2022年第3回定例会 かなざき文子区議  一般質問

質問日:2022年9月22日

引き続き、日本共産党板橋区議会議員団の一般質問を行います。

1、コロナ感染拡大から区民の命を守る施策の充実を

 まず初めに、コロナ感染拡大から区民の命を守る施策の充実を求めてです。
 7月28日、新型コロナの新規感染者数は東京で初めて4万人を超えるなど、18の都道県で最も多くなりました。第6波のピークだった2月5日のおよそ2倍余りへと第7波は膨らみ、現在は感染者数は減ってきたとはいえ、いまだに収束の兆しは見えていません。WHOによれば、7月24日までの1週間当たりの新規感染者数はおよそ97万人と、日本が世界最多となりました。自宅療養者数も7月20日時点、61万2,000人余りと過去最多を更新。確保病床の使用率は、7月27日時点、19の府県で政府の分科会が示す対策を強化すべきレベルの目安に当たる50%以上にまでなりました。こうした中であっても政府は、「感染症対策と社会経済活動との両立を図る」とし、かつてのように、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置といった行動制限は行いませんでした。8月23日には、新型コロナによる死者数が1日340人を超えて過去最多を更新。WHOの集計で日本の新規感染者数が世界最多となり、死者数も世界2位となっていると伝えられました。7月下旬から8月上旬にかけて、医療現場は崩壊状況でした。熱が出ても発熱外来はパンクし、どこも診てくれるところはなし。高熱が出ていても自分で市販の薬を飲みなさいと言われ、検査も診察もしてもらえない、薬もくれない状況でした。パルスオキシメーターの値がどんどん下がり、この数値以下になったらすぐに救急車を呼ぶようにと言われるところまで下がったので119番をしても、つながるのにも時間がかかり、ようやくつながって救急車が来ても、受け入れてくれる医療機関がないというのが実態でした。2種類の肺炎を起こしている状況でも、入院するところはない、自宅療養だと言われる状況でした。
 そしてここに来て、医療現場も保健所も大変なのでと、全数把握の見直しが示されてきました。東京都は13日、新型コロナウイルス対策本部会議を開き、全ての感染者の発生届を出す全数把握について、対象を高齢者や重症化リスクがある患者らに限定することを決め、26日から実施するとしました。都は、今後発生届の対象とならないのは、新規感染者の約8割としています。全数把握の見直しで負担軽減される分、感染者へのフォローがきちんとなされていくのか、報告の必要がなくなる感染者の体調が急変した場合、しっかり対応できるのかが問題指摘されています。そこでお聞きします。区長、こうした成り行き任せの無責任なコロナ対応に対し、自治体の長としてどう感じ、どうすべきと考えましたか。見解をお聞きします。また、全数把握の見直しについても見解をお聞きいたします。
 次に、保健所の体制についてお聞きします。保健所への電話は本当につながりませんでした。感染者数1日2,000人までの計画を策定したと言いますが、保健所自体が全感染者の状況把握ができないだけでなく、母子保健の事業は一旦お休みせざるを得ないという事態でした。体制を強化しても、職員の超過勤務の状況はどうだったでしょうか。第7波で最も感染者数が高止まりだった7月24日から1週間を見ると、感染症対策課一般事務は平均1日211分、一月に当てはめると70時間以上と、原則、労基法違反相当という状況でした。予防対策課では1日平均150分、これも労基法違反相当の状況です。区は母子保健事業を休み、人の配置を大幅に強化したといっても、こうした過重な残業をするしかない状況でした。大事な事業を休止することのないように、電話がつながらないことがないように、区民の問合せにもきちんと応対ができ、必要な対応が取れる体制にすべきと考えます。そのために、保健師と事務職員の抜本的増配置と保健所の施設の拡充を求めます。いかがでしょうか。
 一旦感染あるいは感染が疑われるとき、情報はスマホやパソコン等で、区・東京都のホームページを開いて検索しないとほとんど分かりません。高齢者などはスマホを持っていても操作ができず、スマホではなくて自宅の固定電話に連絡してもらいたいという状況だったことも聞きます。こうした命に関わる事態において、誰一人置き去りにしない対応こそ必要です。アナログ対応の強化を求めます。いかがでしょうか。
 デルタ株が主流だった第5波と比べると、第7波の感染者数は10倍、死者は4倍になる一方、重症者は3分の1になっていると指摘されています。特別養護老人ホームの入所者が軽症と診断され、状態が急速に悪化し、入院先が見つからずに死亡した例も報道されました。発熱外来や入院にたどり着けない医療体制の崩壊状態は深刻です。医療体制の抜本的強化は待ったなしです。医療機関ではベッドが不足しているのではなく、医療スタッフの不足が実態でした。改めて、国・東京都に対し、医師・看護師・検査技師など医療スタッフを大幅に増やすよう強く求めていただきたい。また、コロナの感染患者の治療に大きく貢献した公的医療機関、公立病院の統廃合や病床削減計画を撤回するよう強く意見をしていただきたいのですが、いかがでしょうか。
 次に、介護事業所への支援強化です。区内介護事業所などでもクラスターが起きました。各事業所ではどんなに感染対策を強化しても、陽性者が発生する状況です。一旦陽性者が出ると、拡大させないために新規の利用者の受入れ中止、休業が余儀なくされます。入所施設では、職員の感染者、濃厚接触者の発生で体制が逼迫し、入所者のケアに影響をもたらしています。さまざまな調整で経営にも大きな影響が及び、一月で数百万から数千万円規模で減収となっています。こういった状況がここ2年続いており、このままでは介護事業所の経営が成り立たなくて、事業所を閉めざるを得ない状況も出ています。そこで、介護事業所等に対して、陽性者やクラスター発生時のやむを得ない休業や利用者減による減収への補填を国の制度として創設するよう求めていただきたい。併せて、区として地方創生臨時交付金も活用し、減収補填への支援を実施していただきたいのですが、いかがでしょうか。


2、コロナ禍、物価高騰、酷暑から低所得者の命とくらしを守る施策について
⑴ 住居確保給付金事業と特例貸付事業について

 次に、コロナ禍、物価高騰、酷暑における低所得者の命とくらしを守る施策についてです。
 まず初めに、コロナ禍における住宅対策として、対象を拡大もして取り組まれてきた住居確保給付金事業についてです。12月31日まで申請延長がされましたが、その後については延長も更新もないと言われています。コロナ禍に加え、物価高騰、酷暑と、低所得者にとっては暮らしがままならないのが実態です。そこで、国に対しさらなる延長を求めていただきたいのですが、いかがでしょうか。とはいえ、いつまでもこの事業が続くという保障はありません。低所得者の方の住まいを保障するためには、家賃助成事業が最も必要な施策と考えます。ぜひ家賃助成事業を国の恒久的な制度として国に対し要望していただきたいのですが、いかがでしょうか。
 次に、社協が実施している総合支援・緊急小口の特例貸付事業についてです。コロナ禍の下、職を失う人、休業を余儀なくされる人が続出し、とにかく生活保護ではなく、現金を手にできる仕組みとして強く進められたのがこの社協の特例貸付事業でした。今年の5月21日時点で総額1兆4,000億円の貸付額です。申請受付期間が9月30日まで延長されましたが、あくまでも貸付事業です。来年の1月から返済が始まります。返さなくていい要件は非課税世帯であることですが、借りた時期によって非課税世帯である時期も異なっています。兵庫県では、25%ぐらいは非課税世帯で返済しなくていいと思われますが、75%の人は返済しなければいけないと言われています。しかし、実態は返済できる状況ではありません。収入はコロナ前の約4割にまで落ち込んでいると、全社協の調査結果が示しています。返済に窮して自己破産しかないという人が激増するだろうと言われています。こうした返済ができない人に対し、本来は給付事業として実施されるべきだったことも指摘されています。そこでお聞きいたします。板橋区では、これら貸付事業の件数は何件だったかお聞きします。返済が困難な区民への相談窓口の設置と貸付額を免除できる同額の給付事業の検討を求めますが、いかがでしょうか。

⑵ 非課税世帯への電気代助成事業とエアコン購入費用と修理費用への助成を

 次に、この夏の酷暑における実態から、低所得者の命を守る施策の実施についてです。8月15日までの板橋区内での救急搬送件数は256件。そのとき既に亡くなられていた、あるいは重症の状態だった人は14人と、消防庁のデータが示しています。エアコンがあっても、電気代がかかるのでつけられない、エアコンはあるけど、故障していて修理するお金がないので使えないなど、エアコンの有無だけでは判断できないのが実態です。そこで、せめて非課税世帯への電気代助成事業とエアコン購入への助成事業、修理への助成事業を求めますが、いかがでしょうか。

⑶ 生活保護世帯への支援強化を

 次に、生活保護世帯への夏季加算についてです。既に要望は国へ上げられてもいますが、国の実施まで待っていられません。区として、法外援護事業として夏季加算を行っていただきたいが、いかがでしょうか。また、物価高騰、電気代の高騰など、生活保護世帯の生活扶助基準を引き上げる必要性があります。国に対して強く要望していただきたいのですが、いかがでしょうか。

3、感染拡大対策としての協力金などの収入認定による影響

 次に、感染拡大対策としての協力金等が収入認定となった影響についてです。
 区内の商店街で長年飲食店を1人で切り盛りしているYさんは、この間、コロナの影響を受け、時短、営業休止を余儀なくされる中で、東京都からの協力金を受け続け、保険料や地代などを払い、日々の生活をしてきました。ところが、協力金や給付金は収入認定となるため、今年度の税金、保険料や医療機関での窓口負担が莫大な負担となってしまいました。既に年齢は75歳を超え、後期高齢者医療保険料は66万円の限度額へ、介護保険料も19万2,000円と所得段階で高い方から2番目のランクになってしまいました。税金は住民税が108万520円、所得税が204万6,600円、個人事業税が45万1,600円と、全ての税と保険料を合わせた負担額は443万5,400円です。その上、お医者さんに常時かかっていますが、窓口負担が3割負担になってしまい、医療にかかることも厳しい状況になりました。既に国からも東京都からも協力金も給付金もきませんから、毎月の売上げから仕込み等の食材購入でかかった経費を差し引くと、月10万円そこそこ。そこから地代を払い、光熱水費を支払うと、手元に残る金額はほとんどなく、日々の生活に窮してしまう状況です。75歳以上の高齢者に対し、10月からは医療機関の窓口負担が2倍になることが大きな問題になっていますが、Yさんはその2倍を超えて、一気に窓口負担3割、3倍です。こうした問題は、Yさんだけではありません。全国的に広がっています。年金は下がり、物価は高騰、その上にこの事態です。高齢者の命と暮らしを守る自治体の使命が問われています。Yさんは、所得税については何とか予定納税で減免手続ができました。しかし、住民税、保険料は高いままです。何らかの措置で免除できるようにすることが求められています。そこで国に対し、免除できるよう強く意見していただきたい。併せて独自の対策を実施することを求めますが、いかがでしょうか。

4、ケアラー支援条例の制定を求めて

 次に、ケアラー支援条例の制定についてです。
 2019年10月、幼稚園教諭だった21歳の女性が、同居していた祖母を殺害するという痛ましい事件がありました。法廷で彼女は、「介護で寝られず限界だった」と語ったといいます。仕事と介護の両立に苦しみ、殺害の1か月前にはうつ病と診断されていました。警察庁の統計によると、介護・看病疲れを直接の動機とし、被害者が死亡した事件は、公表を始めた07年から10年間で計478件起きています。減る気配はありません。
 総務省の調査によると、介護している人、ケアラーは全国で600万人を超えており、介護や看護のために仕事を辞める人は年間10万人にも及ぶとされています。日本には介護が必要な人への国の支援はあっても、ケアラーへの支援はないのが実態です。ようやくケアラー自身の支援の必要性が言われ始め、ケアラー支援法やケアラー支援条例の制定が全国の自治体で広がり始めています。そもそもケアラーとは、心や体に不調がある人に対し、介護や看病、療育、世話、気遣いなど、ケアを無償でする家族や友人、知人、近親者のことを言います。多くは家族ですが、ケアが必要な方のことを定期的に気にかけて世話をしたり看病している方もケアラーになります。都市部においては地域のつながりが希薄で、隣に誰が住んでいるかも分からないようなことも少なくありません。そうすると、どうしても家族が孤立しがちです。また、女性の社会進出が進む中、男女に関係なく、「家のことはお互いに協力しながら」と改善されてきたとは言いますが、地域や世代によっては「家のことは女性がするもの」とか「介護は嫁がするもの」という意識がまだ根強く残っています。こうした点を改善し、家族介護や誰か一人が犠牲になるケアの在り方ではなく、誰もが平等に社会参画できる仕組みをつくっていく必要があります。
 さらに18歳未満の子ども、「ヤングケアラー」の問題は深刻です。勉強や宿題をする時間や精神的な余裕がなく、通院や付添いなどで遅刻や欠席をしたり、疲労や睡眠不足から授業中に寝てしまって学業に影響が出たり、部活に打ち込んだり友達と遊ぶといった子どもらしい時間を持つことができず、周囲から孤立してしまうこともあります。ヤングケアラーの場合は特に社会との接点が少なく、SOSの発信も難しくなるので、普及啓発がより大切です。そこで区長にお聞きいたします。まず、板橋区におけるケアラーの実態はどうなっているでしょうか。特にヤングケアラーの実態把握のための調査の実施を求めます。次に、介護者、すなわちケアラーが個人として尊重され、健康で文化的な生活を営むことができるよう、社会全体で支えることを目的として、基本理念、自治体の責務や住民・事業者・関係機関等の役割を定め、推進計画や基本方針の策定等を規定するため条例の制定を求めますが、いかがでしょうか。

5、高齢者・障害者の生活を守る施策の充実を
⑴ 区立特別養護老人ホームの存続を

 次に、高齢者・障がい者の生活を守る施策の充実です。
 初めに、区立特別養護老人ホームについてです。区内に多くの特別養護老人ホームが建設されてきましたが、それでも特別養護老人ホームの待機者は減りません。待機者のほとんどが低所得者です。区立特養ホームを民営化すると、建設に当たり、1床当たりの補助基準額が多床室に比べて個室やユニット型個室は高いため、民間はどうしてもユニット型個室の整備が多くなります。そのため、高い居室料がハードルとなって、低所得者がなかなか入れない実態があります。補足給付があっても、例えば要介護度4、所得段階3の人でも、ユニット型個室だと入所にかかる経費は総額月8万3,400円もかかります。国民年金だけでは入所は厳しいのが実態です。多床室が多い区立特養ホームに比べ、ユニット型個室の多い民間特養では入りたくても入れないのが実態です。また、人の配置を必要とする認知を伴う最重度の要介護者の入所や身寄りのない低所得者についても、必ず親戚・家族等の保証を前提とする民間特養ホームでは入所はやはり厳しいのが実態です。
 区は民営化に際しては、「現在の入居者の受入れを条件とする」としているだけで、民営化以降の新規入所者の申込みについては、要介護度の重度の方については触れていません。これでは、介護の水準を引き下げることになるのではないでしょうか。民営化によって公的責任を放棄することにつながるのではないでしょうか。そこでお聞きいたします。「どんなに重度の要介護者であっても、要介護度の重い認知の方も、身寄りのない方も、区立だから受け入れる責任があると思って頑張ってきた」と言われていた区立特養ホームの施設長の話が忘れられません。区長、民営化でこの水準が守られるのでしょうか。奇声を発して他人に迷惑をかけるからと断られることはないですか。身寄りのない低所得者の人が、誰の保証がなくても介護を受けながら特養ホームでの生活ができるのでしょうか。区内の介護水準を維持するためにも、公的責任を守るためにも、今、区立特養ホームの存続が必要なのではないでしょうか。区長にお聞きいたします。

⑵ 障害者が65歳となった時の介護水準の維持について

 次に、障がい者が65歳となったときの介護の水準維持についてです。障がい者は65歳になると、介護保険サービスが優先です。ところが、居宅介護支援事業者や地域包括支援センターの職員によっては、障がいに対する知識・経験・理解が伴わず、それまで受けることができていた支援が受けられない事態が生じています。特に難病患者の方や精神障がい者の方については、ケアマネジャーになぜその介護が必要なのかを理解してもらえず、「エゴだ」と決めつけられたり、「大げさだ。もっと大変な人はたくさんいる」と言われ、仕方なく我慢する事態が生じています。そこで、事業所や包括支援センターの職員が障がい等に関する知識を身につけられるよう、研修の徹底と、研修に行くために各事業所等における必要な人の増配置に支援を求めますが、いかがでしょうか。

⑶ 加齢性難聴者の補聴器購入助成事業の拡充を求めて

 次に、加齢性難聴者の補聴器購入助成事業の拡充です。高齢者の2人に1人は難聴であると言われ、社会的な孤立をもたらす要因となっています。難聴により他者との関わりが薄れて、脳の機能低下につながり、うつや認知症になることが指摘されています。都内23区では、本区を含めて高齢者の補聴器購入費への助成を行う自治体が15区へと大きく広がりました。また、板橋区のアフターケアはユニークでいい取組として報道もされています。そこで、さらなる拡充のため、国に対し、アフターケアの仕組みづくりを全国で実施できるよう取り組むこと、補聴器購入と使用継続のための事業に国として助成を実施することを強く求めていただきたい。そして、本区の実績を見ると、初年度である昨年度は、申請者数97名中交付決定者数92名、大体補聴器の平均額が15万円ぐらいと聞きます。交付が決定したのに結局購入をやめた方が出ていましたが、その理由が「2万円では自己負担額が大きくて、やっぱり買えない」ということだったと聞きました。港区では助成額上限13万7,000円、課税者はその半分とするなど、より多くの区民が聞こえを取り戻せるよう取組が開始されています。そこで、本区の助成金額の拡充を求めますが、いかがでしょうか。また、本人非課税まで対象者を拡充していただきたいのですが、いかがでしょうか。

⑷ シルバー人材センターの賃金のあり方について

 次に、シルバー人材センターの賃金の在り方です。昨年の第4回定例会において、我が会派の質問で、シルバー人材センターに委託している就業について最低賃金を守るよう求める質問がありました。このとき区長は、「最低賃金を基本とはしているが、年度途中の改定後に関しては反映していない。下回っているが、変更は考えていない」というものでした。今年の10月からは、1,072円に引き上がります。年金は下がり、物価高騰で生活は厳しくなるばかりです。改めて公益法人にふさわしく、区の委託費は最低賃金を守るよう求めます。いかがでしょうか。
 23区の状況を調査したところ、8区において10月以降の改定に対応していることが分かりました。それぞれ補正予算等での対応ではなく、当初予算で見込みも入れた対応や翌年度の予算に盛り込んで、当該年度はシルバー人材センターが事務費等で対応しているなど、最低賃金を下回らないさまざまな努力がされています。そこで、最低賃金の改定のたびに下回ることのない賃金体系となるよう、シルバー人材センターに支払う区の委託費について検討を求めます。区長の見解をお聞きいたします。

6、栄町のコミュニティーの拠点について


 最後に、栄町のコミュニティーの拠点です。
 従来、栄町には2か所の集会所がありました。しかし、令和2年度からは山中児童遊園内集会所が廃止され、現在は栄町集会所のみです。現栄町集会所は大和証券の独身寮1階部分に設置され、長年地域のコミュニティーの拠点として利用されてきました。これでは、500メートルメッシュ内に1か所の集会所もなくなり、整備が必要と考えます。そこで、お聞きいたします。まず、栄町集会所について、これまでの経緯を含めて今後のことについてお聞きいたします。さらに、栄町19番地にある遊び場は、今も地域のコミュニティーに活躍しています。町会のコミュニティーの拠点となる場として活用できるよう以前から要望もしてきましたが、都との協議を急ぎ、廃止となる栄町集会所に代わる集会所機能を設置してはどうかと考えます。いかがでしょうか。
 以上で終わります。ありがとうございます。


◎区長 それでは、かなざき文子議員の一般質問にお答えいたします。
 最初は、コロナ対応と全数把握の見直しについてのご質問であります。国は、ウィズコロナに向けました政策の考え方を示し、陽性者全数届出を見直すなど、適宜対応を図っておりまして、区といたしましては、国の方針に則り取り組むことが肝要と考えております。先行自治体によりますと、発生届対象外の陽性者を支援するセンターを置くことによりまして問題は発生していないと聞きますが、大きな変更となるため、体調急変時の対応などが懸念されております。区としましては、東京都と連携し、発生届対象外の陽性者が入院を必要とする場合においては速やかに対応するなど、引き続き陽性者が安心できる療養支援に努めていきたいと考えております。
 次は、保健所職員の増員と施設の拡充についてのご質問であります。新型コロナウイルス感染症に関する保健所業務に対しまして、これまで専任組織の新設や職員の増員配置に加えまして、兼務発令によりまして、組織的・人員的な充実を図ってきてまいりました。また、感染症対策の業務を円滑に実施するため、保健所内のレイアウト変更を行ったほか、保健所と本庁舎の会議室を優先的に活用して感染者対応に当たっているところでございます。今後も感染者数に応じた全庁的な支援体制をはじめ、外部の専門人材や事業者を活用することによりまして、引き続き安定的な業務体制を整えていきたいと考えています。
 次は、誰一人置き去りにしない対応についてのご質問であります。保健所からの連絡は、医療機関の発生届の内容に基づき行うため、特別な配慮が必要な場合は、その旨、発生届に記載していただくことが必要であります。全数届出の見直しに当たりまして、個別の事情のある方につきましては、保健所へ確実に伝わるように、医療機関に改めて依頼をしたいと考えています。
 次は、医療スタッフの増員等についてのご質問です。医療機関における医療従事者の必要人数につきましては、医療内容に応じ、それぞれ判断することでありまして、区として、国や東京都に増員を求めることは考えていないところであります。地域医療に関しましては、自治体や病院・医師会・保険者などの代表が参加し医療圏ごとに検討を行う地域医療構想調整会議での議論を見守っていきたいと考えています。
 次は、介護事業所に対する減収補填についてのご質問であります。今般の感染症への対応で臨時的に必要となりましたかかり増し費用につきましては、東京都による事業者支援として、サービス提供体制確保事業が継続的に実施されております。また、サービスを休止した事業所や施設には雇用調整助成金などの補填もございまして、区は制度の幅広い周知及び活用を促しております。介護事業所の経営や運営への支援の在り方につきましては、引き続き国や東京都、他自治体の動向も踏まえて検討していきたいと考えています。
 次は、住居確保給付金の申請期限の延長についてのご質問であります。生活困窮者自立支援法に基づく住居確保給付金につきましては、社会情勢を踏まえて、9月末から12月末に申請期限を延長したところでございます。国はこれまでも適宜申請期限の延長を行っておりまして、当面は動向を注視したいと考えています。
 次は、家賃助成制度の実施についてのご質問であります。住宅に困窮した方々に対しましては、住居確保給付金制度におきまして実質的な家賃助成を行っておりまして、公営住宅制度と併せまして、低所得者の方々の住まいを保障しております。したがいまして、区としまして、新たな家賃助成制度を国に要望する考えは持っていないところであります。
 次は、特例貸付事業の件数についてのご質問です。板橋区における特例貸付事業の件数は、7月末現在で緊急小口資金が1万1,671件、総合支援資金が延長と再貸付を含めて1万9,104件となっております。
 次は、相談窓口と給付事業についてのご質問であります。貸付金の返還が困難な区民への相談窓口としましては、福祉事務所やいたばし生活仕事サポートセンターがございまして、新たに相談窓口を設置する予定はないところであります。給付事業につきましては、特例貸付を受けた上で、一定の収入以下の方には生活困窮者自立支援金を支給しておりまして、さらなる給付事業を行う考えはないところであります。
 次は、非課税世帯への電気代助成事業とエアコン購入費用と修理費用への助成をとのご質問であります。非課税世帯につきましては、生活を支えるために臨時特別給付金を支給しておりまして、電気代を助成する予定はないところであります。一方、エアコンの購入費用につきましては、一部自治体におきまして助成事業を行っておりまして、これらの事例と修理費用の在り方を含めて、今後、研究したいと考えております。
 次は、区独自の夏季加算についてのご質問であります。近年の熱中症による健康被害など、酷暑への対応は国民生活全体に及ぶものであることから、一義的に国において対応すべき課題であると考えています。区としましては、生活保護制度としての夏季加算の新設について、引き続き東京都を通じまして国に要望していきたいと考えています。
 次は、生活扶助基準の引上げについてのご質問であります。生活扶助基準は生活保護法に基づきまして厚生労働大臣が定めるものでありまして、一般国民の消費実態との均衡上、妥当な水準を維持するように設定がされております。区としましては、現下の状況を注視し、必要に応じて国への申入れを行っていきたいと考えています。
 次は、感染拡大対策としての協力金などの収入認定による影響についてのご質問であります。感染拡大対策協力金等が収入認定されていることで、住民税が上がり、保険料等の負担が増す事象があることは承知をしております。協力金等の取扱いにつきましては全国的な事案であることから、特別区長会などの場を活用して状況把握に努めていく考えであります。また、新型コロナウイルス感染症に起因する各種保険料や税の減免措置については、区独自の要件拡大は考えてはおりませんが、国の通知等に基づいた対応を行っていきたいと考えています。
 次は、ヤングケアラーの把握についてのご質問です。現在、ケアラーの法令上の定義は明確になっておりませんが、ヤングケアラーや老老介護など、様々な実態があることは認識をしております。中でもヤングケアラーにつきましては、特別区におきましても複数の区が調査を実施しておりまして、先行事例の情報収集などを通じましてその手法について検討を行っていきたいと考えています。
 次は、ケアラー支援条例の制定を求めてとのご質問であります。ケアラーの中には、介護等を行うことによりまして、身体的・精神的な負担が重く、社会的に孤立する状況が想定されるため、区としての支援の必要性を認識しております。条例の制定につきましては、先行自治体の情報を収集し、影響や効果などを含めて、今後の研究課題としていきたいと考えています。
 次は、区立特別養護老人ホームの存続についてのご質問であります。民間の社会福祉法人が運営する民営施設でありましても、利用者の負担軽減制度などを活用し、区立施設と同様に利用者の受入れを行っております。区立特養の民営化後も、その運営法人において、老人福祉施設としての使命感を持って、低所得者などの受入れを積極的に行っていくものと考えています。
 次は、障がい者が65歳となったときの介護水準の維持についてのご質問であります。介護事業者はそれぞれが主体的に人材の育成に取り組むものであると考えますが、区も機会を捉えて障がいに対する知識など、理解の促進が図れるように指導していきたいと考えます。一方、地域包括支援センターは区の委託事業であることから、適切な支援が行えますように区として研修を実施していく考えです。なお、人員配置につきましては、事業全体の中で適切に行われていると考えています。
 次は、国への要望についてのご質問です。令和3年度より、加齢により聴力が低下した会話等コミュニケーションが取りにくい高齢者に対して、補聴器購入に要する費用の一部を助成する事業を開始いたしました。この事業では、補聴器を継続してご利用いただくための方策として、23区初となるアフターケア証明書を導入いたしました。今後、本事業の効果検証も踏まえて、国等への要望について検討していきたいと考えています。
 次は、助成金額と対象者の拡充についてのご質問であります。本事業につきましては、日常生活に不便を感じている高齢者に積極的な社会参加を促し、認知症予防の一助とする目的がございます。まずは補聴器を継続して使い続けていただけるように、アフターケア証明書の活用を促していきたいと考えます。新たな事業であることから、今後、活用された方にアンケート調査を予定したり、調査結果や財政状況も勘案しながら、効果的な事業となるように検討していきたいと考えています。
 次は、シルバー人材センターの賃金の在り方に関連いたしまして、最低賃金改定の対応についてのご質問であります。シルバー人材センターの委託単価については最低賃金を基本としておりますが、委託件数が多岐に及ぶとともに、法令の適用を受けないため、年度途中の最低賃金の改定は反映していないところであります。委託単価への最低賃金改正の反映は従前から次年度当初予算において対応しておりまして、シルバー人材センターとの協議を踏まえつつ、現行の取扱いを踏襲していく考えであります。
 次は、賃金体系の検討についてのご質問です。令和5年度当初予算編成に向けまして、最低賃金改定の反映とともに、来年10月から開始されるインボイス制度の対応も含め、現在シルバー人材センターと協議を行っております。シルバー人材センターの委託単価の設定に関しましては、最低賃金を基本としていく方針でありますが、引き続き適切な賃金体系を含め、総合的に委託単価の在り方を検討していきたいと考えています。
 次は、栄町集会所の今後についてのご質問です。栄町集会所は民間建物を賃借しておりまして、平成3年から現在まで、賃貸借期間を更新しながら、集会所として利用してまいりました。今年度に入りまして、貸主であります株式会社大和総研から早期に解約したい旨の申出を受けましたが、現在の契約満了となる令和4年度末までには集会所を維持する方針を伝えております。集会施設の設置基準から外れるエリアが発生しないように、庁内におきまして、栄町集会所の移転先の検討を早急に進めるとともに、近日中に地域住民への説明を予定しているところでございます。
 最後のご質問であります。栄町都有地遊び場の状況と今後についてのご質問です。栄町にございます旧都営住宅跡地の都有地につきましては、平成10年に地域から公園として取得要望がございまして、平成16年にその方向で決定し、現在まで遊び場として管理をしております。その後、東京都との協議の中で隣地所有者の無接道状態が課題となっておりましたが、令和2年に解決されたため、次の№1プラン改訂に合わせて、取得時期等を調整する予定であります。集会所機能につきましては、栄町集会所の問題を解決するため、当該地域における機能の確保に向けて検討していきたいと考えています。
 頂きました質問に対する答弁は以上となります。

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