陳情第166号 (仮称)区営仲宿住宅改築計画の見直しを求める陳情、および陳情第178号 (仮称)区営仲宿住宅改築計画の見直しを求める陳情(計画見直しの件) に賛成する討論

討論日:2021年10月12日

 只今より、日本共産党板橋区議会議員団を代表し、陳情第166号 (仮称)区営仲宿住宅改築計画の見直しを求める陳情、および陳情第178号 (仮称)区営仲宿住宅改築計画の見直しを求める陳情(計画見直しの件)の委員会決定「不採択」に反対し、陳情に賛成する立場から、討論を行います。

 本陳情は、仲宿の4階建ての都営母子アパートを、区営住宅2つ、高齢者住宅けやき苑3つを集約した129戸16階建ての(仮称)区営仲宿住宅に改築する計画に対し、3~4階建て、もしくは4~5階建てへの見直しを求めるものです。

 陳情に賛成する第一の理由は、16階建ての建築物が作られることの影響は大きく、それを回避するためには現在の高さ程度にするべきと考えるからです。

 建設が予定されている仲宿の地域は、日本国内で最も大気汚染が深刻な場所と言われる大和町に近接し、周辺住民は長年大気汚染に苦しみ続けています。陳情者の家族も喘息に苦しみました。しかし、旧第一勧銀ビルと対角線上のビルが取り壊されたことによって空気の流れが変わり、空が以前よりもきれいに見えるようになったと言っています。高層の建物ができることにより、空気の流れが滞る恐れがあります。

 また、16階建てにより一日中陽が当たらなく世帯が出ます。石神井川に近いこの地域は湿気が多く、日当たりが悪いと苔が生えることがあるといいます。部屋の中にカビが発生するなど、日照時間が減ることによる健康への影響や、設置されている太陽光パネルの発電量が減少すること等が懸念されています。

 区は、日影の影響については検証結果を示しましたが、空気の流れが阻害されることと、太陽光パネルの発電損失については一切検証していない上に、これらの影響についての補償を、用途地域等の規制がないことを理由に一切行わないという姿勢は、問題です。

 第二の理由は、129戸もの住戸をこの場所に建てる必要がないからです。区は区営住宅再編整備基本方針で、その戸数を752戸で維持するとしていますが、令和2年度の区営住宅の募集倍率は9.6倍と、需要に見合う供給とは言えません。また方針では、高度利用出来ないことを理由に、徳丸一丁目、徳丸二丁目第二、赤塚三丁目5号棟、舟渡一丁目の区営住宅合わせて90戸を廃止するとしていますが、これらの区営住宅については現地で建て替えて、区営住宅全体の戸数を増やすべきと考えます。あわせて、常盤台四丁目第二および南常盤台二丁目アパートについても、現地で建て替えを行い、(仮称)区営仲宿住宅の高さについて、従前の4階建て程度で収められるよう最大限の努力をするべきです。

 また区は、高齢者住宅けやき苑を廃止して区営住宅に集約するとしていますが、高齢者住宅は令和2年度の募集でも24.6倍と入居を求める人が多く、今後区内人口の高齢化率が上がることを考えれば、存続をするべきです。けやき苑の廃止にあたっては契約期間満了をもって行うとされており、現在(仮称)区営仲宿住宅への入居対象となるけやき苑も交渉中とのことですが、その交渉は順調とは言い切れないと聞きました。区はけやき苑について、バブルの頃の設計で賃料が高いこと等を廃止の理由としていますが、需要が旺盛な事業を手放す理由にはなりません。また、けやき苑では生活支援員が常駐し、高齢者の生活をサポートしていました。区は区営住宅に移行してもそれを維持すると言いますが、小茂根一丁目住宅では実際に共益費が引き上げられ、実質的な負担増となっています。けやき苑を廃止して区営住宅に移ることを強制しておきながら、かかる費用について従来どおりを保証しないことは許されません。そして、けやき苑がそれぞれ現地で存続されれば、(仮称)区営仲宿住宅は高層化する必要がなくなります。

 第三の理由は、公共施設でもある区営住宅を住民と一緒に作っていく視点が、区に全く足りていないことです。区は都営母子アパートを解体し(仮称)区営仲宿住宅に改築することについて、昨年12月から周辺住民に対して説明を始め、今年7月には紛争予防条例に基づく説明を行うとしていましたが、コロナ禍のために対象住民の全てに説明を行うことが出来ていません。また、説明会での住民からの「高さを下げてほしい」との要望に対しても、50.90mから49.70mへとわずか1.2mの引き下げにとどまり、抜本的な改善とは言えません。区営住宅再編整備基本方針には「高度利用に際しては周辺環境に配慮する」旨が記載されていますが、この引き下げは配慮に値しないばかりか、計画を見直さないことを示したものでしかありません。

 区営住宅再編整備基本方針は、高齢者住宅けやき苑を廃止して区営住宅と集約すること、高度利用することが前提となっており、(仮称)区営仲宿住宅についても用途制限や日影規制が緩和された地域であることを最大限に利用する方針ですが、そこには地域住民の声やけやき苑を利用されている方の声が反映されていません。周辺住民と区営住宅およびけやき苑の利用者の声を聞き、その声を方針に反映させることこそ、今求められています。また平成28年度に策定されたこの方針には、区営坂下一丁目住宅や(仮称)区営仲宿住宅が記載されていません。これを機に区営住宅再編整備基本方針を全面的に見直し、区営住宅を増やさない方針と高齢者住宅けやき苑を廃止する方針を改め、住宅に困窮された方が誰でも安心して住むことができる区営住宅に改めるべきです。

 以上の理由から、陳情第166号 (仮称)区営仲宿住宅改築計画の見直しを求める陳情、陳情第178号 (仮称)区営仲宿住宅改築計画の見直しを求める陳情(計画見直しの件)に改めて採択するべきであることを表明し、討論といたします。

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