高校生までの医療費無料化を求める陳情に賛成する討論

討論日:2021年10月12日

 ただいまより日本共産党板橋区議会議員団を代表して、陳情第165号 高校卒業までの医療費無料化を求める陳情、陳情第170号 高校生までの医療費無料化を求める陳情、陳情第176号 18歳の高校生までの医療費助成を求める陳情、委員会決定不採択に反対し、陳情に賛成する立場で討論を行います。

 本陳情は、現在の中学3年生までの医療費無料化を、高校3年生まで拡大することを求めるものです。

 陳情に賛成する第一の理由は、「子どもたちの保健の向上と健やかな育成を図り、もって子育ての支援に資すること」を目的として行われているこども医療費の助成を、より一層拡充する必要があると考えるからです。日本経済は長い間、低迷状態が続いています。その中で、子育て世代の暮らしは大変苦しいものになっています。しかも新型コロナの感染拡大が長引き、暮らしの厳しさは一層深刻になっています。陳情者も訴えているように、高校生になると学費だけでなく通学にも交通費がかかり、放課後の部活動や学習塾など、諸々の経費が格段と必要になります。子どもに係る経費は子育て世代にとって、最も比重を占めています。病気やケガをしたときにくらい、お金の心配をしないですむようにすることは、命と健康が関わる大事な支援です。制度を拡充することは、子育て世代への大きな経済的支援になると考えます。

 本陳情に反対する委員は「低所得、あるいは生活が厳しい方々には助成制度があり、所得の十分ある世帯まで広げることは議論が必要」との意見もありました。しかし、生活保護制度などによって医療費助成が行われているのは、15歳から17歳までの約1割程度にしかすぎず、子育て世代への経済的支援とはなっていません。

 賛成する第二の理由は、全国で実施する自治体が広がってきており、板橋区独自で実施することは可能だからです。厚生労働省によると、高校生までの通院費助成をしている自治体は733自治体で、全体の42%に当たります。23区では北区と品川区が入院費の自己負担分、千代田区は入院費・通院費の自己負担分を助成しています。委員会審議では、平成6年から平成19年に現在の制度になるまでの変遷も説明されましたが、この変遷の過程では、自治体が独自に制度を拡充することを後押しして、全体の制度が拡充されていったことが、子ども医療費助成の歴史です。自治体が独自で制度をつくり実施し、必要性を都や国に認めさせていくことが、大事であると考えます。

 反対する委員からは「年4億近い恒常的な経費がかかることを考えると、板橋区単独財源で賄っていくことは現時点では困難」という意見がありました。しかし、議会が考えるべきことは、事業の必要性です。必要な事業であれば、財政上やシステム上の課題を克服し、実施することを求めるべきです。

 コロナ禍の収束が見えない今こそ、現在中学生まで受けている子どもの医療費助成を18歳まで拡大し、子どもの命と健康を守りぬくことが求められています。区単独でできない制度ではありません。

 最後に、委員会審議のなかで、入院だけなら約7200万円との区の説明に、ぜひ研究を、との意見がありました。区民からは「隣の北区ができてなぜ板橋区でできないの」という声がつねに寄せ続けられています。せめて北区並みの制度は、いますぐにでも実施すべきではないでしょうか。

 以上の理由から、本陳情に賛意を示しわたしの討論を終わります。

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