令和元年度第2回定例会 討論 山内えり議員

発言日: 2019年06月21日

 ただいまより、日本共産党板橋区議会議員団を代表し、陳情第7号「東京都の『環境基本計画』における『再生可能エネルギーの導入』をさらに促進することを求める意見書提出に関する陳情」に、賛成する立場から討論を行います。
 本陳情は、再生可能エネルギーの導入をさらに推進するよう具体的に意見する項目を示し、東京都に対し意見書の提出を求めるものです。
 賛成する第1の理由は、原発に頼らず地球温暖化防止を進めるには、再生可能エネルギーの電力割合を抜本的に引き上げる必要があることです。
 放射性物質が広範囲に放出された東京電力福島第一原子力発電所の事故では、8年以上たった今も多くの人が生活となりわいの再建が道半ばであり、ふるさとに戻ることができないという状況です。復興庁によると、県内外の避難者は4万人と言いますが、把握されていない人も多いとされています。原発事故は全く収束していないのです。
 また、昨年の北海道胆振東部地震に伴って、苫東厚真石炭火力発電所が被災して北海道全域にわたるブラックアウトを招いたことで、原発固執政策は、災害時などの安定的な電力供給の足を引っ張っていることが明らかになりました。
 さらに、原発から出る核のごみは10万年もの管理が必要と言われ、その処理・処分のめどが立っていません。こうした現実から考えれば、人類と原発は共存できないことは明らかです。
 また、温室効果ガス排出量を抑え、石炭火力に頼らず電力を供給するには、再生可能エネルギーの電力割合を大幅に引き上げる必要があります。東京都は、2016年3月に環境基本計画を策定し、再生可能エネルギーの電力割合を2030年までに30%程度に高めるという目標を掲げ、事業者向けに地産地消の再生可能エネルギー導入のための助成や、エネルギーファンドの運営、住宅の省エネリフォーム助成などを行っています。さらに、ことし5月、都内で排出される二酸化炭素を2050年までに実質ゼロにする温暖化対策の目標も掲げています。この目標を達成するには、再生可能エネルギーの電力割合を現行の30%より大幅に引き上げなければ達成できません。区民環境委員会の質疑の中で、「東京都は、2014年から2017年までの4年間を平均でならすと電力割合が毎年1.75%程度再生可能エネルギーにかわっており、このまま推移すれば2030年までに38%程度になる」と答弁しています。できる範囲の取組みにとどまるのではなく、今以上の取組みとなるよう抜本的に引き上げないと温室効果ガスの排出量は減らせません。日本最大の自治体としての大きな責務があり、積極的な対応が求められます。
 賛成する第2の理由は、現在のペースで地球温暖化が進めば人類生存の危機が迫っているということです。
 195か国・地域が参加する国連の気候変動に関する政府間パネルのIPCCは、昨年10月、1.5度特別報告書を公表しました。この報告書は、産業革命前から世界の平均気温が約1度上昇しており、そのもとで世界中で異常気象や海面水温の上昇、洪水や熱波が起こっている。現在のペースで地球温暖化が進めば、2030年から2052年に産業革命前と比べて1.5度上昇する。1.5度上昇でも豪雨などのリスクが高まると指摘しています。
 また、2007年に環境省が発表した科学者からの国民への緊急メッセージによると、現在と同レベルの排出量を続ければ、地球上の生態系は急激な変化に順応することができず、死滅のリスクにさらされる生物種がふえる。大規模な水不足、農業への打撃、感染症の増加、自然災害の激化など、さまざまな悪影響が複合的に生じるおそれが強い。このような事態は人類生存の危機であると警鐘を鳴らしています。温室効果ガスの大幅な削減という大きな課題に向けて本格的に取り組むべきです。
 また、IPCCは、上昇を1.5度に抑えるには、世界の温室効果ガスの排出量を2050年までに実質ゼロにする必要があると報告しています。多くの国は、二酸化炭素を大量に排出する石炭火力の廃止を打ち出しており、各国に脱炭素社会への努力が求められています。一方、政府は、ことし6月11日、地球温暖化対策の国際枠組、パリ協定に基づく長期戦略を閣議決定し、今世紀後半のできるだけ早期に温室効果ガスの排出量を実質ゼロとする脱炭素社会の実現、2050年までに80%の温室効果ガスの削減を掲げています。しかし、石炭火力は依存度を可能な限り引き下げると維持していく方針であり、世界の状況と逆行しています。また、2016年5月に閣議決定された地球温暖化対策計画では、2030年度において、2013年度比26%減の水準にすることとされていましたが、今の削減ペースでは、2050年までに80%削減とする国の目標に全く間に合いません。
 今、世界では、温暖化対策をはじめ持続可能な社会の転換のために、エネルギー政策の柱を省エネルギーと再生可能エネルギーに移しています。地球温暖化の進行をとめるために早急で適切な対策が求められます。
 以上の理由から、本陳情に賛成し、討論を終わります。

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