日本共産党板橋区議会議員団を代表して、「議案第32号 東京都板橋区介護保険条例の一部を改正する条例」の委員会決定「原案可決」に反対する討論を行います。
本議案は、令和7年度の国の税制改正において、個人住民税に係る給与所得控除の最低保障額が55万円から65万円へと10万円引き上げられたことに伴い、介護保険条例を改正する必要があるとして提出されたものです。改正内容は、介護保険制度において保険料段階は、住民税の課税状況や合計所得金額等に基づいて設定しているため、今回の税制改正によって、保険料段階が下がる人が生まれるが、そのために介護保険料収入が減少することを避けるために、令和8年度については、合計所得金額が変わらなければ、令和7年度と同額の保険料とするというものです。
反対する第1の理由は、税制改正によって介護保険料が下がるはずであるにもかかわらず、下がらないままになる人が生まれ、不利益が生じるからです。
政府は、令和7年度の税制改正の目的を、「物価上昇局面における税負担の軽減」としています。しかし、税負担を軽減するために課税限度額を変更すれば、税負担だけではなく、その他の施策にも影響することは当然です。しかし、今回の改正は課税限度額が下がったにもかかわらず、高い介護保険料はそのままという不合理なもので、物価高騰対策としての効果を薄めるものです。
住民税が非課税なのに、どうして介護保険料だけが課税者扱いなのか、という区民からの問い合わせに、「介護保険財政の収入不足を避けるため」という説明を、どれだけ丁寧にしたところで、納得できる区民はいるでしょうか。また、税制改正によって非課税になった人は、税制上も生活に余裕がないと判断されたということです。そのような世帯に対して、保険料の算定で課税者と同じ扱いをすること自体、不合理であり、納得できるものではありません。
反対する第2の理由は、介護保険財政を守ることを何よりも最優先にして、高齢者への負担の押しつけを当然視しているからです。
厚労省は、今回の措置について、保険料収入への影響額は1%程度としています。「保険者に起因しない」というのであれば、その原因を作っている政府こそが、補填をすべきです。介護保険財政は、その半分を公費によって賄っています。今回の国の税制改正によって、介護保険財政に影響が出るのであれば、その影響部分は、国が公費で賄うべきです。そうせずに、「保険料収入不足を防ぐために、税制改正の影響を遮断する」などと言って保険料を下げないというのは、誰のための、何のための税制改正なのか、本末転倒です。断じて許せません。
反対する第3の理由は、「年収の壁」の見直しという政府の方針が、現場の意見を聞かずに押し付けられ、現場と高齢者に混乱を招くことになるからです。
保険料だけの臨時的な措置で利用料には影響しないとのことで、中には利用料は非課税適用なのに、保険料だけは課税者扱いとなる人も生まれ、利用者が納得できないと同時に、介護保険の業務の中に混乱を生じさせかねません。
また、東京都においては、シルバーパスの発行費用は、非課税者か課税者かで金額が違うため、その証明を介護保険料の納入通知書で行っています。今回の改正によって、実際の所得金額と介護保険料の段階に違いが出てくることで、この証明ができなくなることについて、解決策が示されていません。シルバーパスを購入するのに、課税証明を取らなければならないとすれば、それは利用者にとって大きな負担を強いるものになります。
また、23区の介護保険課長会からは、介護保険料の減少分を国の責任で対策を講じること、および、令和8年度のみに適用する応急的なシステム改修は、自治体職員に多大な負担となること、また、介護保険特別会計の非効率な執行であることから、国の責任で財政措置を行うことを求める要望が出されています。「年収の壁」の見直しを行うのであれば、その他の制度への影響も含め、十分に検討して制度設計をすべきです。現場の声も聞かずに行われた今回の改正は、きわめて拙速だと言わざるをえません。
反対する第4の理由は、今回の措置について、特別区介護保険課長会から厚労省に対して、「再考」が要望されていますが、そうであるなら、板橋区として自ら補填するべきだからです。板橋区の影響額は約1億円とのことです。板橋区の令和7年度末の介護保険準備基金積立金は40億円積み上げられており、補填することは十分可能です。国に対して、影響額を国が補填することを求めつつ、区として補填して、高齢者の不利益を解消するべきです。
以上で、議案第32号に対する、私の反対討論を終わります。
