発言日: 2019年06月21日
ただいまより、日本共産党板橋区議会議員団を代表して、議案第50号「東京都板橋区立いこいの家条例の一部を改正する条例」に対する委員会決定、可決に反対をし、討論を行います。
本議案は、区立大谷口いこいの家を廃止するために出されたものです。大谷口いこいの家は、大谷口2丁目児童遊園内に設置されており、公園敷地面積に対して建ぺい率17.8%です。そのため、公園内に可能な建築物は建ぺい率2%までという法の決定に反しているので撤去せざるを得ない、そのために廃止するというものです。
反対する理由の1つは、いこいの家機能を廃止してはならないということです。
そもそも、本施設を建設した昭和49年には、既に建ぺい率2%は法で定められていました。にもかかわらず区は建設をしました。それを今になって、法に反するので撤去せざるを得ない、よって大谷口いこいの家を廃止するというのは、あまりにも勝手過ぎないでしょうか。
また、公共施設の個別整備計画には、大谷口地域センターの1階部分へいこいの家機能の移転が計画されていましたが、結局物理的に厳しいことが判明してほかを探さざるを得なくなりました。また、この間も、区はいこいの家の廃止ではなく移転という考えで準備を進めていたと言います。大谷口いこいの家は、昭和49年に建設され、板橋区立いこいの家として第1号の施設です。入浴事業が廃止となったこの間においても、多目的スペースの利用者は、区内14か所のいこいの家の中で最も多く、地域住民の大事ないこいの場として利用されてきました。
いこいの家条例第1条「高齢者が多世代と交流し、地域においてうるおいのある生活を営むためのいこいの場を提供するとともに、地域住民相互の交流を支援することにより、地域福祉の増進に寄与するため、東京都板橋区立いこいの家を設置する」とあるように、大切ないこいの場として利用されてきた大谷口いこいの家を、公園の建ぺい率とのかかわりで、ほかに移転するというならば理解できますが、施設を廃止して、この大谷口、向原地域からいこいの家の機能自体をなくすことはしてはならないと考えます。
第2の理由は、新たに民間の高齢者の介護施設内を無償で借りるコミュニティスペースは、代替施設とならないということです。
区のほうからは、向原3丁目に開設した民間の特別養護老人ホーム等の複合施設、ケアホーム板橋1階のコミュニティスペースが、これまでと同じような過ごし方ができるという説明です。一方、施設を運営する法人からは、いこいの家の利用者だけでなく、向かい側で現在建設中の障がい者の施設の利用者も、そして地域住民、子どもたちもこのコミュニティスペースで交流できるようなことを想定していると話されていました。それはそれで否定するものではありませんが、いこいの家とはまた違う大きな構想です。
代替施設とならない1つに、これまでのいこいの家での過ごし方と違う点が上げられます。まず、いこいの家ではお茶が自由に飲めましたが、さくらテラスではお茶の提供はありません。各自持ってくるか自販機で購入するしかありません。大谷口いこいの家にあったマッサージ機は、さくらテラスには移されず利用はできなくなりました。さくらテラスには何冊か本が置いてありますが、全て乳幼児の絵本で、いこいの家で利用者が読んでいた大人用のさまざまな本はどこにもありません。いこいの家は和室があったのですが、疲れるとごろんと寝転んだりして過ごせていましたが、今はテーブルと椅子の利用のみです。利用者の方は、ずっと座っていると腰が痛くなる、疲れる、せめて体を横にできるスペースかソファがあればと利用者の方々が言われています。聞くところによりますと、施設の法人の思い入れが強いということで、備品はその施設の色調や雰囲気などに合ったものしかだめだということでした。
また、地域の交流スペースとして区が無償で借りた中にキッチンがついていますが、衛生上の理由からキッチンを地域住民は自由に使えないとのことでした。せめてお茶を入れるのに使えないかということもだめとのことです。そのキッチンは、これまでいこいの家の別室で実施されていた介護予防事業である会食サロンが使っています。区から委託されている栄養士の方がキッチンでお料理をして、そのでき上がった料理を会食サロン事業に登録をしている人が食べるというものです。しかし、地域交流スペースと同じフロアでの実施となっており、会食サロンが行われているときに、交流スペースで過ごしている利用者がテレビを見たり、おしゃべりをしたり、囲碁、将棋を遠慮なくやれるようには思えませんでした。実際、先日の会食サロンのとき、ほかの利用者さんはお1人のみでした。
また、区は、区の施設ではないこと、そのスペースを無償でお借りしていることもあって、区として施設側に強く言えないと言っています。その上に、区はいろいろ利用者のために法人と詳しく協議を進めていくと言いますが、それも来週のことです。また、さくらテラスの利用が始まる前に、いこいの家の利用者さんと、施設運営法人と、そして区との利用に関しての説明も協議の場もなかったのです。これでは代替施設になりようがありません。利用について協議も整っていないのに、いこいの家を利用できなくしたこと自体違うのではないでしょうか。
これまでいこいの家で高齢者の方々がのんびりと、誰に遠慮することもなくおしゃべりをしたり、囲碁、将棋をしたり、テレビを見たりと、のんびり過ごす場があったことが、高齢者の方々の大事な元気印の源となっていた意義を考えるならば、施設の廃止ではなく、休業期間を延長し、その間に別のところを当たって移転をして、区立大谷口いこいの家を存続すべきです。
改めて、区立大谷口いこいの家を廃止しないことを強く求めて討論を終わります。