ただいまから、日本共産党板橋区議会議員団を代表して、議案第36号 東京都板橋区国民健康保険条例の一部を改正する条例について、委員会決定「原案可決」に反対する立場から討論を行います。
本議案は、2026年度の国民健康保険料を引き上げるためのものです。この改正により、板橋区における新年度の一人当たりの保険料は163187円となり、前年度比で6451円もの値上げです。また賦課限度額は、4万円引き上がり、113万円になります。
本議案に反対する第一の理由は、物価高騰がおさまらず、賃金や年金の引き上げが、物価高騰に追いつかない状況が続く中で、国保料の値上げは、被保険者の暮らしを脅かすものになり、滞納者を生み、医療に係る機会を遠ざけ、医療費増大につながるという悪循環を作り出すものになるからです。
板橋区の国保の加入者は、令和8年2月現在で、105003人です。その内、所得階層で200万円以下の人は83941人で80%、300万円以下の人は9人で88%となっています。多くが低所得者です。
しかも、保険料はほぼ年収の1割を占め、他の社会保険と比べてもあまりにも高すぎるものになっています。給与所得、年収400万円の65歳未満3人世帯、世帯主40才、配偶者40才で収入無し、子ども10才の世帯の場合、国民健康保険料は、今回の改定で、519646円から538079円へと18533円もの値上げとなります。年間保険料は、収入の13%を占めます。同じ条件の世帯で、協会けんぽの場合、保険料は264127円で、国保の半分以下です。
さらに、今回の値上げにおいては、値上げ幅の6,451円のうち、基礎分は▲476円です。これに、後期高齢者支援金分1182円、介護納付金分2370円、さらに子ども・子育て支援金分3375円が純増となり、合計で6451円となったものです。国保加入者の医療費だけを見れば値上げの必要がなかったということ、引き下げることができたということも指摘しておきます。
高すぎる国民健康保険料は、引き下げこそ必要であり、値上げなど絶対にすべきではありません。
第二の理由は、「子ども・子育て支援金」の導入は認められないからです。「子ども・子育て支援金」は「社会全体で子育て世帯を支える」という掛け声のもと、児童手当の拡充やこども誰でも通園制度などに必要な費用1兆3000億円を、被用者保険、国民健康保険、後期高齢者医療制度の保険料に上乗せして調達するものです。そもそも、公的医療保険制度は、国民の医療にかかる権利を保障することが役割です。その保険料に医療給付とは全く関係のない費用を上乗せするなど認められるものではありません。医療保険制度で子育て費用を賄うことになれば、支援を拡充しようとすれば保険料を上げざるを得なくなり、その範囲内でしか拡充はできないというジレンマに陥らせるものになります。「異次元の少子化対策」を進めると言うなら、政府の財政支出を抜本的に増やすべきであり、実質増税になるようなやり方をすべきではありません。
第三の理由は、東京都が示す納付金の組み入れ率を、2026年度の保険料において100%とし、一般会計からの補填・繰り入れをすべてやめてしまったことにより、公的責任を大きく後退させたからです。
2018年度に納付金制度が導入されて以来、制度改革に伴う保険料負担の急増を回避するために、納付金組み入れ率を、当初94%とし、残りを一般会計からの繰り入れの算入を行ってきました。しかし、毎年1%ずつ引き上げるとし、コロナの感染拡大で、2年間の中断があったものの、今回、2026年度は、とうとう100%にしてしまいました。保険料への影響は1547円の引き上げとなりました。
国民健康保険制度における一般会計からの繰り入れを、保険料の二重取りだという批判がありますが、この指摘は当たりません。なぜなら国民健康保険制度は、日本国憲法第25条に基づく、国民皆保険制度を支える最後の手段だからです。すべての国民の生存権を保障した憲法第25条に基づいて、日本国民は、国民皆保険制度、つまり、保険証1枚あれば、誰でもどこでも医療が受けられるという貴重な制度を作り上げ、維持してきました。高齢者や、働くことが難しい人、自営業、非正規雇用など、経済的に厳しく、より医療を必要としている人たちの医療を受ける権利は、憲法の理念に基づく社会保障の制度として、社会が守らなければならないものなのです。だからこそ、国に対して国庫負担の引き上げを求め、東京都に対しても財政支援を求め、さらに区として、一般会計からの繰り入れを行うことは、自治体ができる最低限の努力でもあり、責任でもあります。
国民健康保険料の負担を軽減するために、国保制度にしかない、収入のない子どもにも保険料を課すという均等割について、ようやく政府も2027年度から18歳までの軽減を実施する方向が示されました。板橋区が独自に前倒しで実施することもできたはずでした。
高すぎる国民健康保険料を引き下げるための、区としての一層の努力を求めて、私の討論を終わります。
