替えを行うことも十分可能であることを示しています。

 URは、現在の33街区の1955戸のうち、新築住宅へ転居できる対象世帯数や、定期借家契約の世帯数、空室数などを一切明らかにしていません。そのため、全体の規模が分からず、現在住んでいる住民が住み続けられるのか不安が広がっています。

 また、URの説明会では、家賃や間取りなどの条件提示は一切示していません。23区内にあるURの高層タワー型賃貸住宅の平均家賃は2DKで約19万円です。33街区の住民からは「今より家賃が上がったらとても住めない」という声がたくさん寄せられています。URの建替えによる家賃負担増に対する減額制度は、一般世帯で上限2万円、低所得の高齢者などでも35,000円が上限で、減額制度があっても今より家賃負担が増えることは明らかです。

 しかし、URは、家賃がどうなるかも分からないまま、現段階での「入居希望意向調査」を10月末までに行い、その希望世帯数をもって、新築住宅の高さ、戸数、間取りを設計するとしています。4年後に実際の家賃額などの条件が提示された時には、とても入居を希望できず、継続管理区域に入居できなければ、高島平には住み続けられない事態になってしまいます。住み慣れた地域に住み続けられるのかといった不安を抱えながら4年もすごすことになるのです。とてもURの説明が十分とは言えません。その上、新築住宅への転居は8年後以降であることも示されましたが、そうしたスケジュールは、UR建替えエリア住民に限ったもので、地域住民には説明されていません。

 住民が求めているのは、UR同席できちんと計画が分かる対話型の説明会をしてもらいたい、質疑応答がみんなでできる説明会をしてもらいたいと、至極当たり前の要求です。高島平まちづくり担当課長は、都市建設委員会で「URの説明会とは対象者が違うので一緒に説明すれば無用な混乱を起こしかねない」などとして、UR同席のもとでの説明会実施を否定しましたが、委員会で「無用な混乱とはどういうものか」という問いに応えられませんでした。これまでも、UR同席のもとで説明会を行ってきたことを考えれば根拠のない「無用な混乱」などということは、説明会を実施しない理由にはなりません。ましてや、URの建て替え計画で動き始めた高島平グランドデザインが、建て替え計画のスケジュールも含めて区とURで説明しない理由など一つもありません。

 そして、住民が求めてきたのは、計画のゴールを示してもらいたいということです。今まさに、健康福祉センターが、「また」仮移転するなど、公共施設がどこに、どのように配置されるのかも全く分かりません。住民にとって、町がどう変わっていくのか全く示されない中、高層タワーマンション建設だけがスタートしてしまうことに不安を抱くのは当然ではないでしょうか。

 住民に説明責任を果たさず、住民合意をつくる努力も行わない区の姿勢に対し、地元住民の「説明」を求めるという当たり前の願いに、行政機関のチェック機能である区議会が背を向けていていいのでしょうか。

 今一度、地域住民とともに膝を突き合わせて、区とUR、住民で話し合い、ともに、いい街になったと言える計画となるよう努力すべきです。本陳情を「採択」することを呼びかけ、私の討論を終わります。

一覧へ

検索