「ESAT-J(中学校英語スピーキングテスト)を都立高校入試に使用しないよう求める陳情」に賛成する討論

 ただいまから、日本共産党板橋区議会議員団を代表して、陳情第226号 ESAT-J(中学校英語スピーキングテスト)を都立高校入試に使用しないよう求める陳情に賛成する討論を行います。

 本陳情は、956筆の署名とともに提出されました。当事者である子どもの声を聞くこと、区教育委員会から都教育委員会に、都立校の入試に活用しないように求めるものです。

 本陳情に賛成する第一の理由は、当事者の声を聴くべきと考えるからです。第二回定例会に趣旨を同じくする陳情が提出され、審議をしたときも区教育委員会は「本区としては中学生や保護者からの意見はきていない」と答弁していました。11月27日に実際ESAT-Jが行われた際も「試験に問題があったという声は届いていない」と答弁しています。しかし区教育委員会は、そもそも受験生や中学生に対しESAT-Jについての意見を聞いていません。受験生の状況は、各学校長から聞き取りを行ったといいますが、それは子ども自身の声ではありません。区教育委員会は「都立高入試の主体は都教育委員会である」とくりかえすだけで、子どもたちの声を聞きもせず、声が届いていないというのはあまりに無責任な態度です。

 また質疑のなかで、特別措置で受験した子ども達について、その後の聞き取りをしていないことがわかりました。特別支援教育をお子さんが受けている保護者からは、「まず都立高校を受けることすらすごくハードルがあって大変なのに、このESAT-Jが入ったことでさらに都立高入試が遠くなる」という声が寄せられています。区教育委員会は、まがりなりにもインクルーシブ教育をうたっており、この声にきちんと向き合うべきであり、環境整備を直ちに行うべきです。

 本陳情に賛成する第二の理由は、テスト自体に公平性の担保がなく、入試に活用すべきではないからです。公平性が、入試では何より重要です。公平性が保たれるからこそ、受験生は勉強を頑張れるのです。しかしながら、テスト会場、当日の対応、評価採点などの、公平性への疑問が寄せられ続けています。

 実際に受験をした中学3年生からは、「隣のひとの声がきこえた」「前半組と後半組で情報交換が行うことが可能な受験会場だった」と声があがっています。個人の意図に関わらず、カンニングができてしまう状況でした。入試として活用できるものではありません。

 さらに、ESAT-Jの結果が返却されても、設問ごとの点数が示されず、入試としてもアチーブメントテストとしても成り立っていません。また採点ミスと評価が修正されました。学力検査と調査書点が高くても、受験した生徒より不受験者が合格するという、逆転現象も十分起こり得ます。

 本陳情に反対する議員からは

「この事業が都教委の事業であることからも、区教委が意見調査やアンケート並びに高校入試に関する内容について都教委に求める必要はない」「入試を行う主体というのは都教委であるから、中学生の意見を取り入れて入試を行うことに関しては、理解できない」「こどもの声をきくべきだが、都立高入試活用については当事者へのアンケートを踏まえて判断すべきであり、アンケート等を実施していない現時点で判断すると中学生の声に添えない可能性もある」

と意見がだされ、みなさん、こども達の声をきくことを求めていました。しかし冒頭のべたように、区教育委員会はこどもの声を聴いていないのです。そうであれば、わたしたち区議会議員は区教育委員会に対し、きちんとこどもの声を、中学生の声を聴くことを求めるべきです。

 区教育委員会は「実施主体は都である」と言い逃れをし、公立学校入試の信頼を根本から揺るがすような事態にも関わらず、都教育委員会に対し中止を求めていません。こどもたちのためにも、公教育の信頼を損なわないためにも、ESAT-Jを都立高入試に活用すべきではありません。よって本陳情に賛意を表し、わたしの討論を終わります。

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