平成31年第1回定例会 討論 かなざき文子議員

発言日: 2019年03月22日

 議案第38号「東京都板橋区国民健康保険条例の一部を改正する条例」に対する委員会決定「原案可決」への反対討論

 ただいまより日本共産党板橋区議会議員団を代表して議案第38号「東京都板橋区国民健康保険条例の一部を改正する条例」に対する委員会決定「原案可決」に反対し、討論を行います。

 本議案は2019年度の国民健康保険料率等を決めるために出された議案です。

 今回の議案では、基礎賦課額保険料の所得割率は前年対比で1%引き下げていますが、均等割り額は2.3%の引き上げで3万9000円です。また賦課限度額は3万円増の61万円です。後期高齢者支援金等賦課額保険料は所得割率が0.9%の引き上げ、均等割り額は2.5%引き上げです。40歳から64歳までの介護保険第2号被保険者の介護納付金賦課額保険料について、均等割額は据え置きですが、所得割率は0.6%の引下げでした。すべて均等割り額は引き上げられ、低所得者や加入者が多い世帯ほど、保険料の負担が重くなる改正内容です。

 区の資料によると、被保険者の一人当たり平均保険料調定額は前年度10万266円に比べ、5254円の増となり、10万5520円、5.2%の引き上げとなり、全体への負担増額は1億2065万円になります。
 今回も均等割り額の軽減対象となる所得基準が拡大されますが、新たに5割減額、2割減額となる方は全被保険者のうち0.4%にすぎません。
しかも所得割率の引き下げで保険料が下がるのは、給与収入700万円以上の単身か2人世帯で217世帯ほどです。

 反対する最大の理由は、「都道府県単位化」への制度変更2年目となり、一般会計からの繰り入れを徐々に減額をする計画のために保険料が引き上げられたということです。
 板橋区は賦課総額のもととなる東京都への納付金総額の内、5%分を激変緩和措置として一般会計から繰り入れ、今後も1%ずつ減らしていくとしています。もし今年度と同様で6%分一般会計から繰り入れるならば基礎賦課額保険料の均等割り額は3万9300円と、引き上げ額を600円おさえることが、所得割率もさらに引き下げることができました。つまり、保険料額を押し上げた要因のひとつがこの一般会計からの繰り入れを減らしたことにあるのです。
 委員会において、一般会計からの繰り入れがなくなるとやっていけるのかという質疑で、区は一般会計からの繰り入れが減る分、収納率をあげ、徴収強化でがんばるといいます。しかしそれは限界ではないでしょうか。保険料が高すぎて、払いたくても払えない実態を改善することなく徴収強化だけではもう無理ではないでしょうか。改めるべきは国保に対する責任を削り続けてきた国の支出割合を大幅に増やし、高すぎる保険料を引き下げ、誰もが安心して医療にかかることができるようにすることです。
 国が社会保障制度を「自己責任論」にすり替えた政策にのった改正はやめるべきです。          
 国民健康保険制度は法第1条にあるように、社会保障の精神をもって始まりました。ですから制度当初、国庫支出金の割合を医療費総額の2分の1にきちんと責任を持っていました。ところが国はその後、臨調行革路線において、その負担割合を大きく減らし、その後も削り続けてきました。こうした改悪の影響を受け、自治体、被保険者に対する負担が増え続けてきたのです。

 反対する第二の理由は、自治体として高すぎる保険料を引き下げるなどの改善をなんら行わなかったことです。
 国保加入者は高齢者、障害者、無職の人など、社会的に弱者といわれる人が多くをしめています。ですから医療を必要とする人が多く、かかる医療費は自然と膨らみます。その大きな医療費の半分を低所得者に保険料として課しているのですから、高すぎる保険料額になって当然です。
 たとえば給与所得者300万円、世帯主45歳で妻と子どもの3人家族の場合、介護分も入れて保険料は36万5085円と、収入の12%を超える負担割合です。ちなみに8年前、住民税方式で保険料が計算されていた最後の年度である平成22年度は、この世帯では国保料は19万3970円でした。さらに協会けんぽでは17万1892円で、国保の半分以下です。いかに国民健康保険料が高いかは明らかです。
 保険料の算定方式を変えられ、さまざまな激変緩和策もなくなり、これほど保険料負担を課され、どうやって暮らして行けというのでしょうか。これ以上の保険料引き上げはもう無理です。
 今回も各区が統一保険料額に合わせない判断は良しとされ、今年度同様、独自で判断して決めた区が3区ありました。板橋区も独自の考えで、保険料引き上げを止める手立てが取れました。

 委員会において原案に賛成とした委員から、国の制度問題が強く指摘されていました。その通りです。だからといって自治体は何もやらずに国に言われた通り、さらなる保険料引き上げにつながる一般会計からの繰り入れを減らしていていいのでしょうか。
 この間、区は区長会も通じて均等割り額について、多子世帯における負担の軽減などの改善策を国に要望してきました。ならば、区として収入のない子どもへの均等割り額を軽減する、あるいはせめて据え置くなど、なんらかの努力をすべきだったと判断します。
 また「負担の公平性」から致し方ない、と言いますが、他の医療保険のような収入に応じた負担となっていません。他の医療保険と比べても大きな負担割合をもたらし、それも社会的弱者が加入者の多くをしめているのですから、「公平性の観点」をいうならば、他の医療保険のように一律の均等割額をやめ、収入に応じた保険料にすべきです。

 以上、述べてきましたが、低所得者、医療を必要とする人が多くを占めている国保加入者に対し、これ以上の負担を課すのではなく、高すぎる保険料を引き下げることこそ自治体として行うべきであることを申し上げ、討論を終わります

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