小中学校の30人以下少人数学級を求める陳情に賛成する討論

討論日:2020年10月13日

ただいまから、日本共産党板橋区議会議員団を代表して、陳情第111号小中学校の30人以下少人数学級を求める陳情に賛成する立場で討論を行います。

本陳情は、小中学校の全ての学年に30人以下の少人数学級が導入できるよう、国や都へ意見することと同時に、導入されるまで、区として実施できるよう検討すること、ソーシャルディスタンスを確保できるよう具体的な対策を求めるものです。

少人数学級は、一人ひとりに目がゆきとどき、こどものつまづきや不登校などにも早い段階で気が付くことができること、学力向上などの効果があるとされ、教育現場や保護者から、長年求められてきたものです。

現在は、国が小学1年に、東京都が小学2年と中学1年にそれぞれ35人学級が導入されています。

陳情に賛成する第一の理由は、板橋区議会として、少人数学級を実現させるために、国や東京都に意見をあげるべきだということです。

義務教育標準法が規定する学級の人数は、2011年に法改正され、30年ぶりに小学校1年生で35人学級が実現しました。当時、文部科学省が策定した全学年に段階的に導入する計画は、概算要求に盛り込まれたものの、財政がかかることを理由に小学1年しか認められず、今に至っています。しかも、国の予算を握る財務省は、少人数学級を「明確な効果があったとは認められない」と敵視し、現在行われている小学1年の35人学級を「40人に戻すべき」と要求したことさえあるような状況です。

今年の新型コロナ感染を受けて、「三密回避」を理由に、政府の教育再生実行会議のテーマとして、ようやく議論の遡上に上がったところですが、その議論は、来年5月をめどに提言としてまとめるという段階です。

文部科学省が、2021年度予算案の概算要求に少人数学級の検討を盛り込んだものの、それは、規模も進め方も示さない「事項要求」と言われるものです。本当に法改正や予算が認められるのか全く未定です。

文教児童委員会で不採択を主張した委員は、「国が動いている最中に、意見書をだすのはどうか」と主張しましたが、むしろ、少人数学級を全学年に導入できるかどうかの最大局面を迎えています。今こそ、国や東京都に対して板橋区議会として意見をあげるべきです。

すでに、調布市議会や八王子市議会では、全会派一致で少人数学級実現を求める意見書が可決されています。意見書をあげることさえ、否定することは、少人数学級への願いに、背を向ける姿勢に他なりません。

第二の理由は、区として、どうしたら実施できるのか、ただちに検討を行うべきと考えます。

少人数学級は、日本のどこに住んでいても保障するべきもので、国が実施するべきと考えます。しかし、政府はようやく検討に入ったという状況であり、東京都も少人数学級実施は遅れていると言わざるを得ません。

福岡市では、今年9月の補正予算で、市として、全学級で35人学級を実施する予算を組み、プレハブ校舎の設置や教室の改修を進める方針を示しています。広島市でも、平成20年から、将来的にはすべての学年で20人学級にすることを目標に、段階的に少人数学級を導入しています。それは、目標を持ち、それに向けて計画的に進めなければ、人材も教室も確保が一朝一夕では行えないからです。区として、どうしたら実施できるのか、その検討を否定している場合ではありません。

板橋区の現在の小中学校の状況で、30人学級を全学年で実施するには、小学校で182教室、中学校で70教室不足します。教員はさらに252人必要になり、その雇用には25億円の予算が必要になるとされています。財源や人材の確保、教室不足への対応など、どうしたら実施できるのか、国の方針が決まってからでは遅すぎると考えます。一日も早く、区教委としての検討こそ始めるべきです。

第三の理由は、長時間過ごす学校では、新型コロナウィルス感染への不安が高く、できる限りの対応を行う必要があることです。

コロナ感染を懸念する不登校児童生徒は、8月25日時点で小学校で54人、中学校で12人です。6月の学校再開からさらに増加しています。子どもたちの感染への不安は高く、国立成育医療研究センターが行った「こども×コロナアンケート」では、子どもが相談したいことの一位は「コロナにかからない方法」です。

現在、利用されていない時間のある教室において、学習指導講師の活用で、少人数授業を実施するなど、現場では一定の努力が図られていますが、それは各学校における工夫に留まっているものです。教育委員会として、具体策を示し、どこの学校でもできるだけの努力や対応が行われるようにするべきです。

最後に、区が平成24年に示した「小中学校の適正規模適正配置に関する基本方針」では、望ましい学級規模を小学校で20人から30人、中学校で30人から35人と示してきました。30人学級を全学年に実施するだけでも、「学校ひとつ分ぐらいのスペースが必要」と区が認めたように、区の「公共施設の総量抑制方針」とは相いれないことは明らかだったはずです。にもかかわらず、区が、大山小、板橋第九小、向原中学校と3校も学校をなくしてきた責任は重大です。

もはや、学校を減らしている場合ではありません。区の「魅力ある学校づくりプラン」などの計画を見直し、むしろ、少人数学級に必要な学校を新設していく方針こそもつべきです。

こどもも、親も、教職員も、一日も早く、全ての学年で少人数学級が実現する日を待っています。その願いに応えて本陳情を採択することを心から呼びかけ、私の討論を終わります。

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