発言日: 2020年6月4日
引き続き、日本共産党板橋区議会議員団の一般質問を行います。
1 コロナ禍を乗り越えるために
⑴ 長期的視点に立ち、新しい社会のあり方へ
初めに、コロナ禍を乗り越えるために質問いたします。
まず、長期的視点に立ち、新しい社会の在り方への転換についてです。
新型コロナウイルス感染症は、かつて人類が経験したことのないスピードと規模で、瞬く間に世界中に広がり、現代社会の在り方や問題点を突きつけています。今、様々な研究者が、発達した現代社会において、なぜこれほどのパンデミックを引き起こしたのかという要因について分析した報告書を発表しています。その中では、大きな要因として、グローバル化が進み、人とモノの移動が大量かつ素早く行われるようになったこと、また、開発や森林伐採などの環境破壊によって生態系の変化を招いたことと指摘しています。こうした状況は、新型コロナウイルスに限らず、今後も繰り返されると警告しています。新型コロナウイルスの収束、今後も起こり得るパンデミックへの備えを万全に行うためには、今、目の前の現象への対応にとどまらない対策が求められます。政府及び専門家会議は、今後も新型コロナウイルスは絶滅せずに存在し続けることを前提に、長丁場での対応、感染拡大を予防する新しい生活様式、コロナ時代の新たな日常を提起しています。しかし、感染症対策の生活様式への移行を社会や人々に求めるだけでは解決できません。医療・保健衛生・福祉に関する制度の問題、雇用破壊と非正規雇用の急増、消費税増税や国民負担の増大による貧困や格差の拡大など、コロナ禍で改めて浮き彫りになった日本社会の脆弱さこそ見直すべきです。社会構造を根本から見直し、新たな社会の在り方を創造していくことが求められます。
コロナ禍を乗り越え、新たなウイルスにも備えるためには、長期的視点に立った新しい社会の在り方への転換が必要と考えます。区長の認識を伺います。
⑵誰ひとり取り残さないためにジェンダー平等の視点に立った対策を
次に、誰一人取り残さないために、ジェンダー平等の視点に立った対策についてです。
国連が4月23日に発表した報告書では、新型コロナウイルス感染拡大に伴い、世界中で差別や格差が広がっていると指摘しています。国の指導者が新型コロナウイルスを外国人の病気などとし、特定の地域や国の名をつけて呼ぶことなどを例に挙げ、プライバシーの保護を含め、人権への保障を徹底して行うよう各国に勧告しています。国内でも感染者に対する誹謗中傷や、医療従事者をはじめ、エッセンシャルワーカーに対する差別的な発言や対応が一部で行われているとの報道があります。こうした差別を許さないことはもちろん、格差や貧困問題の解決や、全ての人々の人権を保障する姿勢を明確にすべきです。
区として、感染症対策を進めるに当たって、ジェンダー平等の視点に立ち、全ての人々の人権を保障する姿勢を示していただきたいが、いかがでしょうか。区長の認識を伺います。
国連女性機関は、3月下旬に新型コロナ対策のためのチェックリスト、女性と新型コロナとの2つの提言を公表し、4月6日には、さらにDV対策の強化を求める声明を発表しました。日本国内においても、新型コロナに関わる家庭内での事件が複数報じられていますが、社会的なつながりが持てない状況の中では顕在化しづらく、より深刻な事態が広がっている可能性があります。
これまでと同水準の対策にとどまらず、経済的支援、シェルターや保護施設の確保、相談員の拡充など、さらなる対策を図り、周知するべきです。区としての新たな取組について伺います。
ひとり親世帯など、特に支援が必要なケースについての対応は重要な課題です。保護者が感染した場合、子どもはどのように保護・養育されるのか。在宅で介護している人が感染した場合、介護を受けている人はどのように対応するのか。これまで対応が不十分であったのであれば、この機に改善し、日常的なケアができるようにするべきです。
子育てや介護を行っている世帯のうち、育児や介護を担う人がほかにいない場合の対応について、具体的にお答えください。また、居住環境により、自宅での隔離が十分行えない世帯への対応についても併せてお示しください。
⑶区の基本計画及び運営方針の抜本的な見直しを
次に、区の基本計画及び運営方針の抜本的な見直しについてです。
新型コロナウイルス感染症拡大から人々の命を守ることは、政府や自治体の最大の責務です。また、地域の状況に応じて、個々の問題を解決できるのは地方自治体にほかなりません。コロナ禍を受け、十分な対応ができているのか、教訓や課題は何かを洗い出し、改めて行政の在り方を見直すべきではないでしょうか。
区は、今年度は、基本計画2025と、実施計画であるいたばし№1実現プラン2021の中間年に当たることから、№1プラン2021を前倒しで改訂するとしています。改訂の基本的な視点として、52事業を費用対効果の観点から精査する。経費縮減や計画事業費の平準化の可能性を追求、一層のコスト管理、資産の有効活用、受益者負担の徹底が挙げられています。改訂する理由の中で、コロナ禍に触れ、日本経済への深刻な影響とありますが、経済どころか、日々、国民の命や暮らしが脅かされています。そうした認識に立った対策を講じる必要があります。東京都は再開発を含め、不要不急の事業を一旦休止し、収束に力を注ぐようとの通知を出しています。
区としても、№1実現プラン2021の改訂にとどまらず、財政運営方針や人材育成方針を含む区の基本計画について抜本的な見直しが必要と考えます。見解を求めます。
経営革新計画では、行政サービスを量から質に転換し、財務体制の改善を目指すとの理念の下、委託や民営化など、公務のアウトソーシングを拡大してきました。しかし、コロナ禍では、保健所の体制が縮小されてきたことでの弊害が明らかとなり、行政機能が逼迫する状況が指摘されています。また、窓口の委託が行われていますが、今回の時間延長では委託事業者の協力が得られず、区職員の超過勤務などで対応しています。こうした緊急時の対応を迅速にできるかどうかは住民サービスの質を確保する上でも重要な視点です。官製ワーキングプアを生み出し、公としてのノウハウが継承できないなど、様々な問題を広げる官から民へという考え方そのものを見直すべきです。
委託や民営化を推進する姿勢を改めるよう求めます。また、既に委託や民営化が行われた事業についても、公私の格差をなくし、公務労働を担う全ての人々の処遇改善を図るよう求めます。見解を伺います。
今年度は、来年度以降の区施設や事務手続に関する使用料・手数料の在り方について検討する年となっています。私たちは、施設使用料の負担が重いことから、これまでも使用料の算出方法を改めるべきと指摘してきました。今回はさらに、コロナ禍を受け、社会的距離を保つことなど、屋内での活動の在り方を変えていくことが求められています。利用定員数の制限があると1人当たりの負担がさらに重くなり、活動そのものが継続できないことにもなりかねません。使用料・手数料の在り方について、コロナ禍を踏まえ、区民の利用に際し負担が増えないよう見直すことを求めます。併せて検討スケジュールをお示しください。
行政の在り方を問う上で、区職員の育成や確保は大変重要です。区は、人材育成・活用計画の中で、課題を踏まえ、人事制度の整備、業務知識不足の解消、昇任意欲の向上を図るとしています。しかし、なぜこれらの課題が生じるのかという根本的な問題に向き合っているとは思いません。職員アンケートでは、業務量が多いことや慢性的な人手不足との意見が多く寄せられていますが、職員定数は4年連続で同数です。区は、必要な部署への配置を行っていると言いますが、時間外勤務の削減が目標に達しておらず、男性職員の育児休暇取得も広がっていないなど、問題は解決していません。根本的な解決のためには、現在の職員定数の在り方を抜本的に見直すべきです。
そこで伺います。災害時の緊急事態を想定した体制にすることや、特定事業主行動計画で示されている時間外勤務の削減、男性職員の育児休暇取得を完全に実施した場合、人員は何名必要になるのでしょうか。試算していない場合は試算しない理由をお答えください。
2 今こそひとりひとりにゆきとどく教育を
⑴ 休校から考える学校のあり方について
次に、今こそ一人ひとりに行き届く教育を求めて質問します。
まず、休校から考える学校教育の在り方についてです。
区立学校でも3月2日の午後から一斉休校となり、2度の延長を経て、6月1日から登校が始まりました。当面はクラスをグループに分けての分散登校となり、段階を経て通常の運営に切り替えるとしています。今、重要なことは、子どもたちの今の姿をありのまま受け止め、学校を安心できる場所にすることです。これまで経験のない長期間の休校によって、子どもたちの成長や発達に深刻な影響をもたらしていると指摘されています。突然泣き出す、暴力的になった、すぐに怒るなど、子どもたちには変化が起きています。区は、既に宿泊行事や運動会など行事の中止、夏休みの短縮を打ち出し、授業時数確保のために土曜授業の拡大を示しています。もともと、今年度は学習指導要領の改訂により小学校での英語や道徳の教科化など授業時数が増加しています。その内容を今後の学校生活で実施しようとすれば、教職員の負担も増加し、そのしわ寄せは、結局、子どもたちに回ってきます。子どもたちが学校は楽しいと安心して通うことができ、ゆとりを持って学習に臨める環境を整えるべきです。文部科学省は、今年度の時数について、柔軟に対応してよいとする通知を出しています。
教育委員会として、授業時数の見直し、学校行事への支援、そして教室でも物理的距離を確保し、教員が子どもに十分寄り添うことができるよう、少人数学級を実施すべきです。見解を伺います。
また、休校中は家庭での学習として、学年ごとに課題が出されていました。しかし、新しい学年の範囲など、子どもたちでできるものを超えた内容も含まれています。家庭によっては、平日の日中は子どもだけで過ごすケースや、学習スペースが確保できないケースもあるなど、家庭での学習環境には格差があります。そうした状況を踏まえずに、一律的な指導を行うことは、かえって子どもたちや家庭への負担を増大させることにつながります。
教育委員会は、休校中の課題について、1学期の成績に反映させるとしていますが、単元ごとのミニテストを実施するなど理解度を適切に把握し、評価すべきではないでしょうか。特に受験生は3年生の1学期の成績から進路に大きな影響を与えます。評価の方法についても、実態を踏まえた内容とするよう求めます。見解を伺います。
教育委員会や学校からの連絡は、学校緊急メールが活用され、教育委員会からも動画配信やオンライン環境の調査などが通知されました。しかし、全体として教育委員会の動きや考えが見えず、取組も非常に遅いと感じました。オンライン調査の通知があったのは5月8日で、休校から既に2か月以上が経過した上に、オンラインに関する設問は教育委員会の動画を見ているか、ネットを見れるかの2項目だけでした。タブレットなのか、パソコンなのか、スマホなのか、子どもが占有できるのかなどの確認はなく、私のところにも区は双方向をやらないということか、今頃これですかとの声が寄せられました。また、学校だよりでは、夏休みの短縮が示されていたものの、教育委員会のホームページには載っていませんでした。学校再開後のスケジュールについて、教育委員会の方針が示されたのは学校再開の1週間前です。学校が再開したら、毎日行くのか、午前なのか午後なのか、給食はあるのか、学年で違うのかなど、家庭によっては様々な調整が必要になります。全体に関わる内容は、もっと早く示すことができたのではないでしょうか。教育委員会がどのような方針を示しているのか分からず、学校によっても対応が違うこともあり、保護者は困惑しています。
休校中の動きについて、教育委員会として、どのように総括しているのでしょうか。評価をお答えください。また、教育委員会としての基本的な考え方や方向性、学校への通知など、取組状況が分かるよう、ホームページでの情報公開を徹底していただきたい。見解を伺います。
布マスクの着用やマスクの色を限定する、オンライン授業で制服の着用を強制するなど、一部の学校や地域で不適切な指導が行われていると報道されています。区内のある小学校でも、マスクは白との指導を受けたとの相談が寄せられました。このような子どもの権利を侵害する指導が行われないよう、教育委員会としての姿勢を示すべきです。見解を伺います。
⑵特別支援教育について
次に、特別支援教育についてです。
区立小・中学校の特別支援学級、いわゆる固定級に通う子どもたちは、学校再開初日から、基本的には全員が登校することとなっています。3か月にわたる休校は、障がいのある子どもたちにとっても大変なストレスや変化をもたらしています。また、新1年生だけでなく、進級とともに、新たに転入してくる子どもたちもいます。新しい環境に慣れるまで十分な時間が必要です。また、これまでと同じ体制では、子どもたちの変化を受け止め、対応することは簡単ではありません。
社会的距離が適切に取れ、かつクールダウンができる場所、体調不良の際に休養できるスペースの確保などの対策が必要です。そのためにも1クラスの規模、1人当たりの十分なスペースの確保、そして教員の加配を求めます。見解を伺います。
情緒障がいの子どもたちが個別指導を受ける特別支援教室は、学校が始まると、新たに必要とする児童・生徒が増加します。東京都は、年度当初の児童・生徒数で教員の配置を決めていますが、昨年度も年度途中に、児童・生徒10名に対し教員1名の基準が守れない状況が生じています。また、巡回指導で使用する教室について、専用室を確保できていない学校もあります。
教員の配置基準の見直しと併せ、今年度は緊急対応として教員の加配を求めると同時に、専用室の確保についても改善するよう求めます。見解を伺います。
⑶小中一貫教育について
次に、小中一貫教育についてです。
板橋区は、今年度より全校での小中一貫教育をスタートさせました。今年度の大きな変更点として、中学1年生を7年生、2年生を8年生、3年生を9年生と呼称することとしています。教育委員会は、小学生からの継続性を意識づけるためとしていますが、子どもたちは新しい学校生活がようやく始まったところで、保護者や生徒からも違和感がある、今やることかといった声が寄せられています。
教育委員会は、小中一貫教育の目的として中1ギャップの解消を挙げています。しかし、この間の質疑でも明らかなように、そもそも不登校となっている児童・生徒の状況について、教育委員会は正確に把握していません。にもかかわらず、小中一貫教育によって解消されるとの考えはあまりに安易な発想です。全体主義、過重なカリキュラム、実態を反映していない校則など、学校が窮屈になっていないかということこそ見直すべきではないでしょうか。特に、昨年度末から新年度をまたいで約3か月間の休校で、子どもたちも保護者も教職員も通常の生活を送れずに過ごしてきました。こうした状況の中で大きな変化をもたらす制度の実施を行うべきだったのか疑問です。
学年の呼称の変更など、小中一貫教育の実施について見送ることを検討しなかったのでしょうか。お答えください。
志村小学校の建て替えに関わって開かれている協議会の中で、一貫校の設置についての議論が行われています。板橋区では小学校と中学校の学区や地域との関わりが入り組んでおり、一貫教育といっても進学する学校が違うケースが少なくありません。こうした状況の中で、特定の学校を一貫校にすると、越境が増え、周辺校の児童・生徒の減少を招き、さらなる統廃合につながる可能性が生じるなどの懸念があります。一貫校には、小中一体型の義務教育学校や施設併設型、施設分離型の教育校など、幾つかの形態がありますが、それらについて教育上の課題や有効性について、教育委員会としての考え方は示されていません。
一貫校の設置を進めるならば、まず教育委員会としての見解を示し、その必要性や有効性を含めた議論を幅広く行うべきではないでしょうか。見解を伺います。
⑷中学校の教科書選定について
次に、教科書選定についてです。
今年度は、2021年度から中学校で使用する教科書の採択が教育委員会で行われます。現在、採択に向けた選定のための取組が行われていると聞いています。また、6月からは区民向けの教科書展示会が開催される予定です。私たちは子どもたちの学習にとって、よりよい教科書が選択されるよう、教科書展示会の改善や開かれた採択の在り方について要望してきました。
そこで伺います。今年度の教科書展示会はどのように実施されているのでしょうか。教職員向けの展示方法も含めてお答えください。また、教科書選定に当たっては教職員の意見書を十分に反映するよう求めます。見解を伺います。
3 子どもの権利を保障する保育を
⑴コロナ禍における保育の課題と教訓
次に、子どもの権利を保障する保育を求めて質問します。
まず、コロナ禍における保育の課題と教訓についてです。
板橋区は、コロナ禍においても、公私立合わせ、基本的には休園とせず、登園自粛を呼びかけるなど、規模の縮小を図った上で運営を継続しました。保育の現場では、これまで以上の感染症予防対策を実施し、感染の不安を抱えながらも、子どもたちが安心して過ごせるよう力を尽くしています。現在、緊急事態宣言の解除を受け、徐々に登園自粛を緩和しています。一方で、感染のリスクが完全になくなったわけではありません。登園を制限した後の児童数は20%を割り込んだと聞いています。区内では、保育園での感染は確認されていないことからも、現場でどのように保育がなされていたのかを把握し、今後の保育に生かすべきと考えます。
保育士の勤務状況や感染予防対策の取組など、保育の状況について伺います。併せて、登園していない子どもや家庭に対しては、どのような働きかけを行ったのか、お示しください。
登園自粛の家庭からは、自宅での過ごし方について、様々な声が寄せられました。普段より一緒に遊んだり活動する時間が増えたという声がある一方で、子どもの相手や世話をしながらのテレワークは難しい、テレビやスマホを見る時間が増えたなど、保育園での過ごし方との違いに戸惑う声もありました。保育園が働く親のための就労支援という側面だけでなく、子どもの発達や育ちを支えるための保育の実践の場であることを改めて認識します。しかしながら、今の保育園の基準は、子どもの育ちや発達、子どもの権利を最大限に保障する環境とは言えません。保育所の施設や人員配置などを定めている最低基準は1948年に定められたものであり、70年以上経過しても抜本的な改善を図られていません。コロナ禍の下で保育に当たった保育士さんからは子どもに寄り添う時間が増えた、保育にゆとりが持てるとの声が寄せられています。今後も感染症予防対策を続けることが求められています。その取組と併せ、改めて保育の質に目を向けて、抜本的な見直しを図るべきです。
保育園の規模を大きくしないこと、保育士1人当たりの子どもの数を減らすこと、いつでも入園できる保育園にすること、狭い待機児童の考え方を改めることなど、保育の質を引き上げるための見直しを求めます。見解を伺います。
⑵区立保育園の民営化について
次に、区立保育園の民営化についてです。
2017年11月に示された公立保育所の在り方についてでは、公立保育園の役割として、地域の保育施設間のネットワークの中心を担い、板橋の保育をリードし保育内容を充実させるとあります。そのため、区立中学校ごとに設定されている学びのエリアを基本に、新たな枠組みとして育ちのエリアを設定するとなっています。一方で、2019年7月に策定された区立保育所の再整備方針では、区立保育園の園舎が老朽化していること、建て替えなどに経費を要することなどを挙げ、今後は改築又は長寿命化のための改修の際には、原則民営化を検討することが示されています。私たちはこれまでも、区が示した公立保育園の役割を果たすために、どのような課題があるのか、育ちのエリアはどうするのかということを、まず明らかにするべきと求めてきました。それなしに民営化を進めれば、結果的に地域や区全体としての保育の質を守ることができないと考えるからです。現状でも区立園がない地域があり、既存の区立園が多くの私立園との連携を担うことになります。それだけの人員や体制を確保できるのでしょうか。その見通しもなく民営化を進めることは、区が示す区立保育園の在り方とも矛盾します。
(仮称)子ども家庭総合支援センターの開設を機にとしている育ちのエリアの設定について、現在どのように検討されているのでしょうか。検討状況について、詳しくお答えください。
コロナ禍を受け、社会の在り方が問われ、新しい社会への転換が期待されています。子どもを含め、全ての人々の権利を保障し、経済優先から人間らしい生活を目指すとき、公共の役割はさらに重要になります。保育の在り方について、区がその質を示し、公立保育園の役割を果たすことこそが地域の保育力を引き上げることにもつながります。
区立保育園の民営化方針を撤回するよう求めます。見解を伺います。
⑶あいキッズにおける保育
次に、あいキッズにおける保育の在り方についてです。
あいキッズは、突然の休校要請にもかかわらず、休校翌日から利用対象者を限定して全日開所されました。現場では、これまでにない感染予防対策を図りながら、子どもたちの生活を保障するために様々な努力や工夫がなされています。あいキッズは、全児童対策と就労家庭の児童のための事業を校内一体型で運営し、17時から19時までの利用区分を有料としています。今回の対応における利用対象児童は、就労家庭の児童のうち、無料区分かつ帰宅時間を管理するさんさんオレンジの1、2年生と、有料区分のきらきらタイムの1年生から3年生、要支援児など特別な配慮が必要な児童とし、その中でも利用自粛が呼びかけられました。6月1日からは利用自粛は緩和されましたが、利用対象の範囲は制限されています。私たちは、今回の取組を経て、改めてあいキッズでの保育の在り方、学童保育としての役割を見直すべきと考えています。通常でもあいキッズの利用児童の7割以上がきらきら登録の子どもたちです。一方で、きらきら登録をしていない児童の中にも就労家庭の子どもたちがいます。通常でも同様ですが、今のあいキッズの仕組みでは、そうした子どもたちへのケアは除外されてしまいます。登録の仕方、つまり時間区分によって、同じ就労家庭の児童でも対応が違うということが、子どもの発達や育ちにとって健全なのかということを改めて考えていただきたい。
休校に伴うあいキッズでの受入れについて、教育委員会として、どのように評価しているのでしょうか。見解を伺います。
また、現在の環境では、子どもたちの育ちを保障するには不十分です。
正規職員の配置基準を引き上げ、1教室当たりの定員を定めること、不足するスペースを確保すること、体調不良の児童が体を休める場所を確保するため休養室を設置するなど、抜本的な改善を求めます。見解を伺います。
4 障害者権利条約を踏まえた施策の充実を
⑴差別の解消にむけて
次に、障害者権利条約を踏まえた施策の充実を求めて質問します。
まず、差別の解消に向けてです。
障害者権利条約に基づく障害者差別解消法が施行され、今年で4年目となります。法の趣旨に沿った具体的な対策が図られているかが問われています。法律では、障害者手帳を持つ人だけでなく、心身に障がいがあり、障がいや社会障壁によって日常生活に制限を受けている人を対象にしています。国、自治体、民間事業者は、障がいのある人に対して、正当な理由なく障がいを理由に差別することを禁止し、さらに合理的配慮の提供を求めています。それは、障がい者が障がいのない人と同じことができるように、それぞれの障がいに応じて行うものです。民間事業者に対し努力義務にとどめられていることは問題ですが、国や自治体には法的義務が課せられています。一方で、何が差別なのかということについては曖昧なままで、障がい者の意思表示を前提としています。これでは意思表示できない障がい者の差別を明らかにし、解消することはできません。
障がい者の方々が生きるために何が必要で、どのような配慮の提供が必要なのかを行政として検証し、具体的な対策につなげるべきです。そもそも、区は、こうした検証や洗い出しを行っているのでしょうか。お答えください。
⑵福祉園の民営化について
次に、区立福祉園の民営化についてです。
区立福祉園の民営化に関する考え方(案)では、検討の経緯・目的として、区の財政基盤の確立、一般会計に占める福祉費の割合が58%となっていること、保育需要や障がい者自立支援給付費の増加を挙げ、福祉園についても限られた予算で効率的・効果的なサービスの提供が求められているとしています。そして、民営化について、安定的かつ効果的な福祉園運営の手法のひとつとして検討し、その結果、サービス水準の維持・向上が図られる運営手法と位置づけています。しかしながら、委員会での質疑でも、民営化によってサービス水準の維持・向上がどのように図られるのか、そのための財政的な裏づけも含めて、全く明らかになっていません。こうした具体的な内容が示されないまま、各園との協議を進めること自体が大問題です。まず、区として、民営化が望ましいと言うなら、民営化した場合、どのような運営となるのか示すべきです。そこで伺います。
民営化した場合の運営費は、公立の場合と比較し、どのようになるのでしょうか。施設形態や区分などの違いも含めお示しください。
また、運営費や施設費に対する補填は行うのでしょうか。併せて規模についてもお聞きします。
今回のコロナ禍を受け、福祉園でも社会的距離を確保することが求められます。その場合の施設の在り方について検証したのでしょうか。
区立福祉園は、23区でもほとんど民営化されておりません。区立園は民間施設に比べ、重度の方の受入れが多く、公立だからこその役割があります。現在の運営事業者からも、民営化となったら現状の水準を維持できないどころか、運営の継続もできないとの声が寄せられています。
今の区立福祉園でも、障害者差別解消法の趣旨に照らせば、まだまだ改善すべきことがあるはずです。それは民営化で解決するものではなく、公の責任として行うべきです。民営化方針の撤回を改めて求めます。区長の見解を伺います。
5 介護難民を生まないために
次に、介護難民を生まないために質問します。
全国で6,513事業所が加盟する全国介護事業者連盟が行った新型コロナウイルス感染症の経営状況への影響アンケートの第2次調査によると、デイサービスの91%、ショートステイの76%、訪問介護の47%が経営への影響を受けているとの実態が示されています。中には、利用者の減少により5月末に閉鎖するデイサービス事業者も出るなど、介護基盤に大きな影響を及ぼしていることが浮き彫りになっています。影響を受けている事業所は過半数の56%に及び、第1次調査時の49%より増加しており、今後さらに深刻な事態が想定されます。事業所の経営は利用者に直接影響を与えます。サービスが提供できず、必要な介護が受けられないことは何としても避けなくてはなりません。コロナ禍以前より、介護従事者の処遇の低さなどから人材不足が顕在化していました。このコロナ禍は、さらに追い討ちをかけている現状があります。
介護難民を生まないためにも、危機に直面している事業者への特段の支援を実施すべきです。区長の見解をお示しください。
今年度は、第7期介護保険事業計画の最終年度となり、次期となる第8期事業計画の策定年度となっています。さきに述べたように、第8期が始まる来年度はコロナ禍の影響が確実に現れます。
計画策定に当たり、今回現れた課題を踏まえた検討を行うべきです。見解を伺います。
介護保険料は事業計画に合わせ、3年ごとに見直しが行われています。制度開始以来、基準額は上がり続け、第7期では月額5,940円となっています。保険料の算出は介護事業の供給量とリンクしているため、サービスや事業、特養などの施設が増えれば保険料も引き上がるという仕組みになっています。介護保険料を含む社会保険料は年々上がり続け、年金収入200万円の65歳単身世帯でも、介護保険料は2019年度で8万1,900円、税と社会保障全てを含めると21万3,663円にもなります。収入の1割を超える社会保障の負担です。2005年時と比較すると12万4,963円も負担が増加しています。生活の維持さえ困難にする保険料の在り方こそ見直すべきです。
第8期の介護保険料について、準備基金を最大限に活用し、区独自の軽減策も講じて引下げを行うよう求めます。見解を伺います。
6 旧高七小跡地活用とUR建て替え問題
最後に、旧高七小跡地活用とUR建て替え問題について質問します。
新たに策定する高島平地域都市再生実施計画は、高島平地域グランドデザイン策定から4年が経過したことから、策定時と現状の違いを踏まえ、2021年度中に最終的な確定を目指すとしています。区は2015年度時との違いについて、URが示した団地の建て替えを含むストック再生方針を挙げ、URと協定書を締結し、今年度末までの予定で協議を行っているとの報告もありました。一方で、旧高七小は廃校から13年目に入り、区民館をはじめとする周辺公共施設の老朽化はさらに進行しています。区が重点地区と位置づける二丁目、三丁目の高齢化も深刻です。こうした状況は計画策定以前から課題として挙げられており、当時から何ら変わっておりません。地域の声は公共施設の再整備であり、高層住宅やビルの建設ではありません。にもかかわらず、そうした計画策定に時間や予算、労力を割いてきたことが問題です。東京都の依命通達では、コロナ禍を受け、大規模な再開発事業についても一旦休止する事業に挙げています。本計画の策定に当たっては、スケジュールも含め、状況を踏まえた見直しが必要です。
現在のURとの協議の状況と高島平地域都市再生実施計画策定の今後のスケジュールについて伺います。また、コロナ禍を踏まえ、再検討を求めます。見解を伺います。
現在、旧高七小の校舎内では、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を防ぐための施設が設置されています。空き施設や空地があることで、特に今回のような緊急時には迅速な対応が可能であると考えます。区が今年4月に示した板橋区学校跡地利活用基本方針では、防災や地域や子どもの活動などを鑑み、オープンスペースや緑の確保が位置づけられ、企画総務委員会の質疑でも、有効活用には空地も含めるとの答弁がなされました。地域において、学校施設跡地は空地であることも含め貴重な存在です。
旧高七小跡地活用については、公共施設整備と空地の確保を含めた検討を行うよう強く求め、私の一般質問を終わります。
ご清聴ありがとうございました。(拍手する人あり)
◎区長 それでは、竹内 愛議員の一般質問にお答えいたします。
最初は、長期的視点に立ち、新しい社会の在り方へのご質問であります。
新型コロナウイルス感染症は、世界的規模で従来型の社会システムに様々な課題を突きつけていると考えています。感染症拡大前の日常には戻らないと言われる中、セーフティネットの充実、感染症防止と経済社会活動との両立、社会構造の変革などを通じまして、新しい日常が定着する社会の構築が求められていると思います。アフターコロナの時代に安心して暮らせる社会の実現に向けまして、国、東京都と連携をしながら、広域的・長期的な視点において施策の展開を図っていきたいと考えています。
次は、感染症対策を進めるに当たっての区の姿勢についてのご質問であります。
区は従前より、ジェンダー平等をはじめ、人権の保障や差別・貧困の根絶など、SDGsの達成に向けた取組を推進しております。コロナ禍にある現在は、雇い止めの方などを対象とした会計年度任用職員の募集や、医療従事者にエールを送るチラシの掲示、DV相談に関する情報発信など、状況の変化に応じて必要な取組を展開しているところであります。
次は、DV対策の強化に向けた新たな取組についてのご質問であります。
気楽に相談できる仕組みを整えることは、コロナ禍において一層重要であるため、引き続き、あらゆる機会を通して相談窓口の周知に努めていきたいと考えています。シェルターの確保や相談員の拡充などにつきましては、今後の状況を注視し、必要とあれば迅速に対応していきたいと考えています。
次は、介護を担う人が感染した場合の対応についてのご質問であります。
感染者の同居者は濃厚接触者となるため、慎重な健康観察が可能な環境が必要であり、要介護者には入院していただくことが望ましいと考えます。今後、入院が必要な濃厚接触者の受入れをお願いする病院について、医師会等と検討していきたいと思います。自宅隔離はできるだけ避けるべきと考えますので、入院または宿泊療養をしていただくよう、環境の調整にも努めてまいりたいと考えています。
次は、保護者が全員感染した場合の支援についてのご質問であります。
区では、子ども家庭支援センターと健康福祉センターが児童相談所や医療機関などと協議し、まずは保護者が入院している医療機関などでの対応が可能か検討してまいります。同一医療機関などでの対応が困難な場合には、児童相談所の判断を受けて行う一時保護など、子どもの安全を最優先に、適切な対応を図っていきたいと考えています。
次は、基本計画の見直しについてのご質問であります。
新型コロナウイルス感染症対策による区民生活への影響や社会経済環境の変化に対しましては、迅速かつ柔軟に対応していく必要があると考えます。また、来年度から大幅な歳入の減少による厳しい財政運営が想定され、5年後を見通すことが困難な状況においては、長期計画である基本計画を見直すのではなく、№1プラン2021を1年前倒しにおいて改訂することといたしました。改訂に当たりましては、この危機を乗り越えていくための戦略と改革、また、それらを支える財政運営並びに人材の育成・活用に係る基本的な考え方を盛り込んでいく考えであります。
次は、委託や民営化の見直しについてのご質問であります。
委託や民営化は、民間の優れたノウハウを活用し、区民サービスの向上を図るとともに、最適化した財源や人材を新たな行政需要に活用することを目的に実施をするものであります。こうした目的にかなう事業につきましては、引き続き委託や民営化を推進していく考えであります。また、業務委託におきましては、労働関係法令の遵守を求めているとともに、民営化した保育園に対しましては指導検査を実施しており、労働者の処遇については適切な配慮がなされているものと考えています。
続いて、使用料・手数料の在り方についてのご質問であります。
新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた使用料・手数料の在り方につきましては、既に設置しております使用料・手数料検討会の中において検討し、その結果を8月に議会報告をする予定であります。
続いて、職員定数の在り方についてのご質問です。
災害等の緊急事態には、部門間での人員の融通や他自治体等からの支援、委託事業者の活用などによりまして、非常時の優先業務を的確に行っていくこととしております。一方において、超過勤務の削減や男性職員の育児休暇等を完全に実施した場合に必要となる職員数は、試算する条件を定め難いために、そうした条件設定での試算はしていないところであります。先般策定いたしました板橋区働き方改革基本方針に基づきまして、業務の在り方の見直しや改革を推進し、効率的な業務遂行の実現に取り組んでいく考えであります。
次は、コロナ禍における保育についてのご質問であります。
保育園では、強く登園自粛を要請したことによりまして、児童の登園率は2割程度、また、職員は在宅勤務等の出勤抑制を図ったことから5割程度の出勤状況でございました。登園している児童に対しましては、健康管理を徹底するとともに、できる限り3密を避けるなど、感染症対策を取った上で保育を実施してまいりました。また、登園自粛している児童については、いわゆる支援対象児童や配慮が必要な子どもに対しまして、国からの通知に基づく安否確認や、家庭での状況を定期的に確認もいたしました。
次は、保育の質の向上についてのご質問であります。
緊急事態宣言の発出中の保育園の運営状況は、緊急時における特別な対応であり、子どもたちの健全な育成を図っていく上で必ずしも適切な状況でないと認識しています。今後とも感染症予防対策をしっかりと図りつつ、施設の状況や職員配置など、保育の質の確保・向上を総合的に推進していきたいと考えています。
次は、育ちのエリアの検討状況についてのご質問であります。
育ちのエリアは、保育所を含む地域の子育て支援施設間の情報共有や連携体制を構築し、子育て支援の充実による地域の子育て力の向上を図ることを目的に設定するものであります。現在、詳細について検討中でありまして、板橋区公立保育所の在り方についてでお示ししたように、令和3年度をめどに構築を進めていきたいと考えています。
次は、民営化方針についてのご質問であります。
公立保育所の在り方において、今後、老朽化等により、改築または長寿命化改修等が必要になる場合においては、原則、民営化の推進を検討するという方針をお示ししたところであります。公立保育所の老朽化、待機児童対策による保育定員増に伴う財政負担の増大を踏まえますと、現状の公立保育所の規模を維持していくことは困難な状況であります。現在検討中の育ちのエリアとの整合を図り、安定的な保育提供のため、民間活力を活用し、公立保育所の民営化の検討を推進していく考えであります。
次は、障害者権利条約を踏まえた施策の充実に関連いたしまして、差別の解消に向けてのご質問であります。
区では、障がいのある人もない人も、共に育ち、共に働き、共に支え合いながら生きる地域社会の構築を目指し、第5期障がい福祉計画及び第1期障がい児福祉計画に基づく取組を進めております。計画の策定に当たりましては、アンケート調査や団体との意見交換、自立支援協議会による協議などを踏まえ、具体的な対策に向けた検証、洗い出しなどを行っております。現在、令和3年度を始期とする次期計画の策定を進めているために、広く意見を頂戴しながら、障がいのある方に寄り添った取組を位置づけていきたいと考えています。
次は、福祉園の民営化後の運営費についてのご質問であります。
福祉園を民営化した場合、基本的に給付費が満額の支給となるほかに、新たに東京都の補助金が適用されることとなります。運営費はサービス内容に応じて、その規模が異なるため、民営化の内容が固まっていない現在では、詳しい比較を行うことは難しいと考えています。
次は、民営化後の補助についてのご質問であります。
民営化後の福祉園が安定した効果的な運営を行い、サービス水準を維持していく上では、一定の補助が必要と考えています。補助の水準につきましては、現段階でお示しすることは難しいところでありますけれども、民営化後のサービスの内容や国や東京都の支援の枠組みなどを踏まえ、検討を進めていきたいと考えています。
次は、社会的距離を確保した運営についてのご質問であります。
福祉園では、国や東京都の方針を踏まえ、感染防止として3密を避けるなどの対策を行ってまいりました。今後の運営におきましても、感染防止対策を確実に講じていくことが重要であり、現在、運営体制における課題を検証し、取組を進めているところであります。
次は、民営化の撤回についてのご質問であります。
保育園の運営につきましては、今後も法の趣旨を踏まえ、改善に取り組みたいと思います。また、民営化の検討に当たりましては、これまで果たしてまいりました公的責任の在り方について十分検討を行い、安心して利用できる運営体制の構築を目指していきたいと考えています。
次は、介護事業者に対する支援についてのご質問であります。
今般のコロナ禍に伴う事業収入の減に対しましては、国による持続化給付金のほか、区では産業融資の利子補給に優遇加算をする緊急経済対策によって事業者を支援しております。一方、介護人材の不足には、従前の人材の養成・確保を目的とした事業に加え、今年度から介護職員の初任者研修受講料の助成を開始するなど、引き続き支援に努めていきたいと考えています。
次は、コロナ禍で現れた課題を踏まえた検討についてのご質問であります。
従前から介護現場が抱える人材不足につきましては、安定的な介護サービス提供においては重点課題と認識をしておりまして、引き続き第8期計画においても、人材確保に向けた検討を進める予定であります。また、今般の感染症においては、特に高齢者に重症化リスクが高いと言われていることから、高齢者との接触を伴う介護サービスの特徴を踏まえ、現場の課題解決につながる支援を検討する予定であります。さらに、高齢者施設においても、特に特別養護老人ホーム等の入所施設においては事業の休止が極めて困難であるため、感染症陽性者の発生想定を加えた対応も検討していきたいと考えています。
続いて、介護保険料の引下げについてのご質問であります。
高齢者の増加に伴い、要介護・要支援認定者及び介護サービス利用者が増加傾向であることが介護保険料増加の主な要因となっております。区独自の保険料軽減策として、所得段階が第2段階、第3段階の方の保育料軽減は行っているところでありますが、財政的な視点や他区の状況を見据えて、さらなる軽減の可能性を探るものであります。第7期計画期間における保険料基準額算定時と同様に、第8期計画期間におきましても、介護給付費準備基金を活用し、可能な限り保険料の上昇抑制に向けて検討したいと考えています。
次は、旧高七小跡地活用とUR建て替え問題に関連いたしまして、事業のスケジュールと見直しについてのご質問であります。
区は、高島平地域グランドデザインの具現化を図る高島平地域都市再生実施計画について、令和3年度における策定に向け、昨年度から引き続き庁内検討を進めております。また、UR都市機構との間で、まちづくりでの連携に向けた協議を継続的に行っております。高島平地域まちづくり事業は長期継続的な取組が必要であることも考えることから、今後も引き続き事業を進めていく考えであります。
最後のご質問でございます。公共施設整備と空地の確保についてのご質問です。
旧高七小の跡地活用は、高島平地域のまちづくりの状況を踏まえながら、周辺の公共施設が現に有する機能を基本に、文化・交流機能の充実を図る方向で整備を検討しております。空地の確保につきましても、学校跡地利活用基本方針に基づきまして、地域の防災性や多様な活動の場の確保などに配慮をしながら検討していきたいと考えております。
間違えました。すいません。ちょっと訂正をさせてもらいます。
先ほど福祉園の民営化に関する質問において、「保育園の運営について」と申し、答弁いたしましたけれども、正しくは「福祉園の運営について」ということでございます。訂正させていただきます。よろしくお願いいたします。
それでは、残りました教育委員会に関する答弁は教育長から行います。
◎教育長 それでは、竹内 愛議員の教育委員会に関する一般質問にお答えいたします。
初めに、休校から考える学校の在り方に関しまして、少人数学級の実施についてのご質問ですが、少人数学級につきましては、小学校第1学年で35人学級が全国的に実施され、小学校第2学年及び中学校第1学年で東京都が独自に教員を加配しておりますが、区独自に教員を採用することは財政的にも困難な状況であるところです。教育委員会では、教員1人当たりの持ち時間数を明確にすることが教員の数を増やすことにつながると考え、中学校教員の持ち時間数を都立高等学校並みに引き下げるように、また、現状、持ち時間数が設定されていない小学校教員に持ち時間数を設定するよう、教育長会や室課長会を通じて東京都教育委員会に要望を伝えているところです。
次に、休校中の課題の評価についてのご質問ですが、文部科学省は、休校中の課題の評価について、家庭での学習の取組も評価の中に含むことができるとしております。教育委員会では、年間指導計画に位置づいた課題につきましては、学校が児童・生徒の学習内容や成果を確認し、授業で必要な支援を行った上で、できるだけ学習評価に反映するよう、学校へ周知しているところです。
次に、休校中の動きに対する教育委員会の評価についてのご質問ですが、教育委員会では、政府の方針、文部科学省のガイドライン、東京都及び都教委の要請等を踏まえて、学校休業中の学習支援や学校再開に向けた様々な方策を検討し、実施してきたところです。また、先行きが不透明な状況の中で、GIGAスクール構想の前倒しなど急激な変化にも対応しながら、学校や保護者の方へのできる限り速やかな情報提供に努めてきたつもりです。現在、感染症対策を契機とした新たな取組が始まっていると捉えており、ICT活用のスピードアップや学校の新しい生活様式に向けた取組についても的確に進めていく考えであります。
次に、取組状況のホームページでの公開についてのご質問ですが、学校等の臨時休業以降、学校等緊急連絡メールと、これを補完する学校からの個別連絡により、保護者の皆様へ教育委員会の決定事項をお知らせしてまいりました。これと同時に、区のホームページへも掲載し、関連情報とともに周知・案内をしてきたところです。文部科学省等の方針を踏まえた方向性や、教育委員会として決定した共通事項等につきましては、今後も分かりやすい形で適宜ホームページへ掲載し、公開してまいりたいと思います。
次に、子どもの学習権を含む教育を受ける権利を阻害する指導が行われないよう、教育委員会としての姿勢を示すべきとのご質問ですが、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた教育活動につきましては、学校や家庭、地域が連携し、児童・生徒の学びを保障する観点から、柔軟に対応することが重要であると考えます。一方で、学校には児童・生徒が健全な学校生活を営み、よりよく成長・発達していくために、一定の決まりが必要であるとも考えます。教育委員会としては、現在は児童・生徒の健康と安全を守るために新型コロナウイルス感染症防止策を第一に考えて、子どもの教育を受ける権利が阻害されることがないよう、学校に対して継続的に注意喚起や指導を行っていきたいと思います。
次に、特別支援学級の教員の増員についてのご質問ですが、特別支援学級における1学級の児童・生徒の数は東京都の学級編制基準に基づき1学級8人と規定されています。1校当たりの特別支援学級の教員数は、東京都の教職員定数配当方針に基づき、学級数プラス1人を基準として配置されています。区独自に教員を採用することは、財政的にも困難な状況であると考えます。
次に、特別支援教室の教員の増員についてのご質問ですが、区の特別支援教室担当の教員数は東京都の教職員定数配置等方針に基づき、区全体の該当する児童・生徒数を10で除した数を基準とするとあります。区独自に教員を採用することは、財政的にも困難な状況であると考えます。また、専用の特別支援教室につきましては、引き続き児童・生徒数の推移を見ながら、校舎改築の機会も捉えて、確保できるよう努めていきたいと思います。
次に、小中一貫教育の取組についてのご質問ですが、小・中学校では、令和2年4月からの小中一貫教育のスタートに向けて、学びのエリアにおける目指す子ども像や基本方針を設定するとともに、9年間を通した年間指導計画を作成するなど、準備を進めてきたところです。学校が再開され、学びのエリア内で丁寧な引継ぎを行っている7年生、中学1年生については、きめ細やかな支援を行うことができると考えています。新型コロナウイルス感染症防止策を徹底するために、計画の変更・延期・中止などもありますが、質の高い学校教育の実現のために、小中一貫教育を各学校の実態に合わせて進めてまいります。
次に、一貫校への見解を示し、幅広く議論すべきとのご質問ですが、改築期を迎えている志村小学校では、協議会を設置し、施設整備の検討を進めており、志村第四中学校と小中一貫型の学校を設置する方向で検討が進んでおります。小中一貫型の学校の設置につきましては、平成30年4月に議会報告いたしました小中一貫教育に関する報告書において、改築等のタイミングを捉えて検討していくとお示ししましたが、制度類型や施設形態につきましては一般的な内容をお示しするにとどめているところです。小中一貫型の学校整備の考え方につきましては、教育委員会内部で検討を進め、志村小学校と志村第四中学校で設置する協議会や学校現場の意見を踏まえてまとめ、議会にも報告してまいります。
次に、中学校の教科書選定についてのご質問ですが、令和3年度から区立中学校で使用する教科書につきましては、6月2日から19日まで、教員を対象とした学校教科書展示会を区立中学校4校で実施しております。区民を対象とした教科書展示会は、6月2日から25日まで、教科書センターと成増アートギャラリーにおいて、6月8日から12日まで、高島平図書館において実施し、教員も閲覧することができるようになっております。また、中学校教員で構成されている調査委員会や各中学校から提出される調査研究報告書、教科書展示会での区民アンケートは、教育委員会において採択する際の資料として使用してまいります。
次に、休校時に果たしたあいキッズの役割の評価についてのご質問ですが、区立小・中学校の臨時休業に併せ、小学校低学年の子どもや一定の配慮が必要な子どもは1人で過ごすことが困難な場合があるため、当初はきらきら登録の1、2年生等、現在はきらきら登録の1年生から3年生まで等をあいキッズで受け入れているところです。教育委員会としては、区立小・中学校の臨時休業中に、保護者の就労等により、家庭で1人で過ごすことが困難な子どもの居場所を提供することができたと評価しているところです。
最後に、あいキッズの基準見直しと休養室の確保についてのご質問ですが、あいキッズ事業のうち、放課後児童健全育成事業の設備及び運営に関する基準は、東京都板橋区放課後児童健全育成事業の設備及び運営に関する基準を定める条例に規定しています。これらの規定は、放課後児童健全育成事業を安全に実施する上で妥当なものであり、見直す考えはございませんが、学校再開後のあいキッズの運営につきましては、新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点から、十分な配慮を行ってまいりたいと思います。
休養室につきましては、あいキッズ専用のものは持ち合わせておりませんが、引き続き、学校の保健室や休養スペースを借りる形で確保していきたいと思います。
頂きました教育に関する質問の答弁は、以上でございます。