「陳情第114号 障害児の就学前集団生活に関する陳情」に賛成する討論

 討論日:2020年12月14日

 ただいまから、日本共産党板橋区議会議員団を代表し、陳情第114号障害児の就学前集団生活に関する陳情に対する委員会決定、不採択に反対し、本陳情に賛成する立場から討論を行います。

 本陳情は、障害児の就学前集団生活の機会を求め、保育園及び私立幼稚園での障害児受け入れを進めることを要望しています。

 現在、板橋区の保育園入所率は81%ですが、障害児の保育園入所率は73%となっています。また、障害を理由に私立幼稚園に入れない現状もあります。あきらかに障害のあるなしで集団生活が受けられる機会に差がでており、そのことはただちに改善すべきです。

 本陳情の一項目目は、保育所申し込みの際の「保育を必要とする事由」に子どもの障害を加える等の対策を求めるものです。要支援児の保育所の受入れは、今年の4月1日現在では、公設民営を含めて区立園では37園で143名、他に私立園でも受け入れがあり、合計で区内の認可保育施設120園で344名の要支援児を受け入れています。

 区立保育園では要支援児の受入れは3名となっていますが園によっては6~7名と受け入れている実態があります。要支援児枠は十分とはいえず、居住地域の保育園に空きがなく、電車で登園することを余儀なくされ、障害児を連れての電車登園は本当につらく精神的に追い込まれ、せっかく入所できたのに十分に通わせられなかった、と悔やむ保護者もいます。保育を希望する障害児が身近な場所で必要な保育を受けられているとは到底いえません。本陳情に反対した委員からは、保育の必要性の認定については保護者の状況によるため、子どもの状況によるものが規定されていないので、自治体独自で判断はできないとしています。しかし、子ども子育て支援法において、保育の必要性の事由には「その他市町村が定める事由」があり、優先利用の条件のなかに「子どもが障害を有する場合」と規定があるのです。吹田市では、子どもに集団の中での発達支援が可能な場合は、就労等の事由がなくても保育所の利用申し込みができます。朝霞市では、心身の障害にかかわらず子ども達が育ちあうことが大切とし、育成保育実施要綱があります。にもかかわらず、区が他自治体で行っている障害児保育について、法に抵触する可能性があると見解を示していることはとんでもありません。2015年の衆議院厚生労働委員会においては、保育の実施主体である自治体の判断によって、子どもが障害を持っていることを理由とする保育所入所を可能とする、とした答弁があります。保育の必要性の認定は自治体が行うもので、区がその必要性を認めれば、障害児保育について取組をすすめることができるのです。障害を持つ子どもの親ほど、就労時間は短くなります。仕事を続けられない保護者、特に母親が多くいます。こうした状況では、基本的な入所指数で他の人と大きく差が開いてしまい、結果、指数が足らず入所できないということになります。

 二項目目は、区立幼稚園だけではなく私立幼稚園での障害児受け入れがすすむように、区の支援を求めるものです。本陳情には、私立幼稚園入園を検討しているが障害児とわかると問い合わせの段階で断られたり、加配の職員の配置は保障できないと釘をさされることもあるとあります。

 私立幼稚園において要支援児加配の補助制度を使用している園は32園中15園に留まっています。現行の制度では認定がおりるのが年度の途中であり、補助金の支給は年度末となっています。さらに、区の補助は子ども3人につき1人分の人件費が支給されるのみで、園の持ち出しが多く発生します。これでは少子化と保育ニーズが高まるなかで運営のために定員確保が必要な私立幼稚園では、要支援児を受け入れることができません。私立幼稚園が安心して要支援児を受け入れることができる支援の拡充を行っていくべきです。

 最後に、障害児の就学前の生活についてどうあるべきかは、その子の育ちにとってどうか、という視点で検討していただきたい。委員会審査のなかでは、療育との併用という話もでました。けれども、療育施設の待機も多い状況です。そうなると、集団生活の中での育ちを保障する場がなくなってしまい、せいぜい一時保育の利用が精一杯です。一時保育の細切れの時間では、発達が保障されません。また、保護者のみなさんの話を聞くと、療育にいった先では集団生活をすすめられています。でも幼稚園でも保育園でも受け入れてもらえなければ、集団生活を送らせることはできないのです。それも、手のかかる障害児ほど断られています。これが差別といわなくて、なんというのでしょう。この状況で、どれだけ保護者は追い詰められることでしょう。委員会審査を傍聴していた重複障害児の保護者は、「このまま学校に行くまで一人でみないといけないのか」と、絶望を感じたと語っています。

 区は曲がりなりにもSDGsを掲げ、インクルーシブ教育と言いながら、未就学児障害児の幼児教育・保育ニーズ調査すら行っていません。きちんと調査をし、計画をたてその目標にむかって施策を講じるべきです。板橋区の保育所では、昭和50年度から障害児保育を位置付けています。今年度は要支援児の加点を1点から5点に大幅に引き上げ、入所率は4割から7割まで上がりました。こうしたこれまでの取組を越えて、さらに障害児の育ちの保障のための施策を抜本的にすすめるためには、自治体の裁量権のうちで可能な、保育の必要性の認定事由に子の障害を加えること、私立幼稚園への補助制度を使いやすくし補助額をひきあげることが必要であると考えます。保育園、幼稚園で障害児の集団生活を保障する仕組みを早急に実施すべきことを求め、私の討論を終わります。

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