令和元年第3回定例会 一般質問 荒川なお議員 

発言日: 2019年09月25日

山田ひでき議員に続き、日本共産党の一般質問を行います。

初めに、体育施設の利用について質問します。
 9月8日には、板橋区民体育大会の開会式が行われ、来年2月まで区内各地でさまざまなスポーツの大会が繰り広げられます。スポーツは健康な心身を養い、また、多くの人との出会い、喜びや感動を共有する中で、人々の人生を豊かにするものです。「スポーツを通じて幸福で豊かな生活を営むことは全ての人々の権利である」とうたったスポーツ基本法に基づいて、身近な地域で、また生涯を通じて、誰もがスポーツを楽しめる条件を広げることが求められています。自治体はそうした国民のスポーツの権利を保障する場として公共施設を整備する責任があります。そこで区内の体育施設の利用に関して幾つか質問します。

初めに、小豆沢体育館の利用についてです。
 小豆沢体育館は、東京オリンピック・パラリンピック2020でイタリアバレーボールチームの練習場として使用するため、来年4月上旬から8月中旬まで体育館全体の区民の利用が制限されると聞いています。また、プロバスケットボールチームの東京エクセレンスが2023年までの4年間、毎年9月から翌年の春ごろまで、年間30試合、会場として優先的に使用します。決して短くない期間、区民の利用が制限されます。オリンピック・パラリンピックも、プロスポーツの競技も、ともにスポーツの機運を高める上で欠かせない存在です。しかし、長期にわたり区民の利用が制限されることは、本来の区立体育館の役割を考えると問題があると考えます。板橋区の取組みの影響で区民が区立体育館の利用を制限されることについて、区長の見解を伺います。

次に、東板橋体育館について伺います。
 東板橋体育館は、大規模改修のために来年2月から工事が始まり、約1年半、利用ができなくなります。これまで定期的に東板橋体育館のアリーナやトレーニングルーム、プールなどを利用してきた多くの人たちにとって、1年半も利用できないということは、日々の生活習慣を大きく狂わすものです。区民からは、これまで利用していた団体に対しては、優先的に利用できるようになどの声が寄せられています。区は第2回定例会の区民環境委員会で、来年度に向けて、各団体とも、個別具体的に協議を行い、全体で調整をしていくと答弁しています。各団体とどのように協議しているのか、具体的にお示しください。

この項の最後に、区立体育館のプールについて伺います。
 現在、板橋区に5か所の区立体育館のプールがあります。プールの利用料金については、現在は一般の方が2時間で470円、障がい者と65歳以上の高齢者については半額の230円で利用できます。区内在住で定期的に区立体育館のプールを利用しているという男性から、70歳を過ぎて2時間全てを利用することは、体力的にもあまりないので、1時間単位で料金を設定してほしいという要望が寄せられました。お隣の練馬区では1時間単位100円で利用できます。板橋区がなぜ利用時間を2時間単位に設定しているのか、理由をお答えください。板橋区立体育館プールを誰もが気軽に利用できるようにするために利用時間を1時間単位に変更していただきたいが、いかがでしょうか。あわせて答弁を求めます。

次に、選択的夫婦別姓について質問します。
 選択的夫婦別姓をめぐっては、2015年12月に最高裁で夫婦同姓を義務づけた民法について合憲という判決が出て以来、民法改正を求める声が急速に高まっています。それは内閣府の世論調査でも夫婦が別姓を選べるよう法改正をしてもよいと答えた人は過去最高の42.5%で、法改正の必要はないが過去最低の29.3%という結果にもあらわれています。
 政府は、こうした世論に押され、11月5日から、申請によって住民票やマイナンバーカードなどに旧姓を併記できるよう法改正しました。そこで伺います。法改正によって板橋区で新たに発生する業務内容と財政的影響をお答えください。
 住民票などが旧姓併記できるようになることで、国民健康保険証や証明書、申請書、図書カードなど、氏名を取り扱う全ての部署でその対応が求められます。区民が窓口に来て旧姓併記したいと申し出た際に、それぞれの部署で対応が検討されていないということがあってはなりません。住民票や個人番号カード以外に対応が求められる部署についてお答えください。また、区としてどのように取り組んでいくのかお示しください。
 区内在住のある女性は、社会保険のときには認められていた旧姓併記が、定年退職して国民健康保険に加入した途端に旧姓が使えなくなったと話します。65年間、自分の名前を活用してきた女性が、退職後の区民健診で、何度も自分の名前ではない姓で名前の確認をされることに自分の存在を否定された思いを抱いたと言います。国保年金課に繰り返し旧姓併記使用の相談をしてきましたが、住民基本台帳に基づき行っていることを理由に認められませんでした。しかし、厚生労働省からは、今年6月に保険者の判断で旧姓併記を行って差し支えないと回答が出され、9月2日に区の第三者機関である男女平等参画苦情処理委員会も区長に対し、旧姓併記でない理由にはならないと厳しく指摘し、区民から要望があれば旧姓併記に応じられるよう努めるべきだと勧告しています。
 また、勧告では、各種受診券について、医療現場、関係機関と協議し、共有し、旧姓併記に対応できるよう取り組むこと、旧姓のみ表記の可能性についての検討も求めています。この勧告に対する区の見解を求めます。
 また、国民健康保険証は11月5日の法改正後、旧姓併記を認めるのか、あわせてお答えください。
 このように、一つひとつの氏名を扱う部署によって旧姓使用の対応が分かれてしまい、その判断は各部署、自治体に委ねられてしまうのが今回の法改正です。しかも、住民票や個人番号カード以外の旧姓併記へのシステム改修経費は国からの予算措置がなく、財政面でも旧姓併記使用の広がりを遠ざけることになりかねません。そもそも幾ら通称使用を拡大しても、国連女性撤廃条約が求める夫と妻の姓を選択する同一の権利、自己の姓を選択する権利を保障することはできず、両性の平等をうたう憲法24条に反するものです。
 世界の中で同姓を強制する国は日本だけです。国連の女性差別撤廃委員会からは、繰り返し選択的夫婦別姓を導入するよう勧告を受けています。今の法律では別姓を望めば法律婚ができず、法定相続権や共同親権といった権利、利益も一切享受することができません。政府は旧姓使用の拡大に終わらせず、一刻も早く選択的夫婦別姓制度を導入するべきです。そこで伺います。選択的夫婦別姓の必要性について、区長の見解をお答えください。

次に、公共施設のトイレの洋式化について質問します。
 板橋区は、「全ての人が快適にくらせるまちをつくり、さまざまな場面で社会参加ができる環境を」と、ユニバーサルデザイン推進計画を進めています。区が行った区民アンケートで、今後、力を入れたほうがいいハード面の取組みでは、施設や公園などのトイレを使いやすくすると答えた人が49%に上りました。板橋区内の公共施設については、徐々にトイレの洋式化の計画や具体化が行われていますが、もっとスピードを上げる必要があります。
 区民が利用する公共施設は、公園や集会所、教育や福祉施設などがありますが、それぞれ進捗状況がばらばらです。それはトイレの洋式化の取組みが各所管に任されており、区の公共施設全体の把握を行い、進めるようになっていないためです。公共施設の全体のトイレの洋式化について把握するべきではありませんか。区の見解を伺います。
 区の公共施設の中で、トイレの洋式化が最も遅れているのが公園公衆トイレです。現在、公園公衆トイレの基数で数えると37.5%にとどまっています。今年度は、これまでの計画にプラスして、4基分のトイレを洋式するための予算がつけられました。しかし、来年度以降は未定であり、2026年度までの公園公衆トイレ適正配置・改修計画にある年間3基ずつの洋式化以外に計画はありません。今後、いつまでに全ての公園公衆トイレの洋式化を実現させるのかという計画が必要です。計画の見直しを求めます。

次に、区役所前公衆喫煙所の設置について質問します。
 8月27日の区民環境委員会で、設置の中止と撤去を求める区民の陳情に3,224筆もの署名が積み上げられ、不採択を期待した区の意に反して、陳情は継続審査となりました。区は議会の了解、近隣住民の理解が得られず、このままでは東京都の助成も受けられないとして、9月1日以降としていた現在地への開設を断念し、移設を検討することになりました。我が会派は7月11日に区長に対し開設中止と設置場所の再検討を求める申し入れを行いました。再検討については当然のことですが、そもそも庁舎敷地内が全面禁煙になるにもかかわらず、公衆喫煙所を設置するための庁舎の土地をわざわざ切り分けるというやり方にも無理がありました。
 さらに、設置場所は施設の出入り口付近や利用者が多く集まる場所には設置しないこととした厚生労働省や東京都の考え方から見てもふさわしくない場所でした。その上に、近隣住民への説明会も行わず、ビラ1枚で周知したために、隣接ビルには病院や薬局、学習塾が入っていること、駅のエレベータは高齢者や障がい者、乳幼児親子などが頻繁に利用しているなど、近隣の事情は全く考慮されずに、設置工事が開始されてしまいました。この間の経過は区民に対して区政への不信と失望を広げるものになりました。区は検討委員会で検討を重ねたと言いますが、その具体的な内容を明らかにされていません。また、東京都の補助金を受けられることが既に決まっているかのように住民に説明したことは、大きな怒りが広がりました。さらには、8月の区民環境委員会に至っても、反省の意思が全く示されませんでした。区民の声を聞かず、計画を強行しようとする姿勢への批判を重く受けとめるべきです。
 その上で、以下について質問します。区は今年度中に移設先を決定するとし、同じ轍は踏まないと繰り返し答弁しています。今回の事態から何を教訓にしたのかをお示しください。
 また、区はこれまで設置場所について、区役所からの距離を100メートル以内とすることや、区役所周辺公共用地のサウンディング調査中であることを理由に、設置場所を狭めてきました。しかし、区民環境委員会の質疑の中で、設置場所を狭めなければならない理由はないことも明らかになりました。公衆喫煙所の設置場所について、白紙の状態から再検討すること、地域、住民、議会と協議、合意を図ることを求めます。見解を伺います。

次に、子育て支援の充実を求めて質問します。
初めに、認可保育園における午睡中の死亡事例に関する検証報告書についてです。
 2016年9月に、株式会社が運営をする認可保育園で起きた乳児の午睡中の死亡事故について、事故から3年が経過し、ようやく検証報告書が公表されました。我が会派は、板橋区に対して事故直後から早急に事故の検証を行うとともに、検証委員会の報告書の公開を求めてきました。検証報告書の中にも、事故発生後、速やかに検証すること、また、保護者への情報提供が適切に行われることが提言されています。その点で、区の対応は不十分であったと言わざるを得ません。
 報告書は事故発生時の状況について、関係者から聞き取った内容などから、事故の発生要因や課題を明らかにしました。二度と同様の事故が起きないよう、重大事故の再発防止について、行政や事業者及び保育施設に対する多くの提言が行われました。今回の事故について、区の責任がどこにあると考えているか、区としての責任をどう果たすのか、見解を伺います。
 提言では、保育士の業務量は増加し、負担感が増している、子どもの安全を確保するためには十分な保育士が配置されていることが最も重要であるとしています。保育士の配置基準は国基準に上乗せをしてきましたが、それでも足りない状況であり、保育士を十分に配置しなければ子どもの命が守れないとしているのです。提言は歳児別配置基準の見直しを行うことを求めています。区として見解を求めます。

次に、公立保育園の民営化についてです。
 8月29日の閉会中文教児童委員会で区立保育園再整備方針が示されました。区が進める新たな再整備方針は、老朽化等により、改築または長寿命化のための改修などが必要となる際には、民営化を優先するというものです。現在、築40年以上の区立保育園が38園中31園となっています。その全ての区立保育園を民営化するのか、お示しください。
 6月22日から7月8日に、公立保育所の再整備方針についての素案に対するパブリックコメントが実施されました。24人から56件の意見が寄せられましたが、そのほとんどが民営化に反対や不安の声でした。民営化は区の責任放棄につながる、福祉を後退させる、私立では賃金などが十分でないことから、経験豊富な保育士が育ちにくい状況が見受けられるなどの声が寄せられています。寄せられた民営化への不安の声に対する区の見解を伺います。
 公立保育園が民営化されるに当たって、保護者が保育の質の後退を心配するのは当然のことです。公立保育園だからこそ安定した雇用の確保と職員が成長できる現場の環境ができているからです。この間、待機児童問題が深刻化する中で、民間の認可保育園が急増し、保育士の数の増加を上回るスピードで保育所のニーズが高まっているために、どこでも保育士の確保が難しくなっています。また、民間の保育園では保育士の離職率が高く、早期退職の傾向があることが指摘されています。区内でも大量退職や配置基準が守られていない実態が生まれています。公立保育園では保育士が公務員として雇用され、賃金、労働条件について労使の取り決めが行われています。それにより圧倒的に高い定着率を確保していることは決定的に違いがあります。急増する保育事業に保育士の供給が追いついていない状況の中で、なぜ保育士の定着率が高い公立保育園を民営化するのか理解に苦しみます。認可保育園が保育士の人材確保に苦慮している実態に対する区の見解を求めます。
 区は公共サービスの民間開放を最大の理由に、2004年に区立保育園の民営化基本方針を策定し、10年余りの間に8園を民営化してきました。しかし、今回示された再整備方針は歳出削減を最大の目的に、全ての施設を対象に、施設削減計画を進める公共施設整備マスタープランに基づくものです。育ちのエリアの設定の検討よりも、民営化を優先するとした区の姿勢は、まさに区の施設全体の削減計画にあわせた、公立保育園を削減していくという区の姿勢のあらわれです。経費の削減を優先して、公立保育園の役割の具体化を後回しにする民営化計画は踏みとどまるべきです。区の見解を伺います。

この項の最後に、障がい児の発達支援施設における給食費について伺います。
 幼児教育の無償化とあわせて、就学前の障がい児の発達支援についても無償化が始まります。しかし、これまで保育料に含まれていた保育園の給食費について、別途徴収することになりました。板橋区では、保育園は給食費も含めて無償にすることとしました。ところが、障がい児の就学前の発達支援施設においては給食費は無償としないとしています。
 現在、区内の障がい児は日常的には保育園などに通い、週に1回ほど障がい児の発達支援施設に通っています。5月1日現在、障がい児の発達支援施設を利用している子どもは、加賀児童ホームを除いて352人です。こうした障がい児の就学前の発達支援施設における給食費は加賀児童ホームも含めて、一番高い人で1日650円となっています。障害者総合支援法に基づき、利用者負担として定められているために、積算根拠は人件費420円、食材費が230円となっています。そもそも人件費まで積算根拠に含まれていること自体が問題です。目黒区では、保育園では無償なのに、障がい児の施設だと有償となるというわけにはいかないという立場から、発達支援施設の給食費も無償に決めたそうです。就学前の発達支援施設を利用している障がい児のうち給食を食べている子どもの人数をお示しください。障がい児の発達支援施設においても給食費を無償にするべきです。あわせて答弁を求めます。

次に、高齢者福祉施策の充実を求めて、まず介護労働について質問します。
 昨年度、介護労働安定センターの調査によると、介護職員の1割以上が65歳以上で、2割以上が60歳以上であることがわかりました。政府は介護職員の処遇を改善できたとしていますが、介護現場の人材について不足感は6割を超え、5年連続で上昇しています。現在、板橋区においても介護保険事業計画は第7期の中間地点であり、既に第8期に向けて事業計画へ準備が始まっています。しかし、第7期計画で実施するとしてきた人材育成計画の具体化が進んでいません。我が会派で、この間、23区における人材育成事業の実施内容を調査してきましたが、ほとんどの自治体において、研修などへの助成事業に取り組んでいることが明らかになりました。
 区の施設も在宅介護も、どちらも各事業所は人手不足に頭を抱えている状況です。研修や介護職員の確保、定着への助成など、助成の内容は異なっていますが、板橋でも実施されるべきです。
 区長は第2回定例会で、今後、他区の取組み事例を参考にしながら、研修授業料の助成などの方策について検討を進めていると答弁していますが、研修の具体的な中身と、いつから実施をするのかお答えください。

後期高齢者医療制度についても質問します。
 7月17日に、今年度の後期高齢者医療制度における保険料額が区民に発送されました。今年度は保険料の改定は行われない年ですが、消費税10%増税との関連で、これまで行われてきた均等割額の特例軽減が廃止されます。今年度は9割軽減の方は8割軽減へ、負担額が2倍になります。来年度は原則7割軽減ということで、現在の均等割額と比べると3倍へと負担が広がります。これまで広域連合議会としても、国に対して後期高齢者医療制度の特例軽減の継続などを求めてきたと聞いています。しかし、結局かなわず、廃止の準備が進められてきました。
 区への問い合わせには、なぜ均等割額が引き上がったのかという苦情が寄せられました。区は、そのかわりに、高齢者を含めても収入が低い世帯に対して、年金生活支援給付金を月5,000円、年間6万円の支給が行われ、こうした世帯には介護保険料も軽減されると説明しています。しかし、実際には消費税の負担が覆いかぶさることを考えると、決して十分な対策とは言えません。改めて、区として国に均等割額の特例軽減の継続を求めるとともに、区独自での軽減策の実施を求めます。

次に、発達障がい者支援センターについて質問します。
 発達障がい者支援センターは、発達障がい者及びその家族、そのほかの関係者に対し、専門的にその相談に応じ、または情報の提供もしくは助言を行うこととしています。板橋区でも発達障がい者支援体制強化が待たれています。現在、区は向原に発達障がい者支援センターを建設しています。当初は来年4月に開所するとしていましたが、来年秋にずれ込むとしています。工事の遅れが事業にどのような影響を与えるのかお答えください。
 来年4月からの開所が間に合わないことから、約半年間、ケアホーム板橋の多世代の地域交流スペースの一部が発達障がい者支援センターの仮設候補地として挙げられています。私も現場を見てきましたが、子どもが遊べるマットも敷かれ、当日は保育園児が利用していました。また、高齢者の会食サロンなども実施されていました。同じスペースの中で障がい者の相談事業などを展開することは、あまり落ちついた環境とは言えません。当初の予定どおり、4月1日から、きちんと開設できる施設環境の整備を行うことを求めます。

次に、教育について、まず学校の給食調理室について質問します。
 近年、夏になると猛烈な暑さとなり、熱中症と見られる症状で緊急搬送される人が続出しています。ためらわずに冷房を使用することなど、万全の対策を講じることが求められており、学校体育館の冷暖房設置も緊急で具体化が進められています。第2回定例会での我が会派の一般質問に対して、給食調理室への冷暖房については、給食調理員の労働環境の改善という観点からも重要であると答弁しています。2月に視察をした、ある小学校の給食調理室では、夏は、汗だくで働いていますと話していました。早期に冷暖房を設置する以外に解決策はありません。給食調理室への冷暖房設置について、いつまでに完了させるという教育委員会の計画が必要です。区の見解を伺います。
 トイレの洋式化も待ったなしの課題です。和式のトイレでは、洗浄水が足元近くを流れるために、しぶきにより着衣や履物を汚染する可能性が高く、保健所の食品衛生監視員から、調理従事者用のトイレは洋式が望ましいと指摘されています。
 板橋区は、学校給食の安全衛生管理に関し、「区の安全衛生管理基準に沿って衛生管理の徹底を図っていく」としています。この点で、今残されている給食調理員の使うトイレの洋式化の実現は待ったなしの課題です。現在の年間6校ずつという計画では、あと5年かかる計算になります。小学校が20校、中学校が7校の未整備であり、あまりにも遅過ぎます。計画を前倒しして行うことを求めます。

次に、不登校対策についてです。
 9月2日に2学期がスタートし、その直後から全国各地で中学生や高校生が自ら命を絶ったというニュースが相次ぎました。事例の中には、学校や教育委員会が早く気づけば救えた命もあったのではないかと考えさせられたこともありました。長期休暇明けは学校に行くことが耐えがたい苦痛となるケースが少なくありません。いじめ、友人関係、勉強の問題などに悩み、学校に行くことができない。でも、行かなくてはならない。この気持ちは誰にも理解してもらえないと追い込まれる実態があることは問題です。子どもたちの悩みをどのように受けとめ、向き合っていくかが課題です。友人関係がきっかけで不登校を経験し、現在は不登校児童への支援活動を行っている女性は、親、学校、カウンセラー、ソーシャルワーカーといった周囲の大人に話をしても、誰も苦しさを共感してくれなかったと当時を振り返ります。子どもたちの息苦しさは、何としても解決させなければならないと考えます。
 板橋区の小・中学校の現在の不登校の現状をお示しください。また、自ら命を絶つことにつながるような重大な事故は起きていないか、あわせて答弁を求めます。
 板橋区の小・中学校の不登校の児童・生徒数は、2014年度から4年間で、小学校、中学校ともに100人以上ふえています。不登校児童がふえている実態について、教育委員会として、深刻に受けとめているのかお答えください。

最後に、羽田空港機能強化による都心上空低空飛行について質問します。
 国土交通省は、首都圏の国際競争力強化や訪日外国人旅行者の受け入れ等のため、来年3月29日より新飛行経路の運用を開始し、羽田空港において国際線を年間約3.9万回増便することを発表しました。板橋区でも、6月に国土交通省により説明会が開催されましたが、その中でも騒音、落下物、補償、資産価値などの質問が多く寄せられました。説明会会場で区民有志が行ったアンケート調査によると、回答した40名のうち、国土交通省の説明に納得したが2名、納得できないが38名で、この計画に賛成が7名で、反対が31名だったそうです。区民の納得を得られたとは到底言えません。
 また、国土交通省の騒音における計算値は、実測値と大きな乖離があります。国土交通省も区も、予測値からすると板橋区上空は最大で68デシベルだから、通常の話し声程度だと言いますが、江戸川区上空では、国土交通省が説明してきた70デシベルに対し、国土交通省自身が実際に測定した騒音は78デシベルであったということが明らかになっています。8デシベルも違えば、板橋区では幹線道路や騒々しい街頭と同じレベルです。
 今回、新たに示されたのが騒音対策としての都心上空での降下角度を3度から3.5度へ引き上げるとしたことについて、専門家からも0.5度引き上げるだけでもパイロットの負担が大きいことが指摘されています。騒音対策のために安全対策がおざなりにされては意味がありません。
 国土交通省は、地元の理解を得て進めると答弁してきましたが、渋谷、品川では区議会で見直しを強く求める、容認できないなどとする意見書が上がっています。地元の理解は得られていません。低空飛行ルートに入っている板橋区としての考えをお聞きします。
 板橋区は、2014年以降、12回にわたり、都心上空を低空飛行する計画に対して要望を届けてきました。直近では、5月28日に相次ぐ航空機からの落下事故等を徹底調査し、原因を究明すること、同様の事故を繰り返すことがないように安全対策を強化し、再発防止に努めることなどを要望しています。
 8月7日に開催された国土交通省の協議会で、羽田空港に着陸する国際便が都心上空を通る新飛行ルートの運用について、東京都の長谷川明副知事は国の案に沿って着実に進めてほしいと容認する立場を示しました。
 東京都は、都の意見案について、意見がある場合には、8月5日までに別途返信するよう、板橋区を含む関係する自治体に依頼をしました。しかし、東京都へは、1つの意見も上げられなかったことが明らかになりました。板橋区として、東京都や政府に対して、要望を取り下げたということなのですか。明確な答弁を求めます。区民の不安や疑問がある以上、要望を続けるべきです。  以上で私の一般質問を終わります。どうもありがとうございました。(拍手する人あり)


◎区長(坂本健君) それでは、荒川なお議員の一般質問にお答えいたします。

 最初は、区のスポーツ施策によりまして区民の施設利用が制限されることについてのご質問であります。
 東京2020大会に向けた海外チームの練習場所の提供につきましては、大会の気運醸成や大会後のレガシーに発展していくと考えております。また、地域におけるプロスポーツの存在は、地域に対する愛着や区民の誇りにつながっていくものとも考えています。確かに、海外チームの受け入れなどは区民の体育施設利用に影響を与える部分はありますが、それ以上に、見るスポーツや支えるスポーツの効果は大きいものと考えています。

 次は、施設改修が各団体の施設利用に与える影響についてのご質問であります。
 現在、体育協会をはじめとする各種団体とは、大会の開催時期や期間、場所の変更が可能かどうかも含めて協議を進めているところであります。また、東京都の施設など、代替場所として可能な施設も紹介をしていただいております。このような協議を進める中において、改修期間に限り、区施設における年間利用日数の縮減に向けて努力をしていただいているところであります。
 次は、プールの利用時間に関連いたしまして、2時間単位の設定についてのご質問であります。

 体育施設の利用時間については、準備や後片づけを含んだ時間となっておりまして、プールにつきましては、着替えの時間等も含み、利用実態を踏まえて2時間単位としているところであります。

 次に、1時間単位の導入についてのご質問であります。
 1時間単位に設定した場合、これまでの利用実態から、1時間を超過する場合が十分に考えられるため、超過時間を管理する体制が必要になってくると考えられます。今後、利用実態やこのような技術的な課題等を勘案しながら、1時間単位のプール利用について検討を進めていく考えであります。

 次は、住民票等への旧氏併記で新たに発生する業務内容と財政的影響についてのご質問であります。
 住民票等への旧氏併記を希望する者は、戸籍住民課または区民事務所での申請が必要であるため、業務としては、申請の受け付け、住民票の記載事項の変更を行うことになります。財政的影響としましては、印鑑登録証明書への旧氏併記等のシステムの変更が必要となりまして、そのための経費を今回の補正予算案に計上しております。
 なお、住民票への旧氏併記等のシステム改修は、国の補助金を活用して平成30年度中に終了しております。

 次は、旧姓併記に伴う影響についてのご質問であります。
 区としましては、住民票、個人番号カード等への旧姓併記が可能となることに伴う影響は全体に及ぶと認識しています。氏名を取り扱うさまざまな場面において旧姓併記の要望が想定されることに備え、全庁的周知啓発を行い、職員の理解促進に努め、対応について検討していく考えであります。また、各部署におきまして、関連する外部機関に、旧姓併記が可能となるよう、関係法令が改正されたことについて情報共有を図るよう働きかけをしていきたいと考えています。

 次は、苦情処理委員会の勧告に関連いたしまして、受診券についてのご質問であります。
 受診券について旧姓併記の申し出があった場合は、勧告に則り、今後、旧姓併記をしていく考えであります。また、各医療機関等の窓口における呼び名や受診結果票の表記については、区の方針をご理解いただいた上で適切に対応いただけるよう調整をしていく考えであります。
 なお、旧姓のみの表記につきましては、今後、医療機関等と協議を進めていきたいと考えています。

 次は、国民健康保険証についてのご質問です。
 国民健康保険証の氏名等の表記につきましては、住民基本台帳に基づき行っております。施行令等の改正を受け、11月5日以降に旧姓併記の申し出があった場合には、住民票等で確認の上、旧姓を併記した保険証を発行する方向で調整を進めているところであります。

 次は、夫婦別姓に対する認識についてのご質問であります。
 選択的夫婦別姓の必要性につきましては、さまざまな意見があると認識をしており、国の動きを見守っていきたいと考えております。

 次は、公共施設全体のトイレの把握についてのご質問です。
 施設のトイレ洋式化については、これまでも計画的に取組みを進めておりまして、改修できる部分については、補助金等を活用しながら積極的に整備していくところであります。各施設における整備状況については、整備の進捗状況に応じて把握をしているところでありますが、主管課発注の工事データを含め、定期的に追加調査を行うなど、詳細の把握について努めていく考えであります。

 次は、公園・公衆トイレの洋式化計画についてのご質問であります。
 現在231か所あります公園・公衆トイレのうち、115か所が男女いずれもが洋式便座を使用できる状態のトイレでありまして、洋式化率は50%であります。公園・公衆トイレについては、№1プラン2021に基づきまして、老朽化したトイレの再整備を年4棟ずつ行っておりまして、その中において洋式化に取り組んでいるところであります。他のトイレにつきましては、利用が多く、技術的に可能な場合には、通常の改修経費の中で最低でも1基の洋式便座が確保できるよう交換を進めておりまして、今後、計画化の検討も行っていきたいと考えております。

 次は、公衆喫煙所設置における教訓についてのご質問です。
 来年4月の改正健康増進法や東京都受動喫煙防止条例の全面施行によって、路上等の喫煙がふえると予想される中において、受動喫煙防止の観点から、当面、公衆喫煙所の設置は必要であると考えています。今回の公衆喫煙所の開設が滞った最大の要因は、近隣への事前の説明が、着工に至るまでの間の適切な時期に十分な期間を設けて丁寧に行われなかったことにあると考えています。今後につきましては、設置場所の近隣の方々の理解を得た上で着工できるよう、適切なスケジュールの設定と進行管理、丁寧な説明に努めていきたいと考えています。

 次は、公衆喫煙所の移設先についてのご質問であります。
 現在地からコンテナを移設する新たな公衆喫煙所の設置場所につきましては、区役所本庁舎周辺だけではなく、開放型の喫煙場所が現存する4地区、5か所にも範囲を広げて検討しております。移設先の選定に当たりましては、地元町会・自治会はもとより、近隣の方々に対しまして事前に丁寧な説明を行い、理解が得られるように努めてまいりたいと考えています。また、議会の皆様にも、しかるべき時期に適切に報告させていただきたいと考えています。

 次は、認可保育施設における午睡中の死亡事例に関する検証報告書に関連いたしまして、区の果たすべき責任についてのご質問であります。
 初めに、板橋区長として、お亡くなりになられたお子様とご家族に心から哀悼の意を表します。
 今回の事故につきましては、事故検証委員会の設置が遅れたことに関し、検証委員会から事故発生後、速やかに実施すべきとの提言を受けておりまして、重く受けとめているところであります。今後、重大事故が発生した場合においては、区の責務として速やかに事故検証を行い、再発防止の取組みを進めていきたいと考えています。

 次は、保育士年齢別配置基準の見直しについてのご質問です。
 検証報告書では、当該保育園においては、国の保育士配置基準は満たしていたものの、区が加算している保育従事者数が配置されていない状況が確認されました。国が定める基準は最低基準であり、実際の保育運営には不足している実態もあるため、保育士の年齢別配置基準の見直しを行うことが提言されております。この提言を受け、かつ保育現場の業務量や労働環境により保育士の負担が増している現状に鑑み、国や東京都に対して保育士配置基準の見直しを要請していきたいと考えています。

 次は、今後の民営化についてのご質問であります。
 公立保育所のあり方では、公立保育所が地域の保育施設間のネットワークの中心を担うなど、これからの公立保育所の役割をお示ししております。公立保育所の役割に基づき、地域の保育施設との交流、連携のかなめとなる区立保育園は維持していく方針であります。

 次は、パブリックコメントの意見についてのご質問です。
 公立保育所の再編整備方針(素案)に対するパブリックコメントにおいて、区民の皆様からさまざまなご意見があったことは承知しております。民営化に当たりましては、区の保育内容を引き継ぐとともに、処遇や人材育成策などが充実をし、安定して働き続ける環境が確保できる移管先事業者を選定していく考えであります。また、保護者の不安感の払拭のため、三者協議会、合同保育など、円滑な移管に向けた十分な対応を行うとともに、指導検査等により、保育水準の維持向上に努めていく考えであります。

 次は、保育士の人材確保についてのご質問です。
 国や東京都の保育士の処遇改善制度等を活用し、私立保育所等における保育士の確保に努めてきたところであります。区が実施する指導検査におきましても、一部私立保育所では、区の定める保育士数の配置がなされていない実態があることが確認されております。区としましては、事業者に改善を求めるとともに、国や東京都に対して、保育士確保のための財政支援策など保育人材の確保の充実を要請していきたいと考えています。

 次は、民営化計画についてのご質問であります。
 公立保育所の老朽化や待機児童対策による保育運営費の増大から、今後の民営化方針に基づき、民営化を優先して検討を進めていく方針であると考えています。公立保育所の再整備に当たりましては、公立保育所のあり方で示した公立保育所の役割を踏まえ、育ちのエリアの構築などに関しまして具体的な検討を進めていく考えであります。

 次は、就学前障がい児の発達支援施設における給食費に関連いたしまして、施設利用者における給食利用者数についてのご質問であります。
 民間通所施設を利用している障がい児の給食利用者数については、把握をしていないところであります。
 なお、令和元年5月1日現在、民間通所施設を利用している障がい児延べ352名のうち、給食提供のある施設を利用している障がい児は79名となっております。
 次は、給食費の無償化についてのご質問です。
 就学前障がい児発達支援施設における給食費につきましては、法のとおり、実費負担をいただくこととしております。無償化につきましては、他の自治体の動向を注視していく考えであります。
 続きまして、介護保険事業における人材育成事業についてのご質問です。
 板橋区内においても介護人材の不足が見込まれる中、安定的な介護サービス提供のため、人材確保対策は重要であると考えています。現在、他区の取組み事例を参考にしながら、東京都の介護人材緊急確保対策事業費補助金を活用し、研修受講料の助成などの方策を検討しているところであります。

 続いて、後期高齢者医療制度の特例軽減廃止についてのご質問であります。
 後期高齢者医療保険料の軽減特例の見直しにつきましては、平成31年1月31日の東京都広域連合議会において、条例改正議案として議決され、4月から施行されております。後期高齢者医療保険料につきましては、軽減措置も含め、東京都広域連合条例により定められているため、区独自で軽減することは困難であると考えます。
 なお、東京都広域連合は、軽減特例見直し対象者で年金生活者支援給付金の支給対象でない方に対する救済措置の要望を全国広域連合協議会に上げておりまして、本年6月、国に提出をしたところであります。

 次は、発達障がい者支援センターに関連いたしまして、工事の遅れの影響についてのご質問であります。
 発達障がい者支援センターにつきましては、令和2年4月の開設を予定しておりましたが、東京オリンピック・パラリンピックの開催に伴う建設事業の影響によって、施設開設が令和2年秋ごろへと延伸が見込まれております。これに伴いまして、事業の実施につきましても開始が遅れることが見込まれるため、代替施設の活用や方法の工夫による事業実施の可能性について検討をしているところであります。

 次は、予定どおりの施設開設についてのご質問です。
 施設建設の遅れから、当初予定どおりの施設開設は困難であると判断しています。しかしながら、利用者への支援の開始につきましては、工夫を施すことによりまして、可能な限り早期に実施していきたいと考えています。

 次は、低空飛行ルートについてのご質問であります。
 国土交通省は、羽田空港機能強化に向けた追加対策として、南風好天時の新飛行経路の降下角度を引き上げることによって、騒音の低減を図ることを検討しております。これまで区は、国土交通省による騒音、落下物対策や説明会開催、情報提供等に対しまして一定の理解を示しつつも、さらなる騒音、落下物対策、区民への丁寧な説明を要望してまいりました。引き続き、区民の不安や疑問の声等を真摯に受けとめ、国土交通省に対して粘り強く区民の声を伝えていきたいと考えています。

 続いて、東京都の意見案についてのご質問です。
 区ではこれまで、国土交通省に対して、騒音や落下物に係る対策を講じるとともに、区民に対して丁寧な説明を行うよう要望してきたところであります。本年8月の東京都による意見募集は、東京都が国土交通省に提出する意見案に関し、23区と多摩の5つの市に対して実施をしたものであります。この意見案には関連の市区が従来から求めていた要望が集約をされておりまして、本区の従来からの要望につきましても同様であったために、改めて意見は述べるまでもなかったところであります。
 残りました教育委員会に関する答弁は教育長から行います。

◎教育長(中川修一君) それでは、荒川なお議員の教育委員会に関する一般質問にお答えします。

 初めに、給食調理室の改善に関しまして、冷暖房装置の設置についてのご質問ですが、給食調理室の暑さ対策として、エアコンのない調理室についてはスポットクーラー等を設置しております。また、調理員が休憩する休憩室には、家庭用エアコンを全校に設置しているところです。今後、給食調理室の冷暖房機器の設置につきましては、給食調理員の労働環境の改善という観点からも検討を進めてまいります。

 次に、給食調理員用トイレの洋式化についてのご質問ですが、給食調理員用トイレの洋式化については、現在、46校まで整備を行ったところであります。未整備校につきましては、年6校のペースで児童・生徒などが使用する校舎棟のトイレの洋式化改修工事を進めており、この改修工事にあわせ、給食調理員用トイレの洋式化改修を計画的に行ってまいります。計画の前倒しにつきましては、空調機器や給排水設備など、他の老朽化した設備改修も並行して行わなければならないため、現状では難しいと考えているところです。

 次に、本区の不登校と自死の状況についてのご質問ですが、平成30年度の不登校は、小学校では194人、前年度より21人増加しております。中学校では416人、前年度より44人増加しております。また、自ら命を絶つにつながるような重大な事故は発生しておりません。

 最後に、不登校児童・生徒が増加している実態についてのご質問ですが、本区における不登校の実態は深刻な課題として捉えています。教育委員会では、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー、家庭教育支援チームを効果的に活用するとともに、フレンドセンターやまなぽーと、学びiプレイスなどの多様な子どもたちの居場所づくりを進めるなど、総合的な不登校対策を推進してまいります。
 いただきました教育に関する質問の答弁は以上でございます。

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