2024年第4回定例会 小柳しげる区議 一般質問

質問日:2024年11月28日

 ただいまから、日本共産党板橋区議団の一般質問を行います。

1 被爆者とともに核廃絶の声を世界へ


 まず、核廃絶について質問を行います。
 今年10月11日、ノーベル賞委員会は日本原水爆被害者団体協議会、日本被団協にノーベル平和賞を授与すると発表しました。受賞理由は、広島と長崎の被爆者による草の根運動である日本被団協は、核兵器のない世界を実現するための努力と、核兵器が二度と使用されてはならないことを証言によって示してきたこととしています。イスラエルのパレスチナ侵略、また、ロシアとウクライナの紛争でも、核保有国は威嚇として核の使用をほのめかし、核兵器の存在にしがみついています。しかし、世界の多数の市民の願いは平和であり、核兵器廃絶です。世界で戦火が広がる中、核廃絶に向けた世界的な機運が高まっています。それが被団協のノーベル平和賞受賞につながったと考えます。被爆者は、核兵器と人類は共存できないと訴え、国内や世界で被爆の実相を広げ、共同の中で核兵器禁止条約をつくらせてきました。唯一の戦争被爆国として、日本政府は核兵器禁止条約に署名・批准するだけでなく、条約の強化に努め、核廃絶に向けて世界のリーダーになってほしい、これが被爆者の皆さんの願いです。今なお、日本やアメリカをはじめとする大国の指導者は、核兵器を抑止力として必要と考え、核廃絶に背を向けています。果たして抑止でとどまるものでしょうか。持っていれば使わざるを得なくなるのが兵器というものです。一度使えば、いずれ人類の死滅につながります。報道によると、石破首相は電話で被団協の代表にノーベル平和賞受賞のお祝いの言葉を述べた後、究極的には核廃絶だと思っているが、現実的な対応をしていかなければならないとし、核抑止が必要だとの考え方を示したということです。被団協の皆さんは、安全保障のためであれ、戦争抑止の名目であれ、核兵器を認めることはできませんと訴えています。核は抑止力として必要だという考え方について、区長の見解を求めます。


 板橋区平和都市宣言は、世界平和実現のために板橋区が積極的な役割を果たすことを誓い、核兵器の廃絶を世界に訴えています。平和都市宣言の精神は被団協の皆さんと志を同じくするものです。平和都市宣言で被団協と理想を共有する板橋区として、核廃絶の声を広げるため、被団協のノーベル平和賞受賞を祝うイベントの開催を検討してはいかがでしょうか。

2 物価高騰から中小企業をまもれ
 ⑴ 中小企業に寄り添う経営相談を


 次に、物価高騰から中小企業を守ることについて質問します。
 まず、中小企業に寄り添う経営相談についてです。物価高騰の原因は、コロナ禍からの回復やロシアのウクライナ侵攻による原油と穀物の価格の高騰だけではありません。アベノミクス以降の超低金利政策により大量の通貨供給が行われ、低金利が続きました。この金融政策は、株高、円安をもたらし、大企業、機関投資家などには多大の利益をもたらしましたが、深刻な物価高騰の原因となり、一般の国民と中小零細企業を苦しめています。物価高騰は政府の金融政策の失敗、自公政権の政治の責任にほかなりません。石破内閣の総合経済対策では、AIや半導体を製造する大企業に10兆円を超える大盤振る舞いをする一方、中堅、中小企業の経営基盤の強化、成長の支援をうたっていますが、物価高騰に苦しむ中小企業に寄り添う姿勢は見られません。かつて菅内閣は、日本の中小企業は今の半分でいいと主張するデービッド・アトキンソン氏を重用し、中小企業の統合再編、大企業に成長しようとする中堅企業の重点支援を掲げてきました。中小企業を淘汰すればいい、このような政策は経済政策の名に値するのでしょうか。自公政権が進めてきた中小企業政策は、多大な問題があると言わざるを得ません。中小企業の多くは大企業化、規模拡大を望んでいるわけではありません。今まで続けてきた、ささやかな生業を続けていきたい、顔の見知った顧客のため、やめるわけにはいかない、このような思いを胸に営業を続けています。そうした思いを支援することが政治の役割であり、中小企業基本法の精神です。困ったときに、身近な相談窓口があることが大切です。中板橋で長く休業していたお店があります。顧客の満足のため頑張ってきましたが、営業不振が長引き、借金を返済するために、ご主人は別のところで勤めているということでした。先日、営業を再開することになりましたが、困ったとき、すぐに区の相談窓口につながってはいませんでした。区の相談窓口は多様な要望に応えるべく、産業振興課、産業振興公社などに様々な窓口があり、多くの方は、自分がどこに相談すればいいのか分かりにくいのではないでしょうか。また、区の相談窓口は敷居が高いと思っている業者は多いのではないかと考えます。気軽に何でも相談できるよう、ワンストップで相談できる窓口を設け、複数存在する窓口の分かりにくさを解消すべきではないかと考えますが、見解を求めます。


 さて、企業活性化センターは、区内の創業を考える方々に、レンタルオフィス、貸し会議室、セミナー、相談などでサポートしています。この企業活性化センターには、重要な役目がもう一つあります。それは、経営改善チームです。中小企業の悩みに答え、相談だけではなく、伴走型で支援する取組です。経営改善チームは、大手企業OB、実務経験者、税理士、弁護士、中小企業診断士などの様々な分野の専門家が、どんなに悪い状況の企業でも支援しますと呼びかけて、丼勘定から脱却し、経営者たちが自分たちで売上計画、資金繰り表をエクセルで作成できるまで徹底的にサポートしています。2008年に発足してから、板橋モデルとして全国でも知られてきました。しかし、経営改善チーム、板橋モデルは区内事業者に十分に周知されているでしょうか。企業活性化センターは、創業の支援という役割が、パンフレット、ホームページなどでアピールされていますが、経営相談のスタッフを置き、中小企業の相談の窓口となっている経営改善チームをもっと強調すべきです。板橋モデルの相談機能を前面に出し、その役割を十分に発揮するために、周知方法について検討を行うべきと考えますが、いかがでしょうか。


 困ったときに相談窓口が必要なのは当然ですが、日常的に区内の中小業者に寄り添い、予防的に支援する取組も必要です。人間ならば定期的な健康診断、体力測定があるように、中小企業の経営状態を診断する企業の診断制度を創設したらどうでしょうか。見解を伺います。

 ⑵ インボイス制度の廃止を


 次に、インボイス制度の廃止を求めて伺います。昨年10月、消費税にインボイス制度の導入が行われました。今年3月の申告では、昨年10月から12月の3か月分でしたが、来年3月には1月から12月まで1年分を行わなければなりません。導入の深刻な影響があるのは、来年3月からと考えられます。また、業務外の負担増も深刻です。特に個人の事業者は、事務手続や帳簿管理などに時間が取られ、本来の業務に当たる時間が削られ、売上げにも影響をもたらすという事態も起こっています。インボイス制度の廃止を求める税理士の会によると、免税事業者からインボイス登録を行った業者は、昨月末で105万人、そのうち納税したのは87万人です。そのうち、預金を取り崩して納めた人は70%、借入れをして納めた人は10%、滞納した業者もあります。所得税や法人税は利益がなければ納める必要はありませんが、消費税は収入に課税され、赤字でも納めなければなりません。政府は、免税事業者がインボイス登録をして課税事業者になった場合、緩和措置として2割特例を行うことにしていますが、2026年までの時限的な措置です。預金を崩して、あるいは借金をして納税しなければならない業者の負担軽減になるでしょうか。負担増の根本的な解決とは言えません。そこで伺います。インボイス制度で影響を受ける中小企業、個人事業主のために、インボイス制度や消費税に関する相談窓口を設けるべきと考えますが、いかがでしょうか。免税事業者は1000万人と言われています。105万人の登録でも納税困難な業者が広がっていますが、1000万人が登録し、滞納することがあったらどうなるでしょうか。インボイス制度が存在することは、国全体にとって、また地域経済にとっても大きなマイナスです。そこで区長に伺います。インボイス制度の廃止を国に求めるべきと考えますが、いかがでしょうか。

3 気候危機対策の強化
 ⑴ みどりのまち、いたばしのために


 次に、気候危機対策の強化について伺います。
 まず、緑のまち板橋のために質問をします。今年は昨年と並び、過去最高の猛暑となりました。6月の東京の最高気温が30度を超える真夏日が61日、35度を超える猛暑日は19日となり、いずれも例年の平均を大きく上回る日数です。このまま対策を行わなければ、2100年には年間の真夏日が105日になるという予測もあり、そうなると、1年の3分の1が真夏日になる計算になります。樹木は農地、草地の緑よりも大気の冷却作用がより大きいとされてい2050ます。気候変動適応、ヒートアイランド対策など、都市の夏の高温を抑えるためには、さらなる緑化が必要と考えます。区が策定したいたばしグリーンプラン2025では計画改定の背景を、地球温暖化の原因となる温室効果ガスの吸収源対策として、緑の保全とさらなる創出が求められていますとしていますが、温室効果ガスの吸収源対策のための具体的な施策は示されていません。確かにいたばしグリーンプラン2025は、都市緑地法に規定された、市町村の緑地の保全及び緑化の推進に関する基本計画であり、気候危機対策のために策定されたものではありません。しかし、現在の地球温暖化の現状を考えれば、気候危機対策を策定の目的に加えるのが当然と考えます。板橋区が2050年にゼロカーボンを達成するには、都市の緑によって温室効果ガスを吸収するなど、あらゆる手段を講じることが欠かせません。しかし、今年5月16日の都市建設委員会で報告されたグリーンプラン2035の策定方針でも、何のために緑を増やすのかという目的が不明であり、気候危機対策への言及はありません。グリーンプラン2035では、気候危機対策、温室効果ガス吸収を明確に目的に定め、緑の量を増やす施策を講じることが必要と考えますが、いかがでしょうか。


 グリーンプラン2025では、緑被率を2014年の20.3%から、2025年には21%を目指すことになっています。しかし、2019年に行った結果では、19.4%と2014年よりも減少しています。来年度策定されるグリーンプラン2035では緑被率の目標を引き上げるべきと考えますが、いかがでしょうか。
 また、都立公園がある地域は緑被率が高くなっていますが、区の南部では緑被率が低い傾向があり、地域的偏りが見られます。区全体の緑を増やす必要があるのではないでしょうか。未来をはぐくむ緑と文化のかがやくまちにふさわしく、区として緑を増やすことに取り組むべきと考えます。公園などの植樹すべき樹木の数の基準を設ける、また、公園を拡大し、樹木を保全するために民地の確保について方針を講ずべきと考えます。見解を求めます。
 街路樹も都市の重要な緑です。街路樹の拡充が必要です。減らすべきではありません。区が管理する区道の幅の限界、落ち葉の処理の問題など課題はありますが、気候危機対策、ヒートアイランド対策を前進させるためにも、街路樹を増やしていく必要があります。区として街路樹をどうするのか、方向性を定めなければなりません。そこで伺います。グリーンプラン2025には、街路樹の質の向上という項目がありましたが、量の向上も検討すべきではないでしょうか。グリーンプラン2035では街路樹を増やす方針を示すべきと考えますが、いかがでしょうか。


 石神井川の桜並木は1000本を超える桜が咲き誇る区内を代表する桜の名所で、板橋十景の一つに数えられています。この桜並木は区が管理する街路樹です。石神井川の桜並木の老木の伐採が行われています。今後、再び植樹されるのでしょうか。減らすべきではないと考えますが、いかがでしょうか。
 東京大学の都市・ランドスケープ計画研究室の白石欣也さんが、東京23区の樹冠被覆率を調査した論文を発表しました。ここで2013年と2022年の東京23区平均の樹冠被覆率を比較すると、9.2%から7.3%へと下がったことが明らかになりました。板橋区では、9.3%から7.9%へと下降しています。樹冠とは、樹木の上部の枝、葉の茂っている部分のことを言い、樹冠被覆率は土地の面積に対する樹冠の占める割合を示しています。樹冠が大きければ大きいほど、気温を下げる効果と温室効果ガスを吸収する効果があります。今年の第3回定例会一般質問において、区として樹冠被覆率の目標を持つべきという質問に対して、区長は緑被率が19.4%、樹木被覆地率は13.6%と答えています。区が指標とする樹木被覆地率は中低木を含んだ指標です。樹冠被覆率は、温室効果ガスを吸収する効果がより大きい高木を対象としたもので、樹木被覆地率より適切と考えます。区としても樹冠被覆率の調査を行うべきと考えますが、いかがでしょうか。また、その上で目標を設定すべきと考えますが、見解を求めます。

 ⑵ 再エネ由来電力の拡充


 次に、再エネ由来電力の普及について伺います。国連気候変動枠組条約第29回締約国会議、COP29は、1.5度目標に向け、各国が目標を引き上げることができるかどうかが焦点となり、途上国への資金支援を46兆円とすることで合意し、24日に閉幕しました。目標に向けた各国の取組は大幅に遅れており、想定より早く平均気温の上昇が1.5度を超えてしまう予測も行われています。目標達成のためには、化石燃料由来のエネルギーから再生可能エネルギーの利用に転換すること、火力発電からの撤退が求められます。電気料金の高騰が続いていますが、それは化石燃料の価格に左右されているからです。再エネ由来の電力に移行すれば、電気料金も安定し、そもそも化石燃料を海外から買う必要も減少します。板橋区としても、導入を一層加速させることが必要です。2022年に策定されたゼロカーボンいたばし2050では、ゼロカーボンを実現させる具体的な取組として、再エネ100%電力の計画導入が筆頭に挙げられ、本庁舎をはじめ41施設に導入済みで、今後も随時導入を拡大していく予定となっています。現在では、102施設、61.8%に拡大しているということです。そこで区長に伺います。区有施設の61.8%で再エネ由来電力が導入されていますが、区有施設全体の電力の使用量の何%が再エネ由来電力でしょうか。お示しください。


 区有施設で再エネ由来電力をさらに増やしていくための見通しをお聞かせください。再エネ由来電力の普及が遅れているのは、料金が割高であることが理由の一つです。そもそも電気料金が高騰する中で、割高である再エネ由来の電力を利用するという選択は難しいものがあります。しかし、普及を高めるために、一般家庭、中小企業に再エネ由来電力利用の拡大をするために補助を行うべきと考えますが、いかがでしょうか。


 東京都の運輸部門の温室効果ガス排出量は、2022年度の速報値で870万トンCO2となっています。比較的排出の削減が進んでいる部門ですが、さらなる削減を進めていかなければならないことは言うまでもありません。そのために、区が使用する車両をCO2を排出する車からEVに転換することが必要です。ゼロカーボンいたばし2050では、再エネ100%電力を利用した電気自動車の導入も具体的な取組として挙がっています。庁用車として、再生可能エネルギー100%電力を利用した電気自動車を令和4年度に新たに1台導入したとなっていますが、これでとどまっていてはなりません。その後の導入拡大が必要です。そこで伺います。本庁舎の庁用車のうちEVは何台でしょうか。また、区有施設でのEVのための充電システムの導入状況はどうなっているでしょうか。また、区がリースして、本庁舎で使用している車両に関してもEV化を進めるべきと考えますが、見解を求めます。

4 旧中央図書館跡地の活用に区民の声を


 次に、旧中央図書館跡地の活用について質問します。
 いたばし№1実現プランでは、令和6年度中に、旧中央図書館跡地の活用方針を検討するとしています。しかし、今のところ、今後の方針や計画について区の説明はありません。区民からは、かつての区の計画のように、常盤台区民事務所の移転先として、あるいは文化施設の設置、常盤台公園の拡張など様々な要望が出ています。区有施設の在り方は、庁内だけの議論で決めるべきではありません。近隣の住民をはじめ、広く区民を交えた議論を重ねた上で決めるべきです。№1プランでは、上板橋駅南口駅前周辺地区におけるまちづくりの進展や緑化及びDXの進捗状況などを踏まえ、活用方針を検討するとしていますが、方針はどこまで固まっているのでしょうか。お示しください。また、旧中央図書館跡地活用のため、区民の声をどのように反映させていくのか、見解を求めます。

5 中板橋駅周辺のまちづくりについて


 最後に、中板橋駅周辺のまちづくりについて伺います。
 中板橋駅周辺まちづくり勉強会が今年度、既に3回開かれ、年内に4回目を経て、今年度中にまちづくり協議会が開かれると伺っています。大山駅周辺の立体化では、まちづくり協議会が事業化に先んじて設置され、計画が策定されました。また、上板橋駅周辺、そしてときわ台駅周辺地域のまちづくり協議会が今年度開催されています。大山駅周辺は鉄道立体化の対象地域であり、上板橋駅-ときわ台駅間は検討地域となっています。そこでまず伺います。まちづくり協議会は何を目的としているでしょうか。中板橋駅周辺は対象外ですが、鉄道立体化推進課が進めています。協議会は立体化を推進することを目的としているのか、お聞きします。
 まちづくり勉強会はどのような方がメンバーになっているのでしょうか。勉強会で話し合われたことは公開されているのでしょうか。まちづくりは広く住民に呼びかけ、住民参加で進めるべきと考えますが、見解を求めます。
 以上で私の一般質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。

◎区長(坂本健) 

 それでは、小柳しげる議員の一般質問にお答えいたします。
 最初は、核抑止力についてのご質問であります。板橋区平和都市宣言では、非核三原則を堅持し、核兵器廃絶を全世界に訴えることを宣言しておりまして、平和都市を宣言する自治体の長として、引き続き世界平和の実現に向けた取組を展開していきたいと思います。なお、平和に向けて外交努力を行う政府の安全保障政策に関しましては、様々な議論があることも承知をしておりまして、今後も国家の安全保障に関する動向を注視してまいりたいと考えています。
 

 次は、ノーベル平和賞を祝うイベントについてのご質問であります。日本原水爆被害者団体協議会が、世界平和を目指し、核兵器廃絶に向けた活動の評価を受け、ノーベル平和賞を受賞されたことは誠に喜ばしく、心から祝意を表したいと思います。区では、板橋区平和都市宣言を宣言して以来、様々な平和都市宣言記念事業を通じ、区内外に向けて平和意識の高揚を図っておりまして、ご提案のイベントを開催する予定はないところであります。


 次は、ワンストップで相談できる窓口の設置についてのご質問であります。区内にある中小企業は、業種や規模、その経営状況が異なるために、課題はもちろん、目指す将来像も幅広く、相談内容も様々であると認識をしております。現時点においては、融資、経営改善、事業継承、専門家派遣などについて、産業振興課や産業振興公社、企業活性化センターがそれぞれ相談を受けているところでございます。今後も複数の窓口が連携を図りながら、中小企業の様々な相談に応じた適切な支援を行い、ワンストップ相談の機能を果たしていきたいと考えています。


 続いて、板橋モデルの周知についてのご質問であります。企業活性化センターの経営改善チームは、平成20年のリーマンショックをきっかけに、板橋区緊急経済対策の一環として発足をいたしました。各分野の専門家による経営者に寄り添った支援手法が板橋モデルとして全国に広がり、中小企業庁からもよろず支援拠点の先進的な事例として紹介がされています。現在、複数の窓口から経営改善チームにつなぐ体制も整っておりまして、多くの事業者が相談できるようになっておりますが、より効果的な周知方法については、引き続き検討していきたいと考えています。


 次は、企業の診断制度の創設についてのご質問であります。定期的に自社の経営状況を診断することは、業績不振に陥る兆候を早期に発見し、改善につなげるなど、健全な経営を続けていく上で重要であると認識しています。現在、経済産業省においては、企業の健康診断ツールとしてローカルベンチマークを公開し、各企業や金融機関、支援機関での活用を推奨しております。ローカルベンチマークは営業利益率や労働生産性など6つの指標による財務面の分析と、経営者、内部管理体制など、4つの視点による非財務面の現状把握により、企業の課題を早期に発見できる仕組みになっております。経営改善などにも活用できることから、区内事業者などに対しまして活用を促し、健全な経営の継続を支援していきたいと考えています。


 次は、インボイス制度に関連いたしまして、相談窓口の設置についてのご質問であります。インボイス制度への対応につきましては、制度開始前から産業振興公社や区内産業関連団体が説明会を開催するなど、区内企業が的確に対応できるように支援が行われてまいりました。また、産業振興公社の専門家派遣制度においては税理士の派遣が可能となっておりまして、対応に苦慮している事業者にご利用いただいているところでございます。インボイス制度への対応については、引き続き産業振興公社が行う専門家派遣制度をご活用いただきたいと考えています。


 続いて、インボイス制度の廃止についてのご質問です。複数の税率下で適正な課税を確保するためにインボイス制度は必要な制度であり、国においても様々な支援策を講じていることから、廃止を求めることは考えていないところであります。


 次は、気候危機対策等に資する取組についてのご質問であります。現在、次期計画となるいたばしグリーンプラン2035の策定を進めておりまして、令和7年第1回定例会で骨子案の報告を予定しております。次期プランの策定に当たりまして、温室効果ガスの吸収までは目的に定めないものの、ゼロカーボンやヒートアイランド対策など、気候危機対策に資するよう、緑の保全活動を推進し、将来も過ごしやすいまちの実現につなげていくことを検討しております。また、今ある貴重な緑を守るとともに、まちづくりの機会を捉えて、質の高い緑を増やすなど、次期プランにおいては緑を生かすための施策を主軸に検討しているところでございます。


 続いて、緑被率の目標設定についてのご質問であります。現計画のいたばしグリーンプラン2025においては、緑の量に関する数値目標として緑被率を設定しておりまして、21.0%を目標値としております。区では、建築行為等を行う際の緑化指導の対象を、原則全ての土地に拡大をするなど、緑化の底上げに努めておりますが、最新の緑被率は令和元年度調査の19.4%となっておりまして、目標値を下回っている状況にございます。今後、各地区での駅前再開発や高島平地域などでの大規模なまちづくりなどとの取組による新たな緑の創出に加え、残された緑を保全しつつ、より緑を生かす取組を進めていきたいと考えています。


 続いて、樹木数設置基準の設定及び民地確保についてのご質問であります。区立公園は多様な機能を有しておりまして、地域のイベントや保育園の運動会、災害用途で活用するため、樹木の設置していないオープンスペースの提供も必要であり、樹木の本数のみを重視し、設置基準を設けることは難しいと考えています。また、区では平成24年に策定いたしました板橋区緑の保全方針に基づき、民間の樹林地や農地の確保に努めておりまして、樹林地等の所有者から土地を借りて区民へ開放する市民緑地制度を運用するとともに、機会を捉えて市民緑地を買い取り、公園として供用しているところでございます。


 続いて、街路樹の量の向上についてのご質問であります。街路樹の整備は区内の施工可能な路線のほとんどで完了しておりまして、今後、街路樹を増やせる路線は市街地再開発事業などで新規に整備する幅の広い道路に限られていると考えます。一方、街路樹は気候変動対策に有効なだけではなく、身近な緑、美しい緑として、人々に安らぎや潤いを与えることができる都市の重要な緑であるとも認識をしております。現状では街路樹の量を増やすことが難しいところではありますが、まちづくりでの取組や維持管理手法の工夫などによりまして、街路樹の質を高め、より多くの区民の皆様に、緑が暮らしを豊かにすることを実感してもらえるように努めていきたいと考えています。


 続いて、石神井川桜並木についてのご質問であります。石神井川の桜並木につきましては、定期的に専門家による樹木診断を行い、腐朽が進んだ樹木や空洞が大きい樹木について、危険排除の観点から伐採を行ってまいりました。伐採した樹木の太い根を生木のまま除去するのに費用と手間がかかることから、根が一定程度腐るの待ち、除去しやすくなってから作業を進め、併せて植樹を行っているところでもあります。今後、適正な植栽間隔を考慮した植え替えや、生育環境に適応できる別の品種への植え替えを含め、計画的な更新を検討し、区民の財産である桜並木の存続を図っていきたいと考えています。


 次は、樹冠被覆率の調査実施等についてのご質問であります。緑は温暖化対策に有効なだけではなく、人々の生活に潤いと安らぎを与えたり、緑を通じて人と人とが触れ合い、暮らしを豊かにするなど、多様な機能を有していると考えます。区では、5年に一度実施しております緑地・樹木の実態調査の中で、樹冠被覆率とほぼ同意義であります樹木被覆地率も把握できていることから、現時点においては樹冠被覆率の調査を実施する予定はないところであります。また、荒川河川敷の広大な草地や赤塚・徳丸に残る農地なども多様な機能を有する貴重な緑であるため、今後も緑全体を把握できる緑被率を目標に施策を展開していきたいと考えています。 


 次は、再エネ由来電力の使用量についてのご質問であります。区では、令和5年度に、区の高圧受電施設165施設のうち41施設、全体の割合としては約26%に再エネ由来電力を導入し、使用量の割合では約30%を占めているところでございます。令和6年度は102施設、率にすると全体の施設の62%までに導入を拡大したところであります。使用量の割合については、実績確定後の算出となりますけれども、昨年度以上に再エネ由来電力の割合が拡大するものと見込んでいるところでございます。


 次は、再エネ由来電力の導入拡大の見通しについてのご質問であります。板橋区地球温暖化対策実行計画事務事業編においては、令和7年度までに、区の高圧受電施設の電力使用量の約64%まで再エネ由来電力を導入することを目標としております。令和6年度の使用量の実績は今後確定となりますけれども、目標に近い水準にまで再エネ由来電力の使用量が増加するものと見込んでおります。


 続いて、再エネ由来電力の補助拡大についてのご質問であります。区では、家庭や企業への再エネ由来電力の補助については、いたばし環境アクションポイント事業においてポイントを付与しております。再エネ由来電力は家庭や企業が取り組む気候変動対策の一つとして捉えているところであります。区としましては、再エネ由来電力の補助拡大は考えていないところでありますが、国や東京都の施策の動向を踏まえて検討していきたいと考えています。


 続いて、本庁舎におけるEVと充電設備についてのご質問であります。区では板橋区地球温暖化対策実行計画2025に基づきまして、2050年に二酸化炭素排出量の実質ゼロを目標として掲げておりまして、この取組の一つとして庁用車のEV化を進めております。現在、本庁舎ではEV、電気自動車5台、PHEV、プラグインハイブリッド自動車2台の合計7台を運用し、その充電設備5台分も確保しております。今後も電気自動車の導入を進めていくほか、車両台数や運行状況を踏まえて、充電設備の増設を検討していきたいと考えています。


 続いて、庁有車のEV化の推進についてのご質問であります。区では、各部署で使用しております業務用リース車両がリース契約の更新を迎える際には、電気自動車への切替えを進めております。今後も庁有車のEV化については、運行距離などの業務における利用状況等を踏まえて、使用の用途を考慮し、導入を進めていきたいと考えています。


 次は、旧中央図書館跡地活用方針の検討状況についてのご質問であります。いたばし№1実現プラン2025改訂版でお示ししたとおり、いただいているご意見や敷地条件、周辺まちづくりの状況等を踏まえながら検討を進めておりまして、今年度中に活用方針を取りまとめる予定であります。
 続いて、区民意見の反映方法についてのご質問であります。区民の皆様のご意見を踏まえながら、行政課題の解決にとどまらずに、周辺地域、区全体の発展に寄与する跡地活用を目指していきたいと考えています。


 次は、今後設置予定のまちづくり協議会の目的についてのご質問であります。東京都の方針において、中板橋駅付近については鉄道立体化の計画はなされていないところでありますが、歩行者のボトルネック踏切の解消など、多くの課題があると認識しています。協議会は、ときわ台駅、上板橋駅北口周辺地区に続きまして、東武東上線の沿線まちづくりの一環として、将来的な立体化も見据え、区民との協働によるまちづくりの推進を目的として設置されるものであります。協議会では、歴史、文化、地区の成り立ちなど地域特性を踏まえ、未来につながるまちづくりとして地域住民主体のマスタープランを作成し、その実現を目指してまいりたいと考えています。


 続いて、まちづくり勉強会についてのご質問です。中板橋駅周辺のまちづくり勉強会のメンバーは、地元町会長や商店会長をはじめとする地域の代表者で構成されております。勉強会での検討内容はまちづくり協議会を設置するための準備であり、現段階では公開していないところであります。今後、勉強会のメンバーに加え、地域から公募委員を募集し、地域住民主体のまちづくり協議会を設立する予定であります。
 小柳しげる議員の一般質問に対する答弁は以上でございます。

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