2020年度決算に対する談話

2021年11月16日

日本共産党板橋区議会議員団

幹事長 竹内 愛

第3回定例区議会(9月21日~10月27日)は、最終日に『2020年度決算』を賛成多数で可決認定し閉会しました。区議団は、論戦を通じ、決算の問題点を明らかにした上で、認定に反対しました。以下、決算の特徴と問題点について述べます。

過去最大規模の決算

 2020年度決算は、歳入総額2965億6500万円、歳出総額2869億7900万円で、ともに過去最大規模を更新し、『翌年度へ繰り越すべき財源』を除いた実質収支は89億2200万円(前年度比60.9%増)の黒字となりました。また、年度間の財政不足などに活用する財政調整基金は、90億円を取り崩したものの、それを上回る積立額となり、当初予算比で35億円の増、総額269億円となっています。基金総額も40億円の増で845億8898万円となり、過去最大規模です。

感染症の広がり

 2020年は年明けの1月に新型コロナウイルス感染症の国内での発症が確認されて以降、その対策に追われた1年となりました。3月には、突然の全国一斉休校となり、卒業を目前に控えた子どもたちは、卒業式や記念イベントも十分行えないまま進級・進学・就職を迎えました。しかしながら、感染拡大が続き、4月7日からは初めての緊急事態宣言がなされ、5月25日にようやく東京都を含む全国での解除となるまで、多くの我慢が強いられました。

 人々の交流や行き来が制限され、外出自粛が要請されるもとで、経済的負担が増大し、特に飲食や観光などの業種は経営が成り立たない状況へと追い込まれ、経済的支援が強く求められました。また、PCR検査の体制や医療の確保、学校や保育園、介護施設や障害者施設などでの感染予防対策などの新たな取り組みが必要となりました。

 8次に及ぶ補正予算の一方で緊縮財政を進めた板橋区

今回の決算が過去最大規模となった要因は、こうした新たな取り組みのために8次に及ぶ補正予算を組んだことにあります。国民への一人10万円給付を含むコロナ対策の総額は717億円ですが、国や東京都の財源が93%を占めています。区として事業者への家賃助成や国や都の事業への上乗せなどが行われましたが、区の支出は50億円に留まりました。私たちは、区民や事業者への給付、税や保険料の負担軽減等、さらに踏み込んだ経済的支援を行うべきだったと指摘しました。

区は、2021年1月7日からの3月21日までとなった2回目の緊急事態宣言の影響で予定していた事業が実施できず、結果的に多額の剰余金が生じたとしています。しかし、年度途中に把握できていた契約差金や予算の執行残を必要な施策に活かしきれなかったのは、緊縮財政を前提とした財政運営方針に問題があったからだと考えています。区議団は、必要な時に必要な施策が打ち出せるよう、方針の見直しを求めました。

脆弱な職員体制が浮き彫りに

 さらに、職員体制の課題も改めて浮き彫りになりました。保健所では、従来の対応では間に合わず、各職場から応援職員が派遣されましたが、後手後手の対応であったことは否めません。時間外勤務が年間360時間を超える職員は96名に上り、自殺対策のための新たな人員配置も行うことができませんでした。平時でも超過勤務が常態化している職場が改善されず、慢性的な人手不足となっています。抜本的な見直しが必要です。

 聖域だった再開発事業

 様々な事業を中止・縮小・廃止した一方で、大規模再開発事業は、粛々と進められています。大山のまちづくりをめぐっては、当初予算額10億7,200万円に対し、決算額は13億円を超えています。また、コロナ禍を理由に区民への説明会も開かれていません。加えて、『新たな賑わい』を強調しながら、地域経済にどのような影響が出るのか試算さえしていないこともわかりました。資材の高騰や循環型社会を見据えれば、タワーマンション建設を中心とした大規模再開発事業は、見直すべきです。

 区民生活に寄り添う区政運営に転換を

 区は、コロナ禍の影響で区財政が厳しくなることを予想しましたが、区税や特別区交付金は見込みを上回る収入増となりました。このことは、決して区民の暮らしがよくなったことを表すものではありません。コロナで収入が減った人が増え、税金や各種保険料の減免申請が増加しました。生活困窮に対する支援策が貸付しかなく、生活保護制度を申請する方も増加しています。区は、区民生活は厳しいという認識に立ちながら、財政力を十分に生かしていません。

 2020年度決算で浮き彫りになった様々な課題を改善するために、区民生活に寄り添う区政運営への転換を求めてまいります。

以上

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