質問日:2020年9月24日
石川議員に引き続き、日本共産党板橋区議会議員団の一般質問を行います。
1.区財政の今後について
内閣府が発表した今年4月から6月期のGDPが、前期に比べ3割近くも落ち込んだことが大きな衝撃を広げています。家計の消費支出や、働く人の給与も減少しました。内閣府は、2012年12月から始まった景気拡大局面が2018年10月で終了し、景気は後退に転じたと既に認定しています。そのような景気後退局面にあった昨年10月に、安倍政治が消費税10%への引上げを強行した責任は重大です。このように、日本経済は以前から既に深刻な状態だったことに加え、コロナという重大な危機が重なりました。
今、コロナ危機を打開し、経済を再生するためには、消費税減税を含め、傷めつけられている家計を温める思い切った対策へ大きな転換を図ることが必要です。しかし、区が報告した「緊急財政対策の実施について」には、その背景となる経済状況に消費税増税の影響は全く触れられていません。
そこで、まず初めに、昨年のGDPが増税後、大きく引き下がったことから、消費税増税による景気後退の影響は明らかと考えます。しかし、区長は、10%への引上げに対する認識の質問に対して「消費税率の引き上げは、健全な国家財政を築くため、また適正な社会保障の確立のため、避けて通れない課題」と容認する答弁を行ってきました。改めて、日本経済の落ち込みの原因は、コロナだけでなく、消費税増税の影響があることを認めるかどうか、区長の見解をお聞きいたします。
区が示した緊急財政対策の実施では、新年度の見通しとして、区は、歳入が前年度比5%の減、歳出は景気減速等に伴う扶助費の増ほか、GIGAスクール構想の実現に伴う学校運営経費や、まちづくり事業の進捗に伴う再開発事業経費等の増を見込み、前年度比3.3%の増と、合わせて約183億円の財源不足が見込まれるとしています。これを踏まえ、新年度予算に対して財源の確保、既存事業の歳出削減を図ること、実施計画事業については、令和3年度から5年度までの3か年は特に歳出抑制を徹底すること、公共施設の整備・更新は原則先送りとし、また、新規事業については、区民生活に必要を欠くことができない事業を優先、不急な事業については実施を見合わせるとしています。
コロナ禍の下、区民の収入は減り、経済状況が悪化しているのですから、区の収入が減ることは当然のことです。一方、財源不足の額については、さらなる精査が必要です。巨額の財源不足を示すことが本来、区が行うべき事業、公務としての責任の放棄につながりかねないと危惧します。同時に、区の保有する基金を活用することが大事だと考えます。この間、財政調整基金は取り崩しつつも、積み立ててきました。今こそ、こういった基金の活用こそ積極的に行うべきです。
そこで、基金についての活用方針について、改めて見直しをするのか、目標額を再設定することになるのかお答えください。
区は不足する財源の確保として起債の活用を打ち出しました。これまで起債の目的を、学校の建築だとか、施設建設に充ててきた範囲をまちづくりの事業へ拡大すると説明しています。しかし、区財政は大変だから公共施設の改築等は3年間先送りすると示し、一方、再開発事業は起債をしてでも進めるというのは、区民からすると到底理解、納得できるものではありません。大規模開発、再開発事業など、まちづくりのためには起債をしてでも進めるが、区民の大切な公共施設については先送りするというのでしょうか。区長の見解をお聞きいたします。
次に、シーリングによる予算削減が示されています。削減目標額は、部自主編成経費の10%である30億円を全体目標額として設定するとなっています。さらに、イベント事業、各種展示及び事務諸経費については、一律20%削減を示しています。例えば学校教育だとGIGAスクールもあり、各部自主編成予算10%の削減になると、学校の補修工事や、各学校ごとの令達予算に影響が行くのではないでしょうか。区は、区民の暮らしへの影響を最小限にするというならば、福祉や教育、中小業者支援などの予算に一律シーリングカットすべきではないと考えます。区長の見解をお聞きいたします。
さらに、区は人件費の抑制として、定数削減及び定数増の圧縮、会計年度任用職員の活用が示されています。また、時間外勤務手当の縮減のため、例年過去1年間の90%を上限とするものを80%にするとしています。仕事が減るわけではなく、これではサービス残業につながりかねません。また、足りない部署への会計年度任用職員の活用は、本来、正規職員が行うべき職務を会計年度任用職員に任せるということで、そのチェック体制が必要にもなります。公的責任の所在はどうなるのか、無責任な状態になりはしないのか危惧されます。改めて正規職員の配置を必要な部署に増配置を実施することを強く求めます。いかがでしょうか。
財政の最後に、学校教育予算についてです。
各学校ごとに出されている令達予算は、教育活動に充てる学校裁量予算と維持管理に充てる予算とに分かれています。今年度、その学校裁量予算が小学校で50万円削減されています。ある学校では、国語辞典、漢和辞典の買換えができなくなり、近隣の地域住民へ、家にある辞典の寄附をお願いしていました。また、ほかの学校では、予定していた教材購入を削り、先生たちの自己負担で何とかやりくりしているという話も出されていました。このような事態を区長、教育長は知っているのでしょうか。
50万円削減の理由は、小学校でのデジタル教科書の購入のためということでした。小学校での教科書が変わったため、デジタル教科書も買い換えざるを得なかったため、それを令達予算で振り替えたとのことです。課によると、デジタル教科書を前回購入した平成27年度は課の予算で購入していたのを、今回は、各学校の裁量予算から差し引くという財政措置をしたとのことです。デジタル教科書は、本来各学校への裁量予算ではなく、全体の教育予算で購入すべきだったと考えます。なぜ裁量予算からその分を差し引くということをしたのか、その理由についてお聞きいたします。
裁量予算が減額されたため、今年度は小学校児童1人当たりの裁量予算額は2万5,105円となりました。しかし、その積算根拠について聞くと、教育委員会からは、積算根拠といえるものはなく、例年の額に今年度は消費税分を加味したとし、もともとは約30年ほど前に出された都立学校の令達予算の標準単価表を準用していたようですが、最近は東京都の標準単価表もないということでした。令達予算は保護者の私費負担にも連動します。本来は、現場の実態を把握の上、子どもたちの教育に必要な予算を各学校に補償すべきです。学校裁量予算の児童・生徒一人当たりの基準額を引き上げることを、また、維持管理費は、築年数の多い学校はどうしても老朽化で経費がかかります。築年数の多い学校などへは維持管理費を増額することを求めます。
2.コロナ禍から区民の暮らしを応援する施策の充実を
⑴経済支援について
まず初めに、中小業者支援です。区は家賃助成事業に踏み切りました。しかし、自宅で商売をしている中小零細業者にとっては、家賃はかかりませんが、収入が激減しても、コピー機やファクス、車、機械などのリース代の支払いが固定費として容赦なくやってきます。コロナの影響で仕事が激減し、ある製造業の方は、親会社が休んでしまい仕事が来ない、しかし機械のリース代はかかってくる、家賃助成だけでなく、リース代補助もしてほしい。このままだとわれわれ下請けの下請けはつぶれるしかなくなると訴えています。
そこで、区として、家賃助成だけでなく、中小零細業者へリース代などの固定費について助成を求めます。いかがでしょうか。
次に、パート、アルバイト、派遣労働など、不安定雇用の方々を支援する家賃助成です。
ある73歳の方は、国民年金に加え、パートで清掃業をしていましたが、コロナ感染拡大により働いていた施設が閉鎖となって仕事を失ってしまいました。パート収入がなくなり、家賃が払えない事態になりました。住居確保給付金の手続や生活保護の相談を進めましたが、こうした相談は決して少なくありません。総務省の労働力調査でも、パートやアルバイトなど非正規雇用者は、4月には97万人減少、5月も61万人減少、そのうち7割を超えて女性だと発表されていました。社会的に弱い立場にある方がさらに困難になっています。
既に板橋区では住居確保給付金は、8月下旬で相談件数790件、給付件数726件とのことです。今後こうした9か月で切れる住居確保給付金に代わる助成も必要になります。
そこで、ぜひ区として、高齢者、障がい者、低所得者、ひとり親家庭に対して家賃助成を実施することを求めますが、いかがでしょうか。
次、文化芸術関係への支援です。
コロナ禍で多くの文化イベントが中止・延期となりました。その損失は2月からの1年間で6,900億円、観客の延べ人数は2億人を超えると推計されています。この間、文化芸術関係者の運動で500億円の補正予算がついたとはいえ、緊急支援に全くなっていないと言われています。申請手続が煩雑で、おまけに損失補〓ではなく、新たな事業を始めなければ支援対象にもならないという、実態と合わない支援に対する改善が急務となっています。
私たちがこの間、お話を聞いた板橋区内の文化芸術関係の方々も、公共施設が使えない、使えるようになったけど定員は半分までという状況を受けて、赤字覚悟で演奏会を、演劇をやらざるを得ない実情を話されていました。文化会館の小ホールも大ホールも、コロナ禍の下、定員を半分に設定され、チケットの販売自体半分に減らしたために、会場費や人件費など、必要経費を差し引くと完全に赤字になっているということでした。この間、この19日から、ようやくコンサートや演劇など、100%の観客収容が認められましたが、直近の催物は100%に合わせた準備が間に合いません。区内文化団体を支援し、文化のともしびを絶やさないためには、対応が間に合わない、定員を半分のままで間に合わない場合などは、使用料を半額、あるいは減額することを求めます。いかがでしょうか。
次に、医療現場、介護現場への支援についてです。
この間、視察も行ってきましたが、コロナ感染拡大は医療現場を、介護現場にも様々な問題を広げ続けています。多くの現場では、今回のコロナ禍は想定外だったことを、特に訪問介護は、感染拡大の中でどれほどの緊張感の中、仕事をしているか、かなりの重装備で対応を迫られていました。報酬改定のたびに訪問介護の位置づけを引き下げておきながら、今回、コロナでデイサービスが休止したら、訪問介護で代替するようにと簡単に言ってくる厚労省への疑問、怒りが広がっていました。
現在も、高齢者・障がい者の福祉現場は、利用者の減などによる減収、また、新たに人を増やさなければ対応できないので出費は増えるなど、経営の厳しさを訴えています。
医療機関の減収も深刻となっています。医師会でも、外来患者が2割から3割、診療科目によっては約半分にまで減っており、そのために医療崩壊になりそうだと話していました。
そこで、コロナの影響で大きく減収となった区内の医療機関、高齢者、障がい者の介護現場に対し、区として減収補填を実施することを求めますが、いかがでしょうか。
先日、区内の障がい者施設へ通っている方のお母さんから、「ちょっと見て! うちの子のお給料、こんなに減ったのよ!」と施設からの給料表を見せてもらいました。特に夏と冬のいわゆるボーナスは、昨年の冬が2万5,000円ぐらいだったのが、この間もらった夏のボーナスでは僅か3,000円少々だったことに驚きました。月々の収入は大体2割から3割減でしたが、平均して月1万3,000円ほどもらえていた工賃は、緊急事態宣言が解除後も1万円にも届かない月が続いていました。
区内の福祉園や作業所などに通い、働いている障がい者の工賃等収入への影響と、その影響に対する区としての何らかの補償を求めます。いかがでしょうか。
新型コロナウイルス対策に最前線で取り組む医療・介護従事者向けの慰労金など、その支給が6月中旬に成立した今年度第2次補正予算にようやく盛り込まれました。介護職員の賃金は全職種の平均よりも約9万円低く、この差を解消しなければ、人手不足は解消しないと言われています。障がい者・高齢者が利用する介護現場や医療現場、また、障がい者施設等で働く人に対して、国の制度に上乗せして、区としての慰労金・手当を実施することを求めます。いかがでしょうか。
⑵高齢者の生涯学習への支援
次に、寿大学など、高齢者の生涯学習を区としてどう守り支えるのかについてです。
コロナ感染拡大は、緊急事態宣言の後、公共施設が利用できなくなり、老人クラブの様々な活動に影響を広げました。高齢者はリスクが高くて外へ出にくくなったこともあり、ひきこもり状態となった高齢者が増えています。また、解除後も区の施設が一部使用できなかったり、定員を半分にするなどのコロナ対策で、いまだに改善ができていません。高齢者の生涯学習や、社会参加の機会を保障することは、介護予防の観点からも重要です。区として老人クラブなどの高齢者の活動をどう支えていくのか、改めて対応をお聞きいたします。
寿大学は区内3か所で行われています。しかし、施設の定員が半分までということで、仲宿いこいの家では、月2回を1回へ減らして半分ずつに、徳丸ふれあい館では、9月になっても、いまだ使用できない状態です。代替の施設を保障するなど、何らかの区としての対応を求めますが、いかがでしょうか。
コロナ鬱、ひきこもり、認知症、コロナは高齢者に対して様々な影響を来しています。区は公共施設のあり方の中で、いこいの家については、区内全て廃止になるという方向を示しています。高齢者が様々な機会に社会参加、学び続ける場を持てるように整理することが自治体としての責務です。この間、区が行った説明会では、参加者からは高齢者の楽しみにしている場をなくすというのか、囲碁・将棋はどこでやれるのか、ふれあい館まで行けなんて遠くて行けないなど、様々な意見が出されていました。改めて抜本的に見直しをし、高齢者の憩いの場としての存続を強く求めますが、いかがでしょうか。
3.感染症等に対応できる保健所体制とPCR検査等の拡充を
まず、板橋区におけるこの間のPCR検査をめぐる状況です。
区内医療機関と区PCR検査センターを合わせて、検査数は、5月が1,877件、6月が2,864件、7月が5,718件、そして、8月は9,489件と、検査できる医療機関等が増えたこともあり、特に7月、8月と一気に検査数が増えてきました。陽性率は、7月が6.9%、8月の3.93%と発表されています。一方、この間、様々な自治体独自の検査拡充の取組も広がっています。例えば世田谷モデルと言われているのが、いつでも、どこでも、だれでも検査ができるようにする取組、あるいは千代田区のように、リスクの高い高齢者などの通う介護施設などで職員全員を対象にした検査を実施できるようにするなどです。
板橋区においても、世田谷や千代田のように、何らかの検査強化拡充施策を実施することを求めますが、いかがでしょうか。
また、感染震源地を明らかにし、居住者、在勤者、事業所などで働く人に対して、PCR検査を実施することが、感染者を拡大させないことにつながります。改めて国、東京都へその財政措置を求めていただきたいが、いかがでしょうか。
当初、新型コロナウイルス感染症をめぐって、日本のPCR検査の異常な少なさは、1980年代以降、特に1990年代になってから、保健所の設置主体変更、保健所の統廃合、保健所機能の後退に原因があると指摘もされています。
保健所は戦後、憲法第25条に基づいて1947年に改正された保健所法によって設置され、都道府県事務として、人口10万人に1か所の保健所の設置基準に基づき、板橋区では昭和19年4月1日、都立板橋保健所へと改称され、保健所が東京都から板橋区へ移管された昭和50年4月時点には、区内3か所の保健所が設置されていました。
ところが、昭和55年以降、臨調行革路線に基づく社会保障制度の全面的再編が行われ、保健所法が廃止となり、新たに地域保健法が平成6年に成立をし、保健所の統廃合など、公衆衛生全般の見直しが始まりました。その下で平成9年度から、この板橋区でも3か所あった保健所が1か所へと減らされてきました。このように、保健所機能の後退が、この間の新型コロナに対する日本政府の不十分な対応につながっていると思います。住民の健康権を守るべき保健所が公衆衛生4原則に基づく本来の機能を果たしていたなら、当初からPCR検査も数多くできていたと思います。
区は、この間のコロナ感染拡大により、4月は非常に逼迫した状況だったと振り返り、平時からの体制が大事であると議会で答弁をしています。感染症が出てからの対応ではなく、平時から緊急事態に対応できる体制を維持することが重要だということを示唆しています。そのためには、国や東京都の予算も大幅に増やすことが大前提です。改めて感染症対策として、国と東京都に財政支出割合を大幅に増やすことを求めていただきたいのですが、いかがでしょうか。
せっかく保健所にあるPCR検査機器が、今回のコロナ感染症の分析で活用できていません。その大きな原因は、検査技師、特に臨床検査技師が1人もいないなど、体制の弱体化にあります。世田谷区では保健所での検査を実施しています。改めて、板橋区においても検査技師の配置を行い、保健所におけるPCR検査の分析ができるよう求めますが、いかがでしょうか。
今回、平時からの体制の重要性を顕著に示しているのが、4月時点の予防対策課の職員の超過勤務状態でした。区の資料によると、非常に厳しかった4月は、予防対策課のある事務職員は154時間もの超過勤務時間となっていました。月80時間という過労死ラインをはるかに超えた苛酷な働き方です。保健師も117時間、113時間でした。現在のように兼務での職員体制になって、ようやく落ち着いたとはいえ、このことは平時からの体制を強化することの必要性を明らかにしました。
新年度に向け、保健所等における医師の配置、保健師・検査技師・事務職員、全ての増配置で体制の強化を平時から取ることを求めますが、いかがでしょうか。
現在、保健所は、コロナ対応により、7階の検査室が半分となり、生活衛生課の食品衛生グループ以外が移るという大きな移動が行われました。このことにより、区民に対する窓口業務が、会計は3階のために、7階と3階、どちらにも行かなければいけないなどの不便をかけることになっています。本来、区民の窓口については、低層階でまとめて、迷惑をかけないようにすべきです。改善が求められていますが、大本の保健所のスペースが狭いという問題も指摘されます。
私どもとしては、2か所目の保健所を検討していただきたいと思いますが、せめて区民、職員の目線に立った保健所への施設の環境改善を求めます。いかがでしょうか。
4.コロナ禍を受けて、今後の公共施設のあり方について
コロナ禍は、改めて公共施設の在り方について、様々なことを教えてくれたと思います。平成25年に出されてきた公共施設等の整備に関するマスタープランの3つの基本方針は、総量抑制、耐用年数の延伸、区有財産の有効活用でした。耐用年数の延伸を否定するものではありませんが、総量抑制は、コロナ禍を受けた今、改めて見直すことが大事ではないでしょうか。
公共施設は、地方自治法第244条に規定され、私たち一人ひとりが人間として発達していくための全面的支援を担っています。その公共施設が廃止や再編となることは、住民の生涯を通じた発達や向上が阻害されかねない問題を持っています。そして、私たちが暮らす地域やコミュニティの問題に密接に関係をし、さらに地域の活性化から公共施設の役割はとても大きなものがあると言えます。
区は、少子高齢化を迎えるに当たり、公共施設の統合・縮小に取り組むべきと、マスタープランを発表して進めてきました。高齢者が増えていることは事実ですが、それは平日、公共施設を借りて様々な活動をする年齢層が増えているということにもなります。つまり、公共施設の必要性は少子高齢化の下、強まっているという分析こそすべきと考えます。
コロナ禍を受けて、こうした区民の活動拠点を減らすのではなく、高齢者の介護予防の観点からも、地域にコミュニケーションを図れる、低廉な料金で利用できる身近な居場所こそ求められています。元気高齢者の活動拠点があるから、医療費抑制にも、介護経費の抑制にもつながっていくのではないでしょうか。拠点を縮小して奪うことは、逆に医療や介護を必要とする高齢者を増やすだけではないでしょうか。一体どちらがかかる経費2割カットになるのでしょうか。改めて、この基本方針、総量抑制を見直すことを求めますが、いかがでしょうか。
5.福祉事務所の強化拡充を求めて
福祉事務所は、社会福祉法第14条に規定される福祉に関する地方公共団体の事務所です。福祉事務所は、自治体において、憲法第25条国民の福祉の向上について不断の努力をしなければならない、政治的ないし道義的責任を担う代表的な機関といえます。今年の7月時点で、区内の生活保護を受けている区民は1万8,151人、世帯数は1万4,395世帯です。1951年の社会福祉事業法の施行に関する通知によって、ケースワーカー7人につき査察指導員1人が標準数となっていますが、現在、板橋区にある3福祉事務所では、1人の査察指導員に8名から9名のケースワーカーとなっています。以前は、厚労省の通知を守っていましたが、今は増え続ける状況です。現在、生活保護を受けている被保護者は、高齢者が増え、発達障がい者、精神障がい者が増え、豊かな知識と経験を必要とする案件も増えて、複雑化しているのが実態になっています。こうした実態を見るならば、7人という基準は最低限と考えます。改善を求めますが、いかがでしょうか。
ご承知のとおり、板橋福祉事務所は現在、グリーンホール2階、3階に分かれ、さらに障がい者支援係は庁舎2階と、3か所に分かれています。そして、相談室も足りないことが多く、相談者が受付窓口のところで相談せざるを得ないという個人情報を守ることもできない実態となっています。職員の執務スペースも、通路も取れないほどひしめき合っています。志村福祉事務所も、職員の執務スペースは、既に椅子と椅子がぶつかり合う状況です。非常に密な環境となっています。せめて相談スペースはきちんと取ることができて、個人情報が筒抜けにならない状況にしてほしいと思います。そして、職員の職場環境も、通路を確保でき、立ち上がるときに隣とぶつかることのないだけのスペースを保障していただきたいと思います。
生活保護世帯は、この間、増えることはあっても減ることはありません。コロナ感染拡大を受け、一層増えることも想定され、今でも限界を超えている福祉事務所の環境改善は待ったなしと考えます。福祉事務所を増設置するしかないと考えます。いかがでしょうか。
6.国民健康保険事業について
国保は自営業者、無職、アルバイトやパートなどの不安定雇用の人、そして、フリーランスが加入しており、今回のコロナ感染拡大で営業自粛や施設閉鎖などの影響を一番受けている人が多いと言われています。今回の事態を受けて、保険料の減免手続を申請して、減免が決定した件数は、8月末で902件に達しているとのことです。申請しても対象とならなかった方の相談で、次の2点について改善を求めます。
雑所得は減免対象から除外されています。しかし、持続化給付金はこの間、雑所得も対象とする改善が行われました。国民健康保険料も改善すべきです。国に改善を求めると同時に、区として独自で対象とすることを求めますが、いかがでしょうか。
コロナの影響による保険料の減免対象から、所得ゼロの均等割減額世帯は対象外となっています。均等割のみ世帯は、保険料は減免となるのに、所得ゼロの均等割額が減額となっている世帯は減免にならないのはおかしいと思います。対象となるよう求めますが、いかがでしょうか。
国民健康保険制度の運営方針は3年ないし6年を単位としています。その都度、見直し作業も進められています。現在、東京都において見直し作業が進められていると聞いていますが、見直し作業の現状について、どのような部分について見直しをしようとしているのか、具体的にお聞きいたします。また、見直すべきは、高過ぎる保険料こそと考えます。改めて、子どもの均等割保険料の廃止を行うなど、高い保険料を新年度に向けて引き下げることを求めますが、いかがでしょうか。
7.医療的ケア児が通うことができる保育・学校教育における条件整備を
医療的ケア児とは、たんの吸引及び経管栄養、人工呼吸器を必要とする子どもなど、日常生活に欠かすことのできない医療的行為を必要とする子どもたちのことです。医療技術の進歩によって救われる命が増えたこともあり、医療的ケア児は年々増加し、現在、1万8,000人いると言われ、その子どもたち一人ひとりの発達・成長を保障する各自治体の対応が強く求められています。しかし、まだまだ医療的ケア児は、保育及び教育の場から排除され、また、合理的配慮や、必要な支援を受けられない事態が残されています。いわゆる医療的なケアを必要とする子どもたちが、この板橋で保育も教育も当然受けられ、どの子も発達・成長が保障されることを願って具体的に質問いたします。
まず、保育園の新年度の入所申込みが間もなく始まりますが、基準の改善はどうするのでしょうか。新年度の入園に準備が間に合うのかどうか、お聞きいたします。
文部科学省では、平成23年の特別支援学校等における医療的ケアの今後の対応についての通知により、実施体制の整備を促すとともに、学校への看護師等の配置に係る経費の一部補助など、その支援を進めてきました。そして、平成31年3月20日、最終のまとめを受けて文部省から通知が出され、改めて、今後の特定行為以外の医療的ケアを含め、小・中学校等を含む全ての学校における医療的ケアの基本的な考え方や、医療的ケアを実際に実施する際に留意すべき点等について整理されました。現在は、特別支援学校だけでなく、各小・中学校の医療的ケア児は年々増えてきていると言われています。
しかし、板橋区では条件整備が整っておらず、入学したくともできないのが実態です。平成23年の通知が出されてかなり経ちます。なぜ文部科学省の通知に基づき、検討体制の設置もないまま、準備を進めてこなかったのか、その理由についてお聞きいたします。
ようやく板橋区重症心身障がい・医療的ケア児等会議が設置されましたが、具体的に学校教育を受けられる条件整備について、準備を進める組織とはなっていません。直ちに、学校教育現場における準備を進めることができるよう、庁内の検討チームを設置することを求めます。いかがでしょうか。
8.アスベスト問題への区の対応について
現在、区内の様々なところで解体工事が行われています。その中でも、前代未聞の規模で解体工事が一斉に行われていこうとしているのが大山クロスポイント再開発地区です。この間、近隣への解体工事のお知らせを各戸へ投函するだけで進めようとした事業に対して、説明会を強く求め、7月21日、グリーンホールにて説明会が行われました。その説明会では、アスベストについては、31の建物のうち、アスベストが含まれる建物は7棟という説明でした。板橋区には、板橋区における建築物等の解体等工事に伴うアスベスト等飛散防止対策とその周知に係る指針が制定されています。その第8条には、アスベスト使用の有無、建築物等の規模・構造等の概要だけでなく、解体等工事の方法や作業内容、安全対策や公害防止対策などを説明することになっていますが、21日の説明会では、そのような詳しい説明を聞くことができませんでした。
6月17日に閉幕した今年の通常国会で、大気汚染防止法が改正されました。これまで先送りされてきたレベル3の石綿含有建材が使われた石綿飛散防止対策を盛り込んだことが大きな改正と言えるかと思います。静かな時限爆弾と言われた石綿は、深刻な健康被害を引き起こしてきました。石綿粉じんは微細なため、解体工事等で飛散した石綿粉じんを吸い込むことでばく露し、その後、数十年から40年程度で中皮腫や胸膜プラーク、肺がんなど、命に関わる重大な疾患を発症させます。石綿による健康被害は戦前から知られていましたが、日本で石綿粉じんに対する本格的な規制が行われたのは、1971年の特定化学物質等障害予防規則からでした。規制が遅れたために、日本での石綿による被害は欧米と比べて拡大したと指摘されており、人命と引換えに経済性を優先し、石綿の使用を続けてきた政府やメーカーの責任は極めて重大なものがあります。環境省は、違法な工事が相次ぐのは、事前調査が不十分で、見落としがあるからとしていますが、調査は誰がやってもいいことになっているため、請負業者やその仲間うちの調査で、石綿がないものとしてきたことにあると言われています。こうした違法工事を防ぐためには、専門的な知識を有するとともに、請負業者や発注者と利害関係のない第三者による調査を行うべきと思います。
この間、クロスポイント地区の解体する31棟は、説明された7棟どころか、全てにアスベストが含まれていることが明らかになり、ずさんな調査だったこと、いいかげんな説明だったことが明らかになりました。改めて、区の指針に基づき、厳しく指導が行われてしかるべきと考えますが、区は民民の事業だからと、説明会の実施までは工事中止をという要望に対してお伝えいたしますを繰り返すばかりでした。クロスポイント地区の再開発事業は、特定整備路線補助第26号線との一体工事であり、公費が3分の2以上投入されている、言わば公共事業に類する事業として抑えるべきものです。私はこの間、国、東京都に対して、アスベスト問題について国や東京都が改善するよう指導ができないのかどうか要望してきましたが、そのたびに、東京23区は基本、区が監理監督であると言われるばかりでした。
そこで、なぜ区の指針に反していることに対してきちんと指導できないのか、まず、その理由についてお聞きいたします。
今回、大気汚染防止法の改正は十分なものとは言えませんが、それでも石綿に対する対策は、これまでよりは強化することができたと言えます。今後は、各自治体における取組も一層強化することが求められています。お隣の練馬区では既に条例になっています。横須賀市では、条例が制定されたこともあって、アスベストに対する業者対応が不十分だったことが指摘され、解体工事が一旦差止めになり、きちんとした対応を行われたと聞いています。
そこで、区の指針だけではどうしても指導が徹底できません。条例化し、アスベストに対する指導が強化できるよう求めますが、いかがでしょうか。
以上で、私の一般質問を終わります。ありがとうございました。
〔区長(坂本 健君)登壇〕
◎区長(坂本健君) それでは、かなざき文子議員の一般質問にお答えいたします。
最初は、消費税増税の影響についてのご質問であります。
令和2年1月から3月期の板橋区の景況では、消費税増税の影響に、新型コロナウイルス拡大による社会・経済への打撃の影響が、業況の悪化に追い打ちをかけているとの認識が示されております。消費税率の引上げは、健全な国家財政の構築や、適正な社会保障の確立を目的としたものと考えております。今後も、区民生活や区政に及ぼす影響の度合いと、国の動向等に関しまして、引き続き十分注視をしていきたいと考えています。
次は、基金活用方針についてのご質問であります。
基金及び起債活用方針は、№1プラン2021に掲げる建設事業の推進と、財源を明らかにし、併せて今後の適正な活用方針を定めているものであります。一方、新型コロナウイルス感染拡大の影響による厳しい財政状況が見込まれることから、起債や基金のさらなる活用を緊急財政対策の取組項目に位置づけたところであります。この状況を受け、基金活用方針の見直しを含め、方針の在り方に関しまして、№1プラン2021の改訂に併せて検討を進めていきたいと考えています。
次は、まちづくりの推進と施設整備の延伸についてのご質問であります。
まちづくり推進に当たりましては、財源の確保はもとより、地域をはじめ、多くの方々と積み上げてきました、これまでの努力と事業の継続性を大切にしなければならないと考えています。厳しい財政状況にありましても、時代の変化を踏まえながら、住みたい、訪れたくなる魅力あるまちづくりを着実に進めることによって、にぎわいや新たな価値を創出し、経済を活性化させ、都市の持続的な発展につなげていく考えであります。
一方、公共施設の更新につきましては、財政調整基金の枯渇が危惧される中、緊急財政対策として、安全面など緊急性に配慮した上で、計画の延伸や経費の平準化を検討しているところであります。
次は、予算の一律シーリングカットについてのご質問であります。
令和3年度予算編成に当たりましては、巨額の財源不足が見込まれることから、全庁を挙げた対応が必要であり、緊急財政対策方針の一環として、部別シーリングによる10%の予算削減を行う方針であります。各部におきまして、区民生活の影響を最小限にとどめる視点を優先しつつ、事務事業の見直し、補助金、負担金及び講座等の開催回数の見直し、新たな歳入確保などによりまして、シーリング目標額の達成に向けて総合的に取り組む考えであります。
次は、正規職員の増員配置についてのご質問であります。
職員定数につきましては、事業の休廃止や新規事業等による業務量の増減に対し、全庁的な人員の再配分を行うことによりまして、職員定数の適正化を図っていく考えであります。併せて、本年5月に策定いたしました板橋区働き方改革基本方針に基づき、働き方改革や業務の不断の見直しによって、スピード感を持って効率的な業務遂行の実現に取り組んでいく考えであります。
次は、中小零細業者の固定費への助成についてのご質問であります。
区では、コロナ禍において経済的に影響を受けている区内の小規模事業者等に対しまして、固定費の中でもより負担の大きい家賃に着目をした緊急家賃助成を実施しております。また、産業融資については、令和2年8月末現在、430件余、53億5,000万円余の緊急特別融資のほか、金融機関で別枠の信用保証付融資が受けられるセーフティーネット保証を3,500件余、認定をしております。国でも、持続化給付金や雇用調整助成金による企業等の事業継続支援も行っておりまして、現時点においては、新たな固定費への助成は考えていないところであります。
次は、家賃助成についてのご質問であります。
個人に対する家賃助成等経済的な支援は、具体的な事情の把握が困難でありまして、実効性のある施策の実現は厳しいのが実情であります。区は、これまで行政改革の公共性の観点から、原則として現金給付は行わないとする考え方を維持してきたところであります。今後も引き続き、国や東京都等の支援策の状況を注視してまいりたいと考えています。
次は、文化会館の使用料についてのご質問であります。
文化会館をはじめとする区施設の使用料につきましては、維持管理費、職員人件費、減価償却費等の経費を基に、貸出施設の面積に応じて算定をしております。施設使用料の算定には定員を加味していないため、利用人数制限に応じた使用料の変更は行っていないところであります。なお、9月14日付で東京都が発信した11月末までの催物の開催制限の通知を受け、文化会館におきましても、ホールの収容率の見直しに向けて準備を進めているところであります。
次は、医療機関への支援についてのご質問であります。
区では、新型コロナウイルス感染症への対応に日夜努力いただいております医療機関に対しまして、独自の経済的な支援策を講じてきたところであります。減収の影響が大きいと言われる救急医療機関に対しましては、感染予防を行いながら、患者を受け入れる病床を備えるための支援事業を設け、支援金につきましては、8月20日に支給を既にしております。そのほかの病院につきましては、感染防止に必要な物品の配布を行っております。PCR検査の実施協力医療機関には、検査数に応じた支援金や感染防止に必要な物品の配布も行ってまいりました。さらなる支援につきましては、国や東京都、他自治体の動向を注視しながら、必要な検討を行っていきたいと考えています。
次は、介護現場への支援についてのご質問であります。
今般のコロナ禍に伴う事業収入の減に対しましては、国による持続化給付金のほか、区として、産業融資の利子補給に優遇加算する緊急経済対策、さらには、小規模事業者・個人事業主に対して、事業所等の賃借費用の一部を助成しております。また、国と東京都は介護サービス事業所等に対し、サービス継続支援として、介護サービス事業所等におけるかかり増し経費支援事業によりまして、割増賃金・手当や、衛生用消耗品の購入費を補助しております。区としましても、国、東京都の支援施策の動向を注視し、活用できるスキームを検討していきたいと考えています。
次は、施設に通う障がい者の収入への影響と補償についてのご質問です。
新型コロナウイルス感染症の感染拡大による経済活動の停滞の影響によって、作業の受注が減少し、作業を行う障がい者の収入が減少している施設が多いものと認識をしております。区では、収入減少の補償は難しいところではありますが、国の取扱いを踏まえ、在宅支援の実施を認め、施設の運営継続を支援し、障がい者の作業機会の確保に取り組んだところであります。今後も、障がい者の作業を取り巻く動向を把握しながら、必要な支援について検討していきたいと考えています。
次は、介護・医療現場や障がい者施設で働く者への手当の実施についてのご質問であります。
新型コロナウイルス感染症の拡大防止に向けて、医療機関や介護・障がい福祉施設の従事者には大きな心身の負担がかかっている状況にあると認識しています。こうした従事者に対しまして、東京都では、国の補正予算の成立を受けて、1人当たり5万円から20万円の従事者慰労金を支給することといたしました。区が手当の上乗せを行うことは難しいところでありますが、国や東京都との役割分担の下、物資の支給を含め現場の支援に当たっていきたいと考えています。
次は、寿大学の活動場所についてのご質問であります。
老人クラブ連合会が主催している寿大学は、囲碁・将棋や水墨画など、多くの高齢者の方々が活動していると聞いております。現在の活動場所となっております、いこいの家や集会所は、コロナ禍の影響による休館や、再開後も感染予防策を講じながら、一定の条件の下、ご利用を頂いております。また、ふれあい館につきましては、安全面から、3月より部屋の貸出しを行っていなかったところでありますが、10月から再開する予定でありまして、活動場所としてご利用いただきたいと考えています。今後とも、安全策を講じた上で、高齢者の皆さんの活動場所の確保や支援を行っていきたいと考えています。
次は、いこいの家についてのご質問です。
いこいの家は、昭和49年から、小規模ながら地域の憩いの場となる施設として運営をしてまいりました。近年、利用率が減少していることから、№1プラン2021経営革新計画に基づきまして、いこいの家の在り方について検討を進めております。今後も、住民説明会や区議会で頂きましたご意見を参酌しながら、中長期的な将来を見据え、方向性を定めていきたいと考えています。
次は、検査強化拡充施策についてのご質問であります。
重症化しやすい高齢者に関わる仕事をしていらっしゃる方への検査は課題であると認識をしております。国は、保険適用の検査対象者の拡大を進めておりまして、高齢者施設関係者も、保健所を介さずに、保険適用医療機関で検査が可能となっております。区では、引き続き保険適用において検査をできる医療機関の充実に努めていきたいと考えています。さらなる強化策につきましては、費用対効果も含めて研究をしていきたいと考えています。
次は、検査拡充に関する国・東京都からの財政支援についてのご質問であります。
PCR検査を担う新型コロナ外来設置医療機関に対し、東京都からは継続的に感染防止に必要な防護具などの物品の支援が実施されております。また、今月、国からPCR検査実施医療機関への支援策が示されたところでもございます。国の新たな支援策の効果を注視し、検査に対する財政支援を求めることについては検討してまいりたいと考えています。
次は、感染症対策全般に対する国・東京都からの財政支援についてのご質問であります。
既存の感染症に加え、今後の新型コロナウイルス感染症の状況が不透明であるため、機会を捉えて国や東京都へ必要な財政支援を要望してまいりたいと考えています。
次は、検査技師の配置についてのご質問です。
保健所には、検査技師が2名配置されておりますが、本年度末において1名退職をするため、来年度は1名のみとなります。板橋区は民間検査会社が充実をし、直営でなくても必要な検査が可能であるため、区では外部委託化を進めており、今後、新たに検査技師を採用する予定はないところであります。なお、PCR検査は、国の検査拡充の方針によって、既に民間検査会社が主として実施をしておりまして、医療機関からの依頼には十分対応できているものと考えています。
次は、職員の増員配置についてのご質問です。
保健所、健康福祉センターの職員体制につきましては、今後の感染症対応の見込みや、来年度の平常事業の業務量を厳格に査定した上、職員定数を決定する予定であります。人員査定においては、平時の人員配置のみならず、今回の感染症拡大による緊急時の人員体制についても振り返り、臨機応変な応援体制や、兼務の在り方についても含め検討していく考えであります。なお、医師につきましては、東京都において採用、配置を決定するため、増員配置を継続的に要望してまいりたいと考えています。
次は、保健所の環境改善についてのご質問であります。
生活衛生課の一部は現在、3階から7階へ移転をしているところでありますが、これはコロナ対応のため予防対策課の職員が急増し、3階が手狭になったためでございます。移転によりまして、執務環境は改善されておりますが、来庁者や移転した職員に不便をかけているのも事実であります。今後は、保健所内の各課で協力、協議をしながら、区民と職員の双方にとって環境改善を図っていきたいと考えています。
次は、コロナ禍を受けて、今後の公共施設の在り方についてのご質問であります。
公共施設の総量抑制につきましては、全ての施設を更新することが財政的に困難である以上、次世代へ継承していく観点から、必要な基本方針の1つであると考えています。コロナ禍の時代の要請を踏まえ、老朽化している施設を中心に在り方を見直し、更新する施設のサービス向上を図りながら、安心・安全で魅力ある公共施設へ再編成してまいりたいと思います。したがいまして、基本計画2025に定める公共施設等の整備に関する基本方針の見直しは予定をしていないところであります。
次は、福祉事務所職員の定数改善についてのご質問であります。
区では、平成11年に、社会福祉法で福祉事務所の業務としております保育園入園事務及び保育料徴収事務を、当時の保育課へ事務移管をしたため、改めて事務量を勘案し、現行の基準としているものであります。さらに、資産調査専門員や就労支援相談員など、専門職の任用を進め、職員の負担・負荷軽減に努めているところであります。今後も、業務量や事務内容の精査を行い、実態を踏まえた適正な人員配置に努めていきたいと考えています。
次は、福祉事務所の増設置についてのご質問であります。
現在、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、各種相談や生活保護の申請など、福祉事務所の取扱件数は増加をしております。一方で、福祉事務所の増設や拡大につきましては、適正な規模や機能、福祉事務所の在り方を含め、先を見据えた長期的視野で考えなければならないものと考えています。今後も事務改善を推進し、迅速かつ適切な対応ができる体制の構築と職場環境の改善に努めてまいりたいと考えています。
次は、コロナの減免対象の所得についてのご質問であります。
本区におきましては、国の財政支援の対象となる場合に、減免を実施することとしておりまして、対象となる収入は事業収入、不動産収入、山林収入、給与収入の4種類となっております。減免の対象を区独自で拡大することは、新たに一般会計からの法定外繰入金の増につながり、国保被保険者以外の区民の負担を増やすものであり、困難なものと考えています。国のコロナ減免に関する補助金対象の拡大につきましては、今後、機会を捉えて国に要望を行ってまいりたいと考えています。
次は、コロナ減免対象の所得ゼロ円の減免についてのご質問であります。
コロナ減免は、コロナの影響により前年に比べ収入が3割以上減少した方を対象に、保険料の減免を行うものであります。しかし、前年に比べ収入が3割以上減った場合でも、前年の収入が必要経費額よりも少なく、所得がゼロ円とされた方は、減免がされないことは認識をしているところであります。本区では国の財政支援の対象となる場合に減免を実施することとしておりまして、対象の拡大につきましては、国の動向を注視するとともに、機会を捉えて国に要望を行っていきたいと考えています。
次は、東京都の新しい国保運営方針についてのご質問であります。
次期東京都国民健康保険運営方針の案においては、被保険者の構成や医療費の状況、財政状況など、様々な数値が更新され、それに伴い文言の修正もされております。また、新たに高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施の取組や、がん検診、歯科検診など他検診と連携した取組について、東京都の取組、区市町村の役割などが記載されております。収納率の目標値につきましては、今まで被保険者数によって一律としていた目標値を、各区市町村の現状からの伸び率としているところであります。
次は、保険料についてのご質問であります。
国民健康保険法においては、所得によって均等割額、2割、5割、7割を軽減する規定があり、本区では既に49%以上の世代が対象となっております。さらに、区独自で保険料を軽減するためには、減収を補うための法定外繰入金の増額が必要となり、法定外繰入金の解消を目指す区の方向性とは相反するものであります。保険料の軽減に係る財源につきましては、国が責任を持って財政措置を講じるべきと考えており、区では特別区長会を通じて、昨年度に引き続き、今年度も国に対し要望を行っているところであります。
次は、保育園での医療的ケア児の受入れについてのご質問であります。
医療的ケア児の入所選考に当たり、これまではなかなか入園につながっていなかったのが状況でございました。この課題を解決し、医療的ケア児に対しましても、真に必要な保育を提供できるよう、来年度に向けて入所選考方法の改善を検討しているところであります。併せて、受入れ拡大に向け、施設の整備や、必要となる資機材などの環境整備、関係機関との連携など、具体的な準備を進めていく予定であります。
次は、区のアスベスト等飛散防止対策と、その周知に係る指針に基づく指導についてのご質問であります。
平成19年に策定した板橋区における建築物等の解体等工事に伴うアスベスト等飛散防止対策とその周知に係る指針については、アスベスト対策とその事前周知を目的とするものであります。この指針の第4条におきましては、区長の責務として、建築物等の解体等工事が適正に行われるよう、発注者等に必要な措置を講じるように指導することが規定されております。指針が規定する内容について実施されていないと区が判断する場合においては、関係法令等に照らし、適正に指導を行っていきたいと考えています。
最後のご質問であります。区の指針の条例化についてのご質問です。
区の指針は、建築物等の解体等工事に伴うアスベストの飛散防止対策を図るとともに、近隣住民の不安を解消するため、近隣への事前周知を推進することを目的としております。また、来年4月には改正大気汚染防止法が施行され、これまで対象外でありました成形板も対象となり、都道府県等への事前調査結果の報告が義務化されるなど、規則が強化されるものであります。これらを踏まえるとともに、他の自治体の条例化の動向等を注視しながら、アスベスト対策と近隣の不安解消に向けて、より適切で実効性のある方策について研究を進めていきたいと考えています。
残りました教育委員会に関する答弁は、教育長から行います。
〔教育長(中川修一君)登壇〕
◎教育長(中川修一君) それでは、かなざき文子議員の教育委員会に関する一般質問にお答えします。
初めに、学校教育予算に関しまして、デジタル教科書購入に伴う令達予算の減少についてのご質問ですが、デジタル教科書の購入につきましては、小学校の算数と英語の2教科で全校一括購入する想定でありましたが、その後、国語、社会、理科を加えた5教科で導入する方針とし、必要な予算を計上することにいたしました。予算編成過程におきまして、これらデジタル教科書の予算も含め、各予算項目の調整を行い、最終的に予算計上額を決定したものであります。
次に、学校裁量予算の増額についてのご質問ですが、各学校へ配当している令達予算は、執行段階で学校により過不足が生じることから、学校間の調整を行い、余剰分を不足分へ充当しており、相互に補足することができている現状です。近年は令達予算全体で執行率が約97%、二千数百万円の執行残が出ており、また、今年度の当初予算では、児童・生徒数の増加や新たな需要を考慮し、令達予算全体で約1億4,500万円の増額をしているところです。今後の令達予算につきましても、財政事情や予算編成方針を踏まえ、必要性、有益性を十分に吟味しながら、的確な予算措置を講じてまいります。
次に、医療的ケア児が通うことのできる保育・学校教育における条件整備に関しまして、文部科学省通知への対応についてのご質問ですが、平成23年12月に文部科学省から発出されている通知は、特別支援学校が医療的ケアを実施する上での基本的な考え方や体制整備を図るための留意点と、特別支援学校以外で医療的ケアを実施する際に留意すべき点について整理したものであります。区教育委員会では、これまで医療的ケアを必要とし、区立の小・中学校に入学を希望する児童・生徒については、個々の事案に即して、検討、対応してきたところであります。
最後に、医療的ケア児が通うことのできる保育・学校教育における条件整備に関しまして、学校現場における庁内検討チームについてのご質問ですが、平成31年3月20日付文部科学省通知、学校における医療的ケアの今後の対応についてにおきまして、医療的ケア児の受入れに備え、各教育委員会において総括的な体制整備が示されております。この中で、教育だけでなく、福祉、医療等関係部局、機関から構成される医療的ケア運営協議会が示されており、今後、設置について、区長部局とも調整してまいりたいと思います。
頂きました教育に関する質問の答弁は以上でございます。