平成31年第1回定例会 代表質問 竹内愛議員

発言日: 2019年06月06日

 ただ今より、日本共産党板橋区議会議員団の代表質問を行います。

始めに、施政方針についてです。

まず、景気動向への評価と消費税10%増税について

 施政方針では、景気動向について、「国の各種政策により、雇用・所得環境の改善が続き、内需を中心とした景気回復基調が維持されると見込まれる」との見解が示されています。ところが、この間、厚生労働省の毎月勤労統計調査が不正に行われ、2018年の実質賃金がマイナスだったことが判明しました。
 また、国民の消費動向を示す、実質家計消費では、2013年の241兆円に対し、直近で約3兆円もの落ち込んでおり、安倍首相も「水面下から上がっていない」と述べるなど、個人の消費が回復していないことを認めています。さらに、雇用では、総務省の調査によると、この6年間で増えた就業者総数の7割が65歳以上の高齢者です。就業の理由は、「収入を増やしたい」というもので、「やりがいや生きがい」のためではありません。また、次に多い若年層の内、8割が学生のアルバイトであり、学費や生活費を稼ぐ目的での就業となっています。こうした状況において、雇用や所得環境が改善しているといえるでしょうか。
 雇用や所得環境が改善しているとの見解を改めるべきではありませんか。認識を伺います。
 世帯当たりの消費をとらえる家計調査ベースでも、GDPベースでも8%増税の打撃回復に至っていません。
 消費をさらに落ち込ませる、消費税10%増税は中止すべきと考えます。見解を伺います。

次に、財政運営についてです。

 国民生活においては、雇用や所得の改善には程遠い実態がある一方で、区の税収は増えています。また、基金は総額で106億円もの積み増しとなっています。
 まず、基金について伺います。
 新年度予算では、新たに、東武東上線連続立体化事業特別会計及び、東上線立体化事業基金を創設するとしています。また、大山駅の駅前広場整備及び連続立体化に伴う道路計画調査等として、1700万円を計上しています。一方で、基金の財源として、財政調整基金から45億円を取り崩し、繰り入れる内容です。新たな基金に繰り入れられる45億円という額は、何を根拠に算出したのでしょうか。現在の事業計画に対しては、地域住民や区民から反対の声が上がっています。そうした意見には耳を傾けず、区の計画を推し進めるということでしょうか。区の基金及び起債活用方針では、財政調整基金について、「経済事情の変動等に伴う財源不足や緊急を要する財政需要に対応するために活用するもの」とされています。今回の新たな基金への繰り入れは、これまでの区の基金活用方針に照らして、適正と言えるのでしょうか。財政調整基金の積み立て予定額を上回った余剰金を新たな基金にため込んだということではないですか。
 新年度予算における財調基金からの繰り入れは、これまでの活用方針には示されていません。東上線立体化基金に緊急性があるとも言えず、結果的に財調基金は、「何でも都合よく使います」ということになりませんか。見解を伺います。
 ため込んでおくだけではなく、今、必要とされている事業に活用し、区民生活に対する支援にこそ積極的に活用すべきです。

次に、施策の財源のあり方についてです。

 新年度予算では、ふるさと納税制度を活用した資金調達としてクラウドファンディングの導入が盛り込まれています。植村直己生誕80周年記念プロジェクト、児童養護施設卒園者住まい応援プロジェクト、文化財古民家「旧粕谷家住宅」応援プロジェクトの3事業を対象とし、返礼のない寄付を募る内容です。
 私たちは、児童養護施設を退所した児童への家賃助成は、進学等を支援するためにも大変重要な制度であり、その実施を求めてきました。しかし、今回の実施方法が、本事業に相応しいのか疑問があります。予算では、3名への助成で総額167万4千円です。区は、クラウドファンディングにした理由について、児童養護施設退所児童への支援への理解促進等を上げていますが、一般財源で実施できない理由にはなりません。
 なぜ、本事業を一般会計で予算化せず、寄付を募って実施するのか、理由を伺います。

次に、再開発事業と公共施設のあり方について

 高島平緑地ほか区立公園の管理運営に係る民間活力可能性調査及び導入支援委託の事業概要では、区立公園等の管理運営について、民間事業者の提案を募集するとしています。委託内容を見ると、周辺の公的施設・観光資源との連携、民間賑わい施設等との保管・相乗効果などの検討、利活用方針の検討・作成にとどまらず、民間事業者への市場調査であるマーケットサウンディングや公募準備、議会手続き・協定締結にかかる支援等、幅広い内容となっています。問題は、こうした過程において、地域住民や区民の声がどのように聴取され反映されるのかという点です。委託内容の中には、そうした項目は含まれていません。また、本事業の概要が議会に報告されていないことも問題です。3か年で2200万円もの予算が計上されていますが、この予算があれば、例えば、待たれている公園トイレの洋式化を進めるなど、地域住民の要求を実現することができたのではないですか。民間事業者への調査を優先すれば、まず、採算性が取れ、事業として成り立つことが先に立ちます。これでは区民の声や要求は二の次になる可能性が否定できません。
 区民の声を聞き、施策に反映させることを最優先にすべきです。区長の見解を伺います。

 この間、「住民の意見がないがしろにされている」との声が寄せられています。大山まちづくりでは、ハッピーロードのアーケードが分断される問題や東武東上線の高架化、駅前広場計画など、地域住民から異論の声が上がっています。また、公共施設整備でも、集会所の統廃合にも、見直しや撤回を求める陳情が提出されてきました。こうした状況が生じているのは、区の説明や協議の方法が、地域住民や区民に開かれたものになっていないこと、計画策定の過程が不透明だからではないでしょうか。区長は「丁寧に説明する」と言いますが、区民が求めているのは、策定過程で意見が聴取され、反映されることであって、決まったことの説明ではありません。
 区の進め方について、区民との協働、住民自治、住民の主権を保障したものと言えますか?区長の見解を伺います。

次に、大山のまちづくりについてです。

 駅前広場と大山駅の高架化について、2019年度中に都市計画決定が予定されています。この間の議会での質疑で、駅前広場と高架化に伴う側道の整備に関し、1600件もの意見が寄せられていることが明らかになっています。にもかかわらず、区は、この間の答弁で「問題ないと認識している」「今の位置でベスト」との見解を示し、「スピード感を持って進める」などと表明しています。これは、地域住民が何を言おうと関係ないということでしょうか。一体誰のための計画ですか。区は、平成21年6月から協議会を立ち上げ、駅前広場の必要性について確認してきたと言います。しかし、位置や規模については、全く示されず、しかも、高架化を前提とした協議は行っていません。だからこそ、「なぜこのような計画になったのか」との疑問や疑念、納得がいかないとの意見が多数出されているのです。現状のまま、地域住民との協議なしに進めるべきではありません。  
 現在、区が示している駅前広場と鉄道立体化の都市計画案は見直すべきです。見解を求めます。

次に、高島平グランドデザインについてです。

 旧高七小跡地活用について、アーバンデザインセンターが示した、UR賃貸住宅の建て替えのための種地として活用する案を含め引き続き検討するとしています。ところが、区は、今回の提案について、区民への説明を行う予定を示していません。住民への説明については、URとの協議を進め「実効性を高めた上で、場を設ける」としています。計画を固めて、地域住民への説明をした場合、そもそも種地への活用は反対だという意見は反映されるのでしょうか。結局、もう決まったこととして「丁寧に説明する」という言葉を繰り返すだけになるのではありませんか。
 地域では、建て替えの種地に活用するなどということはほとんど知らされていません。老朽化している公共施設の整備が行われると期待されています。なぜ、URとの具体的な協議の前に、地域住民や区民に説明をしないのですか。
 計画が固まるまで説明しないとする理由をお答えください。

 新たな人口推計では、人口のピークが、2020年から10年後の2030年とされました。この10年間で3万2千人の増加が見込まれていますが、2018年時点で、すでに2020年時のピークとされた人口を超えています。また、転入などの社会増により、さらに上振れする可能性も示唆されています。
 区は、前回の人口推計を基に、国の方針に従って、公共施設の総量を2割程度抑制する、公共施設整備マスタープラン及び個別整備計画を策定し、区民集会所・児童館の一部廃止、小規模校を理由に学校施設の統廃合、ふれあい館の有料化、いこいの家の入浴事業の廃止などなど進めてきました。
しかし、当時の推計から上方修正され、今後10年間は、人口が増え続けることになります。行政需要はさらに高まるということです。区は、整備の基準として地域センターを位置づけていますが、現在でも管内の人口や地域のばらつきがあり、その格差はさらに広がる可能性があります。地域コミュニティの単位は、お互いに顔の見える、わかる範囲を基本とすべきであり、徒歩圏内で生活できる環境が望ましいと考えます。
 公共施設整備マスタープランにおける現在の総量抑制方針を撤回し、徒歩圏内を基本にした整備計画に改めることを求めます。見解を伺います。

次に、区立仲宿保育園廃園問題と待機児童対策についてです。

 まず、区立仲宿保育園の廃園を巡る問題についてです。
 私たちはこの問題を繰り返し取り上げ、撤回を求めてきました。この問題は、昨年の9月、突然に、2020年3月末をもって廃園するため、2019年度の新規募集を停止するとの報告が文教児童委員会になされたことが始まりでした。区立仲宿保育園は都営母子アパートの1階部分に併設されているため、この間、東京都との協議や要請について、繰り返し確認しましたが、その際の説明は、「東京都の今後の方針が未確定」であるとの答弁でした。ところが、今年1月25日に開かれた閉会中都市建設委員会に、都営仲宿母子アパートの譲与及び建設に関する基本協定の締結について、報告がなされ、実は移管協議の開始が平成28年11月からであったことが初めて示されたのです。昨年9月に文教児童委員会において報告されたことは、一体何だったのでしょうか。
 なぜ、都営母子アパートの移管協議を始めたことについて、議会への説明を行わなかったのでしょうか。見解を伺います。
 今回の移管にあたって、新たな区営住宅に保育園を併設することを、区が全く想定していなかったことも明らかになりました。待機児童対策として、民間の大規模建築物等へは設置の協議を行う方針を持ちながら、区営住宅建設にあたって、保育園の併設を除外していたことは、重大な失策と言わざるをえません。
 新たな区営住宅について、保育園の設置を含めた計画とするよう求めます。見解を伺います。 
 次に、区立園の新増設についてです。
 2018年2月の第一次募集の結果では、入園できた児童の最低指数が70という園もありました。区内全域で特に1・2・3歳児の入園が厳しい状況が伺えます。3歳児でも62点以上ないと入園できない園が多く見受けられます。3歳児待機を生まないためにも、認可保育園の新増設を進めることは当然です。同時に、私立保育園への指導や支援、小規模保育所や家庭福祉員との連携保育の実施、要支援児の受け入れなど、区立保育園の役割は重要です。新たな保育園の整備により、私立園がさらに増えることで、現存の区立保育園が担う役割がますます重くなっていきます。地域によっては、区立園がないところも出ています。施設数を増やすだけでなく、質の向上を置き去りにすることはできません。
 板橋の保育の質を示す、区立園の新増設に踏み出すべきです。見解を求めます。

次に、職員定数と職員の働き方についてです。

 区立保育園では、要支援児対応や産休育休代替の職員も正規が配置できない状況が生じています。さらに、算出基準を引き下げた結果、14名もの保育士の削減が行われました。区は、保育の質は確保できると言いますが、それは、現場の努力によって守られているのです。保育士が減ったからと言って、子どもを見ませんとはなりません。保育士の皆さんは、事故が起きないよう、子どもが安全に過ごせるよう、常に気を張って、目を配っています。休憩時間を切り上げたり、トイレに行くのを我慢したり、残業を増やしたりして対応するということです。今回の職員配置算定基準の見直しによる保育士の削減は、こうした現場の実態を無視し、責任を押し付けることに他なりません。
 人材育成方針では、職員の働き方改善のひとつとして、適正な勤務時間の管理を行うことが示されていますが、区は、自ら調査もせずに、サービス残業はないと言っています。しかし、私たちが行った保育職員への聞き取りでは、現状でも多くの保育職員が、時間外に仕事をせざるをえない、申告しても認められない、申告さえできない状況であることを確認しています。これは、保育現場に限ったことではありません。サービス残業などの実態を無視し、過重労働を前提とした、現行の定数管理のあり方は、働き方の改善につながっていないことを示しています。適正な職員配置というならば、改善されていない、長時間・過密・過重労働をなくす配置とすべきです。
 抜本的な増員なしに、どのように働き方を改善するのでしょうか。見解を伺います。

次に、委託や民営化についてです。

 いたばし№1実現プラン2021では、経営革新計画において、さらなる業務の委託化や民営化を進めるとしています。計画の理念には、「行政サービスの種類や量を増やすのではなく、よりコストを意識し、量よりも質に着目した選択と集中により、最適な行政サービスの水準を見極める」とあります。区の方針は、総務省の2040構想そのものであり、無批判に受け入れる姿勢は到底容認できません。
 私たちは、自治体が主体となって、行政サービスの供給を行うことは、区の水準を示すことになり、民間事業者への指導が可能になると考えます。また、そのためには、区としてのノウハウを継承する必要があり、一定の業務の範囲を維持するべきです。
 区は、学校や保育園の給食調理や用務、土木事務所の委託化を進めるとしていますが、区が直営で事業を実施する意義について、区長の見解を求めます。
 新たに示された計画では、区立保育園だけでなく、現在委託で運営している福祉園でも民営化を検討するとしています。区は、民営化によって、他の事業にその財源を活用でき、住民サービスの向上が図れると言います。しかし、例えば、官制ワーキングプアの問題や人材確保の課題など、民営化によって生じる弊害や質の低下には目が向けられていません。施政方針でも言われているSDGsが目指すのは、あらゆる分野での質の向上ではないですか。質の向上を図ることができない民営化は止めるべきです。
 民営化すると質の向上が図れるのでしょうか?図れるというなら、その理由と根拠をお示しください。

次に、会計年度任用職員制度についてです。

 2017年に地方自治法及び地方公務員法が改正され、2020年4月から会計年度任用職員制度が導入されます。
 新たな制度の導入によって、特別職は「学識・経験の必要な」職に限定し、臨時的任用職員は「常勤の欠員」への対応に厳格化するとしています。それ以外の臨時・非常勤職員は、原則として会計年度任用職員に移行するとしています。
 本制度は、自治体職員は原則、正規としているものを、非常勤職員を固定化するものであり、重大な問題ですが、合わせて、人件費の増加を理由に、必要な職種や人員が削減されるのではないかとの懸念が指摘されています。
 板橋区においても、制度の導入に向けた検討が進められています。例えば、現在臨時職員として任用されている通常学級や特別支援学級の要支援児介添員や区立保育園のパートなどは、新たな制度では「常勤の欠員」の場合しか任用できないということになります。しかし、これらの職種は、職員の任用なしに対応できるものではありません。
 制度の導入に当たっては、現場の実態を反映し、必要な業務や体制を残すべきです。見解を伺います。

次に、子どもの貧困と教育についてです。

 まず、子どもの貧困対策事業についてです。
 子どもの貧困対策として、総事業数83事業、合計予算額90億5198万円が計上されています。私たちは、この間、これら一つ一つの事業が、子どもの貧困対策としてどのように位置づけられ、どのような役割を果たしているのか、不明確なものが多々あることを指摘してきました。子どもの貧困対策調査特別委員会では、英語村の事業について、すべての子どもを対象にしていると言いながら、申し込み制と定員があることから、実際には一部の子どもしか参加できない事業であり、子どもの貧困対策と言えるのかとの指摘が各委員からなされています。委員会の答弁でも、「子どもの貧困対策という視点で実施しているわけではなかった」などと述べています。こうなると、事業数や予算は、子どもの貧困対策を大きく見せるためではないかとの疑念さえ生じます。
 各事業を精査し、対象者や目的等、子どもの貧困解決に資する指標や視点を明確にすべきです。見解を伺います。

次に、保育の充実についてです。

 2019年10月からの消費税10%増税と合わせて、保育・幼児教育の無償化が実施される予定です。私たちは、すべての子どもたちの就学前の保育や教育に対し、公的支出の増加を求めてきました。しかし今回の無償化は、手放しで歓迎できるものとは言えません。一つは、公立保育園や幼稚園に通う児童の無償化の財源は各自治体の負担となっている点です。そのため、公立保育園の予算削減や民営化を進める口実になるとの指摘があり、保育の質の低下が懸念されています。また、無償化の対象が限られているという点です。3歳から5歳児は基本的に無償ですが、認証保育所など、認可外保育施設については助成の上限があり、完全無償化とはなっていません。さらに、特に保育料が高額である0・2歳児については、住民税非課税世帯のみが無償化の対象です。もともと、住民税非課税世帯の保育料は低廉なため、ほとんどの人が恩恵を受けることができない状況を生み出すことになります。保育や幼児教育の無償化は、国際的にみても当然の流れであり、日本の取り組みは立ち遅れている状況です。本来であれば、消費税増税を財源にするのではなく、全額国の予算で実施されるべきです。
 同じ子育て世帯で格差を生み出すような無償化は、SDGsでも目標に掲げられている子どもの貧困をなくすという視点からみても、問題ではないでしょうか。区長の見解を伺います。

 また、現在の検討では、保育園給食の食材費については、別途各園が徴収することとされています。住民税非課税世帯など、一部の世帯に対しては免除するとしていますが、その他の保育料が低廉であった低所得世帯では、負担が増える逆転現象が生じる見込みです。このことは、貧困対策に逆行するものであり、到底認められません。そもそも、保育園での給食は保育の一環であり、それを切り離すこと自体が不自然です。また、各園での個別徴収となれば、学校給食同様、現場の負担が増大することは明らかです。
 給食費は、現行通り保育費用に含めることとし、各園での個別徴収を行わないよう求めます。見解を伺います。
 無償化を実施することで、子育て支援策の後退や新たな負担を負わせることは絶対にやめていただきたい。

次に、あいキッズについてです。

 まず、従うべき基準の参酌化についてです。
 国の基準見直しにより、従うべき基準の参酌化が狙われています。これにより、「無資格者の一人体制」が可能となるほか、集団の規模も制限がなくなり、現場や保護者、関係者からは、「事故やトラブルに対応できない」「安全が確保できない」「子どもに寄り添うことができない」など、重大な指摘がなされています。また、埼玉・栃木・札幌の議会や日本弁護士連合会からも従うべき基準の堅持を求める意見書があげられています。
 板橋においては、あいキッズが大規模化し、問題が生じています。あるあいキッズでは、登録児童数の増加により、子どもたちのロッカーが不足し、ランドセルなどの荷物を個別のボックスに入れ、廊下に置かざるを得ない状況となっていました。また、長期休暇中には、昼食の場所も不足し、テーブルを使うことができなかったという話も聞きました。校庭や体育館が使用できない時には、100名を超える児童が2つの教室にひしめき合っている状況だそうです。こうした状況は、他のあいキッズでも起こっていると伺っています。
 現状の基準でさえ、子どもたちの発達保障どころか、安全さえもままならない状況です。従うべき基準の参酌化より、基準の引き上げこそ行うべきです。
 政府が検討している参酌化について、問題だと認識していますか。見解を伺います。
現在受託している事業者が、新年度は撤退するとの申し出があり、選定作業が行われたとの報告がありました。結果として、その事業者が引き続き受託することとなりましたが、問題は、今後も、同様の事態が起こりかねないということです。今回、撤退を申し出た事業所からは、運営が成り立たないという説明があったと聞いています。私たちも受託事業者の方々にお話しを伺うと、「勤務のシフトや安全確保のためには独自に人員増を行う必要があるが、人件費の手立てや人員確保が厳しい」との声が寄せられます。委託契約においては、一定の水準で委託費を算出していると言いますが、実態に見合っていないのではないでしょうか。
 現在も、事業者が数年で入れ替わる事態が生じており、このままでは、今後も事業者が撤退しかねません。委託費と人員配置基準の見直しを求めます。見解を伺います。

次に、教育についてです。

 まず、道徳の教科化に関わって質問します。
 新年度から中学校でも特別の教科道徳が始まります。しかし、道徳には、他の教科のように学術的な裏付けや根拠がなく、評価基準も曖昧なため、学習指導要領改訂時から、教科化を巡って、問題を指摘する意見が出されていました。
 国の方向性を押し付けるのではなく、子どもたちが様々な角度から真に考えることができる教科となっているかが問われます。
 板橋区で採択された道徳の教科書では、「働くこと」「勤労の尊さ」について取り上げ、物語を読み登場人物の気持ちや考えを読み取り、自分に置き換えて考えるという流れが示されています。しかしながら、自らの権利について学ぶ機会や時間は取られていません。十分な情報がないまま、題材となった人物の一時の半生を切り取って、道徳性を育てるということなのでしょうか。過労死や過労自殺が社会問題になっている状況の中で、一生懸命働くことだけがクローズアップされるようなことは改めるべきです。自分たちが、どのように守られているのかを具体的に知ることは、働くということを考える上でも大切なことだと考えます。
 憲法が定める基本的人権や労働基本法、子どもの権利条約など、自らの権利について学ぶことができるようにすべきと考えます。見解を求めます。

次に、教職員の働き方についてです。

 昨年行われた教員の働き方に関する調査では、板橋区においても、中学校教諭の約5割、小学校教諭の約4割が過労死ラインとされる「週当たりの在校時間60時間」を超えて働いていることが明らかになりました。区が新たに策定した「いたばし学び支援プラン2021」では、3か年の目標として週当たりの在校時間60時間を超える教員をゼロにすることを掲げています。そもそも、週当たりの在校時間60時間というのは、一日の残業時間4時間であり、過労死ラインです。この状況を目標とすること自体が、問題ではないでしょうか。しかも、改善策として抜本的な人員増は示されていません。この間の改善策が事務改善や外部人材の活用、教職員の意識改革であったことからみても、これらの施策では抜本的な改善に至らないことは明白です。23区内でも、独自に教職員を採用し、改善を図っている自治体もあります。
 事務改善と意識改革では解決することはできません。教職員の増員を図るべきです。見解を求めます。

次に、施設改修についてです。

 新年度予算では、学校体育館の冷暖房設置について、新たに中学校5校に設置する内容が示されました。ところが、全校設置への見通しは示されていません。区は、新年度に設置する5校での検証を行い、他の学校施設については今後検討するとしています。これでは、現在、改築や大規模改修計画がある学校以外は、当面、設置されないということになってしまいます。また、こうした見通しのない学校に対し、当面の対応として学校令達予算で簡易な冷暖房機器の購入を依頼したという区の姿勢は問題です。今でも、令達予算の不足から、「必要なものが購入できない」「次年度に見送らざるをえない」などの話を聞いています。本来、学校の環境改善を行うのは教育委員会の仕事ではありませんか。学校間の格差を広げ、現場に責任を押し付けるやり方は改めるべきです。
 教育費において、各学校の状況に応じた冷暖房機器の設置を行うべきです。見解を求めます。

次に、介護のあり方についてです。
 

 家族などの介護や看護のために仕事を辞める介護離職が高止まりとなっています。昨年7月に発表された2017年の介護離職者は9万9100人にのぼり、前回の2012年調査の10万1100人からほとんど減っていないことが示されています。現政権は、2020年代初めまでに「介護離職ゼロ」を目標に掲げていますが、一方で、介護保険制度の改悪を進め、「保険あって介護なし」の実態を広げてきました。2016年には全国で約45万人の方の利用料が2割に引き上げられ、2018年からはさらに12万人の方が3割負担となりました。また、介護保険制度の対象から要支援などの軽度認定者を外し、地域包括ケアへの移行を強行するなど、必要な介護が受けられない状況を生み出しています。こうしたやり方が、間違っていることを直視すべきです。また、高齢夫婦や兄弟同士の介護も増加し、お互いに認知症となっているケースも少なくありません。介護を苦に家族に手をかける事件も発生するなど、状況はますます深刻です。社会保障費の削減を続け、介護保険事業の後退縮小を進める姿勢を改めるべきです。
 こうした問題を解決するためには、公的介護サービスの充実が欠かせません。政府が進める「我が事・丸ごと地域づくり・体制の整備」は、「自助」「共助」を前提とした助け合いであり、公的サービスの更なる後退が懸念されています。これでは介護を巡る問題を根本から解決することはできません。
 地域包括ケアシステムを進める上で、公的サービスの後退のための「自助」「共助」は前提にすべきではないと考えますが、区長の見解を求めます。
 介護を担う人材の確保や育成は急務の課題です。他区では、すでに、施設や事業所で働く介護職員に対する補助や研修への助成などを実施しています。板橋区においては、介護保険事業計画2020の中で検討するとしてきました。
 区として、独自の助成制度の実施を求めます。
 介護保険が「保険あって介護なし」と指摘される理由の一つに、利用料の負担があります。板橋区においても、認定を受けているにもかかわらず利用していない人が2017年11月時点で33.6%に上っています。さらに、この間、利用料の負担が引き上げられ、2割・3割もの負担が押し付けられています。23区ではすでに12区が利用料への独自軽減を行っています。
 板橋区においても、介護保険利用料の独自軽減を実施すべきです。区長の認識を伺います。

最後に、地方自治と平和についてです。

 沖縄県では、名護市辺野古への新たな米軍基地建設の是非を巡り、2月24日に県民投票の投開票が実施されました。その結果、総投票数の7割を超える方が反対の票を投じ、圧倒的な民意が示されました。この結果を受け、沖縄県知事は、日米首脳に通知することを発表しました。ところが、防衛省は翌25日にも工事を継続し、安倍首相も「結果を真摯に受け止める」と言いながら「これ以上先送りできない」と述べ、工事の継続を表明しました。県民投票では、基地建設反対を表明する県知事が誕生した時より多くの反対票が投じられており、基地建設ノーが県民の民意であり、確固たるものであるということです。また、この間の調査で、辺野古東側の大浦湾は埋め立て区域の約6割が軟弱地盤となっていて、新たに改良工事が必要であることが明らかになりました。
 にもかかわらず、日米首脳が、結果を黙殺し、工事を継続しようとする姿勢は、到底容認できません。「普天間基地の返還」は無条件で行われるべきであり、日本政府が、米軍のための土地を、日本国民に差し出せというのは、政治の堕落に他なりません。このことは、沖縄県だけの問題ではなく、地方自治そのものが問われる重大な問題です。地方の声を黙殺し、ないがしろにする政治を許すわけにはいきません。区長には、地方自治体の長としての認識が問われます。東京や板橋でこのような状況となった時、首長としてどのような立場に立つのでしょうか。
 県民投票の結果を国が無視していることについて、地方自治体の長としてどのように受け止めているのでしょうか。区長の見解を伺います。
 また、国からの執拗な圧力や妨害を受けても、民意を示し続ける沖縄に対し、地方自治体の長として、連帯の意を表明するよう求めます。

 以上で、私の代表質問を終わります。

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