討論日:2024年3月22日
ただいまから、日本共産党板橋区議会議員団を代表し、議案第34号「東京都板橋区国民健康保険条例の一部を改正する条例に反対する立場で討論を行います。
本議案は、2024年度の国民健康保険料を引き上げるものです。この改正により、新年度の医療分の1人当たり保険料は13万1,496円で、前年度比1万1,831円もの負担増です。最高限度額も、2万円増の106万円と過去最高額となり、加入者のほとんどが引上げとなります。
本議案に反対する第1の理由は、もともと高すぎる国民健康保険料が、さらに高くなるからです。
国の激変緩和措置期間終了の2024年度は、都への納付金が100%になる予定を、コロナの医療費増分と基金の取り崩しで98%に抑えたものの、2018年の国保広域化以降、最大の値上げ幅です。例えば、年収200万円の35歳夫婦と10歳、5歳の4人世帯では、年間2万6,535円もの値上げで21万7,061円となり、保険料が年収の1割を占めています。同じ世帯で協会けんぽの保険料と比べても約11万7千円も多く、2倍もの差が生じています。
区の国保加入者の84%が年収200万円以下の世帯で、低所得者が多く、今でも高すぎる保険料にさらに負担増を押し付けるべきではありません。
第2の理由は、国保料を引き上げない努力や軽減策の拡充を行うことができたからです。
国が自治体の「繰入金削減」方針を掲げ強い圧力をかけ続ける下で、板橋区の一般会計から国民健康保険事業特別会計への繰入金は、2022年度決算額が約59億円で、最も多く繰り入れた2016年の約91億円と比べても32億円も減少しています。新年度の保険料負担増の総額は約19億円です。新たな負担増とならないように、さらに一般会計からの繰り入れを行うことはできたはずです。
値上げに賛成した委員は「23区統一保険料だ」と言いますが、23区で統一保険料に参加していない区はすでに3つあり、独自で保険料を軽減することは可能です。
子どもの均等割への軽減は、全国では5割軽減の対象拡大だけでなく、18歳までを対象に「全額免除」に踏み切る自治体も増加しています。
区は、対象拡大ができない理由に「厚生労働省の通知」や、「赤字補填額が増える」などと言っています。しかし、区が言う2022年の厚労省事務連絡は、「明確に法律違反とは言えないものの適切ではない」と厚労省の考えを述べているにすぎません。また、国は「特別な事情があるときは独自に軽減できる」とした国民健康保険法第77条による独自軽減は、「赤字補填額の対象にはしない」と回答しています。もはや国民健康保険料の高さは限界です。暮らしの困難さを解消するために、なんらかの独自軽減策に踏み切るべきです。
最後に、国庫負担こそ引き上げるべきと訴えます。
保険料が上がり続ける要因の一つが加入者の減少です。社会保険加入対象が拡大され、国保から社保へ移行する人が増加しており、今後さらに加入者の減少が見込まれています。しかし、その影響に対する国の財政的支援策は何一つありません。
国民健康保険は、高齢者と働くことが難しい人や自営業、非正規雇用など、経済的には厳しく、より医療を必要としている人です。制度開始時は、低所得者の多い国保は公費で賄う必要があるとして45%だった国庫負担を引き下げ続けてきた国の責任は重大です。全国知事会も特別区長会も、国に対し国庫負担引き上げを求めています。議会を挙げて、保険料の引き上げではなく、国庫負担の引き上げこそ求めていくことを呼びかけて、本議案に反対し討論を終わります。