令和元年第4回定例会 一般質問 かなざき文子議員

発言日: 2019年11月28日

引き続き日本共産党板橋区議会議員団の一般質問を行います。

まず、初めに、新年度の予算編成についてお聞きいたします。
 板橋区の行財政改革による財政効果額、そして職員削減の実績をさかのぼって検証すると、平成4年度から昨年度平成30年度までで削減効果額は345億3,300万円、職員削減数は2,443人となっています。定数上は1,432人の減で、4,478人から3,476人へと大きく職員が減らされてきたことがわかります。しかし、区が行っている事業数は、都区制度の移管、地方分権の流れの中、国・東京都から区市町村へ事業が移行してきたものなど、決して減ってはいません。事業はふえているにもかかわらず、職員は減らされているため、どの職場でも残業を余儀なくされ、サービス残業があることも否定できません。振りかえ休暇もなかなかとれないのが実態です。例えば今年度、各所管からは合計90人の増員要求が出されていました。ところが、33名の増員しか認められず、それどころか、まるで数字合わせのように33名減らされ、定数上では前年度と職員数は変わらずという結果でした。また、学校の先生たちの状況はというと、今年の5月で見ると週当たり60時間を超えている先生は小学校で約25%、中学校で約24%でした。60時間を単純に5日間で考えると1日12時間労働です。
 そこで、まずお伺いいたします。各職場で必要な人員が確保できていません。せめて毎年、各職場から要望がされている職員数の配置へ増員することを求めますが、いかがでしょうか。仕事量に合わない職員の配置ではなく、適切な職員数へふやすことができると、もっと効率的に仕事ができると考えます。区長の見解をお聞きいたします。
 こうした状況において、本当に区民が必要である事業が予算化されているのでしょうか。昨年度は、区政史上初めて100億円以上の基金積立額となりました。100億円以上積み立てることができるだけのお金がなぜ出てきたのでしょうか。100億円あれば、学校施設の深刻な雨漏りの対応や、待機児童対策として区立認可保育施設を増設することも可能です。高過ぎる国民健康保険料を区独自の事業へ変えて保険料引き下げを行うことも可能です。昨年度の100億円以上の基金への積み増しというのが、当初の仕事ができなかった、その結果として出てきた執行残と考えます。区長の認識をお聞きいたします。
 9月補正予算時には、ほぼ今年度の財政の動きが見えています。その精査も補正で行われているのですから、差金で余ったお金を緊急性や必要性のある事業へ振り向けることは、区長の判断一つでできると考えます。ところが、年度当初、必ず副区長名で予算の執行管理の徹底についてという依命通達が全ての部署に出され、そこには契約差金や事務事業の見直し等により発生した不用額については、原則として他の事業に転用しないことと書かれています。これではどの部署も、差金は使ってはいけないお金と受けとめざるを得ないのではないでしょうか。9月補正時点でわかっている差金などの不用額については、使わないで残すのではなく、必要な事業実施のために振り向けていただきたいのですが、いかがでしょうか。
 区は、財政の見通しが厳しいことを1つの理由として、この間、公共施設再編整備計画を進めていこうとしています。しかし、一方では、大山、上板橋、JR板橋、そして高島平全域で大きな開発計画を進めています。財政が厳しいので、保育園も、福祉園も、特養ホームも民営化を進めると言っておきながら、片やゼネコンと一緒に大きな開発計画を進めていくことは、住民感覚では理解できることではありません。開発計画については、財源が保障されると言われますが、ならば、たまった基金は区民のための使い方をすべきです。自治体にとって、聖域とすべきは区民の福祉、なりわい、教育、保育など、命と暮らしを支え守る政策です。自治体が握って離してはならないこうした事業こそ、基金の活用を含め何よりも優先して予算編成を実施することを求めます。いかがでしょうか。

次に、国民健康保険事業についてお聞きいたします。
 今年度も、新年度の保険料についてどうするかの検討が23区の担当課中心に進められています。先日、我が党の都議会議員団と、全都の区市町村議員で東京都に対し、都の財政支出を保険料の引き下げのために強化することなど、6項目にわたって申し入れを行いました。東京都からは、国民健康保険事業は国の施策であり、国が責任を持って対応すべきという通り一遍の回答の繰り返しでした。都道府県単位化となる前と一切変わらない対応です。保険者としての自覚のなさに正直言って驚きました。
 区長もご承知のとおり、収入に占める国民健康保険料の負担割合は、どの医療保険よりも大きく、これ以上の引き上げはしてはならないと考えます。ところが、国は保険料を引き下げる努力は一向に行わず、高過ぎる保険料の収入確保、また医療費抑制に各保険者、自治体がどれだけ成果を出しているかの基準などで努力支援交付金を出すなど、各自治体の徴収強化を行っています。横浜市では、平成28年度から資格証の発行を、さらに今年の8月からは短期証の交付もやめています。横浜市は、法律や政府の国会答弁、厚労省からの通達などの趣旨から、「意図的に支払わない人はほとんどおらず、適切に判断すれば交付はゼロになる」と説明しています。平成20年10月30日の厚労省通知によると、資格証発行については、機械的な運用はしてはならない、事情の有無の把握を適切に行った上であること、その上で悪質な滞納者に対して収納対策の厳正な実施を行うこととなっています。

 そこでお聞きいたします。まず、この平成20年に厚労省から出された通知に対する区長の認識をお聞きいたします。

 次に、その通知に対する横浜市の判断について、区長の見解をお聞きいたします。
 保険料をなぜ納めることができなくなっているのか、その実情を把握することなしに資格証の発行をしてはなりません。区が資格証発行について、実情を把握した上で踏み切ったのかが問われています。しかし、例えば平成28年度では、年度末の資格証発行件数は約2,245件に対して、相談実績はわずか28件と1%にも満たない状況です。調査件数は2,788件と高いのですが、なぜ相談実績が28件だったのか。実情が把握できていないならば、資格証の発行をしてはならなかったと思いますが、区長の認識をお聞きいたします。
 本来、保険料を払えない状況の世帯に対しては、相談に行く気持ちへハードルが高くならないように、まず1か月払わなかった方に対しては、どうされましたか。保険料が払えなかったようですが、大丈夫ですか。もし払えない実情があるならば、1人で悩まず、ご相談ください。といった対応こそ求められていると考えます。こうした対応を求めますが、いかがでしょうか。

 最後に、新年度の保険料についてお聞きいたします。
 これ以上保険料が引き上がらない対策を求めます。また、せめて子どもがいる世帯の均等割額に対する軽減を検討するなど、軽減対策を検討していただきたいのですが、いかがでしょうか。

次は、必要な介護を保障するために質問いたします。
 まず初めに、認知症カフェ事業についてです。
 認知症カフェ事業は現在、区内29か所で活発に取り組まれています。しかし、区の財政支援を受けているのは今、7か所です。3年たつと一律打ち切りとなっているので、4年以上のところにはもう補助金は行っていませんが、14か所は補助金申請もしていません。その多くは社会福祉法人や民間企業です。一方、任意団体として一般の区民が取り組んでいる場合は、全ての団体の方々が補助金申請をしています。この補助金が3年で打ち切りとなっているために、4年目以降の事業展開が厳しくなっている団体が見受けられます。一律3年という考えは実態に合わないと思います。地域における福祉力でもある、こうした取組みについて、事業が継続できるよう、必要について応じて柔軟な対応を求めますが、いかがでしょうか。

 次に、第8期事業計画策定に向けてです。
 介護保険制度が始まって20年目を迎えようとしています。この間、6回の見直しが行われ、改正のたびに介護現場は大きな影響を受け続けてきました。特に2018年度改定制度の持続可能性の確保という方針のもと、今、給付制限、給付削減が大きく広がっています。そして、保険料は3年ごとに上がり続け、まさに保険あって介護なしの実態は広がるばかりです。
 そこでお伺いいたします。これ以上保険料を引き上げないこと。特に本人非課税までの保険料については引き上げないよう求めますが、いかがでしょうか。今度は2021年度の改正の内容が示されてきています。要介護1、2も国の介護保険給付から外して、各区市町村が運営する総合事業へ移行することが言われています。さらに利用料原則2割への動きも気になります。居宅介護現場では、要介護認定を行われた人の約1割が要支援へと認定が変えられ、状態が改善されているわけでもないのに、受けられる介護が大きく減り、家族介護、老老介護に頼るばかりになっています。介護保険制度の導入で家族の負担を軽減できるといった導入時に描かれていた姿とは逆行になっています。さらに利用料の2割、3割負担は特にショートステイの利用に抑制がかかっており、家族介護の負担は重くなるばかりです。そこで、利用料を1割にするために、板橋区独自の支援を立ち上げることを求めますが、いかがでしょうか。
 施設介護現場では、要介護3以上対象の重度化方針に翻弄される実態が広がっています。重度の入所者が多くを占めるということは、持病などの急変等で入院をすることが多く、入退所が頻繁になり、入退所調整の難しさが指摘されています。低過ぎる介護現場の労働条件を改善、マンパワー不足の対策として、板橋区の第7期の事業計画に介護現場の人材育成事業の強化が位置づけられていますが、いよいよ第7期の最終年度を迎えようとしています。板橋区として、人材育成事業として、せめて研修費用への助成、研修できる体制保障のための支援を実施するなど、事業実施を求めますが、いかがでしょうか。
 国のたび重なる改定の影響を受け、介護を必要とする人がいつまでも住みなれたこの板橋区で暮らし続けることができるかどうかが問われています。今、改めて区の充実した介護施策の実施が一層重要になっています。
 介護保険制度では、制度のはざまとなって、本当に必要な介護が実施されていない状況が残されています。例えば季節の衣類の出し入れや大掃除、また、日中独居の方のところでは、食事をつくるのも要介護本人分だけ、洗濯も本人分だけ、掃除も本人がいる部屋だけしか介護保険制度の対象とならないために、必要な介護が保障されていません。この間、介護保険外の事業の実施が各地で広がっていますが、改めて板橋区としても実施に踏み切るべきと考えますが、いかがでしょうか。

次は、医療的ケア児が板橋区で生きていくためにです。
 2016年6月3日施行、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律及び児童福祉法の一部を改正する法律により、医療的ケア児が身体、知的、精神、発達障がいに続く障がいとして、初めて法律に明記されました。そして、自治体の医療的ケア児への対応が努力義務規定となりました。一方、措置の内容について各自治体に委ねられ、このことにより地域格差が起きてもいます。この法改正を受けて障害児福祉計画の第1期が策定され、本区においても策定されています。ところが、本区の計画には医療的ケア児の施策については不十分な内容となっています。現在、板橋区には児童発達支援センターが加賀福祉園とYWCAの2か所に設置となっています。しかし、必要なネットワークづくりや条件整備はまだ進んでいません。

 そこで、以下、具体的にお伺いいたします。
 板橋区として児童発達支援センターの設置について、今後の対応・計画、また現状についてお聞きしておきます。医療的ケア児の中でも特に歩くことのできる医療的ケア児への支援がさまざまな制度のはざまとなって大きく遅れています。こうした歩くことのできる医療的ケア児の保育園、幼稚園、学校における受け入れ体制がどのようになっているのかお聞きいたします。また、当然保育・教育を受ける権利の保障が求められますが、区の今後の対応についてお聞きしておきます。
 医療的ケア児支援の協議の場の設置が昨年度までとなっていますが、ようやく今年度中には何とか設置できるところまでと聞いています。また、今年度中には医療的ケア児など総合支援事業新設の予定となっていますが、これはまだ未定です。全体的に整備が遅れていますが、焦って中途半端な設置をしては取り返しがつきません。関係者との十分な協議を経て必要な条件整備に力をかけることが必要です。区としての今後の対応、計画についてお聞きいたします。
 最も大事なのが医療的ケア児に対する関連分野の支援を調整するコーディネーターの配置です。本区ではどのようになっているのかお聞きいたします。あわせて相談支援専門員の育成など、専門性のある人材育成は急務です。板橋区としての取組みの状況と今後の計画についてお聞きいたします。また、医療的ケア児に対する理解が乏しいと子どもも親も傷つきます。職員の理解を深め、適切な対応ができるように職員研修を含めた対策を求めます。
 医療的ケア児の家庭では、365日24時間、片時も目を離せないのが実態です。こうした家族のかわりに、医療的ケア児をかわりに見守り、家族の一時休息やリフレッシュの体制の保障が必要です。板橋区としては昨年度より、月8時間を上限として年間12回までという制限がついた中で、看護師等の派遣が実施されています。年間12回まで、月8時間上限では、家族のレスパイトにはほど遠いと言っても過言ではありません。昨年度の利用状況と今後の拡充を求めますが、いかがでしょうか。

最後に、区立保育園の民営化問題について質問をいたします。
 まず、弥生保育園についてです。決算調査特別委員会総括質問でも言いましたが、今年の9月26日、区は、弥生保育園の保護者の皆さんに対して、民営化と園舎の改築計画について説明を行いました。あと2年半しかない、令和4年度からの民営化、改築という計画に、保護者の皆さんからはさまざまな問題点が指摘されました。まず、子どもたちが入所承諾されたときに、区は保育利用調整結果通知書を保護者に交付をし、そこにいつからいつまで区立弥生保育園への入所が承諾されたと記されているにもかかわらず、4年で民営化してしまうというのは承諾書に反していることが指摘されています。さらに同じ1期の計画で示されている板橋保育園は卒園まで待つのに、公平性が欠けるという問題点。また、新園舎建設の土地が目の前の園庭等で行われ、その間、園庭が奪われ、保育への影響、子どもたちへの影響は避けられないという問題。さらに年数からしてアスベストが使われている可能性が高く、本来ならばほかへ仮移転をして、その後、解体工事、改築を行い、子どもたちの健康面への配慮が最優先で保障されるべきです。現在地への建て替えが可能となれば、児童館、保育園と併設で、園舎も園庭も南向きで、今と同じ最適な環境が保障できるんです。これらをトータル的に考えると、令和4年度からの民営化はやめるべきです。板橋区が「お父さん、お母さんのご理解いただきながら進めてまいります」と言うならば、弥生保育園の民営化について、せめて現在通っている子どもたちが卒園するまでは民営化しないことを強く求めます。いかがでしょうか。
 平成29年度第4回定例区議会において、区は板橋区公立保育所のあり方についてを報告しました。その検討目的には、1つが子どもの健やかな成長に向け、公立保育所が果たすべき役割の検討を行う、2つ目が公立保育所の老朽化が進む中、保育施設の再整備を進めていく必要を踏まえ、民営化を検討するとなっています。しかし、民営化を言う前に、現在民間保育所が抱える問題点の改善に対して、板橋区がどれだけ責任を負えるのかが明らかになっていません。公私格差是正事業が東京都から廃止されて以後、私立保育園は水準の維持、保育士の配置では、育休代替や要支援児対応の保育士を正規で配置したくても、非常勤の配置がやっとという実態です。さらに株式会社が運営する認可保育施設では、保育士の配置について区の基準を守っていなかったこともわかっています。こうした実態を踏まえるならば、区としての加算の実施、あるいは公私格差是正事業の実施を検討するなど、水準の維持、さらなる充実に向けた施策が明らかになっていません。まずはそのための努力をすべきです。
 さらに公立保育所のあり方についてには、公立保育所の役割を地域の保育所間のネットワークの中心を担い、子育て支援の充実により地域の子育て力を高めること、そして、区の保育を推進して地域の保育を高めることという2つの方向性が位置づけられています。そして、その地域のネットワークをつくっていく上で、育ちのエリアを設定するとなっています。しかし、この間の議会における質疑から、板橋区の保育ガイドラインも、そして、育ちのエリアも、どちらも平成30年度に策定と答弁してきましたが、いまだに策定されていません。ところが、一方では、1月に民営化ガイドラインが報告され、8月の閉会中委員会においては、公立保育所の再整備方針と民営化計画第1期が説明されたのです。板橋区としての保育施策の柱となるものが策定されないまま、民営化計画等が先に進められていることは問題です。そもそも施設が老朽化していくことは前々からわかっていることです。いきなり財政的に厳しいので民営化を進めるという方針は間違っています。区が子どもたちを第一に考えるというならば、こうした子どもたちへのしわ寄せ計画は避けるべきです。区の民営化方針の撤回を求めます。いかがでしょうか。
 以上で、私の質問を終わります。ご清聴いただき、ありがとうございました。(拍手する人あり)


◎区長(坂本健君) それでは、かなざき文子議員の一般質問にお答えいたします。

 最初は、新年度予算編成に関連いたしまして、適切な職員数の配置についてのご質問であります。
 人員配置は、各課が算出した事務量に対する業務時間を基本として、執行方法も含めた人事課におけるヒアリング等を通じて査定をしております。人員査定結果は、限りある人的資源を効率的、効果的に配分した結果でもございます。配分されました職員数におきまして、管理監督職の適切な業務マネジメントや業務改善の追求等を強力に進めることによりまして、効率的な業務執行が実現できると考えております。

 次は、平成30年度の基金積み立てについてのご質問であります。
 応急福祉資金や居宅訪問型保育のように申請や利用がない事業もございますが、このようなやむを得ない事業によるものを除きますと、未執行や著しく低い予算執行率となった事業はないと考えています。基金残高の増加は、経済状況の変動等に伴う財源不足や、老朽化の進む公共施設等の改築、長寿命化への対応を目的として今後の必要額を積み立てた結果でもあると考えています。

 次は、契約差金の活用についてのご質問であります。
 工事契約等で生じた差金につきましては、同一予算科目内であれば、現状でも財政課に協議した上で施設の緊急的な維持補修等に活用しております。差金等の財源でありましても、それらを新たな事務事業に活用する場合においては、予算として議会で審議され、議決を経た上で行わなければならないとも考えています。

 次は、区民の暮らし、福祉向上のための予算編成についてのご質問であります。
 財政調整基金は、福祉施策を含めた区の施策に対する景気変動の影響を極力小さくし、継続して区民サービスを提供し続けるための財源という側面も持っていると考えています。駅前再開発などのまちづくりは、地域の新たな価値を引き出す未来への投資でありまして、結果として、区民の暮らし、福祉の向上にもつながっていくものと考えています。福祉費は今後も伸び続けていくことが想定されますが、区民サービスの維持向上に向けた予算編成を行い、合理的かつ効果的な予算執行に努めていきたいと考えています。

 次は、資格証明書の発行に関連いたしまして、厚生労働省から出された通知に対する認識についてのご質問であります。
 当該通知は資格証明書の交付を、納付相談の機会を確保するためのものでありまして、特別な事情の有無を適切に把握するように求めていると認識しています。板橋区では、資格証明書発行時だけではなく、さまざまな機会を捉え、文章のみならず、電話や訪問などにより早期の相談を促しております。その上で、資格証明書の前段階である短期証の期間を通常より長く設定をし、より相談や納付が行いやすくなるようにするなど、通知に沿った運用を実施しているものと考えています。

 次は、横浜市の判断に対する見解についてのご質問であります。
 横浜市では、資格証明書等を発行することなく、滞納処分が進められておりまして、差し押さえ処分が年間1万3,000件以上であり、収納率は95%と聞いております。板橋区では、滞納相談を充実させることが滞納者にとって重要であるとし、短期証や資格証明書の発行時を大切な相談の機会と考えています。滞納者に対するアプローチは各自治体の実情に合わせて行うことと認識をしておりまして、板橋区においては、資格証明書等の発行は収納対策として適切であると考えています。

 次は、実情を把握していない場合の資格証明書の発行についてのご質問であります。

 国民健康保険法第9条においては、保険料を滞納している世帯主に対し、災害、その他の政令で定める特別な事情があると認められる場合を除き、保険証の返還を求めております。滞納者に対しましては、特別な事情があるのかを確認するために、文書や電話、訪問など、さまざまなアプローチを実施しております。今後も、特別な事情について丁寧に把握をすることに努め、短期証、資格証明書の発行について適切な運用を行っていきたいと考えています。

 次は、滞納1か月目の人への対応についてのご質問であります。
 保険料の滞納後、最初に発送するものは納期限後約3か月で届く督促状でありまして、同封するチラシは適宜内容を変更しております。お知らせの内容については、実質的な内容にとどまらず、寄り添う気持ちを十分に伝え、納付相談につながるように心がけて作成をしているところであります。
 今後もさまざまな機会を捉え、納付相談に行く気持ちになるよう工夫を凝らしていくとともに、窓口での相談のスキルの向上にも努めていきたいと考えています。

 次は、新年度の保険料についてのご質問であります。
 保険料につきましては、国が示すこととなっている来年度の必要見込み額や診療報酬改定等が確定してないために、来年度の保険料率はまだ不明の段階であります。板橋区では現在、特別区の基準保険料率を採用していることや、削減すべき法定外繰入金が多くあることから、独自に軽減を実施することは困難な状況であると考えています。

 次は、認知症カフェ事業についてのご質問であります。
 認知症カフェ運営補助金は、カフェの立ち上げ支援を目的に、開設した年度から3年度を補助対象期間としております。運営補助金以外では、区内の老人福祉施設と活動場所の確保と、確保を調整したり、運営継続のための勉強会を実施するなど、活動継続の支援を行っております。補助金の対象期間の見直しは予定をしておりませんが、こうした活動継続の支援の状況を見きわめながら、制度の運営に当たっていきたいと考えています。

 次は、第8期事業計画に関連いたしまして、介護保険料についてのご質問であります。
 法律で介護にかかる経費の50%を公費で、残りの50%を保険料で賄うこととなっておりまして、そのうちの第1号被保険者の負担割合も政令で定められております。第8期事業計画期間中における介護保険事業経費については、今後、推計を行ってまいりますが、高齢者及び要介護認定者数の増加などから、増加が見込まれるものと考えています。介護保険料基準額については、可能な限り上昇を抑えるように努めてまいりたいところでありますが、一定程度の引き上げは避けられないものと考えています。

 次は、利用料の区独自支援についてのご質問であります。
 区で独自支援を行うために一般財源を投じることは、高齢化が進行する中において、将来にわたって財政的な負担がふえ続けることが予測されるために難しいものと考えています。利用者負担2割につきましては、社会保障審議会においてさまざまな意見が出されておりまして、今後の審議状況を注視していきたいと考えています。

 次は、区としての人材育成事業についてのご質問であります。
 現在、他区の取組み事例を参考にしながら、東京都の介護人材緊急確保対策事業費補助金を活用し、研修受講料の助成などの方策を検討しているところであります。東京都では、都内の介護事業所等で働く介護職員が研修を受講する際において代替職員を派遣し、研修等に参加しやすい環境づくりを支援する事業を行っております。このような東京都が実施しております人材確保育成定着事業については、板橋区のホームページからリンクを張ることで周知を図っているところであります。

 次は、介護保険外の事業についてのご質問であります。
 介護保険の対象外となっている援助については、社会福祉協議会が行うぬくもりサービスにおいて、日常できない範囲の掃除や自宅周りの草取りなどのサービスが提供されております。また、シルバー人材センターが請け負う事業として、網戸の清掃、家具の組み立て、蛍光灯の取りかえなどのサービスが提供されております。自立した生活や、家族の負担が軽減されるよう、区といたしましても、これらの事業について周知、紹介をしてまいりたいと考えています。

 続いて、児童発達支援センターについてのご質問であります。
 児童発達支援センターは、令和2年度までに各自治体に1か所以上設置することが国から求められておりまして、現在、区内においては、2か所のセンターが設置されております。今後も民間事業所設置の機会等に働きかけを行い、支援体制の充実を図っていきたいと考えています。

 次は、保育園に関してのご質問であります。
 保育園の入所に当たり特別な支援が必要な児童については、事前に観察保育を行い、要支援児保育判定審議会において集団生活が可能かどうかを判断し、受け入れの可否を決定しております。その結果、受け入れ対象となる医療的ケア児も含めて、要支援児枠での入所選考を行っております。医療的ケア児の受け入れに当たりましては、個別具体的な状況に応じたスキルを持った看護師等の配置など、課題も多いところではありますが、引き続き先進自治体の事例を参考にしながら、拡充に向けた検討を進めていきたいと考えています。

 次は、医療的ケア児の対応についてのご質問であります。
 医療的ケア児に係る専門的な協議を行うため、重症心身障がい医療的ケア児会議を年内に設置し、協議を開始する予定であります。会議体には当事者団体、支援機関のほか、専門性を有する医療関係者の出席を求め、まずは医療的ケア児の実態把握や課題の抽出及び整理等を行っていきたいと考えています。医療的ケア児への対応については、医療、介護、福祉、教育など、多様な主体との連携が重要となるために、効果的な支援に向けた体制の構築に取り組んでいきたいと考えています。

 次は、医療的ケア児の支援体制及び理解の促進についてのご質問であります。
 医療的ケア児の支援を調整するコーディネーターの配置及び相談支援専門員や保健師の充実につきましては、重症心身障がい医療的ケア児会議において検討を進め、効果的な支援体制の構築に取り組んでいく考えであります。また、医療的ケア児に対する理解は適切な対応の源となるために、職員のみならず、関係機関をはじめ支援にかかわる方へ広く周知啓発をしていきたいと考えています。  次は、重症心身障がい児(者)レスパイト事業についてのご質問であります。  区では、重症心身障がい児等の健康の保持と、家族の介護負担の軽減、一時休息、レスパイトを目的に、平成30年度から重症心身障がい児(者)レスパイト事業を開始いたしました。平成30年度の実績につきましては、16名の方に延べ59回、ご利用いただいております。今後の拡充につきましては、利用実績等を踏まえ検討していきたいと考えています。

 次は、弥生保育園の民営化の時期についてのご質問であります。
 弥生保育園の民営化につきましては、保護者から、在園児卒園までの民営化時期の延期、解体工事や新園舎工事による騒音等に対する不安など、さまざまなご意見を頂戴しています。弥生保育園・児童館の再整備については、弥生保育園と旧弥生荘の敷地を有効活用して、保育園の民営化及び児童館の改築を一体的に計画化したものであります。今後とも民営化への保護者の皆さんのご理解を得る努力を尽くしてまいりまして、敷地の有効活用及び児童館改築計画を含め総合的な検討を行い、計画全体のあり方に関しまして判断をしていきたいと考えています。

 次は、区の民営化方針についてのご質問であります。
 区立保育園のあり方において、今後、老朽化等により改築または長寿命化改修が必要になる場合には、原則民営化の推進を検討するという民営化方針をお示ししたところであります。公立保育所の老朽化、待機児対策による保育定員の急増に伴う財政負担の増大を踏まえますと、現状の公立保育所を維持していくことは困難な状況であると考えます。現在検討されております育ちのエリアとの整合性を図り、安定的な保育提供のため、民間活力を活用し、公立保育所の民営化を優先して取り組む方針でございます。  残りました教育委員会に関する答弁は、教育長から行います。

◎教育長(中川修一君) それでは、かなざき文子議員の教育委員会に関する一般質問にお答えします。
 歩ける医療的ケア児の支援に関しまして、幼稚園及び学校についてのご質問ですが、医療的ケアのある幼児・児童・生徒の受け入れに当たりましては、本人の生命、安全を第一に考えながら、本人や保護者の意見、教育学や医学等の専門的見地、学校の状況等を総合的観点から決定する必要があると考えます。今後、先進自治体の事例を参考に継続的、安定的な支援体制を検討してまいります。
 いただきました教育に関する質問の答弁は以上でございます。

一覧へ

検索