2026年度当初予算に反対する討論

 ただいまより、日本共産党板橋区議会議員団を代表し、議案第1号「2026年度東京都板橋区一般会計予算」、議案第2号「同国民健康保険事業特別会計予算」、議案第3号「同介護保険事業特別会計予算」、議案第4号「同後期高齢者医療事業特別会計予算」、議案第5号「同東武東上線連続立体化事業特別会計予算」に反対する立場から、また、議案第35号「同一般会計予算に対する修正動議」に賛成する立場から討論を行います。

 板橋区の新年度の予算案の特徴は、一般会計予算が、初めて3000億円を超え、財政調整基金をはじめ基金総額が1600億円にのぼる勢いとなっています。

2026年2月時点で、厚生労働省の「毎月勤労統計調査」に基づく実質賃金は前年同月比で依然マイナスとなっています。名目賃金は上昇しているものの、エネルギーや食料品を中心とした物価上昇がそれを上回っており、労働者の購買力は十分に改善していません

 また、中小業者は、インボイスの導入による消費税の新たな増税に借金をしてしのがなければならない状況が続いています。今ほど地方自治体が住民の命と暮らしを守るための本来の役割を発揮しなければならないときはありません。2026年度は、今後10年間の方向性を示す板橋区基本構想の最初の年であり、板橋区の新年度予算は、そうした区民生活の要請に応えるものになっているでしょうか。

 

 新年度予算案に反対する第一の理由は、物価高騰対策が不十分で、区民生活の困難を支えるどころか、新たな負担を押し付ける予算となっていることです。

 産業経済の下支えが必要な時に、もともと低すぎる産業経済費は、5億2500万円減で、前年度比0.3ポイントもマイナスです。令和7年度の「業績改善支援融資」が見込みの900件を大幅に下回り100件程度となったことを理由に、新年度は事業そのものを廃止するとしています。融資制度の利用件数が下回ったのは、「返す見通し」が持てないほど経済状況が悪化していることの現われであり、融資だけではなく、家賃やリース代など固定費への直接支援こそ必要です。それどころか、区が「消費喚起」と位置付けてきたいたばしPayの還元率さえも引き下げていくとしていることは問題です。4月末から区民に対し1万円のギフトカードが配布されることになりましたが、これだけでは、区民生活を直接的に支える支援は不十分です。長引く物価高騰に苦しむ区民生活の困難に寄り添う予算に増額すべきです。

 家賃高騰で生活の基盤となる住まいを失いかねない事態となる中、新年度から10年間の計画である区の「住まいの未来ビジョン2035」には、住民要求の高い「家賃助成」や「公営住宅の増設」はなく、新年度予算案にも盛り込まれていません。

それどころか「公営住宅は現状の戸数を維持し増やさない」という方針に縛られ、高倍率の申し込みの実態に目を向けようともせず、高齢者住宅も廃止することが前提です。区の新規事業の「連携」や「相談」といった取り組みも重要ですが、住まいを確保できない人に届く公営住宅の増設と家賃助成こそ必要です。

 高齢者の新たな生活支援策も全く不十分です。昨年度行ったエアコンのない高齢者世帯への設置費用が盛り込まれませんでした。また、インフルエンザワクチン接種助成や補聴器購入助成、敬老入浴事業も、23区の水準から大きく立ち遅れています。高齢者の外出支援に東京都のシルバーパスの購入費用への上乗せ助成を開始している自治体もありますが、板橋区はまったく冷たい姿勢です。

 区営自転車駐車場は、受託事業者との仕様書には「高齢者就労の促進」と謳っているにも関わらず、高齢者の就労人数も、就労時間の減少の実態も把握しない対応は問題です。都市建設分科会で「高齢者の就労人数は減少している」と答弁したことは、仕様書で約束したことが実行されていないということに他なりません。介護保険特別会計の地域支援事業予算が大きく減額になっています。重層的支援体制構築のために、地域包括支援センターの経費などが特別会計から一般会計に移されたためですが、地域包括支援センターの人員確保や体制強化の方向は示されていません。介護給付費準備基金には13億円積み上げて、基金残高は41億円にもなり、高い保険料を取り続けている責任は重大です。計画の途中でも保険料の軽減を行うべきです。

 非正規労働者や自営業者が加入する国民健康保険では、子どもの数に応じてかかる均等割額について、独自に減免する自治体が増えています。政府からも2027年度から18歳までの均等割りの負担軽減を実施する方向が示されました。板橋区においても、国に先駆けて18歳までの均等割の負担軽減をおこなうべきです。

 反対する第2の理由は、公的責任を果たす人員配置になっていないからです。都の第一子保育料無償化の影響で、今年4月の待機児童数が増加する見込みです。令和4年度から実質待機児童数はゼロになっていましたが、2025年4月には実質待機児童数が7人、希望する園に入れていない入所保留者数区が259人です。

 今年4月の入所保留者は、500人を超える見込みです。

 区は、この間、新しく保育所を増やすことについて慎重な姿勢を示してきましたが、これ以上の待機児童を生み出さないために施設増の方針に変えるべきです。

 南部、北部土木サービスセンターは、退職不補充の方針のまま、新たな現業職員の雇用が行われず、2025年度から3つの班の1つに委託を導入し、2026年度はさらに2つ目の班の委託化で、正規職員4人、会計年度任用職員を4人減らします。土木サービスセンターは区道や区立公園の管理を担い、災害時などの臨時対応も多く、区職員でなければ対応できないことも少なくありません。すでに、23区でも新たに現業職員の新規採用を開始している区も増えています。板橋区でも現業職員の新規採用に踏み出すべきです。

 戸籍住民課では、ふりがな制度に係る業務増、外国人増に伴うコミニケーション時間増、マイナンバーカードの更新に係る業務増などより、会計年度任用職員は、戸籍係で5人純増となっています。多言語対応できる通訳の常駐や正規職員を増配置し、業務量増に応じた職員配置をすべきです。

 過労死ラインの月80時間を超える超過勤務者がゼロにならない事態が改善されず、障害者法定雇用率が目標に達しないのは、適切な人員配置が行われていないことの表れです。また、男女平等の視点からも、女性管理職が増えていないことや会計年度任用職員の8割を女性が占めており、女性の低賃金が改善されていません。

 福祉避難所について。板橋区は、約60ヶ所の民間施設と現在協定を結んでいます。しかし、区の避難者の想定人数は2600人とされていますが、約1900人分しか設置されていません。さらに福祉避難所の協定を結んでいる事業者が、災害時にどのぐらいスタッフを確保できるかも把握していません。その一方で、区が直接開設できる福祉避難所を設置することと合わせて人材を確保することについて否定的な考えを示していることは、いつ起きてもおかしくない災害への備えは不十分であり、自助・共助を中心とした考え方も改めるべきです。

 反対する第3の理由は、教育現場の職員体制を会計年度任用職員に頼っているからです。

当初予算では、学校生活支援員の増員や有償ボランティアである小1サポーターがはじまることになっていますが、いずれも会計年度任用職員です。

 不登校児童生徒数は、1000人を超え、また児童生徒たちの背景は多様になっており、現場では丁寧な対応が求められています。

子 どもと家庭に寄り添い、責任ある対応を取るためには単年度雇用ではなく、区費で無期雇用とするべきです。

 区費教員の採用はすぐには難しいとしても、少なくとも、カウンセラーや支援員といった職を正規雇用とするべきです。

 

 反対する第4の理由は、まちづくりや公共施設の再整備計画が住民不在で進められていることです。

 東武東上線立体化における、用地取得は事業認可から4年が経過しても56画地のうち、わずか2画地に留まっています。それは、住民合意が進んでいないことの現われです。にもかかわらず、東武東上線連続立体化事業特別会計には、予算の段階で「土地収用」が発生した場合の手数料が計上されていることは問題です。合意がないまま土地収用の準備を進める姿勢は改めるべきです。

 板橋駅西口駅前整備計画における区道廃止や上板橋駅南口の駅エスカレーターの設置をしないこと、通学路における信号の設置をしないことなど住民要求に応えない姿勢のまま計画を進めることは問題です。また、高島平のまちづくりは、グランドデザイン改定や駅前拠点エリア公共空間設計などが予算に盛り込まれているものの、そのほとんどが委託によるもので、住民の意見をどのように聞いていくのかその具体化は示されていません。住民とともにつくるまちづくりへ転換すべきです。

 区は、まなぽーと大原を、旧板橋第4中学校へ集約する方針を示しました。まなぽーと大原では、現在、若者から高齢者まで133団体が登録し、活動をしています。今後、登録団体のみなさんとともに施設のあり方を考えていくべきです。旧板橋第4中学校の跡地に移転されれば遠距離となり「事実上、活動停止するしかない」という声も上がっています。まなぽーと大原は現地での建て替えをおこなうべきです。

 また、新年度、2ヶ所の集会所をなくす計画を示したことは重大です。区は、高齢者の居場所も地域コミュニティの場も集約・複合化の視点で減らし、区民の利便性が後退しています。公共施設は、集約統合ではなく、増やす方向に転換すべきです。

 反対する第5の理由は、基金ため込み優先の財政運営が継続していることです。

 近年では、毎年100億円以上の基金を積みあげ、2000億円を超えても、さらに積みあげる可能性を区は否定していません。

 基本計画の財政運営方針では、「安易に支出を増やすことなく、基金の積み立てを積極的におこなう」とまで述べています。

 一方で、予算審査特別委員会では、他会派の議員からも「行政は、ため込むことが仕事ではない」と発言がありました。職員削減と徹底した委託化の推進、施設の集約化、受益者負担を区民に押し付ける一方で、基金の積み上げを最優先にする姿勢は「未来創造」どころか、一層の区政の硬直化を招くものです。今、必要なことは、基金を積み上げるという考えを改め、区民ひとりひとりが、安心して板橋区に住み続けられるためにも、暮らしをささえるために使うことです。

 最後に、日本共産党区議団提出の予算修正提案についてです。内容は、公共施設へのウォーターサーバー等の設置拡充、ひとり親家庭総合支援家事援護者派遣事業の拡充、高齢者エアコン設置助成、高齢者補聴器購入費助成費拡充、若者単身及び高齢単身への家賃助成、敬老入浴事業の拡充、修学旅行費の無償化、総計約9億5000万円の修正です。一般会計予算の0.3%でできるものです。議員各位におかれましては、議員の議案提案権に基づく予算修正の意義を十分にご理解いただき、ご賛同いただきたいと思います。 

 また、本年3月をもって退職されます区職員の皆様の長年のご苦労に、心から感謝を申し上げます。本当にありがとうございました。 

 以上をもちまして、私の討論を終わります。

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