2025年第1回定例会 いわい桐子区議 一般質問

質問日:2025年2月13日

ただいまから、日本共産党板橋区議団を代表して一般質問を行います。

1.能登半島地震から1年ー国の責任で速やかに復興を
 初めに、能登半島地震被災者の生活再建と、その教訓から質問をします。
 能登半島地震から1年、9月には豪雨災害が襲い、新しい生活を始めたばかりの地域は大きな打撃でした。災害関連死が288人にも及んでいます。支援が届かない、既存コミュニティ単位での避難ができない、早い段階での支援の打ち切り、仮設住宅の狭さなど、阪神・淡路大震災以降、震災復興で積み重ねられてきた経験が生かされておらず、避難生活や復興の在り方、復旧の遅れは過去の震災と比べて突出しています。家屋の被害判定では、専門家の多くが引き揚げ、自治体職員が担っているため、人手が足りず、不服による二次審査待ちも多く、先が見えません。現行制度の枠内では、家屋が半壊以下の判定だと仮設に入れず、公費解体、医療費減免などが受けられません。修繕に入れず、冬を迎えても壊れた家に住む状況です。能登で起きている問題は全国で起き得ることです。能登の復旧・復興に国が責任を持って取り組むべきです。同じ地方自治体の長として、住宅再建への公費負担引き上げ、中断した自治体職員の派遣、専門家の派遣など、能登の住民や自治体の要望に応えて、実態に合った制度の柔軟な活用や既存の制度枠を超えた新たな支援策を国の責任で実施し、一日も早く生活再建につなげるよう、政府へ強く求めていただきたい。
 政府は災害関連死を防ぐために、福祉的な対応も含めて、災害対策基本法や災害救助法を改正するとしています。そもそも災害対策基本法や災害救助法は、日本国憲法第25条の生存権を災害時にも保障するためのものです。そのため、実態に合っていない基準などの明確化だけではなく、一人ひとりの被災者の状況に応じて、健康で文化的な生活を保障する仕組みにならなければなりません。どんな災害のときも、お金の心配なく、直ちに温かい食事や入浴やトイレの設備、医療や介護、教育などが受けられ、障がいや子ども、高齢者など、その人の状況に合った対応が必要です。災害対策基本法と災害救助法の改正に当たって、スフィア基準の根幹にある災害や紛争の影響を受ける人々は尊厳を持って人生を送る権利があり、したがって、援助を受ける権利があるとした考えを具現化する改正となるよう政府に対し、区として意見を上げていただきたいが、いかがでしょうか。
 内閣府は昨年12月に、避難所運営の自治体向け指針を改定し、これまでの参考にすべき基準にとどまっていたスフィア基準に対応するよう求めています。スフィア基準では、避難所内の1人当たりの居住スペースを最低3.5平米と明示していますが、区避難所は1.65平米です。マットレスなども避難想定人数分はなく、スフィア基準が求める避難所開設当初から雑魚寝しないという状況には程遠いものです。そこで区長に質問します。区の避難所の備蓄品や避難所運営などをスフィア基準の考えに基づいて再点検し、必要量や内容の見直しを直ちに行うことを求めます。

2.障害者の権利保障を求めて


 次に、障害者の権利保障を求めて質問します。
 日本が障害者権利条約を批准して今年で10年です。国連障害者権利委員会が2022年に初めて行った日本政府への勧告は、日本の障害者政策が障害者を人権の主体として捉えず、恩恵的に保護するという考えに立っていると指摘し、障害者一人ひとりの個別事情に沿って、社会参加に必要な支援を権利として得られるよう求めています。厚生労働省の全国在宅障害児・者等実態調査では、障害を持つ人の人数は5年前の調査と比べて24.3%増える一方、障害福祉サービスは障害児・者の約2割しか利用していません。日本の障害福祉予算はGDP比で見れば、OECD諸国の平均の半分しかありません。そこで区長に伺います。日本の障害認定や等級による支援の量の水準が、障害者本人や家族が希望する支援に届いていない実態に対する区長の認識をお答えください。
 障害児施策も子どもの権利保障という観点で位置づけるべきです。障害児を持つ家族からは、障害福祉への利用料補助における所得制限撤廃を願う声が上がり続けています。練馬区では障害児の育ちを社会全体で支えることが必要であるとして、2025年度から、総合支援法に基づく日常生活用具給付事業などの所得制限を撤廃し、全ての障害児を給付対象とする方針を発表しています。板橋区でも障害児の福祉サービスにおける所得制限の撤廃や利用料無償化が必要です。区が関わる障害児福祉サービスの中で所得制限が設けられている事業の数と、所得制限を撤廃した場合の対象人数と影響額をお示しください。同時に、区として所得制限を撤廃することを求めます。
 障害者の65歳問題は、いまだに障害を持つ人が必要なサービスを受けられない状況を生んでいます。70代後半で一人暮らしをしている知的障害者の方は、65歳以上であることを理由に、介護保険だけの利用です。本人はリハビリを受けて、今後も自宅で過ごしたいと求めていますが、上限まで利用しているため、これ以上利用できないと言われています。しかし、ケアプランを見直し、リハビリも含めて、介護保険と障害福祉サービスの組合せで利用できるはずです。区は対応していると言いますが、実際に障害者自身にサービスが届いていません。そこで区長に質問します。総合支援法の介護保険優先原則を改め、国庫負担基準における介護保険対象者の減額措置を直ちに廃止するよう国に求めていただきたい。また、区として、個々の状況に合わせてサービス内容を検討できることを当事者や関係者等へ周知徹底していただきたいが、いかがでしょうか。
 国連勧告の一つとして、障害者団体の政策決定への参加が求められています。区は昨年、あたかも障害サービスにおけるワンストップサービスが提供できるかのようなことを示唆して、障害に係る担当や窓口の再編を行いましたが、その決定に障害当事者や障がい者団体は参加もできず、蓋を開ければ、むしろ複雑で不便になったと声が上がっています。区は、今後、ワンストップサービスを目指すと言ってきましたが、再編後の1年間の利用者の声、再編による課題、ワンストップサービスに向けた検討状況をお示しください。
 区の再編は障がいの種類や年齢で線引きして窓口を分類したため、新たな差別やサービス低下を生んでいます。練馬区の障害者地域生活支援センターは、障がいの種類で分けず、全ての障がいを持つ人やその家族を対象に、障がいのある人が自立した日常生活や社会生活を送れるよう支援を行っています。区内4か所に設置され、原則無料で、電話や面談等による総合的な相談、福祉サービスの利用支援、情報提供などを行っています。その一つである光が丘のすてっぷを視察してきました。いつも常駐する職員がいて、センターに行けば相談ができ、センターで過ごすこともできます。障害者にとっては居場所にもなっていることが、地域で暮らし続けるために重要です。障がいの種類や年齢で分けず、区内のどこに住んでいても利便性が保障され、相談や支援につながる仕組みや居場所が必要です。直ちに障害当事者や障害者団体の参加で検討し、板橋区の障害者福祉のワンストップサービスを一日も早く実現することを求めます。
 介護事業所の経営悪化が障害者福祉にも大きな影響を生んでいます。区内で特別養護老人ホームやデイサービスなどに加え、障害者の生活介護、放課後等デイサービスなど大規模に運営している社会福祉法人でも、経営難と人員不足を理由に、ヘルパーステーションの障がい者部門を今年3月いっぱいで閉鎖すると利用者に通知しています。重度障がいの子どもを持つ母親は、一つの対応で命にかかわるのに、担当者の変更による引継ぎ期間も示されない対応で、3月以降、まともな対応をしてくれる事業所が見つかるのか不安で眠れないと話しています。このままでは母親が働き続けることは困難で、介護離職ゼロなど程遠い実態です。そもそも介護保険制度は、スタート当初から給付の充実や介護報酬増加、介護職員の処遇改善などを行うと、それが保険料や利用料の負担に跳ね返ると指摘されてきました。その矛盾を解消するには、国庫負担を抜本的に引き上げるしかありません。国に対し、介護保険の国庫負担を10%引き上げ、介護報酬の増額、介護職員の処遇改善、介護事業の継続支援を行うことを強く求めていただきたいがいかがでしょうか。
 介護事業所の閉鎖、撤退が相次ぐ中、民間任せでは、介護の事業を維持できないと判断した自治体は、独自に公費を投入し、介護事業所の経営や介護職員の賃金を保障する取組を開始しています。私たち区議団の区内介護事業所アンケートでも、ヘルパーが見つからずに訪問介護を断ることがあるという回答が寄せられています。区が提案した補正予算の物価高騰対策でさえも、訪問介護事業所は対象外となっています。区として直ちに区内介護事業所への聞き取りや実態調査を行い、訪問介護事業所への経済的支援策の実施を求めます。

3.国民健康保険料の引き下げと相談強化を


 次に、国民健康保険料について質問します。
 東京都は2025年度の国保料算定に当たり、国保の被保険者数が前年度より0.9%減少するものの、医療給付費の減額により、納付金額総額が6.1%の280億円減額となることを2月6日の東京都国民健康保険運営協議会に示しました。その結果、法定外繰入れを行わない場合の1人当たりの保険料も、前年比で1万580円の引下げとなることを明らかにしました。また、都国保運営協議会では、各自治体からの要望を受けて、この余剰金の一部を2025年度の納付金算定に活用して納付金額を減額したことも明らかにしています。そもそも、国民健康保険の加入者は8割以上が低所得世帯です。高過ぎる国保料の負担こそ軽減すべきです。板橋区の納付額は、幾ら下がるのかお示しください。また、国民健康保険料の引下げを求めます。
 毎年、引き上がる国民健康保険料を払えない人への差押えは、2014年度の199件から2023年度の750件と、10年間で約4倍も増えています。区は差押えが相談につながるなどと言ってきましたが、実際に相談に行っても、まず5万円払えなければとか、分割納付についても、最低でも月2万円納付をなど、加入者が払えない金額を提示し、実態に寄り添うよりも、払う条件を優先する対応です。生活に困窮していても、福祉事務所を紹介するだけで福祉事務所につなぐ対応は行われていません。とても差押えが相談につながるという対応とは言えません。国保料を払えないという声から生活再建へつなぐことこそ必要であり、非課税世帯にまで差押えを行っている場合ではありません。保険料を払うことができない世帯に対し、福祉事務所を紹介するだけでなく、窓口に同行することや、相談の場面で福祉事務所に電話し、福祉事務所に行く日を決めるなど、実際に生活保護が必要な人が申請にたどり着くなどの対応に改善し、生活再建までつなぐ相談対応の強化を行っていただきたい。また、非課税世帯への差押えは行うべきではありません。区長の考えをお答えください。

4.学校は町の拠点「学校をなくさない」宣言を

(1)過小規模校への対応強化を


 次に、学校をなくさないと宣言することを求めて質問します。
 区教育委員会は、いたばし魅力ある学校づくりプランの後期計画を策定するため、2035骨子案を示し、前期10年間は区の人口推計を上回る人口増とコロナ感染症拡大時の緊急財政対策、まちづくりによる大規模集合住宅建設で学校整備スケジュールの遅れと教室不足を生んだとしています。そして、後期計画の骨子案では、6学年全て単学級となった2つの小学校を過小規模化の進行により対応を要する学校とし、一定の期間、規模回復の取組を行った上で、規模が回復しない場合には、統合するための協議会を設置するとしています。また、今後の学校整備において、学校教育のみを考えるのではなく、防災、地域連携、環境への配慮、生涯学習とのつながりといった機能や視点を持つことを位置づけています。そこで教育長に伺います。教育委員会が新たに必要と考えた学校施設の防災拠点などの機能をなくしてもいい地域があるのでしょうか。教育長の見解をお示しください。
 教育委員会が課題とするように、大規模な住宅の更新後の世帯構成は学校の児童数に大きく影響しています。とりわけ新河岸地域は、もともと工業地帯に大規模な都営住宅ができたことから、子どもが増え、小学校、幼稚園、保育園と、子どもが育つために必要な施設が設置され、まちがつくられた地域です。しかし、都営住宅の高齢化に伴い、児童数減少を生んだだけではなく、区立保育園のゼロ歳児保育の廃止、区立幼稚園の廃園と続き、ますます児童数減少の条件をつくってきた区の責任も重大です。地域では学校がなくなるかもといううわさが立ち、その児童数への影響も計り知れません。もともと、この地域は用途地域からも大規模な住宅を建てづらい地域で、民間任せでは学校規模の改善にはなりません。現在、建て替えている新河岸二丁目都営団地は、新しい住宅に単身世帯向けの1DKが最も多く、子育て世帯が入居できる住居は15%程度しかありません。まず、学校は過小規模校になっても廃校にしませんと宣言すべきです。また、東京都に対し、新河岸都営団地の建て替えで、ファミリータイプをもっと増やすことを求めていただきたいが、いかがでしょうか。
 次に、小中一貫校についてです。魅力ある学校づくりプラン2035骨子案では、小中一貫校を板橋、志村、常盤台、赤塚、高島平の5つのエリアに1校から2校ずつ整備するとしています。整備する学校は19学級以上の大規模校ではない、十分な面積を確保できる、小学校の通学区域が中学校の通学区域に内包されている、この3つの条件に当てはまる学校にするとしています。現在、その3つの条件に当てはまる学校はどこで、何校あるのか、お示しください。また、その5つの学校は、施設一体型の小中一貫校と考えているのでしょうか、お答えください。

(2)小中一貫校拡大計画の撤回を


 小中一貫校化は、国の公共施設総量抑制方針を背景に全国で進められてきました、つくば市教育長は、2019年に5校目の小中一貫校はつくらないと計画の中断を示しました。そこでは新たな大規模化と小6問題に加え、施設一体型学校がきれいになる一方で、それ以外の学校の老朽化が著しくなるなど、学校間格差が生まれています。既に全国でこうした問題が明らかになっている今、板橋区で施設一体型の小中一貫校を設置することは、教育環境の向上よりも公共施設の総量抑制によるコスト削減を優先していると言わざるを得ません。教育委員会の適正規模及び適正配置に関する基本方針では、1校目の志村小学校と志村第四中学校の一貫校の検証をすると書かれていますが、この1校目でさえも、住民や教育関係者からたくさんの反対意見が上がり、入札不調も繰り返されています。そもそも、小中一貫校による学校大規模化は、区の基本方針による望ましい学校規模を大きく超えるもので、教育環境の向上とは逆行するものです。小中一貫校を整備する方針は撤回すべきです。教育長の考えをお示しください。

5.住民参加の「高島平まちづくり」へ


 続いて、高島平まちづくりについて質問します。
 区が昨年6月に高島平二・三丁目周辺地区地区計画案を発表して以来、高島平の住民には不安な思いが広がっています。そもそも長年検討してきたまちづくりは、ほとんどゾーニングやエリアといったイメージばかりで、具体的な道路整備や住宅建設について、区とURだけで検討し、地区計画案が示されました。しかも、示されたのは旧高島第七小学校周辺の再整備地区だけです。URの建て替えを前提に、再整備地区の高さ制限を現在の45メートルから110メートルに緩和するとされていますが、建てる住宅の高さも住戸数も何一つ明らかになっていません。公共施設の配置場所もURの建て替え後がどうなるのか、駅前を含むまち全体がどうなるのか、住民にとっては全く見通しがありません。再整備地区にURが建てようとする住宅の規模、高さ、戸数が明らかになってから地区計画策定という順番にできない理由と、二・三丁目全体の施設配置も含めた計画を具体化してから地区計画の策定を決めるという進め方ができない理由をお答えください。
 区は、歩行者と自転車の交通量が最も多いけやき通りに車両の出入口をつくれないとして、団地側に区画道路1号を整備し、高島通りへつなぐとしてきました。しかし、区が実施した交通量調査の結果は、歩行者はけやき通りの方が多いものの、旧高七小裏の区道も1日約1,400人と、決して少ない交通量ではありません。それどころか、自転車の交通量では、けやき通りより旧高七小裏の方が平日で656人、休日で382人多い結果となっています。交通量調査の結果を受けて、区画道路を高島通りへつなぐ計画を抜本的に見直すことを求めます。
 9月の住民説明会以降、区の住民への説明は、現地窓口相談会などの実施で情報提供を行うことに終始しています。今年3月の地区計画案の公告、縦覧に対する意見書集約が、地区計画決定前の最後の意見を聞く機会となっています。しかし、原案に対する意見は、6月の説明会も9月の原案説明会、オープンハウス型説明会、現地窓口相談会でも、寄せられた意見の多くが、区画道路1号の整備と110メートルへの高さ制限緩和の反対意見です。区民の意見を受け止めて、地区計画案へどのように反映させたのか説明もせず、意見書の集約を行うのでは、住民の理解は得られません。住民は現地相談窓口やオープンハウス型説明会の実施を否定していません。その上で、住民を集めて行う教室型説明会の実施を求めています。区として、教室型の住民説明会を実施できない理由をお答えください。

6.帯状疱疹ワクチン接種費用助成の縮小撤回を


 次に、帯状疱疹ワクチン接種費用助成について質問します。
 区は、2023年7月から、50歳以上の区民を対象に、1回接種の生ワクチンに4,000円、2回接種の不活化ワクチンに1万円を2回助成してきました。厚生労働省が2025年から接種費用を公費で補助する定期接種に含める方針を示し、対象を65歳以上としたことを受けて、区の助成制度も50歳から64歳までは対象外になります。また、2025年度1年間だけの任意接種助成の申込み書類は、自宅に届かず医療機関でもらうように案内されています。区として、50歳から64歳への一部助成を2026年度以降も継続することを求めます。また、2025年度の50歳から64歳の任意接種助成の案内を自宅に送付することを求めます。

7.軍拡で生活抑制から「社会保障や教育こそ優先する国」へ


 最後に、軍備拡大より社会保障や教育を優先することを求めて質問します。
 石破自公政権の2025年度政府予算案は、史上最高の税収の下でも、国民の暮らしの苦難に全く応えようとせず、軍事費を8.7兆円と異常に突出させた大軍拡予算です。高額兵器の購入費など、複数年度にわたる軍事ローン残高は総額15兆6,628億円に上り、歴代政権が戦時中の反省から使わないとしてきた軍事国債の発行も進んでいます。防衛省のポケットマネーとも言える防衛力強化資金や補正予算への軍事費計上も常態化しています。これだけ財政運営の禁じ手を重ねても軍拡財源が確保できないため、今度は増税に踏み切るという暴挙はとんでもありません。一方で、社会保障は高額療養費の負担増を押しつけ、年金は今回も物価高騰に追いつかない実質削減です。国連憲章に反する暴言を続けるトランプ大統領の求めるまま、大軍拡に突き進んでいけば、戦争をなくすどころか、国民の暮らしや教育、文化への施策は今以上に後退しかねません。そこで区長に質問します。軍備拡大のために社会保障や教育予算を削減し、増税を推し進めれば、区民の生活は守れないと考えます。区長の認識をお答えください。また、区民に負担を押しつける軍備拡大はやめよと国に求めていただきたいが、いかがでしょうか。
 以上で私の一般質問を終わります。

◎区長(坂本健) それでは、いわい桐子議員の一般質問にお答えいたします。
 最初は、能登半島地震に関連いたしまして、政府へ強く要求することについてのご質問であります。能登半島地震から1年以上が経過いたしましたが、被災された全ての皆様が一日も早く元の生活に戻り、まちの復旧・復興が着実に進むことを切に願っております。区では、発災直後から支援物資を継続的に輸送したほか、金沢市と災害時の相互応援協定を締結し、令和6年度は土木職の職員2名を派遣しております。国や県による支援の仕組みは多岐にわたるために、区では支援の状況を見守っていくところでありますが、被災自治体に寄り添った対応が継続されるものと認識をしております。
 続いて、政府に対する法改正への意見についてのご質問であります。東日本大震災の教訓を受け、改正されました災害対策基本法に基づきまして、内閣府が平成28年に作成した避難所運営ガイドラインには、既にスフィア基準の考え方が反映されております。現在、災害対策基本法と災害救助法の改正の動きがあることは承知しておりますが、区としては、その内容を注視していきたいと考えております。
 続いて、備蓄量や避難所運営の見直しについてのご質問です。スフィア基準を踏まえて、避難所の環境整備に努めていくことは重要な視点であると認識しております。国や東京都の動向を注視するとともに、避難所における居住スペースやトイレの配置、備蓄物資の総量など、引き続き質の向上に努めていきたいと考えます。
 次は、障害者の権利保障を求めてに関連いたしまして、支援の水準についてのご質問であります。板橋区では、障がいサービスの支給量の決定に当たりまして、認定調査などを通じまして世帯の状況を丁寧に聞き取り、できる限り個々の利用者に寄り添った対応を心がけているところであります。個々の支給量の決定について、利用者が希望する水準に届かない事例があることは認識しておりますが、今後も制度の枠の中において、障がい者やその家族に寄り添った支援を行っていきたいと考えています。
 続いて、所得制限の撤廃についてのご質問です。令和7年1月現在、区が関わる障がい児福祉サービスのうち、所得制限を設けているのは6事業でありまして、その対象者はおおむね900人となっております。これらの事業全てにおいて所得制限を撤廃した場合、その影響額は概算で約1億円程度と試算しております。現在のところ、全事業においての撤廃は考えていないところでありますが、障がい児への日常生活用具給付事業に関しましては、令和7年度より所得制限を廃止し、全ての児童を対象とする予定であります。
 続いて、介護保険制度との調整についてのご質問であります。障がいサービスの中には介護保険と重複するサービスがありまして、その場合は、原則として介護保険が優先されるのはご指摘のとおりであります。ただし、介護保険にはない障がい特有のサービスなど、一定の要件を満たす場合においては両者の併用も可能であり、区では個々の実態を踏まえた運用を徹底しております。減額措置の廃止を国へ求める予定はございませんが、これまで以上に事業者や当事者へ区の運用を周知し、障がい者の状況に応じた適切なサービスを提供していきたいと考えています。
 続いて、窓口の再編後の課題等についてのご質問であります。窓口の再編に当たりまして、手帳の交付や児童の手続の窓口が遠くなる方が発生する課題を想定し、電話や郵送においても多くの手続が完了できるように準備を進めてまいりました。再編直後は、想定したような意見が寄せられることもございましたが、現在では、本庁舎で全ての手続ができるので便利になったとの声を多く頂いておりまして、取組の成果と考えています。今後も現在の体制を維持してまいりますが、引き続き、より利用しやすい窓口や手続について検討を続けていきたいと考えています。
 続いて、ワンストップサービスの構築についてのご質問です。本年度の組織改正において、福祉事務所の障がい者支援機能を本庁舎及び健康福祉センター内に移設したことによって、障がい種別にかかわらない、一貫した支援体制を構築したものと考えています。また、新設した障がい児支援係では、障がい児の支援機能を本庁舎に集約し、通園相談や就学相談など、成長過程に合わせたワンストップの支援体制を整備いたしました。現在のところ新たな組織改正は考えていないところでありますが、障がい者やその家族の声を聞きながら、誰もが安心して暮らし続けられるまちの実現に向けて取り組んでいきたいと考えています。
 次は、介護事業の継続支援についてのご質問です。介護保険の国庫負担率については、介護保険法により定められておりまして、介護サービス給付の50%を国、東京都、区の3者の租税である公費で賄うものとされております。令和6年度の介護報酬改定においては、訪問介護など一部報酬が引き下げられましたが、全体としましては増額改定となっておりまして、加えて、介護職員の処遇改善加算も引き上げられております。このことから、現在、国に対して国庫負担率や介護報酬の増額等の要望を区として出す考えはないところであります。
 続いて、訪問介護事業所への支援についてのご質問です。訪問介護報酬の改定は、他の介護事業に比べて利益率や人件費率が高いという調査結果から、改定後も利益を確保できるとする国の考えがあったものと認識しています。現在、収益減を原因とする介護事業所の廃止が顕著に増加する傾向は確認されていないところであります。また、令和7年度に、区は介護サービス事業所の経営状況等の調査を予定しております。また、区は事業所への直接的金銭給付による経営支援ではなく、ICT及びDX化の推進による人材確保負担軽減に向けた業務支援に取り組んでいきたいと考えています。
 続いて、板橋区の給付金減額幅と国保料引下げについてのご質問であります。2月6日に開催されました東京都の国民健康保険運営協議会の資料においては、板橋区の国民健康保険事業費納付金の額は前年度比で10億760万円余の減額となっております。なお、新年度の保険料については、2月25日開催予定の板橋区の国民健康保険運営協議会への諮問を経て、今定例会中に国民健康保険条例の改正議案を追加提出する予定であります。
 続いて、生活再建への相談強化と非課税世帯差押えへの見解についてのご質問であります。滞納整理を担当する係のマニュアルには、支援が必要と考えられる世帯に対して、いたばし暮らしのサポートセンターなどの相談窓口を紹介するよう位置づけております。相談窓口の紹介は適切に行えているため、窓口への同行や相談先への日程調整などを行うことは考えていないところです。また、国民健康保険料では非課税世帯への滞納処分を禁止していないため、財産調査等で滞納世帯の実態を把握しながら、法令等にのっとって、適正に処理を行っていく考えであります。
 次は、新河岸都営団地でのファミリータイプの増設についてのご質問であります。東京都は都営住宅の建て替えに当たりまして、建て替え前の入居者の世帯構成に応じた的確な居室構成、面積規模の住宅の供給を図っていると聞いています。都営新河岸二丁目アパートの建て替えにおきましても、この考え方によりまして整備を進めており、さらには計画が進捗していることもあるため、東京都に対して、ファミリータイプの増設を求めることは難しいものと考えています。
 続いて、高島平二・三丁目周辺地区地区計画の進め方についてのご質問であります。区は、高島平地域交流核形成まちづくりプランにおいて、都市機能の配置や駅前拠点エリアの整備方針に加えて、戦略的に進めていく連鎖的都市再生の方針を掲げております。地区計画は地区全体の目標や方針、地区整備計画をあらかじめ位置づけて、まちづくりを誘導する手法でありまして、定められたルールに従い、施設計画が行われていくものであります。将来の社会変化や新たなニーズに応え、柔軟で持続可能な都市へと転換していくために、公共施設やペデストリアンデッキ等の詳細については、まちづくりの進展に伴いまして、段階的に示していきたいと考えています。
 続いて、区画道路を高島通りへつなぐ計画についてのご質問であります。
 区はまちづくりプランにおいて、けやき通りやプロムナードを中心に、誰もが歩いて楽しい、居心地がよい空間を形成することで、ウォーカブルなまちを実現する方針を示してまいりました。今回実施した交通量調査においては、現況の交通量や道路の利用状況等の把握を目的としたものでありまして、今後、安全な道路や交通計画を検討していくための基礎調査であります。自動車や自転車、歩行者等にとって安全で快適な空間となるためには、地域全体を視野に入れた上で、交通を円滑に処理できる道路ネットワークの再構築が必要であることから、区画道路の計画を見直すことは考えていないところでございます。
 続いて、教室型の住民説明会についてのご質問であります。全体で行う説明会は、基本的な内容を一度に多くの方に伝えることができる利点を持っておりまして、地区計画の段階に応じて、昨年6月の区案と9月の原案の説明時に実施をしてきたものであります。特に原案説明会においては、新たにオープンハウス型説明会や現地窓口相談会も開催した結果、全体説明会ではなく、継続的な個別対応を求める多くの声を頂きました。地区計画は専門的な内容が多く、個々の理解度や関心事に応じた丁寧な説明を行うことによって、理解が深まっていくものと考えており、現時点においては全体説明会を行う予定はないところであります。
 次は、50歳から64歳への令和8年度以降の任意接種助成継続についてのご質問であります。令和7年4月1日から、帯状疱疹ワクチンは定期接種B類疾病に位置づけられて、対象が65歳以上となります。定期接種の対象とならない50歳から64歳につきましては、区では、令和7年度は東京都の補助金を活用して、今年度と同様の助成を検討しております。令和8年度以降の区独自の任意接種助成については予定していないところでありますが、該当の接種希望者においては、令和7年度内に接種していただくように周知していきたいと考えています。
 続いて、任意接種助成の案内についてのご質問であります。任意接種は、接種者が希望して接種を受けていただくものであるために、定期接種のような個別のお知らせは予定をしていないところであります。制度の案内にはホームページやLINE、広報いたばしなどを活用して周知に努めたいと考えています。
 次は、軍拡で生活抑制から、社会保障や教育こそ優先する国へのご質問であります。政府は、その時々の社会・経済情勢や国際情勢を踏まえ、必要かつ適切な予算案を編成し、国会での審議を経て、予算執行につなげていくものと認識しております。現下の物価高への対応をはじめ、暮らしやすさを実感できる区民生活が守られるものであるかを念頭に、政府や国会の動向を見守ってまいりたいと考えています。
 いわい桐子議員の教育委員会に関する答弁は、教育長から行います。

◎教育長(長沼豊) いわい桐子議員からの一般質問のうち、教育に関する質問にお答えします。
 まず、学校は町の拠点「学校をなくさない」宣言をの過小規模校への対応強化をのうち、学校施設の機能についてです。新しい時代の学校整備に向けては、学校教育のみを考えるのではなく、防災や地域連携などの機能や視点が必要です。少子化の進行により学校の統廃合は進む可能性もありますが、学校が持つ多様な機能は、残された学校で十分に発揮されるものと考えております。
 次に、過小規模校の廃校についての、廃校にしないとの宣言についてのご質問です。令和6年7月に、板橋区立小中学校の適正規模及び適正配置に関する基本方針を策定し、過小規模校への具体的な対応について示しました。基本方針では、規模回復に向けて、学校や地域と共に対応策を協議し、取り組むことに加えて、一定の規模を下回った場合の統廃合の手順について定めています。一定の規模を下回ると、教育環境に及ぼす影響が大きくなることに鑑み、統廃合については、基本方針で示した流れにのっとり、適切に対応していきます。
 次に、小中一貫校拡大計画の撤回をのうち、小中一貫型学校の設置についてです。令和6年11月に公表した骨子案では、小中一貫型学校整備方針とともに、各地域に1から2校を目安に整備していくという方向性と、整備に当たっての3点の条件を示しました。設置条件に加え、老朽化度合いや児童・生徒数の将来推計などを考慮し、小中一貫型学校として、どの学校を整備するか、効果を高めるにはどのように整備するか、素案にて提示する予定でおります。
 次に、小中一貫型学校整備方針の撤回についてのご質問です。小中一貫型学校は、小中一貫教育のパイロット校として、場所、人、学びをつなぐことで、授業革新や異学年交流などの特徴的な取組を期待しています。9年間を見通した教育課程の編成はもとより、小学校と中学校のそれぞれのよさを教員が互いに取り入れることで、指導力の向上と授業の充実につながるものと考えています。また、小学生と中学生の日常的な交流により、学びに向かう力や思いやりや助け合いの心が育まれることから、現在策定中の計画に基づき、小中一貫型学校の整備を進めていきます。

一覧へ

検索