ただいまから、日本共産党を代表して議案第85号 東京都 板橋区立幼稚園条例の一部を改正する条例に反対する立場から討論を行います。
本議案は、今年度末をもって区立新河岸幼稚園を廃止し、高島幼稚園に統合するものです。
区立幼稚園は、新河岸と高島平の2カ所に設置され、4歳と5歳の2年保育として運営してきました。教育委員会は、平成27年2月に「区立幼稚園のあり方検討 最終報告」で区立幼稚園の1学級の最低人数を10人に設定し、園児数が最低人数を割るなど著しく減少傾向にある場合は、原則として、2年目以降の募集を停止し、閉園する方針を定めました。
今年の新河岸幼稚園の入園者数が5人となったことを受けて、来年度の募集を停止しています。
反対する第一の理由は、入園する子どもを増やすための努力をせずに、廃園に追い込んだことです。
平成27年に区が10人割ったら廃園と示してから、新河岸幼稚園に通う子どもたちの父母たちは、入園者を増やそうと、学校や地域に「入園者募集」のポスターを貼り、つながりのある人へ声をかけるなどに取り組んできました。必死に努力してきたのは親です。その親たちからも「板橋区にこそ新河岸幼稚園の魅力を宣伝してほしい」と求められてきたはずです。
文教児童委員会の質疑でも、「相談があった場合に案内をする」程度しか取り組んでいないことが明らかになり、区としての、入園児童を増やそうという姿勢は見られませんでした。
また、従来から「3歳児保育」「預かり保育」をやるべきだと再三指摘してきたにも関わらず教育委員会は「民業圧迫だ」として、その検討もして来ませんでした。
今になって「高島幼稚園と統合する際には実施します」というのは、新河岸幼稚園の児童数が減少するのを待っていたと言わざるを得ません。
そもそも、教育委員会が定めた「区立幼稚園のあり方」は、経費削減を目的とした「いたばし未来創造プラン」において見直し対象となったことがきかっけです。区立幼稚園がどうあるべきかの検討の前提が「経費削減」であり、そのために入学児童を増やす努力さえ行わない姿勢は許されません。
第二の理由は、要支援児の受け入れやインクルーシブ教育を進める区立幼稚園の役割が後退することです。
教育委員会は、幼児教育における要支援児への対応や研究としても、区立幼稚園の必要性を示していたはずです。それは、高島幼稚園と新河岸幼稚園があって、それぞれが役割を果たしてこそ充実するものです。
新河岸幼稚園は、目の前に公園があり、施設は広く、立派なプールがあり支援の必要な子どもたちがゆったり過ごすことができる環境が整っています。
現在、通園している4人の児童は、高島幼稚園に空きがあっても、新河岸幼稚園に通うことを選んだ子どもたちです。支援の必要な子どもたちにとって、私立幼稚園では受け入れてもらえないことも多く、たくさんのことを諦めながらたどり着いたのが新河岸幼稚園です。母親たちは新しく4歳児が入園するなら残りたいと言っていたそうです。「募集停止」を受けて、高島幼稚園への転園を、泣く泣く希望させた教育委員会の責任は重大です。新河岸幼稚園を希望して入園した子どもたちは新河岸幼稚園で卒園できるようにするべきです。
新河岸地域には、私立幼稚園がありません。「地域に幼稚園が欲しい」という住民要求で設置された区立幼稚園がなくなれば、この地域には幼稚園そのものがなくなってしまいます。大規模な工場跡にマンションなどが増えれば、新たに人口が増える可能性もあります。なくしてしまえば、戻すことは簡単ではありません。あらためて、区立新河岸幼稚園を存続することを求め私の討論を終わります。