2022年第3回定例会 荒川なお区議一般質問

質問日:2022年9月22日

 ただいまより、日本共産党板橋区議会議員団の一般質問を行います。


 初めに、核兵器禁止条約への参加を求めて質問します。
 8月1日からニューヨークの国連本部で開かれたNPT再検討会議は26日、最終文書を採択できずに閉幕しました。今回の再検討会議は、ウクライナを侵略したロシアが核兵器の先制使用を公言し、核保有国が軍拡競争を強める中で行われました。NPT第6条は、「締約国が誠実に核軍縮交渉を行う義務を負う」としています。しかし、その交渉は全く進んでいません。2017年に採択され、2021年に発効された核兵器禁止条約は、そうした現実を動かすために締結されたものです。今回の再検討会議では、核保有国は、核兵器禁止条約とNPTは矛盾すると批判をしましたが、核兵器禁止条約に賛同する国々は、核兵器の非人道性の再確認と、核兵器禁止条約がNPTを補完することを明記するよう求めました。ロシア以外の全ての国が合意した最終文書には、「核兵器禁止条約を認識する」と記述され、禁止条約に賛同する国々の主張が一定程度盛り込まれました。核兵器禁止条約は、NPT再検討会議を補完する役割を持っていることは明白であり、車の両輪です。そこで、区長に伺います。核兵器禁止条約がNPT再検討会議にどういう影響を与えたか、区長の認識をお示しください。
 核兵器禁止条約の第1回締約国会議の議長、オーストリアのクメント軍縮局長は、1か月間の再検討会議は、NPTがその義務や約束がどうであれ、現実には核軍縮でほとんど前進をつくらないことを示したと指摘し、NPT第6条で実際の前進を達成したいと望む全ての国は、核兵器禁止条約に参加することを呼びかけています。しかし、唯一の被爆国である日本政府は、NPT再検討会議でも世界の流れに逆行する恥ずべき姿勢をあらわにしています。今こそ日本は核兵器禁止条約に参加するべきです。改めて核兵器廃絶をうたった平和都市宣言を持つ板橋区として、政府に核兵器禁止条約に参加することを求めていただきたいが、いかがでしょうか。


 次に、気候危機打開に向けた取組について質問します。
 今、世界各地で人々が過去に経験したことのないような異常気象、自然災害に見舞われています。水不足が過去500年で最悪の状況というヨーロッパ、国土の3分の1が水没し、1,300人近くが亡くなったとされるパキスタンなど、甚大な被害となっています。パキスタンの気候変動大臣は、「氷河が溶けるのは地球温暖化の結果です。パキスタンのCO2排出割合は世界で1%以下です。世界の気候を生き地獄にする温室効果ガスの排出にはほとんど加担していません」と述べ、大量の温室効果ガスを排出し続けている豊かな国の責任を強く求めています。日本は世界第5位のCO2排出国です。他人事ではありません。2050年、カーボンニュートラルは掲げたものの、数合わせではない本気の取組が求められます。また、板橋区も今年4月、ゼロカーボンシティ宣言を行いましたが、宣言にふさわしく、本気で具体的な施策を進める必要があります。そこで、区長に板橋区の温暖化対策の取組を一層強力に推し進めることについて質問します。
 まず、省エネの推進についてです。2050年の脱炭素実現のためには、エネルギーの供給構造の見直しや、耐久消費財や建造物・建築物の更新に合わせた省エネ投資の導入といった構造的な省エネが必要です。政府においては、2030年に目指すべき住宅・建築物の姿として、新築される住宅・建築物について、高性能な断熱性を用いて住宅を建設し、さらに太陽光発電システムなどを導入して自家発電を行うことで、年間のエネルギー収支をほぼゼロにすることを目指すZEH化、ZEB化の推進が閣議決定されています。2050年、脱炭素に向けて構造的な省エネへの転換が求められていると考えます。そこで区長に伺います。公共施設での年間エネルギー収支をほぼゼロにする建物への変更、耐熱化や窓断熱などの現状と今後の計画について、見解を伺います。
 まち全体をつくり替える再開発計画は、大きなエネルギー消費、温室効果ガスの排出を伴うものとしても問題です。建設工事中の問題としては、建設機械の稼働、鉄とコンクリートを中心とした建設資材の製造と使用、運搬、廃棄物の発生などなど。また、新しい建築物が存在し、供用されることによって発生するもの、増加する自動車交通量、商業施設などから発生する廃棄物など、温室効果ガスの排出が削減される要素は全く見当たりません。建物が大規模になればなるほど後々の解体も規模が大きくなっていきます。大山駅周辺、板橋駅、上板橋駅南口で再開発事業が進められていますが、開発計画によって計画されている建築物は、年間消費エネルギーゼロ基準のものが計画されているのでしょうか。また、建物の解体、建築、床面積の増加等によって温室効果ガスはどれくらい増えることになるのかをお示しください。
 次に、再生可能エネルギーの普及拡大についてです。政府の試算でも、日本における再生可能エネルギーの潜在量は、現在の国内の電力需要の5倍です。再生可能エネルギーは不安定だという議論がありますが、安定的な電源にする環境整備の取組が行われていないことこそ問題です。EUでは、再生可能エネルギー電力の優先接続が義務化されていますが、日本は、発電量が過剰になると、まず太陽光や風力での発電が電力系統から外され、原発や石炭火力での発電が最優先になっている現状があります。これでは再生可能エネルギーを主力にと幾ら言っても、空文句でしかありません。また、再生可能エネルギーで発電した電力を最大限活用できる送電網などのインフラ整備が進んでいません。電気は、石油やガソリンのような輸送コストもなく全国に送ることができます。再生可能エネルギーはどこにでも存在しますが、自然条件の違いで発電量には差が生まれます。電力会社が9社に区切られ、大電力会社に強大に支配されている現状を変えて、せめて東西2つの体制にするなどして、各地で開発した再生可能エネルギーを全国で有効に活用できるような送配電体制の整備・統合を進めることが早急に必要です。発電所から送電網への接続線を大手の送電事業者の責任で設置させることも必要です。そこで、区長に伺います。温室効果ガスを排出し続ける化石燃料から、再生可能エネルギーを主力にする大規模な構造転換が必要だと考えます。政府に対して、再生可能エネルギーの優先利用の原則を確立すること、送配電体制の整備・統合を進めることを求めていただきたいが、いかがでしょうか。
 板橋区においては、ゼロカーボンシティ宣言の下、公共施設の再エネ化、庁有車への電気自動車の導入と再エネ充電器の設置が行われることになりましたが、進捗状況はどうなっているでしょうか。もっと計画を加速化させることが必要だと考えますが、今後の計画をお示しください。


 次に、区立庭球場の改善を求めて質問します。
 先日、区内のテニス協会の方から、「区立庭球場のバリアフリー化が遅れているので、早期に改善してほしい。特に車いすテニスは、この数年間で世界の舞台で活躍する選手が増えているので、影響力が大きくなっている。板橋区でもいち早く車いすテニスの競技をしやすい環境づくりを行ってほしい」という要望が寄せられました。しかし、実態は、障がい者等の利便性の向上が図られないままとなっている体育施設が残されています。その1つが区立加賀庭球場です。加賀庭球場は、入口が1か所しかなく、入口から階段を上ってテニスコートに移動する以外に選択肢がありません。また、シャワー室へも階段を上らないと利用できないままとなっています。2011年につくられたスポーツ基本法には、「スポーツ施設を整備するに当たっては、当該スポーツ施設の利用の実態等に応じて安全の確保を図ることとともに、障がい者等の利便性の向上を図るよう努めるものとする」とあります。区は、スポーツ基本法について、法の趣旨を積極的に受け止めて施策に反映していくという立場を示しています。車いすで直接コートやシャワー室へ移動できるように改善することを求めます。
 区立5か所の庭球場は、全て車いすテニス競技は可能になっています。しかし、庭球場の周辺の環境を見ると、新河岸庭球場は角度のある坂を上ったところに位置しており、テニスコートまで車いすに乗り1人で移動することは困難な場所に位置しています。小豆沢、徳丸ヶ原、東板橋の各庭球場は、公園内に位置していますが、テニスコートまでの公園敷地内の移動は、必ずしも移動しやすい環境にはありません。さらに、小豆沢と東板橋の庭球場は、競技用の車いすでテニスコートに入るためのドアの幅が確保されていない場所が残されています。障がい者スポーツの発展を推進する板橋区として、現状についてどのように考えているのか、お答えください。併せて、各庭球場のコートまでスムーズに車いすで移動できるように、動線を確保することを求めます。


 次に、投票権の保障を求めて質問します。
 この夏に行われた参議院選挙では、公示日の後にコロナ陽性者が増えて、投票日まで隔離期間となり、期日前投票にも行けなかった方が多くいました。特定患者等の郵便等を用いて行う投票方法の特例に関する法律が2021年6月に成立し、板橋では東京都議会議員選挙から適用されました。コロナ陽性となり療養の方、または濃厚接触者となり自宅で隔離となった方が、短期間で請求書を選挙管理委員会に送り、選挙管理委員会から本人宛てに投票用紙等を送付し、自宅等で投票用紙に候補者名簿等を記載し、再び選挙管理委員会宛てに送付しなければなりません。さらに、投票日の4日前までに請求書が選挙管理委員会に届いていなければならないために、間に合わないと判断して投票を諦めてしまう人もいました。現に、コロナ療養を理由に郵便投票を利用したのは、東京都議会議員選挙で7人、衆議院選挙で2人、今年の参議院選挙で14人にとどまりました。新たな制度が浸透しておらず、分かりやすい制度とはなっていません。もっと分かりやすくするために、制度を利用した方など区民の意見を聞いていただきたいが、いかがでしょうか。併せて、制度について、もっと多くの人が利用できるように改善することを区として政府に求めてください。
 そのほかにも、現在の投票制度は課題が残されています。郵便投票は、身体障害者手帳1級から3級を持つ人に限定され、要介護を受けている人の中では要介護5の人にしか認められていません。そのため、日常生活の動作に著しい低下が見られ、ほぼ全ての場合に介護が必要な状況を示す要介護4の人は郵便投票を行うことができません。また、投票用紙以外にも証明書が必要であり、事前に用意しておかなければならないことも課題となっています。現在、板橋区でも高齢化が進み、体が不自由な方が増えています。1人では投票所に行けない人も増えています。しかし、必ずしも付き添える人が近くにいる人ばかりではありません。郵便投票の仕組みについて、介護事業所などに案内を置くなどして、早めに周知徹底を行うことを求めます。併せて、郵便投票を認める範囲を広げることを区として政府に求めていただきたいが、いかがでしょうか。


 次に、小中一貫校について質問します。
 志村小学校と志村第四中学校の小中一貫校を実施するための説明会が6月に地元で開催されました。説明会参加者から、小中一貫校計画そのものに異論が出されています。しかし、教育委員会はそのことに正面から答えようとはしていません。一方で、新たに建設される校舎の設計は10月に行われる予定となっています。このままでは、説明会参加者や地域住民の声が生かされる計画にはならないものと考えます。昨年10月の検討会で、志村小学校の学区域から新たに北前野小学校と志村坂下小学校の学区域が加わる方向性が示されました。これにより、全校児童数が約100人増えることが見込まれます。また、志村第四中学校の学区域変更が検討されていますが、現在の学区域から幾つかの地域が外される方向で検討が進められています。現在の検討段階では、最大で100人以上が志村第四中学校の学区域から外される見込みです。小中一貫校のために志村第四中学校の学区域の変更がされることの弊害について、教育委員会の考えをお示しください。
 8月25日に開催された文教児童委員会で、7階に設置される予定のプールへの移動についての質問に対して教育委員会は、「杉並区にある小中一貫校は6階にプールがあるが、低学年でも徒歩で移動している。学校と移動方法について相談して決定していく」と答弁しています。しかし、プールの授業開始の時間までに児童全員がプールへ移動できるのか、移動するときに付添いの教員は何人必要なのかという疑問には答えていません。施設が完成してからの対応では解決できない問題が出てくることは明らかです。教育委員会の考えをお聞きします。
 今後、小中一貫校へ入学するに当たって、中学校の部活動の校庭を使用できるスペースや、あいキッズの外遊びのスペースや、休み時間の遊び場の確保などについて、地域の方から要望や心配の声が寄せられています。志村小学校・志村第四中学校の合わせての校庭面積は、文科省の基準は8,650平方メートルです。しかし、計画では、現在の志村第四中学校の7,419平方メートルが残るかどうかも明らかにされていません。2015年3月の予算総括質問では、板橋第九小学校の議論の際に、区は、校庭面積については、文科省の基準を遵守する立場で答弁しています。小中一貫校のときには、文科省の基準を遵守しなくていいのか、教育委員会の考えをお聞きします。
 板橋区は、志村小学校と志村第四中学校の小中一貫校の実施に当たり、校長1人、副校長3人制にする考えを示しています。しかし、志村小学校も志村第四中学校も廃校となるわけではありません。そもそも小学校と中学校の校長先生にはそれぞれの役割があり、副校長を3人にすればいいということにはなりません。校長1人制は、実態として統廃合です。小学校と中学校それぞれに校長を配置するべきです。教育委員会の考えをお聞きします。
 この間の説明会では、地域住民や説明会参加者などの疑問や要望に全く答えられていません。また、小中一貫校の計画について知らない区民が多く存在しています。学校の大規模化は避けられず、少人数学級の実現に向けて教室の数が足りなくなる可能性もあります。改めて志村小学校と志村第四中学校の小中一貫校の計画全体の見直しを求めます。


 最後に、里親制度の充実を求めて質問します。
 板橋区は、4月に子ども家庭総合支援センターを、7月に児童相談所を開設しました。日本では、里親制度の普及が諸外国と比べても大きく遅れています。実際に養子縁組制度や里親制度の実態を知る人や利用する人が非常に少なく、そもそも制度自体を知らない人が多いことが問題です。日本財団が示した調査結果によると、里親制度については、全く知らない、名前を聞いたことがある程度と回答した人が6割以上います。日本には、生みの親と暮らすことができない子どもは、2019年時点で4万5,000人います。その約8割が乳児院や児童養護施設で生活しています。里親だけで見ても、オーストラリアでは93%、アメリカでは77%に対して、日本は18%にとどまっています。子どもの権利条約には、家庭環境を奪われた児童に対し、国の責任による代替的な監護の確保が明記されています。家庭的で手厚い養育が可能な里親制度には重要な役割があり、これまで以上に里親制度の普及と充実が求められます。日本で里親制度がなぜ進まないのか、原因について区の考えをお聞きします。
 里親制度や特別養子縁組が普及しない最大の原因は、情報不足にあります。制度について情報が知らされれば、里親になろうと思う人が増えると考えます。また、研修会や説明会をもっと充実させる必要があります。区は2026年度までに、小学校区に1人の里親委託成立を目指すとしています。しかし、現状はその数字に遠く及ばない到達です。区内で不妊治療を行っている医療機関などに里親説明会の案内を置くなどして、広く周知をするとともに研修制度を充実させていくことを求めます。
 私は、これまでに里親登録をしている方から、「再就職先が見つからず、保育園に入れずに困っている」「仕事を再開するまでの期間は、経済的に苦しい時期が長かった」などの声を聞いてきました。2017年に育児・介護休業法が改正され、従業員が子どもを保育所に入所させることを希望していたものの、入所させることができなかったなどの事情がある場合には、例外として育児休業の延長を請求することができるようになりました。しかし実態は、子育てのために仕事を休むことが認められても給与が支払われていないなどの事例があります。特別養子縁組里親には、委託費として月額6万6,050円が支給されますが、養育家庭里親にある手当は支給されません。それでも児童相談所は、里親に対して度々子どもを受け入れるときに仕事を休めるかを確認します。子どもが保育園に入園する前に委託期間が終了した場合には、再度仕事を始めるまでの期間は、相当な節約生活が迫られることになります。里親のところには、いつ、どういう背景の子どもが来るか分かりません。自治体から連絡を受けてから、受け入れる子どもに合わせて具体的な準備をします。僅か数週間の間で出費が増えます。児童相談所や乳児院などからレンタルできるものもありますが、ごく一部に限定されています。養育家庭里親は、委託費のほかに児童1人につき9万円が手当として支給されますが、子どもの年齢は0歳から18歳まで幅広く、特に年齢の高い児童は負担が大きいという声を頂いています。養育家庭里親への手当の改善を求めるとともに、特別養子縁組里親が育児休業を受けられるように、各労働現場へ育児・介護休業法を周知徹底してください。また、家庭での養育を必要とする子どもと里親になりたい人をつなぐためにも、児童相談所などの体制強化が必要であると考えます。区の考えをお聞きします。
 以上で私の一般質問を終わります。ありがとうございました。

◎区長 皆様、おはようございます。早速、荒川なお議員の一般質問にお答えいたします。
 最初は、核兵器禁止条約がNPT再検討会議に与えた影響についてのご質問であります。今年8月に開催されましたNPT再検討会議においては、日本の首相が初めて参加し、日本が被爆国としてNPT体制を守り抜く決意を表明したと報道されております。この会議においては、核兵器禁止条約が発効されてから初めて開催されたものでありまして、核兵器の拡散防止や核軍縮の促進に向け、有意義な検討が進められたものと認識をしております。
 次は、政府への条約参加要請についてのご質問であります。板橋区は、平和都市宣言をした自治体として、日本非核宣言自治体協議会に加盟し、平和の尊さを区民へ継承する様々な平和事業を展開しております。条約の批准などの外交政策につきましては、政府が判断すべき事項でありまして、区はその取組を尊重し、引き続き動向を見守っていく必要があると考えております。
 次は、公共施設での省エネ化の計画についてのご質問であります。区は、公共施設の改修や設備更新時には、板橋区環境マネジメントシステムに定める基準に基づく断熱化及び高効率設備導入や、小豆沢体育館プール棟改築では地中熱利用など、省エネ化の推進に努めているところでございます。ZEB化につきましては、昨年度、弥生児童館複合施設においてZEB Ready認証を取得したところでありまして、現在進めている学校改築では、モデル事業として実施する予定であります。今後は、モデル事業施設を中心にエネルギー削減量や費用対効果を検証するなど、施設整備における効率的・効果的な省エネ化の推進を図っていきたいと考えています。
 次は、区内の再開発事業で計画されております建築物の年間消費エネルギーについてのご質問であります。現在、大山駅周辺、板橋駅、上板橋駅南口において、民間の再開発事業が進められております。各再開発事業で計画をされております建築物の年間消費エネルギー及び温室効果ガスの排出量は、区では算定をしていないところであります。計画される建築物は、建築物省エネ法または都市開発諸制度活用方針などに基づきまして、環境負荷の低減を実現していきたいと考えています。
 次は、再エネ優先利用の原則確立と送配電体制の整備・統合を政府に求めることについてのご質問であります。国は、温室効果ガスを削減するため、2030年における太陽光発電や風力発電などの再エネの比率を現在の20%から38%に高めるという大きな目標を掲げております。また、日本全国の主な送配電事業者10社が協議会を立ち上げまして、送配電関連設備の建設、維持、運用を連携して行っているところであります。このため、提案のございました2点について、今後も政府の動向を注視していきたいと考えています。
 次は、公共施設への再エネ電力導入、庁有車への電気自動車の導入等についてのご質問であります。区施設への再生可能エネルギー100%電力の導入につきましては、今年度、エコポリスセンター、弥生児童館、子ども家庭総合支援センターの3施設導入に加えまして、来年度は10施設程度の導入を目指し、それ以降につきましても計画的に導入を進めていきたいと考えています。庁有車への電気自動車導入につきましては、世界的な半導体不足の中、当初の予定どおり1台の導入にめどが立ったところでございます。今年度、既に再生可能エネルギー100%電力の導入をしております本庁舎の地下に、庁有車用の電気自動車充電設備を設置することから、来年度以降も計画的に電気自動車を導入していく考えであります。
 次は、加賀庭球場についてのご質問であります。加賀庭球場につきましては、東京都水道局の給水施設の上部を利用しているため、入口とコートとの高低差が大きく、階段を上る必要があることは認識をしております。加賀庭球場につきましては、№1実現プラン2025におきまして、管理棟を解体・改築の方向で計画を進めているところでございます。管理棟の整備に当たりましては、車いす利用者でも利用しやすい施設となるように、ユニバーサルデザインに配慮したものにしていきたいと考えています。
 次は、庭球場の現状の認識と動線の確保についてのご質問であります。誰もがスポーツに親しむことができる環境の整備は重要と考えており、庭球場を含め、施設の改築・改修時において、ユニバーサルデザインを推進しているところでございます。庭球場につきましては、車いすでも入れる広さの出入口を設置しておりますが、出入口の設置位置や公園の利用状況などによりまして、スムーズに移動しづらい場合もございます。今後も施設整備などのハード面に加え、運営方法などのソフト面での対応を充実させ、利用者にとって、より使いやすい施設となるように取り組んでいく考えであります。
 次は、里親制度が進まない原因についてのご質問であります。諸外国と比較し、里親制度が進まない要因については、文化的な背景や普及のための取組の違いなど、様々でございますが、特に里親制度の認知率の低さが課題であると捉えております。子ども家庭総合支援センターにおいては、家庭養育優先の原則を踏まえて、里親制度の普及・啓発や里親委託の推進に積極的に取り組んでいるところでございます。
 次は、里親制度の周知等についてのご質問であります。東京都が不妊治療を行っている医療機関を活用して里親制度の周知を行っていることは承知をしております。里親の拡充に向けまして、里親説明会を定期的に開催しておりますが、より多くの区民に参加いただくためにも、ご提案の方法も含めて効果的な周知方法を検討して実施をしていきたいと考えます。里親制度をより広く区民にご理解いただけますように、研修制度やイベントなど、様々な機会を捉えまして周知を図っていきたいと考えています。
 次は、里親の委託手当の改善や育児休業についてのご質問であります。里親に支給する養育委託費については、里親の種類に応じまして、里親手当や生活費など、児童に必要な経費を支弁するものであります。支給額につきましては、東京都と同一の基準で、国基準を上回る額を設定していることから、適切であると認識をしております。また、里親の拡充に向けまして、養子縁組里親が委託されております児童を養育する場合等に、育児休業を取得できることについて、周知に努めていきたいとも考えています。
 最後のご質問でございます。児童相談所の体制強化についてのご質問です。区では、里親支援のための専属の係を設置し、養育家庭専門員を配置するとともに、民間の里親支援機関に研修やリクルート等を委託するなど、手厚い体制を整えております。今後も里親支援機関や施設に配置している里親支援専門相談員と連携し、里親の拡充に取り組んでいきたいと考えています。
 残りました教育委員会に関する答弁は教育長から、選挙管理委員会に関する答弁は選挙管理委員会事務局長のほうから説明いたします。

◎教育長 皆様、おはようございます。それでは、荒川なお議員の教育委員会に関する一般質問にお答えします。
 初めに、志村第四中学校の学区域変更についてのご質問ですが、現在、志村小・志村四中小中一貫型学校設置検討会におきまして、小中一貫型学校設置に伴う志村第四中学校の通学区域の見直しを検討しているところです。検討に当たりましては、学校規模の適正化と通学の安全性の確保に加え、小中一貫教育推進のため、学びのエリアとの整合の点を含めて検討し、教育環境の向上を目指しております。志村第四中学校に通えなくなる等の通学区域変更の影響につきましては、今後も児童・生徒、保護者や地域への周知・説明を丁寧に行ってまいります。
 次に、プール施設の高層化と移動の課題についてのご質問ですが、今回の改築計画では、部活動とあいキッズ事業の両立も重要と考え、屋外活動スペースを複数確保できる計画を選択し、そのため、校舎が現在7階建ての計画となっております。プールへの移動時間や移動方法及び職員体制につきましては、他地区の小中一貫型学校の運用も参考にしつつ、設計を進めていく中で学校の意見をよく聞き、反映していく考えであります。プールに限らず施設の配置によって影響を受ける移動時間などにつきましては、運用時のことを想定し、学校と共に検討をしてまいります。
 次に、小中一貫校の校庭の広さについてのご質問ですが、運動場の面積につきましては、文部科学省令により小学校と中学校の基準が示されており、学校改築に当たりましては、可能な限り国基準を満たすような整備が必要であると認識しています。一方、同省令には、「地域の実態その他により特別の事情があり、かつ教育上支障がない場合はこの限りではない」と明記されております。板橋区の学校は、都市部の実態として、文部科学省令どおりの校庭面積の確保が難しいという特別の事情がございます。そこで、小中一貫型学校の運動場につきましては、活動場所を複数か所設けることで安全確保に努め、志村小跡地に第2グラウンドを整備することで教育環境を向上してまいりたいと思います。
 次に、小中一貫校の校長、副校長の配置についてのご質問ですが、小中一貫型学校の施設整備方針の策定に当たりましては、教員や学校管理職の意見を聞きながら進め、学校経営については、校長1名、副校長3名の体制で行うと定めたところです。これは、小学校と中学校の枠組みを生かしつつ、施設が一体であることや、小中学校の組織を一体的にマネジメントすることの重要性を踏まえたものであります。なお、東京23区及び政令指定都市にある全20校の施設一体型の小中一貫型学校につきましては、全ての学校で校長1名、副校長複数名の体制が採用されております。
 最後に、小中一貫校の計画全体の見直しについてのご質問ですが、小中一貫型学校の設置計画につきましては、PTA、町会、コミュニティ・スクール委員及び学校長で構成する魅力ある学校づくり協議会による協議を経て進めてまいりました。区民、地域の代表者から成る協議会から提出された意見書を最大限尊重し、子どもたちに必要な新しい時代の学びを実現する環境づくりと教育環境の充実を推進してまいります。計画全体の見直しは行いませんが、1人でも多くの方に計画が伝わる努力を続け、児童・生徒、保護者、教職員及び地域住民への説明の機会を設け、丁寧に対応をしてまいります。
 頂きました教育に関する質問の答弁は以上でございます。

◎選挙管理委員会事務局長 おはようございます。よろしくお願いいたします。それでは、荒川なお議員の選挙管理委員会に関する一般質問にお答えいたします。
 初めに、特例郵便等投票制度の利用についてのご質問ですが、この制度は、昨年6月、新型コロナウイルス感染症及び蔓延防止のための措置により、投票が困難となっている状況に対し当面の措置として定められたもので、手続も国等の通知に則り対応することとされております。区民からの投票用紙等の請求に際しましては、保健所と連携して陽性者の確認を行うことで利便性を向上させております。広報等の周知も含め、利用しやすい制度の運用に努めております。オミクロン株への対応など、その時点の状況に応じた変更が国からの通知により適切に行われており、改めて利用した方の意見を聞くことや、国へ改善を求める予定はございません。
 最後に、郵便等による不在者投票の要件緩和についてのご質問ですが、郵便等投票制度は、身体障害者手帳か戦傷病者手帳をお持ちの方で、一定の要件を満たす方や、介護保険の要介護5の認定を受けた方に認められている制度でございます。制度の周知につきましては、区ホームページ及び障がい者福祉のしおりへの掲載や、福祉園や福祉事務所での案内の配布、介護事業者向けの説明会での説明など、広く行っております。要件を要介護5から緩和することにつきましては、既に全国市区選挙管理委員会連合会を通じまして、国及び国会に対し要望をしている段階であり、今後の議論の行方を見守ってまいります。
 頂きました選挙管理委員会に関する質問の答弁は以上でございます。

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