2021年第3回定例会一般質問 山田ひでき区議

(質問日 2021年9月22日)

ただいまより、日本共産党板橋区議会議員団を代表し、一般質問を行います。

1 新型コロナ対策について

 ⑴ 感染者を確実に医療につなぐために

 最初に、新型コロナ感染症対策について、感染者を確実に医療につなぐことを求めて伺います。

 新型コロナウイルスの感染は、4度目の緊急事態宣言が発出される中でも爆発的に拡大しました。これは政府が専門家による科学的な見地を無視し、東京オリンピック・パラリンピックの開催を強行したこと、飲食店など一部の業態を原因として自粛を迫りながら補償が十分ではないこと、無症状の感染者を把握するための検査の拡充を拒んできたことによるのではないでしょうか。

 この感染爆発により医療は崩壊し、感染していながら医療にかかることができない人が、8月半ばには都内で2万6,000人以上、板橋区内でも約1,600名を数えました。9月7日時点でも530名が自宅療養を強いられています。区内で1日当たり200名を超えるような感染爆発や、医療にかかることができず自宅療養を押しつけられている状態は医療崩壊だと考えますが、区長の見解を伺います。

 国は新型コロナ感染症患者について、当初は重症者以外を原則自宅療養としましたが、国民の批判の声を受け、現在は軽症者が原則自宅療養という方針としています。区長は、この方針をどのように受け止めるでしょうか。

 また、軽症であっても感染者を確実に医療につないでいくことが必要です。健康長寿医療センターの隣接地である板橋キャンパス跡地は特別養護老人ホームを建て替える際の仮の予定地ですが、現在更地であり、着工予定の令和5年度までは別の用途にも使用可能です。また、帝京大学病院とは、災害時にテントを張って臨時の医療施設をつくる等の用地を確保しています。新型コロナウイルスの感染拡大を災害と捉えれば、やれることが増えるのではないでしょうか。区として災害対応を取って、医療機関や都有地などを有効に使い、臨時の医療施設をつくるべきと考えます。区長の見解を伺います。

 新型コロナ感染症は、場合によっては症状が軽かったり無症状だったりすること、本人が気づかないうちに症状が進行する場合があることが報道されています。特にひとり暮らしで自宅やホテルで療養されている方は、そうした病変について自身で判断しなければならない状況です。自宅やホテルで療養されている方に医療的管理が行き届かないことで命を失う人を出すわけにはまいりません。区が責任を持って医療的な管理を進める必要があると考えます。自宅療養となっている全ての患者への医療的管理ができているのかお聞きします。併せて、どのように医療的管理を進めているのかもお聞きします。

⑵ 保健所の体制強化を求めて

 続いて、保健所の体制強化を求めて質問します。

 板橋区内には、かつて、板橋、赤塚、志村の3つの保健所がありました。平成9年に衛生部と高齢福祉部が合併し、健康生きがい部を設置、3つの保健所が統合され板橋区保健所となりました。保健所の業務についても外部委託等が進み、検査技師等が削減されてきました。こうした状況の中で新型コロナウイルスが発生したため、保健所の業務は逼迫し、区内各部署からの応援に頼らざるを得なくなっています。現在、兼務職員等によって保健所の体制を賄っていますが、本来は常に非常時を考えた体制を日常からつくるべきと考えます。区長の見解をお聞きします。

 また、保健所の体制を拡充するためには手狭な保健所を拡張する必要があるのではないでしょうか。この点についても伺います。

⑶ ワクチン接種について

 次は、ワクチンの接種について伺います。

 新型コロナウイルスに対抗する手段としてワクチンの接種が進められ、65歳以上の高齢者は85%以上が2回目の接種を終えています。しかし、若い世代では、接種したくても予約もできない状態となっており、安定的なワクチンの供給が課題となっています。また、知的障がい者や認知症の高齢者は、接種券が届いても、その内容について十分に理解できないために、接種の予約を行うことができない方がいます。まだ家族と同居ならば家族がフォローできますが、ひとり暮らしの場合では、接種から取り残される可能性があります。ひとり暮らしの知的障がい者や認知症の高齢者が接種できる工夫を求めますが、いかがでしょうか。

 ワクチン接種券は子どもたちにも送付が進んでいますが、予約については困難な状況が続いています。特に12歳から15歳の接種率は、8月23日時点で僅か0.5%です。

 この中で特別な配慮が必要なのが受験を控える子どもたちです。受験シーズンは寒冷な時期であり、新型コロナウイルスだけでなく、インフルエンザウイルスも活性化します。子どもたちの学びを保障しつつ、命を守る取組が必要です。中学3年生、高校3年生及び令和4年4月に高等学校または大学、短期大学、専門学校等への進学を予定している方に対し、新型コロナワクチンを優先的に接種できる体制を整えることを求めますが、いかがでしょうか。

⑷ PCR検査の拡充を求めて

 この項の最後に、PCR検査の拡充を求めて質問します。

 感染拡大は、ワクチン接種が進んでいない若い世代や子どもたちの間での広がりを見せています。特に、小・中学校の児童・生徒への感染は、学級内、学校内での感染から家庭内へと拡大することが懸念されます。ワクチンの接種が進み、国民の半分が2回目の接種を終えていますが、ワクチンは症状を抑えることはできますが感染そのものを抑えることはできません。感染拡大は、無症状の感染者が自身が感染していることを知らずに広げてしまっています。現在、無症状の感染者を的確に調べる手段としては、PCR検査しかありません。区立小・中学校の教職員や保育園等、子どもたちを預かる施設職員に定期的なPCR検査を求めますが、いかがでしょうか。

2 公営住宅増設へ転換を

 2項目めは、公営住宅の増設を求めて質問します。

 区の板橋区住宅マスタープランである住まいの未来ビジョン2025は、高齢者等が自立して暮らすことができる住生活を実現すること、住宅確保に配慮を要する区民の居住を安定させることを目標としています。

 しかし、区は住居確保に配慮が必要な人たちに対して十分な住居の提供ができていません。都営住宅を含む公営住宅の募集は倍率が100倍を超えることもしばしばあります。40代の女性から、夫のDVとストーカー行為から2人の子どもとともに逃れることを決め、父母の住む都営住宅の近くに住みたいが、都営住宅に申し込んでもなかなか当たらないと相談を受けました。都営住宅には毎月募集が行われる枠もありますが、世帯全員が40歳未満、もしくは全員が45歳未満で18歳未満の子どもが3人以上いる場合に限られます。近年は初婚年齢も上がり、40歳前後で出産される方も多くいらっしゃいます。小さい子どもを抱えているにもかかわらず、年齢制限のために申込みができない状況は改善を求めるべきです。都営住宅の毎月募集の条件を緩和し、40歳代で18歳未満の子どもを1人以上抱えるシングルマザーでも申込みができるよう、都に求めていただきたいがいかがでしょうか。

 区の人口ビジョンでは、高齢化率は2040年に27.8%に達すると予測しています。今よりも高齢者住宅等の公営住宅を必要とする人の割合が増えることは明らかで、公営住宅を増やす方針を持つべきです。しかし、板橋区営住宅再編整備方針では、けやき苑と区営住宅を集約し、高度利用によって全体の戸数を維持するとして、公営住宅を増やす方針がありません。区営住宅を増やさない方針を見直し、増やすことを求めますが、いかがでしょうか。

 (仮称)区営仲宿住宅は、再編整備方針を前提に、129戸の16階建てという大規模な住宅を建設する予定です。4階建てだった都営母子アパートから、いきなり16階建ての建物になることに対し、地域の住民から高さの引下げや説明を求める声が上げられています。区は近隣住民の声を受け、高さを50.9メートルから49.7メートルに引き下げるとしていますが、抜本的な改善とは言えません。また、区は区営住宅2つと高齢者住宅けやき苑3つを集約すると言いますが、どの区営住宅とどのけやき苑が集約されるかも示されておらず、高度利用することが優先の計画と言わざるを得ません。(仮称)仲宿区営住宅が129戸となる根拠と、どのけやき苑が集約されるのかをお示しください。また、区営住宅の住民も地域の住民も置き去りの高度利用優先の計画は改めるべきと考えます。区長の見解をお示しください。

 また、1人世帯の部屋面積は31平米程度の予定となっていますが、これは区営住宅再編整備方針に記載された、1人世帯の住居面積35平米を下回るものです。高齢者住宅が廃止され、けやき苑から移る方が多いことが予測できます。高齢の親御さんをお見舞いしたり、場合によっては寝泊まりして介護したりするためには、1人世帯用の部屋であっても一定の広さが必要です。区営仲宿住宅の1人世帯用の部屋について、区営住宅再編整備方針に基づき35平米以上を確保するべきと考えますが、区長の見解を求めます。

 また、けやき苑では、生活協力員等が常駐し、高齢者の暮らしのサポートをしていました。区営住宅でも生活協力員等を配置すると伺いましたが、その費用について共益費に上乗せされます。けやき苑を廃止する一方で、区営住宅においてけやき苑と同等の負担で同等のサービスが受けられないことは問題です。少なくとも従来の高齢者住宅と同等の条件で区営住宅に入居できるようにするべきです。区長の考えをお示しください。

 住まいの未来ビジョン2025によると、区内には空き家が3万4,000戸以上存在しています。区は住宅情報ネットワーク事業や、居住支援協議会による高齢者世帯等の安定した居住の支援等によってマッチングを図るとしていますが、住宅情報ネットワーク事業によるあっせんは年間100件程度と、空き家の解消にも十分でなければ住居確保要配慮者への提供としても十分ではありません。住居確保要配慮者への貸与については、家賃の支払いが滞らないか、掃除が行われないのではないかなどの不安から、貸したくないと考える大家さんもいらっしゃいます。住宅情報ネットワーク事業や居住支援協議会による高齢者世帯等の安定した居住の支援等を抜本的に拡充し、優良な空き家を区が借り上げ、区営住宅として提供することで、大家さんも借りる人も安心できるようにするべきではないでしょうか。空き家、空き室を区が借り上げて区営住宅として提供するべきと考えますが、いかがでしょうか。

3 上板橋駅南口周辺地域の再開発について

 3項目めは、上板橋駅南口周辺地区の再開発について伺います。

 上板橋駅南口周辺地域の再開発は、3月に東地区の再開発組合が設立認可され、区は粛々と工事を進めるとしています。この再開発では東街区に27階建て320戸、中街区に19階建て120戸の高層マンションを建設し、駅前にロータリーを設置して川越街道方面からの人の流れを南口銀座商店街から新たにつくる道路へと切り替えるものです。そもそもは狭隘な道路が多いために、災害対策を理由に始められた再開発ですが、道路は川越街道から上板橋駅へのアクセス道路となり、再開発のメインは高層マンションをつくる計画へと変貌してしまいました。地域の方からは、高層ビルによるビル風の影響や商店街への客足が少なくなることへの心配、また、東街区のビルの1階にパチンコ店の入居が決まっているらしいことへの不満や、ほかに入居が確定している店舗があるのかどうかなど、不安の声が上がっています。東街区に建てられるビルの1階にパチンコ店の入居が決まっているという話があるそうですが、ほかの店舗で入居が確定しているところはあるのでしょうか。また、パチンコ店のみ入居が決まっているという話は一体どこから出てきたのでしょうか、伺います。

 上板橋駅の南口地域である上板橋一丁目・二丁目地域は、平成2年から平成21年にかけて密集地域整備事業が行われました。令和2年3月の予算審査特別委員会総括質問でもこの事業について、どのような整備目標を立て、その成果がどれくらいだったのか質問しましたが、一定の成果があったとの回答しかいただけませんでした。今回の再開発に当たっても、地区内及び周辺地域は狭隘な道路が多く、木造住宅や店舗併用住宅などが密集しており、消防活動困難区域の解消や木造密集地域の改善が課題となっているとしていますが、再開発地区以外の上板橋一丁目・二丁目の狭隘な道路は残されたままとなります。再開発地区に指定されなかったら、密集が改善されないことは大きな問題です。平成2年から行われた密集地域整備事業では、整備目標に対し、どの程度達成できたのか。平成元年4月に提出された上板橋駅南口地区まちづくり計画と比較して、今回の再開発によって密集地域の改善はどの程度進むことになるのか、お答えください。

 上板橋駅南口銀座商店街は、ハッピーロード大山商店街と同様、地域密着の個店が多いのが特徴ですが、再開発でそうしたお店の多くがなくなり、大手チェーンのお店ばかりになりかねません。移転するにしても補償金は少額で、とても移転できないとの声も聞かれました。再開発ありきで進めた結果、地域の人々の心に大きな傷を残す結果となってしまったのではないでしょうか。上板橋駅南口周辺再開発を進めるに当たっては、拙速に行うのではなく、改めて地域の人たちの声を丁寧に聞き、計画に反映させるべきです。区長の見解をお示しください。

4 志村小学校は現地で存続を

 4項目めとして、区立志村小学校の現地での存続を求めて質問します。

 創立113周年を迎えた志村小学校は、現地での建て替えが困難で長期にわたることなどを理由に、区立志村第四中学校と統合し、小中一貫校にされようとしています。これまでに魅力ある学校づくり協議会で一貫校化の答申が出され、その後、魅力ある学校づくり検討会が第3回まで開催されました。この第3回検討会の中で、区民の意見の募集が行われたことが報告されましたが、報告では、そもそもなぜ統合するのか、なぜ小中一貫校が必要なのかとの質問に答えていません。魅力ある学校づくり検討会がどういう一貫校をつくるのかを検討する場だというならば、志村小と志村四中を統合して一貫校化することをやめてほしいという意見は一体どこが受け止めるのでしょうか。協議会、検討会での意見募集や、保護者アンケートだけでは区民の意見を十分に聞いたことにはなりません。反対意見も含めて、区民の意見を聞くべきであると考えますが、教育長の見解を伺います。

 志村小学校と志村四中を統合した場合、28学級、900名超の規模となることが分かっています。それ以外に特別支援学級が9学級あり、合わせると37学級となります。特別支援学級に通う子の保護者からは、一貫校以外から進学した場合、疎外感を感じてしまうのではないか、進学先の選択肢が狭まってしまうのではないかなどの不安の声が寄せられました。また、検討会では、志村四中の校長からも、校庭は今でも狭く、志村小の跡地を第2グラウンドに活用できないかとの発言がありました。6月の一般質問で教育長は、義務教育学校の基準である18学級から27学級を大きく逸脱しないよう調整すると答弁されていましたが、志村小と志村四中の統合は大規模化が避けて通れないのではないかと考えますが、教育長の見解をお示しください。

 また、板橋区で小中一貫校をつくる際の特別支援学級の在り方について、教育長の見解を伺います。

 特別支援学級については設置基準がなく、大規模化を緩和するために特別支援学級に悪影響が及ぶ心配があります。志村小学校と志村第四中学校の特別支援学級に通っている児童・生徒や保護者、担当教員からどういった意見が出ているでしょうか、お示しください。

 区の小中一貫型の学校施設整備方針は、11月に素案が、来年2月に原案が示されると伺っています。しかし、その方針が出される前に、既に8月には志村小と志村四中の一貫校の基本構想及び基本計画策定の委託業者の選定が行われており、9月から選定作業に入るとされています。区の施設整備方針について区民理解も得られぬまま、同時並行で基本構想、基本計画策定に乗り出すことは、あまりにも拙速ではないでしょうか。今後、少人数学級化や教育のICT化が進められる中で、一人ひとりの机の大きさや教室の広さも検討が迫られています。区としての方針を明確にして区民理解を得るべきと考えますが、教育長の見解をお示しください。

 志村小学校は創立113年を迎えた長い歴史を持つ地域になくてはならない学校です。志村城址の史跡でもあり、高台に建っていることで避難所としての役割も高く期待されています。志村四中と統合した場合に、志村小学校は避難所指定が解除され、新たに小中一貫校が避難所として指定されます。ですが、志村四中の敷地はハザードマップ上では荒川決壊の際に1メートルから2メートル水没するとされており、水害時の避難所としてはふさわしくありません。また、第3回検討会において、地権者に対し区側から、坂下地域から高台の志村小学校までの避難途中にはがけがあり、土砂等の危険があるため、志村小学校は防災拠点として難しいと説明されているという発言がありました。委員からは、坂上地域からの避難は危険という考え方は納得できないとの発言がありました。この地権者に対する、志村小学校は防災拠点として難しいという説明は、いつ、誰の発言なのか、そして、その考え方は区の公式の考えなのか、教育長の見解を伺います。

5 自治体DXについて

 5項目めとして、自治体デジタルトランスフォーメーション、いわゆる自治体DXについて伺います。

 区は板橋区ICT推進・活用計画2025で、ICTを業務における補助的なツールとするのではなく、業務自体をよい方向に変化させる業務のコアとなるものとしているほか、SDGs戦略、ブランド戦略と併せ、区の3本の重点戦略と位置づけており、区を挙げてDXを推し進めています。しかし、DXをめぐってはその問題点も多々指摘されています。その1つがAIの導入です。

 自治体の業務のうち、AIの導入の対象とされているのが窓口業務です。国は、「住民は窓口に行くことが負担」「人が介在しなくても完結するサービスを目指そう」として、窓口の機能をオンライン化し、人でしかできない相談業務等を中心に変えるとしています。

 滋賀県の野洲市は、納税推進室や保険年金課、高齢福祉課、住宅課などの窓口で、住民の生活情報を共有化して生活支援の体制を取っています。それぞれの窓口では、公共料金を滞納している住民に借金はありませんかと丁寧に聞き取り、借金が判明すれば、市民生活相談課につないでいます。窓口業務は、AIやデジタルで無人化したら、行政は住民の生活実態を把握できなくなるおそれがあります。窓口業務を無人化するべきではないと考えますが、区長の見解を伺います。

 AIの導入によって職員の負担軽減と業務の効率化が図られるといいます。板橋区でも保育所の利用調整に当たり、申請者の入所希望の優先順位やきょうだい同時入所希望等について、過去の割当てルールを学習したAIが組合せを点数化し、得点の高い組合せを瞬時に出すシステムの実証実験を行いました。その結果、従来、延べ1,900時間程度かかっていた作業が500時間程度でできた上、職員が行った結果と95%一致したといいます。保育サービス課からは、機械に入れられないような情報もある、例えば、要支援の状況とかを加味して、最終的には職員が人の目で見て決定を行っていくと言っています。また、AIにトラブルが生じた際、業務を熟知している職員がいなかったら、AIが復旧するまで全ての業務が停止してしまいます。板橋区と同様に実証実験を行ったさいたま市の場合、システムトラブルが発生し、職員が休日返上で対応したが、マッチング業務に携わる職員を配置していたために、保護者にまで被害が及ぶことを防ぐことができたと言います。AIやデジタル化の技術は、職員を代替するために用いるのではなく、公務労働の質を高める補助手段として活用すべきであり、また、AIやシステムが機能しなくなった場合に対応できる職員体制を確保しておく必要もあります。DXを根拠に職員を減らすべきではないと考えますが、区長の見解をお示しください。

 自治体DXの問題点の一つに標準化の問題があります。2009年8月、京都府と府内25市町村、京都市を除く全てにより、徴税業務と課税事務の共同化を目指す広域連合として、京都地方税機構が設立されました。しかし、これによって各自治体で行われてきた独自の減免等の制度等が統一化されてしまいました。また、自治体ごとに基準があった、生活困窮による町税の執行停止の判定基準も生活保護基準に標準化されたり、自治体で持っていた税の窓口も一本化されたりしたために、生活上何らかの困難を抱え、納税が難しい住民を支援につなぐ機会も失われました。本来、地方自治体には課税自主権が憲法によって保障され、各自治体がどのような行政を行うかの決定権を持っています。しかし、例として挙げた京都地方税機構のように、標準化が押しつけられた場合、自治体独自の施策を行うことが実質的に不可能となってしまいます。自治体DXによる標準化によって、区独自の施策を削るべきではないと考えますが、いかがでしょうか。

 2015年の個人情報保護法改正によって、個人識別情報を抑制するための法整備が進められました。氏名や電話番号、生年月日といった情報を取り除く非識別処理が行われ、さらに集計処理や秘匿処理が行われるから個人情報は漏れないといいます。しかし、個人に関する情報が、もともと帰属していた個人に対してその処理過程が公開され、そこに参加し、異議を述べる機会が保障されていません。本人の知らない間に情報が加工され流用されることを地方自治体が勝手に許可できるものなのでしょうか。地方自治体が保有する個人情報は、住民が各種の行政サービスを不満なく利用できるようにするために任せているもので、ほかの企業等に売り渡されるためではありません。住民情報の提供に当たっては住民の合意の下でのみ行われるべきであり、匿名加工してあるからといって、許可なく提供するべきではないと考えますが、区長の見解を伺います。

 区はGIGAスクール構想や自治体DXの推進などについては非常に熱心で、コロナ禍で予算が厳しいとしている中でも進めようとしています。一方、集会所やレクホール、コミュニティホールにはWi-Fiスポットの整備すら進んでいません。コロナ禍で人が集まることが制限され、リモート会議などが推奨されている中、Wi-Fiスポットがないために会議に参加できないとの声が寄せられています。区内の集会所、レクホール及びコミュニティホールにWi-Fiスポットを設置するべきと考えますが、いかがでしょうか。

6 災害対策について

 6項目めとして、区の災害対策について伺います。

 地球温暖化の影響による気候変動は、日本においても毎年全国各地に大きな災害を引き起こしています。今年は九州地方を中心に、長期にわたる豪雨災害が相次ぎました。また、熱海における大規模な土石流発生は、気候変動と併せ、開発残土を利用した無軌道な宅地造成がその原因の一つであることも指摘されました。

 板橋区は武蔵野台地の東端に位置し、傾斜地や土砂災害警戒区域が数多く存在しているため、豪雨災害への対策が求められています。区は3年前に、がけ・よう壁工事への助成について拡充を行い、危険ながけ・よう壁を減らす一定の努力を重ねていますが、相談こそ増えてはいますが、助成にまでつながっていない実態があります。がけ・よう壁工事への助成が拡充されたといっても、実際に工事を行う場合には施工主の負担は大きく、また、住居の建て替え等に伴って工事を行う必要があるため、容易に工事に踏み出すことはできません。

 一方で、専門家が現地を確認し、どのような工事が必要なのか、また、どの程度の費用が必要なのかといった具体的な話をすることが工事全体の具体的なイメージをつくり、工事に踏み出すきっかけとなることが分かっています。

 専門家の派遣については、今年8月末時点で、年度内5件の予定に対し4件まで執行されており、区民の関心が高まっていることを感じさせます。専門家派遣の予算を拡充し、相談者に積極的に専門家を派遣し、助成につなげる努力をするべきと考えますが、いかがでしょうか。併せて施工主の負担をさらに軽くする助成の拡充についても検討を求めます。

 続いて、避難所について伺います。

 大規模な災害の際に身を寄せるのが避難所ですが、区内の避難所にはプライバシーを確保するためのテント等がありません。2019年には、荒川が決壊しそうだとして、多くの方が避難されました。荒川が決壊した場合、水が引くまでに2週間以上かかることがハザードマップにも記載されており、避難生活が長期にわたるおそれがありながら、プライバシーが確保されないことや、感染症対策が不十分なことは重大な問題です。区は避難された方の健康を見守る必要があるために、80センチ高のパーティションを協定先から用意してもらうといいます。しかし、健康を見守ることは、個別テントが設営された状態であっても、個別に声かけを行うなどで可能です。むしろ、2週間を超える期間を常に他人の目にさらされる状態に置き続けることの方が、避難者に大きなストレスを与えるのではないでしょうか。

 また、今回の新型コロナウイルスは、次々と変異種が発生し、デルタ株においてはエアロゾル感染もするといいます。テントも仕切りもない避難所では集団感染しかねません。また、今後、未知の感染症が日本を襲ってこないとも限りません。区はプライバシー確保のためのテントについて導入予定なしとのことですが、長期にわたるおそれのある避難所生活でのプライバシー確保及び感染症対策については、どのように考えているのか、お答えください。

 この項の最後に、気候変動に対する区の考え方について伺います。

 近年の世界各地での大規模な自然災害は、その多くが気候変動によって引き起こされています。経済活動に伴う温室効果ガスの排出増加が地球全体の温暖化を招き、大規模な気候変動を引き起こしています。気候変動を抑えるためには温室効果ガスの排出削減を劇的に進めなければなりませんが、政府は財界の意向を尊重し、2030年の削減目標を2013年比で46%減と低く設定するだけでなく、石炭火力発電所の新増設や輸出を進めるとしています。区は地球温暖化対策実行計画2025を策定し、2025年までに2013年比で30%の温室効果ガス削減、2050年度までに実質ゼロにするとしていますが、国連が示した2030年までに2010年比で45%削減という世界平均や、EUの2030年までに1990年比で55%減、イギリスの1990年比で68%以上減などと比べて非常に低い目標だと言わざるを得ません。国連環境計画は各国が国際的に提示している2020年のCO2削減目標が全て達成されたとしても、平均気温の上昇を2度未満に抑えるために求められる削減量には80億から120億トン不足しており、結果的に3度から4度の気温上昇を招いてしまうと指摘しています。国連環境計画の指摘は、国の指針に合わせた区の計画のままでは温暖化を防ぐことが難しいことを示しています。気候変動対策を急ぐ必要があると考えますが、区長の見解をお示しください。

7 平和について

 最後の項目として、平和について伺います。

 76年前の広島で降った黒い雨による健康被害をめぐる訴訟について、国が最高裁への上告を断念しました。これにより、7月29日、被爆者を広く認定する判断を示して、原告の住民全員84名、うち14人死亡を被爆者と認めた広島高裁判決が確定となりました。今後、原告全員に被爆者健康手帳が交付され、医療費は無料となります。

 国は被爆者の定義を狭く設定し、その定義から外れる者には、原爆由来の健康被害としか考えられない症状があったとしても、被爆者手帳を交付しない姿勢を取り続けてきました。存命している被爆者の平均年齢は80代後半となっており、一刻も早い救済が求められています。黒い雨訴訟の結果を平和都市宣言の自治体として判決を受け入れる声明を発表するべきと考えますが、区長の見解をお示しください。

 以上で私の質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。

(拍手する人あり)

◎区長 それでは、山田ひでき議員の一般質問にお答えいたします。

 最初は、感染爆発や医療崩壊についてのご質問であります。

 7月下旬からの陽性者急増につきましては、本区におきましても、これまで経験したことのない、1日200人を超える新規陽性者の発生となりました。感染のピーク時には、入院が必要な患者が数日間自宅待機を余儀なくされる状況が生じるなど、医療体制が逼迫している状況がございました。区では、これまでのコロナ病床の確保や病院間連携による定員支援等の取組を行ってきておりまして、引き続き区内の医療資源を活用し、安心な医療体制の構築に努めていきたいと考えています。

 次は、国の自宅療法の方針についてのご質問であります。

 板橋区では、新型コロナウイルス感染症の患者に対しまして、症状の程度にかかわらず、できるだけ入院治療もしくは宿泊療養を勧めているところでございます。療養を自宅で行うことは難しさがあると考えますので、やむを得ない場合に限定をして、自宅でも医療につながる体制を強化したところでございます。

 次は、臨時医療施設の設置についてのご質問であります。

 国は令和3年8月25日の事務連絡において、入院待機施設の整備も重要であると通知してきております。東京都は、国の通知で取組事例として紹介されているように、入院調整中の中等症の患者を一時受け入れる医療機能を強化した施設を既に数か所に設置しております。現在、陽性者が減少してきておりまして、入院が必要な方は待機せず入院できるようになっておりますが、医療体制の強化につきましては、今後の状況に応じて、特別区長会等を通じ、適宜要望していきたいと考えています。

 次は、自宅療養者への医療的管理についてのご質問であります。

 保健所では、自宅療養者に電話で健康観察を行い、聞き取った状況から、必要なときに往診やオンライン診療を依頼してきたところでございます。外出が制限される自宅療養中の方は、通常の医療的管理を受けることが難しく、板橋区では、夜間・休日を含め、往診やオンライン診療の体制を設けているところでございます。

 今月開始しました医療サポート事業につきましては、自宅療養者が療養期間中いつでも医療機関と相談ができ、医療機関は経過を把握し、必要な医療提供ができるなど、通常の医療的管理に近い体制の下で自宅療養をすることができると考えています。

 次は、保健所の人員体制についてのご質問であります。

 今年度、保健所の予防対策課を、これまでの倍の人員体制といたしました。しかし、7月下旬からは、予想をはるかに超える陽性者の急増がございまして、現在、保健師の兼務発令を行うとともに、事務職員につきましても全庁的な応援体制を組んでいるところでございます。現在、発生が急に減ってきているなど、感染状況の変化の見通しは専門家でも難しく、柔軟な人員体制を取ることによりまして、非常時におきましても、保健所の負担軽減に努めていきたいと考えています。

 次は、保健所の拡張についてのご質問であります。

 保健所は、昨年来、執務スペースを工夫してまいりましたが、8月以降の感染急拡大に対応して、兼務職員や多数の応援職員を配置したことによりまして、さらに狭隘になっていることは認識をしているところでございます。今後、さらなる執務スペースの拡大が必要な場合におきましては、全庁的に検討していきたいと考えています。

 次は、知的障がい者への接種の工夫についてのご質問であります。

 接種券の送付だけではワクチン接種の機会が見過ごされるため、区では様々なアプローチによる接種の勧奨を行っているところでございます。ひとり暮らしで障がいサービスの利用機会がない知的障がい者に対しましては、分かりやすい文章で作成した案内を改めて発送し、個々の状況に合った対応を図っております。また、高齢者につきましては、認知症に限らず、民生・児童委員による声かけや、介護事業者を通じました勧奨、社会福祉協議会と連携した予約サポートも行っておりまして、今後も、誰一人取り残すことがない、寄り添った対応を進めていきたいと考えています。

 次は、進学予定者への優先接種についてのご質問であります。

 受験や進学を控えた学生がワクチン接種の予約を取りづらくなっていることは区としても理解をしているところでございます。区では、集団接種会場の一部を活用して、10代を対象とした優先枠を約500人分追加いたしました。ワクチンの供給に限りがある中においても、可能な限り希望する全ての区民が接種できるように、最後まで体制を整備していきたいと考えています。

 次は、PCR検査の拡充を求めてとのご質問であります。

 東京都は重症化リスクが高い高齢者施設や医療機関等に集中的・定期的検査を実施しておりますが、教職員や保育士は定期的検査の対象としていないところでございます。子どもを新型コロナから守るためには、大人のワクチン接種が最も重要であり、板橋区ではエッセンシャルワーカーの職域接種で、保育士にも早期の接種を進めてまいりました。PCR検査に対する区の考えは変わらないところでありますけれども、今後、行動制限緩和の議論や抗原検査キットの市販など、検査の方法や役割なども変化すると思われますので、注視していきたいと考えています。

 次は、都営住宅の毎月募集の条件緩和についてのご質問であります。

 ご質問のケースの場合、従来の都営住宅の毎月募集には対象外であったと認識をしております。このたび東京都は、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえて、令和3年1月から9月の募集において、対象世帯を拡大しておりまして、ご質問のケースは、これに該当すると考えられます。今回は臨時的な措置と聞いておりますが、今後、通常時においても適用されるか、都の動きについて注視していきたいと考えています。

 次は、区営住宅を増やさない方針の見直しについてのご質問であります。

 区営住宅は、板橋区営住宅再編整備基本方針に基づき、区営住宅の再編において、供給戸数を維持し、居住の安定に配慮しながら適切に運営していきたいと考えています。

 次は、(仮称)区営仲宿住宅の計画についてのご質問です。

 (仮称)区営仲宿住宅は、1DKを76戸、2DKを45戸、3DKを7戸、車椅子使用者向け住戸を1戸計画しておりまして、合計で129戸となる予定であります。今回、集約予定の区立高齢者住宅は、概ね3か所を想定しておりますが、建物所有者との返還協議等を控えているため、調整が終了するまでは具体的な名称は公表できない状況であります。区営仲宿住宅の計画につきましては、敷地の立地条件を有効に活用し、都市計画法等の法令や当区が有する要綱等を踏まえて、適切に建設を進めていきたいと考えています。

 次は、(仮称)区営仲宿住宅の1人世帯用住戸面積についてのご質問であります。

 (仮称)区営仲宿住宅を含む特定区営住宅においては、1DKの住戸の専用面積が概ね32.5平方メートルとなるように、東京都板橋区営住宅条例施行規則において定めております。住生活基本法においては、1人世帯の最低居住面積が25平方メートルでありまして、規則で定める1DKの専有面積は、居住者が通常の生活を営むに当たり、十分と認識をしております。

 次は、高齢者住宅の入居についてのご質問であります。

 区営住宅は、区立高齢者住宅とは異なり、様々な世帯の区民も入居することを想定しております。また、区営住宅の共益費は、エレベータ等の共用部の維持管理及び自治活動に要する経費を各世帯ごとに拠出することになっております。実際のところ、共益費は、各区営住宅の管理運営の程度に応じて決定をされるものであり、一律に比較できるものではないと考えています。

 次は、空き家、空き室の借り上げについてのご質問であります。

 区が行った実態調査によりますと、区内にある空き家のうち、利活用が可能で、所有者も活用を望んでいる物件につきましては、多くとも約5%程度であると認識しています。また、居住を希望する方につきましては、低家賃とともに、立地場所、広さ、設備などを求める傾向もございまして、ニーズの正確な把握が難しい状況であると感じています。区としましては、まずは区営住宅の再編整備を適切に進め、健康で文化的な生活にふさわしい住宅数の維持と安定的な供給に努めていきたいと考えています。

 次は、上板橋駅南口周辺地域の再開発に関連いたしまして、東街区の店舗の決定についてのご質問であります。

 東地区の再開発事業におきましては、現在、来年度の権利変換計画の認可に向けた関係権利者との協議・調整が行われております。したがいまして、現時点においては各権利者の意向を確認している段階にございまして、入居は決定をしているものではないと聞いております。

 次は、密集地域の改善についてのご質問であります。

 平成2年から実施した上板橋駅南口の密集地域整備事業では、道路・公園の整備や建て替え促進による建築物の不燃化に取り組んでまいりました。平成28年度の土地利用現況調査における不燃領域率は、密集事業に含まれる上板橋一丁目では61.2%、上板橋二丁目においては78.4%となっております。さらに今後、再開発事業によって建築物の不燃化や緊急時の避難路の確保、延焼遮断帯の形成が図られ、災害に強い、安心安全なまちづくりを推進することができるものと考えています。

 次は、地域の人々の声を計画に反映させるべきとのご質問であります。

 区としましては、引き続き再開発組合とともに、説明会やチラシ等で情報発信を行うと同時に、意見や要望を伺いながら、災害に強く、にぎわいのあるまちづくりに取り組んでいきたいと考えています。

 次は、自治体DXに関連いたしまして、窓口業務及び職員配置についてのご質問であります。

 区では、これまでも窓口で区民の声をよくお聞きするとともに、もてなしの心による区民サービスの提供を大切にしてきておりまして、その考え方には変更はございません。一方で、いたばし№1実現プラン2025におけるDX戦略では、区民の選択肢の一つとして、可能な限り来庁せずに手続ができるように、利便性向上のための改革を推進しております。また、職員につきましては、DX戦略の推進状況なども踏まえて、区民サービスを提供する最適な体制を構築していく考えであります。

 次は、自治体情報システム標準化と区の独自施策についてのご質問であります。

 自治体情報システムの標準化は、国が示す標準仕様に準拠したシステムへと移行することにより、制度改正への迅速な対応や、開発コストの軽減を目指すものであります。国は各自治体に共通する住民記録や地方税、福祉などの業務システムを標準化対象としておりますが、自治体個別の行政サービスを制限するものではないと考えております。区の独自事業につきましては、システム標準化を契機として見直しを図るものではなく、従来どおり、ニーズや効果等を見極めて、展開を検討していく考えであります。

 次は、匿名加工した住民情報の第三者への提供についてのご質問であります。

 保有する個人情報を匿名加工し、民間企業等からの利用提案に基づき提供する取組は、データ利活用の一つとして、国や独立行政法人では定期的に行うこととされております。令和3年5月に公布されました個人情報保護法の一部改正に伴い、この取組が区でも可能となりますが、政令やガイドラインの改正作業の段階でもあるため、国の動向を注視したいと考えています。

 次は、集会所等の公共施設へのWi-Fiの設置についてのご質問であります。

 区では、令和2年4月から、地域センター等の施設にWi-Fiのアクセスポイントを順次設置をしてきておりまして、現在53施設において利用可能となっております。新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、集会所等における非接触での事業実施など、インターネット環境に関するニーズが生じてくるものと認識しております。今後のアクセスポイントの設置につきましては、ニーズや費用対効果を踏まえて検討していきたいと考えています。

 次は、がけ・よう壁助成に関連いたしまして、専門家派遣の拡充についてのご質問であります。

 がけ・よう壁の改修計画案や概算工事費などの提案を行う専門家派遣は、昨年度の制度開始以来、6件の実績がございまして、一定の成果を上げているものと考えています。既に、この制度を活用し作成されました改修計画案に基づき、危険なよう壁の築造替えを検討している事例もございます。専門家派遣制度の拡充につきましては、所有者からの相談状況を勘案しながら、検討を進めていきたいと考えています。

 次は、助成の拡充についてのご質問です。

 がけ・よう壁の新築や築造替え工事につきましては、数千万円の工事費用を要する場合や、建物と擁壁が近接するために、施工上の制約がある場合などが考えられまして、実現までに様々なハードルがございます。そのため、令和元年度に、がけ・よう壁安全対策工事助成制度の助成金額を拡充いたしましたが、この制度を活用した実績は3件にとどまっているところでございます。今後は、職員や専門家により現地での相談に対応する機会を増やすなど、相談機能の充実を図り、所有者が活用しやすい制度の検討を進めていきたいと考えています。

 次は、避難所のプライバシー確保及び感染症対策についてのご質問であります。

 避難所体育館におけるテントの活用につきましては、プライバシー確保及び感染拡大の防止が見込めますが、健康状態の変化を把握することができないために、原則使用を認めていないところでございます。プライバシーの確保、飛沫飛散防止のため、段ボールの間仕切りを備蓄物資として備えておりまして、また、事業者との協定により、紙管と布を用いた簡易間仕切りも提供される予定となっています。感染症対策では、受付時の健康状態の確認、十分な換気や避難世帯ごとの間隔確保を留意し、発熱等の症状が発生した方には、専用スペースに誘導するなど、感染拡大防止に努めていく考えであります。

 次は、気候変動についてのご質問であります。

 温室効果ガスの排出削減に各国が野心的な目標を示す中、4月に首相が削減率を表明してからの国の取組は、他の国に引けをとらず、高く評価をしております。しかしながら、温室効果ガスのさらなる排出削減に向けては、既存の技術や取組には限界があり、革新的な技術開発が必須と考えます。板橋区としましては、今後も世界や国の動きを注視しながら、国や東京都と連携をし、区民や事業者とともに、地球温暖化対策に取り組んでいきたいと考えています。

 最後になります。最後は平和についてのご質問です。

 広島、長崎において原子爆弾の犠牲となられた多くの方々のご冥福をお祈りし、被爆により苦しんでおられる多くの方々に心からお見舞いを申し上げます。黒い雨をめぐる訴訟は、本年7月の上告を断念する談話により判決が確定し、被爆者健康手帳が交付されることとなりました。首相の救済を図るべきとの決断に敬意を表するとともに、こうした惨禍が二度と起こらないよう、引き続き核兵器の廃絶と世界の恒久平和を訴えていきたいと考えています。

 残りました教育委員会に関する答弁は教育長から行います。

◎教育長 それでは、山田ひでき議員の教育委員会に関する一般質問にお答えします。

 初めに、志村小学校は現地で存続を、に関しまして、区民の意見についてのご質問ですが、志村小・志村四中小中一貫型学校設置検討会は、町会長、PTA会長、コミュニティ・スクール委員などを構成員としており、区民の方の意見を聞く場となっていると認識しています。令和3年2月から3月にかけまして、志村四中の学びのエリア及び通学区域の小・中学校におきまして、計7回、地域説明会を開催し、加えて3月には、1か月間、区民に向けての意見募集を行ったところです。今後も、いただいた意見を参考にして、地域に愛される学校づくりを行ってまいりたいと思います。

 次に、小中一貫校が大規模校となることについてのご質問ですが、東京都板橋区立学校適正規模及び適正配置審議会の答申では、小学校は12学級以上18学級以下、中学校は12学級以上15学級以下を教育上望ましい規模としております。今後も審議会の答申を踏まえつつ、学習環境の向上を目指し、児童・生徒数に合わせた改築計画を検討してまいります。

 次に、特別支援学級の在り方についてのご質問ですが、特別支援教育では、小・中学校が合同で充実を図ることによって、児童・生徒の障がい及び発達の段階に応じた支援と指導を行うことが重要であると認識しております。小・中学校の施設が一体であることで、同じ環境での9年間を通した支援と指導が可能となり、児童・生徒の自立と社会参加に向けた主体的な取組が一層充実できると考えております。

 今後、基本構想・基本計画を策定していく中で、教職員にもヒアリングを行いながら、特別支援学級の在り方について検討を進めてまいります。

 次に、児童・生徒、保護者、担当教員の意見についてのご質問ですが、学校現場のヒアリングや意見交換の場では、特別支援学級は学年が上がっても同じフロアで同じ場所に配置されることが望ましいといった意見がありました。また、新しい環境にストレスを感じやすい子どもたちにとって、小・中学校が同じ施設にあり、教師や友達等が知り合いであることは、安心して学校生活を送る重要な要素となるといった意見もありました。

 次に、小中一貫型学校施設一体型の施設整備方針についてのご質問ですが、小中一貫型学校施設一体型の施設整備方針につきましては、令和2年8月から、教育委員会事務局内の関係職員で構成されるプロジェクトチームにおいて原案の策定に取り組んでいるところであります。原案の策定に当たりましては、今後、志村小・志村四中小中一貫型学校設置検討会に協議するとともに、ホームページに掲載するなどして、区民の理解をいただけるよう努力してまいります。

 最後に、志村小学校の跡地を防災拠点にすることについてのご質問ですが、志村小学校と志村第四中学校の協議会から提出された意見書には、跡地活用に関し、児童・生徒、地域のための活用や安心安全のための防災機能の強化、地域の活性化に資するよう配慮することとの意見があります。志村小・志村四中小中一貫型学校設置検討会の当該委員とは、事前説明の場で、ハザードマップや土地の高低差、地形といった一般的な情報の共有認識を図ったところであります。跡地活用につきましては、教育委員会から所管する部署へと引き継ぎ、学校跡地利活用基本方針に基づく検討が行われるものと考えております。

 いただきました教育に関する質問の答弁は、以上でございます。

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