2022年第二回定例会一般質問 吉田豊明区議

質問日 2022年6月3日

引き続き、日本共産党の一般質問を行います。

1、区民生活と区内事業者への支援を求めて

(1)物価高への支援を求めて


 まず、区民生活と区内事業者への支援を求めて質問します。
 第1は、物価高への支援です。物価の高騰が止まりません。タマネギが1袋150円から500円へ、500ミリペットボトルが20円値上げ、うまい棒が10円から12円へ値上げです。電気代は、平均的家庭で27%、都市ガスは25%増です。5月20日に総務省が発表した4月の都区部の消費者物価は、総合指数で前年比2.5%増、8か月連続増加です。家や部屋を借りている世帯の総合指数は3.0%増ですから、家賃を払っている世帯ほど増加率が高くなっています。生鮮食品や光熱水道費など、必要性が高い費目が高騰しています。3月よりも値上げ幅が大きくなっており、物価の異常な高騰は区民生活を直撃しています。これだけ物価が上がっているにもかかわらず、年金の支給額は2年連続で引下げです。国民年金は4月から、その支給額が0.4%削減されました。さらに社会保険料や国民健康保険料、介護保険料も上がり続けています。「何もかも値上げでやっていけない」、「やりくりも限界」などの深刻な声が寄せられています。物価の高騰は、区内事業者の経営も苦しめています。5月に発表された日本銀行の企業物価指数では、国内物価指数は前年比10%増、輸入物価指数は前年比44.6%増で、経験したことのない高騰になっています。政府が価格を管理している輸入小麦の政府売渡価格は、1年間で39.6%も上昇しました。石油価格の高騰も深刻で、石油・石炭・天然ガスは、円ベースで84.4%増です。このまま推移すれば、区内産業の破綻さえ危惧されます。
 全国商工団体連合会の調査では、原材料・仕入れ値が上昇した業者が78%に上る一方、「上昇分を価格に転嫁できていない」と答えた業者が6割を超えています。急激な物価高騰の原因については、新型コロナウイルスの影響やロシアによるウクライナ侵略の影響だけでなく、アベノミクスの「異次元の金融緩和」が異常な円安と物価高騰を招いたことが指摘され、政治の責任が問われています。年金の引下げ、社会保険料の負担増に加え、物価の高騰で、区民や区内事業者が苦しんでいます。区民生活と区内事業者の状況について、区長の認識をお示しください。昨年に引き続き、住民税非課税世帯への臨時特別給付金が補正予算に計上されていますが、対象を広げるなどの支援の拡大を講じるべきです。また、家計急変世帯への交付金については、知らない人もいます。提出する資料も多く、丁寧な説明と周知の徹底が必要です。支援の上乗せ、丁寧な説明と周知の徹底を求めますが、区長の見解をお示しください。また、事業者への支援の拡大として、経営を圧迫している固定費への助成、さらに事業継続支援金給付の今年度の実施を求めますが、区長の見解をお示しください。
 建設業における資材の高騰も深刻です。全国建設労働組合総連合が行ったアンケート調査では、工事原価が上がったのに、価格の転嫁ができた事業者は40.3%にすぎません。その結果、利益が減少した事業者は64.9%に達し、資金繰りが逼迫している事業者は6社に1社になっています。こうした中、3月から、公共工事設計労務単価が主要12職種で3.0%引き上げられました。建設業界は重層下請け構造になっていると指摘されており、建設業の経営が大変なときだけに、公共工事で働く建設労働者に対し、設計労務単価が確実に支払われているか危惧されますが、区は把握さえしていません。今こそ実態把握に踏み出すべきではありませんか。公共工事で働く全ての労働者の賃金についての把握を求めます。区長の見解をお示しください。

(2)消費税率5%に引き下げ、インボイス実施中止を


 次に、消費税5%引下げ、インボイス実施中止を求めて質問します。政府の物価対策は、ガソリンなどごく一部です。特に食料品や水光熱費などの生活必需品の上昇率が前年比4.8%にも達し、所得の少ない人ほど物価高の影響が重くのしかかっています。今回の物価高騰は、消費税3%の引上げに相当する負担増になっていると言われています。これだけ多くの幅広い分野で物価が上がっていることを考えると、消費に対する深刻な影響を緩和するには、全ての値段を一挙に下げる消費税減税を行うことが有効な対策です。消費税減税を求める声は日に日に高まっています。世界では、付加価値税の減税に踏み出す国と地域は4月16日現在、84へと増え続けています。区長は、消費税減税については、国レベルで議論すべきものと答弁してきましたが、区民に責任を持つ者として、区民生活と区内事業者の実情に向き合うべきです。消費税5%への減税を国に求めていただきたいが、区長の見解をお示しください。
 価格に上乗せした消費税額から仕入れや経費で支払った消費税額を差し引いた金額の年間の総額が、消費税の納税額になります。政府は消費税導入に際し、事業者免税点制度を設けました。現在は、年間売上げが1,000万円未満の事業者が申請すれば、消費税の納税が免除されています。その理由を国税庁は、小規模事業者の納税事務負担等に配慮したものと説明しています。2023年10月から導入が予定されているインボイス制度が実施されると、免税業者から仕入れた分の消費税を差し引くことができなくなり、免税業者は課税業者になるか、取引から排除されても免税業者を続けるかの選択を迫られることになります。財務省は、インボイス導入で約2,480億円の増収を見込んでおり、新たに課税業者になる事業者数を免税業者の4割に当たる161万業者と算出しています。インボイス導入により1事業者当たり平均で15.4万円の新たな負担増が課せられることになります。免税業者にとって、課税業者か免税業者か、どちらを選んでも確実に経営を圧迫し、小規模事業者の体力では、廃業の危機に立たされることは避けられません。財務省の試算を板橋区に当てはめると、4,000社以上の免税業者が課税業者になるか、免税業者のままでいるかの選択が迫られ、区内の産業循環が壊される危険性さえあります。役者や作家、イラストレーターなど、全国で850万人とも言われる、フリーランスへの影響も深刻です。インボイスが導入されると、出演料や原稿料などの収入を控除なしに丸々10%を消費税として自ら納入するか、または収入の10%を差し引かれる、こういうことになります。あるイラストレーターは出版社から課税業者になることを迫られ、「インボイス制度とは、長年培ってきた人間関係を断ち切られる非人間的な制度」と批判しています。インボイス制度導入は、免税業者に対する新たな増税政策です。小規模事業者、フリーランス、シルバー人材センター会員などに負担を強いるだけでなく、事業活動そのものを休止に追い込む危険性があります。極めてゆがんだ税制と言わなければなりません。物価の高騰が、事業者を苦しめているこの時期に、インボイスを導入することは廃業を加速するものです。それが今現実のものになろうとしています。区長は、「インボイス導入で、廃業や産業の衰退に直ちに結びつくものではない」と答弁していますが、とんでもない見当違いの認識です。改めて、インボイスについての認識を求めます。また、インボイスの実施中止を国に求めるべきです。区長の見解を併せてお示しください。
 さらに、インボイス制度は、板橋区シルバー人材センターの会員にも大きな影響を及ぼします。会員の報酬である配分金総額に対する消費税額が1億2,100万円に上ることが、センターの試算で明らかになっています。会員は平均6万円の負担増になり、最低賃金以下にならないことを求めた厚生労働省の事務連絡にも反することになります。また、板橋シルバー人材センターが仕入れ税額控除を行わないとすると、1億2,100万円は板橋シルバー人材センターが負担をするということになり、運営は破綻しかねません。板橋シルバー人材センターや会員の配分金への消費税課税について、区の対応が今迫られています。インボイスの本格実施は来年10月です。区がセンターへの補助金の増額をする対応を求めますが、区長の考えをお示しください。

2、区職員が働きやすい職場を求めて


 次に、区職員が働きやすい職場を求めて質問をします。
 まず、公務職場におけるハラスメントについてです。厚労省の文書では、ハラスメントは個人としての尊厳や人格を不当に傷つける許されない行為とし、職場の秩序の乱れ、業務への支障とともに、貴重な人材の損失につながる大きな問題としています。実際ハラスメントによる働く人への精神的影響は大きく、令和3年版自殺対策白書によると、勤労問題が原因の自殺は1割近くを占め、そのうち自殺者の約半数が、過重労働または各ハラスメントを一因として自殺に至っています。また、職場のハラスメントについては、2021年に厚生労働省が実施した職場のハラスメントに関する実態調査によると、過去3年以内にハラスメントを受けたことがあると回答した者は、パワーハラスメントで31.4%、セクシュアルハラスメントで10.2%もあり、対策は喫緊の課題になっています。板橋区は事業主として、職場の実態をつかむ必要があります。しかし、ハラスメントに関する調査は実施されていません。無記名でパワハラ、セクハラ、マタハラ、モラハラに関する全職員への調査を求めますが、区長の見解をお示しください。
 2020年6月の労働施策総合推進法の施行を受け、板橋区においても、板橋区職員ハラスメント防止の指針が策定されました。そこでは、「ハラスメントの防止について、職員に対して繰返し周知徹底を図ります」とありますが、実際は、部課長と庶務担当に指針を全庁メールで送信することにとどまっています。また、「ハラスメントに関する基本的な事項の理解を深めるため、研修等を実行します」とありますが、実施されているのは、全ての職員ではなく、主任昇任時研修と係長職3年目研修に限定されています。指針では対象を全ての職員、つまり正規職員だけでなく、再任用職員や会計年度任用職員が対象としていますが、周知と研修が行われるのは一部の職員だけで、対策はまったく不十分です。全ての職員へ指針を周知徹底し、全ての職員への研修を実施すべきです。区長の見解をお示しください。
 2021年度のハラスメント相談は僅か5件です。現場で解決しようとする姿勢は改めるべきです。また、窓口が人事課に設けられていることも相談件数の少なさの遠因です。ハラスメント相談は、別の部署に設けるなど、気軽に相談できるような取組が必要です。気軽に相談できてこそ、被害が軽度または未然に防ぐことができると考えます。ハラスメント相談を気軽に相談できるように対策を講じていただきたいが、区長の見解をお示しください。
 特定事業主行動計画の策定の目的は、板橋区が特定事業主として、区職員が仕事と子育ての両立、仕事と生活の調和、及び女性の職業生活における活躍の促進が図られる職場環境を実現することにあります。目的に応じて目標が設定されており、目標達成への計画は着実に進められなければなりませんが、目標は達成されていません。とりわけ超過勤務については、改善どころか悪化しているのが現状です。年間360時間の超過勤務の職員を目標では20名以内としていますが、2018年67名、2019年71名、2020年98名と年々増加しています。さらに、メンタル系疾患の区職員数の増加が分かりました。5月27日に公表された板橋区中央安全衛生委員会報告によれば、30日以上の長期病休者は、2019年96人、2020年134人、2021年139人で、そのうちメンタル系疾患の職員は、2019年53人、2020年67人、2021年91人にもなっています。過重労働が要因の一つであると考えられます。かねてより我が会派は、過重労働を減らすには職員定数を増やす以外に方策はないと、職員増を求めてきました。それに対して区長は「全ての課において、あらゆる角度から業務量を厳しく査定しております。令和4年度におきましても、計画の着実な推進と社会経済情勢の変化に柔軟に対応できる職員配置と定数の適正化に努めていきたい」と答弁しています。適正な職員定数の下で、なぜ年間360時間を超える超過勤務の職員が100名近くもいるのか、メンタル系疾患で休まざるを得ない職員が91人もいるのか、この理由について区長の見解をお示しください。
 また、年次有給休暇の取得率についても改善が必要です。職員アンケートでは、年次有給休暇の取得しにくい理由として、「業務量が多く多忙だから」が36.4%、「職場に迷惑がかかると感じるから」が25.9%で、職場がいかに忙しいかを示しています。この忙しさを解消することなしに、女性管理職を増やすことも、年次有給休暇の取得率を上げることも進まないのではないでしょうか。仕事と子育ての両立、仕事と生活の調和、女性の職業生活における活躍の促進を求めた特定事業主行動計画の目標達成には、仕事量に見合った職員の増員がどうしても必要です。職員の増員を求めますが、見解を求めます。

3、保育園への実地検査の重視を


 次に、保育園への実地検査の重視を求めて質問します。
 板橋区では、2016年に認可保育園で、乳児の死亡事故が起きています。また、2020年には、区立母子生活支援施設で乳児の遺体が発見されるという事件が起きています。いずれの事故・事件も二度と起こしてはなりません。児童福祉法施行令では、自治体に対し、認可保育所などの児童福祉施設への実地による指導検査の実施が義務づけられています。子どもの命を守るには、書類だけでなく、実際に子どもたちのいる保育施設に直接赴き、日々の保育の様子を確認する実地検査が極めて重要です。まず、この実地検査の重要性について区長の認識をお伺いします。
 区では2021年度は、コロナのクラスターが発生した施設を除き、全ての施設に対し実地検査を行っています。しかし、これらの検査は全て事前に文書で通知した上での検査です。対象園に事前に連絡せずに、抜き打ち検査は2021年度は1回も実施されていません。事故を防止するためには抜き打ち検査も必要です。抜き打ち検査の仕組みの構築を求めます。区長の認識をお示しください。
 政府は2021年12月、児童福祉施設における指導監査について、コロナの感染拡大防止の観点から、実地によらなくてもよい方向で見直すということを検討し、必要な措置を取るとの方針を示しました。パブリックコメントにかけられた内容には、施行令では監査を実地で行うという要件を削除するという内容になっています。これは、コロナ対策の限定的な特例ではなく、実地によらない検査を常態化するものです。事故を防止するための努力を台なしにするものです。3月16日の国会審議で、政府は今後も検討するとして、施行令からの実地検査の削除を先送りはしましたが、検査の緩和の構えは崩していません。全国保育団体連絡会が会見を開き、児童福祉施設への実地検査の規制緩和に反対し、自治体が指導監査体制を強化できるよう、国に求める声明と緊急署名を呼びかけました。会見では保育園園長が「実地検査の少ないところで事故が起きている。現場に入って、おもちゃがない、給食が不十分と分かり指導が入る。検査をなくしたり、縮小するなど考えられない」と訴えています。国に対して、実地検査の緩和はやめるよう意見すべきです。また、実地検査を区は今後も実施していくことを求めます。併せて区長の見解をお示しください。

4、実効性ある地球温暖化対策を


 次に、実効性ある地球温暖化対策を求めて質問します。
 区は、今年ゼロカーボンシティ表明として2050年までにCO2の排出量を実質ゼロにすることを表明しました。CO2削減のための強力で具体的な取組が求められています。国際連合の気候変動に関する政府間パネル、IPCCは第6次報告書を公表し、次の10年間の社会が取る選択によっては、被害を受けた人間や自然のシステムが回復できなくなると警鐘を鳴らしています。これからの10年間の温室効果ガス削減の取組が極めて重要であり、10年後以降に幾ら削減できても良好な環境システムは取り戻せないということです。今年4月、グテーレス国連事務総長は、今行動しなければ、幾つかの大都市が水没し、熱波や嵐が激しくなり、生物の大量絶滅が起きると述べ、これは空想でも誇張でもない、科学が告げていると、温室効果ガス削減の取組の強化を求めました。今後の10年間の温室効果ガス削減の取組がいかに重要か、区長の認識をお示しください。
 板橋区地球温暖化対策実行計画(区域施策編)2025では、CO2削減の2025年目標を2013年比で30%削減、2030年目標を40%削減という目標を掲げています。この削減目標の根拠について、区は実質値が判明している2017年排出量と2050年のゼロを直線で結び、割り返した数字が2025年30%、2030年40%であると説明しています。削減数値の裏づけがなく、確立されていない技術革新に依存したものになっています。区の削減目標を引き上げ、具体的な取組の強化を図る必要があります。区長の見解をお示しください。
 次に、CO2削減のための具体的な取組についてです。板橋区は、太陽光発電や蓄電池システムや住宅の断熱化、住宅の照明のLED化などに対して補助金を支給する、新エネルギー省エネルギー機器導入補助金制度を2021年度廃止しました。しかし、太陽光発電と蓄電池システムは民間施設に普及し、10年間で一気にCO2を削減するためには必要な制度です。内容をブラッシュアップし、同制度の復活実施を求めます。さらに、電気効率の悪いエアコンは一気に解決することが必要です。買換え助成制度の創設を求めますが、併せて区長の見解をお示しください。
 板橋区は、区の施設や事業によって排出されるCO2の削減を定めた地球温暖化対策実行計画(事務事業編)2025を策定しました。その中では、2030年度までに全ての区施設への再生可能エネルギー100%電力の導入を視野に入れるとしていますが、計画が立てられているのは、新築・改築・長寿命化改修だけであります。今後は学校施設にも広げていくとしていますが、現状で導入が可能な施設は全て再エネ電力を導入すべきです。再エネ100%電力の区施設導入計画の前倒し実施を求めます。区長の見解を求めます。
 2016年からの電力自由化によって、再エネを重視する新電力も家庭向けの電力販売に参入できるようになりました。しかし、発電設備の大部分を大手電力会社が所有し、扱う電力の80%のシェアを電力大手が占めているのが現状です。さらに今の電力価格の高騰は、再エネ重視の新電力の経営をも圧迫しています。再エネ100%電力導入に際しては、電力大手だけでの契約ではなく、再エネ重視の新電力を育成する立場から、新電力との契約も視野に入れることを求めます。区長の見解をお示しください。

5、子どもと高齢者のスポーツ施設のあり方について


 次に、子どもと高齢者のスポーツ施設のあり方について質問します。
 スポーツにおける区の役割は、スポーツ要求、健康づくり、子どもの権利などを実現することにあります。施設の充実は区民生活にとって欠かせないものです。ユニセフは、遊びやスポーツは健全な成長に欠かすことのできない子どもの権利であるとして、全ての子どもが安心してスポーツを楽しめるように、子どもの健全な発展と成長を支えるスポーツ環境の実現を呼びかけています。その一方で、板橋区は次期使用料手数料改定において、現在は無料の東板橋運動場や赤塚体育館の少年野球場の使用料を有料化する方針です。赤塚体育館の少年野球場は、もともと赤塚小学校があり、解体後は子どもたちが自主的に管理し、学年を問わず野球や遊びに使っていた空き地でした。私自身も小学3年生のとき、父親からグローブをもらって野球に触れ、学年や学校の違いを超えて多くの友人ができました。東板橋運動場も同じように無料だからこそ、子どもたちが集まる居場所だったと思います。有料化について地元の少年野球のコーチに聞いたところ、「聞いていない。有料になれば練習を減らさざるを得ない」と話しています。そもそも子どもには収入がありません。コーチもボランティアです。子どもたちが、いつでも、誰でも、お金の心配なくスポーツを楽しめることができるようにすることこそ、行政の大事な役割です。収入のない子どもから使用料を徴収する施設の有料化はやめるべきです。区長の見解をお示しください。
 また、区は高齢者のグラウンドゴルフについても有料化の方針です。高齢者の運動については、厚労省はストレッチや体操を1日10分程度、散歩やウオーキングを1日20分程度、レクリエーションや軽めのスポーツを週3回程度行うことを勧奨していますが、コロナの感染拡大によって、外出の自粛、人と人との接触を減らすことを求められました。その影響は、厚生労働白書によると、高齢者の身体活動時間は、約3割も減少し、家族としか会話をしていない人は4割を超え、誰とも話さない人が2割を占めています。グラウンドゴルフは、高齢者にとって楽しんで行えるスポーツで、老人会などの大事な活動の一つになっています。場所は小豆沢野球場、城北野球場、徳丸ヶ原野球場を使い、無料で行うことができます。これが有料化ということになれば、老人会の負担増は避けられません。コロナを経験した高齢者にとって人とのつながりほど重要なものはありません。グラウンドゴルフを楽しむ高齢者は「楽しみを取らないでほしい」と語っています。グラウンドゴルフ使用料の有料化はすべきでありません。グラウンドゴルフを高齢者の介護予防、認知症予防などの重要な事業とに位置づけ、小豆沢野球場などでのグラウンドゴルフの使用料は無料とすべきです。区長の見解をお示しください。

6、地域課題について

(1)成増駅の公衆喫煙所について


 最後に、地域課題について3点質問します。
 まず、成増駅の公衆喫煙所についてです。成増駅には南口と北口に開放型の公衆喫煙所が設置されています。北口ではパーティションが、南口には植物プランターが置かれていますが、両喫煙所とも目の前にバス停があり、子どもたちもバスを利用していて、受動喫煙対策は不十分です。また、住民や通行人からは煙や臭いがひどいとの苦情が寄せられています。区は、区民の健康を第一に考え、望まない受動喫煙を防止する環境の整備を目指すという考えを明らかにし、区長は「開放型から密閉型、コンテナ型の公衆喫煙所への転換を進める予定であります」と答弁していますが、3年が過ぎても、事態はまったく変わっていません。成増駅の喫煙所に対し、有効な受動喫煙対策を実施すべきです。区長の見解をお伺いします。

(2)ゆりの木団地けやき通りの歩道の補修について
 次に、ゆりの木団地、けやき通り歩道の補修についてです。ゆりの木団地や赤塚新町公園周辺は1992年に活き粋いたばしまちなみ景観賞を受賞しました。広報いたばしでは、「鬱蒼と配置されたケヤキの並木道やコミュニティ道路が良好な景観を形成している」と紹介されています。けやき通りと呼ばれる区道には、インターロッキングを敷き詰めた歩道があり、ケヤキが大きくなるにつれ、根が盛り上がり、通行の障害になっています。区は8月からアスファルトの歩道に補修しようとしていますが、住民からは再考を求める声が上がっています。住民は景観を大切にしたいと考えています。住民説明会も開かずに工事を進めることは、区に対する住民の不信感にもつながります。8月予定の工事は一旦休止し、住民に丁寧に説明することを求めます。区長の見解をお示しください。

(3)赤塚5丁目32番の都有地の活用について
 最後は、赤塚五丁目32番の都有地の活用についてです。都が購入した赤塚五丁目32番の土地はかつて生産緑地として農家が耕作していた土地でした。現在はフェンスで囲まれ、雑草が伸び放題の状態になっています。区民農園数は2018年度の1,950区画から2022年度の1,700区画へ減り続けています。区は、農地の貸借などを通じて区民農園を増やしたいと答弁しています。当該用地は都立赤塚公園にも編入されていないと聞いています。当該都有地について、都から借り受け、区民農園として活用することを求めますが、区長の見解をお示しください。
 以上で質問を終わります。ご清聴いただきましてありがとうございました。(拍手する人あり)

◎区長 それでは、吉田豊明議員の一般質問にお答えいたします。
 最初は、物価高への支援に関連いたしまして、区民生活と区内事業者の状況についてのご質問であります。昨今の国内の経済情勢における原材料費や光熱水費の上昇が区民や区内事業者に与える影響は、少なからずあると認識をしております。
 続いて、特別臨時給付金に関連いたしまして、周知と丁寧な説明についてのご質問であります。家計急変世帯については、税情報に基づくプッシュ型の通知ができないため、各窓口での申請書の配付や広報、ホームページでの案内など、広く周知に努めているところでございます。給付金の申請に関する問合せには、専用のコールセンターのほか、本庁舎に臨時の相談窓口を設け対応しており、今後も丁寧な説明に努めていきたいと考えています。
 次は、給付金の上乗せについてのご質問であります。区としましては、非課税世帯臨時給付金のほか、生活困窮者自立支援金の支給、住居確保給付金の要件緩和などの対応を行っておりまして、さらなる上乗せは考えていないところであります。まずは、今回の補正予算により実施します新たな非課税世帯への給付金支給を着実に行い、国や東京都の動向を注視しつつ、区民に寄り添った支援を行っていきたいと考えています。
 次は、事業者支援の拡大についてのご質問であります。新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言下における強力な行動制限が課せられた状況におきましては、家賃の助成や支援金の給付を実施してきたところでございます。現在、原油や原材料等の価格が上昇しているものの、事業の制限はほぼ解除されておりまして、区の支援としましては、業務のDX化やデジタル地域通貨の導入などの業務改善や景気回復にシフトをしているところであります。したがいまして、新たな助成金や支援金の給付につきましては、予定をしていないところであります。
 次は、公共工事で働く建設労働者の賃金把握についてのご質問であります。公共工事で働く労働者の賃金につきましては、今後、実態把握に向けた具体的な検討を進めていく考えではありますが、現時点において、全ての労働者の把握までは難しいものと考えています。
 次は、消費税率5%への減税についてのご質問であります。社会保障などの財源である消費税を一時的な経済対策に使うことは、慎重であるべきと考えています。今後も区民生活や区内事業者に及ぼす影響の度合いと国の動向などに関しまして、引き続き十分注視していきたいと考えています。
 次は、インボイス制度についてのご質問です。インボイス制度は、複数の税率下で適正な課税を確保するためには必要な制度であると認識しています。免税事業者などの経営に一定の影響が出ることになりますが、制度の開始後6年間の経過措置を設けておりまして、直ちに廃業に結びつくものではないと考えています。今後も、経過措置の状況や国の動向などを踏まえて、区内事業者への影響について見極めていくとともに、混乱が生じないように、国税庁などと連携をして、事業者への広報・周知に努めていきたいと考えています。
 次は、シルバー人材センターへの補助金の増額についてのご質問であります。シルバー人材センターや小規模事業者等が、インボイス制度導入により影響を受ける可能性があることは認識をしております。こうした影響は全国的なものでありまして、直ちに補助金を増額すべきものとは言えず、消費税制の趣旨を踏まえながら、国や東京都等の動向を注視していく必要があると考えます。
 次は、ハラスメントの全職員調査についてのご質問であります。職場でのハラスメントは、働く人の尊厳と人格を不当に侵害する許されざる行為であり、各職場において組織的にハラスメントの発生を予防することが重要と考えます。区では、令和2年度に板橋区職員ハラスメント防止の指針を策定し、その定義、種類、判断基準、該当する言動を明確化し、ハラスメントの芽を未然に摘み、発生が疑われる場合においても、迅速に相談できる体制を整えております。ハラスメントに関する無記名調査を行う予定はございませんが、全職員を対象としたストレスチェックにおける職場の人間関係についての分析結果についてを参考にしていきたいと考えています。
 続いて、全職員に対するハラスメント研修の実施についてのご質問であります。ハラスメント研修は、部下を持つタイミングとなる係長職3年目と、係長を補佐する役割を求められる主任への昇任時に行っておりまして、毎年約150人の職員が受講し、認識を深めているところでございます。係の組織運営に携わる職員に対し、必須の知識として位置づけることによって研修効果を高めておりまして、現在のところ、有効な手法と考えます。ハラスメントに関しまして、職員への継続的な啓発は重要でありますので、引き続き、全庁LANの活用と紙ベースでの回覧を組合せ、周知に努めていきたいと考えています。
 続いて、気軽にできるハラスメント相談についてのご質問であります。ハラスメントの防止は、ハラスメントに至る前段階の初期における組織的な対応が大切でありまして、職場内の身近な管理職や係長に速やかに相談できる風通しのよい職場づくりが重要であります。一方で、職場での解決が困難なケースも想定されるため、迅速な組織的対応の観点から、人事課に相談窓口を設置することは妥当であると考えています。
 次は、超過勤務とメンタル系の疾患者の増加理由についてのご質問であります。先の見えない感染症災害と言える状況の中、国による度重なる事務処理方法の変更や入力システムの不調に加え、各種特別給付金の支給など、急遽決定した臨時的な事務も多かったため、平時を想定した超過勤務の目標値との乖離が生じております。メンタル系の疾患は、様々な要因が複合的に影響しているため、理由の明確化は困難でありますが、未病の段階における適切な対応によりまして回復することも多いことから、過重労働者に対しましては、速やかに産業医や保健師の面接を実施していきたいと考えています。
 次は、職員の増員についてのご質問です。区の職員数については、過去最少でありました平成27年度以降、厳しい財政状況の中においても、多様化する行政需要に対応するため、今年度までに約190名の増員を図り、適正に人員配置を実施してまいりました。目標の達成は職員の増員で解決できる単純なものではなく、職場全体で育児休業の取得を支援する環境づくりやOJTによる業務改善など、全職員で取り組む意識の醸成を図ることが重要と考えます。併せて、テレワーク等の働き方改革、DXによる事務の効率化など、様々な手段を複合的に活用することで、特定事業主行動計画の目標値の達成を目指していきたいと考えています。
 次は、保育園への実地検査の重要性についてのご質問であります。昨年度の指導検査については、子ども・子育て支援法に基づき、新型コロナウイルス感染症の影響により実施できなかった1園を除き、私立保育所の現場において実施してまいりました。指導検査においては、施設の設置者や施設長に対して、基準を満たしていることを確認するために必要な報告を求め、施設において設備や帳簿書類などの検査を実施するものであります。検査項目につきましては、実地でなければ確認が困難なものもございますので、実地による検査が原則であり、望ましいものと考えています。
 次は、抜き打ち検査についてのご質問です。施設の運営に重大な問題が発生した場合など、あらかじめ文書にて通知せずに実施した方が望ましい場合には、当日の通知をもって検査を実施することとしております。この場合、施設職員が検査に対応することで保育体制が手薄になること、関係書類を準備できる職員が不在であることなどによりまして適切な検査が実施できない可能性もあり、慎重な判断が求められていると考えています。
 次は、今後の実地検査についてのご質問です。本年1月、児童福祉施設等の感染防止対策・指導監査の在り方に関する研究会が、書面監査を例外的な取扱いとする報告書を取りまとめられました。報告書を踏まえた関係法令等の改正や施行に関する厚生労働省からの通知を受けていないため、政府に対しまして意見を述べることはないところであります。これまで区は、コロナ禍におきましても、感染拡大に配慮しながら施設を訪れて検査を実施してきておりまして、今後も実地検査が望ましいと考えております。
 続いて、今後10年間の温室効果ガス削減の取組の重要性についてのご質問であります。区は、令和4年1月に気候非常事態宣言を含むゼロカーボンシティ表明を行い、温室効果ガスの排出削減に早急に取り組む姿勢を示しました。地球温暖化に対しましては、区単独の取組だけでは抗えないことから、今後も、国や東京都と足並みをそろえ、連携をして対応することによって、実効性を高め、地球温暖化に立ち向かっていきたいと考えています。
 次は、区の削減目標の引上げと取組の強化についてのご質問であります。現行の地球温暖化対策実行計画(区域施策編)2025の策定と、国の温室効果ガス削減目標の大幅な引上げのタイミングが合わず、調整することができなかったところであります。令和4年3月策定のこの計画の事務事業編においては、国の高い目標値を反映し、併せて、具体的な取組を強化することができたものと考えています。次期地球温暖化対策実行計画策定時においては、国の最新の目標値を反映できるよう、その目標に合わせて、取組をさらに強化していきたいと考えています。
 次は、新エネ及び省エネ機器等導入補助制度の復活についてのご質問であります。区では、新エネルギー・省エネルギー機器等の導入補助事業を令和2年度までの22年にわたり実施し、二酸化炭素排出削減に一定の成果を上げてまいりました。東京都が同様の補助事業を展開していることから、現段階で、新エネ及び省エネ機器等導入補助事業の復活については考えていないところであります。
 次は、エアコン買換え助成制度の創設についてのご質問であります。省エネ性能の高いエアコンへの買換え補助については、東京都が東京ゼロエミポイント事業として既に実施をしていることから、区として新たに事業を創設する考えは持っていないところであります。
 次は、区施設への再エネ100%電力の前倒し導入についてのご質問であります。再生可能エネルギー100%電力の導入が脱炭素化に向けた有効な手だてであることは、十分に認識をしております。今後、世界的なエネルギー危機、国内の電力逼迫状況及び導入経費などを十分に見据えて、リスクを回避しながら、現在の計画に基づいて導入を図っていきたいと考えています。
 次は、再エネ重視の新電力会社との電力契約についてのご質問です。国の電力自由化によって、多くの新電力会社が誕生いたしました。新電力会社の中には、市場で調達するエネルギー価格の高騰により経営難に陥り、経営破綻する会社も出てきております。区では、入札による適正価格の調達が原則であることに加えて、電力の安定的な調達が欠かせないことから、リスクを抱える新電力会社との契約については、慎重に進めていく考えであります。
 次は、子どもが使用できる無料施設の有料化についてのご質問であります。施設使用料は、その提供に要した費用をサービスを受けた方に適正に負担していただく受益者負担の原則に基づいて設定すべきものと考えています。また、他の野球場などを少年団体が利用する場合においては使用料が必要であり、他の施設使用者との公平性の観点なども勘案しながら、有料化も含めて、総合的に検討していく考えであります。
 次は、グラウンドゴルフの有料化についてのご質問であります。野球場におけるグラウンドゴルフの団体利用につきましては、試行的な運用として、施設利用料を無料としてまいりました。本格実施への移行に当たりましては、他の利用者との公平性を担保するため、有料化の方向で検討を進めてきたところでもあります。今後、有料化に当たりましては、新型コロナウイルス感染症の影響などを勘案しながら、使用料・手数料検討会などにおいて検討を進めていきたいと考えています。
 次は、成増駅の公衆喫煙所についてのご質問です。成増駅南口・北口に設置している喫煙場所については、利用者が多い一方で、喫煙マナーや受動喫煙に対する苦情も多く、対策の必要性について認識をしております。コンテナ型公衆喫煙所の設置を基本として検討を続けてまいりましたが、建築、道路関係法令上の制約など課題が多く、適切な用地の確保が困難なため、実現できていないのが現状であります。設置に向け、引き続き、公有地、民有地への設置のほか、民間への助成制度の活用も含めて検討を進め、受動喫煙の防止のため、現状から少しでも前進するように努めていきたいと考えています。
 次は、ゆりの木団地、けやき通りの歩道の補修についてのご質問であります。ゆりの木団地周辺の道路改修は、まちなみ景観賞の趣旨にも鑑み、ケヤキ並木の景観と歩行の安全性を両立させるとともに、柵の更新による景観性の向上を目指すものであります。ケヤキに関しましては、ユリノキとは異なり、地表近くに伸びる根の損傷を最小限にとどめ保全するために、ブロック舗装から弾力のある透水性アスファルト舗装に変更する考えであります。この工事内容は、近隣40か所の掲示板でお知らせをし、いただいたご意見には説明等を行ってまいりましたが、今後、追加説明を行うことについては、方法も含め、検討していきたいと考えています。なお、説明の方法については相談させていただきますが、ケヤキの根による段差の解消につきましては、歩行者の安全確保のため、早期に実施したいという考えであります。
 最後になります。赤塚五丁目32番の都有地の活用についてのご質問です。当該用地は、隣接する都立赤塚公園と一体的な整備が予定されておりまして、東京都に確認をしたところ、令和5年度中には整備に着手する予定と聞いております。現在、30か所ございます区民農園は今後も増やしたいと考えておりますが、当該用地につきましては、区民農園として貸し出せる期間が確保できず、活用は難しいものと判断をしています。
 頂戴いたしました質問の答弁は以上でございます。

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