令和2年第4回定例会 一般質問 荒川なお区議

質問日:2020年11月27日

山内えり議員に続き、日本共産党の一般質問を行います。

1、若者の支援について

⑴ 住まいの支援について

 初めに、若者の支援について質問します。

 現在、若者の約4割が非正規労働者として働いています。アルバイト、派遣、契約社員など不安定雇用が増大しています。自分の力では家賃が払えないために、親元を離れられない若者もいます。先月、フリーランスのスタイリストとして働く若者から、4月から6月は全く仕事がなかった。現在は、大手出版社からの仕事の依頼が徐々に戻りつつあるが、3か月間は貯金を崩してぎりぎりだった。今後、家賃を払い続けられるか不安と相談がありました。そのほかにも、コロナ禍で仕事が激減した、突然解雇を言い渡された、勤務日数を減らすように求められたなど、生活困窮に陥る若者が増えています。収入が減り、食費などを削っても重くのしかかるのが家賃です。家賃が払えず都内の祖母の家に兄弟で身を寄せている若者もいます。また、ネットカフェ難民となり、健康上の問題を抱えている若者もいます。住まいは生命の基盤であり、住まいを失うことは生活の最低条件を失うことになります。

 区として、若者の生活と家賃負担の現状についての認識をお聞きします。

 子ども・若者白書(2020年度版)によると、若者の平均年収は、正規雇用で351万5,000円、非正規雇用は211万3,000円となっています。公益財団法人全日本不動産協会によると、毎月、無理なく支払いできる賃料の目安は、月収の3分の1以下とされています。生活費の中で家賃が占める割合が高くなっており、特に非正規雇用で見ると、平均収入を月収に直すと17万5,000円です。月6万円以上の住宅を選択することは望ましくないということになります。しかし、6万円以下の賃貸住宅がそうたくさんあるわけではありません。板橋区の住まいの未来ビジョン2025では、学生や新社会人などにとって、かかる費用は生活に大きな影響を及ぼすとして、若者居住安定制度を実施するとしています。具体的には、空き家・空き店舗の活用による住宅供給支援の検討をする、区内不動産団体と連携して安価な賃貸住宅を若者向けに情報提供を行う、区内の大学入学説明会時にパンフレット等で区内の安価な賃貸住宅の情報提供を行うとしています。しかし、現在に至っても全く実施されていません。

 年収200万円程度の非正規労働者や低所得者である若者に低家賃の住宅が十分に供給できていると考えているのでしょうか。お答えください。

 低家賃の賃貸住宅の供給を市場に任せるのは無理があります。それは、貧困、低賃金、不安定雇用が広がる一方で、住宅供給は民間のマンション建設が中心で、ワンルームでも6万円前後するため、低家賃にはなりません。コロナ禍で住居を失い、ホテルに宿泊し、その後、生活保護を受給した方のうち7割は住まいが見つからないとのことです。生活保護で借りることのできる低家賃のアパートが奪い合いの状態になっています。コロナ禍でなくても都営住宅や区営住宅の申込みは高倍率です。

 低家賃の民間住宅について、民間の市場任せでは供給量を増やすことは困難と考えます。区の見解をお示しください。

⑵ 就労支援について

 先日、今年の春から新社会人として働いている方にお話を伺いました。コロナの影響でテレワークの期間が長く、想像以上に光熱費の出費が多くなっている。来年度から住民税の支払いもあるので出費も膨らみ、今月からは奨学金月5万円を6年間返済し続けなければならない。コロナ禍で今後の仕事も続けられるか分からないので不安が大きい。家賃助成があれば長く板橋に住み住み続けられるとのことでした。区は、家賃助成を求める声に対して、原則として現金給付は行わないとして、家賃支援ではなく、必要な人は生活支援で行うべきという姿勢です。しかし、生活の中で住まいの確保を支援することが必要です。公営住宅法は、その第1条で、住宅に困窮する者に対して低廉な住宅を供給するとしています。

 区として、家賃助成や借上げ住宅などで、住まいの支援をする必要があると考えます。区の答弁を求めます。

 コロナ禍で、雇用情勢が悪化し、失業者が7万人を超えています。深刻な実態が広がる中で、板橋区では、これまで、高校・大学を卒業後、就職内定を得られなかった方や、正規雇用として就職できなかった方、事情により一旦仕事を離れた方などを対象に実施されてきた若者就職サポート事業などを行ってきました。しかし、今年度も研修を行う予定でしたが、コロナの影響で大勢の人を集められず、研修の在り方の変更を検討しましたが、都の補助金が下りなかったため中止したと聞いています。昨年度、キャリア・カウンセリング、就職面接会、若者・女性のための就職サポート事業を行い、32人の方が就職決定しています。本来、補助金の有無に関係なく、板橋区独自でも開催すべき事業でした。コロナ禍で失業者が増えているときだからこそ、就職セミナーなどの就労支援事業を区として強めるべきではありませんか。見解を伺います。

 新型コロナウイルスの影響で、ハローワークの求人は去年の同じ時期より70万人近く減少しています。中小企業からは、コロナの影響で経済の先行きが不透明だとして、新たな求人を出せないという声が多くなっています。

 先日、いたばし若者サポートステーションの方にお話を聞きました。雇用情勢が悪化し、求人が減る中で、企業の募集は即戦力を求める求人が多くなっています。特にコロナ禍を受けて研修などの実施ができないために、経験者が今まで以上に優遇され、社会経験の少ない人ほど求人が少なくなる傾向があるとのことでした。中途採用、スキルが重視される傾向が強まっていることについて、区の考え、対策をお示しください。

 コロナの影響による倒産は、10月の1か月間で最多を更新しています。そのことにより失業者も増え続けています。また、社会経験の少ない人ほど仕事に就ける条件が少なくなっている現状を受けて、高校・大学を卒業後、就職内定を得られなかった方や、正規雇用として就職できなかった方、事情により一旦仕事を離れた方が就職しづらく、相談しづらい状況が広がっています。こういった方々のための相談窓口が現在、存在していません。ハローワークだけでなく、区として専用窓口を設置してください。

2、避難所について

 次に、避難所について質問します。

 東日本大震災や熊本地震を経て、避難生活が長期化する可能性もある避難所で、どのようにして人権やプライバシーを確保していくのかが問われています。災害時、閉鎖的な空間となる避難所では、セクハラや性暴力も起きています。避難所運営の意思決定を行う際には、女性、高齢者、障がい者、若者、子どもなどの意見が反映されるように配慮する必要があります。

 板橋区として、避難所でのプライバシー確保、人権を守ることについて、どのような検討がされてきたのか、お答えください。

 6月の補正予算で、新たに74か所の避難所に各4個のテントが設置されることになりました。しかし、テントの使用は感染症対策のみにしか使えず、これまで私たちが求めてきた授乳や着替えのためには使用できないことになっています。区は、授乳や着替えについては教室を使って対応するとしていますが、避難所を開放している間は、誰でも教室に入れてしまう可能性は否定できません。避難所には、病気や障がいのある方、DVやストーカー被害に遭っている方、また、LGBTをはじめとする性的マイノリティの方など、様々な方が来ることが予想されることは区も認めています。災害時に避難所を誰もが安心して利用できるようにする必要があります。板橋区の避難所運営マニュアルには、多様なニーズを把握し、特別な配慮が必要な方への対応を協議することが避難所運営協議会などに向けて呼びかけられています。しかし、幾ら避難所運営マニュアルで呼びかけがされても、どのように具体化するべきかが示されておらず、現場に丸投げとなっています。

 避難所運営マニュアルには、異性の目線が気にならない物干場、更衣室などの設置を行うことなど、13のチェック項目があります。それぞれについて区としてどうするのか、お示しください。

 風水害が発生したときの対策も待ったなしの課題です。

 我が会派が、コロナ禍で、避難所の増設を求めた第3回定例会での質問に対して、区は、台風19号レベルでの台風が接近してきた場合には、高台にある安全性の高い避難所を全て開放すると答弁しました。しかし、指定された避難所には、土地の低いところに位置している志村ふれあい館や、石神井川にとても近いところにある中根橋小学校や上板橋第一中学校なども含まれています。土地が低い場所にある施設や河川に近い避難所施設が仮に水没してしまった場合、あるいは水没する危険性があると判断された場合には、その先の避難先はどこになるのか、区の考えをお聞きします。

 台風19号が発生した際に、日中の明るい時間に避難所へ行く判断ができずに、夜になって避難所へ移動した例が全国的にもありました。私は、昨年の災害対策調査特別委員会で、垂直避難の具体化を求めて質問しました。区は、ハザードマップをあらかじめ確認して、避難所へ早めに避難することを呼びかけていると答弁しました。しかし、仮に夕方近くに特別警報が発表された場合など、特に高齢者などは、日が暮れてからの避難所への移動が困難となります。早めに避難することを呼びかけただけでは対策にはなりません。すぐに水害を避けられる建物に逃げられる仕組みが必要です。

 既に垂直避難について、足立区などの3自治体は、都営住宅の空き住戸を垂直避難の際の、緊急避難先として協定を結んでいます。都議会では、東京都が各自治体から要請があれば対応すると答弁しています。また、文京区は、神田川の氾濫を想定し、高齢者などが家から離れた避難所へ移動する危険性を減らすために、マンション2棟を含む民間の高い建物6か所に垂直避難所を設置しています。

 そこで伺います。都営住宅の高層階で避難ができるように東京都と協定締結を直ちに行うことを求めます。併せて、民間で高層の建物において避難を受け入れることができるように協定を結ぶことを求めます。

 昨年の台風19号の際には、区職員による各避難所の運営は2人体制でした。台風19号に係る避難所職員へのアンケートには、2人ではとても回し切れないという声が寄せられていました。板橋区は、台風19号の際の避難所運営を教訓として、今後は6人体制で行えるように、現在、体制強化を図っているとしています。しかし、実際には、自らが被災してしまう職員もいることを想定しなければならず、予定どおり配置できない可能性があります。また、現在、板橋区職員は約4割しか区内に在住していないという現状もあります。

 今後、避難所での6人体制をどのように保障するのか、お答えください。

3、小中一貫校について

 次に、小中一貫校について質問します。

 11月16日、魅力ある学校づくり協議会において、今後、志村小学校と志村第四中学校を小中一貫校の学校として整備する方向で検討していくとした意見書が提出されました。しかし、最後の協議会で委員から、今後の不安は大きい、小学校の低学年と中学生が同じ校舎で過ごすことが本当にプラスになるのか疑問という声が出されました。

 板橋区教育委員会は、小中一貫校についての区としての方針を示さないまま、志村小学校と周辺の保育園・幼稚園に通う保護者を中心に、9月3日から9日にかけて、小中一貫校に通わせたいか、小中一貫教育を知っていますか、小中一貫型で心配する点は何ですかなどについてアンケートを行いました。その中身は、これまで協議会で出された意見が反映されているとは言えません。

 1月に志村小学校で開催された魅力ある学校づくり第3回協議会では、アンケートを取るに当たり、協議会の委員から、現志村小で改築する、現志村小とはほかの場所に仮設校舎を建設する、志村四中との施設一体型小中一貫校にするという3択でアンケートを行ってほしいという意見が出されていました。なぜ行わなかったのか、お答えください。

 また、このアンケートの調査は、志村四中の生徒やその保護者は対象から外されています。なぜ対象から外されたのか、併せて答弁を求めます。

 板橋区教育委員会の2017年度の小中一貫教育に関する検討会報告書によると、施設一体型小中一貫校の校庭は、子どもたちの安全を確保するために、小学生の遊び場、特に放課後のあいキッズ利用時間帯と中学生の部活動の実施場所については、明確に区分けが必要だとしています。また、小学生の中休み時間と中学生の体育の授業が重なると、校庭の利用に支障を来すことが考えられるため、運営面も含めて計画する必要があるとされています。小学生の放課後あいキッズ事業への配慮も必要となれば、特に校庭を使用する際には、体格差のある中学生と小学生が同じ時間帯で利用することは困難を伴います。

 志村小と志村四中が施設一体化された場合に、時間帯の利用方法などについてどのようにしようとしているのか、お答えください。

 また、体育館について、検討会報告書は、施設一体型の場合には、体育館スペースを2つ用意し、1つを小学生用、もう一つを中学生用として整備する必要があるとしています。また、片方の体育館は、全校集会や始業式、終業式などの式典の際に、9学年が一斉に入れる広さや観覧スペースを確保する必要があるとしています。

 現在の志村第四中学校の敷地に2つの体育館を設置すると考えているのか、お答えください。

 また、プールについて、小学生と中学生が使用するため、水深及び利用時間についての配慮が必要になります。水深を変える工夫としては、可動床方式や貯水方式により水深を調整できるプールにすることや、水深を中学生用に設定した上で、プールフロア台を沈めて小学生用に設定する方式などが考えられるとしています。

 仮に、志村小と志村四中で小中一貫校を実施した場合には、板橋区としてどの方法を取る予定なのか、お答えください。

 区教育委員会は、現在の志村小学校の建て替えを行う場合には、学校周辺について道路が狭いことなど、工事期間が長くなると説明しています。現在の志村小学校は、昭和38年に、現地で木造校舎から現校舎へと建て替えられています。過去に行った改築工事はどのように行ったのか、工事期間にどれくらいかかったのか、併せて答弁を求めます。

 教育委員会は先月の決算調査特別委員会総括質問で、2017年度の小中一貫教育の文科省の調査結果を示し、小中一貫教育の実施をすることで、上級生が下級生の手本となる意識が上がる。下級生が上級生への憧れが強まる。同時に自己肯定感も高くなると回答している人が8割から9割いると答弁しています。一方、現在のように、小学校と中学校に分かれていることで、小学校でつまずいた場合でも、中学校で人間関係などリセットすることができるという意見が協議会委員から出されていました。現在の小学校6年、中学校3年に分かれていることのメリットについて教育委員会の考えをお聞きします。

 今、少人数学級の実現を求める声が広がっています。1クラスの人数は、世界では20人から25人規模が主流です。児童・生徒の学びを豊かに保障するためにも、学校、校舎を減らしている場合ではありません。小中一貫校の導入はやめるべきです。

4、核兵器禁止条約に批准を求めて

 次に、核兵器禁止条約について質問します。

 核兵器禁止条約批准国が50か国に達し、1月22日に核兵器禁止条約が発効されることになりました。条約発効の確定は、日本の被爆者をはじめ、核兵器のない世界を求める多くの政府と市民社会が大国の妨害と逆流を乗り越えて達成した画期的なものです。条約の発効によって、核兵器は道義的にだけでなく、違法なものとなります。条約に加盟する国が増えることは、核保有国にとって、これまで以上に政治的、道義的圧力となります。アメリカでも、今年7月の民間の団体が行ったアメリカ大統領選挙をめぐる世論調査では、66%が、いかなる国も核兵器を持つことは許されないと回答し、変化の兆しが見えています。ICANの事務局長、ベアオリ・フィンさんは、最初のステップは、日本のような、核保有国を支持している国が条約に加わることだ。核の傘の下にある日本や、核兵器が配備されているドイツやイタリアのような同盟国が、これらの兵器は使ってはならないと考えることが大事だとコメントしています。いよいよ日本への期待が高まっています。

 核兵器禁止条約を批准することの意義について、区の考えをお聞きします。

 板橋区も加盟している平和首長会議の公開書簡では、平和首長会議は、今般、核兵器禁止条約の批准国が50か国に達し、90日後の発効が確実となったことを心より歓迎し、原爆投下により筆舌に尽くしがたい体験をしながらも、こんな思いを他の誰にもさせてはならないと被爆者の方々の強い思いが国際社会を動かし、条約の成立に至ったという歴史的事実を私たちは決して忘れてはならないと述べています。また、長崎市の田上市長は、核兵器禁止条約の発効決定を受けて、ここがゴールではない。核兵器禁止条約の実効性を高めるために、核保有国など多くの国々がこの条約に参加することが重要であると発言しました。平和首長会議公開書簡に述べられていることと田上市長の発言について、同じ自治体の長としてどのように受け止めたのか、お答えください。

 世界中で核兵器廃絶を求める世論が広がる中で、日本政府は核兵器禁止条約に署名・批准しない意向を示しています。核保有国に配慮している場合ではありません。これは、日本国憲法の精神からも再び広島長崎の惨禍を絶対繰り返してはならないとうたった板橋区の平和都市宣言とも相入れないものです。改めて、板橋区として、日本政府に核兵器禁止条約を批准するように求めていただきたい。

 以上で、私の一般質問を終わります。ありがとうございました。

     〔区長 登壇〕

◎区長 それでは、荒川なお議員の一般質問にお答えいたします。

 最初は、若者の生活と家賃負担の現状についてのご質問であります。

 家賃負担の現状につきましては、平成28年6月に行いました区民意識調査において、20代の10.8%が生活必需品を切り詰めるほど苦しいと回答しておりますが、各年齢層と比較しましても、特段多いわけではないと見ております。また、今年度10月末時点において、板橋区居住支援協議会の板橋りんりん住まいるネット相談窓口での低額所得者の相談件数6件のうち、20代の相談件数は1件でございました。コロナ禍においては若年者層に限らず、生活に困窮する方が増えてくることから、各種制度を活用した支援が必要と認識をしております。

 次は、若者への低家賃の住宅供給についてのご質問であります。

 区内の住宅供給につきましては、近年の各種調査によりますと、住宅総数と世帯数の推移を比較すると、常に住宅総数が世帯数を上回っている状況にあり、供給数に不足はないという認識であります。低所得者向けの住宅供給の現状につきましては、地価の動向や、築年数、賃貸人の意向など、様々な要素が家賃価格に影響することから、正確な把握は難しい状況にあると考えています。今後、関係機関と連携をして情報収集を行い、必要に応じて対応を研究していきたいと考えています。

 次は、低家賃の住宅供給についてのご質問であります。

 住宅の供給量につきましては、平成30年住宅・土地統計調査によると、住宅総数は約33万6,000戸に対して、空き家数は約3万6,000戸、空き家率は10.9%であり、十分供給されていると見ております。住宅供給に際しまして、賃借人は、低家賃とともに広さや設備など質を求める傾向があり、ニーズが多様化していると感じています。区としましては、板橋区居住支援協議会の活動などを通して、セーフティネット住宅への登録など、不動産業界や関係機関に対し、多様なニーズに見合った住宅供給を働きかけをしていきたいと考えています。

 次は、家賃助成や低家賃の住宅供給についてのご質問であります。

 家賃助成につきましては、具体的事情の把握が困難であり、実効性のある施策の実現は厳しいのが実情であります。区は、これまで、行政改革の公共性の観点から、原則として現金給付は行わないとする考え方を維持してきたところでありますが、今後も引き続き国や東京都等の支援策の状況を注視していきたいと考えています。また、借り上げ住宅などを含む公営住宅の供給につきましては、板橋区営住宅再編整備基本方針に基づきまして、供給戸数を維持するとしております。

 次は、就職セミナーなどの就労支援事業についてのご質問であります。

 区では、今年度実施予定でありました就職氷河期世代と外国人を対象とした就職サポート事業について、やむを得ず中止の決定を行ったところであります。これは実施の可否を国の緊急事態宣言発令下で行わなければならなかったことや、事前に東京都へ届け出た事業計画の変更ができないなどの補助要件があったことによるところであります。

 一方で、個別に行うキャリア・カウンセリングや、いたばし若者サポートステーション事業は例年同様に実施をしておりまして、コロナ禍の状況を注視しつつ、次年度以降の事業についても検討していきたいと考えています。

 次は、社会経験等が重視される傾向についてのご質問であります。

 区では、いたばし若者サポートステーション事業を実施しておりまして、社会経験が少ない方々に対しまして、専門のスタッフによるサポートを行っております。サポートステーションにおいては就職相談や面接対策、仕事に関する専門相談についても、カウンセラーが対応するなどの支援が受けられるところであります。また、ジョブトレーニングや就活コミュニケーションなど、仕事をする上において必要なスキルや、社会性の習得を目指した参加体験型のセミナーを実施することによって、就労に結びつけていきたいと考えています。

 次は、専用相談窓口の設置についてのご質問であります。

 区では、就職・転職・再就職活動を行う上で、様々な悩みや不安にキャリアコンサルタントが答えるキャリア・カウンセリング事業を実施しております。就職活動に当たりましては、様々なスキルや立場の方々の相談に対応できるように、十分な経験を積んだ男性・女性キャリアコンサルタントを配置しております。また、ハローワーク池袋が職業相談や紹介事業に特化したハローワークプラザ成増を開設して対応しておりまして、新たに区の窓口を設置する予定はないところであります。

 次は、避難所における人権とプライバシーについてのご質問であります。

 避難所における人権保護とプライバシー対策につきましては、国や東京都のガイドラインを参考にしながら、令和元年台風19号の避難所運営で生じた課題などを踏まえ、検討を重ねてまいりました。その後、九州地方に大きな被害をもたらした令和2年台風10号等を教訓にし、コロナ禍における避難所運営につきましても検討を重ねてまいりました。これらの検討の成果を、避難所運営マニュアルにまとめるとともに、令和3年度の水害対策の方針に反映させることによって、人権やプライバシーに配慮した避難所運営に努めていく考えであります。

 次は、特別に配慮が必要な方への対応についてのご質問であります。

 避難所運営マニュアルに記載されました、特別に配慮が必要な方への対応、13項目の具体化につきまして、授乳室や男女別トイレなどは避難所レイアウト図にあらかじめ明記することによって実施を担保しております。また、避難所運営組織への男女両方の配置などにつきましては、マニュアルをチェックリストとして活用することによって、実施できるものと考えています。このほか、LGBTへの理解などにつきましては、今後、マニュアルの見直しを行う際、より具体的な方法を記載するなど、改善を進めていきたいと考えています。

 次は、浸水する可能性のある避難所についてのご質問であります。

 今年度策定をいたしました、令和2年度板橋区大規模水害避難等対応方針においては、3段階に分けて避難所を開設する方針を定めております。東京地方及び荒川流域に大量の雨が降った場合、区内中小河川の水位上昇が始まり、その後、水位が下降し、溢水の可能性が低くなった後に、荒川の水位が上昇する傾向にございます。荒川氾濫の可能性が高まった場合、浸水継続時間が3日以内の地域にある避難所や、中小河川の浸水想定区域にある避難所も開設する予定とし、浸水の危険性が生じた場合には、上層階へ垂直避難することを想定しているものであります。

 次は、垂直避難を想定した協定締結についてのご質問であります。

 荒川が氾濫した場合、板橋区では2週間以上の浸水継続が見込まれ、被害地域が広範囲に及ぶことから、迅速な救助活動は困難を極めると考えられ、垂直避難につきましては、一定のリスクを伴う避難行動と認識をしております。そのため、区では高台への避難を原則とし、親戚・友人宅等への縁故避難も含めた分散避難が重要と捉えておりまして、台風接近の数日前から各種広報媒体や、住民防災組織等の協力を得て、早期の避難行動の呼びかけをしていく考えであります。現在、国や東京都と広域避難の在り方を検討する中において、垂直避難につきましても統一的な方向性を決定する予定であり、その結果を踏まえて協定締結の可能性について検討していきたいと考えています。

 次は、風水害時の避難所運営要員の確保についてのご質問であります。

 昨年の台風19号の対応においては、区内在住者を主として編成する特別活動員により、避難所の運営や地域の被害状況の確認等を行いましたが、対応要員の不足等が課題となりました。この点を踏まえて、大規模な風水害の発生は、事前の予見も可能であるため、職員の区内在住率が低下する中において、避難所の運営要員は区外在住の職員も含めて選出をすることといたしました。令和3年度の出水期に向け、風水害の対応方針のさらなる改善を図るとともに、避難所の運営体制の向上にも努めていきたいと考えています。

 次は、条例批准の意義についてのご質問であります。

 核兵器禁止条約を批准することは、核兵器のない世界の実現に向けたアプローチの1つであると認識しています。各国の意思で行われる、その選択につきましては、世界全体の核兵器廃絶への歩みを進めるものと考えています。

 次は、公開書簡と長崎市長の発言についてのご質問であります。

 平和首長会議の公開書簡においては、核兵器廃絶に向けた新たな一歩に対する思いが、長崎市長の発言には、条約成立後に対する決意が込められていると感じました。区も核兵器の脅威がない世界を希求するところであり、それぞれの立場において恒久平和を願い、その実現に努めていく考えであります。

 最後のご質問になります。政府への要請についてのご質問です。

 条約の批准などの外交政策につきましては、政府が判断すべき事項であり、区はその取組を尊重し、動向を引き続き見守っていく姿勢に変わりがないところであります。

 残りました教育委員会に関する答弁は、教育長から行います。

     〔教育長登壇〕

◎教育長 それでは、荒川なお議員の教育委員会に関する一般質問にお答えします。

 初めに、小中一貫校に関して、アンケートの設問内容の決定経過についてのご質問ですが、志村小学校の第3回協議会におきまして、委員より、現志村小学校で改築、現志村小学校とは他の場所に仮設校舎を設置する、志村第四中学校との施設一体型小中一貫校にするの3つの選択肢でのアンケート実施の提案があり、第4回協議会でその意見を反映したアンケート案をお示ししました。第4回協議会では、志村第四中学校関係者を交え、同じ3つの選択肢による改築方法を協議した結果、協議会のまとめとして、小中一貫型の学校整備という方向性で課題を整理しながら、協議を進めていくことが決定されました。さらに、同日に協議したアンケート案につきましても、委員より、施設一体型の小中一貫型の学校となった場合のメリット等を示した内容とすべきとの意見があったため、最終的にその意見を反映したアンケートとなりました。

 次に、対象者の決定経過についてのご質問ですが、アンケートの対象者につきましては、小中一貫型の学校の開設時期が最短でも令和9年度と想定されるため、令和6年度から8年度までの間に工事の影響が想定される、もしくは完成後の学校に通うと想定される小学生以下の保護者を対象としたものであります。第5回協議会におきまして、アンケートの対象者について議論した際も、志村小学校以外に実施する保育園・幼稚園の範囲を広げるべきとの意見や、志村小学校と近隣の幼稚園・保育園の保護者を対象とする枠組みで傾向をつかむことが重要であるとの意見がありましたが、志村第四中学校の生徒や保護者を対象とすべきとの意見は出ておりませんでした。

 次に、小中一貫型の学校の校庭についてのご質問ですが、平成29年度小中一貫教育に関する検討会検討報告書に示した施設整備の留意事項を基に、教育委員会事務局に設置した小中一貫型学校整備プロジェクトチームにおいて、実際の学校運営を想定しながら、板橋区の小中一貫型の学校が備えるべき環境の具体的なイメージの検討を進めているところであります。校庭を含めた志村小学校と志村第四中学校との小中一貫型の学校の運営につきましては、小中一貫型学校整備プロジェクトチームの検討結果を基に、志村小学校と志村第四中学校の教職員で構成する会議体を設け、検討する予定であります。

 小中一貫型の学校の体育館についてのご質問ですが、志村小学校と志村第四中学校との小中一貫型の学校に2つの体育館スペースを設けるかどうかにつきましては、小中一貫型学校整備プロジェクトチームの検討結果を基に、今後、学校改築に関する基本構想・基本計画を策定していく中で個別具体的に検討してまいります。

 次に、小中一貫型の学校のプールについてのご質問ですが、志村小学校と志村第四中学校との小中一貫型の学校のプールの形態につきましても、小中一貫型学校整備プロジェクトチームの検討結果を基に、今後、学校改築に関する基本構想・基本計画を策定していく中で個別具体的に検討してまいります。

 次に、志村小学校現校舎の過去の改築工事についてのご質問ですが、昭和38年の改築以前の校舎は、現在の校舎とは違い、木造で幾つかの校舎に分かれており、昭和38年に行った改築工事は分かれていた校舎の1つを改築する工事でありました。その後、改築の終了した校舎につなげる形で改築・増築工事を複数回行い、現在の校舎になりました。また、現在の校舎になるまでに要した期間は、最初の改築工事が昭和38年に終了し、最後の増築工事が終了したのは昭和54年であり、17年もの長い期間がかかっております。

 最後に、小学校6年と中学校3年に分かれていることのメリットへの見解についてのご質問ですが、小学校でのメリットは、6年生の段階で学校の最高学年としてのリーダーシップを経験できることであると思います。また、中学校でのメリットは、異なる校地にある中学校校舎に入学することや、複数の小学校からの進学者とクラスメイトになること等により、気持ちを新たにして学校生活をスタートできることと認識しています。なお、小・中学校の施設が分離していることは、義務教育9年間を通した学びを支えていく施設形態の1つであると認識しております。

 頂きました教育の質問に関する答弁は、以上でございます。

一覧へ

検索