陳情第147号第1項 家賃助成制度創設の件、第2項 住居確保給付金制度改善の件に賛成する討論

 討論日:2021年6月17日

 ただ今から、日本共産党板橋区議会議員団を代表し、陳情第147号第1項 家賃助成制度創設の件、第2項 住居確保給付金制度改善の件に賛成する立場で討論を行います。

 本陳情は、住宅に困窮している人に対し、家賃補助制度の創設及び住居確保給付金制度の支給額の引き上げ、支給要件を抜本的に改善するよう国に意見をあげることを求めるものです。

 賛成する第一の理由は、家賃の支払いに困窮する方が住まいを失わないよう、住居確保給付金の支給額引き上げが必要と考えるからです。

新型コロナウイルスの影響により、10万人を超える方が失業する等雇用の悪化と同時に住まいを失う人が急増しています。特に非正規雇用労働者、とりわけ女性の就業状況は深刻です。

 家賃を払うことが困難となり、住居確保給付金を受給した区民は、コロナ前の令和元年度17人に対し、令和2年度は950人と56倍に激増しています。

 しかし、支給額は生活保護制度の住宅扶助費と同額であり、十分ではありません。現状の家賃との差額分は自己負担しなければならず、支給額と同等の住まいに引っ越すにも引っ越し代がかかるために転居すらできません。また、住宅扶助費と同程度の物件は都内に非常に少ないために見つけること自体が困難です。支給額を引き上げなければ住み続けることも住まいを確保することも難しく、住まいを失いかねません。

 賛成する第二の理由は、住居確保給付金の支給要件の抜本的改善が必要と考えるからです。

 住居確保給付金制度は、コロナの影響により、①離職や廃業が条件だった対象を休職等により所得の減少した者にも拡大、②ハローワークの求人登録を必要としていた条件を求職活動していれば認める等適用条件が緩和されました。しかし、東京都23区の場合、収入要件は単身世帯で13.8万円と厳しく、さらなる引き上げが必要です。

 不採択を主張した委員は、「国が柔軟に対応している」「要件緩和され受給しやすくなっている」と言いますが、コロナの影響がいつまで続くかわからないなか、延長、再延長等を繰り返し、最長12ヶ月で打ち切られてしまううえ、必要なだけ再申請ができることにはなっておらず、十分ではありません。

 さらに、受給されている方の多くは、返金が条件の緊急小口資金や総合支援金も借りています。コロナの影響が長引き、公的支援を使い尽くしていよいよ立ち行かないケースも増えています。この先どう生きていけばいいのか、出口の見えないトンネルをひたすら歩んで行かねばならず、命に関わる問題です。

 支給期間の延長、収入要件の引き上げ、何よりも困っている人の生活実態に合わせた改善が必要です。

 賛成する第三の理由は、恒常的な家賃補助制度が必要と考えるからです。

 委員会質疑のなかで、区は「住宅困窮した方に対しては、区営住宅や都営住宅という公営住宅制度がある」と言いますが、区営住宅・都営住宅ともに全く足りません。2020年5月時の世帯向け区営住宅で9.6倍、世帯向けの区内の都営住宅では平均23.0倍(募集111戸に対し、2557人申込)と応募倍率が高く、入居したくても入居できない状況です。

 また、居住支援協議会を通じて民間の斡旋を行いますが、近傍家賃では高く、入居はかないません。

 住まいは人権です。生活基盤としての住居の安定は、福祉の根幹です。

 コロナ禍のもと、唯一の家賃助成と言える住居確保給付金の支給は広がりましたが、一時的なものです。自立して生活するためにはセーフティーネットとして国の制度として恒常的な家賃補助制度が欠かせず、区として国に意見を上げるべきです。

 以上の理由から、本陳情に賛成し、討論を終わります。

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