医療機関の事業と経営維持のための補助金等の財政支援を求める請願に賛成する討論

 ただいまから日本共産党板橋区議会議員団を代表し、請願第1号 医療機関の事業と経営維持のための補助金等の財政支援を求める請願に賛成し、討論を行います。

 本請願は、長く板橋区の地域医療を支えてきた区内主要病院の賛同を得て提出されており、地域医療を守るために医療機関の苦しい経営状況を把握すること、東京都に対して財政支援措置を行うよう意見書を提出すること、区として財政支援を行うこと、病院の建て替えや改修工事等への補填の充実を求めるものです。

 請願に賛成する第一の理由は、地域の医療機関を守ることは最も身近な自治体である板橋区の責務だからです。

 板橋区は、医療機関が多い自治体です。公的病院や大学病院もあり、「なにかあったら、このへんは○○病院に行けばいい」と思えることは、区民にとって非常に安心感があります。だからこそ区民の医療を受ける権利が保障され、安心安全の気持ちに繋がり、「子育てしやすい街ランキング」において上位をとれている、という指摘もあります。区内にはクリニックも多くあり、今年度は12月までの時点で新規開設の診療所等は15件あったということで、これは病床数の多い病院があることで地域医療のネットワークが生まれているからこそです。

 しかし本請願に添付されたアンケートによると、病院の経営状況について「赤字」であると答えている病院が複数あり、資金繰りの状況について「厳しい」と答えている病院が半数を超えています。さらに「診療報酬の再改定、補助金等の財政措置」を望む意見や、「医療・介護事業にアクセスしやすいよう自己負担の引き下げ」を求める意見が上げられています。区内で1つでも廃院が起きてしまえば、その地域の区民にとっては大きな損失です。板橋区の病院を経営の悪化で倒産させないために、まずは区が実態を把握すべきです。国は、昨年度から医療法人の経営状況に関する調査を開始しましたが、区民の健康を守るために、区はより詳細に調査し対策をとるべきです。

 請願に賛成する第二の理由は、現状の支援制度では不十分だからです。

 請願に反対した委員からは、東京都が新規で地域医療確保緊急支援事業を始めたことや既に東京都にはいくつかの補助があるという意見がありましたが、東京都の支援があっても、武蔵野市では、突然、医師たちが三か月後の診療休止を告げられるような事態が起きています。また2025年度に都があらたにはじめる支援は1病床580円にしかならず、物価高騰対策とすらいえないものです。

 昨年9月には、日本病院会、全日本病院協会、日本医療法人協会の3病院団体が「病院経営の危機的状況に対する救済措置・財政支援の要望」を行い、病院は深刻な経営不振の状況に陥っており地域医療に少なからず影響がでる恐れが多いと訴えています。同時期に、東京都医師会も都に対し、都独自の入院基本料の創設を提案しています。記者会見のなかでは理事のひとりから「特殊な医療事情を抱える東京では、中小民間病院が地域で元気に役割を果たしていくことが必要不可欠」と訴えがありました。都の医療機関への支援では足らないことのあらわれであり、東京都に十分な支援を求める意見書を提出すべきです。

 請願に賛成する第三の理由は、板橋の医療を長年支えてきた区内の病院が、いま施設の建替え時期を迎えているにも関わらず物価高騰の影響で計画がすすめられずにいるからです。1980年代頃に建設または増築された病院建物は築40年以上が経過し、旧耐震基準の問題を含めて老朽化がすすんでいます。しかし建築費が高騰し、新築どころか改築・改修の資金すら捻出できない状況が多くの医療機関でみられています。黒字であっても、医療機能を維持する施設の更新が不可能となる事態もうまれています。この課題にいますぐ区として手を打つべきです。

 委員会質疑のなかで、2023年度に地元の医師会から板橋区に物価高騰に対する支援を要望したところ、東京都のわずかばかりの助成があることを理由に断ったことが明らかになりました。本請願だけでなく、地域医療機関は声をあげ要望を届けています。この声に応えることが、地域医療をまもり、区民の福祉向上につながるのではないでしょうか。23区でも墨田区、北区では医療機関への支援が行われています。板橋区として医療機関の事業継続と経営維持のための財政支援を行うことを強く求め、私の討論を終わります。

一覧へ

検索