2021年第4回定例会一般質問 吉田豊明区議

ただいまから、日本共産党板橋区議会議員団を代表して、一般質問を行います。

1、地球温暖化対策の抜本的強化を


 まず初めに、地球温暖化対策の抜本的強化を求めて質問をします。
 IPCCの1.5℃特別報告書では、世界の平均温度の上昇を産業革命前に比べて1.5度に抑えた場合であっても洪水のリスクは2倍に、それが2度になれば2.7倍に、99%のサンゴが死滅することが報告されました。3度から4度も上昇すれば気候変動が連鎖し、人類社会は破滅的な事態に陥ることになります。今年8月のIPCC第6次報告書では、2021年から2040年の間に1.5度上昇する可能性が高く、熱波・干ばつなどの異常気象が深刻化するおそれがあると警鐘を鳴らしました。この報告を受け、国際連合のアントニオ・グテーレス事務総長は、地球が燃えているとして、温暖化の進行が今や待ったなしの緊急事態であることを訴え、各国へ対策強化を強く呼びかけています。日本においても、気象庁や国立環境研究所は、2018年の日本の夏の猛暑は人為的な温暖化が原因であること、また、豪雨災害の頻度が3.3倍になったとする研究結果を発表しています。このように、毎年のように発生している豪雨災害が地球温暖化に起因しており、温暖化の進行は、人類の生存に対する脅威になっていることについて、区長の認識をお示しください。
 11月13日に閉幕したCOP26の成果文書では、世界の平均気温の上昇を1.5度に抑える努力を追求することを決意するとして、この10年間での行動を加速する必要があるとしました。国際社会は温暖化の脅威を真剣に受け止め、CO2削減に向けて取り組む合意がなされている中で、日本政府の後ろ向きの態度に、国際社会から批判と失望の声が高まっています。5月に行われたG7気候・環境大臣会合では、議長国イギリスが2030年までに石炭火力発電を停止する提案を行いましたが、日本は強く反対し、G7諸国の中で孤立を深めました。日本政府が石炭火力発電の廃止に否定的な理由は、新技術に頼っているためです。新技術とは、CO2を回収し地下に貯留する技術、または、水素やアンモニアによる発電技術を指しています。こうした実用化のめども立っていない新技術に人類の命運を託することほど危険なことはありません。国際的な環境NGOグループ気候行動ネットワークは、温暖化に消極的な国として、日本政府に不名誉な化石賞を贈りました。さらに岸田内閣は、CO2を大量に発生させる石炭火力発電を2030年においても電源構成で19%とする第6次エネルギー基本計画を閣議決定しました。これは、世界で加速する脱炭素の流れに真っ向から逆らう計画です。こうした日本政府の気候危機に消極的な態度や国際社会との乖離について、政府に改善するよう意見を上げるべきではありませんか。区長の認識をお示しください。
 次に、板橋区地球温暖化対策実行計画(区域施策編)2025について質問をします。
 この計画には3つの問題点があります。1つは、CO2削減目標の決め方です。区は、2050年CO2排出実質ゼロという長期目標を設定し、2025年までに2013年比で30%削減という目標を立てています。30%削減の根拠について、区は2013年の排出量と2050年の排出ゼロを直線で結び、割り返した数字が30%であると説明しています。これでは政策的裏づけがなく、科学的根拠があるとは到底言えません。第2に、板橋区の削減目標が日本政府の削減目標よりも低いことです。日本政府の2030年削減目標46%に対して区の目標は40%です。EUが55%、イギリスが68%に比べても区の目標は低過ぎます。第3に、省エネ政策です。区は今年度から新エネルギー・省エネルギー普及啓発補助金を廃止しました。この補助金は、太陽光発電や燃料電池、断熱化住宅、事業所の省エネ機器導入などへの補助を行うもので、2019年度には区の予定を上回る申請がありました。区はこの重要な省エネ制度を廃止し、環境アクションポイント制度を導入しました。この制度は、前年と比較してエネルギー使用量を削減した者に対して、削減率等に応じてポイントを付与し、ポイントに応じた区内共通商品券を交付するものです。しかし、現在の登録者数は想定の半分以下で、省エネ推進には不十分です。以上の理由から、板橋区地球温暖化対策実行計画(区域施策編)2025を見直すことを求めます。区長の見解をお示しください。
 世界では1,900を超える自治体が、日本では100を超える自治体が、気候非常事態宣言を発表し、対策を推進しています。地球温暖化対策に当たって危機意識を共有し、板橋区と区民及び事業者の取組を明確にし、効果的な温暖化対策を進めるためには、条例を策定し、推進することが必要です。気候非常事態宣言及び地球温暖化対策条例策定を求めますが、区長の見解をお示しください。
 次に、温暖化対策としての農地の保全についてです。
 森林や農地は、CO2を吸収し、酸素を排出するという重要な役割を有しています。その板橋の農地と農業が今は危機に瀕しています。この10年間で農地は27%減、生産農家は15.5%減、農業従事者は35.6%減っています。板橋区緑の保全方針では、生産緑地地区の所有者から買取りの申出があったときは財政状況を踏まえ買取りに努めるものとするとしていますが、努力目標では農地を守ることはできません。生産緑地の買取り申請のときは、農地の買取りないし農地の貸借による区民農園の増設を方針化すべきです。また、都市型農業振興・農地保全推進事業費補助金の拡充を求めます。区長の見解をお示しください。

2、公務労働における処遇改善について

(1)シルバー人材センターの就業の適正化について


 次に、公務労働における処遇改善を求め、シルバー人材センターの就業の適正化について質問をします。
 区営駐輪場の運営管理は、2つの民間事業者が業務委託を受け、71ある駐輪場では、シルバー人材センターの会員285人が就業しています。厚生労働省のシルバー人材センターの適正就業ガイドラインでは、その目的を、会員の生きがいの充実や生活の安定、また、地域社会の発展や現役世代の下支えなどを推進することとしていますが、実際に働いている人からは、年金だけでは生活できない、生活のために働いているという声が返ってきます。区は、板橋区シルバー人材センターと委託契約を結んでおり、約2,000名の会員の多くが区の公務労働に従事しています。財政課に確認すると、区からセンターへ支給される金額は、最低賃金額の配分金、それにプラスしてセンターの事務経費で、時間当たり1,075円が支払われ、年度内は変わらないとのことが判明しました。10月から最低賃金が1,013円から1,041円に引き上げられているにもかかわらず、10月から来年3月までは、センターの会員は最低賃金以下で就業することになります。シルバー人材センターの会員は、区の仕事を行う場合、そのほとんどが請負業務として従事しています。ガイドラインによれば、請負の場合、労働基準法や最低賃金法などの労働関係法令は適用されないとされます。しかし、違法ではないから問題はないでは、決して済まされるものではありません。そもそもガイドラインには、適正な配分金の設定として、「最低賃金法は適用されませんが、原則として最低賃金を下回らない水準を勘案したものとする必要がある」と明確に書かれています。公共工事では、設計労務単価が上がれば、区は補正予算を組んで対応しているではありませんか。同様の内容をシルバー人材センターに対してできない道理がありません。板橋区の公務労働の賃金が最低賃金以下でいいのでしょうか。この事実を区は知っていたのでしょうか。10月から最低賃金が引き上げられている以上、シルバー人材センターへの金額を直ちに引き上げることを求めます。
 さらに働く環境の改善が必要です。成増駅南口第4駐輪場にはトイレもなく、お金や利用者情報の記された書類を保管する金庫も壊れています。業務委託事業者に訴えても改善されていません。成増駅南口第4駐輪場でのトイレの設置、金庫の修繕を求めます。併せて、働いている人の声を生かし、反映する仕組みをつくることを求めますが、区長の見解を求めます。
 区営駐輪場での来年度からの指定管理者制度による運営が予定されています。指定管理者制度の下では、区の施設にもかかわらず、雇う人数が事業者任せとなることが指摘されています。働く人たちからは、来年度も駐輪場で働けるかどうか心配の声が上がっています。指定管理制度を導入したとしても、働く人数は減らさないと明言していただきたい。区長の見解を求めます。

(2)公契約条例策定を求めて


 シルバー人材センターの会員の配分金が幾らになるのか、区が関知しないこと自体が問題です。現在区の施設での指定管理者の数は80者に上ります。指定管理者の再委託先での職員の労働条件や公共事業に関する従業員の労働条件は、区や議会では把握する手段がなく、まさにブラックボックスになっています。公契約条例を制定し、公務労働での賃金や労働条件を把握できるようにすべきです。公契約条例は全国で61の自治体が導入しており、23区では、千代田区、杉並区、足立区、渋谷区、目黒区、江戸川区、新宿区、世田谷区の8区が既に制定しています。公契約条例の制定を求めますが、区長の見解をお示しください。

3、アスベスト対策について


 次に、アスベスト対策の強化について質問をします。
 7月6日から区営成増駅北口第1自転車駐車場の改修工事が始まりました。この改修工事について、成増の住民からアスベストの事前調査の結果を示す看板が掲示されていない、公共工事なのに問題ではないかと通報がありました。区に確認したところ、当該工事は、アスベスト含有の成形板の撤去が含まれることとともに、適切な看板の設置はなされなかったことが判明しました。成形板のようなアスベスト含有建材はレベル3と呼ばれ、除去作業時に破砕や切断をするなどによってアスベストが飛散するおそれがあることが指摘されています。危険なアスベスト除去工事にも関わらず、事前調査の結果が適切に掲示されていないことは、周辺住民や作業員に対して、アスベストばく露に通じる危険があります。環境省のマニュアルでは、「建築物の解体・改修工事を行う際、アスベストを含有している建材が使用されているかを調査し、その結果に関する看板を現場の見やすい場所に設置する義務があります」と定めています。掲示板の大きさもA3サイズ以上と定められています。区が定めたアスベスト等飛散防止対策とその周知に係る指針においても掲示板の設置を義務づけています。今回の成増駅北口第1自転車駐車場の改修工事での事前調査の結果の掲示及び作業に係る掲示は、環境省のガイドラインに照らして正しいのでしょうか。また、どこが間違っていたのか、区の見解をお示しください。正しくない場合の再発防止策としての取組についてお答えください。
 アスベストは、1950年頃から2004年まで、保温材・断熱材・建築建材として広く使われ、現在でも多くの建築物、特に鉄骨鉄筋コンクリート造などには相当量のアスベストが使用されています。吸い込むと20年から40年後に肺がんや中皮腫を発症し、これまでにも多くの死者が出ています。2028年には解体工事のピークを迎えることから、環境省や厚労省では法改正を行い、アスベスト対策を強化しています。危険なアスベストについては、区民の命を守る責任ある板橋区として、対策の強化が必要です。厚労省は、「大切な命を守るためには、一刻の猶予もありません」と警鐘を鳴らしています。区は、職員のパトロールや区民からの通報で対応するとしていますが、全く不十分です。区自らが掲示板の設置義務を守らないなど、指針だけではアスベスト対策は不十分であることが明らかになりました。区と区民と事業者の義務を明確にして取り組むためには、アスベスト飛散防止条例の制定が必要です。区長の見解をお示しください。
 アスベスト対策を進める上で、行政が補助制度をつくり、除去工事を支援することが有効です。23区中11区で助成が実施されています。区民の命を守る自治体の責任を果たすべきです。区の助成制度を創設していただきたいが、区長の見解をお示しください。
 建設アスベスト訴訟において、国と建材メーカーの責任を認める最高裁判決が出されました。この判決により、アスベスト被害の拡大に国が責任を負うべきであることが明確にされました。しかし、アスベスト含有建材が多く含まれる建築物の解体工事がピークを迎えようとしているのに、国のアスベスト除去工事への助成金は、社会資本整備総合交付金のみです。この交付金は、主に道路や橋が対象で、アスベスト対策を眼目につくられたものではありません。しかも自治体の負担割合が大きいことも問題です。国の責任が明らかになった以上、アスベスト除去工事の助成制度を国の負担でつくることが道理ある対応です。国の責任に鑑み、アスベスト除去工事への国の助成金を求めます。国に求めていただきたいが、どうでしょうか。区長の見解を求めます。

4、コロナで苦境にある区内事業者への支援強化を


 最後に、コロナで苦境にある区内事業者への支援強化を求め、質問をします。
 区は、2月から3月にかけて、オンラインによる令和2年度板橋区全産業調査を行いました。調査では、前年に比べ売上げが50%以上減少した事業者が11.5%、30から50%未満の減少が14.2%です。売上げが減少した事業者は65.9%で、全体の3分の2が影響を受けています。この調査は重要な調査結果を示しました。しかし、回答した事業者は373社と、区内事業者の2%に過ぎません。また、オンラインでの調査のため、ネットを使えない事業者の実態は不明のままです。全事業者を対象にした調査が必要です。区では、2014年、2017年と3年ごとの全製造業実態調査を行ってきましたが、2020年には実施されませんでした。コロナの影響を把握するためには必要な調査でした。全製造業実態調査の復活を求めます。区長の認識をお示しください。さらにこの調査を商業へ広げることを求めますが、併せてお答えください。
 中小企業庁の2021年度中小企業白書によると、新型コロナウイルス感染症による企業活動への影響では、実に71.3%の中小企業が影響を受けています。この影響は、中小企業の廃業・倒産件数にも表れています。東京商工リサーチによると、2020年の中小企業の廃業は5万社に迫り、倒産と合わせると実に全中小企業の1.6%が市場から姿を消したことになります。廃業検討率も8%前後で推移しています。板橋区の中小企業の景況を見ると、製造業の景気動向指数では、昨年の4月から6月期にマイナス10からマイナス60近くまで落ち込み、現在は、若干の回復は見えますが、いまだにマイナス20を脱していません。小売業はさらに深刻でマイナス40台です。景況は回復していません。板橋区一時支援金の給付数では、売上げが半分以下になった事業者が2,000社を超えています。業種で言うと、印刷業、製本業では廃業が相次いでいます。現在の板橋区の中小企業の状況について、区長の認識をお示しください。
 また、岸田首相が、事業者向けの給付金に関し、「昨年の持続化給付金並みの支援を事業規模に応じ、11月から来年3月までの5か月分をまとめて一括で給付する」と語ったと報道されています。コロナで苦境に立たされている中小企業に確実に支給されるよう、国に対して求めていただきたい。区長の見解をお示しください。
 11月から板橋区中小企業等事業継続支援金給付事業の申請が始まりました。これまで顧みられなかった売上げ減少20%以上50%未満の事業者への支援は、私たちも求めてきました。区内商工団体からも歓迎されていると聞いています。しかし、長期化しているコロナの影響が僅か一月だけの売上げの減少分の穴埋めだけでは到底足りないことは明らかです。事業継続支援給付金を10月から3月期でも実施することを求めます。区長の答弁を求めます。
 板橋区の支援策の規模の小ささの要因は、産業経済費の構成比の低さにあると考えます。中小企業の集積地として知られる大田区や墨田区ではどうでしょうか。2020年度決算では、決算総額に占める産業経済費の割合は、大田区で1.86%、墨田区で1.65%です。これに対する板橋区は0.82%で、両区の半分以下です。産業経済費の少なさが産業経済対策を進める上での足かせになっています。産業経済費の比率を高め、経済対策を増やすことを求めますが、区長の見解を求めます。
 コロナの影響で売上げが落ち込んだ事業者向けの特例納税猶予措置が1年間延長され、2年分の納税の時期が近づいています。コロナ対策融資の返済も始まっています。さらに、感染拡大防止協力金の支給を受けている飲食店からは、課税所得が増え、所得税だけではなく住民税や国民健康保険料も跳ね上がる、これでは生活できないとの声が上がっています。このままでは年を越せないとの事業者の悲痛な声を受け止め、相談や特別融資など、年末年始の緊急経済対策を行うことを求めますが、区長の見解を求めます。
 以上で私の一般質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。(拍手する人あり)

◎区長 それでは、吉田豊明議員の一般質問にお答えいたします。
 最初は、気候危機の認識についてのご質問であります。地球温暖化やそれに起因するとされる気候変動につきましては、近年の異常気象が世界にもたらしている災害をはじめ、人類の存亡にも関わる危機的な状況にあると認識しています。先日開催されましたCOP26におきましては、石炭火力発電の段階的削減やパリ協定の努力目標の追求を世界各国が確認をいたしました。区では、このような世界的な潮流や国内外の動向も踏まえながら、必要な対策等を進めていきたいと考えています。
 次は、気候危機に対する国への要望についてのご質問であります。国は、日本におけるエネルギー事情を十分に勘案した上で、脱炭素社会を目指した野心的とも言える目標を設定しました。また、エネルギー基本計画や地球温暖化対策計画の策定等を通じまして、目標の実現に向け、努力を重ねていると認識をしております。したがいまして、区から国に対しまして、改善に関し、意見をする考えはないところであります。
 次は、板橋区地球温暖化対策実行計画(区域施策編)を見直すことについてのご質問であります。国は、区の計画策定後の令和3年10月に地球温暖化対策計画を決定し、2030年度までの具体的な削減目標を大きく更新をいたしました。このため、2030年度における目標値に6ポイントの乖離が生じましたが、2050年度における二酸化炭素排出量実質ゼロという目標は整合していると考えています。区の計画の見直しにつきましては、次期計画の検討を2023年度に始めることから、目標の進捗状況に加え、世界の情勢、国や東京都の状況等を注視し、対応していきたいと考えています。
 次は、気候非常事態宣言及び地球温暖化防止条例の制定についてのご質問であります。区としましては、板橋区地球温暖化対策実行計画におきまして、気候変動に対する緩和策と対応策を位置づけたことを踏まえまして、気候非常事態の宣言についてを検討していく考えであります。また、地球温暖化に関しましては、既に東京都が都民の健康と安全を確保する環境に関する条例を制定し、温室効果ガスの排出量が多い事業者に対し、規制を行っているところでございます。このことから、区としましては、新たに温暖化対策に係る条例を設けることはせずに、この東京都の条例の目的達成を通じまして、東京都と連携をして温暖化対策を進めていきたいと考えています。
 次は、区民農園増設の方針化についてのご質問であります。緑の保全方針におきましては、取得すべき公園緑地用地に該当する生産緑地の所有者から買取りの申出があった際に、財政状況を踏まえて、買取りに努めることを農地保全策の一つに掲げました。昨年5月に開設した農業園は、赤塚植物園に隣接をした生産緑地を区が買取り、都市計画緑地として整備した施設となっております。一方で、生産緑地を含め、農地所有者に対し、機会を捉えて、無償での賃借ではありますが、区民農園としての活用の働きかけをしておりまして、来年度も新たな区民農園の開設が見込まれております。土地を取得して区民農園を整備する予定はございませんが、賃借による区民農園拡大に向けまして、農業委員会やJA東京あおばなどと連携をして、農業者の実情を捉えた働きかけに努めていきたいと考えております。
 次は、都市型農業振興・農地保全推進事業費補助金の拡充についてのご質問であります。この補助事業につきましては、これまでにもメニューの拡大や補助額の増額など、農業者のニーズに合わせた見直しを行ってまいりました。さらに、令和元年度に認定農業者制度を導入したことによりまして、東京都の補助事業を活用し、大がかりな設備や農機具の導入を支援することが可能となりました。今後も農業者のニーズに合わせた補助制度の運用を進めつつ、新たな農業者の認定と意欲的な認定農業者への支援の拡充を図っていきたいと考えています。
 次は、シルバー人材センターの就業の適正化に関連いたしまして、委託単価についてのご質問であります。シルバー人材センターの委託単価の設定につきましては、最低賃金を基本としておりますが、法令の適用を受けないため、年度途中の最低賃金の改定に関しましては反映はしていないところでございます。委託件数が多岐に及ぶため、シルバー人材センターと協議の上、従前から最低賃金の改定につきましては、次年度予算に反映させておりまして、現時点では下回っておりますが、この取扱いの変更は考えていないところであります。今後とも委託単価の在り方につきまして、シルバー人材センターと協議を行ってまいりたいと考えています。
 次は、働く人の環境の改善についてのご質問であります。成増駅南口第4駐車場は、土地所有者から建物を含めて賃借している関係上、トイレ設置が難しいために、利用者を含めて約50メートル先の第2駐車場のトイレを共有することとしております。区では現在、自転車駐車場の指定管理者導入を進めておりまして、成増駅周辺の駐輪場につきましては、令和5年度からの導入を目指していきたいと考えています。これによりまして、修繕等についても現場に即して迅速かつきめ細かく行うことが可能になりますので、候補者の選定や契約仕様書の作成に当たりましては、労働環境の適正化に十分配慮をしていきたいと考えています。
 次は、指定管理者制度導入後の人員削減についてのご質問であります。自転車駐車場における指定管理者制度導入につきましては、民間の技術や知見など、経営ノウハウを生かして、駐輪サービスの向上や経費の縮減を図る目的で行うものであります。指定管理者による自転車駐車場の具体的な管理方法につきましては、年度協定書で定めますが、人員配置につきましては、仕様書で定めた性能を維持する上において必要な人数を指定管理者において決定をすることとなります。今後、指定管理者と正式な基本協定が締結された時点におきまして、適正な人員が配置されるよう要請するとともに、履行状況については、適宜確認を行っていきたいと考えています。
 次は、公契約条例の制定を求めてについてのご質問であります。公共工事に従事する労働者などの労働環境の把握につきましては、公契約条例の枠組み以外の取組においても可能であると考えます。一方で、現在、公契約条例を制定するまでの考えには至っておりませんけれども、労働環境の向上を目指した公契約に関するルールの導入に向けた検討を進めることが必要であると考えています。
 次は、アスベスト対策に関連いたしまして、改修工事の掲示物についてのご質問であります。区営成増駅北口第1自転車駐車場改修工事につきましては、アスベスト含有建材の除去が含まれておりまして、全工事期間中におきまして、作業に関するお知らせを掲示する必要がございました。改修工事を請け負った事業者が、アスベストの除去作業期間中のみ掲示すればよいと認識をしていた結果、除去作業後に掲示物を外し、また、大きさにも誤りがございました。区では、近隣住民の連絡を受けて事実を確認し、事業者へ指導・是正し、さらに今後の再発防止のため、区内事業者に対し適正掲示の確認強化を周知徹底いたしました。
 次は、アスベスト飛散防止条例の制定についてのご質問であります。区では現在、アスベストの飛散防止について、大気汚染防止法、東京都環境確保条例及び区の指導指針に基づきまして指導を行っております。大気汚染防止法が令和2年に改正されまして、従来区が指導指針に基づき行っておりました解体建物の石綿使用状況の事前調査報告制度が盛り込まれるなど、規制が強化されました。これら関係法令等の遵守が徹底されることによりまして、工事発注者等に対する必要な指導が可能であると判断されることから、区としまして、新たな条例を制定する考えは持っていないところであります。
 次は、アスベスト除去工事に対する区の助成制度創設についてのご質問であります。区では、平成18年度からアスベストの分析調査に対する補助制度を実施し、吹きつけ材、保温材のアスベスト含有分析調査に対しまして助成を行っております。また、アスベスト除去工事に対する補助制度につきましては、既存の11区における実績が過去3年平均において各区1件程度と、実効性に課題があるものと認識をしております。したがいまして、板橋区としましては、アスベスト除去工事に対する助成制度は創設をせずに、産業融資制度の活用を促していきたいと考えています。
 次は、アスベスト除去工事への国の助成制度についてのご質問であります。現在国では、国土交通省が所管する社会資本整備総合交付金事業によりまして、アスベスト除去工事等の助成制度を設けておりますが、23区における活用実績は低調であります。一方、健康・労働分野を所管する厚生労働省や環境分野を所管する環境省におきましては、アスベスト除去工事に対する助成制度は設けていないところであります。現時点におきまして、国に対して新たな助成制度の創設を求める予定はございませんが、関係省庁における制度創設等の動向につきましては、引き続き注視していきたいと考えています。
 次は、全製造業実態調査の復活についてのご質問であります。様々な施策や事業を構築していく上において、基礎となるデータを収集し、定期的に実態を把握することは必要と考えます。昨年度実施しました全産業調査におきましては、サンプル数は373社でありますが、製造業や建設業、小売業、飲食業など、多くの業種を網羅した調査でありまして、実態を把握することができたものと考えています。製造業調査につきましては、コロナ禍への対応に追われる中小企業者の状況なども勘案し、商業も含め、しかるべきタイミングにおいて実施していく必要があると考えています。
 次は、区内中小企業の状況についてのご質問であります。10月に緊急事態宣言が解除となり、飲食店等への時間短縮要請も終わるなど、経済活動が徐々に回復しつつあると考えています。令和3年4月期から6月期における板橋区の景況調査の業況判断におきましては、厳しさが和らいでいる業種がある一方において、飲食店を含む小売業においてはやや低調感が強まっているなど、引き続き区内事業者にとって厳しい状況にあると認識をしております。景気が持ち直していくことを期待したいところでありますが、国や東京都、区による各種政策の効果及び国内外の感染症の動向を注視していく必要があるものとも考えています。
 次は、国の事業者向け給付金への要請についてのご質問であります。国で実施を予定する新たな事業者向けの給付金につきましては、今後詳細な事業内容や手続などが発表されるものと思われます。厳しい状況にございます中小企業者に対しまして、迅速かつ着実に支給されることを期待しております。
 次は、中小企業等事業継続支援金の拡充についてのご質問であります。11月から申請受付を始めました中小企業等事業継続支援金につきましては、緊急事態宣言下の4月から9月までの期間を対象にいたしまして、1か月でも支給要件に該当すれば売上げの減少率に応じて支給する制度であります。これまで区では、緊急事態宣言が発出されたことに対応して、小規模企業者等緊急家賃助成金や感染拡大防止協力金、一時支援金と、コロナ禍対策の給付事業を実施してまいりました。国や東京都の動向を踏まえて、今後も感染症の影響やポストコロナを視野に入れた地域経済対策に総合的に取り組んでいきたいと考えています。
 次は、産業経済費の増額についてのご質問であります。令和2年度決算における一般会計に占める産業経済費の割合は0.82%でありますが、当初予算19億6,300万円から必要な施策を機動的に実施するため、4度にわたる増額補正予算を計上し、予算現額においては31億200万円と大きく増額をしております。また、令和3年度の産業経済費におきましても、当初予算19億8,500万円から3度の増額補正によりまして、予算現額につきましては44億3,900万円と倍増させていただいております。引き続き必要な事業や対策を行い、コロナ禍を乗り切る事業者支援、ポストコロナを見据えた産業振興に取り組んでいきたいと考えています。
 最後になります。年末年始における緊急経済対策についてのご質問であります。区では、コロナ禍により事業活動に影響を受けている事業者に対しまして、区独自の連携ネットワークを駆使して対応方針の助言等を行うため、企業活性化センター経営改善チームにコロナ対策チームを設置して対応をしております。また、融資につきましては、信用保証料の全額補助と、借入期間のうち最初の4年間の利子を全額補助する経営安定化特別融資を実施しております。併せて、中小企業等事業継続支援金を11月から開始をしておりまして、こうした支援策をご利用していただきたいと考えています。
 いただきましたご質問の答弁は以上となります。

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