議案第 93 号 「板橋区営自転車駐車場の指定管理者の指定について」反対討論

討論日:2022年12月14日

 ただいまより、日本共産党板橋区議会議員団を代表し、議案第 93 号 板橋区営自転車駐車場の指定管理者の指定について反対の立場から討論を行います。


 本議案は、区営自転車駐車場について、今年 4 月より指定管理者制度を導入した環七南エリア、高島平エリアの 28 か所をのぞく、残りの志村エリア、東上線エリアの 42 か所において、令和 5 年 4 月 1 日より指定管理者制度を導入し、事業者を指定するものです。

 議案に反対する第一の理由は、選定において競争性が担保されていないからです。区は、指定管理者の選定過程の説明で、「複数の事業者から興味を示される反応があったものの、結果として応募は従前委託を受けていた 1 団体だけであった」と説明しました。区はこれまでも指定管理者の選定において、「健全な競争が行われることが利便性の向上につながる」と説明してきましたが、1 団体のみの応募では競争性は担保されません。


 第二の理由は、サービスの低下が明らかだからです。
西高島平駅高島陸橋交差点 E の駐輪場の『改善を求める陳情』が今年 6 月に提出されたことからもわかるように、指定管理者の言うままに当日利用がすべて廃止され、利用者に不便を広げてしまいました。また、高島平駅では、当日利用がすべてラックに変更された結果、平置きのように柔軟な対応ができなくなりました。そのため、今までの利用者が満車で利用できず、中には「近隣のスーパーに止めた」と言う人が出ています。放置自転車対策のはずの駐輪場が制度の変更によって新たな放置自転車を発生させるのは本末転倒です。
 また、回数券が廃止され、週に 2~3 回の利用者にとっては不便感が増しています。
 さらに、区の言う「サービス向上」の一つであるキャッシュレス決済などは、導入当初の 4月から予定したものが、半導体不足等の理由で 12 月になっても未設置の所を残しています。しかも、今回の指定管理者制度の導入によって、これまで複数配置されていた人員は、6時から 9 時と 17 時から 20 時の忙しい時間に 1 名の配置となり、9 時から 17 時までの 8 時間は人がいなくなる見通しです。たとえ機械化しても、空いているラックを探すことが難しくなったり、ラックに自転車を入れることは高齢者や障害のある人などは 1 人では難しく、利用が困難になります。先に導入された NCD 株式会社が管理するエリアは利用者の少ない一部を除いてすべての時間に人が配置されているのに、今回導入する芝園開発株式会社のエリアでは人がいない時間帯が発生し、問題です。先に指定管理者制度を導入したエリアの検証もせず、新たな指定管理者制度の拡大はすべきでありません。


 第三の理由は、「高齢者雇用の確保」を投げ捨てるものだからです。
シルバー人材センターが会員向けに行った説明会では、新たな指定管理者の指定によって現在働いている 159 人から 7 割にあたる 115 人もの人員削減が見込まれるとし、質疑の中で区も認めています。議案に賛成した委員は、「一人でも多くのシルバーを使うと交渉している」「7 割減のところは工夫していただける余地がある」と言いますが、区は、「人の配置によって質の高いサービスが提供できているとは考えていない。必ずしも土木部として高齢者就労の促進について担うものではない」と答弁しました。それは、一括委託導入時も、先の 28 ヵ所への指定管理導入時も「高齢者雇用を守る」「これまでと同様にお願いする」としてきた区の姿勢から変質しており、大きな後退です。
 シルバー人材センターの会員の多くは、シルバー人材センターに登録して働く理由につ
いて、「生活のため」とアンケート等で答えており、駐輪場は希望者も多く、そこで働いた
収入は暮らしを支えるものとなっています。その高齢者の就労が来年 4 月から突然断たれることになり、残る 44 人も働くことのできる時間は縮小されます。区として高齢者雇用を守るとしてきた方針を維持すべきです。


 委員会質疑の中で、苦情対応について、シルバー人材センターの人のマナーや態度をこと
さらに取り上げて問題にする発言がありましたが、シルバー人材センターの人がいることで高齢者や外国の方への対応、ラックの対応など、本当に助かるとの声も聞いています。むしろ、駐輪場は区の施設ですから研修などを区として実施し、個々の苦情についても区が責任をもって対応すべきです。


 最後に、他の指定管理による施設は、区が基本的に施設整備を行い、施設運営を指定管理者が行いますが、駐輪場は機械化の経費を指定管理者が負担することになっています。そのため、人件費を大幅に削減しなければ利益を上げることができません。区の「コスト削減」を前提とした機械化が 7 割もの人員削減につながったことは間違いありません。

 さらに、どんなに便利な機械を設置しても、所有者は指定管理者になるため、指定期間終了後に事業者が変更になれば、機械は撤去され、便利なサービスの継続は保障されません。サービスの低下だけでなく、便利な機能の継続すら担保できない指定管理者制度を導入すべきではありません。
以上の理由から本議案に反対し、私の討論とします。

一覧へ

検索