2022年第4回定例会 石川すみえ区議 一般質問


質問日:2022年11月29日

 ただいまから日本共産党板橋区議会議員団の一般質問を始めます。

1、統一協会と板橋区の関わりについて

 まず、初めに統一教会と板橋区の関わりについてです。
 私たち区議団は、区と統一教会の関わりを断つため、独自調査を求めてきました。先般、調査が公表され、寄付や施設利用、区事業への参加など、関連団体と関わりがあったことが明らかになりました。また、今後の方針として、活動実態が社会的に問題となっている点を踏まえ、活動を擁護・容認するものではないことを明確にするとしています。しかし、問題となっているのは活動実態だけではありません。統一教会の教理解説書である「原理講論」によると、最初の人類とアダムとエバの時代に、エバがサタンと不倫したから人類は原罪を背負い、サタンの血統となったこと。全ての不幸の原因はそこにあるため、人類を救うために血統の転換をしなければならないとし、そのためには、メシアである文鮮明によって選ばれた純潔の女性が、文鮮明の指名した男性と結婚し、原罪のない子どもが生まれることで人類は救われるとあります。統一教会の信者の自己決定権は全面的に否定されており、結婚の自由も離婚の自由もなく、基本的人権を認めていません。板橋区では、全ての区民が個人としての尊厳を重んじられ、性別による差別的な取扱いを受けることなく、個人としての能力を発揮できる男女平等参画社会の実現を目指しています。こうした板橋区が目指す方向性と統一教会の特異な教義は全く相入れないのではないでしょうか。区の認識を伺います。
 統一教会は、文鮮明と女性信者との儀礼的性交以外に、人類が救われる道はないという異常な性教義を背景にし、同性婚について人類を絶滅に導く許し難い蛮行として否定し、夫婦別姓制度も家族破壊への陰謀とする異常な主張を繰り広げました。そして、愛情による絆で結ばれた家族といった個人の内心に関わる文言を多く用いた家庭教育支援条例の設置を全国の自治体に働きかけてきました。親が子どもに自立心や生活習慣を教えれば、いじめや虐待はなくなるというロジックで家庭教育に介入するものです。統一教会の教義を家庭に持ち込むことで、いじめや虐待がなくなるわけがありません。2006年に改定された教育基本法では家庭教育条項が設けられましたが、「家庭教育の自主性を尊重」も明記されています。現行の教育基本法でも、国や行政が家庭教育に介入することは許されていません。教育長の見解を伺います。統一教会はジェンダー平等反対運動を繰り広げ、性教育にも執拗なバッシングを続けてきました。今後は板橋区として、一切統一教会及び関連団体と関係を持たないことを改めて強く求めます。

2、学校給食の無償化を求めて

 次に、学校給食費の無償化を求めて質問します。
 学校給食は、子どもたちの健やかな成長と発達にとって大切な教育の一環です。板橋区では、小学校でも中学校でも自校式で、安全・安心・おいしく・楽しい学校給食の実施と食育の推進に努めています。給食の時間は、子どもたちにとって最も楽しみな時間の1つです。また、コロナ禍で給食には福祉としての役割があることが改めて認識されました。全国で給食費無償化の動きが広がり、来年4月から葛飾区でも無償化となります。そこで、学校給食費無償化を求め、以下質問します。区は今年度予算で、食材全体、特に油や小麦などが急に値上がりした。家庭の負担を増やせないとして、飲用牛乳購入事業を実施しました。この秋、さらに油や小麦が値上がりしました。年明けには2,000品目を超える値上げが予定されており、来年2月にも再びこの秋の値上げに匹敵する波がくる可能性があるという報道もあります。少なくとも飲用牛乳購入事業を継続していただきたいがいかがでしょうか。
 昨年度、板橋区では、学校給食の支出は約17億円と答弁がありました。この中に、生活保護費及び就学援助費による経費は含まれているのでしょうか。含まれているとすると、板橋区が学校給食費を無償化する場合、新たに必要となるのは幾らでしょうか。お答えください。
 区は、学校給食法第11条「学校給食に要する経費は保護者負担」との規定を無償化に踏み切らない理由としてきました。しかし、2018年参議院文教科学委員会で、吉良よし子議員の質問に対し、当時の文部科学大臣は「地方自治体がその判断によって全額補助することを否定するものではない」と答弁しています。物価高で厳しい家庭を助けるために、今こそ、義務教育はこれを無償とするという日本国憲法の精神を発揮していただきたい。板橋区では小学校3年生では一月4,350円、中学生は一月5,360円です。年額にすると、小学校3年生は4万7,850円、中学生は5万8,960円となります。この額は、家庭の大きな負担となっています。改めて、学校給食費の無償化を求めますが、教育長の考えをお示しください。

3、交通課題の解消を求めて
⑴ 地域の交通網の充実について

 次に、交通課題の解消を求めて質問します。
 交通は、人と人との交流、コミュニティーがその本質です。社会経済と交通は、相互に影響を与えながら進化してきました。交通の発展によって、異なる文化の接触や交流が促され、文化が発展してきました。交通は文化も育むのです。まちの発展にとってもなくてはならないものです。加えて、住民が安心して働き、暮らし、そして老いていくためには交通権の保障は欠かせません。そこで、地域の交通網の充実について伺います。第3回定例会の竹内愛議員の一般質問に対し、区長は「区内の主要な公共交通の移動手段であるバスは、おおむね区内全域で運行されており、区内には交通不便地域はない」と答弁しています。この答弁に対し、私の活動地域の方々からは大変ショックと声が上がっています。それは、これまで大谷口、向原、小茂根、東新町などの地域の皆さんは、コミュニティバスのルートの検証もし、道路の幅員の確認もし、署名を集め、区議会に陳情を提出するなど、長く運動を続けてきたからです。区も、この地域に区役所までの公共交通機関が不自由なことを認め、検証を行ってきました。私自身もこの間、自動車の免許を返上したくても、生活の移動手段がなくてできない方の話、足が悪くて幹線道路を越えて日常用品の買い出しにも不自由している方の話をたくさん聞いてきました。その不便な状況は一切改善していません。それでも区長は、板橋区内に交通不便地域はないという認識なのでしょうか、お答えください。
 国は、免許返納後の高齢者の移動手段となる公共交通の利用環境の改善など、高齢者の移動を伴う日常生活を支える取組を始めています。全国の自治体でも、高齢者の移動手段の確保が進められています。長野県木曽町では地域公共交通計画を策定し、交通体系の全体像を調査し、住民の交通不便状況を改善するためのバスやタクシーが運行しています。23区でも、杉並区はグリーンスローモビリティ実証運行を実施しました。技術は常に進化しています。板橋区でも、未来型パーソナルモビリティの実証実験や既存の交通手段、新たなコミュニティバスなどを用いて、交通不便地域の改善を求めますがいかがでしょうか。

⑵ 園バスの安全性について

 次に、園バスの安全対策について伺います。昨年に続いて、今年も送迎バス内に置き去りにされた子どもが死亡する事件が起きてしまいました。区は、区内の通園バスの実地調査も行っていると聞いています。人の配置は大前提ですが、システムやハード面を強化することも必要です。車内の天井に取り付け、エンジン停止後に車内で人の動きを検知すると、あらかじめ登録された携帯電話にメールが送信され、危険を外部に知らせるといった車内置き去り検知システムの通園バスへの設置も含め、早急な対応が必要です。区内幼稚園バスの安全対策について、実地調査の公開と安全対策について財政的支援を求めますがいかがでしょうか。

4、板橋交通公園を「インクルーシブ公園」に


 次に、板橋交通公園をインクルーシブ公園にすることを求め、質問します。
 板橋公園、通称交通公園は基本構想が策定されました。今年度は、板橋公園再整備のための基本計画策定及び公民連携事業支援業務委託のためのプロポーザルが始まっています。区は再整備を進める上で目標にする事項のうちの1つに、ユニバーサルデザインを挙げています。ユニバーサルデザインの遊具を配置しても、障がい児とその保護者が気兼ねなく遊びに来られるようなインクルーシブな遊び場ができるわけではありません。単なる遊具の設置よりも、まずはどんな公園だったら遊びに来られるのかと、公園利用者、公園を利用したいが利用できていない人たちに話を聞く必要があります。インクルーシブな遊び場を実現するには、造る前、造っているとき、造った後というプロセス全体で、利用者や利用したい人の声を聞き、反映することが大切です。Park-PFIの手法を用いると、業務委託契約は単年度更新となります。区と区民の関わりはどうなるのでしょうか。民間事業者が公園整備をする中でも、区の役割を明確にし、公園整備について区が責任を持つべきです。見解を伺います。いい公園にしたいという思いは、住民も行政も共有できるはずです。訪れる全ての利用者が歓迎される公園となるよう、区が整備した後も住民の声を聞き、公園づくりに反映する責任を負うべきです。
 国の令和4年度第2次補正予算案における孤独・孤立対策関係予算に、「屋外において子どもたちが自由に遊べるプレーパーク、冒険遊び場の設置」が明記されました。公園の可能性は無限大です。しかし、子どもの居場所、遊ぶ発達の保障の場として、まだまだ十分に生かされていません。板橋区は緑の多いまちであり、子育て支援にも力を入れると表明しています。区の資源と持ち味を生かした取組を率先して進めていくべきです。また、再整備を待たずにできる改善は直ちに行っていただきたい。交通公園内集会所を早く改修して、地域住民が使えるようにしてください。共産党区議団が公園で遊んでいる子どもたちにアンケートを取った際に、「駐輪場が足りないので、仕方なく別の場所に止めていると怒られる。駐輪場を増やしてほしい」という切実な声が寄せられました。交通公園の駐輪場の増設置を求めます。せめて土日だけでも対応をお願いします。区が行った交通公園整備に当たってのアンケートでは、「ボール遊びができるような広場を造ってほしい」という意見も寄せられています。ボール遊びができるスペースを交通公園内に造ってください。見解を伺います。

5、「こどもの味方」となる板橋区政への転換を
⑴ インクルーシブ教育について

 次に、子どもの味方となる板橋区政への転換を求めて質問します。
 まず、インクルーシブ教育についてです。今年9月9日、国連障害者権利委員会は、2014年の条約締結後、初めて日本への勧告を出しました。勧告では、障がい児を分離した特別支援教育の中止、インクルーシブ教育に関する国の行動計画の策定を求めています。インクルーシブ教育とは、障がいのあるなしに関わらず、教育を受ける権利を保障することです。日本の学校教育はこれまで、様々な教育条件を貧しいままでとどめ、障がいのある人たちの学習し、発達する権利を侵害してきました。しかし、その中でも人間としての豊かな発達を実現すべく取り組まれた豊富な教育実践があります。こうした実践をさらに発展させるべきです。それも行わず、必要な教育条件の整備さえもしないで、支援が必要な生徒が通常学級に在籍している現状は、投げ込み放置と言わざるを得ません。そこで伺います。国連の勧告について教育長の見解を求めます。また、通常学級への投げ込み放置とならないよう、生活支援員のさらなる増員が必要と考えますがいかがでしょうか。
 東京都教育委員会は、特別支援教育について、障がいの種別と程度に基づいて、特別な場で行う特殊教育から、障がいのある子ども一人ひとりのニーズを把握し、適切な指導と必要な支援を行う教育だと説明しています。しかし、実態は、障がいに応じた特別な指導・支援は、特別支援学校、特別支援学級、特別支援教室といった特別な場でしか用意されていません。しかも、これらの特別な場は、通常の教室から離れている、隔離されている場合もあります。特別な場で学ぶ子どもの数は増え続けています。このことは、通常のクラスが障がいのある子を受け入れるインクルーシブな状況となっていないことの表れでもあります。日本政府も板橋区もインクルーシブ教育を掲げています。しかし、特別な子を取り出し、取り出した先で教育活動を行う現状ではインクルーシブ教育とは言えません。そこで教育長に伺います。インクルーシブ教育の実現に向けてどのようなことが必要だとお考えでしょうか。さらに、区立幼稚園ではインクルーシブな環境が生まれていますが、小学校ではなぜできないのでしょうか、お答えください。
 区では現在、幼稚園は15名、小学校は35人学級が進んでいる最中で、今は3年生まで35名、中学校は40名、ただし、中学1年生のみ東京都の補助があり35名という集団で学級規模を決めています。これだけの集団で、一人ひとりの声を十分に聞けるのでしょうか。共に生きる、排除しない集団にするには、小集団であることが大切です。35人でも多いくらいです。幼稚園の集団の考え方をまず改め、小学校、中学校でも少人数学級を進めるべきと考えますが、見解を伺います。全ての子どもが学校は自分を歓迎していると感じるには、子どもの声を聞き、返していくことが重要になります。学級規模を小さくし、支援の必要な子ども一人ひとりに支援員がつく体制をつくるべきです。
 10月17日の教育委員会で、区立高島幼稚園の魅力発信に向けた取組について報告されました。この報告には、区立保育園で医療的ケア児受入れ体制が整備されている状況を踏まえ、高島幼稚園においても医療的ケア児受入れの検討を進めるとあります。また、来年度から週2回、仕出し弁当による昼食の提供が始まります。高島幼稚園の支援の幅をさらに広げていただきたい。区立幼稚園での給食提供や医療的ケア児受入れには、新たな居室が必要です。高島幼稚園の施設改修を求めますがいかがでしょうか。また、4月から幼稚園、小学校、中学校で医療的ケア児が受け入れられるよう、予算と看護師を含めた人員体制を求めます。お答えください。

⑵ 学校教育のジェンダー平等を求めて

 次に、学校教育のジェンダー平等を求めて質問します。ここでお聞きの皆さんに考えていただきたいと思います。女の子が好きな色は何色でしょうか。株式会社ワコールが5歳から18歳の女子を対象に行った調査では、女子が一番好きな色は黒でした。次に、水色、白と続きます。ピンクは4位でした。保育・教育の現場では、女子はピンク、男子は青と無意識に使われていることも多くあります。大人の思い込みは子どもたちの可能性を奪い、最悪の場合には人権侵害や性被害を見逃すことにもつながります。だからこそ私たち大人は、子どもの人権について常に考え、向き合い続ける必要があります。昨年10月、板橋区立学校の教員がわいせつ行為で逮捕される事件が発生しました。このことを受け、区教育委員会は同年12月に区立学校服務事故再発防止対策委員会を設置し、提言を基に、今年9月に子どもへの性暴力等防止ガイドライン~わいせつ行為の根絶に向けて~を策定しました。ガイドラインには、児童・生徒性暴力等の早期発見のための取組として、学校内相談窓口の設置や学校園内での情報共有体制の構築をすることを示しています。しかし、児童・生徒及び教員からの性暴力の告発を適切に受け止め、被害を最小限に抑えるためには、校内だけの対応では不十分です。最低でも、教員が学校内での性暴力の疑いを発見した場合、区教育委員会にも通告する仕組みの構築を求めます。教育長は学校現場だけで、わいせつ行為の疑いや教員から児童・生徒への性暴力の対応をさせるつもりでしょうか。答弁を求めます。
 子どもを守るためには、まず加害者となり得る教員を含めた大人の意識改革、そして認識をアップグレードし、感度を高めることも必要です。板橋区教育委員会は今年度から年2回、性暴力等に特化した研修を行うこととし、研修にはチェックシートを用いることになっています。このチェックシートには、「相手が不快に思うかどうか関係なく、容姿・年齢・恋愛に関することやわいせつな発言をしていない」とあります。当たり前のことですが、教育現場だけでなく、社会では当たり前となっていません。学校現場で教員が該当の発言をした場合、子どもや保護者はどこに相談したらよいのでしょうか。また、区教育委員会はどのように指導するのでしょうか。お答えください。
 日本共産党は、いち早く公教育に包括的性教育を取り入れるべきと提案してきました。文科省は、性暴力から身を守るいのちの安全教育を始めましたが、包括的性教育とは程遠い中身です。抽象的に命を扱うのではなく、体のリアリティを通して体の権利教育を行うべきであり、学習指導要領にいまだに残っているはどめ規定を早く取り払うことが求められています。変わるべきは大人の方です。私のところには、いまだに信じられない発言や指導についての相談が届きます。学校現場はまだまだ古い感覚が根強く残っています。ある保護者の方は、「学校でも大人と二人きりにならないように、と子どもに伝えている。子ども主体になっていない場が多く、子どもを人質にとられている気分だ」と言います。学校で男女一緒の部屋で仕切り等もなく着替えている事例があります。就学時健診も、小学校低学年の体育の授業時でも当然配慮が必要です。直ちに調査し、改善すべきです。また、今年のプール指導で、教員から「生理中でも水泳授業ができる。水の中にいる間は経血は出てこないので」と言われた子がいます。教員の不適切な発言について改めて指導し、学校に通知をすべきです。教育長の見解を伺います。
 私たちは、学校トイレの生理用品配置について、質問で取り上げるだけでなく、予算修正提案もしてきました。今年、高島第二小学校、板橋第五中学校で実験的に配置する取組が行われたとのことです。ぜひ考え方を広げていただきたい。学校トイレに生理用品の配置をしてください。その際には、学校現場のほかの消耗品などが削られないよう、新たな予算措置を行うことを求めます。

⑶ よりよい保育を求めて

 次に、よりよい保育を求めて質問します。2000年に株式会社が保育へ参入することを解禁する際に、国は弾力運用を認めました。これにより、板橋区が保育園に払ったお金が、板橋の子どもには使われず、保育会社が余らせ、ため込んで、ほかの自治体での保育園建設や運営に使ったり、高齢者介護や学童保育など保育以外の事業にさえ使えることが可能になっているのです。人件費率を下げる要因にもなっているのではないでしょうか。板橋区では、2021年度決算要求資料により、弾力運用の総額は27園、約4億8,600万円でした。そこで伺います。私立保育所の未支払資金残高取り崩し協議書及び積立資金取り崩し協議書、補助金の支払い、東京都の公開資料等から各事業所の人件費率を把握し、公開してください。弾力運用は人件費を削り、ため込むことで保育の質を低下させるのではないかという疑念が尽きません。区長の認識をお示しください。
 公設民営の区立園であるにりんそう保育園は、9月28日の文教児童委員会で、来年度から2か年を区直営とし、その後民営化することが報告されました。2021年度の保育園管理運営経費のうち、運営委託費の3,283万5,832円が返還されていないことを、区は法人と委託契約を継続しない理由としています。これは定員が埋まらないために生じた返還金であるため、ほかの認可園でも同様のことが起こり得るのではないでしょうか。そこで伺います。区が公認会計士などによる財務評価を行い、運営に支障が生じないよう必要な支援をすべきと考えますがいかがでしょうか。
 この間、国は待機児童対策として、まずは定員確保を優先し、規制緩和を繰り返し、施設整備を進めてきました。しかし、新型コロナパンデミックの影響も受け、少子化が加速し、一部定員が埋まらない状況も生まれています。100名規模の保育園が突如閉園することも起こり得ます。そのときに、子どもや保護者は一体どうなるのでしょうか。送迎の手順の変更、大好きな先生たちが全員替わる不安、保護者や子ども自身のストレスは計り知れません。保育の実施義務がある自治体の姿勢が問われています。園が閉園となってしまった場合、区はどのように在園児の定員を確保し、保護者の希望に沿っていくつもりなのでしょうか。具体的にお示しください。
 万が一のときに、責任を持って保護者と子どもを受け取るのは区立保育園が行うしかありません。区立保育園しか担えない役割が、ますます増えているのが現状です。そこで改めてお伺いします。現在のような保育をめぐる状況が急激に動いている中でも、区立保育園民営化計画を進めるのでしょうか。答弁を求めます。

⑷ 社会的養護の充実を

 次に、社会的養護の充実を求めて伺います。社会的養護とは、保護者のいない児童や保護者に監護させることが適当でない児童を、公的責任で社会的に養育し、保護するとともに、養育に大きな困難を抱える家庭への支援を行うことです。施設養護と家庭養護の2つに分かれています。家庭養護のうち特別養子縁組とは、何らかの事情で産みの親が育てられない子どもを親になれる家族が迎え入れる制度で、子どもは法律上も実子となります。今、国では里親制度の拡大を進めています。一方で、そのための支援策は十分とは言えず、改善が求められています。例えば、子どもが生まれると、会社の制度等で出産祝い金が出ることが多くありますが、区職員が特別養子縁組で子どもを家庭に迎えた場合、出産祝い金の対象となりません。子育てが始まる事実は、実子でも養子でも変わりません。特別養子縁組でも出産祝い金の対象とすべきです。いかがでしょうか。
 また、健康保険や扶養手当にも差が生じています。養子縁組は家庭裁判所の審判で成立し、最低6か月間の試験養育期間が設けられています。この期間、子どもは住民票は一緒になっていますが、同居人扱いです。親となることを希望する夫婦は、多くは児童相談所、あるいは民間あっせん団体を介すことになります。どちらを選ぶかで、費用面で大きな差が生まれます。児童相談所を介した場合は、子どもの医療受診券が発行されますが、民間あっせん団体を介した場合はありません。親となる人の社会保険に入れればよいのですが、入れないケースが多く、家庭裁判所の審判が確定するまでは、子ども自身だけが国民健康保険に加入することになります。また、児童相談所を介した場合には、家庭裁判所の審判確定まで子どもの生活費が一部支給されますが、民間あっせん団体の場合には全て親となる家庭の持ち出しとなります。そこで伺います。民間あっせん団体を介した特別養子縁組の試験養育期間中の健康保険加入や扶養手当、育児給付金支給格差の実態について、板橋区児童相談所は把握しているのでしょうか。その実態をお示しください。また、国に対し、特別養子縁組の試験養育期間中も扶養に入れるよう求めていただきたいがいかがでしょうか。
 法律上の実子となっても、育った家庭とは別に、産んでくれた女性がいる事実は変わりません。子どもには自分のルーツを知る権利があり、家庭には支援が必要です。家庭裁判所の審判確定後も、児童相談所が社会的養護の要となるべく、子どもと家庭の支援をすべきです。見解を伺います。
 子どもは家庭を選べません。どの家庭でも、家庭ではなくても、全ての子どもが温かく迎えられ、その子の力で発達していく環境整備をしていくのが公の責任です。国は家庭養護を重視する方向性を示していますが、現状は施設養護となる子どもたちが多く、施設養護の充実も欠かせません。私は以前から、板橋区内に乳児院の設置をすべきと求めていますが、それは乳児院には乳幼児の一時保護機能もあり、また、実親の自立支援、養育支援のためにも欠かせないからです。区はこれまで、乳児院の設置の必要性は認識していると答弁していますが、設置には至っていません。板橋区内でも、乳児院の設置が急務です。準備の検討状況をお示しください。
 特別養子縁組以外でも、公的責任として、社会的に養育・保護するためには逃げ込める先が重要です。母となる女性が実質パートナーとなっている相手、あるいは子と離れる場所の確保が急務です。「暴力から逃げたいが、子どもが学校に行けなくなる」「子どもと離れることになってしまうのでは」「児童相談所が子どもを返してくれなくなるかもしれない」といった懸念を払拭し、全ての子どもに適切な養育環境を用意しなければなりません。母子あるいは父子といった、主たる養育者と子どもが一緒に逃げられ、生活をし続ける場所が必要です。公営住宅の一部やシェアハウスの一室などを区が借り上げ、子どもが学校園に通い続けながらも暴力から逃げられる場所の確保を行ってください。見解を伺います。
 子どもを育てるのは大変な仕事です。実子を育てていても、里親でも大変なことに変わりはありません。また、家庭の数だけ子育てのやり方があります。子育ての多様性を認めながら、公的責任として子育て家庭を支援することが求められています。区でも様々な検討を始めていますが、養育者を支援するために、家事・育児に疲れたときに、どの家庭でもすぐに利用できる無料の家事援助サービスの実施を求めます。
 児童相談所設置市となったことで、子育て、教育、障がい、母子保健などの分野でも区で行うべき業務が増え、子どもに対する責任も増えました。福祉職全体の底上げが必要です。区はどのように人材育成を行っていくのか、必要性の認識をお示しください。

⑸ こどもの権利条例の制定を

 最後に、子どもの権利条例の制定を求めて質問します。今年6月、こども家庭庁設置法が可決され、こども基本法が成立しました。虐待、いじめ、不登校、自殺など、子どもの権利侵害は極めて深刻です。日本は子どもの権利条約を批准しながらも、「子どもの最善の利益」「生命、生存及び発達に対する権利」「意見表明権」「差別の禁止」、これらの4原則を軽視し続けてきました。今必要なのは、子どもを権利の主体として明確に位置づけることです。そして、子ども予算の増額、子どもに関わり、ケアをする専門職員を大幅に増やすことです。子どもの権利状況の改善に向けた施策を展開するために、毎日子どもたちと向き合って施策をしている自治体こそ、子どもの権利の理念を共有する土台が必要です。子どもの意見を反映した条例を区民とともにつくり上げていくべきです。そのためにも、板橋区子どもの権利条例の制定を求めます。
 以上で私の一般質問を終わります。

◎区長 それでは、石川すみえ議員の一般質問にお答えいたします。
 最初は、統一教会の考え方と区の目指す方向性についてのご質問であります。旧統一教会につきましては、霊感商法をはじめ、長期にわたって被害が続き、違法性を認めた裁判が多数あるなど社会的に問題が指摘されていることから、区としまして、擁護・容認はできないものと考えています。今月18日には、旧統一教会及び関連団体と区との接点に関する調査結果と今後の対応方針を公表しておりまして、区民からの各種相談については、引き続き寄り添い、丁寧な対応を行うこととしております。
 次は、交通不便地域に対する認識についてのご質問であります。区内には4つの鉄道路線と駅と駅を結ぶ形のルートで、路線バスがおおむね区内全域で運行されておりまして、公共交通の利用環境が確保されております。その中において、区では鉄道駅から500メートル、バス停から300メートル以上離れている地域を公共交通サービス水準が相対的に低い地域としておりまして、交通不便地域ではないと認識しています。
 次は、交通不便地域の改善についてのご質問であります。区内の一部に公共交通サービス水準が相対的に低い地域があり、高齢者を含めた区民の移動手段の確保に向けまして、タクシー乗り場の実証実験を実施しておりまして、来年度以降、検証を行う予定であります。また、新たなコミュニティバス路線の導入には道路の幅員が狭いなどの課題がありまして、すぐに対応するのは難しい状況であります。今後、さらに進む少子高齢化を踏まえ、外出しやすい交通環境の実現に向けて、次世代モビリティを含む様々な移動方法の可能性を研究していきたいと考えています。
 次は、公園利用者の声の反映についてのご質問であります。インクルーシブな公園の実現のためには、公園管理者と公園利用者の関係以上に、公園利用者同士の相互理解の創造や、そのための運営体制の構築が重要と考えます。今後策定する基本計画等の検討の中において、ワークショップなどを通じまして、地域や公園利用者にインクルーシブへの理解を促し、その成熟度を勘案し、計画に反映していきたいと考えます。Park-PFIの事業者選定においては、学識経験者を交えた選定委員会において、区民の意向を反映した最適な事業者を選定できるように、公募の条件を定めていきたいと考えています。
 次は、交通公園内集会所の改修についてのご質問であります。板橋交通公園内集会所は公園管理事務所等との複合施設でありまして、築後43年経過し、老朽化が進んでいることから、板橋公園の整備と併せまして、改築する計画としております。ご利用いただく地域の方にとって、使いやすく望ましいものになるように、公園整備の一体的な計画の下に、集会所も改築をしていきたいと考えています。
 次は、交通公園における仮設の駐輪場の設置についてのご質問であります。板橋公園は、交通公園としての性格上、自転車での来園が多く、特に休日においては園内に駐輪できず、道路上にはみ出して駐輪してしまうケースが見られております。この対策のため、既に公園内の通路や利用に支障のない場所など、約30台分の仮設駐輪場を整備しておりますが、現状では、これ以上の余地がなく、暫定整備も難しい状況にございます。そこで、改修整備までの間の駐輪対策として、隣接する公園予定地の一部を活用し、臨時駐輪場を開設する方向で、現在、その規模や設置する位置、整備方法等の検討を行っているところでございます。
 次は、ボール遊びスペースの設置についてのご質問であります。現在の板橋公園には、様々な施設、展示物、植栽などにより、新たに施設を整備する空間的な余裕がない状態となっております。一方、現在進めております整備構想においては、交通公園を柱に置きながらも、誰もが多様な楽しみ方ができることをコンセプトに加えまして、地域の要望に応えることとしております。こうした中、整備計画にはボール遊びを含む様々な要望が寄せられているため、ワークショップによる取捨選択と合意形成の中において、施設整備や運営の具体化を図る考えであります。
 次は、私立保育所の人件費率の公開についてのご質問であります。各私立保育所の人件費比率は、東京都福祉保健局のホームページにおいて、財務情報等の公表様式の中に記載がされておりまして、広く公開されているものと認識しています。
 次は、弾力運用による保育の質の低下についてのご質問であります。私立保育所の委託費の弾力運用は、適切な保育が実施されていることを前提としました保育所等の経営の安定化を図る観点から、国が認めている制度であると認識しています。そのため、委託費の弾力運用が直ちに保育の質を低下させるものとは考えていないところであります。
 次は、公認会計士などによる財務評価についてのご質問であります。認可保育所の設置や運営事業者の選定に当たり、中小企業診断士等による財務状況の確認と経営状況の評価を行い、基準を満たす事業者を決定しております。また、保育所開設後は、指導検査において会計経理を定期的に確認し、不適切な取扱いがあれば、適宜、助言や指導を行い、改善を求めております。今後も、健全な運営を確保するため、財務状況を含め、保育園の運営全般にわたりまして、助言や指導を行っていく考えであります。
 次は、保育園閉園時の対応についてのご質問であります。保育園が閉園することとなった場合においては、区立保育園の定員増だけではなく、私立保育園とも協議をして定員を確保していく予定であります。また、転園先の確保や環境の変化に対する保護者の不安を軽減するため、適切な情報提供や希望を丁寧に聞き取りながら入園調整を図っていきたいと考えています。
 次は、区立保育園民営化についてのご質問です。平成30年度に策定いたしました公立保育所の民営化ガイドライン及び令和元年度に策定いたしました公立保育所の再整備方針に基づきまして、引き続き民営化を進めていく考えであります。
 次は、板橋区職員互助会の出産祝い金についてのご質問であります。社会的養護を取り巻く状況を勘案しますと、子どもの福祉の増進と健全な育成を図る観点から、特別養子縁組制度は非常に重要な制度と考えます。板橋区職員互助会は区の職員で構成された任意団体でありまして、特別養子縁組制度の取扱いについて、区の認識と歩調を合わせていただくことが望ましいものと考えています。特別養子縁組制度が成立した事実をもって出産祝い金の支給が可能となるように、板橋区職員互助会に対しまして、規程整備を呼びかけていきたいと考えています。
 次は、民間あっせん団体を介した特別養子縁組の実態についてのご質問であります。特別養子縁組を希望する場合の相談機関には児童相談所と民間あっせん機関がございまして、希望者は自身の希望や要件に応じて選択をしております。児童相談所を介した特別養子縁組の場合、成立までの期間、養子縁組里親として子の養育を委託することになるため、区は必要な生活費・医療費等を支給しております。民間あっせん機関を介した特別養子縁組の場合においては、養子縁組里親と同様の支給を行っていないことは承知をしておりますけれども、格差とは認識をしておらず、その実態の把握はしていないところであります。
 次は、特別養子縁組の試験養育期間中の扶養についてのご質問であります。社会保険の扶養の対象について、健康保険法においては、配偶者、子、孫及び兄弟姉妹のほか、3親等内の親族であって、主としてその被保険者により生計を維持するものとしております。そのため、民間あっせん機関を経て特別養子縁組を行う場合において、縁組成立前の子どもは、多くの場合、扶養の対象外になっているものと認識しています。特別養子縁組をはじめ、社会的養護の拡充は不可欠であることから、区としても、適宜適切に対応していただけるように、ご提案の内容も含めて、国の動向を注視したいと考えています。
 次は、審判確定後の支援についてのご質問であります。児童相談所では、養子縁組里親への里親委託や児童福祉法第30条に基づく同居児童の届出を通じまして、縁組成立前の養育状況の調査や支援を行っております。また、特別養子縁組成立後も、少なくとも半年間程度、定期的な家庭訪問等によりまして養育状況を確認するとともに、養育や子どもの発達等について相談に応じております。特別養子縁組を含め、あらゆる親子にとって、子ども家庭総合支援センターが気軽に相談できる機関となるように、周知・啓発を図っていきたいと考えています。
 続いて、乳児院の設置についてのご質問であります。国や東京都においては、家庭的な養育環境を推進するため、里親委託の推進や里親制度の普及、施設の小規模化や地域分散化を促進しております。乳児院設置の可能性につきましては、情報収集と検討を重ねておりますが、具体的な進展はない状況でございます。
 続いて、避難先の確保についてのご質問です。養育者が配偶者等の暴力により緊急に避難する場合においては、その多くが生活基盤を失い、経済的に困窮しがちでございます。板橋区では宿所提供施設、宿泊所、母子生活支援施設など、様々な施設を活用して、母子、父子ともに、避難者の安全を確保しております。今後も既存施設を活用するとともに、必要に応じて、住宅の確保と経済的な支援を行っていきたいと考えています。
 次は、無料の家事援助サービスについてのご質問です。現在、区では支援を必要としている子どもやその保護者に対し、養育支援訪問事業を通じまして、育児支援ヘルパーの利用料を免除しております。国では、児童福祉法の改正によりまして、令和6年度から、支援が必要と認められる家庭に対し、費用負担を求めない措置によるサービスの提供を検討しているところであります。今後も国の動向を注視し、受益者負担と支援の必要性を見極めながら、全ての家庭が利用しやすい制度となるように取り組んでいきたいと考えています。
 次は、福祉職の人材育成についてのご質問です。福祉職は主に福祉部や子ども家庭総合支援センターに配置されまして、生活支援、障がい者支援、児童福祉等の直接援助に携わっております。地域社会を取り巻く福祉課題は複雑・多様化してきておりまして、包括的支援体制の整備など高度な福祉施策の立案におきましても、福祉職の視点が必要であると認識をしております。併せて幅広い視野が持てるように、配置職場の拡大も念頭に入れながらキャリアデザインや人材育成等の在り方を改めて検討し、福祉職がさらなる力を発揮できるように環境を整えてまいりたいと考えています。
 次は、子どもの権利条例の制定についてのご質問であります。令和4年6月に成立しましたこども基本法は、子どもの施策について、社会全体で総合的かつ強力に実施していくための包括的な基本法として制定されました。こども基本法では、児童の権利に関する条約の精神に則り、全ての子どもについて、意見を尊重することや最善の利益を優先することを基本理念としております。区として条例を制定する予定はございませんが、法の基本理念を踏まえて、施策を着実に実行していきたいと考えています。
 残りました教育委員会に関する答弁は、教育長から行います。

 

◎教育長 それでは、石川すみえ議員の教育委員会に関する一般質問にお答えします。
 初めに、家庭教育の自主性の尊重についてのご質問ですが、家庭教育とは、一義的には、父母、その他の保護者が子どもに対して行う教育であり、地方公共団体は家庭教育の自主性を尊重するものと教育基本法で規定されています。これを踏まえ、いたばし学び支援プラン2025では、家庭における教育力向上への支援を重点施策に位置づけているところであります。今後も、子育ての不安や負担感を持つ家庭などを中心に、家庭支援に関する情報提供や相談対応など、家庭の教育力の向上を支援してまいります。
 次に、飲用牛乳購入事業の継続についてのご質問ですが、コロナ禍と物価が高騰している状況下、近年の食材料費の値上がりに伴う給食費の上昇を抑制するため、児童・生徒の飲用牛乳を公費で購入する事業を行っております。現在、給食費は、コロナ禍以前の水準を維持しており、保護者負担の上昇の抑制に一定の効果があったと認識しております。今後も、子どもたちの健康や安心・安全で安定的な給食提供を考え、物価の状況などを勘案しながら、本事業の継続を検討してまいりたい思います。
 次に、学校給食費無償化への必要額についてのご質問ですが、学校給食費を全て区単独で負担をする場合、約17億円の経費が必要となります。生活が困窮するなどの経済的な支援が必要な家庭には、既に生活保護や就学援助により学校給食費を無償化しており、その費用は約4億円であります。そのため、学校給食費を無償化するためには、新たな公費負担として、概算ではありますが、約13億円となり、多額な経費を公費で補う必要があります。
 次に、学校給食費の無償化を求めることについてのご質問ですが、生活困窮家庭に対する経済的な支援として、生活保護や就学援助により学校給食費を無償としております。加えて、本年度は給食費の増額を抑制するため、公費で一部の食材を購入し、補填する事業を実施しているところです。学校給食費の無償化につきましては、現在のところ考えておりませんが、学校給食に関する区民負担の軽減・抑制の取組について検討してまいりたいと思います。
 次に、区内幼稚園バスの安全対策についてのご質問ですが、本年9月、園児が送迎バス内に置き去りにされた事案を受けて、厚生労働省、文部科学省の連名で、送迎バスに関する私立幼稚園への点検と実地調査を行う旨の通知が出されました。この通知を踏まえ、現在区では、送迎用バスを運行する私立幼稚園に対して、バスの乗り降り時の人数確認と共有の方法、マニュアルの整備などの調査を進めているところです。実地調査の結果につきましては、国の全国の取りまとめの状況を勘案し、区内幼稚園の意見を聞きながら、情報の公開について検討してまいりたいと思います。
 次に、区内幼稚園バス安全対策の財源についてのご質問ですが、本年9月の幼稚園送迎バス事故を受けて、内閣府、厚生労働省及び文部科学省が連名で、こどもの安心・安全対策支援パッケージとして、補正予算案を計上しました。この補正予算案では、幼稚園等に対して、送迎バスへの安全装置の設置や登園管理システムの構築等の子どもの安全対策に必要な支援を行うこととしております。補正予算案に基づく支援の内容や方法の具体化等、国の動向を注視しながら、区が行う支援の在り方について検討を行ってまいりたいと思います。
 次に、インクルーシブ教育に関しまして、国連の勧告についてのご質問ですが、国連の勧告では障がいのある全ての子どもたちが個々の教育的要求を満たし、インクルーシブ教育を確保するための合理的配慮を保障することなどが示されております。特別支援教育は、共生社会の形成に向けて、インクルーシブ教育のために必須なものであり、板橋区におきましても重要な課題であると捉え、個に応じた指導の充実を図っているところです。今後も、児童・生徒の障がい等の状態に応じた指導を通して、一人ひとりの自己実現と自立を目指し、支援してまいります。
 次に、学校生活支援員の増員についてのご質問ですが、教育委員会では学校生活上の困難や課題を抱える児童・生徒の支援を行う人材として、学校生活支援員を通常学級に55名、特別支援学級に40名配置しております。今後も交流及び共同学習を推進し、学校生活支援員の適切な配置を含め、児童・生徒一人ひとりに対し、適切な指導や支援ができるよう努めてまいりたいと思います。
 次に、インクルーシブ教育の実現に向けてについてのご質問ですが、障害者の権利に関する条約において、インクルーシブ教育システムとは、多様性を尊重し、共に学ぶ仕組みであり、個に応じた合理的配慮が提供される必要があるとされています。また、共に学ぶことを追求するとともに、個別の教育的ニーズに的確に応えるための多様で柔軟な仕組みを整備することが重要となるとされています。そのため、通常の学級、通級による指導、特別支援学級、特別支援学校といった多様な学びの場を用意し、それぞれの環境整備の充実を図るとともに、連携を推進していくことが必要であると考えています。
 次に、小学校のインクルーシブ環境についてのご質問ですが、区立高島幼稚園では、遊びを通じた保育を通してお互いを認め合う豊かな人間性を育むべく、インクルーシブ教育を推進しています。また、小学校では一人ひとりの教育的ニーズに最も的確に応えられる場で学び、発達段階に応じて柔軟に学びの場を選択することができるようになっています。このように、幼稚園、小学校、それぞれの実情に応じて環境やシステムを整え、インクルーシブ教育の充実を図っているところです。
 次に、少人数学級の推進についてのご質問ですが、現在の学級編制については、幼稚園と小学校第3学年までは1学級当たり35名を基本とし、中学校は7年生に限り35名による編制が可能となっています。また、小中学校においては、学校生活支援員や学力向上専門員を配置するなど、個別最適な学びを実践し、集団生活のメリットである多様な考え方に触れる機会を確保しているところです。現状より少ない人数での学級編制には教員の確保など課題が多いため、小中学校等での少人数学級の導入は考えておりません。
 次に、区立高島幼稚園の施設改修についてのご質問ですが、区立高島幼稚園では、幼稚園の魅力づくりとして、来年度からお弁当の提供を始める予定であり、現施設で調理を行い給食を提供することは考えておりません。また、医療的ケア児の受入れにつきましては、検討を始め、今後、ニーズの確認等を行いますが、現時点で、医療的ケア児の受入れや給食の提供に向けた施設の大規模な改修を行う計画は決まっていないところです。
 次に、医療的ケア児の受入れについてのご質問ですが、医療的ケア児につきましては、令和3年6月に、医療的ケア児とその家族に対する支援に関する法律が施行されており、受入れ体制の整備が求められていることは承知しているところです。医療的ケア児の対応につきましては、検討体制を立ち上げ議論を重ねており、区民ニーズを捉えながら、適切に対応してまいりたいと思います。
 次に、学校内での性暴力に係る教育委員会への通告についてのご質問ですが、児童・生徒への性暴力は子どもの権利を著しく侵害し、心理的外傷など重大な影響を与えることから、学校と教育委員会が、共に根絶に向けて取り組むべき課題であると強く認識しております。そのため、教員の意識改革や事故の未然防止、事故対応について、学校現場だけではなく、必ず教育委員会とともに取り組んでおります。また、教員が性暴力の疑いを発見した場合、まず管理職へ報告することになっておりますが、今後、教育委員会に直接通告できる仕組みを構築し、ガイドラインに反映してまいりたいと思います。
 次に、学校内での教員のわいせつな発言に係る保護者の相談先と区教育委員会の指導方法についてのご質問ですが、教員のわいせつ・セクハラに関するセルフチェックシートは、定期的に教職員が自身の言動を振り返り、規律意識と使命感を醸成することを目的として活用しています。わいせつな発言があった際には、児童・生徒や保護者は各校の相談窓口、区の教育支援センターや東京都のワンストップ支援センター等に相談や対応を求めることができるようになっています。区教育委員会は、事実を確認し、再発防止に向けた指導を当該教員及び管理職に対して行うとともに、非違行為について、状況に応じて東京都へ報告しているところです。
 次に、男女一緒に着替えることについてのご質問ですが、体育授業の際、小学校低学年において、男女一緒に着替えることを不安に思っている児童・保護者がいることは承知しております。一方、就学時健診をはじめ、脱衣を伴う検査については、支障のない範囲で児童・生徒の心情を配慮して行うことを国は求めており、板橋区も同様に考え対応しているところです。今後、着替えについては、学年に関係なく配慮することを改めて校長会等で指導してまいります。
 次に、プール指導における教員の不適切な発言についてのご質問ですが、これまでも各学校に対し、一人ひとりの児童・生徒の体調等に配慮した対応について指導を行っているところです。東京都作成の人権教育プログラムには、教職員に求められる人権感覚について記されており、幼児・児童・生徒の心情等を受け止めた上で指導していくことを求めております。子どもたちが性別による差別を受けることなく学校生活を過ごすことができるよう、教員に対し、人権教育プログラムの内容を改めて機会を捉えて強く指導してまいります。
 最後に、学校トイレへの生理用品の配置についてのご質問ですが、本年9月から、高島第二小学校、板橋第五中学校をモデル校として指定し、学校トイレに啓発ポスターなどとともに生理用品を設置しているところです。現在、利用状況や管理方法のほか、児童・生徒の保健相談支援の在り方を検証しているところでございます。この検証結果を踏まえ、学校トイレへの配置と学校生活における日常的な保健相談の充実について検討してまいります。
 頂きました教育に関するご質問の答弁は以上でございます。

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