令和3年第1回定例会 一般質問 吉田豊明区議

質問日:2021年2月15日

ただいまより、日本共産党板橋区議会議員団を代表して、一般質問を行います。

1、廃業の危機にある区内中小企業への支援を求めて


 初めに、廃業の危機にある区内中小企業への支援を求めて質問をします。1月18日に発表された東京商工リサーチ2020年休廃業・倒産動向調査によれば、2020年には4万9,698もの企業が全国で休廃業・解散したことが明らかになりました。これは昨年に比べ14.6%の増加で、2000年の調査開始以来最も多い数字です。倒産件数と合わせると、全企業の1.6%が市場から姿を消したことになります。さらに、廃業を検討している中小企業は8%を超え、約30万の企業が廃業の危機に立たされています。
 こうした状況にもかかわらず、政府の財政制度等審議会の令和3年度予算の編成等に関する建議では、支援策の長期化は政府の支援への依存を招き、モラルハザードを生むとともに、新陳代謝を著しく阻害するおそれがあるなどとしており、長期的支援を否定しています。また、成長戦略会議の実行計画には、事業再構築を進める企業への支援に、段階的に移行する必要があると書かれ、それは生産性の低い中小企業は市場から退場せよというものにほかなりません。小規模事業者の淘汰を目的としないとしていますが、支援は切られ、結果として市場からの退出を余儀なくされてしまうのではないでしょうか。そこで区長に伺います。国の持続化給付金や区が実施した家賃助成が、支援への依存やモラルハザードを生むものとの財務省の考えや、成長戦略会議の考え方に対しての区長の見解をお示しください。
 板橋区は中小企業が集積する都内有数の地域であり、住商工が混在する環境の下、1万7,000社以上の企業や店舗が事業を行い、地域経済を支えています。商店街での買物が区民の生活を支え、なじみの店での飲食が区民に安らぎをもたらしてきました。先ほどの調査を板橋区に当てはめると、区内中小企業の約280社が既に廃業し、1,400社以上が廃業を検討している状況が推測されます。区長は、こうした区内事業者の状況についてどのように認識していますか、お答えください。
 昨年6月、区は小規模企業者等緊急家賃助成事業を実施しました。4月、5月の売上げの平均が前年に比べ20%以上減少した中小企業に対して、4月から6月の家賃を助成するもので、3,364事業所が交付を受けています。区が報告をした実施結果についてでは、区内事業者の事業継続支援に寄与し、効果を上げることができたと事業の総括を行っています。家賃への支援に踏み出したことは重要ですが、支援が必要であったにもかかわらず、受けられなかった事業者を残したことに目を向けるべきです。私は部品製造の事業者から、家賃助成申請の相談を受けました。この事業者は、前年も売上げが低かったため、前年比売上げ20%減に僅かに届かず、申請はできませんでした。また、ある建設業者は、5月までは売上げは好調であったが、6月から急激に落ち込み出した。基準月の幅がもっと広ければ家賃助成を受けられたと語っています。区の小規模企業等緊急家賃助成事業が4月、5月の期間での前年比20%減に限定したことで、支援が必要な事業者に届いていないことに対し、区長はどのように認識していますか。
 区の小規模企業者等緊急家賃助成では、要件を狭く限定したことで事業者が狭まり、家賃の効果が一部にとどまってしまったことは課題であると考えています。家賃だけでなく、駐車場などの地代、機械や設備などのリース代も事業者の大きな負担になっていることから、対象を広げて、再度の助成事業を行うべきです。区の家賃助成の課題を改善し、家賃、地代やリース代の固定費助成の実施を求めます。
 コロナの感染拡大で、区民の生活も中小企業の営業も疲弊しています。11月の家計調査の勤労者世帯の収入では、世帯主の収入は昨年5月から6か月連続マイナスで、それを配偶者や他の世帯員の収入でカバーしている実態が明らかになりました。都内中小企業景況調査では、業況はコロナ禍で記録的な落ち込みを示し、リーマンショック後の水準まで急激に落ち込んでいます。ところが政府は、中小企業への直接支援であった持続化給付金、家賃支援給付金を2月15日で打ち切ろうとしています。これに対し、1月9日、全国知事会は、持続化給付金や家賃支援給付金の再度の支給や雇用調整助成金の特例措置の延長を求める緊急提言を発表しました。持続化給付金や家賃支援給付金の再度の実施、及び雇用調整助成金の特例措置の延長を国に求めるよう、明日16日に開かれる特別区長会へ積極的に提案することを求めます。
 区民の暮らしを守り、中小企業の営業を支援するため、消費税の減税が切実に求められています。消費税減税は、特に所得が低いほど減税の恩恵があり、直接給付と同じ役割を果たします。また、消費税減税は全ての中小企業の支援になり、業態での格差を生むこともありません。それゆえ、世界では既に50の国・地域が消費税減税を実施しています。国税庁は消費税を含め、納税を1年間猶予できるコロナ特例猶予制度を創設しました。しかし、コロナ不況の長期化により、昨年納税の猶予を受けた事業者は、今年の分も含め、2年分の納税を迫られます。税金が払えないための廃業や倒産は避けなければなりません。消費税5%への減税、コロナ禍で昨年納税を猶予した税金は免除することを国に求めていただきたいが、区長の見解を示してください。

2、文化芸術活動への支援強化を


 次に、文化芸術活動への支援を求めて質問します。昨年12月25日に文化庁が公開しました文化芸術活動に携わる方々へのアンケートの調査結果では、収入がほぼゼロが40.1%、半分以下が77.1%、仕事が中止・延期になったが79.8%と、文化芸術活動の深刻な事態が浮き彫りになりました。また自由記述では、「演奏会の自粛により、関連業者は仕事が皆無になった。死活問題である」「コロナ禍で契約も補償もなく収入が途絶えた」「家賃や生活費をどうしたらいいか途方に暮れている」など文化芸術活動に関わる人の生活困窮の実態も明らかになっています。
 区は昨年10月、区内のアーティストへの経済支援とともに、活動機会提供などを目的としたいたばしアーティスト応援キャンペーンを実施しました。応募フォームには、感染拡大の影響について書き込める欄があります。書き込みにはどのような声が寄せられ、それに区はどのように応えたのか、お示しください。私が行った区内の文化芸術団体への聞き取りでも、文化芸術活動が成り立たない状況が続いていることが分かりました。ある劇団では、文化庁の子供育成総合事業で学校巡回公演を計画しましたが、ほぼ全ての予定がキャンセルになり、雇用調整助成金、家賃支援給付金、区が実施した家賃助成など使える制度は全て使っても、追加融資を受けざるを得ず、今後を考えると見通しが立たないと言っています。
 また、ある民族歌舞団では、昨年4月に比べれば若干改善しているが、それでも昨年の半分の収入で、団員に退団やアルバイトをしてもらってしのいでいる。公演はゼロではないので、団員や関係者へのPCR検査の負担が重いと話しています。そのほか、文化芸術活動には、照明や音響などの裏方の支えが欠かせません。文化芸術活動に関わる多くの人々の実態調査が必要です。アーティストバンクいたばしに登録された個人、団体にとどまらず、区内で文化芸術活動に携わる人への実態調査を求めます。
 文化団体でつくるWeNeedCultureは、昨年10月の要望者に続いて、今年1月13日、緊急要望を文化庁及び財務省に提出しました。この中で、文化芸術活動の現状について、既に多くの団体・個人は事業継続困難な状況に陥っており、文化芸術の存亡にかかわる危機的事態だとの認識を示し、その上で、中止した公演の費用など、売上げの減少に対する補償など、関係者の生活を支える支援を求めています。
 政府は、第2次補正予算で文化芸術活動の継続支援事業として560億円の予算を計上しましたが、その内容はこれから計画するものが対象であり、損失補填に使うことができないという声が寄せられています。その結果、交付決定金額は3割にとどまったまま、支援事業が2月28日に終了されようとしています。
 文化庁の文化芸術活動の継続支援事業の継続と併せて、支援内容を改善し、売上げ減少の補填や固定費助成などへも使えるようにすること、及び申請方法を簡素化することを文化庁に求めていただきたい。区長の見解を求めます。また、苦境にあえいでいる区内文化芸術団体や個人に対して、区独自の支援を実施することを求めます。区長の見解を求めます。

3、コロナ感染拡大から区民の命を守る区政を

⑴ PCR検査拡充とワクチン接種について
 コロナ感染拡大から区民の命を守る区政を求めて質問します。
 初めに、PCR検査の拡充とワクチン接種についてです。
 東京都内で1月に新型コロナウイルスに感染した高齢者は、前月より2.5倍増加しています。死亡者数も2倍に増えています。感染経路が分かっている65歳以上の高齢者のうち、医療機関や高齢者施設での施設内感染は47.2%を占めています。こうした状況を受け、2月2日、新型コロナウイルス感染症対策分科会は、緊急事態宣言下での対策の徹底・強化についての提言を発表し、都道府県は、国と連携し、保健所の業務負担を増やさないよう配慮しながら、高齢者施設の職員が定期的に検査を受けられるよう支援して頂きたいと求めています。厚生労働省は、緊急事態宣言が出ている10都府県に対して、3月までに高齢者施設の職員へ集中的にPCR検査等を行うよう、4日付の事務連絡で通知をしました。さらに厚労省は、新型コロナウイルスのPCR検査で一度に複数の検体を分析するプール方式を行政検査の対象とするとしています。プール方式は、全員が陰性であれば1回の検査でまとめて判断でき、試薬なども少なくて済みます。現在、高齢者や障がい者の入所施設に行っているPCR検査を通所施設まで広げることを求めます。区長の見解を求めます。
 板橋区内では、今年に入ってから、小・中学校やあいキッズ、介護施設や福祉施設でのコロナ感染者が見つかっています。さらに、感染力が強いと指摘されているコロナ変異株が国内でも確認され、感染拡大が懸念をされています。日常的に人が集まる施設や介護現場など、人と向き合う仕事をしている人へのPCR検査が必要です。
 そこで伺います。学校やあいキッズ、保育園、幼稚園での仕事や、ヘルパーなどの高齢者や障がい者に関わる仕事に従事している人への定期的なPCR検査の実施を求めます。
 米国疾病予防管理センターは、新型コロナウイルス感染症の患者の50%以上は無症状感染者から感染したものと推定するという分析結果を出しています。また、新型コロナウイルス感染症の初期症状が現れる時期にウイルスの感染力が最も強いとされる研究結果を専門家が発表しています。無症状の感染者を早期に発見し、市中感染を封じ込めるための検査の強化を実施すべきです。無症状の感染者を発見するための検査について、板橋区での実施の必要性に対する区長の認識と実施した場合の課題についてお示しください。
 2月中旬から医療従事者へのコロナウイルスワクチン接種が始まります。板橋区でも、医療機関や高齢者施設に加え、区内5か所で集団接種を予定しています。しかし、新たなワクチンは、ウイルスの遺伝子情報の一部を体内に摂取して免疫をつくるという新たな技術が使われており、多くの人が不安を抱えています。昨年12月に、全国のケアマネジャー9万人が登録するウェブサイトなどを運営する株式会社インターネットインフィニティーが、居宅介護支援事業所に勤務する会員に行ったアンケート調査では、ケアマネジャーの95%が新型コロナワクチンの安全性に懸念を抱き、接種を希望する人は約半数しかいないことが明らかになりました。この会社は、新たなワクチンに関する情報や知識を求めています。政府は、今年前半までに全国民のワクチンを確保するとしていますが、十分な安全性の確認や情報公開、自己決定権の尊重を大前提とした接種の仕組みづくりが必要です。ワクチン接種の準備状況はどうなっていますか。また、今後は安全性などに関する区民へのきめ細かな情報提供を求めます。

⑵ 保健所の体制強化について


 続いて、保健所の体制強化を求めて質問します。
 保健所職員はコロナ禍で過重な負担がかかり、現場は逼迫しています。予防対策課の職員は18人増員されましたが、そのうち保健師が10人、事務職5人は他の業務との兼務となっています。これでは十分な体制強化とは言えません。さらに、豊島病院がコロナ重点医療機関に指定されたことにより、入院患者への対応で事務量など、保健所業務はさらなる増加が見込まれています。東京都に対して、人的支援及び財源の確保を求めていただきたい。また、区でも保健所の体制強化を図るため、保健師と看護師及び事務職員の増員を求めます。併せて、体制強化は職員の兼務ではなく、専任の正規職員の増員を求めます。区長の見解をお示しください。

⑶ 医療機関への減収補填を


 次に、医療機関の減収補填を求めて質問します。
 コロナ患者を受け入れている医療機関も、発熱外来の開設や地域の救急体制の維持、軽快患者の受入れなど、役割を分担しながら懸命の努力が行われています。しかし、それらの医療機関の経営の悪化が拡大をしています。私は、区内の2次救急の病院からお話を聞きました。経常収支は、2019年は2,000万円の黒字でしたが、2020年は2億円の赤字になったとのことです。コロナ禍で受診や健康診断が控えられたことが減収の大きな原因になっています。さらに、国や都からの財政支援は一切なく、区からのコロナ病床2床に対する600万円だけだったそうです。小児科や歯科、薬局はさらに厳しい状況にあるとのことです。区長は、現在の区内医療機関の経営状況についてどのように認識をしていますか。区内の医療機関は、それぞれの役割の下、地域医療を担ってきました。病院経営を支える国の支援が必要です。国に対して、コロナ禍での減収に対する補填を求めていただきたい。併せて、区としてできる支援を行っていただきたい。区長の見解を求めます。

⑷ 生活保護制度の活用促進を


 この項の最後に、生活保護制度の活用促進について質問します。新型コロナウイルス感染拡大の影響により、生活が困難な方が増加をしています。厚生労働省は1月26日、コロナの感染拡大に関する解雇や雇い止めが8万3,713人であったことを発表しました。総務省労働力調査では、失業者は昨年に比べ45万人増の224万人に達し、特に大きな影響を受けていると見られる非正規労働者は62万人も減少しています。こうした中、厚生労働省が生活保護の積極的な活用を促す呼びかけを始めています。厚労省のホームページでは、生活保護の申請は国民の権利です、ためらわずにご相談くださいとのメッセージを掲載し、申請を促しています。1月7日、厚生労働省は生活保護に関する事務連絡を全国自治体に向けて出しました。相談者が申請をためらうことのないような対応を取り、保護を適切に実行するよう求めています。生活困窮者を生活保護に結びつけるには、自治体の努力が不可欠です。「生活保護の申請は国民の権利です。ためらわずにご相談ください」と大きく印字されたポスターを作成し、町会の掲示板や公共施設に貼り出すこと、また、同様のリーフレットを作り、福祉事務所だけでなく、地域センターや区民事務所に置くなど、生活保護の積極的な利用を促す取組を求めます。
 福祉事務所で生活保護申請者に渡される生活保護のしおりには、生活保護申請が国民の権利であることが一言も書かれていません。生活保護のしおりの冒頭部分に、生活保護の申請は国民の権利ですと印字し、申請者との面談では初めに説明することを求めます。2019年、保険料を滞納している世帯は2万6,236世帯で、23.4%を占めています。短期証交付世帯は2,230世帯、資格証発行世帯は1,123世帯です。国保料を滞納している世帯は生活困窮に陥っている可能性があり、現在、国保の窓口では相談の中で必要と思われる人に生活保護を案内していますが、相談の手前で不安になっている人が少なくありません。保険料の案内などと一緒に生活保護のリーフレットを入れるなど、今まで以上に積極的に周知することが重要です。
 そこで伺います。短期被保険者証及び資格証明証が交付された世帯に対し、生活保護の案内を積極的にすることを求めます。生活保護申請において大きな障害になっているのが、父母や兄弟などへの金銭的援助を求める扶養照会です。生活困窮者を支援している、つくろい東京ファンドのアンケートでは、生活保護を申請しない理由で、家族に知られるのが嫌が34.4%と大きな比重を占めていることが分かりました。また、国会で田村厚労大臣は、扶養照会をした3万8,000件のうち、金銭的援助が可能と回答した親族は1.5%、600人にすぎないことを明らかにした上で、「扶養照会は法律事項ではなく、義務ではない」と答弁しています。実際、膨大な扶養照会の事務は福祉事務所職員の大きな負担になっています。板橋区での生活保護申請において、本人が望む場合を除き、扶養照会を行わないことを求めます。区長の見解をお示しください。

4、国民健康保険料について


 次に、国民健康保険料について質問します。
 毎年上がり続ける国保料は、加入世帯の暮らしを苦しめているだけでなく、国民健康保険制度の根幹を揺るがしています。全国知事会は、加入者の所得が低い国保が他の医療保険より保険料が高く、負担が限界になっていることを国保の構造問題だとして、国保を持続可能とするためには、被用者保険との格差を縮小するような、抜本的な財政基盤の強化が必要と主張しています。12月1日、来年度の国保料などを定める東京都国民健康保険運営協議会が開かれ、加入者1人当たりの保険料は今年度より4,335円値上げになるとの試算が示されました。コロナ禍で生活も経営も苦しい中、保険料を引き上げれば、加入者の生活がより深刻なものになることは明らかです。国保料を値上げしないよう、明日の区長会で意見を述べていただきたい。区長の見解をお示しください。
 さらに、東京都が示した来年度の改定案には、保険料の徴収目標を引き上げる目標収納率の設定など、さらなる徴収強化が盛り込まれました。コロナ禍で痛めつけられた生活に、さらに差押えなどの保険料の徴収強化を行えば、生活が破綻してしまいます。改定案に示された目標収納率の設定は撤回するよう都に求めていただきたい。厚労省は、子育て世帯の負担軽減を図るとして、2022年度から未就学児の均等割額を5割軽減する方針を決めました。国保制度では、均等割保険料の軽減措置を7割、5割、2割軽減としているため、今回の措置により、低所得世帯の未就学児の均等割はそれぞれ8.5割、7.5割、6割軽減に拡充されることになります。社会保障審議会委員である全国知事会や全国市長会の委員からは、未就学児にとどまらず、対象をさらに拡大することなどが求められました。全国知事会や市長会の委員が求めているように、対象年齢の拡大を東京都と国に求めていただきたい。さらに、2022年度を待たず、東京都として来年度から前倒しをして実施するよう求めていただきたい。区長の見解をお示しください。

5、公共工事における働き方改革を求めて


 公共工事における働き方改革について質問します。
 建設産業を取り巻く現状は厳しいものになっています。国土交通省によれば、建設就業者は減少傾向が止まらず、2020年にはピーク時の約28%減となっています。建設技能者の26%は60歳以上となり、高齢化が進行している上、若手の新規入職者が大きく減少していることで、技術・技能の継承が困難になり、建設産業の持続的発展が危ぶまれる状況となっています。その原因は、建設業の長時間労働と低賃金です。2016年の厚労省の毎月勤労統計調査では、労働時間では製造業より年間約300時間長く、賃金では製造業より約1割少なくなっています。政府は2014年、公共工事品質確保法、建設業法及び公共工事入札契約法を新担い手3法として一体的に改正し、建設労働者の確保・育成について働き方改革などの措置を規定しました。時間外労働の上限規制を定めた改正労働基準法の建設業への適用は5年間猶予され、2024年から適用されます。新担い手3法の附帯決議では、長時間労働の是正や週休2日制の確保のため、工期に関する基準を策定するとともに、国及び地方公共団体において適切な工期の実現が図られるよう努力することが求められています。2024年の改正労働基準法の適用に向けて、区はどのように進めるのかお答えください。
 区は2020年6月8日の企画総務委員会で、「公共工事の週休2日制について、事業者から土曜日も工事をしたいとお願いをされたならば、区はどうぞというスタンスで工期設定をしている」と答弁をしています。完全週休2日になると全体工期が延びるので、経費の増額に直接つながるため、現在区は、週休2日制を想定した予定価格を積算していません。国交省建設産業政策2017+10では、建設技能労働者は日給制が多く、週休2日制の確保が総収入の減少につながらないよう対応する必要があると指摘をしています。週休2日制を前提とした建設業界との話合いを始めるべきではありませんか。区長の見解をお示しください。
 建設労働者の組合の調査では、労働者が実際に受け取る日給は、国交省が定めた建設労務単価の約4分の3でしかないことが明らかになっています。週休2日制の実施は、適切な労務単価の支払いの裏づけが不可欠です。品質確保法では、請負契約の適正化と公共工事に従事する者の賃金等の改善を求めるとともに、それは下請契約も含めるものであることが明記をされています。下請、孫請なども含め、区の公共工事の現場で働く労働者に適切な賃金が支払われているか把握する仕組みが必要です。区のお考えをお答えください。

6、区立スポーツ施設の利用料減免について


 次に、区内スポーツ施設の利用料の減免を求めて質問します。
 10年前の2011年、区は、城北・小豆沢野球場におけるサッカーなどの練習利用(試行)についてという文書を出し、サッカー、フットサル、ラグビー、グラウンドゴルフ、ゲートボールなどを無料で利用できる措置を取りました。その後、徳丸ヶ原野球場にも適用されました。この10年間、グラウンドゴルフが最も利用され、現在は17団体が登録し、老人クラブなどの高齢の方に利用されています。利用率も高く、野球や子ども開放が25%であるのに対して、グラウンドゴルフは50%を占め、競技人口は23区で4位で、高齢者に人気のスポーツになっています。
 ところが、昨年11月25日、区は突如、城北・小豆沢・徳丸ヶ原野球場におけるグラウンドゴルフの利用団体に対し、貸切り利用有料化説明会の開催を通知しました。説明会資料には、2時間1,200円の使用料も明記されています。利用者にお話をお聞きしたところ、「急な説明会で驚いています。私たちは毎週グラウンドゴルフを行っています。利用料が1,200円になると、年間で5万7,600円にもなり、老人会の会計からだけでは足りなく、個人からもお金を集めなければなりません。そうすると、グラウンドゴルフをやめる人も出てしまいます。チームの存続も不安です」と答えています。区は、利用料・使用料を4年ごとに見直しをしています。2020年度は見直しの時期でしたが、コロナの感染拡大の中で、区民生活への影響が大きいとして見直しを見送っています。そうした中で、なぜ高齢者のグラウンドゴルフだけが有料化されるのか、まったく理解に苦しみます。高齢者の健康増進、介護予防、コミュニティづくりにも大きな役割を果たしているスポーツを高齢者から取り上げるようなグラウンドゴルフの有料化は撤回し、利用者の声を聞くことを求めます。
 次に、少年野球場についてお聞きします。
 赤塚体育館少年運動場及び東板橋公園運動場は無料で利用することができます。両グラウンドとも長い歴史を持っています。赤塚では2004年から、東板橋では1975年から利用され、50もの少年野球チームが3つの少年野球連盟に入って、練習、試合、大会を行っています。しかし、使用料・手数料改定の検討の中で、両少年野球場の有料化の方針が打ち出されています。文部科学省は、子どものスポーツ機会の充実を目指し、学校や地域等において、全ての子どもがスポーツを楽しむことができる環境の整備を図ることを政策目標に掲げています。少年野球場の有料化のように、収入のない子どもから利用料を取ることはやめるべきです。少年野球場の有料化方針は撤回すること、さらに、区の体育施設において、子どもの団体利用を無料にすることを求めます。

7、核兵器禁止条約発効について


 最後に、核兵器禁止条約発効について質問します。
 1月22日、核兵器禁止条約発効の日を迎えました。条約採択までの過程で、被爆者の方々は全世界を回り、被爆の実相を訴え続けました。国連の中満泉軍縮担当上級代表が「被爆者の証言は、禁止条約の背後にある道徳的な原動力となってきました」と発言しています。また、平和首長会会長の松井広島市長は「核兵器はいらないという声を世界に広げ、みんなで平和な共生社会を作っていきましょう」と条約発効記念行事で訴えました。坂本区長は、核兵器禁止条約の発効の意義についてどのようにお考えになるのか見解をお示しください。
 板橋区は1月22日、平和関連のできごととして、条約発効を伝えています。そこには、ICANが呼びかけているCities Appealを紹介しています。板橋区平和都市宣言は「核兵器の廃絶を全世界に訴え、平和都市となることを宣言する」とうたっています。Cities Appealへの参加は、核兵器の廃絶を全世界に訴えるという宣言の具体的実践的な取組です。板橋区としてCities Appealへ参加していただきたい。区長の見解を求めます。
 以上をもちまして一般質問を終わります。ご清聴いただきまして、ありがとうございました。

◎区長

 それでは、吉田豊明議員の一般質問にお答えいたします。
 まず最初は、国の財政制度等審議会や成長戦略会議の考え方についてのご質問であります。


 財政制度等審議会におきましては、新型コロナ感染拡大防止や経済回復、財政健全化という相反する目的の達成に向けた令和3年度の財政運営の在り方について、中小企業等に対する一連の支援策は事業継続を支え、意義があったとしております。また、支援長期化の課題を指摘しながらも、経済動向を見つつ、支援を継続する際は、ウィズコロナ・ポストコロナ社会に対応する前向きな取組への支援へ移行を検討すべきとしております。
 国の成長戦略会議の中においても、中小企業政策は、小規模事業者の淘汰が目的ではなく、持続的発展や足腰を強くする仕組みの構築であり、創意工夫する企業を応援していくこととしております。区としましても、新陳代謝の促進につながる事業継承や創業支援に加え、経済の構造変化への対応や生産性向上につながる支援が重要になってくると考えています。
 次は、区内事業者の現況についてのご質問であります。
 東京商工リサーチの調べによりますと、昨年12月末現在、区内企業の負債額1,000万円以上の倒産件数は19件でありまして、最も多い業種が製造業の6件となっております。また、売上高が昨年同月比でマイナス20%以上減少している事業者の資金繰りを支援するセーフティーネット保証4号の認定件数も、昨年12月末現在において3,200件を超えております。倒産件数全体は減少しておりますが、2回目となる緊急事態宣言の中、時短等を要請されている飲食店を中心に、厳しい経営状況が続いていると認識しております。
 次は、区で実施した家賃助成の課題についてのご質問であります。
 板橋区小規模企業者等緊急家賃助成につきましては、コロナ禍の中、固定費の中でも負担の大きい家賃を助成し、雇用の維持や事業の継続を支援するために実施をしたものであります。より経営が厳しくなっている事業者を優先して支援するため、緊急事態宣言下で落ち込んだ令和2年4月、5月の平均売上高が、昨年同期比でマイナス20%以上減少していることを条件としたものであります。また、国の持続化給付金の支給の遅れや雇用調整助成金の手続の煩雑さが指摘されておりまして、家賃支援策を求める声が大きくなる中、区内事業者を早急に支援するため実施をしたものであります。
 次は、地代、リース代等を含めた家賃助成の実施についてのご質問であります。
 今般の緊急事態宣言では、感染症拡大防止のため、飲食店等に対し、営業休止や営業時間短縮が要請されており、飲食店等では厳しい経営状況が続いているものと認識をしております。早期の収束に向け、感染拡大防止に協力した飲食店等に対して、補正予算として、区独自の協力金を給付する事業を本定例会に提出したところであります。したがいまして、現時点で、地代やリース代等を含めた家賃助成を実施する予定はないところであります。
 次は、持続化給付金等延長の国への要望についてのご質問であります。
 特別区長会では令和2年8月、国に対し、令和3年度国の施策及び予算に関する要望書を提出し、新型コロナウイルス感染症対策について言及をしております。そこでは、地域経済対策等の充実として、中小企業等の長期的な経営の安定化を図るため、持続化給付金等の支援の継続及び拡充を図ることを要望しているものであります。また、区長会正副会長による各大臣宛ての要望活動も実施をしておりまして、国の対応を見守っていきたいと考えています。
 次は、消費税の減税等についてのご質問であります。
 消費税の減税や免除については、その影響の範囲が広いため、今般の情勢を踏まえ、国レベルで議論するべきものと考えています。今後とも、国の動向を十分注視していきたいと考えています。
 次は、コロナ禍がアーティストに及ぼした影響についてのご質問であります。
 いたばしアーティスト応援キャンペーンには、募集枠を上回る107件の応募がございまして、申請手続の中で、コロナ禍における文化芸術活動の実態把握を行ったところであります。活動自粛や公演中止の影響により活動機会が減少した、収入が減少したなどという声が寄せられたところでありました。キャンペーンの展開により動画配信を活用した新しい表現の場を開拓すると同時に、経済的な支援も実施をしたものと考えています。
 次は、実態調査の実施についてのご質問であります。
 区における文化芸術活動の把握と分析は、文化振興施策の立案や効果的な実施のために非常に重要であると考えています。アーティストバンクいたばしには、様々な分野で活躍をする芸術家や指導者など136件の登録がございまして、登録者を対象に、活動機会の拡充につながるアンケートの実施を検討しております。このほか、財団や文化団体連合会との意見交換などを通じまして、様々な関係者の実態把握に努めているところでもございます。
 次は、文化庁への改善要望についてのご質問であります。
 文化庁の文化芸術活動の継続支援事業は、コロナ禍で文化芸術活動を行うに当たり、直面する課題を克服し、活動継続に向けた積極的なチャレンジに対し支援をするものであります。本事業につきましては、令和2年12月11日に申請受付を終了しましたが、区及び文化・国際交流財団では、ホームページを通じて、国が展開する各種支援事業を随時発信しております。今後も、文化芸術関係者を取り巻く動向を注視しながら、必要な支援策の継続などについて機会を捉えて要望していきたいと考えています。
 次は、区独自の支援策についてのご質問であります。
 区では、いたばしアーティスト応援キャンペーンを実施し、活動機会の拡充と経済的支援の両面から、文化芸術活動を行う団体、個人を支援してまいりました。本事業を契機として、136件の区ゆかりのアーティストがアーティストバンクいたばしに登録されているところであります。アーティストバンクや関係者、関係団体などから得られる声も参考にし、今後はネットワークづくりや地域イベントにおける活動支援などを検討してまいりたいと考えています。
 次は、PCR検査の対象拡大についてのご質問であります。
 現在、区ではクラスター発生時の影響の大きさに鑑み、入所系介護施設の新規入所者等に対するPCR検査の費用助成を行っているところであります。現時点で対象の拡大は考えていないところでありますが、コロナ禍においても介護事業者が事業継続できるよう、国や東京都と連携をし、効果的な支援策を講じてまいりたいと考えています。
 続いて、子どもや高齢者及び障がい者施設の職員の定期的なPCR検査についてのご質問であります。
 区としましては、PCR検査の精度の課題、結果が検査時の状況のみを反映していることなど、いまだ解消されていない課題がある状況においては、検査だけで安心は得られないものと考えています。国は、クラスター発生防止対策のため、高齢者施設の従業者等には検査を勧めておりますが、子どもを対象とした施設職員には言及をしていないところであります。こうしたことから、区としましては、費用対効果の観点も含め、一律に定期的なPCR検査を行うことは考えていないところであります。
 続いて、全区民への定期的なPCR検査についてのご質問であります。
 区としましては、PCR検査の課題が解消されていない状況なので、検査をすることで必ずしも区民の安心にはつながらないと考えています。PCR検査の結果に関わらず、引き続きの感染予防対策の行動が必要であるとも考えます。こうしたことから、区としましては、費用対効果の観点も含め、全区民に対し定期的な無料PCR検査を行うことは考えていないところであります。
 次は、ワクチン接種の準備状況についてのご質問であります。
 区では現在、4月初旬に開始が見込まれております高齢者の予防接種に向けて準備を進めております。接種体制につきましては、5か所の区施設での集団接種と医療機関での個別接種を併用する方向で、板橋区医師会と現在協議中であります。ワクチンの安全性等につきましては、薬事承認後に国から提供される情報をホームページや広報、個別通知を活用して分かりやすく発信をしていきたいと考えています。
 次は、保健所の人的支援及び財源の確保をとのご質問であります。
 昨年末からの急激な新規感染者数の増加に対応するため、東京都保健医療公社豊島病院は、通常の診療体制を変更し、東京都からの病床確保要請に応じていると承知しています。豊島病院が多くの入院患者を受け入れますと、入院患者に対する積極的疫学調査、入院医療費の公費支払いなど、保健所の負担及び財政負担が増すことが考えられます。特別区長会の要望や知事との意見交換の場などの機会を捉えて、東京都に必要な支援を求めていきたいと考えています。
 次は、職員の増員についてのご質問であります。
 新型コロナウイルス感染症に関する保健所業務に対しまして、これまで組織の新設、人事異動や兼務発令により、組織的・人員的な充実を図っております。兼務職員は原則、保健所業務に専任する一方、健康福祉センター等の保健師や膨大な感染症事務を補助するための、全部署からの一般職員により業務応援体制を取っているものであります。引き続き、保健所に対する職員の定数増や定数外職員の追加配置を優先的に実施するとともに、外部の専門人材や事業者を活用することによって、安定的な業務体制を整えていきたいと考えています。
 次は、区内医療機関の経営状況についてのご質問であります。
 区内医療機関の経営状況につきましては、区は情報を持ち合わせていないところでありますが、非常に厳しい状況にあると認識をしております。
 次は、区内医療機関の減収補填についてのご質問であります。
 医療機関の減収に対する補填につきましては、国の医療体制全体の中で考えるべきことでありまして、国に補填のみを求めて解決できる問題ではないとも考えております。区としまして、これまで実施をしました医療機関への支援は、それぞれの医療機関が、それぞれに適した役割を担っていただくことを支援する視点において実施をしてきているものであります。今後も地域医療を守るため、必要な対策は検討していきたいと考えています。
 次は、ポスター掲示とリーフレットの配布についてのご質問、これは生活保護制度に関する質問であります。
 生活にお困りのときは、ためらわずに福祉事務所にご相談いただくように促すポスターを作成し、3月1日から町会・自治会の掲示板で周知を図っていきたいと考えています。併せて、この内容のリーフレットを作成し、区民事務所などの施設に設置をしていきたいとも考えています。
 続いて、生活保護のしおりについてのご質問であります。
 生活保護のしおりを次回印刷する際には、生活保護の申請は国民の権利であることを記載し、面談におきましても丁寧に説明をしていきたいと考えています。
 次は、国保の短期被保険者証等世帯への生活保護制度の案内についてのご質問であります。
 短期被保険者証等に限らず、区では国保の保険料に関する全てのお知らせの中に、納付が困難な場合には窓口や電話での納付相談の案内をしております。納付相談では、その方の状況を丁寧に聞き取り、他の支援が必要な場合には専門の機関等につなげておりまして、その中には生活保護を受給された方もいらっしゃいます。未納に至った理由は様々であり、一律の案内ではなく、納付相談を通じて、必要な情報を伝えることが重要であると認識をしており、今後も丁寧な対応をしていきたいと考えています。
 次は、生活保護開始時の扶養照会についてのご質問であります。
 区では、DV被害者をはじめ、配慮を要する方には扶養照会の適否を慎重に判断して対応しております。今後も、生活保護の申請を受理する際には、制度について丁寧に説明するとともに、扶養照会につきましても慎重に判断し、適切に実施をしていく考えであります。なお、扶養照会の在り方につきましては、現在、国において検討されているため、その動向についても注視していきたいと考えています。
 次は、国民健康保険料の値上げについてのご質問であります。
 国民健康保険料につきましては、特別区長会において23区共通の基準保険料率を定めておりまして、板橋区はそれを採用し、保険料率としております。明日の区長会においては、令和3年度の基準保険料率について案が提出されると聞いております。保険料につきましては、社会的状況に配慮しながらも、収入と支出も勘案し、決めることが重要であると考えておりまして、適切な保険料となるよう、必要に応じて意見を述べることとなると考えています。
 次は、東京都の目標収納率の設定についてのご質問であります。
 改定されました東京都国民健康保険運営方針における保険料収納率の目標値については、前年度の収納率に応じた数値となっておりまして、板橋区の目標値は前年度比で1ポイント増としております。目標率の設定につきましては、この数値を参考としますが、コロナの状況等不透明な部分もあり、板橋区としましては適切な収納確保に努めることが大切と考えております。
 次は、未就学児の均等割半減の対象拡大についてのご質問であります。
 昨年12月に閣議決定されました全世代型の社会保障改革の方針についてにより、国は令和4年度より、未就学児の国民健康保険料均等割額について減額する予定と聞いております。特別区長会におきましても、数年にわたり子育て世代の経済的負担の軽減及び財政措置を求めてきておりまして、それが実現したところであります。さらなる対象拡大につきましては、状況を踏まえて、必要に応じて要望していきたいと考えています。
 次は、未就学児均等割半減の前倒し実施についてのご質問であります。
 未就学児に対する均等割額の半減につきましては令和4年4月1日から始まるものとしておりまして、今年4月1日に前倒しで実施を国に要望することは難しいものと考えております。
 次は、改正労働基準法への区の対応についてのご質問であります。
 働き方改革関連法が平成31年4月から施行され、労働基準法の改正に併せ、時間外労働時間の上限が設定されました。建設業は、技能者の多くが日給月給であることから、令和5年度末までに猶予期間があり、国や東京都は週休2日制の工事の推進に向け、試行的な取組を始めているところであります。区では、建設業におけるこれまでの労働環境と大きく異なる状況であることから、課題整理を進め、国や東京都の動向を注視し、適切に対応していきたいと考えています。
 次は、適切な工期・賃金についてのご質問です。
 区は、これまで、建設業の実情に応じた適切な工期や経費の算定に努めてきたところでございます。週休2日制の工事による工期、それに伴う予定価格の設定につきましては、改正労働基準法の趣旨を踏まえ、令和5年度末までの猶予期間中に対応していく考えであります。いずれにしましても、建設事業者全体に大きく影響を与えるため、区内の建設業界に対しましては、協議を行いながら丁寧に対応していきたいと考えています。
 続いて、下請までの適正な状況把握についてのご質問であります。
 区は元請事業者に対して、工期や賃金など、下請事業者だけではなく孫請事業者も含め、適切な契約締結を求めておりまして、適正な労働環境を確保しているところであります。工事の発注者である区が、直接契約関係にない下請事業者に対して、雇用条件について介入することは慎重であるべきと考えております。なお、孫請までを含めた下請となる事業者につきましては、施工体制台帳を基に、契約の相手方である元請事業者を通じて、状況把握に努めていきたいとも考えています。
 次は、城北・小豆沢・徳丸ヶ原野球場の運営についてのご質問であります。
 グラウンドゴルフの団体貸切利用につきましては、本格的に実施する前に、当面はニーズや課題を見極める必要があったことから、施設利用料を無料とし、試行的に運用してまいりました。その結果、施設運営上、特に問題がないとの結論に至り、現在、有料化の方向で調整を進めているところであります。今年度に入り、説明会を2回実施しておりまして、引き続き利用者のご意見を聞きながら、利用料の額などを決定していきたいと考えています。
 続いて、無料体育施設の有料化についてのご質問であります。
 赤塚少年運動場及び東板橋公園運動場以外の体育施設につきましては全て有料であり、一部施設が無料であることは受益者負担の考え方に反することとなります。このようなことから、有料化が必要との結論に至っておりますが、有料化の時期につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響などを注視しながら検討していきたいと考えています。
 続いて、体育施設における子どもの団体利用についてのご質問であります。
 子どもたちの健全育成には、スポーツ活動が重要な役割を担っていることは認識をしておりますが、持続的な施設運営を推進していくことも必要であると考えます。このようなことから、受益者負担の適正化や区民負担の公平性の視点に基づき、子どもの団体利用でありましても、有料施設を無料とする考えはないところであります。
 次は、核兵器禁止条約発効の意義についてのご質問であります。
 条約発効の意義は、我が国のアプローチとは異なりますが、核兵器廃絶に向けた歩みに対して、一つの成果が示されたことにあると認識をしております。
 最後のご質問になります。ICAN Cities Appealへの参加についてのご質問であります。
 この活動に参加することは、日本政府に対し、核兵器禁止条約への署名と批准を要請することが求められております。核兵器廃絶という目標は共有するところでありますが、国家の外交・安全保障政策は政府が判断すべき事項であり、その動向を見極める姿勢に変わりがないところでもあります。
 頂戴しました質問に対する答弁は以上であります。

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