令和元年第3回定例会 討論 かなざき文子議員

発言日: 2019年10月11日

 ただいまより、日本共産党板橋区議会議員団を代表して、陳情第13号「酷暑から命を守る緊急対策を求める陳情」に反対する委員会決定「不採択」に反対して討論を行います。
 本陳情は、高齢者、障がい者、生活保護世帯、就学前の子どもがいる世帯に対して、住まいにエアコンが設置されていない、または壊れて動かなくなっている場合、エアコンの設置費用、あるいは修理費用を助成してほしいという項目と、高齢者、障がい者、低所得者にエアコンの電気代を助成してほしいという2つの対策を求めています。
 委員会の審議の中で、区のほうから、板橋区も含めて10区から国に対して生活保護世帯の夏場にかかる電気代助成として夏季加算を要望したことが報告され、その必要性を区としても感じていることがよくわかりました。しかし同時に、経済的な支援は何ら実施することを区は考えていないことも明らかとなりました。
 陳情に対して不採択とした委員の意見はその1つが「エアコンが嫌いな人もいる、エアコン設置のみが対策とは言えない」というものでした。そもそもエアコンが嫌いな人は申請自体しないと思います。
 不採択とした意見の2つ目が「本陳情は広く世帯をとらえており、区は熱中症対策や予防を行っているので」というものでした。
 区は民生委員による見守り調査を約8万2,000人の高齢者に対して実施し、そのうちひとり暮らし高齢者の見守り訪問を約6,000人に対して行っているとのことです。その際に地域包括支援センターと連携して、個別対応が必要なケースについてはケアを行っているとのことでした。
 しかし、こうした対応・対策を行っていても、今年度7月1日から25日までに熱中症の疑いで救急搬送された方の中に、ケアを行っている方2名が含まれていました。ケアをやっているから十分というものでもなく、さまざまな対策を縦横にとることが必要と考えます。
 不採択の理由として言われた3つ目が「結論的には個人負担ですべき」というものでした。
 経済的に、エアコンを買う費用を捻出できない世帯に対し、自己責任として放置するのではなく、自治体として助成を行い、暑さから住民の命を守る姿勢こそ示すべきではないでしょうか。
 不採択の理由として言われた4つ目が、「所得制限がなく、高額所得も対象となるのは不公平感があるので」というものでした。
 陳情にはエアコンの設置がない場合と限定しており、高額所得者がエアコンを1台も設置していないことは考えにくいと思います。例えば荒川区では、酷暑だった昨年、緊急対策事業として設置助成を実施し、今年度も継続していますが、所得制限はありません。そして助成要件として、一家庭に1台もエアコンの設置がされていないことが前提とされており、高額所得者からの申請による助成の実績はないとのことです。さらに本当にエアコンがないかどうかも確認をしています。荒川区は「所得のある、ないではなく、エアコンを買いたくても買えない状況を、助成により改善することで熱中症が原因となる死亡事故などを防げるならば、自治体としてやるべきと考えた」と話されていました。
 命は皆平等なはずです。お金のあるない、あるいは何らかの事情を抱えていて、エアコンの設置ができない、電気代がかさむので使いたくても使えないという状況を改善、解決することこそ、自治体の使命ではないでしょうか。
 年々、異常な暑さになっています。こうした事態に対応するために、国への要望だけでなく、自治体として、陳情にある緊急対策に踏み切ることを、区議会として板橋区に求めるよう心から訴え、討論を終わります。

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