大山町ピッコロ・スクエア周辺地区市街地再開発事業に関する陳情に対する賛成討論

討論日:2021年10月12日

 ただいまから、日本共産党板橋区議会議員団を代表して、陳情第161号 大山町ピッコロ・スクエア周辺地区市街地再開発事業に関する陳情、及び陳情第173号 大山町ピッコロ・スクエア周辺地区市街地再開発事業についての陳情の委員会決定「不採択」に反対し、陳情に賛成する立場で討論を行います。

 ピッコロスクエア周辺地区市街地再開発事業は、補助26号線の道路計画を発端に、道路の西側地域の交流とにぎわいの拠点の形成を目指すとして、約1.3haのエリアの事業計画で、平成27年に準備組合が設立されています。今年7月の都市計画素案説明会はコロナ感染拡大防止を理由に中止され、資料の配布と動画配信による意見募集が行われました。9月に都市計画原案説明会も実施されています。区は、今年度中の都市計画決定を予定しています。

 陳情に賛成する第一の理由は、陳情が求める「情報公開」は、多額の税金投入と公有地の提供で成り立っている計画である以上、区が責任をもって行うべきだからです。

 ピッコロスクエアの計画のうち、A街区は、区有地が1,942㎡、都有地が2,300㎡で、33%もの公有地を活用し、東京都や国の補助金も併せて多額の税金を投入する計画です。

 しかし、現在の準備組合の検討内容は、ほぼ公開されていません。

 区は情報公開の範囲は「準備組合が決めること」とし、区がオブザーバー参加だからと情報公開の範囲を決める立場にないとしていますが、区はエリア内の3分の1を持つ地権者です。同時に多額の税金を投入する以上、その計画は検討段階も含めて区民に公開されるべきです。

 また、情報公開については、都市計画決定に至る広告縦覧などの仕組みによるルールしかないことも問題です。少なくとも公有地を含む土地の活用について、地権者である区が情報を公開できない理由はありません。区有地を開発に提供するにあたって、地権者として情報を公開するルールを明確にすべきです。

 第二の理由は、公有地は区民にとっての貴重な財産であり、その在り方について住民への意見聴取も合意も不可欠だからです。

 両陳情とも、計画エリア内の公有地の活用方法の検討経過も含めて区民への説明と住民合意を求めています。

 ピッコロスクエアの施設概要では、高さ制限を107メートルとし、A街区に30階、B街区に29階建てのタワーマンションを建てるもので、合わせて約560戸の世帯の増加が想定されています。この地域は、クロスポイントなども含めれば再開発で大規模なマンションが立ち並ぶ計画です。将来的に、学校や保育園などが不足することが懸念されています。

 また、現在の都有地は地域の保育園がお散歩時の遊び場としても活用しています。その活用を週3日から6日へ2倍に増やしているように、この地域には広場が不足しています。計画で予定される公園のスペースは約830㎡と310㎡で住民が求めるイベント広場としては十分とは言えません。

 さらに、区は、子育て支援施設については、大規模建築物設置要綱にのっとった協議は行うといいますが、区自身が「公共施設の新規整備は行わない方針」だとして、「権利変換で再開発ビルの床を取得する予定はない」としています。つまり、公共施設はつくらず、区有地は補償金と交換することになり、区有地が板橋区や区民のものではなくなるのです。

 そもそも、前提としている「新規整備は行わない」とする区のナンバーワン実現プランそのものが、区民の同意も議会の議決も経たものではありません。むしろ公共施設整備計画に対し「住民参加」で計画を見直すことを求める陳情が相次いで出されていた声こそが住民の要求です。住民にとっての貴重な財産である区有地は、なくしてしまえば元には戻せません。手放す前に、住民に意見を聞き、計画に反映すべきです。

 第三の理由は、コロナが収束するまで開発を立ち止まり、コロナ後の新たな生活に合わせて計画を検討しても遅くはないからです。

 コロナ感染症が始まって1年半以上が経過し、私たちの暮らしが、感染症に対して脆弱な状況であることが浮き彫りになりました。「コロナ禍にタワーマンションが負の遺産」と報道されたように、魅力と謳われた共有施設であるジムも交流の場所もみな「密」を理由に閉じられ、エレベーターは常に「密」だけど、「密」を受け入れざるを得ません。高層階では換気の窓も開けられないことが指摘されている状況です。

 感染症を経験した私たちは、いま、住まいはどういう環境がいいのか、タワーマンションは本当にこれからの住まいに適しているのか、町並みや商店街は、どうあるべきなのか、今一度皆で考える必要があるのではないでしょうか。経済状況にも懸念が広がる今、多額の税金を投入して進める計画を、粛々と進める必要はありません。むしろ、コロナ収束まで丁寧に話し合い、住民との合意形成を進め、改めて計画を検討しなおすことこそ、行政や議会が提起すべきです。

 最後に、陳情173号2項が求める「都市計画審議会委員に意見書の内容を時間的余裕をもって提供すること」という要求が陳情として寄せられたことは、大山のまちづくりにおいて、住民からの信頼を損なってきたことの現われです。

 区は、東上線高架化と駅前広場の都市計画決定に際し、寄せられた意見書が1600を超えているにも関わらず、提供できる6月に示さず、9月の表決直前の資料として配布しました。審議会の中で「表決そのものを見送るべきだ」という意見に審議会委員の半数が賛成したことを大山地域の人たちは経験しているのです。

 しかし、区は住民の信頼を取り戻すどころか、都市建設委員会で、付議の資料と同時に意見書の提供になるとしています。審議会委員一人一人が判断する材料の一つとして、一日でも早く意見書の内容を提供する努力を住民の代表である議会として、区に求めていくべきです。

 以上で、本陳情に対する私の討論を終わります。

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