2024年第2回定例会 山内えり区議 一般質問

質問日:2024月6月7日

1、 自衛隊への個人情報提供について

 ただいまより、日本共産党板橋区議会議員団を代表し、一般質問を行います。


 初めに、自衛隊への個人情報提供について質問します。
 岸田首相とバイデン大統領は4月10日、日米首脳会談を行い、米軍と自衛隊の相互運用性強化のため、指揮・統制の枠組みを向上するなどとした共同声明を発表し、アメリカの戦略と一体化した軍事同盟強化や平和を壊す大軍拡をさらに進める姿勢をあらわにしました。政府は従来、自衛隊が他国の軍隊の指揮下で武力を行使することは、自衛のための必要最小限度の範囲を超えるもので、憲法上許されないとしてきましたが、今回の日米共同宣言で自衛隊と米軍の指揮・統制の枠組み強化、武器の共同開発、生産の拡大が明記され、先制攻撃による敵基地攻撃能力の保有など、自衛隊が海外の戦場に送られる危険がさらに増しています。日米軍事同盟の下で自衛隊が米軍の指揮下に公然と組み込まれる方向が打ち出され、自衛隊の変質と指摘されています。際限のない軍拡と戦争の危険、区民を戦地に送ることにつながりかねません。こうした状況をどう考えているでしょうか。区長の認識を伺います。


 自衛隊の果たす役割が大きく変質する中、区は自衛隊が被災地支援などの公益性の高い重要な任務を担っているとし、法定受託事務として自衛官の募集に協力するという立場を続けています。これまでの住民基本台帳の閲覧から、2022年度より、年度中に18歳、22歳になる区民の氏名、住所、生年月日、性別の4情報を紙媒体で提供する対応に切り替えています。一方、自衛隊へ自己の個人情報提供を望まない方への配慮として、除外申請すれば名簿から除外するとしています。しかし、除外申請を申し出たのは12人です。今年度中に18歳になる対象者3771人の僅か0.3%にすぎません。昨年度22歳になる対象者では5,110人のうち8人、0.16%と、あまりに少な過ぎます。このことは自分の個人情報が自衛隊へ提供されていることも、除外申請すれば、名簿から除外できることも、対象者へ届いていないことを意味するものであり、問題です。除外申請が少ないことに対する区長の認識を伺います。少なくとも対象者全員に除外申請できることを周知すべきです。見解を伺います。
 

 2003年、当時の石破茂防衛庁長官が、市町村は法定受託事務として行っているものの、防衛庁が依頼しても必ずしも応える義務はないと答弁しているように、市町村が個人情報を提供する義務はありません。むしろ個人情報保護法69条1項で、法令に基づく場合を除き、個人情報を提供してはならないと条文に明記されており、自衛隊への情報提供は、この法律に反しています。自衛隊を特別扱いした上で、青年の基本的人権を無視し、こうした違法行為が全国規模で行われていることは大問題です。現在の自衛隊は集団的自衛権の行使を容認し、敵基地攻撃能力の保有を進めており、自衛官には命をかけて戦闘の規律に服従する義務が課せられています。しかも内部ではセクハラやパワハラ被害の訴えが後を絶たない状況です。青年を戦場に送ることを後押しし、住民の個人情報提供を国の言いなりで自治体が行っていいはずがありません。自衛隊への個人情報提供をやめるよう求めます。区長の見解を伺います。

2、 区民の命を守る災害対策を求めて
(1)被災者の生活の質の向上について


 次に、区民の命を守る災害対策を求めて、まず、被災者の生活の質の向上について質問します。
 能登半島地震の発生から5か月以上が経過しました。災害関連死と認定された30人を含め、亡くなられた方は260人以上に上ります。発災後しばらくの間は、どの避難所も想定をはるかに上回る被災者であふれ、厳しい寒さの中、十分な仕切りもなく、床の上にマットと毛布だけ。断水し、トイレなどの衛生環境も悪化、新型コロナウイルスなどの感染症が広がり、ビニールハウスや倉庫などで自主避難せざるを得ない事態も生まれました。一方、4月に発生した台湾地震では、地震発生後僅か二、三時間で避難所が設営されたことが注目を集めています。被害が大きかった花蓮市内の避難所は冷房完備、簡易ベッドが備えられた、プライバシーに配慮されたテント、女性専用や特別支援者専用の寝室も設置され、温かい食事やドリンク、子どもが遊ぶスペースにはゲーム機まで用意されたと報道されています。なぜこうした迅速な対応が日本ではできないのでしょうか、見解を伺います。


 紛争や災害などにおいて、被災者が尊厳ある生活を送ることを目的に定められた国際赤十字が示すスフィア基準は、人道憲章と人道対応に関する最低基準とされています。避難者支援は第1に、その国の国家に役割と責任があるとしており、各国が取り組んでいます。新潟大学の榛沢和彦医師によると、自然災害の多いイタリアでは20州全てに2500人分の備蓄をすることが義務化され、数万人の会員を持つ民間ボランティア組織が複数あり、1,000人分の備蓄を持っている。こうした準備があるからこそ、迅速な災害支援、避難所環境整備が行えているといいます。内閣府の避難所運営ガイドラインには、スフィア基準の言及はあるものの、参考にすべき国際基準と紹介しているだけで、援助を求めることの権利性や国の責任や役割については触れていません。自然災害の多い日本において、この基準が満たされない避難所は数多く、自治体任せになっています。避難所を含む全ての個人が豊かな生活を送れるよう、国の責任で対応すべきです。国に対し、スフィア基準に準じた避難者支援や災害対策を講じるよう求めていただきたい。見解を伺います。


 災害時であってもプライバシーが保障され、安心して休めることが欠かせません。私たちはプライバシー確保のための個別テントの配備を求めてきました。しかし、区は家族人数に応じたスペースの調整や見通しの確保が行いにくくなるとし、世帯単位でのプライバシー確保に消極的です。実際、区の指定避難所の備蓄物資は1避難所当たり段ボールで作られた間仕切りが一律18個、感染用対策のテントが一律4つしかありません。大阪府寝屋川市では独自対応として、感染症対策やプライバシー保護の観点から、避難所や校庭など、屋外でも使用できるテントを個別対応できるよう用意しています。なぜ間仕切りは各避難所に一律18個しかないのか、理由を伺います。多くの方が避難すると想定される避難所において、プライバシーをどう保障するのでしょうか。区の認識を伺います。

(2)支援物資の供給について


 次に、支援物資の供給についてです。5月27日、区の全世帯を対象に、感震ブレーカーや携帯トイレセットなど防災用品のカタログなどを配付する補正予算が示されました。カタログのメニューの中から5000円分の品目を選択する形で、重要な前進です。区議団はこの間、予算修正提案などに取り組み、家具転倒防止器具設置助成や携帯トイレなどの防災用品の配布を繰り返し求めてきました。都は、感震ブレーカー設置率を50%に高めれば、首都直下地震で起きる火災による焼失棟数、死者数をいずれも9割減らせると試算し、感震ブレーカーを木密地域などへ配布する事業を実施しました。今回の区の事業は、こうした地域以外の方々が選択できることになるものの、あくまでも選択であるため設置が進むとは言い切れません。感震ブレーカーの設置や家具転倒防止を促すため、メニューの上位に上げると聞いています。であるならば、設置を希望する世帯には無償で配布できるようにすべきです。カタログの配付と併せ、無償で提供するメニューとして、必要な世帯に対し、感震ブレーカーと家具転倒防止器具、加えて全世帯を対象に携帯トイレを配付するよう求めます。見解を伺います。

3、 住民合意のまちづくりを求めて


 次に、住民合意のまちづくりを求めて質問します。
 まず、大山駅周辺のまちづくりについてです。大山のまちづくりは、戦後の都市計画という道路建設の補助26号線が突如浮上したことから、強権的な姿勢で進められてきました。ハッピーロード大山商店街や地域の分断、住民から親しまれてきたアーケードの解体に、住民は大山がなくなるとショックを受けています。40店舗を超えるお店が閉店し、借家人をはじめとする少なくない方が移転を余儀なくされました。多額の税金が投入される大山町クロスポイント周辺地区、ピッコロ・スクエア周辺地区再開発事業は、ビル風、日照などのほか、そこでの暮らしや生業に大きな影響を及ぼしています。権利変換がどのように行われるのか、再開発後のビルに入る店舗数や店舗の面積も知らされず、区は高さ制限を107メートルに引き上げておきながら事業費は不明と言い続け、地権者以外の区民には知りたい情報が開示されずに進められてきました。東上線の高架化は、商店街や地域住民の地下化を求める声に背を向け続け、駅前広場整備計画は計画の見直しを求める区議会への陳情が20本を超えていても、事業認可を強行しました。まちづくりと称し、大型の開発や事業が住民の納得と合意が得られないまま進めてきたことは、都市計画決定権者としての義務を果たしているとは言えません。一体誰のまちづくりなのか、区の責任はどこにあるのか、いつ全体像が分かるのか、お答えください。


 次に、高島平のまちづくりについてです。3月28日、区とUR都市機構は高島平地域における協働によるまちづくりの推進及び交流核の整備に向け、基本協定と実施協定を締結し、再整備地区にある区有地と駅周辺にあるUR都市機構の一部の土地を等価交換する手続に関する規定が盛り込まれました。区は、高島平まちづくりは交流核プランの策定と区とUR都市機構の基本協定の締結により、計画段階から実行期に移行し、交流核エリアを起点とした段階的な事業展開が始まるとしています。この間、建て替え対象の団地居住者の方々から今後どうなるのか不安だという声が寄せられています。UR都市機構はすぐに引っ越す必要はありません。UR都市機構が転居先を紹介しますというだけの説明で、実際の引っ越し先や費用についての具体的な説明は1度もなされていません。建て替え対象の二丁目33街区は約1900世帯です。そのうち何件が旧高島平第七小学校跡地に建てる新しい住宅に入れるのでしょうか。残る住民の転居先は誰がどこに確保するのかお答えください。


 今年度は地区計画の都市計画の手続に入るとしています。区はこれまで、高島平の目指す将来像の実現に向けたまちづくりのあり方や具体化方策について、区とUR都市機構が地域の方と情報共有や意見交換することを目的に、高島平地域まちづくり連絡会が設置され、5回開催されたと聞きます。しかし、地区計画についての具体的な議論はしていない、区とUR都市機構だけでつくるのは、住民置き去りだとの声が数多く出されています。大山などで行われてきた公募委員も含めた検討会やまちづくり協議会のやり方がなぜ高島平ではできないのでしょうか。理由をお示しください。

5、 介護報酬の引上げを求めて


 次に、介護報酬の引上げを求めて質問します。
 厚労省は、3年ごとの介護報酬の改定で、ほとんどのサービスを報酬微増とする一方、訪問介護の基本報酬を4月から二、三%引き下げました。引下げの理由に、訪問介護の利益率がほかの介護サービスより高いためとし、介護職員の処遇改善加算をほかのサービスより高く引き上げているので、事業収入全体では影響はないとし、区も追随しています。そこで共産党区議団は介護報酬改定の影響はどうなっているか、区内120件を超える事業所に対し、介護報酬改定による収益の変化や経営状況、区への要望などを聞く実態調査を開始しました。既にファクスやメールでも返事が届いています。そうした内容も含めて、以下質問します。まず、実態把握についてです。事業所に実際に伺うと、看板もなく、事業所そのものが見当たらないところが数か所ありました。休止や廃止については区に届け出ると聞いていますが、ホームページ一覧には記載されていません。区は運営されているかどうか、把握しているでしょうか。お答えください。
 訪問し、ご意見を伺えたところでは、施設の経営努力だけでは限界。このままでは事業継続が危ぶまれ、介護事業を休止・廃止する事業の増加が危惧される。60分だった援助時間が45分に減らされ、浴室の掃除ができなくなったなど、実態は深刻です。訪問介護の基本報酬引下げの影響や事業の現状について実態調査すべきです。見解を伺います。このままでは地域の介護が崩壊することになりかねません。区も板橋区高齢者保健福祉・介護保険事業計画2026で、地域における質の高い介護サービスを安定的に供給していくためには、介護人材と量と質の両面で確保していくための取組を今まで以上に推進していくことが重要と記しています。運営費への補助と事業者が処遇改善を図れるよう、補助金制度の創設を求めます。見解を伺います。
 ホームヘルパーは2022年度、有効求人倍率が15倍を超える異常な人手不足に陥っています。3か所の訪問介護事業所を運営する区内事業者は、報酬削減により3か所で月200万円の損益が発生する、処遇改善なんて程遠い、人も募集しているけど、集まらないと話します。訪問介護事業所の4割が赤字で、東京商工リサーチの調べでは、2023年の訪問介護倒産は67件、閉鎖・休止は360件と過去最多を更新しています。住み慣れた自宅に暮らし続けるとうたう国の責任で介護施策を引き上げるべきです。さらなる処遇改善と併せ、抜本的な介護報酬引上げを国に求めていただきたい。見解を伺います。

5、 教育について

(1)教員不足について


 次に、教育について、まず教員不足について質問します。
 文部科学省が2021年度実施した教員不足に関する調査では、2021年4月1日時点で2558人、依然として厳しい状況であることが分かりました。教員の不足は子どもたちの教育を受ける権利を奪うことにもなる重大な問題であり、是正が必要です。区立小学校では、4月1日時点で担任が配置できない学校が7校で発生し、学内の加配人員である算数少人数担当教諭を配置することで対応したと聞いています。また、病気休職中の教職員は4月1日時点で小学校5人、中学校で2人、産休・育休中の教職員は4月1日時点で小学校74人、中学校で20人いるとしています。区は、令和6年度の正規職員は足りているが、産休・育休代替の臨時的任用職員が不足し、校内で対応してきたといいます。なぜこのような状況が生じているのか、区として教員不足が生じる要因についてどう考えているのか、認識を伺います。


 全日本教職員組合などが参加する、学校に希望を!長時間労働に歯止めを!ネットワークが行った学校がもたない緊急アンケート集約結果と分析によると、教員不足が起きた学校は94.4%に上ります。病休した担任の代わりが配置されず、ほかの先生たちで調整して穴埋めした、子どもが担任が忙しそうだからと困ったことがあっても相談ができない、4月の始業式の翌日から担任の先生が病欠になり、11月末にようやく後任が決定したと、深刻な教員不足にもう学校がもたないと現場から悲鳴が上がり、教員の働き方の見直しは待ったなしです。国は異次元の子育て支援を公言し、重過ぎる教育費負担の軽減として、多子世帯対象の学費軽減などを新たに打ち出していますが、あまりに対象が狭く、教員不足で教育に穴が開く状態が放置されるなど、教育分野への支出が削減された結果、生じている問題の根本的な解決に向き合おうとしていません。5711しかも、これだけ深刻な教員不足に対し、公立小中学校等の教職員定数は、2024年は公務員の定年延長に伴う特例などにより65名増えているものの、2022年からの3か年で見ると、5711人のマイナスです。これでは教員不足を補えるはずがありません。国に対し教員の定数増を求めると同時に、都に対し、独自の少人数学級の実施を求めていただきたい。見解を伺います。
 区は、令和4年2月策定の板橋区立学校における働き方改革推進プランで、学校閉庁日の拡充検討、土曜授業プランを年8回から6回へ、相談体制の充実を図るなど、取組を推進しています。さらに学習指導要領で定められた標準コマ数をこれまで大幅に上回るよう求めていたものを標準コマ数並みで対応することなど、さらに強調していくことは私たちも求めてきたことで評価しますが、教員不足の問題の解決にはなりません。いくら残業しても残業代は払われず、子どもたちがいる間は休憩もままならない。次から次へと仕事をこなさなくてはなりません。それは仕事量に対して教員が全く足りていないからです。業務量に見合った教員を配置するなど、根本にメスを入れる対策が必要です。学校の中でのやりくりでなく、教育委員会として体制を取るべきです。見解を伺います。
 

(2) 保護者負担の軽減を求めて

 次に、保護者負担の軽減を求めて質問します。長引く物価高騰の中、教育費に係る負担感はますます大きくなっています。文科省の2021年度子供の学習費調査によると、学用品の1人当たりの年間費用は公立小学校で2万4200円、公立中学校で3万2300円かかるとしています。義務教育は無償と定める憲法26条に沿い、教育基本法5条と学校教育法6条は、国公立の学校では授業料を徴収しないとのみ明記され、保護者負担である学用品には明確な定義がありません。各自治体が定める学校管理規則に基づき、校長の判断によるため、義務教育であるにもかかわらず、学校や自治体間で大きな差が生じています。こうした家庭の負担軽減を目的として、品川区は新年度から区立小中学校と義務教育学校の児童・生徒が使う絵の具、学習ドリルなどの補助教材、学用品を公費で負担するとし、全額無償化を所得制限なしで始めました。これまで補助教材は学校で一括購入し、各家庭から費用を徴収してきましたが、新年度から区が全額を各校に交付するとしています。品川区長は憲法で義務教育は無償とする原則が明記されている。社会全体で子育てを支えたいと意義を強調しており、重要です。子どもは地域、社会全体で支えていくという視点で施策を構築していく必要があると考えます。板橋区においても、義務教育は無償と定めた憲法26条に即して学用品を無償とするよう求めます。見解を伺います。

(3)スクールゾーンのバリケードについて


 次に、スクールゾーンのバリケードについて質問します。今年4月から、これまで区内38校のスクールゾーンの入口において、指定時間の車両通行を禁止するために設置されてきたバリケードが原則廃止となりました。そのため、規制標識を見落とした車が進入するケースが頻発し、とても怖い。なぜ急に廃止になったのかなど、不安の声が寄せられています。まず、誰のためにバリケードが設置されてきたのか、区の認識を伺います。


 区は、廃止に至った理由に、2020年6月に、道路脇に保管中のバリケードが強風にあおられて駐車中の車を傷つけるという事故が発生したためとしています。しかし、年2回開催されている板橋区通学路安全推進連絡会において、2023年度の2回目の連絡会で初めて原則廃止について情報共有したとのことで、学校やPTA、町会など、現場と協議もしていません。なぜ私たちに聞いてくれないのか。車に傷がついても物損の補償で済むが、子どもが死んでしまったら元も子もないと、地域や保護者から混乱や怒りの声が上がるのは当然です。事故からバリケード設置を原則廃止とするまでのおよそ4年間、誰とどのような検討をしてきたのでしょうか。お答えください。


 文科省、国交省、警視庁発令の通学路の交通安全の確保に向けた着実かつ効果的な取組の推進についてでは、各地域において定期的な合同点検の実施や対策の改善、充実等の取組を継続して推進することが重要であるとし、推進体制の構成は通学路における安全対策の関係機関となる教育委員会、学校、PTA、警察、道路管理者を含めることを基本とし、必要に応じて自治会代表者や学識経験者などを加え、推進体制は市区町村単位で構成することが望ましいとされています。しかし、区は、バリケードの管理責任は区や警察ではなく、設置管理者にあるとし、保護者や地域任せにしています。バリケード設置の管理責任が個人に問われることになれば、ちゅうちょせざるを得ません。だからこそ、登下校時の子どもの安全を守るためには、行政が責任を負うべきではありませんか。区の責任管理を明確にし、希望する地域でバリケードが設置できるよう求めます。見解を伺います。

6、中丸町・南町地域に図書館設置を求めて


 最後に、中丸町・南町地域に図書館設置を求めて質問します。
 中丸町・南町地域は半径1キロメートルの図書館サービス圏域から離れた空白地域とされ、長い間、住民から図書館設置が求められてきた地域の一つです。新年度、南町の無印良品駐車場、志村三丁目のグリーンカレッジへ図書資料の返却ポスト設置予算が計上されたことは重要です。一方、検索、予約、受取りなどの仕組みは、いまだ構築されていません。
 区は、2022年度から電子図書サービスや音楽配信サービスなど図書館まで来なくても読書が可能となる非来館型のサービスを新たに開始し、利用促進を図っていると言います。しかし、自由に読みたい本を探す、実際に本を手に取って読んで楽しむということには代えられません。また、デジタル機能に対応できない方、高齢の方など享受できない方もおられます。公立図書館は、住民の生活、職業、生存と精神的自由度に深く関わる機関であり、住民の知る自由を保障することが重要な責務であるとされています。区が、板橋区子ども読書活動推進計画2025において、図書館は自由に読みたい本を選び、調べ学習に必要な資料が備わっている子どもたちの読書活動を推進するための重要な場所としていることからも、空白地域への課題に対する本気の対策が求められます。改めて中丸町・南町地域に図書館を設置するよう求めます。中丸町・南町地域から比較的近いとされる氷川図書館までは、登り坂があり、川越街道を渡り、徒歩で20分以上、高齢の方では30分ほどかかるため、豊島区の図書館を利用しているとの声も多く、住民の知る権利をどう広く享受していくかが問われています。少なくとも図書館が設置されるまでの当面の間、近隣の熊野地域センター、中丸集会所などの公共施設で本の検索、予約、貸出し、受取りができる仕組みの構築を求めますが、いかがでしょうか。

 以上で、私の一般質問を終わります。

◎区長(坂本健) 

それでは、山内えり 議員の一般質問にお答えいたします。


 最初は、日米共同宣言についてのご質問であります。本年 4月の日米共同宣言においては、国際社会の平和と安定に向けました日米間のグローバル・パートナーシップの強化が表明されておりまして、安全保障協力により抑止力と対処力を高めていく方針が示されております。新たな日米同盟におきましても、自衛隊は、憲法が掲げる恒久平和主義と国際協調主義を遵守し、日本国内法令に基づき行動することを政府は明言しておりまして、私も同様に考えているところであります。


 続いて、除外申請についてのご質問であります。自衛官募集対象者への除外申請制度の周知につきましては、広報いたばし、区ホームページ、SNSによる情報発信や区内学校への周知等様々な方法で実施しております。また、除外申請の手続は、窓口申請に加えまして不正申請の防止と個人情報の保護を徹底した上でオンラインや郵送による方法を追加し、利便性の向上に努めているところでございます。このように除外申請制度の周知及び申請方法につきましては、改善をしながら効果的に実施していると考えていることから、現在の方法を継続してまいりたいと考えております。


 続いて、名簿の提供についてのご質問であります。自衛官募集事務は、法定受託事務でありまして、自衛隊法令に基づく防衛大臣の求めに応じて、板橋区個人情報保護審議会の答申も踏まえて、令和 5年1月から、紙媒体で適切に情報を提供しているものであります。情報提供を望まない人の意向を尊重する除外申請の仕組みを設けるとともに、個人情報の厳重管理に関する覚書を締結した上で実施しておりまして、名簿提供についての方針に変わりはないとこところであります。
 次は、台湾地震のような迅速な対応についてのご質問であります。台湾地震における避難所開設や運営については承知しておりますが、被災の規模やライフラインの状況、避難所の運営体制など一概に日本と比較するのは難しいと考えております。区としましては、避難生活に必要な物資を各避難所に備蓄しておりまして、台湾地震での対応を研究しながら、引き続き避難所開設の迅速化及び避難所生活の環境改善に取り組んでまいりたいと考えております。


 続いて、国への要望についてのご質問であります。被災者の権利と被災者支援の最低基準を定めた国際基準でありますスフィア基準を踏まえて、避難所の環境整備に努めていくことは重要な視点であると認識しております。区では、災害関連死を防ぐことや避難所環境の向上を目的に構築しました広域避難について、必要経費の財源確保を国に要望しておりまして、今後も継続的に要望していく考えであります。


 次に、避難所におけるプライバシーの保障についてのご質問であります。プライバシーの確保を図るためには、各避難所に備蓄している間仕切りは、まずは配慮が必要な方から優先的に使用していただく想定であります。また、事業者との協定によって紙管と布を用いた簡易間仕切りも提供されることになっておりまして、プライバシーに配慮した避難所運営ができるように努めているところでございます。


 続いて、支援物資の供給についてのご質問であります。能登半島地震や過去の震災等の教訓から、区民の生命・財産を守るために防災用品等配付事業を計画しております。防災用品のカタログには、感震ブレーカーや家具転倒防止器具、携帯トイレなどの防災用品を掲載し、各世帯の実情に合った防災用品を選択できるようにする予定であります。携帯トイレの全世帯への配付につきましては、防災用品等配付事業の実施によりまして、おおむね達成できると考えておりまして、携帯トイレの備蓄の重要性をさらに啓発していきたいと考えております。


 次は、大山駅周辺地区のまちづくりについてのご質問であります。区は、大山駅周辺地区のまちづくりについて、防災性の向上やにぎわいのある安心・安全な町を実現するため、地域住民などのご意見を伺いながら事業を進めております。また、この地区における各事業の概要やスケジュールなどを取りまとめ、全体像を示したパンフレットを毎年更新して、地区内への全戸配付も行っております。さらに区役所ギャラリーモールでのパネル展の開催も行っておりまして、今後もまちづくりの状況について引き続き積極的な情報発信を実施してまいりたいと考えております。


 続いて、高島平のまちづくりに関連いたしまして、住民の移転先についてのご質問であります。区は、高島平地域交流核形成まちづくりプランにおいて、再整備地区の区有地の一部をURの団地再生に活用し、居住の安定に資する住宅等を配置する方針を示しております。再整備地区における建物の整備につきましては、住宅の戸数を含めて具体的な計画は現在なく、今後URにおいて検討が進められていくものと認識しております。区は、UR団地の建て替えに対しまして直接的に関与するものではありませんが、居住の安定に配慮した検討や居住者への丁寧な対応を行うようにURに引き続き求めていきたいと考えております。


 続いて、地区計画の検討方法についてのご質問であります。区は、まちづくりプランにおいて、交流核の形成に向けた実現方法の1つとしまして、地区計画による良好なまちの誘導を掲げておりまして、地区計画の区域や誘導のイメージを示したところでございます。プラン策定では、2年にわたる検討期間において住民説明会やまちづくり連絡会、パブリックコメント等を実施しながら、多くの方々の意見を伺ってきたところでございます。高島平のまちづくりでは、区が指導的な役割を果たし、方向性を明確にすべきものと考えておりまして、今後も適切に住民意見を伺いながら地区計画の策定を進めていきたいと考えております。


 次は、訪問介護事業所の実態把握についてのご質問であります。訪問介護事業所は、介護サービスの利用者が訪れることが想定されていないために、雑居ビルや集合住宅の一画に設けられ、目立たないような事例もございます。また、事業所の休廃止につきましては、指定権者である区への届出が定められておりまして、継続的に把握しております。収益の減少に起因する介護事業所の休廃止が顕著に増えるような傾向は、現在確認がされていないところでございます。


 続いて、訪問介護事業所の実態調査についてのご質問であります。区は、定期的に介護サービス事業所調査を実施しておりまして、継続的に介護事業所の現状把握が行われております。事業所に対する調査をさらに追加して実施する予定はございませんが、今後もこの調査をはじめ様々な機会を捉えて、事業所の状況把握に努めていきたいと考えております。


 次は、運営補助についてのご質問です。令和6年度の介護報酬改定においては、約2.1%の引下げとなった訪問介護基本報酬を除きまして、全体においては約1.5%の引上げがなされております。また、全介護職員の処遇改善加算が引き上げられている中において、特に訪問介護事業については、約2.1%の引上げがなされております。基本報酬と処遇改善加算の合計ではプラスとなっておりまして、新たな補助金制度を創設する必要性は現在ないものと考えております。


 続いて、抜本的な介護報酬の引上げについてのご質問であります。訪問介護報酬の改定は、他の介護事業に比べまして利益率や人件費率が高いという調査結果から、改定後も利益を確保できるとする国の考えがあったものと認識しております。これらの改定は、今年4月から6月にかけまして実施されるものでありまして、今後事業所の運営への影響を引き続き把握してまいりたいと考えています。このことから、現在国に対しまして介護報酬の引上げ等の要望を区として出す考えはないところでございます。


 次は、スクールゾーンのバリケードに関する区の認識についてのご質問であります。スクールゾーンのバリケードは、交通安全対策のための補助設備として警察を通じて配布され、地域の皆さんが子どもたちの安全を守るために活用されてきたと認識しております。


 最後のご質問です。検討経過についてのご質問であります。令和2年6月に発生した事故を踏まえて警察と協議し、管理責任を明確にした上で要望者へ配布するよう令和2年12月に区から警察に要請いたしました。しかしながら、道路脇に保管されているバリケードが強風で飛ばされるなどの事故には至ってないものの、その後も不適切な保管が見受けられました。このため区と警察で再度協議を行いまして、令和5年12月に原則廃止の方針を固め、区立小学校月例校長連絡会において説明した上で、PTAも参加する板橋区通学路安全推進連絡会などで説明してまいりました。


 残りました教育委員会に関する答弁は、教育長から行います。

◎教育長(中川修一) 

 それでは、山内えり議員の教育委員会に関する一般質問にお答えします。


 初めに、教員不足の要因についてのご質問ですが、区立小中学校に勤務する正規教員の任命権は東京都教育委員会にありますが、教員不足については、東京都全体で非常に厳しい状況にあります。


 令和6年4月1日現在、区立小中学校では学級担任の欠員は生じていないものの、加配教員である算数少人数担当等に欠員が生じています。教員不足が生じた要因としましては、普通退職と病気休職の教員が増えたことや教員採用選考合格者の辞退が増加したことが考えられます。


 次に、教員の定数増に係る国・東京都への要望についてのご質問ですが、35人学級や小学校高学年における教科担任制を確実に推進するため、全国市長会を通じて教職員の配置の充実を図るよう国に求めています。また、教員の定数につきましては、特別区教育長会を通じて現行の教職員定数配当基準の見直しや、小中学校講師時数算定基準にかかる週当たりの持ち時数の削減を東京都へ要望しております。


 次に、教員不足の解決に向けた教育委員会の体制についてのご質問ですが、正規教員の定数は、公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律に基づいて東京都が定めています。正規教員に欠員が生じたときには、東京都の任用である臨時的任用教員や時間講師での充足を進めています。さらに区独自で学力向上専門員や学校生活支援員など学校を支援する人材を採用し、児童・生徒の指導体制の確保に努めているところです。


 次に、保護者負担の軽減を求めてというご質問については、憲法で規定する義務教育の無償とは、授業料の不徴収と解するのが通例であり、また教科書無償措置法等の個別法により教科書は無償となっております。学用品に関し費用負担を求めることは義務教育無償の原則に反しないことではありますが、学用品の無償化については、現在の就学援助制度を継続しつつ国や東京都の動向を注視していきます。


 次に、スクールゾーンのバリケードに関して、バリケードの管理責任についてのご質問ですが、区は、通学路の安全についてガードレール設置等のハード面の整備、学童養護員の配置や警察による交通違反取締り強化等のソフト面の対策など総合的な対策を実施しています。一方、バリケードの管理責任は区や警察ではなく、あくまで地域の使用者にあるため、設置を希望する場合は責任者を明確にし、一定の管理条件が守られれば引き続き設置は可能としています。なお、バリケードを廃止する場合の安全対策として、スクールゾーンの道路表示や注意喚起用の幕を電柱に設置するほか、警察と連携しパトロールの強化を図っております。


 次に、中丸町・南町地域に図書館設置を求めてのご質問ですが、区立図書館については、ボローニャ絵本館を併設する中央図書館のほか10の地域図書館があり、11か所12館を配置しています。区立図書館の配置数として区の人口や面積などに対して現状の図書館の数は妥当であると考えており、新たに設置する予定はございません。


 最後に図書館機能の構築についてのご質問ですが、中丸町・南町地域に新たに図書の検索・予約受取機能を備えることは、場所の確保や機器の設置、図書資料管理に要する人員やコストなどの事情により困難であると考えます。図書館の圏域から離れた地域へのサービスにつきましては、中丸町・南町のみならず区全体のバランスや各地域の特性などを考慮し、引き続き検討してまいります。
 

 頂きました教育に関するご質問の答弁は以上でございます。

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