2022年第3回定例会 竹内愛区議 一般質問

質問日:2022年9月22日

 引き続き日本共産党板橋区議会議員団の一般質問を行います。

1、区長の政治姿勢を問う

⑴ 安倍元首相の国葬に反対し、弔意を強制しないことを求めて


 初めに、区長の政治姿勢についてです。
 まず、安倍元首相の国葬に反対し、弔意を強制しないことを求めて質問します。岸田政権は、9月27日に故安倍晋三元首相の国葬を強行しようとしています。国民多数の声を無視する姿勢は許せません。内閣府設置法を根拠に持ち出していますが、本法は組織規範にすぎず、国葬実施の根拠法にはなり得ません。もともと国葬は、戦前に天皇から賜るものとして行われており、日本国憲法の国民主権や基本的人権に反します。また、岸田首相は、国全体として敬意と弔意を表すと述べています。国全体の中には当然国民が含まれます。国民全体に弔意を求めることは、憲法19条が定める内心の自由の侵害です。さらに、国葬の費用も問題です。儀式に直接かかる費用だけで2.5億円、警備や要人対応などの費用を含めると16億円としていますが、全体の費用については、実施した後に公表するとしており、さらに増える見込みです。幾重にも国民を愚弄する姿勢に怒りが広がるのは当然です。故安倍晋三元首相の政治家としての評価は、国民の中で大きく分かれており、批判的評価を無視して国葬を行うことは、民主主義を守ることにも反します。法的根拠もなく、国会も開かず閣議決定によって強行するなど、法治主義を破壊する暴挙にほかなりません。憲法遵守を宣誓している地方自治体の長として反対すべきです。今回の国葬に対する区長の認識を伺います。国葬は中止すべきですが、実施された場合でも国民に弔意を強制してはなりません。教育施設を含む全ての公共施設において、弔旗・半旗を掲げるなどの行為を行わず、黙祷など区民や職員に弔意を強制したり促すような働きかけをしないよう求めます。見解を伺います。

⑵ 統一協会(現・世界平和統一家庭連合)や関連団体との関わりについて


 次に、統一教会、現・世界平和統一家庭連合や関係団体との関わりについてです。安倍晋三元首相が銃撃され、死亡した事件を発端に、反社会的活動を行ってきた統一教会と自民党を中心とする政界や行政の関係をめぐり、深いつながりがあることが明るみになっています。統一教会は、いわゆる霊感商法や高額献金、違法勧誘などで被害を広げてきました。社会的批判が強まる中でも存続しているのは、さまざまな政治家との関わりがあったからです。自民党は、所属する国会議員に点検なるものを行いましたが、関わりがあるのに名前が挙がっていない議員がいるなど、調査の意味をなしていないと専門家から厳しく批判されています。各種世論調査でも、自民党などの説明が不足している、関係を断つべきだの意見は80%を超えており、国民の不信はますます広がっています。反社会的活動を続けてきた統一教会はもとより、関わりを持ち、被害の拡大に影響を与えてきた政治家の責任が問われています。これを機に、政治や行政との関わりを洗いざらい明らかにし、関係を断絶すべきです。反社会的活動を行っている統一教会と政治家が関わっていることについて、区長の認識を伺います。
 同時に、全国各地で統一教会が、自治体や教育委員会の事業に関わっていることが報道されています。区内でも関係団体の活動が確認されています。統一教会及び関連団体の集会やイベントにおいて、職員の派遣・参加、祝電・メッセージ及び後援名義の使用許可などが行われているか、指定管理や委託事業も含め調査し、公表すること。また、区や区教育委員会の主催する事業などへの寄附、後援、行事への参加等、区の事業においても同様に調査し、結果を公表すること。さらに、今後関わりを持たないことを区民に表明すること。そして、区長自身の関わりと今後についても併せてお答えください。

2、財政運営と補正予算のあり方について

 次に、財政運営と補正予算の在り方についてです。
 新型コロナウイルス感染症の第7波となる蔓延と物価の高騰が暮らしや営業に大きな影響を及ぼし、景気回復とは程遠い状況です。必要な手だてを取らず、国民の暮らしを苦しめる国に対し、自治体として住民の暮らしと命を守る役割はますます重要です。区として、区民生活を支える施策の充実を求め、以下質問いたします。
 まず、区財政の見通しについてです。区は、今年度予算においても緊急財政対策を維持し、いわゆる緊縮財政を進めています。しかし、このコロナ禍の2年間で、財政調整基金をはじめ、基金への積立ては大幅に増え、基金総額は今や900億円を超えています。また、先日報告された都区財政調整の再算定の結果では交付金が増額となる見込みで、契約差金やイベント等、一部事業の縮小などにより余剰財源が生じることは明白です。決して財政が厳しいという実態ではありません。そこで伺います。2023年度予算において、緊急財政対策を維持するのでしょうか。今後の財政の見通しについてお答えください。
 緊急財政対策として区が行った10%シーリングによって、障がい者団体が実施する事業、商店街の街路灯維持、老人クラブや都市農業振興に関わる補助などが削減されました。コロナ禍に加え、一律での補助の削減は活動そのものに影響を与え、私たちのところにも、「このままでは継続できない」「持ち出しになっている」との声が寄せられています。先に述べたように、区財政は危機ではなく、これら事業の補助を減額しなければならない状況にはありません。10%シーリングを見直し、補助額を引き上げること。また、大変なのは区財政ではなく、区民の暮らしです。区民負担を軽減するための支援策や現金給付事業こそ実施すべきです。併せて見解を求めます。
 国土交通省が示す「公共工事の適正化に関する指針」が一部変更されました。その内容は、災害への対応力の強化及び建設発生土の適正処理の推進、資材等の価格高騰への対応、公共工事の円滑な施工の確保や処遇改善、ダンピング対策などです。公共インフラを適切に維持し、品質を確保するためには、工事を担う建設関係労働者の確保・育成は欠かせません。そのためにも、具体的な改善策を講じる必要があります。区が発注する公共事業においても、予定価格の設定に際し、最新の実勢価格を反映させること。また、急激な物価高騰への対応として、インフレスライド条項によって事業者が自治体へ申し出る仕組みがありますが、申請しないケースも多く、申請しにくいとの話も聞いています。発注者である区から申請を促進し、積極的な活用を求めます。

3、いまこそ保育の質の向上を
⑴ 重大事故を防ぐために

 次に、保育の質の向上を求めて質問します。
 まず、重大事故を防ぐためについてです。9月5日、静岡県牧之原市で幼稚園型認定こども園の園バスで通園していた児童が意識のない状態で見つかり、その後、死亡が確認される事件が発生しました。あまりにもつらく、言葉になりません。昨年7月にも福岡県の保育園で、5歳の園児が死亡する事件が起きています。国は安全管理の徹底を求める通知を出しましたが、通知だけでは現場に徹底されていない現状があること、園バスに限らず、保育中の置き去りも報告されていることからも、対策の在り方を見直すべきではないでしょうか。まず、今回の事件に対する認識と、事件を受け、区として行った取組についてお答えください。


 保育施設は、子どもの命を預かる場です。一方で、保育士は命を預かるにふさわしい職として社会的に位置づけられているでしょうか。保育士の賃金は、他業種と比較しても月額8万円以上も低いことが課題とされてきました。処遇改善として3%の賃上げが行われていますが、金額にして僅か9,000円です。その額さえ全員に保障されず、改善には程遠い内容です。また、職員配置基準も問題です。日本の保育士配置基準は、戦後すぐに定められてからほとんど変更されていません。現場の努力によって水準が維持され、その努力が少しでも崩れれば、いつ重大事件が起きてもおかしくない状況の中で取り組まれています。保育を重要な職と位置づけるならば、保育士の処遇や配置基準の見直しを図るべきです。区長に改めて伺います。保育職員の処遇は、子どもの命を守るにふさわしく改善されていると考えているでしょうか。また、現在の保育士配置基準の見直しが必要と考えるか、区長の見解をお答えください。

⑵ 保育施設に対する支援について


 次に、保育施設に対する支援についてです。板橋区は、民間保育施設に対する定員未充足対策として、利用定員の運用変更と0歳児欠員に係る運営費の助成を始めました。現在の公定価格では、定員を満たしていない場合、その分の補助がなく、運営が厳しくなる仕組みです。そうした中で、働く人からは手当の削減や休暇取得の変更、人員削減等が示されており、事業者からも毎月多額のマイナスになっているなど深刻な内容を伺いました。保育施設の運営が滞れば、そのしわ寄せは子どもや家庭に及びます。保育施設の安定的運営を保障するさらなる支援が必要です。区が実施している未充足支援では利用定員の運用変更を認めていますが、既に雇用している職員を年度途中で辞めさせることはできず、変更は難しいとの声を聞いています。現在、0歳児枠のみに実施している定員未充足補助を他年齢にも拡大するなど、保育施設の安定的運営に必要な補助のさらなる拡充を求めます。見解を伺います。

⑶ 医療的ケア児の保育について


 次に、医療的ケア児の保育についてです。今年度から区立保育園2か所で医療的ケア児の受入れが始まりました。医療的ケア児の受入れは、保育の必要性のほか、主治医から集団保育が可能である等の判断があること、そして3歳児クラス以上の児童となっています。一方、要支援児の受入れについては歳児の制限はありません。なぜ、医療的ケア児については3歳以上の年齢制限があるのでしょうか。他区で既に入所している児童が転園を希望しても、入所できないという相談が寄せられています。保育園での入園の条件を満たしているにもかかわらず、障がいの有無や程度によって入園に差が生じることは障害者差別解消法の理念にも反するものであり、安全に受け入れられる体制にすることも併せて是正すべきです。医療的ケア児の受入れ歳児を3歳児以上に制限している理由と制限の撤廃、受入れ園及び定員の拡大を図り、正規の看護師配置を求めます。見解を伺います。

4、放課後等デイサービスの質の向上のために

 次に、放課後等デイサービスの質の向上についてです。
 放課後等デイサービスは、学齢期の障がい児の放課後や長期休業中の活動を支援する目的で設置され、現在、区内には40事業所が開設しています。国のガイドラインでは、1人当たり2.47平米を参考に、適切なスペースを確保することとしていますが、床面積や人員配置に関する明確な基準はありません。施設によっては、ワンフロアで仕切りがない、子どもが車いすから降りて体を伸ばすスペースがないなど、子どもの成長や発達を保障するにふさわしいと言えない現状があります。にもかかわらず、報酬単価の引下げにより事業所の運営が厳しくなり、詰め込みや人員不足に陥るなど、質の低下が懸念されています。また、平日日中でも午前中から利用があるが、その分の報酬は入らないという実態と制度の矛盾もあります。ガイドラインが示す水準にするには、事業者任せではなく、ふさわしい基準とそれに見合う財政的保障が必要です。区は、現場の状況について把握しているでしょうか。区として実態調査を行うよう求めます。また、国に対し、正規職員の配置を保障するため、基本報酬の引上げを求めるとともに、区として固定費への助成等事業所への支援策を求めます。見解を伺います。

5、ひとりひとりを大切にする教育へ
⑴ 子どもの権利条約に基づく校則の見直しを

 次に、一人ひとりを大切にする教育についてです。
 まず、子どもの権利条約に基づく校則の見直しについてです。生徒指導に関する基本文書「生徒指導提要」が12年ぶりに改訂されます。新しい提要では、初めて子どもの権利条約が書き込まれます。区立学校でも、髪を縛るゴムやピン、髪のまとめ方まで制限されているなど、合理的とは言えないばかりか、人権侵害になり得る決まりも多く残されています。改善が進まない要因の一つが、子どもの権利への理解が深まっていないことと指摘されています。セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンが行ったアンケートでは、3割の教員が子どもの権利条約の内容を知らないと答えたとの結果も示されています。子どもの権利を守るべき大人の認識を深めることは急務の課題です。教職員の研修において、子どもの権利を学ぶ機会を増やすこと、また、校則の見直しに当たっては、子どもの権利条約に基づき、見直しの際には、子どもの参加を保障し、子どもを主体にした議論を行うよう通知していただきたい。見解を伺います。

⑵ 高校入試「英語スピーキングテスト」の中止を

 次に、高校入試、中学英語スピーキングテストの中止を求めて質問します。テストの実施が2か月後に迫る中、中止を求める声が大きく広がり、先日の都議会文教委員会では請願が継続審査となりました。一民間事業者に生徒の進路を左右する都立高校の入試の一部を丸投げしていいのかということが問われています。テストを受けるには、ベネッセに顔写真を含む個人情報を提供しなければならず、情報の扱いについても十分な説明がありません。こうした問題について都教育委員会に問い合わせても必要な情報が得られず、不信感が募っています。この間、区教育委員会として何を都教委と共有し、都教委に対し、いつ、どのように意見を述べてきたのでしょうか。また、生徒や保護者に対する説明が十分行われていると考えていますか。見解を伺います。
 テストの結果はその後の学習に生かすとされていますが、詳細は開示されません。採点ミスもチェックできず、どこをどう間違えたのか確認できないなど、正確性や透明性の点からも問題です。また、不受験者については、受験した生徒の点数から算出し、評価するとしていることや、ベネッセの独自商品であるGTECを導入している自治体の生徒の方が有利になることも指摘されており、まったく公平ではありません。高校受験は、自分の進路を決める初めての挑戦でもあります。だからこそ、公平性・正確性・透明性が求められるのです。そのことが担保されていない問題だらけのテストは中止以外あり得ません。改めて本テストが公平性・正確性・透明性が担保されていると考えるか、教育長の見解を伺うとともに、都教委に対し、改めてテストの中止を求めていただきたい。お答えください。

⑶ 教育の保障のために

 次に、教育の保障のために2点質問します。1つは、オンライン授業の対応についてです。家族がコロナ陽性となり、濃厚接触者となったお子さんが自宅でのオンライン授業を希望したところ、対応できないと言われたとの声が寄せられています。登校できないときも授業は進み、休めばその単元を学ぶことができません。課題をやろうにも、習っていないことを1人で取り組むのは困難です。また、学校復帰後に援助を受けられても、特に部活等で時間が取れない中学生にはその時間を確保することが難しい状況です。オンライン授業について改善と対策が必要です。コロナ対応や長期不登校の児童生徒だけでなく、希望するときにオンライン授業が受けられるようにしていただきたい。また、オンライン授業や課題提出を適切に評価し、出席停止の取扱いを見直すよう求めます。
 2つ目は教員不足の問題です。今年1月に文部科学省が発表した教員不足の実態調査結果によると、昨年4月の始業時に全国で2,086人の教員が足りていない状況です。板橋区においても、毎年始業時点で教員が不足する状態が繰り返されています。区教育委員会は、教職員の働き方を改善するとして取組を進めていますが、意識改革が中心で業務改善にとどまっています。なぜ成り手が不足するのか、なぜ辞めてしまうのか真剣に考えているでしょうか。やりがいやすばらしさといった精神面の押し出しではなく、一人ひとりの負担を減らし、教職員がその専門性を発揮できる環境を整えることこそ教育委員会の仕事です。教員不足が子どもたちに与える影響についての認識と教職員の働き方を見直すことと併せて、抜本的な増員が必要と考えます。教育長の見解を伺います。

6、公務労働のあり方について


 次に、公務労働の在り方についてです。
 地方公務員などで組織する自治労連が行った非正規公務員対象の全国調査結果によると、非正規公務員の6割が年収200万円未満であることが分かりました。2020年4月から会計年度任用職員制度が導入されましたが、一時金の支給で年収は増額となったものの、月額に換算すると僅かなプラスにとどまるなど、同一労働・同一賃金には程遠い状況です。専門性があり、基幹的な業務を担う人でも賃金水準が低く、加えて、民間委託や指定管理者制度の下で、公務を低賃金・不安定雇用の労働者が担っているという状況も広がっており、業務におけるノウハウや経験の蓄積、継承にも課題が生じています。このことは、公共サービスの質に関わるだけでなく、官製ワーキングプアを生み出す要因にもなっています。区長は、公務労働の非正規化によって公務の現場にどのような影響があると考えているでしょうか。また、正規職員を増やすことと併せて、会計年度任用職員の処遇を引き上げるべきです。見解を伺います。

7、インボイス制度の導入中止を求めて

 次に、インボイス制度の導入中止についてです。
 2023年10月から始まるインボイス制度をめぐり、導入延期や中止を求める声が広がっています。現在の免税事業者は、インボイス制度施行までに課税事業者として登録するか、引き続き免税事業者として事業を続けるか選択が迫られます。いずれを選んでも損しかないという個人事業主いじめの制度です。多くの事業者に影響があるにもかかわらず、制度の中身が知られていません。国税庁の発表によると、2022年5月末時点でインボイスに登録した事業者は51万社としていますが、インボイス制度に関係する事業者の5%未満と言われています。区長は、制度が知られていない現状についてどのように認識しているでしょうか。また、「取引先から課税事業者として登録しなければ、今後は取引しないと言われた」などの相談が寄せられています。区としても相談窓口を設置することを求めます。見解を伺います。
 国税庁のホームページでは登録事業者の一覧が開示され、いつでも誰でもダウンロードすることができる上に、情報の商用利用が可能となっていることが波紋を広げています。法人ではない個人事業主の場合、本名・登録番号・登録年月日の公開が必須になります。しかし、公開された情報で検索をかけても、本名しか掲載されていないため、ペンネームで活動している人を見つけることは困難です。そこで、発注元は屋号、つまりペンネームの追加登録を求めざるを得なくなるといいます。屋号や住所の公開は任意ではありますが、発注元から要求されれば応えざるを得なくなることは安易に想像できます。また、もともと本名で活動している人も深刻な影響があります。例えば、ストーカーやDV被害から逃れ、個人事業主として生計を立てているケースでは、本名だけでは個人が特定できないため、住所登録が求められれば、また被害を受ける可能性が生まれます。屋号や住所を公開するのは任意だから問題がないというのは、実態を踏まえない無責任な意見です。区長は、個人情報についての問題をどのように認識しているでしょうか。何重にも個人事業主を苦しめることになるインボイス制度は中止すべきです。区として国に中止を求めていただきたい。区長の見解を伺います。

8、地域課題とまちづくりのあり方について
⑴ 高島平まちづくりについて


 最後に、地域課題とまちづくりの在り方について伺います。
 まず、高島平まちづくりについてです。区は、今年度から来年度にかけて、高島平駅前を中心とした交流核エリアの形成に向け、検討するとしています。現在の計画では、高島平二丁目団地のうち33街区の建物を解体し、旧高島第七小学校跡地を種地に、新たにUR賃貸住宅を建設すること、そして空き地となった33街区にも一部建物を建てるというものです。一方で、二丁目団地のほかの街区については建て替えの計画は示されていません。区は高島平まちづくりについて、連鎖的都市再生を推進するとしていますが、この中には二丁目団地のうち33街区以外の街区や号棟は含んでいないのでしょうか。含まれていないとすると、連鎖的とは何を指すのでしょうか。また、含まれるとすると、その範囲の建て替えはどのように進めるのでしょうか。空地がなければ建て替えができず、結果的にURの管理戸数が減り、住み続けたいという願いが叶わないことにもなりかねません。連鎖的都市再生の範囲について、区の見解をお答えください。
 建て替えの対象とされる33街区の住民の方々は、引っ越しが迫られることや、その後の家賃の負担や生活について大きな不安を抱えています。今後説明会を行うとしていますが、高齢者の方々にはその参加さえも大きな負担が生じます。区として相談窓口を設置することや代理で交渉するなど、住民の立場に寄り添う専門家の派遣等を実施し、対象者の立場を最大限保障していただきたい。

⑵ 徳丸地域の交通不便解消について

 次に、徳丸地域の交通不便解消についてです。東武練馬03循環バスが廃止となって以降、路線の復活を求める声が寄せられています。徳丸地域は上り下りが激しく、自転車では上りきれないところも多い地形で、日常生活にも影響しています。廃止となった循環バスは国際興業が運行し、利用者が少ないことを理由に廃止されました。区として採算ベースの運行ではない方法も含め、必要な人が利用できる方策を検討すべきです。徳丸地域の交通不便を解消するために、バス等の運行を検討していただきたい。見解を求めます。
 以上で私の一般質問を終わります。

◎区長 それでは、竹内 愛議員の一般質問にお答えいたします。
 最初は、国葬に対する区長の認識についてのご質問であります。安倍元首相の国葬に関しましては、政府の総合的な判断によりまして、内閣設置法に基づく国の儀式である国葬儀としておりますが、法的な解釈や基準、開催費用などについてさまざまな意見があることは承知をしているところであります。政府は自らの責任において丁寧な説明をすることが求められていると考えております。
 次は、弔旗・半旗の掲揚、黙祷などの弔意の強制についてのご質問であります。政府は国葬儀の意義につきまして、安倍元首相の功績をたたえるとともに、暴力に屈しない我が国の断固とした民主主義の姿勢を国内外に示すこととしております。一方で、国民一人ひとりに弔意を求めるとの誤解を招かないよう、地方公共団体や教育委員会等に、弔意表明の協力の要請はしないと表明をしておりまして、その趣旨は、国民各位の自由意思・自由活動に委ねたものと認識をしております。凶弾に倒れ、非業の死を遂げられたことに深い哀惜の念を感じているところでありますが、区としましては、国葬儀とした趣旨に鑑み、特段の対応は予定をしてないところであります。
 次は、統一教会と政治家との関わりについてのご質問であります。個々の政治家には、社会的に問題となる行動が指摘されている団体との関係について慎重な対応が求められていると考えております。疑念に対しましては、政治家本人の責任において説明責任を果たすなど、適切に対応すべきものと認識をしております。
 次は、区及び区長との関わりと今後の対応についてのご質問であります。区と旧統一教会及び関係団体との接点につきましては、現在、団体等からの寄附の受領や後援名義などについて調査を進めております。調査結果の取扱いや今後の対応につきましては、結果を確認した上で、今後検討していく予定であります。私自身につきましては、当該団体やその活動等について関与した事実はないと認識をしており、引き続き慎重に適正な対応を行ってまいりたいと思います。
 次は、令和4年度予算の動向についてのご質問であります。令和4年度都区財政調整の当初算定においては、401億円余の算定残が保留額として生じる結果となりました。この保留額は、東京都の最終補正予算における調整税等の収入見込みが確定した時点において再調整の取扱いが決定するため、現時点において普通交付金の増額を確実に見込むことは困難であります。また、令和4年度の予算執行においては、コロナ禍により事業の中止や縮小に加え、契約差金などもあり、一定の不用額が生じると見込んでおります。
 次は、新年度予算編成に向けてのご質問であります。令和4年度予算編成においては、119億円の財源不足が見込まれたため、令和3年度に引き続き、緊急財政対策の取組を継続したところであります。一方、令和5年度当初予算フレームでは、特別区交付金などの歳入環境の改善により財源不足は46億円となり、昨年度と比較し、不足額は大幅に縮減される見通しとなっております。このことから、新年度予算編成においては、予算削減シーリングなどの緊急財政対策は実施をせずに、予算査定を通じまして、歳出予算の精査や財源確保に努め、収支均衡型予算を目指していきたいと考えています。
 次は、補助金10%シーリング見直しについてのご質問であります。令和5年度の予算編成に当たりましては、補助金においても、緊急財政対策で行いましたシーリングを実施しない方針でございます。物価高騰やポストコロナを踏まえた事業再開など、事業活動の状況を勘案しながら、有効性や必要性等の点検を実施し、予算編成をしていきたいと考えています。
 次は、区民負担軽減などの支援策についてのご質問です。新型コロナウイルス感染症の収束が見通せない中、世界的な原油価格・物価高騰は、区民生活や社会経済活動などに大きな影響を及ぼしていると認識をしております。令和4年度におきましては、感染症拡大防止及び物価高騰などへの対応として、区民生活支援や地域経済活性化に係る緊急対策を実施するため、四度の補正予算を編成いたしました。引き続き、物価高騰等による区民生活への影響を見極め、国や東京都の対策に機敏に対応するとともに、区独自の支援策について検討していきたいと考えています。
 次は、予定価格の設定についてのご質問であります。実勢価格を反映した予定価格の設定は、公共工事の品質確保、その担い手となる工事事業者の育成・維持確保につながるものと認識をしております。今後とも区では、国や東京都の最新の積算基準や積算単価を速やかに採用し、適正な予定価格の設定に努めていきたいと考えています。
 次は、インフレスライド条項についてのご質問です。インフレスライド条項は、工事請負契約書に規定しておりまして、運用基準や手順につきましては区のホームページに掲載をしております。今後も継続的な周知とともに、事業者からの事前相談にも丁寧に対応しながら、申請につながるように努めていきたいと考えています。
 次は、園バス事故に対する認識と取組についてのご質問であります。昨年の福岡県の事故に続き、大変痛ましい事故が再び発生したことは非常に残念でありました。あってはならないことと強く認識しています。区は今回の事故を受け、安全対策の好事例を掲載した巡回支援だよりを配付するとともに、私立保育園園長会などで業務の点検と安全管理の徹底を改めて呼びかけをさせていただきました。また、令和4年度の巡回支援指導においては、園児の見落とし等の発生防止を重点取組に設定し、園児の確認方法を中心に巡回指導を行ってまいりましたが、事故発生後はさらに指導を強化しているところでもございます。
 次は、保育職員の処遇改善と配置基準の見直しについてのご質問であります。子育て支援の最前線で働く保育士の処遇改善を目的として、本年2月から処遇改善臨時特例事業が創設され、各保育施設等において賃金改善が行われております。保育士業務の特性や負担を踏まえた改善が図られ、10月以降については、国が定める公定価格に反映することによって賃上げ効果の継続性も担保されており、妥当な改善であると考えます。また、区の保育士配置基準については、国基準を上回る職員数を定めており、現在のところ、基準の見直しが必要とは考えていないところであります。
 次は、保育施設に対する支援についてのご質問であります。0歳児は、他の歳児に比べて年度途中の入所需要が多いため、入所枠を確保する必要がある上、児童数に対する必要保育士数が多く設定をされております。これによりまして、空きが集中した保育施設では空き定員分の運営費が支給されずに、保育士の人件費が経営の負担となる状況が生じております。0歳児の待機児を年度途中に発生させないために、確保する空き定員枠に必要な職員の配置に対する運営費支援を開始しましたが、他の歳児については、利用定員の運用変更により対応していただくことと考えております。
 次は、医療的ケア児の保育についてのご質問であります。安全な集団保育と体調急変時等の対応を迅速に行うため、対象児童には一定の動きや意思確認が必要なことから、医療的ケア児の受入れは3歳児以上としております。受入れを可能とする区立保育園の2園については、医療的ケアを行う会計年度任用職員の看護師を1名配置し、受入れ体制を整えております。今後も、保育の必要性のある未就学児については、医療的ケアの必要性や障がいの有無に関わらず、安全に保育所で受け入れられるように課題を整理していきたいと考えています。
 次は、事業所の状況把握についてのご質問です。令和4年7月より児童相談所設置市事務として、障がい児通所入所施設の指定・指導検査に関する業務を区が担っております。区では放課後等デイサービス事業所連絡会を開催し、事業所間の情報共有や連携を進めるとともに、サービス状況の実態把握に努めているところでございます。学齢期の障がい児の放課後活動の充実を図るため、サービスの質の確保は重要な課題であり、事業所連絡会を通じて、引き続き実態把握を進めていきたいと考えています。
 次は、報酬の引上げと区の支援策についてのご質問です。障がい者・児施設における人材不足は深刻であることを認識しております。区としましては、報酬単価の見直しについて、機会を捉えて国に要望していく考えであります。さらに、障がい者・児施設に対する光熱水費や食材費の高騰に対応すべく、区独自の支援策を本定例会に上程する考えであります。
 次は、公務労働の非正規化の影響についてのご質問です。区におきましても、期間を定めて任用している職員として、多くの会計年度任用職員などを雇用しております。こうした職員は、多様化し、増大する行政需要に効率的に対応するため、公務労働の場における重要な担い手となっております。任期の定めのない常勤職員を軸に、的確に業務の知識の継承を行うとともに、補助的業務に会計年度任用職員などを効果的に配置することによって、さまざまな行政需要に対して適切な対応ができているものと認識しています。
 次は、会計年度任用職員の処遇に対する認識と改善についてのご質問であります。令和2年4月の会計年度任用職員制度の導入に当たりましては、新たな職の必要性や、正規職員が担うべきかどうかについても精査を重ねた上で職の再設定を行っております。本制度は、増加する地方公務員の臨時・非常勤職員の適正な任用・勤務条件を確保する趣旨の下に創設された制度であると認識しています。そのため、会計年度任用職員の処遇改善につきましては、地方公務員法に則り、国や東京都、他自治体の動向を注視し、引き続き適切に対応していきたいと考えています。
 次は、インボイスに関する周知についてのご質問であります。制度の導入に向けまして万全に準備を進めるためには、事業者に身近な地方自治体からの働きかけも重要であると考えます。国税庁などと連携をして、混乱が生じないよう、さまざまな機会を活用して、事業者への広報・周知に努めていきたいと考えています。
 次は、個人情報に関する認識と制度の導入中止についてのご質問です。インボイス制度は、複数税率である消費税について適正な課税を確保するために必要な制度であると認識をしております。インボイス発行事業者の氏名などについては、消費税法の規定により公表が義務づけられておりますが、その取扱いに関しまして、事業者に対する理解を一層促進する必要があると考えます。今後も、国の動向や区内事業者の状況などに関しまして、引き続き十分注視していきたいと考えています。
 次は、高島平まちづくりに関連いたしまして、団地再生の範囲についてのご質問であります。区は、本年2月に策定いたしました高島平地域都市再生実施計画において、二丁目団地の33街区を含むエリアを交流核に設定し、連鎖の起点としての都市再生に取り組むことといたしました。現在は、起点となる交流核での取組について具体化に向けた検討を進めておりまして、その次の連鎖の展開については段階的に検討を進めていくこととなると考えています。UR賃貸団地の建て替え後の管理戸数につきましては、区が直接的に関与できるものではございませんが、URに対して、地域住民の居住の安定に配慮するように引き続き求めていきたいと考えています。
 次は、団地の居住者への対応についてのご質問であります。UR賃貸団地の再生に伴う引っ越しや家賃等の諸条件については、居住者との契約関係に基づき、URが説明すべきものであると考えます。区は地域住民に対し、交流核の形成に向けたまちづくりの取組について丁寧に説明するとともに、URに対しても、団地の居住者への丁寧な対応を引き続き求めていきたいと考えています。
 最後のご質問です。徳丸地域の交通不便解消についてのご質問であります。区内の主要な公共交通の移動手段であるバスは、おおむね区内全域で運行がされており、区内には交通不便地域はないものと認識をしています。徳丸地域においては、一部坂の多いところがあるものの、現在、複数のバス路線が運行され、一定水準の公共交通の利用環境が確保されております。このことから、当該地域での新たなバスなどの運行は検討をしていないところであります。
 残りました教育委員会に関する答弁は、教育長から行います。

◎教育長 それでは、竹内 愛議員の教育委員会に関する一般質問にお答えします。
 初めに、子どもの権利条約に基づく校則の見直しについてのご質問ですが、教育委員会では、子どもの人権を尊重することは大変重要であると捉えているため、職層に応じた研修や各学校での研修等で、人権教育について学ぶ機会を充実させているところです。今年度から全区立学校でいたばし学級活動の日を設定し、その中で校則の見直しをはじめ、話し合いの場において子どもの参加と主体的な活動を指導しています。これまでも校長会等で校則等の見直しについては周知しているところですが、子どもが主体的に考え、参加できるルールメイキングの仕組みをさらに徹底してまいります。
 次に、高校入試、中学英語スピーキングテストの中止に関しまして、東京都教育委員会との共有と、生徒・保護者への説明についてのご質問ですが、本テストは東京都教育委員会の実施事業であるため、区は意見を述べる立場ではございませんが、本テストの趣旨や内容を共有しつつ、東京都教育委員会には適宜質問を投げかけております。東京都教育委員会は、生徒・保護者に対し、4月から、テストの概要、意義や目的、出題方針、申込方法、特別措置の案内、学習の仕方などをリーフレットや動画にて随時伝えております。本区ではこれらを全中学校へ周知し、各学校は保護者会や3者面談での説明、申込みの個別対応等、丁寧な説明を行っているところです。今後も生徒や保護者に対して、安心して受験できるように十分な説明に努めてまいります。
 次に、テストの中止についてのご質問ですが、本テストにつきましては、東京都教育委員会が責任を持って、公平性・正確性・透明性を確保し、運営していると考えており、本区として中止を東京都教育委員会に求めるものではないと認識しています。
 次に、オンライン授業の実施と出席停止の記載についてのご質問ですが、現在、全ての小中学校において、登校していない児童・生徒に対し、教科や授業内容によって差異はありますが、学びの保障のためにオンライン授業配信を原則として行っております。文部科学省からは、やむを得ず学校に登校できない児童・生徒がオンライン授業に参加した場合は、出席停止の扱いとすることが示されています。今後も、学びの保障としてオンラインでの授業を充実するとともに、出欠の記録につきましては、文部科学省の通知に沿って対応してまいります。
 最後に、教員不足についてのご質問ですが、教員不足により習熟度別の少人数指導による授業などを中止した学校があり、指導の形態に少なからず影響を及ぼしていると認識しております。また、授業の代替や校務の分任等、本来の担当業務に加えた負担がかかり、教職員の働き方改革の推進にも影響を及ぼしていると考えます。こうした状況を抜本的に改善するため、教員不足の解消や増員要望につきましては、教育長会等で伝えており、今後も引き続き東京都教育委員会へ要望してまいります。
 頂きました教育に関するご質問の答弁は以上でございます。

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